変異
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− | '''変異'''(へんい)/''Morph''は[[オンスロート・ブロック]]初出の[[キーワード能力]] | + | '''変異'''(へんい)/''Morph''は[[オンスロート・ブロック]]初出の[[キーワード能力]]。それを持つ[[カード]]を[[プレイ]]できるときに機能する[[常在型能力]]であり、そのカードを本来の[[特性]]を隠して[[裏向き]]の[[クリーチャー]]として[[唱える]]ことを許可する。 |
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==解説== | ==解説== | ||
− | + | クリーチャー(あるいはそれ以外)の正体を隠して唱えることができ、いつでも正体を現すことができる[[メカニズム]]。[[オンスロート]]で初登場し、[[レギオン]]、[[スカージ]]、[[時のらせん]]、[[次元の混乱]]、[[未来予知]]、[[タルキール覇王譚]]、[[統率者2014]]、[[統率者2019]]で再登場している。 | |
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+ | オンスロート・ブロックでは全[[色]]に存在し、すべてクリーチャー・カードである。オンスロートでは[[戦闘ダメージ]]を与えたり受けたりすることで[[誘発]]する[[能力]]を持つものが多い。レギオンでは[[表向きになったとき]]に[[誘発]]する[[誘発型能力]](通称、変異誘発型能力)を持つカードが登場した。スカージでは[[マナ]]以外の変異コストを持つカードが登場した。 | ||
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+ | [[時のらせんブロック]]で復活した際には全色に存在するが特に[[青]]に多く、[[未来予知]]ではクリーチャー以外で変異を持つ[[パーマネント]]・カードが登場した。 | ||
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+ | [[タルキール覇王譚]]でも[[多色]]を含む各[[色]]に均等に割り振られた。[[タルキール覇王譚ブロック]]での登場はタルキール覇王譚だけだが、[[運命再編]]では[[予示]]、[[タルキール龍紀伝]]では[[大変異]]と亜種メカニズムが登場している。 | ||
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+ | [[カルロフ邸殺人事件]]では変異そのものは登場しないが、亜種メカニズムの[[変装]]が登場した。 | ||
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+ | ==ルール== | ||
[[裏向き]]の項も参照のこと。 | [[裏向き]]の項も参照のこと。 | ||
− | *裏向きにした時点で[[マナ・コストの無いカード]]になるが、「(3)を支払う」という部分が[[代替コスト]] | + | ===変異によって裏向きで唱える=== |
− | * | + | バレてしまうので当たり前だが、カードを通常の表面で唱えるか裏向きで唱えるかの選択は'''[[スタック]]に置く前'''に行う。 |
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+ | *カードを裏向きで唱える際、あなたは変異能力(変異・[[大変異]]の総称)か[[変装]]能力のどちらを使用したか宣言する必要がある。 | ||
+ | **これは[[カルロフ邸殺人事件]]で変装が登場したことにより、裏向きのクリーチャーの[[特性]]を区別する必要があるために導入されたルールである。 | ||
+ | *裏向きにした時点で[[マナ・コストの無いカード]]になるが、「(3)を支払う」という部分が[[代替コスト]]を意味するため、唱えることができる。 | ||
+ | **代替コストは二重に適用できないため、裏向きに唱えるときに他の代替コストを適用することはできない。[[続唱]]や[[悪逆な富/Villainous Wealth]]等の「[[マナ・コストを支払うことなく唱える]]」ことは代替コストであるため、これらの方法では変異で唱えることはできない。[[コスト増加カード]]・[[コスト減少カード]]の影響は通常と同じく受ける。 | ||
+ | *呪文としての[[特性]]は「[[マナ総量]]が0である、[[無色]]のクリーチャー呪文」である。呪文を唱えることに関する許可や制限はこの特性で判断される。表面では唱えることができなくても、変異によって裏向きで唱えることを許可する[[ルール]]や[[効果]]があれば変異で唱えることができる({{CR|601.3e}})。 | ||
