瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage
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クリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
瞬速
瞬唱の魔道士が戦場に出たとき、あなたの墓地にあるインスタント・カード1枚かソーサリー・カード1枚を対象とする。それはターン終了時までフラッシュバックを得る。そのフラッシュバック・コストは、それのマナ・コストに等しい。(あなたはあなたの墓地にあるそのカードを、そのフラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後それを追放する。)
一時的に自分の墓地のインスタントかソーサリー1枚にフラッシュバックを与えるETB能力を持った瞬速クリーチャー。
過去のカードを引き合いに出せば、インスタントも対象にできる埋め合わせ/Recoupを内蔵した2マナ2/1瞬速クリーチャーと言ったところ。2マナ相当の呪文の効果を同じく2マナのクリーチャーが内蔵しており、驚異的なコスト・パフォーマンスと言えるだろう。まず、2/1を戦場に出しつつカードを1枚再利用できるので、単純にアドバンテージを得られる。さらにこれ自体がインスタント・タイミングで唱えられることが肝であり、これが手札にあると擬似的に自分の墓地のインスタントすべてが、本来のコスト+(1)(青)でフラッシュバックできる状態になる。
カウンターの再利用を筆頭に、対戦相手の各行動に適したインスタントを再利用できるというのは非常に強力である。もちろん、単体で有用なソーサリーを再利用するのもよい。クリーチャーとしても攻撃してよしチャンプブロックしてよしの性能で、前半でも後半でも無駄にならない。
その汎用性、使い勝手は圧倒的であり、登場以来青系のコントロールやクロック・パーミッションなど、様々なデッキに採用されている。能力の性質上、軽くて強力な呪文が環境に存在するほどこのカードも強さを増すため、採用されているフォーマットはスタンダードに留まらず、エクステンデッド、モダン、レガシー、果てはヴィンテージでまで使われる類希なるパワーカードである。エターナル環境においては青いカードであるということで意志の力/Force of Willのコストに使えることも強みになる。
- 相手が高速ウィニーの場合、単に2/1瞬速として2ターン目に相打ちを取る使い方もできる。場合によってはアドバンテージを諦めテンポを取りにいけるのも優秀。
- ETB能力なので使いまわしが可能。終盤土地が余り、数体立っている状態のこれを蒸気の連鎖/Chain of Vaporですべて手札に戻してしまうプレイングがあり、圧倒的なアドバンテージとなる。
- このカードとの組み合わせが強力すぎるという理由で収録を見送られたカードが存在する。基本セット2013での炎の斬りつけ/Flame Slash[1]、ドラゴンの迷路での稲妻のらせん/Lightning Helix[2]がその例。
- スタンダードからエターナルまでの構築環境の使用率の高さから石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mystic、闇の腹心/Dark Confidant、タルモゴイフ/Tarmogoyfと合わせて「壊れた」2マナのクリーチャーサイクルと呼ばれていた[3][4]。
- 2016年のプロツアー地域予選参加者に新規イラスト版のプロモーション・カードが配布された[5]。またモダンマスターズ2017にはさらに新規のイラストで収録、その際に稀少度が神話レアに格上げされた。
ルール
- フラッシュバック・コストになるのは「マナ総量」ではなく「マナ・コスト」である。
- マナ・コストの無いカードを対象にすることもできる。しかしその場合、フラッシュバックは得るがフラッシュバック・コストは存在しないので、「存在しないコストは支払えない」ルールにより、そのカードは唱えられない。
- マナ・コストが(0)であるカードは、フラッシュバック・コストも(0)になるので0マナで唱えられる。
- ファイレクシア・マナや混成マナ・シンボルおよび単色混成マナ・シンボルなどの特殊な性質のマナ・シンボルもそのままフラッシュバック・コストになる。ファイレクシア・マナはライフで支払えるし、混成マナは2種類のどちらで支払ってもよい。
- マナ・コストにXが含まれるのなら、フラッシュバックで唱える際にもXの値を指定しそれを支払う。
