代替コスト
提供:MTG Wiki
代替コスト/Alternative Costとは、呪文を唱える際に、本来のマナ・コスト以外で支払うことができるコストのことである。
クリーチャー — 運び手(Bringer)
あなたは、この呪文のマナ・コストを支払うのではなく、(白)(青)(黒)(赤)(緑)を支払うことを選んでもよい。
トランプル
あなたのアップキープの開始時に、あなたの墓地にあるアーティファクト・カード1枚を対象とする。あなたはそれを戦場に戻してもよい。
ソーサリー
いずれかの対戦相手が平地(Plains)をコントロールしており、かつあなたが沼(Swamp)をコントロールしているなら、あなたはこの呪文をそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
ターン終了時まで、すべてのクリーチャーは-2/-2の修整を受ける。
インスタント
怒濤(2)(青)(あなたかチームメイトがこのターンに他の呪文を唱えていたなら、あなたはこの呪文を怒濤コストで唱えてもよい。)
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを2枚引く。
目次 |
概要
その名の通り、本来のコストの「代わりに」支払って唱えることができるコストのこと。ルール文章には「あなたは[このオブジェクト]のマナ・コストを支払うのではなく、[処理]することを選んでもよい」あるいは「[このオブジェクト]はマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい」と書かれる。
特定の状況でのみ代替コストを支払えたり、特定の代替コストを支払った場合にのみ追加の効果を得たりする例もある。これらは特にキーワード能力による代替コストに多い。
そのカードがもともと持っている場合もあれば、別のカードの効果によって与えられる場合もある。
ルール
- 代替コストを適用した場合でも、通常の呪文を唱える手順に従う。対象がないのに勝手に唱えたりはできないし、打ち消しされたりもする。
- どのようなコストで支払っても、呪文自体の性質は変化しない。その呪文のマナ・コストや点数で見たマナ・コスト、色なども変化しない。特別に許可されていない限り、ソーサリーをインスタント・タイミングで唱えたりもできない。
- 代替コストも「唱えるためのコスト」であるため、コストを減少させる効果や増加させる効果が適用される。
- 代替コストで代わりに支払えるのはマナ・コストのみである。追加コストまでは代替しない。
- 1つのオブジェクトが複数の代替コストを適用できる場合でも、そのうちの1つしか適用できない。また、1つ1つの代替コストは独立しており、組み合わせたり混ぜ合わせたりすることもできない。
- 例えば意志の力/Force of Willやドラゴン化/Dragonshiftに瞬唱の魔道士/Snapcaster Mageでフラッシュバックを与えたとしても、手札1枚とライフ1点でフラッシュバックしたり、超過コストでフラッシュバックしたりはできない。
- 代替コストを適用した場合、呪文の性質によっては不利になることがある点に注意。
- 例えば、ドリーム・ホール/Dream Hallsの代替コストで輝く群れ/Shining Shoalを唱えた場合、代替コストにXを含まないため、X=0しか指定できない。
- 輝く群れ自身の持つ代替コストならば、代替コストにXが含まれているため、Xを指定できる。
- また例えば、ドリーム・ホールの代替コストで炎渦竜巻/Firespoutを唱えた場合、赤マナも緑マナも支払われていないため、どちらの効果も現れない。一方、太陽の拳/Fist of Sunsの代替コストで炎渦竜巻を唱えた場合、赤マナも緑マナも支払われているため、どちらの効果も現れる。
- 例えば、ドリーム・ホール/Dream Hallsの代替コストで輝く群れ/Shining Shoalを唱えた場合、代替コストにXを含まないため、X=0しか指定できない。
代替コストを定義するキーワード能力
能力の詳細は各ページを参照のこと。
「制限」の欄に記載のない場合、それが唱えられるときならいつでも指定の代替コストを支払って唱えることができる。通常それは手札から、インスタントや瞬速を持つカードでなければソーサリー・タイミングにのみ唱えられる。
- それ自体を代替コストで唱える能力
