唱える

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(代替の特性があるカードの扱い)
 
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==定義==
 
==定義==
'''[[呪文]]を唱える'''とは、やがて[[解決]]されてその[[効果]]が発生するよう、その呪文を現在ある場所(通常は[[手札]])から[[スタック]]に置き、[[コスト]]を[[支払う]]ことを意味する。呪文を唱えるためには、以下の一連の手順を踏む必要がある(詳細は{{CR|601.2}}を参照)。手順を完了できない場合、それは不正な処理として巻き戻される。
+
'''[[呪文]]を唱える'''とは、やがて[[解決]]されてその[[効果]]が発生するよう、その呪文を現在ある場所から[[スタック]]に置き、[[コスト]]を[[支払う]]ことを意味する。呪文を唱えるためには、以下の一連の手順を踏む必要がある。手順はおおまかに'''呪文の提示'''(1-5)と'''コストの支払い'''(6-8)にわかれる。手順を完了できない場合、それは不正な処理として[[巻き戻し|巻き戻される]]。
  
#呪文を唱えることを宣言し、[[カード]]を元ある領域からスタックの一番上に移動する。
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#呪文を唱えることを宣言し、[[カード]]を元ある[[領域]]からスタックの一番上に乗せる。
#その呪文が[[モード]]を持つ場合、そのモードの選択を宣言する。
+
#[[モード]][[代替コスト]]や[[追加コスト]][[マナ・コスト]]に[[X]]の値など、その呪文を唱える際に必要な選択を宣言する。
#その呪文が[[代替コスト]]や[[追加コスト]]などを持つ場合、どれを支払うのかを宣言する。[[マナ・コスト]]に[[X]]を含んでいるなど可変のコストを持つ場合、その値を宣言する。[[混成マナ・シンボル]]や[[ファイレクシア・マナ|ファイレクシア・マナ・シンボル]]を持つ場合、どのように支払うかを宣言する。
+
 
#[[対象]]の数を宣言したのち、対象を宣言する。
 
#[[対象]]の数を宣言したのち、対象を宣言する。
#*対象への[[割り振る|割り振り]]がある場合は、それをどう割り振るかを宣言する。
+
#対象への[[割り振る|割り振り]]がある場合は、それをどう割り振るかを宣言する。
 +
#ここまでの宣言や選択を考慮し、呪文が適正に唱えられるかどうか判定する。不正であった場合は唱えることを宣言する直前まで巻き戻される。
 
#[[総コスト]]が決定される。これ以降、総コストは固定される。
 
#[[総コスト]]が決定される。これ以降、総コストは固定される。
#*総コストに[[マナ]]の支払いが含まれる場合、[[マナ能力]]を起動する機会を得る。
+
#総コストに[[マナ]]の支払いが含まれる場合、[[マナ能力]]を起動する機会を得る。
 
#すべてのコストを好きな順で支払う。
 
#すべてのコストを好きな順で支払う。
  
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==解説==
 
==解説==
[[基本セット2010]]で制定されたキーワード処理であり、以前([[第6版]]から)は、[[土地]][[プレイ]][[起動型能力]][[起動]]を含めてすべて「プレイ」と呼んでいた。
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===1.呪文をスタックに置く===
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呪文を唱えることを提示する場合、プレイヤーはまずそのカード(あるいはそのカードのコピー)を元の領域からスタックへと動かす。それはスタックの一番上にあるオブジェクトとなる。プレイヤーは、ルールや効果によって唱えることが認められていない限り、呪文を唱え始めることはできない。通常、いつ、どこから呪文を唱えられるかは[[カード・タイプ]]ごとにルールによって許可されているが、ルールや効果によってそれが拡張されることがある([[#唱えてもよい]])。あるいはルールや効果によって呪文を唱えることが制限されることもある([[#呪文を唱えることの制限]])。[[分割カード]][[当事者カード]]など唱える際に特性を選択する必要がある場合、それはカードをスタックに移動させる前に選択する([[#代替の特性があるカードの扱い]])。
  
Castという概念は、[[アルファ]]から存在したものの、第6版でプレイに統合されたため、長年の間[[廃語]]となっていた。なお、その時の日本語訳は「'''かける'''」であった。
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*[[インスタント]]は、[[優先権]]を持っていれば手札から唱えることができる。
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*[[ソーサリー]]、[[クリーチャー]]、[[アーティファクト]]、[[エンチャント]]、[[プレインズウォーカー]]、[[バトル]]は、優先権を持っており、自分のメイン・フェイズで、スタックが空の間に手札から唱えることができる。
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*[[土地]]は他の[[カード・タイプ]]を持っていても、呪文として唱えることはできない({{CR|300.2a}})。
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**例:[[ドライアドの東屋/Dryad Arbor]]は[[マナ・コストを支払うことなく唱える]]効果でも唱えることはできない。
  