+ | **例:[[翻弄する魔道士/Meddling Mage]]によって唱えることが禁止されているカードでも、変異によって裏向きで唱えるなら名前を持たない呪文になるので唱えることができる。 | ||
+ | **例:[[神秘の炉/Mystic Forge]]は無色の呪文を[[ライブラリーの一番上]]から唱えることを許可する能力を持つ。あなたは変異を持つ[[有色]]のカードを、変異によって裏向きでライブラリーの一番上から唱えることができる。 | ||
+ | *当然ながら、変異を持たないカードを裏向きで唱えることは[[違反行為]](イカサマ)である。これを防止するため、裏向きの呪文が[[スタック]]から[[戦場]]以外の[[領域]]へ移動する際や[[ゲーム]]終了時、および[[多人数戦]]においてプレイヤーがゲームを離れる際には、カードの表をすべて公開して、適正なプレイであったことを証明しなければならない({{CR|708.9}})。 | ||
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+ | ===裏向きの特性=== | ||
+ | *変異による裏向きのクリーチャーは「名前を持たない」ので、[[残響する真実/Echoing Truth]]や[[撲滅/Eradicate]]を食らってもほかのカードを巻き添えにしない(カード名がないのだから「同じカード名を持つカード」は存在しない)。 | ||
*クリーチャー・タイプも持たないので、[[旗印/Coat of Arms]]や[[仕組まれた疫病/Engineered Plague]]などのクリーチャー・タイプを参照するカードの影響も受けない。 | *クリーチャー・タイプも持たないので、[[旗印/Coat of Arms]]や[[仕組まれた疫病/Engineered Plague]]などのクリーチャー・タイプを参照するカードの影響も受けない。 | ||
− | *変異コストを払って表向きになるのは[[優先権]]を持っているときに行える特別な処理であり、スタックを用いず直ぐに実行される。[[起動型能力]] | + | |
− | ** | + | ===変異で表向きにする=== |
− | * | + | *表向きにすることに関する全般的なルールは[[裏向き#表向きにする/裏向きにする]]を参照。 |
− | + | *変異コストを払って表向きになるのは[[優先権]]を持っているときに行える特別な処理であり、スタックを用いず直ぐに実行される。[[起動型能力]]ではないので[[呪われたトーテム像/Cursed Totem]]などで禁止できないし、[[対応して]]なにかすることもできない。逆に、何かされたことに対応して表向きになることはできる。[[特別な処理]]の項も参照。 | |
− | * | + | **表向きにしたときに変異コストを参照できない場合、変異コストは支払えないため、表向きになることに失敗する。このような状況は、能力を[[失う|失った]]場合や変異を持たないクリーチャーが裏向きになっている場合などに起きる。[[総合ルール|ルール]]上厳密には、変異コストは少し未来の時点(表向きになったときの特性)を参照することになる。 |
− | * | + | ***例:[[謙虚/Humility]]の影響下ではクリーチャーの能力が失われるため、表面がクリーチャーの[[軍用ビヒモス/War Behemoth]]は「表向きになった際に変異コストを参照する」ことができず表向きになれない。一方、表面がクリーチャーでない[[生けるものの洞窟/Zoetic Cavern]]は表向きになれる。 |
− | + | ***[[予示]]や[[偽装]]と混同しないように注意。あちらは能力を失っていても、本来のマナ・コストでなら表向きにできる。 | |
− | + | *変異以外の効果によって裏向きになっている場合でも、変異コストを支払うことで表向きになることができる。例えば[[予示]]によって戦場に出た場合も、そのカードのマナ・コストではなく変異コストを支払って表向きにしてもよい。 | |
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+ | ===裏向きで戦場を離れる場合=== | ||
+ | 裏向きの[[パーマネント]]が戦場から他の[[領域]]へ移動する際やゲーム終了時、および[[多人数戦]]においてプレイヤーがゲームを離れる際には、オーナーはカードの表をすべてのプレイヤーに公開しなければならない({{CR|708.9}})。これは手札や[[ライブラリー]]など[[非公開領域]]へ移動する際も含まれる。 | ||
+ | *裏向きのまま戦場を離れる場合、それはルールにより表を公開することになるが表向きになってから戦場を離れるわけではない。[[死亡誘発]]や戦場を離れることによる[[誘発型能力]]は、戦場を離れる直前の状態を見て誘発するか決まる([[領域変更誘発]])。 | ||
