黒
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黒/Blackはマジック:ザ・ギャザリングにおける色の1つ。
クリーチャー — ファイレクシアン(Phyrexian) ホラー(Horror)
トランプル
ファイレクシアの抹殺者にダメージが与えられるたび、その点数と同じ数のパーマネントを生け贄に捧げる。
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色の特徴
死と力の色であり、沼からマナを引き出しゾンビ、吸血鬼やデーモンを召喚する。青と赤を友好色とし、白と緑を対抗色とする。略号はB。
5色の中ではネガティブな性質が最も強いことから、「悪」のデザインに用いられることが多い(#色の理念も参照)。個々のカードではもちろんのこと、黒をテーマにしたエキスパンションであるトーメントや逆に他の色と比べて孤立したジャッジメントやアヴァシンの帰還など、カード・セットのテーマに反映されることもある、ある意味一番『濃い』色。
色の役割
ライフの支払い、クリーチャーの生け贄、手札を捨てるなどのコストを求めたり、敵味方双方にそれらを強いるなどハイリスクなカードの多さが特色。これらのカードはプレイヤーにとってはリスクが高いものの、戦略的に使用することで大きな利益を得ることが可能である。
- クリーチャー
- 得意なキーワード能力は、接死、絆魂、威迫。1番手では無いが、飛行、先制攻撃、速攻、破壊不能なども有している。護法はコストをディスカードやライフで要求する。キーワード以外ではシェイド能力が定番。一方でペナルティ能力として「タップ状態で戦場に出る」「ブロックできない」などを持つことが多い。クリーチャー・タイプには種族では、ゾンビ、吸血鬼、ホラー、デーモンなど、職業では戦士、ならず者、暗殺者、邪術師などが多い。象徴的クリーチャーはデーモン、特徴的クリーチャーはゾンビと吸血鬼。また、白のものと対になるような騎士やクレリックが少数存在し(白騎士/White Knightに対する黒騎士/Black Knightなど)、それらも黒の象徴の一つと言える。
- クリーチャーの除去に最も長けており、破壊、マイナス修整、生け贄に捧げさせる(布告)と様々な方法を持つ。直接ダメージもドレインという形で存在する。
- アーティファクト
- 墓地から手札に戻したり、リアニメイトが得意。クリーチャーでない限りは原則的に除去は不可能。秘宝の破滅/Relic Baneや、工匠の呪詛/Artificer's Hexのような間接的にアーティファクトを妨害するカードがメインだが、直接対処できるカードもごく少数ながら過去に存在していた(Gate to Phyrexia、ファイレクシアへの貢ぎ物/Phyrexian Tribute、異形の騒霊/Xenic Poltergeistなど)。
- エンチャント
- 基本的にシナジーを形成しない。除去は可能だが、白や緑よりも効率が悪く、自分のエンチャントを除去できるものも少ない。ただし陰謀団の先手ブレイズ/Braids, Cabal Minionや狂気堕ち/Descent into Madnessのようなパーマネントを問わず全員を巻き込むような形で除去できるタイプのカードは稀に登場する。
- プレインズウォーカー
- 直接的な除去が可能。
- 非パーマネント呪文
- ドローやサーチも比較的得意。ドローは夜の囁き/Night's Whisperや祭壇の刈り取り/Altar's Reapなどリソースと引き換えだが軽量なカードが定番。サーチカードは吸血の教示者/Vampiric Tutor、魔性の教示者/Diabolic Tutor、死せる願い/Death Wishなどカード・タイプを問わないものが多い。探すことができるカードに柔軟性があることに加え、探した後にそのカードを公開する必要がない点も黒のカードの強みといえる。
- 墓地のカードの扱いに長けており、クリーチャー・カードの回収や直接戦場に出す(リアニメイト)カードは定番となっている。墓地にあるカードの枚数を参照するカードや、自分の墓地のカードを増やすようなカードも散見される。逆に、相手の墓地のカードを追放することも得意とする。
- マナ加速は沼が生み出すマナを倍化させたり(墓所の怪異/Crypt Ghast)、他の効果と一緒にマナを生み出す(血の儀式文/Liturgy of Blood)タイプのカードが存在する。
- その他特有の効果
- 最悪の恐怖/Worst Fearsなど他のプレイヤーをコントロールする効果、Word of Commandや豪華の王、ゴンティ/Gonti, Lord of Luxuryなど他のプレイヤーのカードを”奪う”効果も色の役割としてもっている。