===ルール===
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===2.呪文の選択を行う===
*呪文を唱える一連の手順の間に[[優先権]]は発生せず、どのプレイヤーも呪文を唱えたり能力を起動したりすることはできない。ただし、マナ能力はコストを支払う前にのみ起動できる。
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[[対象]]と[[割り振り]]以外の、呪文を唱えるときに行う選択を行う。逆にここに書かれていない項目は、すべて解決時に行う選択である。
**例:[[爆片破/Shrapnel Blast]]のコストとして[[アーティファクト]][[生け贄に捧げる|生け贄に捧げた]]とする。その間、相手には(自分にも)優先権は発生しないので、「[[対応して]]そのアーティファクトを[[破壊]]し、呪文を無効化する」といった[[プレイング]]はできない。
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*[[モード]]を持つ呪文の場合、プレイヤーはモードの選択を行う。
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*プレイヤーがその呪文に他のカードを[[連繋]]したい場合、そのカードを手札から公開する。
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*そのカードが[[バイバック]]や[[キッカー]]といった選択式の[[追加コスト]]や、[[フラッシュバック]]や[[マッドネス]]など[[代替コスト]]を持っている場合、プレイヤーはそのコストのうちどれを払うかを宣言する({{CR|601.2f}})。単一の呪文に対し、複数の代替法で唱えたり、あるいは代替コストを支払ったりすることはできない。
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*マナ・コストに含まれる([[X]])など、その呪文が、唱える間に支払う可変のコストを持つ場合、プレイヤーはその値を宣言する。その数字が、そのプレイヤーが後でその呪文の宣言中あるいは解決中に行う選択によってその呪文の文章中で定義されている場合、プレイヤーはその選択をこの時点で行う。
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*その呪文を唱える間に支払うコストに[[混成マナ・シンボル]]が含まれている場合、プレイヤーは混成でないマナでどう支払うかを宣言する。
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*その呪文を唱える間に支払うコストに[[ファイレクシア・マナ]]が含まれている場合、プレイヤーはそれらの各シンボルごとに2点のライフを支払うかその色のマナを支払うかを宣言する。
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これらの宣言は順番は決まっているものの、後の選択次第で前の選択肢が増えるなら適用してもよいなど例外があるのでそこまで気にする必要は無い({{CR|601.4}})。
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*[[豊穣の碑文/Inscription of Abundance]]は、キッカーとモードを持つ呪文で、「以下から1つを選ぶ。この呪文がキッカーされていたなら、代わりに以下から望む数だけ選ぶ。」と書かれている。この呪文で選んだモードを宣言するとき、キッカー・コストの支払いの選択は宣言の手順上それよりも後であるが、コントローラーは望む数のモードを選び、後でキッカー・コストを支払うことを選択することができる。
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*[[道具箱、ヘンジー・トーリ/Henzie "Toolbox" Torre]]は、「[[マナ総量]]が4以上でありあなたが唱えるすべてのクリーチャー呪文は[[奇襲]]を持つ。奇襲コストはそれのマナ・コストに等しい。」という能力を持つ。[[クラキリン/Krakilin]]は[[マナ・コスト]]が(X)(緑)(緑)の呪文で、代替コストの選択時点ではマナ総量2の呪文であるが、Xを2以上にするならマナ総量が4以上になるので、奇襲の代替コストを支払うことを選択してもよい。
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===3.対象を選ぶ===
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プレイヤーは、その呪文の求める[[対象]]それぞれについて、適正な[[プレイヤー]]や[[オブジェクト]]を選んで宣言する。詳しいルールは[[対象]]のページも参照のこと。
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単に「1つを対象とする。」などと性質が書かれてない場合、その適正な対象は[[プレイヤー]]か[[クリーチャー]]か[[プレインズウォーカー]]か[[バトル]]である([[任意の対象]])。
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「クリーチャー最大2体を対象とする。」など呪文が可変の対象を取っていた場合、プレイヤーはその数を宣言し対象を選ぶ。0を選ぶのも適正である。
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「クリーチャー2体を対象とする。」など同じ「対象/Target」の語で示される中で同じ対象を複数回選ぶことはできない。「クリーチャー1体を対象とし、クリーチャー1体を対象とする。」などと書かれている場合は、同じクリーチャーを対象に選んでもよい。
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スタック上の呪文は、それ自身を対象に選ぶことはできない。
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対象として適正であれば、[[解決]]時に[[効果]]が発揮されないとしても対象として選ぶことができる。
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*例:「クリーチャー1体を対象とし、それをタップする。」という効果を持つ[[圧点/Pressure Point]]を既にタップ状態のクリーチャーに唱えてもよいし、「プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを2枚捨てる。」という効果を持つ[[精神腐敗/Mind Rot]]を手札が1枚以下のプレイヤーに唱えてもよい。
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===4.割り振りを選ぶ===
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呪文が対象を選び、その対象にダメージや[[カウンター (目印)|カウンター]]を[[割り振る]]場合、それをどのように割り振るのか選ぶ。対象に選ばれたプレイヤーやオブジェクトそれぞれが最低限それを1つは受けるように、量と分割の仕方を選ぶ。
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*割り振るダメージやカウンターよりも多く対象の数を選んでいた場合などは、適正に選べるよう処理を巻き戻すこと。
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===5.呪文の提示===
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ゲームは提示された呪文が適正に唱えられるかどうかを見る。提示された呪文が不正だった場合、ゲームはその呪文を唱えることが提示される直前の瞬間に戻る。
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具体的にはある方法で唱えるなら必要な追加コストや代替コストを支払わないことを選んだり、特定の性質の呪文を唱えてもよい効果を利用し、唱える際の選択でその特定の性質でなくなったりする場合がある。
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*[[総くずれ/Rout]]は「あなたが総くずれを唱えるためにさらに(2)を支払うなら、あなたは総くずれを、瞬速を持っているかのように唱えてもよい。」を持つ。あなたは[[インスタント・タイミング]]で総くずれを唱え始めたが、追加コストを支払うことを選ばなかった。その呪文の提示は不正となる。
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*[[夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den]]は「あなたの各ターンの間、あなたはあなたの墓地から[[マナ総量]]が2以下の[[パーマネント呪文]]を1つ唱えてもよい。」という能力を持つ。あなたはこの[[効果]]でマナ・コストが(X)の[[石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpent]]を墓地から唱えることを宣言した。唱え始める時点では石とぐろの海蛇のマナ総量は0なので適正だが、Xを3以上に指定すると「マナ総量が2以下のパーマネント呪文」ではなくなるため、その呪文の提示は不正となる。
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この段階で適正な呪文だと判断されたなら、その呪文のコストを決定して支払う間や、呪文や唱えられたあとに、ルールや効果がその呪文を唱えることを不正なものにしても関係ない。({{CR|601.5}})。
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*[[クルフィックスの預言者/Prophet of Kruphix]]は「あなたはクリーチャー呪文を、それが瞬速を持っているかのように唱えてもよい。」という能力を持つ。あなたはインスタント・タイミングでクリーチャー呪文を唱え始め、呪文の提示が終わった後、[[#7.マナ能力の起動]]で[[アシュノッドの供犠台/Ashnod's Altar]]でクルフィックスの預言者を[[生け贄に捧げ]]てしまった。しかし、そのクリーチャー呪文が不正となることはない。
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===6.総コストの決定===
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プレイヤーはその呪文の[[総コスト]]を決定する。通常は総コスト=[[マナ・コスト]]である。[[追加コスト]]や[[代替コスト]]を持つ呪文や、支払うべきコストを増減させたり、代替コストを使えるようにする効果によって、総コストは変化する。
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総コストは
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#マナ・コスト、あるいは[[#2.呪文の選択を行う|#2]]で決めた代替コストに、すべての追加コストを加えたもの
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#コストを増加する効果([[久遠への消失/Vanish into Eternity]]や[[コスト増加カード]])を適用する。
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#コストを減少する効果([[原初の飢え、ガルタ/Ghalta, Primal Hunger]]や[[コスト減少カード]])を適用する。
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#総コストを直接変更する効果([[三なる宝球/Trinisphere]])を適用する。
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コストの増減を計算した結果として総コストのマナ部分がなくなった場合、それは(0)として扱う。(0)未満に減少することはない。この計算後、総コストを直接変更する効果が適用され、総コストが「固定」される。この後で効果が総コストを変更しようとしても、何の効果もない。
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*総コストがどうであろうと、[[マナ総量]]はその呪文のマナ・コストを数値化したものである事に変わりは無い。
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===7.マナ能力の起動===
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総コストの中にマナの支払いが含まれる場合、そのプレイヤーは[[マナ能力]]を[[起動]]する機会を得る。
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*通常、マナ能力はスタックを使用せず、[[優先権]]が移動しないため、呪文を唱える手順に入る前に予めマナを出しておいても手順的に問題は無い。ただ、前述のように[[クルフィックスの預言者/Prophet of Kruphix]]のように呪文を唱えるタイミングを拡張するカードや、[[雷景学院の使い魔/Thunderscape Familiar]]のようなコスト減少カードの適用を受けた上で、ここの手順で[[アシュノッドの供犠台/Ashnod's Altar]]でマナ能力のコストとして使用してしまうというテクニックがある。
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*[[彩色の宝球/Chromatic Sphere]]や[[ミリキン人形/Millikin]]、[[帰還した探検者、セルヴァラ/Selvala, Explorer Returned]]など、ここで使うとややこしいことになるマナ能力を持つカードもある。
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===8.コストの支払い===
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プレイヤーはその総コストを支払う。まず、無作為の要素やライブラリーから公開領域にオブジェクトを動かすことを含まないすべてのコストを任意の順で支払う。その後、残りのすべてのコストを任意の順で支払う。一部分だけ支払うことは許されない。それらのうち支払うことのできないものを支払うことは選べない。
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*「無作為の要素やライブラリーから公開領域にオブジェクトを動かすことを含むコスト」とは、どちらかといえば[[起動型能力]]のためのルールで[[弧炎撒き/Arc-Slogger]]や[[クレイ・ゴーレム/Clay Golem]]のコストを指す。
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コストの支払いの順番は適正にプレイしているなら通常は気にする必要は無いが、[[召集]]などコストの支払い方を変える能力を呪文に与える[[常在型能力]]を持つ[[パーマネント]]が絡むと問題がある場合があるので注意。
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*例:マナ・コストが(1)(黒)でクリーチャー1体を生け贄に捧げる追加コストを持つ[[祭壇の刈り取り/Altar's Reap]]を唱える。ここで、あなたの黒の呪文を唱えるためのコストを(1)減らす効果を持つ[[雷景学院の使い魔/Thunderscape Familiar]]をこのコストとして生け贄に捧げた場合、呪文の総コストは[[#6.総コストの決定|#6]]の時点で「固定」されているので、祭壇の刈り取りのコストは(1)(黒)になることはなく、(黒)となったままである。
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*例:同様に祭壇の刈り取りを唱える。「あなたが唱えてクリーチャーでないすべての呪文は召集を持つ。」効果を持つ[[セゴビアの海暴君、カエトス/Caetus, Sea Tyrant of Segovia]]をこの追加コストとして生け贄に捧げた場合、祭壇の刈り取りは召集を持たないので(1)(黒)をクリーチャーの[[タップ]]で支払うことはできない。先にマナのコストをクリーチャーのタップで支払ってから、カエトスを生け贄に捧げることは可能である。
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===9.唱える手順の完了===
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[[#1.呪文をスタックに置く|#1]]から[[#8.コストの支払い|#8]]で示された手順が完了したら、その呪文が唱えられるに際してその呪文の特性を変更する効果が適用される。その後、その呪文は唱えられたことになる。呪文が唱えられたこと、あるいはスタックに積まれたことによる誘発型能力は、この時点で誘発する。その呪文のコントローラーがそれを唱える前に優先権を持っていた場合、そのプレイヤーは優先権を得る。