+ | *[[裏向き]]のクリーチャーを[[ちらつき/Flicker]]などの[[明滅]]手段を用いて一時的に[[追放]]すると、表向きで追放され、そのまま[[戦場]]に戻ってくる。これによって変異コストを踏み倒すテクニックが存在する。 | ||
+ | **ただし同一のオブジェクトが裏向きから[[表向き]]になったのではないため、[[表向きになったとき]]に誘発する誘発型能力は誘発しない。 | ||
===過去のルール=== | ===過去のルール=== | ||
*かつては、[[エキスパンション・シンボル]]も特性の一つとして扱われていたため、変異で唱える際に定義される各種特性の中に「エキスパンション・シンボルを持たない」という記述も含まれていた。[[2013年]]7月13日の[[総合ルール]]更新で[[対エキスパンションカード]]のルールが変更されたことに伴い、この記述は削除された。[[対エキスパンションカード]]の項も参照。 | *かつては、[[エキスパンション・シンボル]]も特性の一つとして扱われていたため、変異で唱える際に定義される各種特性の中に「エキスパンション・シンボルを持たない」という記述も含まれていた。[[2013年]]7月13日の[[総合ルール]]更新で[[対エキスパンションカード]]のルールが変更されたことに伴い、この記述は削除された。[[対エキスパンションカード]]の項も参照。 | ||
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− | + | ==その他== | |
− | * | + | *限られたカードで[[ゲーム]]を行う[[リミテッド]]では、正体を巡る駆け引きが特に重要となり、[[プレイング]]の巧拙も問われる奥深い[[メカニズム]]となっている([[スカークの猛士/Skirk Commando]]などの項も参照)。その一方で、自由にカードを選べる[[構築]]ではデッキに採用される変異持ちは優秀なものに限られてしまうため、「正体がバレバレ」ということになりがち。 |
− | + | **オンスロート・ブロック当時の[[トーナメント]]シーンで使われた変異持ちは[[賛美されし天使/Exalted Angel]]や[[生命を破滅させるもの/Bane of the Living]]など限られた数枚だったため、[[デッキカラー]]からその正体が容易に推測できた。 | |
− | **[[時のらせんブロック]] | + | **これを反省してか、[[時のらせんブロック]]や[[タルキール覇王譚ブロック]]で再登場した際はトーナメントレベルの変異持ちが増えており、複数種の変異持ちを同時に採用したデッキも現れるようになった(→[[セル]]、[[黒緑白コントロール#テーロス・ブロック+タルキール覇王譚ブロック期|アブザン大変異]]など)。例えば前者の例では、[[クリーチャー]]に強い[[ヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifter]]と[[インスタント]]・[[ソーサリー]]に強い[[意志を曲げる者/Willbender]]の判別が重要になる。 |
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*公式記事の解説や多くの変異持ちの[[絵|イラスト]]によれば、[[変異クリーチャー/Morph Creature]]は「粘土っぽい素材でできている、6本足の生物風の外殻」という状態である。これは[[オンスロート]]の[[エキスパンション・シンボル]]でもある。 | *公式記事の解説や多くの変異持ちの[[絵|イラスト]]によれば、[[変異クリーチャー/Morph Creature]]は「粘土っぽい素材でできている、6本足の生物風の外殻」という状態である。これは[[オンスロート]]の[[エキスパンション・シンボル]]でもある。 | ||
**[[タルキール/Tarkir]]の変異クリーチャーは変異蜘蛛ではなく、火の玉のような形をしている。詳細は[[変異クリーチャー/Morph Creature]]の項を参照。 | **[[タルキール/Tarkir]]の変異クリーチャーは変異蜘蛛ではなく、火の玉のような形をしている。詳細は[[変異クリーチャー/Morph Creature]]の項を参照。 | ||
− | *[[タルキール覇王譚]] | + | *[[タルキール覇王譚]]以降のいくつかの[[セット]]には、裏向きのカードの上に置く[[目印]]として、変異クリーチャー用の[[補助カード]]が収録されている。(→[[トークン・カード]]) |
*[[タルキール龍紀伝]]では、変種として[[大変異]]が登場した。変異と大変異は「変異能力/Morph Ability」としてまとめられ、[[背教/Backslide]]などの変異能力を参照するカードは両方を参照するよう[[オラクル]]が改訂された。 | *[[タルキール龍紀伝]]では、変種として[[大変異]]が登場した。変異と大変異は「変異能力/Morph Ability」としてまとめられ、[[背教/Backslide]]などの変異能力を参照するカードは両方を参照するよう[[オラクル]]が改訂された。 | ||