- マナ・コストの無いカードを対象にすることもできる。しかしその場合、フラッシュバックは得るがフラッシュバック・コストは存在しないので、「存在しないコストは支払えない」ルールにより、そのカードは唱えられない。
- 必要な場合は、追加コストを支払わなければならない。またキッカーのような任意の追加コストは支払うか支払わないかを選べる。
- 既にフラッシュバックを持つカードを対象にした場合、そのカードはフラッシュバックを2つ持つ。ただし一方のフラッシュバックを適用するとそのカードは追放されてしまうので、1枚のカードを2回フラッシュバックすることはできない。
- フラッシュバック自体が代替コストなので、他の代替コストで唱えることはできない。例えば、徘徊や超過や怒濤を持つ呪文はそれらで唱えることはできないし、意志の力/Force of Willも(3)(U)(U)を支払わなければならない。
- フラッシュバックで唱える際のコストには、通常どおりコスト減少・コスト増加が適用される。
- この能力はフラッシュバックを与えるだけで、カード・タイプを変更したり呪文を唱えることができるタイミングを変更したりする効果はない。他の効果の影響がない限り、対戦相手のターンに墓地にあるソーサリー・カードを唱えることはできない。
インビテーショナルカード
このカードはインビテーショナル07優勝者、Tiago Chanによってデザインされたインビテーショナルカードである。
Tiagoが最初に提出したデザイン案は以下の通り。
非公式/非実在カード
Denying Channel土地
(T):あなたのマナ・プールに(1)を加える。
(2)(青)(青),Denying Channelを捨てる:呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
元のデザインは「土地のスロットに入れられるカウンター」というもの。色マナが出ないという点以外欠点がなく、そのため容易にデッキに採用できてしまう上、起動型能力による打ち消しなのでこれ自体が非常に打ち消されづらいという強力極まりないデザインだった。当初は土地がテーマのゼンディカーに収録される予定だったが、どのように調整しても上手くバランスを取れなかったため、改めてTiagoに連絡を取った上で全く別のカードをデザインした。そのような経緯を経ているため、非常に遅れて印刷されたインビテーショナルカードである。
- イニストラード版のイラストでは、インビテーショナル・カード発案者として黒髪で七三分けのTiago Chan自身が描かれている。一方、モダンマスターズ2017ではChanではない新規イラストが与えられ、アルティメットマスターズでもこちらの絵で再録されている。
- ちなみに「土地に替えられるカウンター呪文」という似たようなコンセプトのカードとして衝撃的な幻視/Traumatic Visionsが存在する。こちらは基本土地サイクリングを持つ確定カウンターのインスタント。
- 時代は下ってゼンディカーの夜明けでは、ジュワー島の撹乱/Jwari Disruptionという同様のコンセプトにより近いカードが登場した。こちらは不確定カウンターと土地のモードを持つ両面カード。
類似カード
特記しない限り、あなたの墓地のインスタントかソーサリー1枚を対象とし、それを唱えた後に追放する。太字はマナ・コストを支払わず唱えてよい、一種のリアニメイトの様なタイプ。インスタントやソーサリー以外も墓地からプレイできるものはヨーグモスの意志/Yawgmoth's Willの項を、単に手札に戻すものは復習/Relearnの項を参照。
- ブージーアムの輪/Bosium Strip - (3)アーティファクトの起動コスト(3)のタップ能力。このターン、墓地の一番上にあるのがインスタントかソーサリーである間それを唱えてよい。(ウェザーライト)
- 埋め合わせ/Recoup - (1)(赤)ソーサリー。ソーサリー限定でフラッシュバックを与える。フラッシュバック(3)(赤)つき。(オデッセイ)
- 梅澤俊郎/Toshiro Umezawa - (1)(黒)(黒)クリーチャーの誘発型能力。対戦相手のクリーチャーが1体死亡するたび1枚唱えてよい。(神河謀叛)
- 過去の罪/Sins of the Past - (4)(黒)(黒)ソーサリー。これ自身も追放される。(ラヴニカ:ギルドの都)
- 死者の王、ドラルヌ/Dralnu, Lich Lord - (3)(青)(黒)クリーチャーのタップ能力。フラッシュバックを与える。(時のらせん)