色の役割の変更
- マスクス・ブロック~神河ブロック(1999年-2004年頃)
- 黒を代表するカードの1枚であり、一時的なマナ加速といえば黒と言わしめた暗黒の儀式/Dark Ritualがメルカディアン・マスクスを最後に再録されず、煮えたぎる歌/Seething Songなど赤へ移行。時のらせんブロックで例外的に登場するも一時的マナ加速カードそのものがあまり登場しなくなっていった。
- 後年のゼンディカー・ブロックのニルカーナの亡霊/Nirkana Revenant以降パーマネントが持つ能力として少数登場し、闇の誓願/Dark Petitionなどフリースペル的なマナ加速カードの登場により、違った形で復権している。
- カード名指定追放系カードの元祖は青黒多色のロボトミー/Lobotomyだが、神河ブロックの頭蓋の摘出/Cranial Extraction以降黒の色の役割として定着した。
- 基本セット2010(2009年)
- 回避能力のキーワード能力として長年畏怖、沼渡りを得意としていたが、それらの能力の廃止に伴い威嚇、そして威迫へと代替わりした。
- 基本セット2013~基本セット2014(2012年-2015年頃)
- タフネスよりパワーが高い頭でっかちのクリーチャーが多かったが、色の役割が多く被っている赤との差別化を図るためにドラゴンの迷路、基本セット2013頃からタフネス偏重のクリーチャーも増やす方針となった。[1][2]
- 恐怖/Terrorや闇への追放/Dark Banishingのような、黒いクリーチャーを対象にできない黒の除去が多かったため、色が黒というだけで1つの除去耐性とされていた(黒以外という制限は、恐怖からの孫引きのためである)。破滅の刃/Doom Bladeが基本セット2014を最後に再録落ちした後はそのタイプの制限を持つ強力な除去はほぼ登場していない。
- カラデシュ・ブロック(2016年頃)
- 不死性を再現する再生を得意としていたが、使用廃止に従ってカラデシュの頃から一時的な破壊不能付与に替わっている。
- 統率者2019(2019年)
- エンチャントを除去できる色がアーティファクトと比べて少ないことから、開発部は黒をエンチャント除去の3番手とすることとした。統率者2019の苦境のぬかるみ/Mire in Miseryで初めて採用され、その後テーロス還魂記のファリカの献杯/Pharika's Libationで本流のセットにも登場した[3]。
- ただし、原則自分がコントロールするエンチャントを除去することができないようになっている。これは、黒でしばしば扱われる「悪魔との取引」系エンチャントのペナルティ能力を簡単に踏み倒せないようにするための措置である。[4]
- 団結のドミナリア(2022年)
- 上記の通り原則として自分のエンチャントを処理できなかったが、団結のドミナリアの甦りし悪夢、ブレイズ/Braids, Arisen Nightmareを皮切りに処理できるようになった[5]。
- エルドレインの森(2023年)
- 誓い破り/Shatter the Oathを皮切りに、自他問わず任意のエンチャントを処理できるようになった[6]。
- 2018年から、瞬速を青に次いだ第2種色とすることが試されている[7][8][9]。
- ドミナリア及びラヴニカのギルドでは、それまではライフを失う効果で表現されてきた真夜中の死神/Midnight Reaperのようなカードがダメージを与える形でデザインされている。これはフレイバーと、ルール上ほぼ同じ挙動を示すものに異なる表現を用いる必要があるかというバランスに関する実験的変更である[10]。灯争大戦以降はライフロスと混在していたが、殆どのプレイヤーはライフを失うことを理解しているので最小限の差異でフレイバーを打ち出せるとして、基本セット2021以降はライフを失う形に戻った[11]。
色の理念
再び訪れた黒の中でによれば、黒は力を求める利己的な色である。黒は世界を弱肉強食的なものだと考えており、力無き弱者は強者の犠牲となるが、十分な力を持った強者は欲しいものを何でも手に入れられると考えている。故に黒は弱肉強食の世界で幸福を掴むためには力が一番大事だと考えており、また力を始めとする欲しいものを手に入れるためには手段を選ばず、必要とあれば何でも(自分であれ他者であれ)犠牲にする。
こうした性質から、黒は死、アンデッド、畏怖、悲しみ/抑うつ、苦痛、拷問、闇、疫病、腐敗/衰退、寄生、昆虫/蜘蛛[注釈 1]、害獣、汚職、不純/汚染、減少、偽り、操作、計画的な破壊、処刑、自他を含めた犠牲など、他の色が忌み嫌うが黒にとっては効率的な手段を用いる。また、それに対する倫理的な批判を気にしない現実主義、利己主義、道徳外、マキャベリズム、個人主義、自己陶酔的といった性格を持つ。これらが黒が表すものとされる。