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− | == | + | ==開発秘話== |
+ | ===オンスロート・ブロック=== | ||
+ | 変異は、[[Illusionary Mask]]や[[Camouflage]]のような裏向きを扱う[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]黎明期のカードを、ルール的に整理する過程で誕生したメカニズムである。当時のルール・チームは、裏向きのカードの特性を不明とするのではなく、裏向きである限りルールで定められた特性を持つようにした。そしてこのルールを使えば、既存のカードの問題を解決できるだけでなく、新たなメカニズムを作れることに気づいたのだ。[[オンスロート]]のメカニズムを探していた[[Mark Rosewater]]はこれに興味を示し、2マナ1/1を十分な脅威となる3マナ2/2にするなど、いくつかの変更を加えて採用した<ref name="mm_150511">[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/phooey-2015-05-11 Phooey]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0014907/ フーイ]([[Making Magic]] [[2015年]]5月11日 [[Mark Rosewater]]著)</ref><ref name="mm_190805">[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/need-i-say-morph-2019-08-05 Need I Say Morph]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0032895/ その話はこのヘン(イ)で](Making Magic [[2019年]]8月5日 Mark Rosewater著)</ref>。 | ||
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+ | ===タルキール覇王譚ブロック=== | ||
+ | [[タルキール龍紀伝]]では変異の亜種として、様々なメカニズムが試された<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/imagine-dragons-part-1-2015-03-02 Imagine Dragons, Part 1]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0014471/ 龍を描け その1](Making Magic 2015年3月2日 Mark Rosewater著)</ref>。 | ||
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+ | *'''オーラ変異'''/''Auramorph'' - [[オーラ]]が持つ変異で、表向きになる際にクリーチャーに[[つける|つけ]]られる。 | ||
+ | *'''熊異'''/''Borph'' - (2)を支払うことで、2/2のクリーチャーとして裏向きで唱えられる。2マナ2/2の俗称である[[熊 (俗称)|熊(Bear)]]から。 | ||
+ | *'''超異'''/''Smorph'' - (4)を支払うことで、[[+1/+1カウンター]]が1個置かれた2/2のクリーチャーとして裏向きで唱えられる。 | ||
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+ | 最終的にこのメカニズムは[[大変異]]となったが、結果として大変異がプレイヤーに不評だったことから、Mark Rosewaterは超異をもっと推しておけばよかったと述べている<ref name="mm_190805" /><ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/state-design-2015-2015-08-24 State of Design 2015]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0015547/ デザイン演説2015](Making Magic 2015年8月24日 Mark Rosewater著)</ref>。 | ||