キーワード能力 | 制限 | 備考 | マナ支払い |
---|---|---|---|
フラッシュバック | 墓地からのみ可 | スタックを離れると追放 | 指定コスト |
マッドネス | 手札から捨てたとき(誘発) | - | 指定コスト |
変異/大変異 | クリーチャー呪文を唱えられるとき | 裏向きのクリーチャー呪文として唱える | (3)固定 |
待機 | 待機状態で最後の時間カウンターが取り除かれたとき(誘発) | 特別な処理を含む能力 | 支払うことなく唱える |
想起 | - | 戦場に出たときに生け贄に捧げる | 指定コスト |
徘徊 | 特定のクリーチャー・タイプのクリーチャーでプレイヤーに戦闘ダメージを与えたターン | - | 指定コスト |
反復 | 手札から唱えて解決された次の自分のアップキープ開始時(誘発) | - | 支払うことなく唱えられる |
奇跡 | そのターンで最初に引いたカードだったとき(誘発) | - | 指定コスト |
超過 | - | 対象を取らず効果範囲が全体化 | 指定コスト |
授与 | - | オーラ呪文として唱える | 指定コスト |
疾駆 | - | 終了ステップに手札に戻る | 指定コスト |
覚醒 | - | 追加で自分の土地をクリーチャー化 | 指定コスト |
怒濤 | チームメイトが他の呪文を唱えたターン | - | 指定コスト |
現出 | - | 追加コストとしてクリーチャー1体を生け贄 | 指定コスト(生け贄に応じて減少) |
絢爛 | いずれかの対戦相手がライフを失ったターン | - | 指定コスト |
脱出 | 墓地からのみ可 | 追加コストとして他の墓地のカードを指定枚数追放 | 指定コスト |
変容 | - | 変容したクリーチャー呪文として唱える | 指定コスト |
- そのカード以外を代替コストで唱える効果を含む能力
- 波及 - 唱えたときにライブラリーの一番上から4枚の中にある同名カードをマナ・コストを支払わずに唱えられる。
- 続唱 - 唱えたときにライブラリーの一番上からそれより点数で見たマナ・コストの低いカードがめくれるまで追放、めくれたらそれをマナ・コストを支払わずに唱えられる。
- 暗号 - 解決時に任意で自分のクリーチャーに暗号化して追放、それがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび暗号化されたそれのコピーをマナ・コストを支払わずに唱えられる。
参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 1 ゲームの考え方
- 118 コスト
- 118.9 代替コストを持つ呪文が存在する。代替コストは呪文の文章に記されているか、または他の効果によって適用されるコストで、そのコントローラーが呪文のマナ・コストを支払うのではなく支払うことができるコストのことである。代替コストは「あなたは[このオブジェクトの]マナ・コストを支払うのではなく[処理]してもよい/You may [action] rather than pay [this object's] mana cost」あるいは「あなたは[このオブジェクトを]そのマナ・コストを支払うことなく唱えてよい/You may cast [this object] without paying its mana cost.」と書かれている。キーワードとして記される代替コストも存在する。rule 702 参照。
- 118.9a 単一の呪文を唱えるに際しては、代替コストは1つしか適用できない。その呪文のコントローラーは、そのコストを支払う意思を、rule 601.2b に基づいて宣言する。
- 118.9b 代替コストは一般的に選択可能である。呪文を唱えることを認める効果は、特定の代替コストの支払いを必要とすることがある。
- 118.9c 代替コストによって呪文のマナ・コストが変化することはなく、単にそれを唱えるに際して支払うべきコストが変化するだけである。呪文のマナ・コストを参照する呪文や能力は、その元の値を参照する。
- 118.9d 呪文を唱えるために代替コストを支払う場合、その呪文に影響を及ぼす追加コストやコスト増加、コスト減少はその代替コストに対して適用される(rule 601.2f 参照)。