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*「その呪文が唱えられるに際してその呪文の特性を変更する効果」に該当する効果は、[[大渦を操る者、イドリス/Yidris, Maelstrom Wielder]]の[[続唱]]を与える[[継続的効果]]のみ。
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==唱えてもよい==
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[[ルール]]や[[効果]]が「唱えてもよい(プレイしてもよい)」と指示している場合、手札以外の領域からや、通常の[[カード・タイプ]]毎に決められたルール以外のタイミングで呪文を唱えることができる。
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*[[キーワード能力]]の[[フラッシュバック]]は、カードを手札からではなく[[墓地]]から唱えることを許可する。
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*[[キーワード能力]]の[[瞬速]]を持つカードは、インスタントでなくても優先権を持っていれば唱えることができる。
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===唱えるタイミング===
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[[常在型能力]]による「あなたは([[領域]])から呪文を唱えてもよい」という[[継続的効果]]や、[[呪文]]や[[能力]]の解決時に発生する効果で「このターン、それらのカードを唱えてもよい」「このカードが追放されている限り唱えてもよい」など期間が設けられているなら、通常その呪文を唱えられるタイミングのときにのみその呪文を唱えることができる。つまり、インスタントまたは瞬速を持つ呪文ならあなたが優先権を持っているときに唱えることができ、そうでない呪文なら、あなたが優先権を持っていてあなたのメイン・フェイズの間でスタックが空であるときにのみ唱えられる。
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*[[未来予知/Future Sight]]は「あなたは、あなたのライブラリーの一番上から土地をプレイしても呪文を唱えてもよい。」という能力を持つ。ライブラリーの一番上がクリーチャー・カードであったなら、あなたは通常クリーチャー・呪文を唱えられるときにそれを唱えられる。
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*[[無謀なる衝動/Reckless Impulse]]は「あなたのライブラリーの一番上にあるカード2枚を追放する。次のあなたのターンの終了時まで、あなたはそれらのカードをプレイしてもよい。」という[[効果]]を持つ。あなたは無謀なる衝動の解決時に追放されたカードを唱えるのではなく、解決された後、通常と同じタイミングで追放領域からそれらを唱えられる。
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呪文や能力の[[解決]]の中で唱える期間が指定されず唱えてもよいと指示されたなら、優先権の有無や[[フェイズ]]に関係なく、その呪文や能力の解決の一環として呪文を唱えることができる({{CR|608.2g}})。唱えた呪文は即解決されるわけではなく、現在解決中の呪文や能力の解決が終了した後に通常通りプレイヤーの対応のやり取りを経て解決に入ることになる。詳細については[[解決中に呪文を唱える]]の項を参照。
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*キーワード能力の[[続唱]]は、その能力の解決中に呪文を唱えることを指示する[[誘発型能力]]である。これにより呪文を唱えるなら、カード・タイプ毎の唱えるタイミングとは関係なく唱えてもよい。自分のターンのメイン・フェイズ以外であっても、ソーサリーやクリーチャーなどを唱えることもできる。
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===呪文を唱えることの制限===
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[[マジックの黄金律]]により、「できない」は「できる」に勝つ。ある効果が呪文を唱えることを「できない」としているなら、呪文を唱える事を許可するルールや効果があっても唱えることは出来ない。ただし、特定の性質を持つ呪文を唱えることが効果によって禁止されている場合でも、その呪文を示している間にその性質を変える選択ができ、それにより唱えることが禁止されなくなるなら、唱え始めることができる({{CR|601.3a}})。
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*例:[[時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Raveler]]は「各対戦相手はそれぞれ、自分がソーサリーを唱えられるときにのみ呪文を唱えられる。」という能力を持つ。対戦相手は、カードが瞬速を持っていてもそれをソーサリーを唱えられる時にしか唱えることができない。また[[雷電支配/Electrodominance]]などによって[[解決中に呪文を唱える]]よう許可されても、それを唱えることはできない。
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*例:[[虚空の選別者/Void Winnower]]は「あなたの対戦相手はマナ総量が偶数の呪文を唱えられない。」という能力を持つ。その場合でも、対戦相手は[[マナ・コスト]]が(X)(赤)(赤)であり[[マナ総量]]が2である[[とどろく雷鳴/Rolling Thunder]]を唱え始めることができる。これは[[X]]の値の選択によっては、その呪文のマナ総量が奇数に変わることがありうるからである。マナ総量が偶数になるような選択をしたなら、不正な呪文の提示として巻き戻される。
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===「瞬速を持っているかのように」の扱い===
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カードによっては、その呪文を提示しなければ瞬速を持っているの[[かのように]]唱える事が出来るか分からないものがある。それらは例外として唱え始めることができる。呪文を提示し終えた後に適正な選択をしなかったら、不正な呪文として巻き戻される。
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*特定の性質を持つ呪文を[[瞬速]]を持つかのように唱えることが効果によって認められている場合、呪文を示している間にその呪文の性質を変える選択ができ、それにより効果が適用されるようになるなら、その呪文を瞬速を持つかのように唱え始めることができる({{CR|601.3b}})。
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**例:[[機を見た護法/Timely Ward]]は「[[統率者]]を対象とするなら、瞬速を持っているかのように唱えてもよい。」という能力を持つため、統率者であるクリーチャーを対象にすることで瞬速を持つかのように唱え始めることができる。
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***このルールは元々[[授与]][[シガルダの助け/Sigarda's Aid]]との相互作用のために制定されたが、授与のルール変更によって授与は該当しなくなった。総合ルールの例示は古いルールのままなので注意。
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*プレイヤーが[[代替コスト]]や[[追加コスト]]を支払った場合に瞬速を持つかのように呪文を唱えることが効果によって認められている場合、瞬速を持つかのように唱え始めることができる({{CR|601.3c}})。
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**例:[[総くずれ/Rout]]は、瞬速を持つかのように唱え始めることができる。これは、総くずれの効果が、追加コストを支払えば瞬速を持つかのように唱えることを認めているからである。
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*呪文が特定の条件を満たした時にのみ瞬速を持つ場合、その条件を満たしているなら瞬速を持つかのように唱え始めることができる({{CR|601.3d}})。
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**例:[[粉砕する潮流/Crashing Tide]]は、[[マーフォーク]]をコントロールしているなら瞬速を持つかのように唱え始めることができる。
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===[[代替の特性]]があるカードの扱い===
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カードの中には、代替の特性(別の特性)/Alternative characteristicで唱えることができるものがある。具体的には、[[分割カード]]、[[変異]]能力を持つカード、[[授与]]を持つカード、一部の[[変身する両面カード]]([[降霊]]や[[見た目以上のもの]]、[[包囲戦]])、[[モードを持つ両面カード]]、[[当事者カード]]、[[試作カード]]、[[変装]]を持つカードがある。
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ルールや効果が「[特性]の呪文を唱えてもよい」と書いてある場合([[イコリア:巨獣の棲処]]より前は「[特性]のカードを唱えてもよい」と書かれているため最新[[オラクル]]を確認すること)、代替の特性を用いて呪文を唱えることが適正かどうかは、本来の特性では無く代替の特性に置き換えて判断される({{CR|601.3e}})。
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*例:[[ガラクの大軍/Garruk's Horde]]は「あなたのライブラリーの一番上からクリーチャー呪文を唱えてもよい。」という能力を持つ。あなたの[[ライブラリーの一番上]]のカードが[[変異]]を持っていてクリーチャーでないカードである場合、あなたは変異能力を用いてクリーチャーとしてそれを唱えてもよい({{CR|708.4}})。
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*例:[[イゼットの模範、メーレク/Melek, Izzet Paragon]]は「あなたは、あなたのライブラリーの一番上からインスタント呪文とソーサリー呪文を唱えてもよい。」という能力を持つ。あなたのライブラリーの一番上にあるカードが[[当事者カード]]の[[巨人落とし/Giant Killer]]だった場合、あなたはそれを巨人落としとして唱えることはできないが、インスタントである[[切り落とし/Chop Down]]として唱えることはできる。
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「カードが[特性]であるなら唱えてもよい」という書き方は唱える選択以前の、そのカードの現在の特性から判断されるため上記のルールとは関係ないため注意。逆に唱える際の選択でその特性以外の代替の特性で唱える事は可能。
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*例:[[碑出告と開璃/Hidetsugu and Kairi]]は「それがインスタントやソーサリーであるカードなら、それをマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。」という効果を持つ。これによって[[パーマネント・カード]]である当事者カードや、第1面がパーマネントであるモードを持つ両面カードを唱えることは、代替の特性としてインスタントやソーサリーにする事があってもできない。
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*例:[[勝負服纏い、チャンドラ/Chandra, Dressed to Kill]]は「それが赤であるなら、このターン、あなたはそれを唱えてもよい。」という効果を持つ。そのカードがモードを持つ両面カードの[[火花の学者、ローアン/Rowan, Scholar of Sparks]]であるなら、それを青の[[霜の学者、ウィル/Will, Scholar of Frost]]で唱えてもよい。
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そのオブジェクトが代替の特性を持つようになった場合に適用される継続的効果も考慮される。これにより直感的には不可能であるかのような挙動も発生する。また、これらに関しては[[MTGアリーナ]]で相互作用がサポートされていなかったり、不明瞭な場合が多い。
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*例:[[溺神の信奉者、リーア/Lier, Disciple of the Drowned]]は「あなたの墓地にありインスタントやソーサリーであるすべてのカードはフラッシュバックを持つ。そのフラッシュバック・コストは、そのカードのマナ・コストに等しい。」を持つ。あなたの[[墓地]]に巨人落としがある場合、あなたはそれを巨人落としとして唱えることはできないが、切り落としとして唱える場合はリーアの継続的効果により[[フラッシュバック]]を持つので、唱えることができる。
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**MTGアリーナでは溺神の信奉者、リーア登場の[[2021年]]9月では不可能だったが、[[2022年]]3月7日に実装。
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*例:[[至高の者、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Supreme]]は「あなたの墓地にありちょうど2色でありインスタントやソーサリーであるすべてのカードは[[再活]]を持つ。」という能力を持つ。あなたの墓地に[[火+氷/Fire+Ice]]がある場合、それは唱える際に[[単色]]になるためニヴ=ミゼットの継続的効果を適用することができないため[[再活]]を持たず、唱えることはできない。墓地に[[罪+罰/Crime+Punishment]]がある場合、それは唱える際にちょうど2色になるためニヴ=ミゼットの継続的効果を適用でき、再活を持つ呪文として唱えることができる。
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**MTGアリーナでは[[2024年]]2月時点ではこの相互作用はサポートされていない。各半分が[[単色]]の2色の分割カードは双方とも再活で唱えることができ、各半分が2色の3色の分割カードは再活で唱えることができない。
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===その他===
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[[追放]]領域にある[[裏向き]]のカードの中から特定の性質を持つ呪文を唱えることを許可する効果が存在する。プレイヤーは、追放領域にあるその裏向きのカードを見ることができる場合にのみ、その種の呪文を唱え始めることができる({{CR|601.3f}})。
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*例:[[情け無用のケイヤ/Kaya the Inexorable]]は「あなたのアップキープの開始時に、あなたは、あなたの手札からかあなたの墓地からか追放領域にありあなたがオーナーであるカードの中から、伝説の呪文1つを、そのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。」という[[紋章]]を与える。あなたは[[秘匿]]や[[豪華の王、ゴンティ/Gonti, Lord of Luxury]]によって追放しているカードを(それが伝説であるなら)唱えてもよい。[[ボーマットの急使/Bomat Courier]]のように[[表面]]を見ることができない状態で追放されている裏向きのカードは、例え何らかの理由でそれが伝説である事を知っていたとしても唱えることはできない。
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==その他のルール==
 