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+ | また熊異は、[[タルキール覇王譚ブロック]]全体で採用するべきか否かという議論にまで発展した。変異を丸ごと熊異に置き換えた[[タルキール覇王譚]]のコピーを作って変更とテストプレイを繰り返すという大実験の結果、環境が高速化する、裏向きのクリーチャーが表になることが少ない、[[氏族/Clan]]の独自性が減るなど多数の問題点があることが分かり、熊異は不採用になった<ref name="mm_150511" />。 | ||
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+ | タルキール覇王譚の変異コストが5マナ未満のクリーチャーは、いずれも2/2クリーチャーを一方的に倒せないようになっている。これは裏向きのクリーチャーを出した最初の2ターンは[[ブロック]]を容易に決断できるようにする狙いがある<ref>[https://web.archive.org/web/20150923180900/http://magic.wizards.com/en/articles/archive/ld/developing-khans-tarkir-2014-09-12 Developing Khans of Tarkir(Internet Archive)]/[https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0011196/ 『タルキール覇王譚』のデベロップ]([[Daily MTG]] 2014年9月12日 [[Sam Stoddard]]著)</ref>。タルキール龍紀伝の大変異や、カルロフ邸殺人事件の変装にも同様の法則が見受けられる。 | ||
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+ | *後の[[統率者2019]]で、オーラ変異と同じ働きをする[[破滅の贈り物/Gift of Doom]]が登場した。 | ||
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+ | ==脚注== | ||
<references /> | <references /> | ||
==参考== | ==参考== | ||
*{{WHISPER検索/カードテキスト|変異}} | *{{WHISPER検索/カードテキスト|変異}} | ||
− | *[[ | + | **{{WHISPER検索/カードテキスト|変異&&!大変異|変異(『大変異』を含まない)}} |
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+ | *[[表向きになったとき]] | ||
*[[裏向き]] | *[[裏向き]] | ||
*[[大変異]] | *[[大変異]] |
2024年10月7日 (月) 10:22時点における最新版
変異/Morph | |
---|---|
種別 | 常在型能力 |
登場セット | 多数 |
CR | CR:702.37 |
変異(へんい)/Morphはオンスロート・ブロック初出のキーワード能力。それを持つカードをプレイできるときに機能する常在型能力であり、そのカードを本来の特性を隠して裏向きのクリーチャーとして唱えることを許可する。
クリーチャー — ビースト(Beast)
変異(4)(白)(あなたはこのカードを、(3)で2/2クリーチャーとして裏向きに唱えてもよい。これの変異コストで、これをいつでも表向きにしてもよい。)
3/6土地
(T):(◇)を加える。
変異(2)(あなたはこのカードを、(3)を支払うことで2/2クリーチャーとして裏向きに唱えてもよい。その変異コストを支払うことで、それをいつでも表向きにしてよい。)
[編集] 定義
変異 [コスト]/Morph [コスト]は、「あなたはこのカードを、本来のマナ・コストではなく(3)を支払うことで、裏向きで2/2の、文章やカード名やクリーチャー・タイプやマナ・コストを持たないクリーチャーとして唱えられる。」を意味する。
また、あなたが優先権を持っているとき(インスタント・タイミング)ならいつでも、その(表向きの時点での)変異コストを支払うことで表向きにすることができる。この処理は特別な処理であり、スタックを使用しない。
[編集] 解説
クリーチャー(あるいはそれ以外)の正体を隠して唱えることができ、いつでも正体を現すことができるメカニズム。オンスロートで初登場し、レギオン、スカージ、時のらせん、次元の混乱、未来予知、タルキール覇王譚、統率者2014、統率者2019で再登場している。
オンスロート・ブロックでは全色に存在し、すべてクリーチャー・カードである。オンスロートでは戦闘ダメージを与えたり受けたりすることで誘発する能力を持つものが多い。レギオンでは表向きになったときに誘発する誘発型能力(通称、変異誘発型能力)を持つカードが登場した。スカージではマナ以外の変異コストを持つカードが登場した。
時のらせんブロックで復活した際には全色に存在するが特に青に多く、未来予知ではクリーチャー以外で変異を持つパーマネント・カードが登場した。