- 118.9 代替コストを持つ呪文が存在する。代替コストは呪文の文章に記されているか、または他の効果によって適用されるコストで、そのコントローラーが呪文のマナ・コストを支払うのではなく支払うことができるコストのことである。代替コストは「あなたは[このオブジェクトの]マナ・コストを支払うのではなく[処理]してもよい/You may [action] rather than pay [this object's] mana cost」あるいは「あなたは[このオブジェクトを]そのマナ・コストを支払うことなく唱えてよい/You may cast [this object] without paying its mana cost.」と書かれている。キーワードとして記される代替コストも存在する。rule 702 参照。
- 118 コスト
引用:総合ルール 20231117.0
- 6 呪文、能力、効果
- 601 呪文を唱えること
- 601.2 呪文を唱えるとは、やがて解決されてその効果が発生するよう、それを現在ある場所(通常は手札)から取り、スタックに積み、コストを支払うことである。呪文を唱える、という中には、その呪文の提示(rule 601.2a-d)と、コストの決定と支払い(rule 601.2f-h)が含まれる。呪文を唱えることは、以下の順番で以下の手順を踏む。プレイヤーがこの手順を始めるには、その呪文を適正に唱えられる必要がある(rule 601.3 参照)。下記に列記されている手順の実行中にその手順で必要なことができなかったら、その呪文を唱えることは不正である。ゲームはその呪文が提示される直前の瞬間まで巻き戻される(rule 728〔不正な処理の扱い〕参照)。
- 601.2a 呪文を唱えることを提示する場合、プレイヤーはまずそのカード(あるいはそのカードのコピー)を元の領域からスタックへと動かす。それはスタックの一番上にあるオブジェクトとなる。これはそのカード(あるいはそのカードのコピー)のすべての特性を持ち、そのプレイヤーがそのコントローラーとなる。あなたがその呪文を唱え始めるに際してその特性を修整する継続的効果は、それがスタックに置かれるに際して始まる(rule 611.2f 参照)。呪文は、解決されるか打ち消されるか、あるいはルールや効果によって他の領域に動かされるまでスタックにとどまる。
- 601.2b 呪文がモードを持つ場合、プレイヤーはモードの選択を宣言する(rule 700.2 参照)。プレイヤーがその呪文に他のカードを連繋(rule 702.47 参照)したい場合、そのカードを手札から公開する。その呪文が、バイバックやキッカーと言った、代替コストや追加コスト(rule 118.8、rule 118.9 参照)を持っている場合、プレイヤーはそのコストのうちどれを払うかを宣言する(rule 601.2f 参照)。単一の呪文に対し、複数の代替法で唱えたり、あるいは代替コストを支払ったりすることはできない。その呪文が、唱える間に支払う可変のコスト(マナ・コストに含まれる{X}など。rule 107.3 参照)を持つ場合、プレイヤーはその値を宣言する。その数字が、そのプレイヤーが後でその呪文の宣言中あるいは解決中に行う選択によってその呪文の文章中で定義されている場合、プレイヤーはその選択をこの時点で行う。その呪文を唱える間に支払うコストに混成マナ・シンボルが含まれている場合、プレイヤーは混成でないマナでどう支払うかを宣言する。その呪文を唱える間に支払うコストにファイレクシア・マナが含まれている場合、プレイヤーはそれらの各シンボルごとに2点のライフを支払うかその色のマナを支払うかを宣言する。前段階での選択(墓地からフラッシュバックで呪文を唱えることを選んだ、変異つきクリーチャーを裏向きに唱えることを選んだなど)は、それ以降の選択を制約する。