- 記憶の略取/Memory Plunder - (青/黒)(青/黒)(青/黒)(青/黒)インスタント。自分の墓地でなく、対戦相手の墓地から唱える過去の罪。使用後の追放はない。(シャドウムーア)
- 目覚めし深海、レクシャル/Wrexial, the Risen Deep - (3)(青)(青)(黒)クリーチャーのサボタージュ能力。ダメージを与えたプレイヤーの墓地のカードを唱える。(ワールドウェイク)
- 尖塔の大長/Chancellor of the Spires - (4)(青)(青)(青)クリーチャーのETB能力が記憶の略取。使用後の追放はない。(新たなるファイレクシア)
- 氾濫の始源体/Diluvian Primordial - (5)(青)(青)クリーチャーのETB能力。各対戦相手の墓地から1枚ずつ唱える。(ギルド門侵犯)
- 精神的な介入/Psychic Intrusion - (3)(青)(黒)ソーサリー。対戦相手の墓地または手札から土地でないカードを追放し、それが追放されている限り唱えてよい。色マナは自由に支払える。(テーロス)
- 凶兆艦隊の向こう見ず/Dire Fleet Daredevil - (1)(赤)クリーチャーのETB能力。対戦相手の墓地のカードを、このターン唱えてよい。色マナは何色でも自由に支払える。(イクサランの相克)
- 野火の悪魔/Wildfire Devils - (3)(赤)クリーチャーのETB能力。あなたのアップキープにも誘発。無作為に選ばれたプレイヤーが自分の墓地から選んだ1枚をコピーし唱えてよい。(統率者2019)
- 欲深い衝動/Covetous Urge - (青/黒)(青/黒)(青/黒)(青/黒)になった精神的な介入。(エルドレインの王権)
- 炎の中の過去/Past in Flames - (3)(赤)ソーサリーでフラッシュバック(4)(赤)つき。このターン、あなたの墓地の各インスタントとソーサリーにフラッシュバックを与える。(イニストラード)
- 反体制魔道士、ケス/Kess, Dissident Mage - (1)(青)(黒)(赤)クリーチャーの常在型能力。あなたのターン中限定で、インスタントかソーサリーのみ1ターンに1枚だけ唱えてよい。(統率者2017)
- ヤヤ・バラード/Jaya Ballard - (2)(赤)(赤)(赤)プレインズウォーカーの-8忠誠度能力の紋章が永続的な炎の中の過去。(ドミナリア)
- レンと六番/Wrenn and Six - (赤)(緑)プレインズウォーカーの-7忠誠度能力の紋章。あなたの墓地の各インスタントかソーサリーに回顧を与える。(モダンホライゾン)
- 逆噴射のヘルカイト/Backdraft Hellkite - (3)(赤)(赤)クリーチャーの攻撃誘発型能力が炎の中の過去。(統率者2019)
- 溺神の信奉者、リーア/Lier, Disciple of the Drowned - (3)(青)(青)クリーチャーの常在型能力が炎の中の過去。ただし全呪文が打ち消し不能になる。(イニストラード:真夜中の狩り)
- 呪文ねじり/Spelltwine - (5)(青)ソーサリー。あなたと対戦相手1人の墓地からそれぞれ1枚ずつ唱えてよい。(基本セット2013)
- 生ける伝承/Living Lore - (3)(青)クリーチャー。これが戦闘ダメージを与えるたび、これのETB時に墓地から追放していたもののみ唱えられる。使用後の追放はない。(タルキール龍紀伝)
- ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy - (1)(青)クリーチャーの第2面であるプレインズウォーカーの-3忠誠度能力で、このターン唱えてよい。(マジック・オリジン)
- 炎の侍祭、チャンドラ/Chandra, Acolyte of Flame - (1)(赤)(赤)プレインズウォーカーの-2忠誠度能力で、このターン唱えてよい。ただしマナ総量3以下に限る。(基本セット2020)
- 炎の触媒、チャンドラ/Chandra, Flame's Catalyst - (4)(赤)(赤)プレインズウォーカーの-2忠誠度能力で、このターン唱えてよい。ただし赤に限る。(基本セット2021)
- ミジックスの熟達/Mizzix's Mastery - (3)(赤)ソーサリー。追放したカードのコピーを生成して唱える。これ自身は追放される。超過(5)(赤)(赤)(赤)つき。(統率者2015)
- ゴブリンの闇住まい/Goblin Dark-Dwellers - (3)(赤)(赤)クリーチャーのETB能力。マナ総量3以下に限る。(ゲートウォッチの誓い)
