統率者戦

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主な公式フォーマット

統率者戦/Commanderカジュアル変種ルールの1つ。

かつては「エルダー・ドラゴンハイランダー/Elder Dragon Highlander (EDH)」「司令官戦」などと称されていたが、統率者セットの発表とともに現在の名称に変更された。今なお俗称として「EDH」と呼ぶプレイヤーは多い。

変種としてデュエルコマンダーコモン統率者戦タイニー・リーダーズブロールヒストリック・ブロールなどがある。

目次

解説

統率者と呼ばれるカードをキーとするフォーマット。統率者はデッキを決定し、ゲームのルール上でも優遇された非常に重要な存在である。

主な特徴は以下の4点。なお、簡略な記述に留めているため、詳細なルールは#ルールを参照。

  1. 統率者は統率領域から唱えることができ、除去されても統率領域に戻すことができる。
  2. 統率者と合致したのカードのみデッキに入れられる。(→固有色
  3. デッキ枚数は100枚同名カードは1枚のみ入れられる。(→ハイランダー
  4. 多人数戦で、初期ライフは40。

統率者戦の哲学

ルール委員会によって「The Philosophy of Commander(統率者戦の哲学)」が示されている。

曰く、「統率者戦は楽しむためのフォーマットである」という点が大前提であり、特に強く強調されている。勝敗に関わらず、プレイヤー同士が体験を共有することや、デッキ構築とゲームを通して自分を表現する機会を得る事が最も重要であり、ルールや禁止カードリストもこの哲学を促進させるためのものに過ぎない。また、プレイグループごとにこれらを変更し最適化することを推奨している(→#選択ルール)。

デッキパワーレベル

統率者戦を楽しむため、デッキの強さを区分けしたデッキパワーレベルが掲げられることがある。これは上記ルール委員会の哲学を尊重したもので、様々なコミュニティにおいて独自に制定された目安である。プレイヤーズコンベンションでは「Party」「Battle」「Challenge」「The Game」の4段階、国内公式では5段階10レベル、海外では4段階や7段階などに分けられているが、目指すところは同じである。統率者戦をより楽しむためには、パワーレベルの近いデッキ同士でゲームを行うことを目指したい。

  • 特にパワーレベルの高いデッキを用いた統率者戦は海外ではCompetitive EDH(競技統率者戦/cEDH)と呼ばれる。

例として、以下は日本公式サイトが独自に掲げている指標である[1]

レベル デッキ内容
1-2 思い入れのあるカードアーティストクリーチャー・タイプなど特定のコンセプトで組むデッキ。
構築済みデッキもここに入る。
3-4 構築済みデッキを手近なカードで強化し始めたあたりのデッキ。
カジュアルプレイに向いたレベル。
5-6 統率者に合ったカードや強力なカードを使ったコンボなどを入れ、明確な勝利を目指し始めたデッキ。
7-8 強力な統率者や希少なカード、ゲームを決める強力なカードが多く入ったデッキ。
9-10 最上位の統率者や希少なカード、即座に勝利するコンボなどで最適化されたデッキ。

ルーリングの管理体制

統率者戦はもともとユーザー発祥のカジュアルフォーマットであり、統率者委員会(CRC)というファンコミュニティが禁止推奨カードや、ゲーム上の細かい挙動について議論し、決定してきた。そのため、発売元のウィザーズ社は長らくルーリングには関わってこなかった。しかし、2012年に初めて統率者 (カードセット)を発売したところ、公式の想定を超えた「噴出油井」と評価されるほどのヒット商品となる。 [2] この年より公式商品として毎年統率者セットを発売するようになった結果、強力な統率者や統率者戦用のカードが年々増え続けるとともに、ユーザーの数も爆発的な増加を見せる。その結果、様々なプレイ方針を持つプレイヤーがこれらの強力なカードの在り方について議論するようになる。 時に統率者委員会は無給でこれらの禁止議論をしながら、発表の際には不満や誹謗中傷を受ける傾向が見られるようになり、とくに2024年9月23日の統率者戦での禁止推奨指定[3]ではメンバーに殺害予告が届き、脱退者が出るなどの事件が起こる。 これらの反応を受けて統率者委員会はルーリングの管理をウィザーズ社に移譲することを発表した。 今後コミュニティの議論を経て様々な変更が行われる予定ではあるが、詳細が発表されるまでは既存のルールに従うことになる。

