モードを持つ両面カード
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モードを持つ両面カード/Modal Double-Faced Card(略してMDFC)とは、両面カードの一種。第1面/第2面のどちらとしてプレイするかを選んでプレイできる両面カードを指す。
クリーチャー — ミノタウルス(Minotaur) 戦士(Warrior)
トランプル
4/5Akoum Teeth / アクームの歯
土地
アクームの歯はタップ状態で戦場に出る。
(T):(赤)を加える。
クリーチャー — 人間(Human) クレリック(Cleric)
無私の象形織りを追放する:ターン終了時まで、あなたがコントロールしているすべてのクリーチャーは破壊不能を得る。
2/3Deadly Vanity / 命取りのうぬぼれ (5)(黒)(黒)(黒)
ソーサリー
クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を選び、その後、それ以外のすべてのクリーチャーとプレインズウォーカーを破壊する。
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[編集] 解説
ゼンディカーの夜明けで初登場し、次のカルドハイムとストリクスヘイヴン:魔法学院にかけて連続で再登場した。
従来の両面カード(変身する両面カード/TDFC)とは異なり、プレイする段階で第1面/第2面のどちらの面としてプレイするかを選択できる。モードを持つ両面カードはいずれも変身能力を持たず、また変身させることもできない(詳細は#ルールを参照)。
1枚のカードで複数の役割を担い、戦況によって柔軟に使い分けできるため腐りにくいのが最大の長所。機能的には分割カードとよく似ており、パーマネントを扱えるようになった発展型と言える。伝説のカードであっても複数枚デッキに積みやすいのも画期的。
一方で高い柔軟性の代償か、同じマナ・コストの単体のカードと比べると性能が控えめであったり、ニッチな領分を扱うものが多い。
- ゼンディカーの夜明け(日本公式サイトのカードギャラリー)
- 2色土地である小道サイクルのうち6枚が収録されている。
- 他はすべて第2面がタップインかつ1色のマナを生み出す土地となっている(スペルランドという俗称で呼ぶ者もいる。またボルトランドは自力でアンタップインできる)。第1面はすべて単色で、インスタントかソーサリーあるいは伝説でないクリーチャー。
- 土地がダイナミックに姿を変えたり動き出したりするゼンディカー/Zendikarの自然の荒々しさを表現している。後のセットと違い、カード名にはどちらの面も共通した地名を含むのが特徴。
- 土地として生み出すマナの色と、呪文としての色は同じ。
- アンコモン以上の各レアリティに存在し、計30枚。一覧はスペルランドを参照。
- 「スタックや戦場以外では第1面のカード・タイプとして扱われる(第2面のカード・タイプとして参照されない)」という性質自体が重宝され、一部の特殊な構造のデッキでは中核となることも(→The Spy、Charbelcherなど)。
- カルドハイム(日本公式サイトのカードギャラリー)
- 2色土地である小道サイクルのうち4枚が収録されている。
- 他はすべてカルドハイム/Kaldheimの12柱の神々とその権能を表し、第1面は単色の神である伝説のクリーチャー、第2面は神々の使う道具や魔法、使い魔である伝説のパーマネント(多くが伝説のアーティファクトで、うち装備品2つと機体1つ。ほかは伝説のプレインズウォーカーと伝説のエンチャントと伝説の鳥・クリーチャーがそれぞれ1枚)となっている。
- 第2面で多色になるものも3枚ある。そのうち嘘の神、ヴァルキー/Valki, God of Liesと樹の神、エシカ/Esika, God of the Treeは色が増え、冬の神、ヨーン/Jorn, God of Winterは色が変わる。
- すべてレア以上(サイクル/カルドハイムの神)。
- ストリクスヘイヴン:魔法学院(日本公式サイトのカードギャラリー)
- さらに多くのカード・タイプの組み合わせが作られた(「クリーチャーとソーサリー」が7枚に、「クリーチャーとインスタント」「アーティファクトとソーサリー」「プレインズウォーカーとプレインズウォーカー」が1枚ずつ)。残りは「伝説のクリーチャーと伝説のクリーチャー」の5枚サイクルに「伝説のクリーチャーとプレインズウォーカー」が1枚。
- ほとんどは第1面と第2面が対抗色の関係にあるほか、オリークの首領、エクスタス/Extus, Oriq Overlordはどちらの面も多色で、さまようアルカイック/Wandering Archaicはどちらの面も無色。