*必要なコストが支払える限り、1[[ターン]]に唱えることができる呪文の数に[[ルール]]上の制限はない。
 
*必要なコストが支払える限り、1[[ターン]]に唱えることができる呪文の数に[[ルール]]上の制限はない。
*たとえその呪文の解決時に効果が発揮されない事があっても、適切な対象を取りコストを支払えるなら呪文を唱える事は適正なプレイである。
+
*呪文を唱える一連の手順の間に[[優先権]]は発生せず、どのプレイヤーも呪文を唱えたり能力を起動したりすることはできない。ただし、マナ能力に限り[[#定義]]の手順6で唱えるプレイヤーのみが起動できる。
**「クリーチャー1体を対象とし、それをタップする。」という効果を持つ[[圧点/Pressure Point]]を既にタップ状態のクリーチャーに唱えてもよいし、「対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを2枚捨てる。」という効果を持つ[[詭計/Deception]]を手札が1枚以下の対戦相手に唱えてもよい。
+
**例:[[爆片破/Shrapnel Blast]]を唱えることを宣言し、そのコストとして[[アーティファクト]]を[[生け贄に捧げる|生け贄に捧げた]]とする。その間、相手には(自分にも)優先権は発生しないので、「[[対応して]]そのアーティファクトを[[破壊]]し、呪文を無効化する」といった[[プレイング]]はできない。
*CR601.2の手順を踏まずにスタックや[[戦場]]に置かれたものは「唱えられた」とは言わない。
+
*{{CR|601.2}}の手順を踏まずにスタックや[[戦場]]に置かれたものは「唱えられた」とは言わない。
**例:[[浄火明神/Myojin of Cleansing Fire]]は、[[手札]]から唱えられることで機能する[[常在型能力]]を持つ。これを[[歯と爪/Tooth and Nail]]などの効果で手札から戦場に直接出した場合は、「唱えられた」とはみなされない。結果、能力は機能せず、[[カウンター (目印)|カウンター]]は置かれない。
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**例:[[浄火明神/Myojin of Cleansing Fire]]は、[[手札]]から唱えられることで機能する[[常在型能力]]を持つ。これを[[歯と爪/Tooth and Nail]]などの効果で手札から戦場に直接出した場合は、「唱えられた」とはみなされない。結果、能力は機能せず、[[神性カウンター]]は置かれない。
 