傾向と特徴

無差別戦
通常、3人以上の多人数戦でゲームを行う。人数に特に決まりはないが、最も一般的なプレイヤー人数は4人である。
無差別戦の多人数戦であるため、2人対戦とはまた違ったカード選択やプレイングが重要になる。通常の2人対戦ではありえない、「対戦相手にとっての対戦相手が自分以外にも存在する」という点が肝となる。すなわち、政治的駆け引きや誘導、ブラフヘイト管理などの手腕が問われることにもなり、また統率者戦の大きな醍醐味にもなっている。例えばオールプレイ能力突撃鎧/Assault Suitなどといった対戦相手にも恩恵のあるカードを巧みに用いることで、ヘイトを減らしたり、後々の脅威に対し協力を取り付けたり、あるいは単に助け舟を出して一方的なゲーム展開を防いだり……といったやり取りが積極的に行われる。また、投票カードや多様な洞察力/Manifold Insightsなど、多人数戦でこそ盛り上がるカードも多く、それらを活躍させるための場でもある。
  • こういった「駆け引き」や「外交」といったやり取りが発生し得るという点は、多人数用ボードゲームなどに通じる要素である。
統率者とデッキカラー
単色(あるいは無色)の統率者を選ぶと、色事故の心配をする必要がなくなり安定性が高くなる。しかし色の役割上どうしても戦略が狭まってしまい、デッキパワーが下がる恐れがある。一方で、多色の統率者を選ぶと多色土地を1枚ずつしか入れられないためにデッキの安定性を損なう可能性もある。統率者とデッキの方向性は密接に関係しているため、熟慮して選ぶ必要がある。
有効なカードや戦略
ハイランダーのルールに準拠するため、サーチカードの重要性が高い。そのため、結界師ズアー/Zur the Enchanterなどのサーチ能力を持った統率者が非常に有効に機能し、結果としてコンボデッキが優勢になりやすい。
マナさえあれば統率者を唱えられるという特性上、マナ加速も重要性が高い。特に土地サーチカードマナ・アーティファクトによる序盤のマナ加速は統率者戦の定石と言ってもよい。

ルール

構築ルール

まず、伝説のクリーチャーカード1枚、もしくは「統率者として使用できる/can be your commander」という能力を持つカードを1枚、もしくはそれらの該当カードのうち互いに共闘もしくは永遠の友を持つカード2枚を選ぶ。該当カードが条件を満たしているなら、背景・カードやドクターのコンパニオンを持つカードを追加で1枚選んでもよい。これ(これら)を統率者と呼ぶ。

  • この際、両面カード第1面特性のみを見る。第1面が上記の条件を満たしていれば統率者に指定できる。

統率者の固有色マナ・コストルール文章に含まれるマナ・シンボルの色と、色指標特性定義能力によって定義された色)は、デッキ内に入れられるカードの固有色を決定し、統率者の固有色(統率者が2枚ならそれらの合算)に含まれない固有色を持ったカードをデッキに入れることはできない。詳細は固有色の項を参照。

デッキ内には、基本土地カード以外は同じカード名のカードを1枚ずつしか入れることができない(ハイランダー)。枚数は、統率者と合わせてちょうど100枚である。相棒を用いる場合、それは100枚のうちの1枚には含めず、実質101枚デッキになる。

  • 相棒を用いる場合、あるいはコミュニティ内の合意によってゲームの外部から他のカードをゲームに加えることを許可されている場合でも、それらの各カードは固有色およびハイランダーのルールに従う必要がある。すなわち、統率者の固有色と合致していないカードや既にデッキ(統率者を含む)に入っているカードはゲームに加えることができない。

ゲームルール

統率者

ゲームを開始する前に、各プレイヤーは自分のデッキの統率者を宣言し、それを統率領域に置く。

統率者であることは特性ではなく、そのカード自体が持つ属性である。「統率者であること」はコピーされず、継続的効果によって上書きされず、コントロール変更効果により失われない。それが両面カードであるなら、第1面/第2面のどちらが表であっても統率者である。それが合体カードで、その合体する組の他方と合体していたなら、その合体したパーマネントは統率者である。それが合同パーマネントの一部であるなら、その合同パーマネントは統率者である。それが当事者カードであるなら、出来事として唱えられた呪文は統率者である。