- すべてレア以上のみで3つのサイクル、計16枚(サイクル/ストリクスヘイヴン:魔法学院のレアのモードを持つ両面カード、サイクル/ストリクスヘイヴン:魔法学院の学部長、サイクル/ストリクスヘイヴン:魔法学院の神話レアのモードを持つ両面カード)。
- 後述の#開発秘話も参照。
[編集] ルール
両面カードのうち、「そのカードを変身させる」または「そのカードを変身した状態で戦場に出す」という能力を持たないもの(=変身する両面カードでないもの)を、モードを持つ両面カードと呼ぶ。
両面カード共通のルールについては両面カード#共通ルールを、モードを持つ両面カード特有のルールについては両面カード#モードを持つ両面カードに関するルールを参照。
モードを持つ両面カードの第1面/第2面を区別するシンボルは、カード・セットによらず共通である。カード左上に横向きの水滴型の枠があり、黒い1つの三角形のシンボルがある面が第1面、白い2つの三角形のシンボルがある面が第2面である(カード画像)。
- また従来の両面カードと同じように、第2面の名前やタイプ行やP/Tは濃い背景色に白い文字色(次元の混乱のタイムシフトと似た配色)となっていることでも見分けられる。
文章欄の左下にはヒントバーがあり、反対側の面のカード・タイプか、あればサブタイプ(アーティファクト・タイプやプレインズウォーカー・タイプや職業、なければ種族)とマナ・コスト(土地ならマナ能力)を補足的に記載しつつ、色(ないし固有色)を背景色で伝えている。これは注釈文であり、ルールに影響しない。
- 種族よりも職業を優先しているのは、ゼンディカーの夜明けのメカニズムとしてパーティーがあったことが関係すると思われる。Mark Rosewaterは、Blogatogに寄せられた質問に「よりflavorfully(風味豊か)だからだろう」と答えている[1]。
[編集] 開発秘話
モードを持つ両面カード(以下MDFC)のアイデア自体は、変身する両面カードが初登場したイニストラードのデザイン中にすでに見出されていたが、2種類の異なる両面カードを同時に導入すると混乱を招くとして、MDFCは後のセットのために温存された。初登場時に嫌われた(あるいは興味を引かなかった)メカニズムは再登場させるのが難しく、加えて両面カードは生産上の問題があることから、その初登場には貴重な機会とコストに見合うだけの確実なリターンが求められ、「温存」は長期にわたることとなった。
そしてついに、Mark RosewaterはMDFCからボトムアップ・デザインされたセットを提案した。後のストリクスヘイヴン:魔法学院である。当初の計画では、それは呪文(インスタントとソーサリー)を中心とするセットで、呪文/クリーチャーのMDFCは、リミテッドでデッキを組む際に十分な呪文数とクリーチャー数を両立する助けとなる、というものだった。その後、開発部内のMDFCに懐疑的な人たちを納得させるために多数のMDFCをデザインしてみると、そこには豊富なデザイン空間があることが明らかになった。また、開発部内で最も好評を博したのは両面とも土地のMDFC(後の小道)だった。これらの事実から、MarkはMDFCを1セットのみならず、連続する3つのセットに採用できると考えた。これはブロック制が廃止された後の本流のセットで、通年で発売するセットにまとまりを感じさせる要素を作るという試みである。こうして、MDFCはゼンディカーの夜明けで初登場し、続くカルドハイム、ストリクスヘイヴンで連続して採用されることとなった。
しかしながら、実際に3セットのデザインを進めていくと、それらを使用する時期のスタンダード環境に両面カードが多くなりすぎることが判明した(変身する両面カードがあるイニストラード:真夜中の狩りの存在も影響している)。そのため各セットでMDFCの枚数を減らすこととなり、皮肉にも、ストリクスヘイヴンは多数のMDFCを使わずに「呪文中心のセット」を実現しなければならなくなってしまった[2][3]。
- Mark Rosewaterは後に、ゼンディカーの夜明けの土地MDFCは大好評で、カルドハイムの神MDFCについても好評だったとする一方、ストリクスヘイヴンのMDFCは文章量が多すぎ、テーマ的一貫性にも欠けていたと述べている。また、上述の「1年間のセットにまとまりを感じさせる」ことについては、MDFCはデッキに1枚入れたからといって複数枚入れたくなるものではないためメカニズム的一体感が薄く、各セットで使い方が異なっていたためフレイバー的一体感も薄かったとして、計画した通りの効果は得られなかったと評価している[4]。