- 601.2c プレイヤーは、その呪文の求める対象それぞれについて、適正なプレイヤーやオブジェクトを選んで宣言する。代替コストや追加コスト(キッカー・コストなど)を支払ったとき、あるいは特定のモードを選んだときにのみ対象を取りうる呪文は、それ以外の場合には対象を取りえないものとして唱えられる。同様に、代替コストや追加コストが選択された場合にだけ他の対象を取りえることがある。呪文が可変の数の対象を取る場合、プレイヤーは対象を宣言する前にいくつの対象を取るのかを宣言する。対象の数が、呪文の文章によって定められていることがある。呪文の定める対象の数が決定されたら、その対象の数を決定するために参照された情報が変わったとしても、その数は変わらない。同じ「target」の語で示される中で(日本語版では、「[性質]N個」」「[性質]や[別の性質]のうちM個」としてまとめられている中で)、同じ対象を複数回選ぶことはできない。複数の対象群がある場合、同一のプレイヤーやオブジェクトを(条件を満たしているなら)それぞれで1回ずつ対象に取ることができる。あるオブジェクトやプレイヤーが対象として選ばれなければならないという効果がある場合、対象を選ぶプレイヤーは、オブジェクトやプレイヤーを対象にできないとするルールや効果に反しない限りにおいて最大の数のその種の効果に従うように対象を選ぶ。選ばれたプレイヤーやオブジェクトはその呪文の対象となる。(それらが呪文の対象となったときに誘発する能力はこの時点で誘発する。この呪文が唱えられ終わるまで、その能力はスタックには積まれない。)
- 601.2d 呪文によって、プレイヤーが1つ以上の対象を含む複数のオブジェクトやプレイヤーにダメージやカウンターなどの効果を分割したり分配したりするとき、そのプレイヤーは、選ばれたプレイヤーやオブジェクトそれぞれが最低限それを1つは受けるように、量と分割の仕方を選ぶ。
- 601.2e ゲームは提示された呪文が適正に唱えられるかどうかを見る。提示された呪文が不正だった場合、ゲームはその呪文を唱えることが提示される直前の瞬間に戻る(rule 728〔不正な処理の扱い〕参照)。
- 601.2f プレイヤーはその呪文の総コストを決定する。通常、そのマナ・コストだけである。追加コストや代替コストを持つ呪文や、支払うべきコストを増減させる効果、あるいは他の代替コストを使えるようにする効果も存在する。コストには、マナの支払い、パーマネントのタップ、パーマネントの生け贄、手札のカードを捨てる、などが含まれる。総コストとは、マナ・コストまたは代替コスト(rule 601.2b で決定したもの)に、すべての追加コストやコストの増加分を加え、コストの減少分を引いたものである。複数のコスト減少が適用される場合、そのプレイヤーは任意の順番でそれらを適用する。コストの増減を計算した結果として総コストのマナ部分がなくなった場合、それは{0}として扱う。{0}未満に減少することはない。この計算後、総コストを直接変更する効果が適用され、総コストが「固定」される。この後で効果が総コストを変更しようとしても、何の効果もない。
- 601.2g 総コストの中にマナの支払いが含まれる場合、そのプレイヤーはマナ能力を起動する機会(rule 605〔マナ能力〕参照)を得る。マナ能力はコストを支払う前に起動する必要がある。
- 601.2h プレイヤーはその総コストを支払う。まず、無作為の要素やライブラリーから公開領域にオブジェクトを動かすことを含まないすべてのコストを任意の順で支払う。その後、残りのすべてのコストを任意の順で支払う。一部分だけ支払うことは許されない。それらのうち支払うことのできないものを支払うことは選べない。
- 601.2i rule 601.2a-h で示された手順が完了したら、その呪文が唱えられるに際してその呪文の特性を変更する効果が適用される。その後、その呪文は唱えられたことになる。呪文が唱えられたこと、あるいはスタックに積まれたことによる誘発型能力は、この時点で誘発する。その呪文のコントローラーがそれを唱える前に優先権を持っていた場合、そのプレイヤーは優先権を得る。
- 601.2 呪文を唱えるとは、やがて解決されてその効果が発生するよう、それを現在ある場所(通常は手札)から取り、スタックに積み、コストを支払うことである。呪文を唱える、という中には、その呪文の提示(rule 601.2a-d)と、コストの決定と支払い(rule 601.2f-h)が含まれる。呪文を唱えることは、以下の順番で以下の手順を踏む。プレイヤーがこの手順を始めるには、その呪文を適正に唱えられる必要がある(rule 601.3 参照)。下記に列記されている手順の実行中にその手順で必要なことができなかったら、その呪文を唱えることは不正である。ゲームはその呪文が提示される直前の瞬間まで巻き戻される(rule 728〔不正な処理の扱い〕参照)。
- 601 呪文を唱えること