タルキール覇王譚でも多色を含む各色に均等に割り振られた。タルキール覇王譚ブロックでの登場はタルキール覇王譚だけだが、運命再編では予示、タルキール龍紀伝では大変異と亜種メカニズムが登場している。
カルロフ邸殺人事件では変異そのものは登場しないが、亜種メカニズムの変装が登場した。
[編集] ルール
裏向きの項も参照のこと。
[編集] 変異によって裏向きで唱える
バレてしまうので当たり前だが、カードを通常の表面で唱えるか裏向きで唱えるかの選択はスタックに置く前に行う。
- カードを裏向きで唱える際、あなたは変異能力(変異・大変異の総称)か変装能力のどちらを使用したか宣言する必要がある。
- 裏向きにした時点でマナ・コストの無いカードになるが、「(3)を支払う」という部分が代替コストを意味するため、唱えることができる。
- 代替コストは二重に適用できないため、裏向きに唱えるときに他の代替コストを適用することはできない。続唱や悪逆な富/Villainous Wealth等の「マナ・コストを支払うことなく唱える」ことは代替コストであるため、これらの方法では変異で唱えることはできない。コスト増加カード・コスト減少カードの影響は通常と同じく受ける。
- 呪文としての特性は「マナ総量が0である、無色のクリーチャー呪文」である。呪文を唱えることに関する許可や制限はこの特性で判断される。表面では唱えることができなくても、変異によって裏向きで唱えることを許可するルールや効果があれば変異で唱えることができる(CR:601.3e)。
- 例:翻弄する魔道士/Meddling Mageによって唱えることが禁止されているカードでも、変異によって裏向きで唱えるなら名前を持たない呪文になるので唱えることができる。
- 例:神秘の炉/Mystic Forgeは無色の呪文をライブラリーの一番上から唱えることを許可する能力を持つ。あなたは変異を持つ有色のカードを、変異によって裏向きでライブラリーの一番上から唱えることができる。
- 当然ながら、変異を持たないカードを裏向きで唱えることは違反行為(イカサマ)である。これを防止するため、裏向きの呪文がスタックから戦場以外の領域へ移動する際やゲーム終了時、および多人数戦においてプレイヤーがゲームを離れる際には、カードの表をすべて公開して、適正なプレイであったことを証明しなければならない(CR:708.9)。
[編集] 裏向きの特性
- 変異による裏向きのクリーチャーは「名前を持たない」ので、残響する真実/Echoing Truthや撲滅/Eradicateを食らってもほかのカードを巻き添えにしない(カード名がないのだから「同じカード名を持つカード」は存在しない)。
- クリーチャー・タイプも持たないので、旗印/Coat of Armsや仕組まれた疫病/Engineered Plagueなどのクリーチャー・タイプを参照するカードの影響も受けない。
[編集] 変異で表向きにする
- 表向きにすることに関する全般的なルールは裏向き#表向きにする/裏向きにするを参照。
- 変異コストを払って表向きになるのは優先権を持っているときに行える特別な処理であり、スタックを用いず直ぐに実行される。起動型能力ではないので呪われたトーテム像/Cursed Totemなどで禁止できないし、対応してなにかすることもできない。逆に、何かされたことに対応して表向きになることはできる。特別な処理の項も参照。
- 表向きにしたときに変異コストを参照できない場合、変異コストは支払えないため、表向きになることに失敗する。このような状況は、能力を失った場合や変異を持たないクリーチャーが裏向きになっている場合などに起きる。ルール上厳密には、変異コストは少し未来の時点(表向きになったときの特性)を参照することになる。
- 例:謙虚/Humilityの影響下ではクリーチャーの能力が失われるため、表面がクリーチャーの軍用ビヒモス/War Behemothは「表向きになった際に変異コストを参照する」ことができず表向きになれない。一方、表面がクリーチャーでない生けるものの洞窟/Zoetic Cavernは表向きになれる。
- 予示や偽装と混同しないように注意。あちらは能力を失っていても、本来のマナ・コストでなら表向きにできる。
- 表向きにしたときに変異コストを参照できない場合、変異コストは支払えないため、表向きになることに失敗する。このような状況は、能力を失った場合や変異を持たないクリーチャーが裏向きになっている場合などに起きる。ルール上厳密には、変異コストは少し未来の時点(表向きになったときの特性)を参照することになる。
- 変異以外の効果によって裏向きになっている場合でも、変異コストを支払うことで表向きになることができる。例えば予示によって戦場に出た場合も、そのカードのマナ・コストではなく変異コストを支払って表向きにしてもよい。
[編集] 裏向きで戦場を離れる場合
裏向きのパーマネントが戦場から他の領域へ移動する際やゲーム終了時、および多人数戦においてプレイヤーがゲームを離れる際には、オーナーはカードの表をすべてのプレイヤーに公開しなければならない(CR:708.9)。これは手札やライブラリーなど非公開領域へ移動する際も含まれる。