[編集] 脚注
- ↑ Why does the bottom of the MDFC's say the opposite...(Blogatog 2021年4月13日 Mark Rosewater著)
- ↑ Zendikar Rising to the Challenge, Part 2/『ゼンディカーの夜明け』の挑戦 その2(Making Magic 2020年9月7日 Mark Rosewater著)
- ↑ In the Strixhaven, Part 1/『ストリクスヘイヴン』にて その1(Making Magic 2021年3月29日 Mark Rosewater著)
- ↑ State of Design 2021/デザイン演説2021(Making Magic 2021年8月16日 Mark Rosewater著)
[編集] 参考
引用:総合ルール 20220708.0
- 7 その他のルール
- 712 両面カード
- 712.1 両面カードとは、カードの一方にマジックのカードのオモテ面、もう一方にマジックのカードの裏面があるのではなく、両方にマジックのカードのオモテ面があるカードである。両面カードには2種類存在する。変身する両面カードは、その一方あるいは両方の面にそのカードを「変身/transform」させる(もう一方の面へ裏返す)、あるいはそのカードを「変身した状態で/transformed」(第2面をオモテにして)唱えたり戦場に出したりする能力を持つ。モードを持つ両面カードは独立した2つのオモテ面を持ち、変身できない。
- 712.1a 変身する両面カードの第1面には、左上の角に第1面シンボルが記されている。『マジック・オリジン』『基本セット2019』の両面カードでは、第1面シンボルはプレインズウォーカー・アイコンを元にしたシンボルである。『イニストラード』ブロックと『イニストラードを覆う影』セットと『イニストラード:真夜中の狩り』セットと、『異界月』の《爪の群れのウルリッチ》では、第1面シンボルは太陽である。それ以外の『異界月』の両面カードでは、第1面シンボルは満月である。『イクサラン』と『イクサランの相克』のカードでは、第1面シンボルは羅針図である。
- 712.1b 変身する両面カードの第2面には、左上の角に第2面シンボルが記されている。『マジック・オリジン』『基本セット2019』の両面カードでは、第2面シンボルはプレインズウォーカー・アイコンである。『イニストラード』ブロックと『イニストラードを覆う影』セットと『イニストラード:真夜中の狩り』セットと、『異界月』の《揺るぎない頭目、ウルリッチ》では、第2面シンボルは三日月である。それ以外の『異界月』の両面カードでは、第2面シンボルはエルドラージの巨人エムラクールを元にしたシンボルである。『イクサラン』と『イクサランの相克』のカードでは、第2面シンボルは土地アイコンである。
- 712.1c 変身する両面カードの第2面がクリーチャーである場合、そのカードの第1面には、その第2面のパワーとタフネスが、パワー/タフネス欄の上に斜体灰色の文字で書かれている。これは注釈文であり、ゲーム上は効果を持たない。
- 712.1d モードを持つ両面カードの第1面には、左上の角に第1面シンボルが記されている。第1面シンボルは、横向きの水滴型の中に描かれた黒い単一の三角形である。
- 712.1e モードを持つ両面カードの第2面には、左上の角に第2面シンボルが記されている。第2面シンボルは、横向きの水滴型の中に描かれた白い2つの三角形である。
- 712.1f モードを持つ両面カードの両方の面には、もう一方の面に関する情報を含むヒントバーが左下隅に描かれている。これは注釈文であり、ゲームプレイ上の効果はない。
- 712.1g 合体カードは、一方の面にマジックのカードのオモテ、もう一方に大判のマジックのカードのオモテの半分が書かれている。これらは両面カードではなく、別のルールに従う。rule 713〔合体カード〕参照。
- 712.2 両面カードを見ることができるプレイヤーは、その両方の面を見ることができる。
- 712.3 プレイヤーは、非公開領域にある両面カードを、同じ領域にある他のカードと区別ができないようにしなければならない。そのため、両面カードのオーナーは完全に不透明なスリーブか、差し替えカードを用いることができる(rule 714〔差し替えカード〕参照)。認定イベントでの両面カードの使用に関しては、追加の規定が存在する。rule 100.6 参照。
- 712.4 両面カードの各面はそれぞれに独立した一連の特性を持つ。
- 712.4a 両面カードがゲーム外あるいは戦場やスタック以外のゲーム内にある場合、それは第1面の特性のみを持つ。