- 雷の頂点、ヴァドロック/Vadrok, Apex of Thunder - 変容コスト(1)(赤)(赤)(青/白)の変容誘発型能力。マナ総量3以下に限るが、クリーチャーでない呪文全般を唱えられる。(イコリア:巨獣の棲処)
- 血に飢えた敵対者/Bloodthirsty Adversary - (1)(赤)速攻クリーチャーのETB能力。追加で(2)(赤)支払った枚数だけ唱えられるが、マナ総量3以下に限る。(イニストラード:真夜中の狩り)
- 奔流の機械巨人/Torrential Gearhulk - (4)(青)(青)瞬速アーティファクト・クリーチャーのETB能力。インスタント限定。(カラデシュ)
- イゼットの薬術師/Izzet Chemister - (2)(赤)速攻クリーチャーのタップ能力。起動コスト(赤)で墓地から一旦1枚ずつ追放してから、起動コスト(1)(赤)とこれの生け贄でそれらを全て唱えられる。(統率者2017)
- 任務説明/Mission Briefing - (青)(青)インスタント。事前の諜報2つき。(ラヴニカのギルド)
- 戦慄衆の秘儀術師/Dreadhorde Arcanist - (1)(赤)クリーチャーの攻撃誘発能力。マナ総量がこれのパワーの値以下限定。(灯争大戦)
- 約束の終焉/Finale of Promise - (X)(赤)(赤)ソーサリー。マナ総量X以下限定だがインスタントとソーサリーを1枚ずつ唱えてよい。Xが10以上なら、さらにそれぞれ2回コピーされる。(灯争大戦)
- 失われた宝物庫の学者/Scholar of the Lost Trove - (5)(青)(青)クリーチャーのETB能力。アーティファクトも唱えられる。(Jumpstart)
- 記憶の洪水/Mnemonic Deluge - (6)(青)(青)(青)ソーサリー。いずれかの墓地から1枚追放し、それのコピーを3つ生成して唱える。(統率者レジェンズ)
- 光輝の巻物使い/Radiant Scrollwielder - (2)(白)(赤)。あなたのアップキープに、墓地のインスタントかソーサリーの中から無作為に選ばれた1枚を、このターン唱えてよい。(ストリクスヘイヴン:魔法学院)
- イフリートの炎塗り/Efreet Flamepainter - (3)(赤)二段攻撃クリーチャーのサボタージュ能力。(ストリクスヘイヴン:魔法学院)
- 勝利への高まり/Surge to Victory - (4)(赤)(赤)ソーサリー。このターン、あなたの各クリーチャーは追放したインスタントかソーサリーをコピーして唱えられるサボタージュ能力を得る。(統率者2021)
- デミリッチ/Demilich - (青)(青)(青)(青)クリーチャーの攻撃誘発型能力。追放したカードのコピーを生成して唱える。(フォーゴトン・レルム探訪)
- ウィザードの呪文書/Wizard's Spellbook - (5)(青)(青)アーティファクトのタップ能力。いずれかの墓地から1枚唱えられる。20面ダイスの出目が10以上なら(1)で、20なら(0)で唱えてよい。(フォーゴトンレルム譚訪)
- ロッド・オヴ・アブソープション/Rod of Absorption - (2)(青)アーティファクト。各プレイヤーがインスタントかソーサリーを解決するたびそれらを追放し、これを生け贄に捧げてそれらのマナ総量合計に等しいマナを支払った場合、それらを全て唱えられる。(フォーゴトン・レルム探訪統率者デッキ)
脚注
- ↑ The Extra Mile/マジック2013のカード達 特別編(Daily MTG 2012年8月3日)
- ↑ Balancing for Fun/楽しさのためのバランス調整(Daily MTG 2013年5月3日)
- ↑ マジック的一問一答(Latest Developments 2015年12月11日)
- ↑ おしえてあなたの望むこと(Making Magic 2016年3月7日)
- ↑ プロツアー・シドニー2016へ向けたプロツアー地域予選(RPTQ)(マジック英語公式サイト日本語版)
参考
- Scary Stories, Part 1/日本語訳 恐るべき物語 その1(WotC、Making Magic 2011年9月19日 Mark Rosewater)
- The Saga of Snapcaster Mage(WotC)
- カード個別評価:イニストラード - レア
- カード個別評価:アルティメットマスターズ - 神話レア
- カード個別評価:モダンマスターズ2017 - 神話レア