- 裏向きのまま戦場を離れる場合、それはルールにより表を公開することになるが表向きになってから戦場を離れるわけではない。死亡誘発や戦場を離れることによる誘発型能力は、戦場を離れる直前の状態を見て誘発するか決まる(領域変更誘発)。
- 裏向きのクリーチャーをちらつき/Flickerなどの明滅手段を用いて一時的に追放すると、表向きで追放され、そのまま戦場に戻ってくる。これによって変異コストを踏み倒すテクニックが存在する。
[編集] 過去のルール
- かつては、エキスパンション・シンボルも特性の一つとして扱われていたため、変異で唱える際に定義される各種特性の中に「エキスパンション・シンボルを持たない」という記述も含まれていた。2013年7月13日の総合ルール更新で対エキスパンションカードのルールが変更されたことに伴い、この記述は削除された。対エキスパンションカードの項も参照。
[編集] その他
- 限られたカードでゲームを行うリミテッドでは、正体を巡る駆け引きが特に重要となり、プレイングの巧拙も問われる奥深いメカニズムとなっている(スカークの猛士/Skirk Commandoなどの項も参照)。その一方で、自由にカードを選べる構築ではデッキに採用される変異持ちは優秀なものに限られてしまうため、「正体がバレバレ」ということになりがち。
- オンスロート・ブロック当時のトーナメントシーンで使われた変異持ちは賛美されし天使/Exalted Angelや生命を破滅させるもの/Bane of the Livingなど限られた数枚だったため、デッキカラーからその正体が容易に推測できた。
- これを反省してか、時のらせんブロックやタルキール覇王譚ブロックで再登場した際はトーナメントレベルの変異持ちが増えており、複数種の変異持ちを同時に採用したデッキも現れるようになった(→セル、アブザン大変異など)。例えば前者の例では、クリーチャーに強いヴェズーヴァの多相の戦士/Vesuvan Shapeshifterとインスタント・ソーサリーに強い意志を曲げる者/Willbenderの判別が重要になる。
- 公式記事の解説や多くの変異持ちのイラストによれば、変異クリーチャー/Morph Creatureは「粘土っぽい素材でできている、6本足の生物風の外殻」という状態である。これはオンスロートのエキスパンション・シンボルでもある。
- タルキール/Tarkirの変異クリーチャーは変異蜘蛛ではなく、火の玉のような形をしている。詳細は変異クリーチャー/Morph Creatureの項を参照。
- タルキール覇王譚以降のいくつかのセットには、裏向きのカードの上に置く目印として、変異クリーチャー用の補助カードが収録されている。(→トークン・カード)
- タルキール龍紀伝では、変種として大変異が登場した。変異と大変異は「変異能力/Morph Ability」としてまとめられ、背教/Backslideなどの変異能力を参照するカードは両方を参照するようオラクルが改訂された。
[編集] 開発秘話
[編集] オンスロート・ブロック
変異は、Illusionary MaskやCamouflageのような裏向きを扱うマジック黎明期のカードを、ルール的に整理する過程で誕生したメカニズムである。当時のルール・チームは、裏向きのカードの特性を不明とするのではなく、裏向きである限りルールで定められた特性を持つようにした。そしてこのルールを使えば、既存のカードの問題を解決できるだけでなく、新たなメカニズムを作れることに気づいたのだ。オンスロートのメカニズムを探していたMark Rosewaterはこれに興味を示し、2マナ1/1を十分な脅威となる3マナ2/2にするなど、いくつかの変更を加えて採用した[1][2]。
[編集] タルキール覇王譚ブロック
タルキール龍紀伝では変異の亜種として、様々なメカニズムが試された[3]。
- オーラ変異/Auramorph - オーラが持つ変異で、表向きになる際にクリーチャーにつけられる。
- 熊異/Borph - (2)を支払うことで、2/2のクリーチャーとして裏向きで唱えられる。2マナ2/2の俗称である熊(Bear)から。
- 超異/Smorph - (4)を支払うことで、+1/+1カウンターが1個置かれた2/2のクリーチャーとして裏向きで唱えられる。
最終的にこのメカニズムは大変異となったが、結果として大変異がプレイヤーに不評だったことから、Mark Rosewaterは超異をもっと推しておけばよかったと述べている[2][4]。
また熊異は、タルキール覇王譚ブロック全体で採用するべきか否かという議論にまで発展した。変異を丸ごと熊異に置き換えたタルキール覇王譚のコピーを作って変更とテストプレイを繰り返すという大実験の結果、環境が高速化する、裏向きのクリーチャーが表になることが少ない、氏族/Clanの独自性が減るなど多数の問題点があることが分かり、熊異は不採用になった[1]。