**例:[[ミラーリ/Mirari]]のように、呪文の[[コピー]]を直接スタックに置く効果がある。この場合は、呪文を唱えられたとはみなされない。[[ストーム]]能力がこれを数えることも無い。
 
**例:[[ミラーリ/Mirari]]のように、呪文の[[コピー]]を直接スタックに置く効果がある。この場合は、呪文を唱えられたとはみなされない。[[ストーム]]能力がこれを数えることも無い。
 
*「カードを唱える」は、そのカードを呪文として唱えることである。
 
*「カードを唱える」は、そのカードを呪文として唱えることである。
*呪文を唱えることを許可したり制限したりする効果の影響は、唱える宣言をする際(上記定義の1の始め)、スタックに移動させる前の場所でチェックされる。
 
**[[分割カード]]を[[融合]]せず唱える場合は、スタックに置く前に唱える側を決定する。呪文を唱えることを許可したり制限したりする効果の影響は、この時決定した側の特性のみをチェックする。
 
*通常、[[インスタント]]はプレイヤーが[[優先権]]を持っている時に唱える事ができ、[[ソーサリー]]、[[クリーチャー]]、[[アーティファクト]]、[[エンチャント (カード・タイプ)|エンチャント]]、[[プレインズウォーカー (カード・タイプ)|プレインズウォーカー]]はそのプレイヤーの[[メイン・フェイズ]]中でスタックが空の間に優先権を持っている時に唱える事ができる。
 
**一部の呪文や能力はその解決時に呪文を唱えさせる事を許可する。その場合、プレイヤーは上記の制限を無視して呪文を唱える事ができる。
 
  
===その他===
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==ルールの変遷==
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ある呪文が唱え始めることができるかの判定について、何度かルールが変更されている。
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*[[基本セット2010]]で制定された当時は「601.5. プレイヤーは、唱えることが禁止されている呪文を唱え始めることはできない。」によって唱え始める前(上記定義の1の前)にのみチェックしていた。[[裏向き]]の呪文のみ例外がかけられていた。
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*[[テーロス]]で唱えている間にカード・タイプが変りうる[[授与]]が登場したことによりその扱いに問題が生じた。そのため[[2015年]]7月の総合ルール更新で旧601.5を廃止し、呪文を唱えることが適正かどうかを現在の[[#定義]]の手順5のみでチェックするように変更された<ref>[https://web.archive.org/web/20211205114312/https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/magic-origins-update-bulletin-comprehensive-rules-changes-2015-07-16 Magic Origins Update Bulletin—Comprehensive Rules Change(Internet Archive)]([[Daily MTG]] 2015年7月16日)</ref>。
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*だがこれにより、例えば「対戦相手のライブラリーの上から4枚目を唱える宣言をしてスタックに置き内容を確認する(その後、唱えることが不可能なので巻き戻される)」といった行動も許容することになってしまった。そこで、[[2015年]]10月に、プレイヤーは適正な方法に従って呪文を唱え始めなければならないが「その呪文を示している間の情報に基づいて唱えられなくする効果」は無視できる(それは手順5の段階でのみチェックされる)というルールに変更された<ref>[https://web.archive.org/web/20220521134303/https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/battle-zendikar-update-bulletin%E2%80%94comprehensive-rules-changes-2015-10-09 Battle for Zendikar Update Bulletin—Comprehensive Rules Changes(Internet Archive)]([[Daily MTG]] 2015年10月9日)</ref>。
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*[[追加コスト]]を支払うことで瞬速を持つかのように唱えられる呪文や、[[シガルダの助け/Sigarda's Aid]]の下で授与を適用して唱える場合など、実際に唱えられるかどうかは唱え始めた後に適正になる場合の矛盾を解消するために[[2016年]]7月に現在の{{CR|601.3}}が追加された<ref>[https://web.archive.org/web/20220122051926/https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/eldritch-moon-update-bulletin-comprehensive-rules-changes-2016-07-28 Eldritch Moon Update Bulletin—Comprehensive Rules Changes(Internet Archive)]([[Daily MTG]] 2016年7月28日)</ref>。
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*[[イクサランの束縛/Ixalan's Binding]]と[[不死身、スクイー/Squee, the Immortal]]が[[スタンダード]]で同居したことで、イクサランの束縛と追放領域から唱えられるカードとの相互作用とその裁定が話題になった。イクサランの束縛でスクイーを追放しても、イクサランの束縛の効果は「その呪文を示している間の情報に基づいて唱えられなくする効果」なので唱え始めることができ、スクイーが追放領域からスタックに移動するため手順5のチェックでイクサランの束縛の唱えられなくする能力の適用外になる。これは奇妙で直感に反し、ルール的に意図したものでも無かったため、[[2018年]]6月に改めて「ルールや効果によって唱えることが認められていない限り、呪文を唱え始めることはできない。」とした上で601.3でそれを回避できる条件を明記するルールとなり、スクイーはこの例外に当てはまらないため唱えられなくなった<ref>[https://web.archive.org/web/20180706153413/https://magic.wizards.com/en/articles/archive/news/core-set-2019-comprehensive-rules-changes-2018-07-06 Core Set 2019 Comprehensive Rules Changes(Internet Archive)]([[Daily MTG]] 2018年7月6日) - 特殊セット発売時の総合ルール更新は記事にされないため[[基本セット2019]]発売に合わせた発表になっている</ref>。
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==その他==
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*[[基本セット2010]]で制定されたキーワード処理。Castという概念は、[[リミテッド・エディション]]から存在したものの、[[第6版]]で[[土地]]と同じく[[プレイ]]に統合されたため、長年の間[[廃語]]となっていた。なお、その時の日本語訳は「'''かける'''」であった。第6版ルールでは土地のプレイ、[[起動型能力]]の[[起動]]を含めてすべて「プレイ」と呼んでいた。
 
*スタックに乗る時点を勘違いしやすいため、注意が必要。
 
*スタックに乗る時点を勘違いしやすいため、注意が必要。
 
*[[ソーサリー]]呪文または[[インスタント]]呪文を唱えることを、俗に「(呪文を)'''撃つ'''」とも表現する。
 
*[[ソーサリー]]呪文または[[インスタント]]呪文を唱えることを、俗に「(呪文を)'''撃つ'''」とも表現する。
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**[[空撃ち]]や[[生撃ち]]といった俗語はこれに由来する表現である。
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==脚注==
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<references />
  
 
==参考==
 
==参考==
 
*[[プレイ]]
 
*[[プレイ]]
 +
*[[マナ・コストを支払うことなく唱える]]
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*[[解決中に呪文を唱える]]
 
*[[かけるのに成功したとき]]([[廃語]])
 
*[[かけるのに成功したとき]]([[廃語]])
 
*[[キーワード処理]]
 
*[[キーワード処理]]

2024年7月6日 (土) 21:04時点における最新版

唱える/Castは、キーワード処理の1つ。呪文を使うときに行われる処理である。

目次

[編集] 定義

呪文を唱えるとは、やがて解決されてその効果が発生するよう、その呪文を現在ある場所からスタックに置き、コスト支払うことを意味する。呪文を唱えるためには、以下の一連の手順を踏む必要がある。手順はおおまかに呪文の提示(1-5)とコストの支払い(6-8)にわかれる。手順を完了できない場合、それは不正な処理として巻き戻される