絡み織りの鎧/Tangleweave Armorのように、効果が「あなたの統率者」の特性を参照するなら、それはそのプレイヤーの統率者が持つ現在の特性を参照する。現在の特性とはそのプレイヤーの手札ライブラリーを含むあらゆる領域で、継続的効果やルールを適用した上での特性である。固有色は特性ではなくゲーム開始時から変化することはない。

統率者を統率領域から唱える

統率者が統率領域にある限り、そのオーナーは統率者を唱えることができる。統率者が当事者カードモードを持つ両面カードならば、通常のルールと同様に、出来事/本体、第1面/第2面どちらの面として唱えるかを選択する。この際、出来事や第2面が統率者として使用できる条件を満たしていなくとも問題ない。

ただし、この方法でそれまでに統率者を唱えた回数1回につき、追加コストとして(2)を支払う必要がある。これを俗に統率者税/Commander Taxと呼ぶ。詳細は統率者税の項を参照。

統率者が領域を移動した際

統率者が領域を移動した際の基本ルール
統率者がいずれかの領域から墓地追放手札ライブラリーのいずれかの領域に置かれる場合、オーナーはそれを統率領域に置くことができる。この際、移動先の領域ごとに次の2つのルールが定められている。これは基本セット2021発売に際して追加されたルールである。
  1. 統率者が墓地か追放領域にあり、そのオブジェクトがその領域に置かれたのが直前の状況起因処理のチェックよりも後であれば、そのオーナーは統率者を統率領域に置くことを選んでもよい。これは状況起因処理である。
  2. 統率者がいずれかの領域からオーナーの手札かライブラリーに置かれるなら、そのオーナーは代わりに統率領域に置くことを選んでもよい。これは置換効果である。この置換効果は同じイベントに複数回適用できる。
これらのルールは次の2点に要約される。墓地か追放に置かれる場合、一度その領域を経由して統率領域に戻る。手札かライブラリーに置かれる場合、その領域を経由せずに統率領域に戻る(置換される)。
統率者が領域を移動した際の実例
  • 例1:戦場にあなたの統率者であるアラーラの子/Child of Alaraがおり、これが破壊され墓地に置かれたため、統率領域に移動させた。この時、アラーラの子が持つ「アラーラの子が死亡したとき~」の誘発型能力や、冒涜された墓所/Desecrated Tombが持つ「クリーチャー・カードが1枚以上あなたの墓地を離れるたび~」の誘発型能力が誘発する
  • 例2:戦場にあるあなたの統率者を対象に送還/Unsummonが唱えられた。手札に戻るのは不都合であったため、解決時に手札ではなく統率領域へ移動させた(手札への移動を、統率領域への移動に置換した)。この時、トレイリアの大魔導師、バリン/Barrin, Tolarian Archmageが持つ「このターンにパーマネントが戦場から手札に加えられていた場合~」の誘発型能力は誘発しない。手札を経由せず統率領域に置かれたためである。置換効果の項も参照。
  • 例3:戦場にあるあなたの統率者が放逐する僧侶/Banisher Priestによって追放されたため、統率領域へ移動させた。直後に放逐する僧侶が戦場を離れた。この時、統率者は戦場に戻らない(統率領域に留まる)。追放領域に移動したあとでさらに領域を移動したため、オブジェクトを見失う。領域変更誘発の項も参照。
  • 例4:屍術淘汰/Necromantic Selectionによって、対戦相手の統率者を破壊した上であなたのコントロール下で戦場に出すことができる。対戦相手は統率領域への移動によってこれを回避する機会はない。墓地か追放領域から統率領域への移動は置換効果ではなく状況起因処理であるため、呪文や能力の解決中にそれを行えるタイミングは存在しない。
    • かつてのルールでは、統率者が領域を移動した際に統率領域へ置くルールは、どの領域への移動であっても一律で置換していた。上記「例1」の誘発型能力はいずれも誘発せず、「例3」では統率者が戦場に戻り、「例4」では統率者の死亡を置換することでコントロールを奪われるのを回避できた。詳細は#旧ルールの2020年6月29日の変更を参照。
統率者が領域を移動した際のその他のルール