タルキール覇王譚の変異コストが5マナ未満のクリーチャーは、いずれも2/2クリーチャーを一方的に倒せないようになっている。これは裏向きのクリーチャーを出した最初の2ターンはブロックを容易に決断できるようにする狙いがある[5]。タルキール龍紀伝の大変異や、カルロフ邸殺人事件の変装にも同様の法則が見受けられる。
- 後の統率者2019で、オーラ変異と同じ働きをする破滅の贈り物/Gift of Doomが登場した。
[編集] 脚注
- ↑ 1.0 1.1 Phooey/フーイ(Making Magic 2015年5月11日 Mark Rosewater著)
- ↑ 2.0 2.1 Need I Say Morph/その話はこのヘン(イ)で(Making Magic 2019年8月5日 Mark Rosewater著)
- ↑ Imagine Dragons, Part 1/龍を描け その1(Making Magic 2015年3月2日 Mark Rosewater著)
- ↑ State of Design 2015/デザイン演説2015(Making Magic 2015年8月24日 Mark Rosewater著)
- ↑ Developing Khans of Tarkir(Internet Archive)/『タルキール覇王譚』のデベロップ(Daily MTG 2014年9月12日 Sam Stoddard著)
[編集] 参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 7 その他のルール
- 702 キーワード能力
- 702.37 変異/Morph
- 702.37a 変異は、その能力を持つカードをプレイできるすべての領域で機能する常在型能力であり、その効果は、そのカードが裏向きであるならいつでも機能する。「変異 [[[コスト]]]/Morph [cost]」は、「あなたはこのカードを、本来のマナ・コストではなく{3}を支払うことで、裏向きで2/2の、文章や名前やサブタイプやマナ・コストを持たないクリーチャーとして唱えられる。」を意味する。(rule 708〔裏向きの呪文やパーマネント〕参照。)
- 702.37b 大変異は、変異 能力の変種である。「大変異 [[[コスト]]]/Megamorph [cost]」は、「あなたはこのカードを、本来のマナ・コストではなく{3}を支払うことで、裏向きで2/2の、文章や名前やサブタイプやマナ・コストを持たないクリーチャーとして唱えられる。」と「このパーマネントがオモテ向き になるに際し、オモテ向き になるためにこれの大変異 コストを支払っていたなら、+1/+1カウンター1個をこれの上に置く。」を意味する。大変異 コストは変異 コストである。
- 702.37c 変異 能力を使ってカードを唱えるには、それを裏向きにする。それは、文章や名前やサブタイプやマナ・コストを持たない、2/2の裏向きのクリーチャー・カードとなる。(そのカードのオモテ向きの時の特性ではなく)それらの特性を持つカードを唱えることに適用される効果や禁止が、このカードを唱える際に適用される。これらの値はオブジェクトの特性のコピー可能な値である。(rule 613〔継続的効果の相互作用〕、rule 707〔オブジェクトのコピー〕参照。)それを(同じ特性を持つ裏向きの呪文として)スタックに積み、本来のマナ・コストではなく{3}を支払う。これは、代替コストのルールに則って処理される。通常そのカードをプレイできる領域ならどの領域からでも、変異 能力を使ってそのカードを唱えることができる。その呪文が解決されたとき、それは呪文のときと同じ特性を持って戦場に出る。変異の効果は、その裏向きのオブジェクトがどこにあっても適用され、オモテ向き になったときに終わる。
- 702.37d 通常、カードを裏向きに唱えることはできない。変異 能力があれば可能である。
- 702.37e あなたが優先権を持つときならいつでも、あなたは変異 能力を持つ裏向きのパーマネントをオモテ向きにしてよい。これは特別な処理であり、スタックを用いない(rule 116 参照)。そうするには、そのパーマネントがオモテ向き になった場合の変異 コストが何であるかをすべてのプレイヤーに示し、それを支払い、そのパーマネントをオモテ向きにする。(そのパーマネントがオモテ向き になった場合に変異 コストを持たない場合、この方法でオモテ向きにすることはできない。)変異の効果は終了し、そのパーマネントは通常の特性を取り戻す。そのパーマネントが戦場に出たときに誘発する能力は、オモテ向き になったときには誘発せず、効果を発揮しない。そのパーマネントはすでに戦場に出ているからである。
- 702.37f パーマネントの変異 コストがXを含み、そのパーマネントの他の能力もXを参照していることがある。それらの能力のXは、変異の特別な処理を行なった際に選ばれた値と等しい。
- 702.37g 変異 能力を持つカードを唱えることに関する詳細は、rule 708〔裏向きの呪文やパーマネント〕参照。
- 702.37 変異/Morph
- 702 キーワード能力