  1. 呪文を唱えることを宣言し、カードを元ある領域からスタックの一番上に乗せる。
  2. モード代替コスト追加コストマナ・コストXの値など、その呪文を唱える際に必要な選択を宣言する。
  3. 対象の数を宣言したのち、対象を宣言する。
  4. 対象への割り振りがある場合は、それをどう割り振るかを宣言する。
  5. ここまでの宣言や選択を考慮し、呪文が適正に唱えられるかどうか判定する。不正であった場合は唱えることを宣言する直前まで巻き戻される。
  6. 総コストが決定される。これ以降、総コストは固定される。
  7. 総コストにマナの支払いが含まれる場合、マナ能力を起動する機会を得る。
  8. すべてのコストを好きな順で支払う。

これらの手順を完了することで、呪文は唱えられたことになる。この条件で誘発する能力はその時点で誘発する。

[編集] 解説

[編集] 1.呪文をスタックに置く

呪文を唱えることを提示する場合、プレイヤーはまずそのカード(あるいはそのカードのコピー)を元の領域からスタックへと動かす。それはスタックの一番上にあるオブジェクトとなる。プレイヤーは、ルールや効果によって唱えることが認められていない限り、呪文を唱え始めることはできない。通常、いつ、どこから呪文を唱えられるかはカード・タイプごとにルールによって許可されているが、ルールや効果によってそれが拡張されることがある(#唱えてもよい)。あるいはルールや効果によって呪文を唱えることが制限されることもある(#呪文を唱えることの制限)。分割カード当事者カードなど唱える際に特性を選択する必要がある場合、それはカードをスタックに移動させる前に選択する(#代替の特性があるカードの扱い)。

[編集] 2.呪文の選択を行う

対象割り振り以外の、呪文を唱えるときに行う選択を行う。逆にここに書かれていない項目は、すべて解決時に行う選択である。

  • モードを持つ呪文の場合、プレイヤーはモードの選択を行う。
  • プレイヤーがその呪文に他のカードを連繋したい場合、そのカードを手札から公開する。
  • そのカードがバイバックキッカーといった選択式の追加コストや、フラッシュバックマッドネスなど代替コストを持っている場合、プレイヤーはそのコストのうちどれを払うかを宣言する(CR:601.2f)。単一の呪文に対し、複数の代替法で唱えたり、あるいは代替コストを支払ったりすることはできない。
  • マナ・コストに含まれる(X)など、その呪文が、唱える間に支払う可変のコストを持つ場合、プレイヤーはその値を宣言する。その数字が、そのプレイヤーが後でその呪文の宣言中あるいは解決中に行う選択によってその呪文の文章中で定義されている場合、プレイヤーはその選択をこの時点で行う。
  • その呪文を唱える間に支払うコストに混成マナ・シンボルが含まれている場合、プレイヤーは混成でないマナでどう支払うかを宣言する。
  • その呪文を唱える間に支払うコストにファイレクシア・マナが含まれている場合、プレイヤーはそれらの各シンボルごとに2点のライフを支払うかその色のマナを支払うかを宣言する。

これらの宣言は順番は決まっているものの、後の選択次第で前の選択肢が増えるなら適用してもよいなど例外があるのでそこまで気にする必要は無い(CR:601.4)。

  • 豊穣の碑文/Inscription of Abundanceは、キッカーとモードを持つ呪文で、「以下から1つを選ぶ。この呪文がキッカーされていたなら、代わりに以下から望む数だけ選ぶ。」と書かれている。この呪文で選んだモードを宣言するとき、キッカー・コストの支払いの選択は宣言の手順上それよりも後であるが、コントローラーは望む数のモードを選び、後でキッカー・コストを支払うことを選択することができる。
  • 道具箱、ヘンジー・トーリ/Henzie "Toolbox" Torreは、「マナ総量が4以上でありあなたが唱えるすべてのクリーチャー呪文は奇襲を持つ。奇襲コストはそれのマナ・コストに等しい。」という能力を持つ。クラキリン/Krakilinマナ・コストが(X)(緑)(緑)の呪文で、代替コストの選択時点ではマナ総量2の呪文であるが、Xを2以上にするならマナ総量が4以上になるので、奇襲の代替コストを支払うことを選択してもよい。

[編集] 3.対象を選ぶ

プレイヤーは、その呪文の求める対象それぞれについて、適正なプレイヤーオブジェクトを選んで宣言する。詳しいルールは対象のページも参照のこと。

単に「1つを対象とする。」などと性質が書かれてない場合、その適正な対象はプレイヤークリーチャープレインズウォーカーバトルである(任意の対象)。

「クリーチャー最大2体を対象とする。」など呪文が可変の対象を取っていた場合、プレイヤーはその数を宣言し対象を選ぶ。0を選ぶのも適正である。

「クリーチャー2体を対象とする。」など同じ「対象/Target」の語で示される中で同じ対象を複数回選ぶことはできない。「クリーチャー1体を対象とし、クリーチャー1体を対象とする。」などと書かれている場合は、同じクリーチャーを対象に選んでもよい。

スタック上の呪文は、それ自身を対象に選ぶことはできない。

対象として適正であれば、解決時に効果が発揮されないとしても対象として選ぶことができる。

  • 例:「クリーチャー1体を対象とし、それをタップする。」という効果を持つ圧点/Pressure Pointを既にタップ状態のクリーチャーに唱えてもよいし、「プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを2枚捨てる。」という効果を持つ精神腐敗/Mind Rotを手札が1枚以下のプレイヤーに唱えてもよい。

[編集] 4.割り振りを選ぶ

呪文が対象を選び、その対象にダメージやカウンター割り振る場合、それをどのように割り振るのか選ぶ。対象に選ばれたプレイヤーやオブジェクトそれぞれが最低限それを1つは受けるように、量と分割の仕方を選ぶ。

  • 割り振るダメージやカウンターよりも多く対象の数を選んでいた場合などは、適正に選べるよう処理を巻き戻すこと。

[編集] 5.呪文の提示

ゲームは提示された呪文が適正に唱えられるかどうかを見る。提示された呪文が不正だった場合、ゲームはその呪文を唱えることが提示される直前の瞬間に戻る。

具体的にはある方法で唱えるなら必要な追加コストや代替コストを支払わないことを選んだり、特定の性質の呪文を唱えてもよい効果を利用し、唱える際の選択でその特定の性質でなくなったりする場合がある。

  • 総くずれ/Routは「あなたが総くずれを唱えるためにさらに(2)を支払うなら、あなたは総くずれを、瞬速を持っているかのように唱えてもよい。」を持つ。あなたはインスタント・タイミングで総くずれを唱え始めたが、追加コストを支払うことを選ばなかった。その呪文の提示は不正となる。
  • 夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Denは「あなたの各ターンの間、あなたはあなたの墓地からマナ総量が2以下のパーマネント呪文を1つ唱えてもよい。」という能力を持つ。あなたはこの効果でマナ・コストが(X)の石とぐろの海蛇/Stonecoil Serpentを墓地から唱えることを宣言した。唱え始める時点では石とぐろの海蛇のマナ総量は0なので適正だが、Xを3以上に指定すると「マナ総量が2以下のパーマネント呪文」ではなくなるため、その呪文の提示は不正となる。

この段階で適正な呪文だと判断されたなら、その呪文のコストを決定して支払う間や、呪文や唱えられたあとに、ルールや効果がその呪文を唱えることを不正なものにしても関係ない。(CR:601.5)。

[編集] 6.総コストの決定

プレイヤーはその呪文の総コストを決定する。通常は総コスト=マナ・コストである。追加コスト代替コストを持つ呪文や、支払うべきコストを増減させたり、代替コストを使えるようにする効果によって、総コストは変化する。