黒と青は共に自己利益を求め、策略や技術や知識を愛用することから友好色とされる。ただし青は全体主義的な面も併せ持つため、そこにおいて純粋な利己主義者である黒と対立する。
黒と赤は共に自己中心的で、破壊を好むことから友好色とされる。ただし赤は無計画で利他的な面も持つため、この点においては計画的で利己的な黒と対立する。
白や緑は全体主義的な性質を持ち、利害に縛られない面を持つため、利己主義者であり、利害によって他者を支配しようとする黒の対抗色となる。
- 黒はしばしば邪悪さを象徴する色と見做されることが多く、実際その通りであることが多いが、これは上記の理念によって生じる結果的なものに過ぎない。カラーパイと物事の善悪は本来無関係である。そのため、黒のカードや黒に属する組織やキャラクターのすべてが善性や道徳心を欠如しているというわけではない。例えば漆黒の手教団/Order of the Ebon Handは信仰と引き換えとは言え領土外の飢餓の村落への食糧援助を行っていたり、ヤヘンニ/Yahenniは道徳観念の強い人物であったりする。梅澤俊郎/Toshiro Umezawaは黒で正義感を持った人物を描く試みとなった。
その他
- 黒がデッキにタッチされると、「ダーク〜」という名前が冠せられることが多い(例:ダークファイアーズ、ダークジェスカイ)。
- マジックの色とは関係ないが、コモンカードと基本土地のエキスパンション・シンボルは黒色である。また、ほとんどのカード・セットのカードの外枠は黒色である(→黒枠)。
- 黒が下地のデザインなどでは紫が代用される(テーロス還魂記の沼、イニストラード:真夜中の狩りの永遠の夜ショーケース)。
脚注
注釈
出典
- ↑ Dragon Along/ドラゴンとともに(Making Magic 2013年4月22日 Mark Rosewater著)
- ↑ M14versing/マルチバース劇場・『基本セット2014』編(Latest Developments 2013年7月19日 Sam Stoddard著)
- ↑ さらなる死出(Making Magic 2020年1月20日)
- ↑ Just saw Mire in Misery, this is the black...(Blogatog 2019年8月8日)
- ↑ With the new Braids letting you sacrifice your own...(Blogatog 2022年8月18日)
- ↑ Twitter(2023年9月8日 Ben Bleiweissとの会話)
- ↑ 選択せよ その1(Making Magic 2018年2月5日) - 問15の解説
- ↑ Blogatog(Mark RosewaterのBlog 2018年3月14日)
- ↑ @EthanFleischer(Ethan FleischerのTwitter 2018年6月29日)
- ↑ Blogatog(Mark RosewaterのBlog 2018年9月15日)
- ↑ Blogatog(Blogatog 2021年10月4日)
参考
- In the Black(Making Magic 2004年2月2日 Mark Rosewater著)
- In the Black ─黒い闇の中で─(Braingeyser、上の記事の和訳)
- Defining Black(Latest Developments 2004年2月6日)
- 黒の定義 −フレーバー、機能、ゲームバランスの調整─(Braingeyser、上の記事の和訳)
- Looking Out For Number One(Making Magic 2008年10月20日 Mark Rosewater著 グリクシスウィーク記事)
- In the Black Revisited/再び訪れた黒の中で(Making Magic 2015年7月27日 Mark Rosewater著 米村薫訳)
- 用語集
色 | |||||||||
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単色 | 白 - 青 - 黒 - 赤 - 緑 | ||||||||
多色 (金) |
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アン・ゲーム専用 | ピンク - 金 - 目の色 | ||||||||
色の関係 | 色の組み合わせ - 友好色 - 対抗色 - カラーパイ - 色の役割 | ||||||||
関連項目 | 無色 - 有色 - 単色カード - 多色カード - 色指標 - 固有色 - デッキカラー |