統率者ダメージ

統率者であるクリーチャーによってプレイヤーに与えられた戦闘ダメージ統率者ダメージと呼ぶ。いずれかのプレイヤーが同一の統率者から21点以上の統率者ダメージを与えられた場合、そのプレイヤーはゲームに敗北する。これは状況起因処理である。詳細は統率者ダメージを参照。

ライフ

プレイヤーの開始時のライフの総量‎40点である。

ゲームの外部を参照する効果

ゲームの外部から、「他のカード」をゲームに加えようとする効果は機能しない。すなわち、各種願いウラモグの種父/Spawnsire of Ulamogの2番目の起動型能力などは機能しない。相棒はゲームの外部からそれ自身をゲームに加えるため、機能する。これは総合ルールではなく統率者戦コミュニティで規定されているルールである。

加えて総合ルールにおいては、プレイヤーがゲームの外部からカードをゲームに加えようとする場合、そのカードが次のいずれかに該当しているならゲームに加えることはできない(すなわち、ハイランダーと固有色のルールを破ることはできない)。

  • 同じカード名のカードがそのプレイヤーの開始時のデッキに含まれている。
  • 同じカード名のカードをそのプレイヤーが既にゲームの外部から加えている。
  • そのカードの固有色がそのプレイヤーの統率者の固有色と合致していない。
    • これらはイコリア:巨獣の棲処で相棒が登場した際にコミュニティがゲームの外部を許容したゲームをプレイしやすいように作られた明確化のためのルールであり、プレイグループの合意があればこのルールを無視することを決めても構わないとされている[4]

多人数戦ルールに準拠

1対1でゲームを行ってもよいが、多人数戦で行うのが一般的である。多人数戦の場合、通常は無差別戦の「複数への攻撃選択ルールを用い、「影響範囲制限」選択ルールを用いない。また、マリガンなどのそのほかのルールも多人数戦のものを用いる。詳細は多人数戦#ルールおよび複数への攻撃を参照。

その他

統率者であってもレジェンド・ルールの影響を受け、コントロール奪取などで同じカード名伝説のパーマネントをコントロールしているとどちらか一方が墓地に置かれる。

  • 以前は選択したルールによっては墓地に置かれない場合もあった。詳細は#旧ルールの「オープンルール」参照。

アトラクションステッカーはゲームの外部に存在するわけではないため、統率者戦においても使用可能である。

使用カード

原則として、アン・カード裏面が通常と異なるものを除く、これまでに印刷されたすべての定形のマジックのカードが使用できる。

禁止カード

以下のカードを禁止カードとする。

かつて禁止されていたカード

以下のカードはかつて禁止であったが、いずれも禁止解除されている。

使用カードに関する備考

  • マジック・イベント規定に定義されているフォーマットではないため、禁止カードも公式な規定ではなく、あくまで「禁止カードとすることが推奨されている」という扱いである。#統率者戦の哲学にもあるように、プレイグループごとにこれらを変更し最適化することが推奨されている。
    • ルール委員会によれば、禁止カードリストは中位から下位のデッキパワーレベルによる統率者戦をより楽しいものとするために調整している。
  • ステッカーおよびアトラクションを扱うカードはエターナルおよびパウパーで禁止されているが、統率者戦では禁止されていない[5]
  • 禁止カードにはパワー9が全て名を連ねている錯覚を受けるが、Timetwisterは使用可能である。誤解している人が多いので注意。
  • かつては「統率者に指定できないカード」が存在していた。詳細は#旧ルールの2014年9月12日の変更を参照。
  • かつては使用可能カードの括りを便宜上、「原則としてヴィンテージで認められている全てのカード」としていたが、現在ではヴィンテージに言及しない形に改められている。詳細は#旧ルールの2020年5月18日の変更を参照。

選択ルール

統率者戦はカジュアルフォーマットであるため、以下のような様々な選択ルールハウスルール)が提唱されている。これらを用いる場合、コミュニティ内で事前に合意や確認を取るなどし、トラブルの出ないようにしたい。ハウスルールの項も参照のこと。