総コストは

  1. マナ・コスト、あるいは#2で決めた代替コストに、すべての追加コストを加えたもの
  2. コストを増加する効果(久遠への消失/Vanish into Eternityコスト増加カード)を適用する。
  3. コストを減少する効果(原初の飢え、ガルタ/Ghalta, Primal Hungerコスト減少カード)を適用する。
  4. 総コストを直接変更する効果(三なる宝球/Trinisphere)を適用する。

コストの増減を計算した結果として総コストのマナ部分がなくなった場合、それは(0)として扱う。(0)未満に減少することはない。この計算後、総コストを直接変更する効果が適用され、総コストが「固定」される。この後で効果が総コストを変更しようとしても、何の効果もない。

  • 総コストがどうであろうと、マナ総量はその呪文のマナ・コストを数値化したものである事に変わりは無い。

[編集] 7.マナ能力の起動

総コストの中にマナの支払いが含まれる場合、そのプレイヤーはマナ能力起動する機会を得る。

[編集] 8.コストの支払い

プレイヤーはその総コストを支払う。まず、無作為の要素やライブラリーから公開領域にオブジェクトを動かすことを含まないすべてのコストを任意の順で支払う。その後、残りのすべてのコストを任意の順で支払う。一部分だけ支払うことは許されない。それらのうち支払うことのできないものを支払うことは選べない。

コストの支払いの順番は適正にプレイしているなら通常は気にする必要は無いが、召集などコストの支払い方を変える能力を呪文に与える常在型能力を持つパーマネントが絡むと問題がある場合があるので注意。

  • 例:マナ・コストが(1)(黒)でクリーチャー1体を生け贄に捧げる追加コストを持つ祭壇の刈り取り/Altar's Reapを唱える。ここで、あなたの黒の呪文を唱えるためのコストを(1)減らす効果を持つ雷景学院の使い魔/Thunderscape Familiarをこのコストとして生け贄に捧げた場合、呪文の総コストは#6の時点で「固定」されているので、祭壇の刈り取りのコストは(1)(黒)になることはなく、(黒)となったままである。
  • 例:同様に祭壇の刈り取りを唱える。「あなたが唱えてクリーチャーでないすべての呪文は召集を持つ。」効果を持つセゴビアの海暴君、カエトス/Caetus, Sea Tyrant of Segoviaをこの追加コストとして生け贄に捧げた場合、祭壇の刈り取りは召集を持たないので(1)(黒)をクリーチャーのタップで支払うことはできない。先にマナのコストをクリーチャーのタップで支払ってから、カエトスを生け贄に捧げることは可能である。

[編集] 9.唱える手順の完了

#1から#8で示された手順が完了したら、その呪文が唱えられるに際してその呪文の特性を変更する効果が適用される。その後、その呪文は唱えられたことになる。呪文が唱えられたこと、あるいはスタックに積まれたことによる誘発型能力は、この時点で誘発する。その呪文のコントローラーがそれを唱える前に優先権を持っていた場合、そのプレイヤーは優先権を得る。

[編集] 唱えてもよい

ルール効果が「唱えてもよい(プレイしてもよい)」と指示している場合、手札以外の領域からや、通常のカード・タイプ毎に決められたルール以外のタイミングで呪文を唱えることができる。

[編集] 唱えるタイミング

常在型能力による「あなたは(領域)から呪文を唱えてもよい」という継続的効果や、呪文能力の解決時に発生する効果で「このターン、それらのカードを唱えてもよい」「このカードが追放されている限り唱えてもよい」など期間が設けられているなら、通常その呪文を唱えられるタイミングのときにのみその呪文を唱えることができる。つまり、インスタントまたは瞬速を持つ呪文ならあなたが優先権を持っているときに唱えることができ、そうでない呪文なら、あなたが優先権を持っていてあなたのメイン・フェイズの間でスタックが空であるときにのみ唱えられる。

  • 未来予知/Future Sightは「あなたは、あなたのライブラリーの一番上から土地をプレイしても呪文を唱えてもよい。」という能力を持つ。ライブラリーの一番上がクリーチャー・カードであったなら、あなたは通常クリーチャー・呪文を唱えられるときにそれを唱えられる。
  • 無謀なる衝動/Reckless Impulseは「あなたのライブラリーの一番上にあるカード2枚を追放する。次のあなたのターンの終了時まで、あなたはそれらのカードをプレイしてもよい。」という効果を持つ。あなたは無謀なる衝動の解決時に追放されたカードを唱えるのではなく、解決された後、通常と同じタイミングで追放領域からそれらを唱えられる。

呪文や能力の解決の中で唱える期間が指定されず唱えてもよいと指示されたなら、優先権の有無やフェイズに関係なく、その呪文や能力の解決の一環として呪文を唱えることができる(CR:608.2g)。唱えた呪文は即解決されるわけではなく、現在解決中の呪文や能力の解決が終了した後に通常通りプレイヤーの対応のやり取りを経て解決に入ることになる。詳細については解決中に呪文を唱えるの項を参照。

  • キーワード能力の続唱は、その能力の解決中に呪文を唱えることを指示する誘発型能力である。これにより呪文を唱えるなら、カード・タイプ毎の唱えるタイミングとは関係なく唱えてもよい。自分のターンのメイン・フェイズ以外であっても、ソーサリーやクリーチャーなどを唱えることもできる。

[編集] 呪文を唱えることの制限

マジックの黄金律により、「できない」は「できる」に勝つ。ある効果が呪文を唱えることを「できない」としているなら、呪文を唱える事を許可するルールや効果があっても唱えることは出来ない。ただし、特定の性質を持つ呪文を唱えることが効果によって禁止されている場合でも、その呪文を示している間にその性質を変える選択ができ、それにより唱えることが禁止されなくなるなら、唱え始めることができる(CR:601.3a)。

  • 例:時を解す者、テフェリー/Teferi, Time Ravelerは「各対戦相手はそれぞれ、自分がソーサリーを唱えられるときにのみ呪文を唱えられる。」という能力を持つ。対戦相手は、カードが瞬速を持っていてもそれをソーサリーを唱えられる時にしか唱えることができない。また雷電支配/Electrodominanceなどによって解決中に呪文を唱えるよう許可されても、それを唱えることはできない。
  • 例:虚空の選別者/Void Winnowerは「あなたの対戦相手はマナ総量が偶数の呪文を唱えられない。」という能力を持つ。その場合でも、対戦相手はマナ・コストが(X)(赤)(赤)でありマナ総量が2であるとどろく雷鳴/Rolling Thunderを唱え始めることができる。これはXの値の選択によっては、その呪文のマナ総量が奇数に変わることがありうるからである。マナ総量が偶数になるような選択をしたなら、不正な呪文の提示として巻き戻される。

[編集] 「瞬速を持っているかのように」の扱い

カードによっては、その呪文を提示しなければ瞬速を持っているのかのように唱える事が出来るか分からないものがある。それらは例外として唱え始めることができる。呪文を提示し終えた後に適正な選択をしなかったら、不正な呪文として巻き戻される。

  • 特定の性質を持つ呪文を瞬速を持つかのように唱えることが効果によって認められている場合、呪文を示している間にその呪文の性質を変える選択ができ、それにより効果が適用されるようになるなら、その呪文を瞬速を持つかのように唱え始めることができる(CR:601.3b)。
    • 例:機を見た護法/Timely Wardは「統率者を対象とするなら、瞬速を持っているかのように唱えてもよい。」という能力を持つため、統率者であるクリーチャーを対象にすることで瞬速を持つかのように唱え始めることができる。
      • このルールは元々授与シガルダの助け/Sigarda's Aidとの相互作用のために制定されたが、授与のルール変更によって授与は該当しなくなった。総合ルールの例示は古いルールのままなので注意。
  • プレイヤーが代替コスト追加コストを支払った場合に瞬速を持つかのように呪文を唱えることが効果によって認められている場合、瞬速を持つかのように唱え始めることができる(CR:601.3c)。
    • 例:総くずれ/Routは、瞬速を持つかのように唱え始めることができる。これは、総くずれの効果が、追加コストを支払えば瞬速を持つかのように唱えることを認めているからである。
  • 呪文が特定の条件を満たした時にのみ瞬速を持つ場合、その条件を満たしているなら瞬速を持つかのように唱え始めることができる(CR:601.3d)。