- 712.4b 通常、変身する両面呪文がスタックにある間は第1面をオモテにしており、その第1面の特性のみを持つ。しかしながら、効果によってプレイヤーが変身する両面カードを「変身した状態で/transformed」唱えることができる場合、その呪文は第2面をオモテにし、第2面の特性だけを持つ。そのマナ総量は第1面のマナ・コストを用いて計算される。第2面をオモテにした状態の変身する両面呪文をコピーした場合、そのマナ総量は0である。
- 712.4c 変身する両面パーマネントが第1面をオモテにしている間、それは第1面の特性だけを持つ。
- 712.4d 変身するパーマネントの第2面がオモテになっている場合、それは第2面の特性のみを持つ。ただし、マナ総量は第1面のマナ・コストから計算される。そのパーマネントが変身する両面カードの第2面をコピーしていた場合(そのコピーしたカードがもともと両面カードだったとしても)、そのパーマネントのマナ総量は0である。
- 712.4e モードを持つ両面呪文がスタックにある間、あるいはモードを持つ両面パーマネントが戦場にある間、それはオモテになっている面の特性のみを持つ。
- 712.5 変身する両面カードで表されるパーマネントだけが変身できる(rule 701.28〔変身する〕参照)。呪文や能力がプレイヤーに変身する両面カードで表されていないパーマネントを変身させようとしても、何も起こらない。
- 712.7 変身する両面カードを呪文として唱える場合、それは通常その第1面をオモテにしてスタックに積まれる。変身する両面カードを「変身した状態で/transformed」唱えた場合、それは第2面をオモテにしてスタックに置かれる。モードを持つ両面カードを呪文として唱えるプレイヤーは、それをスタックに置く前にどちらの面を唱えるかを選ぶ。rule 601〔呪文を唱えること〕参照。
- 712.8 モードを持つ両面カードを土地としてプレイしているプレイヤーは、それを戦場に出す前に土地であるオモテ面1つを選ぶ。それはその面をオモテにして戦場に出る。rule 305〔土地〕参照。
- 712.9 通常、パーマネント になる両面呪文は、解決されるとスタック上でオモテだった面をオモテにして戦場に出る。能力によって、第1面をオモテにした状態でスタックにあった変身する両面カードが変身した状態で戦場に出ることがある。
- 712.10 スタック以外の領域から戦場に出る両面カードは、通常、第1面をオモテにした状態で戦場に出る。
- 712.11 効果によってプレイヤーが両面カードを裏向きのクリーチャー・呪文として唱える場合、あるいは両面カードが裏向きで戦場に出る場合、それはそれを裏向きにしたルールや効果が得させた特性を持つ。そのカードは、裏向きの差し替えカード(rule 714 参照)あるいは不透明のスリーブを使い、非公開であり続ける。rule 708〔裏向きの呪文やパーマネント〕参照。
- 712.12 両面パーマネントは裏向きにできない。呪文や能力により両面パーマネントが裏向き になろうとする場合、何も起こらない。
- 712.13 裏向きで追放された両面カードは、裏向きの差し替えカードあるいは不透明のスリーブを使い、非公開であり続ける。rule 714〔差し替えカード〕参照。
- 712.14 変身する両面パーマネントが変身する場合、それは新しいオブジェクト になるわけではない。そのパーマネントに適用される効果は、それが変身した後も適用され続ける。
- 712.15 何らかの効果によりプレイヤーが名前1つを選ぶ場合、そのプレイヤーは両面カードのいずれか一方の面の名前を選ぶことができるが、両方は指定できない。
- 712.16 変身する両面カードが、変身後に「[このパーマネント]が変身するに際し……/As [this permanent] transforms . . .」という能力を持っていた場合、その能力はそのパーマネントが変身したあとではなく変身する間に適用される。
- 712.1 両面カードとは、カードの一方にマジックのカードのオモテ面、もう一方にマジックのカードの裏面があるのではなく、両方にマジックのカードのオモテ面があるカードである。両面カードには2種類存在する。変身する両面カードは、その一方あるいは両方の面にそのカードを「変身/transform」させる(もう一方の面へ裏返す)、あるいはそのカードを「変身した状態で/transformed」(第2面をオモテにして)唱えたり戦場に出したりする能力を持つ。モードを持つ両面カードは独立した2つのオモテ面を持ち、変身できない。
- 712 両面カード