統率者ドラフト

ブースター・ドラフトで統率者戦を遊ぶための選択ルール。専用のカード・セットである統率者レジェンズの登場に伴い制定された。基本的なルールはブースター・ドラフトに準ずるが、以下に統率者ドラフト特有のルールを記載する。
統率者ドラフトでは通常、統率者レジェンズまたは統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦いまたは統率者マスターズドラフト・ブースターを使用する。各ドラフトでは、各プレイヤーは1枚ではなく2枚ずつカードをドラフトする。
ドラフト完了後、各プレイヤーは自分のカードプールに特定のカードを追加できる。統率者レジェンズか統率者マスターズを用いていたなら虹色の笛吹き/The Prismatic Piperを、統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦いを用いていたなら正体を隠した者/Faceless Oneを、最大2枚追加してもよい。そうすることを選んだなら、それ(それら)を統率者として使わなければならない。
デッキ枚数は、統率者と合わせ最低60枚で、上限はない。また、同名のカードを複数枚入れてもよいハイランダールールは無視する)。
統率者マスターズを用いていたならば、固有色が1色以下で統率者に指定できるすべてのカードは、デッキ構築段階でのみ共闘を持つものとして扱う(それ以外の場面では共闘を持たない)。
  • 虹色の笛吹き/The Prismatic Piperおよび正体を隠した者/Faceless Oneをどのように工面するのかについては特に規定はないが、ドラフトして使わなかったプレイヤーに借りるのが自然な流れだろう。カードの分配について気にしないのであれば、パックを開封した段階で公開し、一箇所にまとめてしまうと楽。
    • それらは変則的な稀少度によってドラフト・ブースター6パックにつき1枚封入されているため、8人でドラフトを行えば期待値的に4枚は出現する。

Gijs Mulligan(ハイス・マリガン)

マリガンを手早く終わらせるために、ジャッジGijsbert Hoogendijkによって考案されたマリガンルール。Ron Fosterのコラムで紹介された[6]
ゲームを始めるときに各プレイヤーが手札を引いた後、通常のマリガンの代わりに以下の手順を行う。
  1. 手札が気に入らない場合、その手札をライブラリーに戻さず脇に置き、新たに7枚引き直す。
  2. 1の手順を望むだけ繰り返す。
  3. 脇に置いたカードは、そのプレイヤーの最初のターンを終えた後でライブラリーに戻して切り直す(時間節約のため)。
  • 時間短縮にはなるが悪用されうるため、コラムでは「土地が3枚ある手札ならキープとする」などの基準を設けること、信頼できる仲間内で使うことを勧めている。

EDH Sideboards(デッキ入れ替え枠)

この選択ルールを採用する場合、各プレイヤーは1枚の統率者と99枚のカードの他に10枚のサイドボード・カード用意することができる。
統率者が選ばれた後、各プレイヤーはデッキのカードと1対1で入れ替えるための時間として3分が与えられる。
  • デッキに入らなかったカードはゲームの外部を参照するカード(願いなど)でアクセスできる。

Victory Points(代替勝利条件)

いわゆる「最後まで残っていたプレイヤー」という勝利条件の代わりに、追加または代替の勝利方法を用意する選択ルール。
統率者戦公式サイトでは「1ターンに最大の戦闘ダメージを与えたプレイヤー」「マナ・プールに最も多くのマナを貯めたプレイヤー」「統率者ダメージによる勝利」「統率者に最も多くのマナを費やしたプレイヤー」といった勝利方法が挙げられている。

Democratic Victory(民主的勝利)

勝利と社交的プレイングのバランスがとれたプレイヤーに報奨を与える手段として用意された選択ルール。
ゲームが終了したとき、各プレイヤーは最も楽しませた対戦相手1人に投票する。プレイヤーは最後まで残っていた場合は2点、1票につき1点を獲得し、その点数に対して賞品を提供する。

The League Rule(リーグルール)

デッキ構築に制限を加える選択ルール。複数のプレイヤーが同じ統率者を選ぶことができず、他のプレイヤーが統率者として選んだカードをデッキに入れることができない。

Stranglehold Cage Commander(「締め付けと檻」ルール)

統率者戦特有のコンボデッキ有利を是正しようとAdam Styborskiが提唱した選択ルール[7]
統率領域締め付け/Stranglehold墓掘りの檻/Grafdigger's Cageが置かれた状態でプレイする。これらを唱える必要はなく、統率領域から効果を発揮している状態でゲームを行う。