[編集] 代替の特性があるカードの扱い

カードの中には、代替の特性(別の特性)/Alternative characteristicで唱えることができるものがある。具体的には、分割カード変異能力を持つカード、授与を持つカード、一部の変身する両面カード(降霊見た目以上のもの包囲戦)、モードを持つ両面カード当事者カード試作カード変装を持つカードがある。

ルールや効果が「[特性]の呪文を唱えてもよい」と書いてある場合(イコリア:巨獣の棲処より前は「[特性]のカードを唱えてもよい」と書かれているため最新オラクルを確認すること)、代替の特性を用いて呪文を唱えることが適正かどうかは、本来の特性では無く代替の特性に置き換えて判断される(CR:601.3e)。

「カードが[特性]であるなら唱えてもよい」という書き方は唱える選択以前の、そのカードの現在の特性から判断されるため上記のルールとは関係ないため注意。逆に唱える際の選択でその特性以外の代替の特性で唱える事は可能。

そのオブジェクトが代替の特性を持つようになった場合に適用される継続的効果も考慮される。これにより直感的には不可能であるかのような挙動も発生する。また、これらに関してはMTGアリーナで相互作用がサポートされていなかったり、不明瞭な場合が多い。

  • 例:溺神の信奉者、リーア/Lier, Disciple of the Drownedは「あなたの墓地にありインスタントやソーサリーであるすべてのカードはフラッシュバックを持つ。そのフラッシュバック・コストは、そのカードのマナ・コストに等しい。」を持つ。あなたの墓地に巨人落としがある場合、あなたはそれを巨人落としとして唱えることはできないが、切り落としとして唱える場合はリーアの継続的効果によりフラッシュバックを持つので、唱えることができる。
    • MTGアリーナでは溺神の信奉者、リーア登場の2021年9月では不可能だったが、2022年3月7日に実装。
  • 例:至高の者、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, Supremeは「あなたの墓地にありちょうど2色でありインスタントやソーサリーであるすべてのカードは再活を持つ。」という能力を持つ。あなたの墓地に火+氷/Fire+Iceがある場合、それは唱える際に単色になるためニヴ=ミゼットの継続的効果を適用することができないため再活を持たず、唱えることはできない。墓地に罪+罰/Crime+Punishmentがある場合、それは唱える際にちょうど2色になるためニヴ=ミゼットの継続的効果を適用でき、再活を持つ呪文として唱えることができる。
    • MTGアリーナでは2024年2月時点ではこの相互作用はサポートされていない。各半分が単色の2色の分割カードは双方とも再活で唱えることができ、各半分が2色の3色の分割カードは再活で唱えることができない。

[編集] その他

追放領域にある裏向きのカードの中から特定の性質を持つ呪文を唱えることを許可する効果が存在する。プレイヤーは、追放領域にあるその裏向きのカードを見ることができる場合にのみ、その種の呪文を唱え始めることができる(CR:601.3f)。

  • 例:情け無用のケイヤ/Kaya the Inexorableは「あなたのアップキープの開始時に、あなたは、あなたの手札からかあなたの墓地からか追放領域にありあなたがオーナーであるカードの中から、伝説の呪文1つを、そのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。」という紋章を与える。あなたは秘匿豪華の王、ゴンティ/Gonti, Lord of Luxuryによって追放しているカードを(それが伝説であるなら)唱えてもよい。ボーマットの急使/Bomat Courierのように表面を見ることができない状態で追放されている裏向きのカードは、例え何らかの理由でそれが伝説である事を知っていたとしても唱えることはできない。

[編集] その他のルール

  • 必要なコストが支払える限り、1ターンに唱えることができる呪文の数にルール上の制限はない。
  • 呪文を唱える一連の手順の間に優先権は発生せず、どのプレイヤーも呪文を唱えたり能力を起動したりすることはできない。ただし、マナ能力に限り#定義の手順6で唱えるプレイヤーのみが起動できる。
  • CR:601.2の手順を踏まずにスタックや戦場に置かれたものは「唱えられた」とは言わない。
  • 「カードを唱える」は、そのカードを呪文として唱えることである。

[編集] ルールの変遷

ある呪文が唱え始めることができるかの判定について、何度かルールが変更されている。

  • 基本セット2010で制定された当時は「601.5. プレイヤーは、唱えることが禁止されている呪文を唱え始めることはできない。」によって唱え始める前(上記定義の1の前)にのみチェックしていた。裏向きの呪文のみ例外がかけられていた。
  • テーロスで唱えている間にカード・タイプが変りうる授与が登場したことによりその扱いに問題が生じた。そのため2015年7月の総合ルール更新で旧601.5を廃止し、呪文を唱えることが適正かどうかを現在の#定義の手順5のみでチェックするように変更された[1]
  • だがこれにより、例えば「対戦相手のライブラリーの上から4枚目を唱える宣言をしてスタックに置き内容を確認する(その後、唱えることが不可能なので巻き戻される)」といった行動も許容することになってしまった。そこで、2015年10月に、プレイヤーは適正な方法に従って呪文を唱え始めなければならないが「その呪文を示している間の情報に基づいて唱えられなくする効果」は無視できる(それは手順5の段階でのみチェックされる)というルールに変更された[2]
  • 追加コストを支払うことで瞬速を持つかのように唱えられる呪文や、シガルダの助け/Sigarda's Aidの下で授与を適用して唱える場合など、実際に唱えられるかどうかは唱え始めた後に適正になる場合の矛盾を解消するために2016年7月に現在のCR:601.3が追加された[3]
  • イクサランの束縛/Ixalan's Binding不死身、スクイー/Squee, the Immortalスタンダードで同居したことで、イクサランの束縛と追放領域から唱えられるカードとの相互作用とその裁定が話題になった。イクサランの束縛でスクイーを追放しても、イクサランの束縛の効果は「その呪文を示している間の情報に基づいて唱えられなくする効果」なので唱え始めることができ、スクイーが追放領域からスタックに移動するため手順5のチェックでイクサランの束縛の唱えられなくする能力の適用外になる。これは奇妙で直感に反し、ルール的に意図したものでも無かったため、2018年6月に改めて「ルールや効果によって唱えることが認められていない限り、呪文を唱え始めることはできない。」とした上で601.3でそれを回避できる条件を明記するルールとなり、スクイーはこの例外に当てはまらないため唱えられなくなった[4]

[編集] その他

[編集] 脚注

  1. Magic Origins Update Bulletin—Comprehensive Rules Change(Internet Archive)(Daily MTG 2015年7月16日)
  2. Battle for Zendikar Update Bulletin—Comprehensive Rules Changes(Internet Archive)(Daily MTG 2015年10月9日)
  3. Eldritch Moon Update Bulletin—Comprehensive Rules Changes(Internet Archive)(Daily MTG 2016年7月28日)
  4. Core Set 2019 Comprehensive Rules Changes(Internet Archive)(Daily MTG 2018年7月6日) - 特殊セット発売時の総合ルール更新は記事にされないため基本セット2019発売に合わせた発表になっている

[編集] 参考

引用:総合ルール 20231117.0

引用:総合ルール 20231117.0

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