フリー基本土地ルール

土地事故マナスクリュー)を緩和する選択ルール。Ron Fosterのコラムで紹介された[6]
ゲーム開始前に、各プレイヤーはライブラリーから基本土地カード1枚を探し統率領域に置いてもよい。ゲーム中、プレイヤーはドロー・ステップドロー飛ばす代わりにその基本土地を手札に加えることができる。

常時統治者ルール

遅く、停滞しがちなゲームのテンポを速めて戦闘を促すため、Shivam Bhattが提唱した選択ルール。Ron Fosterのコラムで紹介された[6]
ゲーム中、最初に対戦相手戦闘ダメージを与えたプレイヤーは統治者になる。

Partial Paris Mulligan(部分的パリ・マリガン)

現在のマリガン(ロンドン・マリガン)が採用されている以前、個々のカードを引ける確率を上げることなく土地事故を和らげるため、特殊なマリガンルールとしてPartial Paris Mulliganが設けられていた。
ゲームを始めるときに各プレイヤーが手札を引いた後、通常のマリガンの代わりに以下の手順を行う。
  1. 各プレイヤーは先攻プレイヤーからターン順に自分の手札にあるカードを望む枚数だけ裏向き追放してもよい。
  2. 全プレイヤーが追放するかどうか選んだ後、カードを追放したプレイヤーはその追放したカードの枚数に1を引いた枚数のカードを引く。
  3. 少なくとも1枚のカードを追放したプレイヤーは、1に戻ってこの手順を繰り返してもよい。
  4. どのプレイヤーも追放しないことを選んだ場合、各プレイヤーは追放したカードを自分のライブラリーに戻して切り直す

Magic Online

Magic Onlineでも認定フォーマットとしてCommanderの名称で実装されている。

ルールは実際の統率者戦とほぼ同様であるが、マリガンはPartial Paris Mulliganではなく、最初の1回だけ枚数を減らさずに引き直せる方式が採用されている。

制定当初はルール文章のマナ・シンボルによる構築制限は設けられていない(例えば、メムナーク/Memnarch無色の統率者として使用できた)点が異なっていたが、2011年6月28日のMagic Onlineのアップデートで固有色を用いるように変更された[8]

禁止カードは実際の統率者戦と同一である。

  • 以前はMagic Online独自のリスト(内容は司令官戦を参照)で管理されていたが、先述のアップデートに際し、共通のリストを用いるように変更された。

旧ルール

  • 以前は統率者戦に関する規定として「リーグルール」と「オープンルール」の2種類がありどちらかを選ぶ必要があったが、2009年9月20日のルール改正で選択制は廃止され、標準のルールではいずれも適用されないようになった(リーグルールに関しては#The League Rule(リーグルール)を参照)。
    • オープンルールでは、リーグルールのようなデッキ構築段階での制限はない代わりに、「統率者はいわゆるレジェンド・ルールの影響を受けなくなる」という特殊ルールが追加されていた。基本セット2014より前のレジェンド・ルールで、同伝説のクリーチャー戦場にある場合、統率者でないもののみが墓地に置かれ、統率者ならば墓地には置かれない。双方が統率者ならばどちらも戦場に残る。
  • 2009年9月20日のルール改正で変更されるまでは、統率者を置く領域統率領域の代わりに追放ゲーム外)領域を用いていた。
  • 2009年9月20日のルール改正で、マリガンの手順が通常の多人数戦用マリガンからPartial Paris Mulliganに変更された。そして2016年1月18日のルール変更では、当時現行の公式マリガンルール(バンクーバー・マリガン)に変更された。その後、公式フォーマットのマリガンルールの変更に合わせ、現行のマリガンルール(ロンドン・マリガン)へと移行した。
  • 統率者が領域を移動する際の置換効果は何度かルールが改訂されている。
    • 初期のルールではいずれかの領域から墓地に置かれる場合のみ統率領域に置くことを選択できたが、統率者を追放して永久的に取り除く手段を封じるために、2011年6月17日の改定で追放された際も置換できるようなった。
    • 2015年3月23日の更新では、同じ理由で、統率者がいずれかの領域から手札ライブラリーに置かれる場合にもこのルールが適用されるようになった。
    • 先の変更により、オーナーが意図して選択しなければ「統率者が他のプレイヤーにより裏向きで追放される」という状況が発生しなくなった。そのためそのような状況に対応していた「カードを裏向きで追放する場合、即座にその表を確認し、それが他のプレイヤーがオーナーである統率者ならば表向きで統率領域に置く」という旨のルールが2016年7月の更新で削除された。
  • 2014年9月12日のルール改正で変更されるまでは、禁止カードとは別に「統率者に指定できないカード」のリストが存在していた。これらは禁止カードリストに統合され廃止された。廃止直前のリストは以下の通り。
  • 2016年1月18日のルール改正で変更されるまでは、「デッキ内のカードはそのマナしか生み出せず、不適正な色マナを生み出す場合は代わりに無色マナを生み出す」という追加ルールが存在していた。現在はルール文章の通りに定められた色マナを生み出す。
  • Unstableの発売記念として、2017年12月1日から2018年1月15日まで、特例としてアン・カードも使用可能推奨となった[9]。ただし、アン・カードを用いて行われた統率者戦では、通常の禁止カードの他、一部のアン・カードが禁止カード、または「使用時に注意が必要なカード(使用非推奨)」が指定された。
  • 2020年4月20日のルール改正で変更されるまでは、ゲームの外部からカードを加える効果は一切機能しないものとなっていた。相棒の登場に合わせ、「ゲームの外部から他のカードを加える効果は機能しない」と改められ、相棒を用いることができるようなった[11]
  • 2020年5月18日に変更されるまでは、使用可能カードを便宜上「統率者戦禁止カード除く、ヴィンテージリーガルのカード」としていた。それまでのヴィンテージではアンティChaos Orbなどのゲームプレイ以外の問題があるカードを除けば、どんなカードでも制限カード止まりだったため、記述の簡略化のためにこの表現を用いていた。しかし、同日に行われた異例となるヴィンテージでの禁止指定(夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den)により齟齬が生じたため、ヴィンテージに言及しない現在の形に改められた。元々便宜的に用いていた表現を使わなくなっただけで、ルールの変更ではない[12]
  • 2020年6月29日のルール改正で変更されるまで、統率者が領域を移動した際に統率領域へ置くルールは、どの領域への移動であっても一律で置換していた。当時のルールでは、例えばPIG能力を持つ統率者(アラーラの子/Child of Alaraなど)は死亡時に統率領域への置換を行うと、それらの能力は誘発しなかった(ルールの詳細は置換効果の項を参照)。現在のルールへと改正されたことによって、これらの統率者の能力を誘発させつつ統率領域に戻せるようになった[13][14][15]

その他

脚注

  1. 統率者戦(マジック日本公式サイト フォーマット解説ページ)
  2. https://mtg-jp.com/reading/mm/0030976/
  3. Commander Banned and Restricted Announcement – September 23, 2024/2024年9月23日 統率者戦禁止制限告知
  4. 『イコリア:巨獣の住処』更新速報(総合ルール更新、オラクル更新)(Daily MTG 2020年4月13日)
  5. @JimTSF(Twitter 2024年5月15日)
  6. 6.0 6.1 6.2 第6回:おすすめ変則ルール紹介(ロン・フォスターの統率者日記 2020年1月17日 Ron Foster著)
  7. Two Cards To Bring Them All (And In Fairness Bind Them)(Serious Fun 2012年1月31日 Adam Styborski著)
  8. Announcements -- June 28, 2011 (Internet Archive)(Magic Online Blog 2011年6月28日)
  9. SPECIAL UNANNOUNCEMENT: December 1, 2017 (Internet Archive) (mtgcommander.net公式)
  10. UNRULES UPDATE - NERF WAR BANNED (Internet Archive) (mtgcommander.net公式)
  11. April 2020 Rules Update(Official Commander Website 2020年4月20日)
  12. 18 May 2020 Update(Official Commander Website 2020年5月18日)
  13. June 7 Announcement on Dies Triggers(Official Commander Website 2020年6月7日)
  14. July 2020 Update(Official Commander Website 2020年6月29日)
  15. Cranial Insertion(Requiem for a Commander 2020年6月15日)

参考リンク

参考

引用:総合ルール 20231117.0

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