両面カード
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− | '''両面カード'''/''Double-Faced Card''とは、[[イニストラード・ブロック]] | + | '''両面カード'''/''Double-Faced Card''とは、[[イニストラード・ブロック]]で初登場した[[カード]]群の呼称。 |
==解説== | ==解説== | ||
− | 1枚のカードの表と裏、両方に[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]のカードの[[表面]] | + | 1枚のカードの表と裏、両方に[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]のカードの[[表面]]があるカードであり、定型のマジックのカードで初の裏が「デッキマスター」デザインになっていないカードである。イニストラード・ブロックで初登場して以降、いくつもの[[カード・セット]]で登場している[[メカニズム]]である。 |
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===[[デッキ]]に入れる場合=== | ===[[デッキ]]に入れる場合=== | ||
両面カードが[[ライブラリー]]や[[手札]]といった[[非公開領域]]にあるとき、同じ[[領域]]にある他のカードと区別が付かないようにしなければならない。それゆえ両面カードを[[デッキ]]に入れる場合、完全に不透明な[[スリーブ]]を用いるか、[[チェックリストカード]]を使わなければならない。 | 両面カードが[[ライブラリー]]や[[手札]]といった[[非公開領域]]にあるとき、同じ[[領域]]にある他のカードと区別が付かないようにしなければならない。それゆえ両面カードを[[デッキ]]に入れる場合、完全に不透明な[[スリーブ]]を用いるか、[[チェックリストカード]]を使わなければならない。 | ||
− | * | + | *特定の両面カードをチェックリストカードで表す場合、その特定のカードについてデッキ内のすべての両面カードをチェックリストカードで表さなければならない<ref>[https://mtg-jp.com/gameplay/rules/docs/0006837/ マジックイベント規定]</ref>。 |
− | * | + | *デッキに4枚のチェックリストカードを入れて1枚しか所持していない両面カードを使いまわすような水増しはできない。チェックリストカード1枚が両面カード1枚の代用品である。 |
− | *[[トーナメント]]では、スリーブが透けていて区別がつく状態になっていると、[[不正行為|故意の違反]]として[[失格]] | + | *[[トーナメント]]では、スリーブが透けていて区別がつく状態になっていると、[[不正行為|故意の違反]]として[[失格]]処分となる可能性があるので注意<ref>[https://mtg-jp.com/coverage/worlds11/article/0000867/ Feature: ジャッジ、世界の舞台で](Event Coverage)</ref>。 |
===[[特性]]=== | ===[[特性]]=== | ||
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両面カードで表される[[パーマネント]]が[[変身]]した場合、それは新たに[[戦場に出る|戦場に出た]]のではなく変身後も同一の[[オブジェクト]]のままである。[[つける|ついて]]いる[[オーラ]]や[[装備品]]、負った[[ダメージ]]、配置されている[[カウンター (目印)|カウンター]]、受けている[[修整]]などはそのまま残り続ける。詳細は[[変身]]の項を参照。 | 両面カードで表される[[パーマネント]]が[[変身]]した場合、それは新たに[[戦場に出る|戦場に出た]]のではなく変身後も同一の[[オブジェクト]]のままである。[[つける|ついて]]いる[[オーラ]]や[[装備品]]、負った[[ダメージ]]、配置されている[[カウンター (目印)|カウンター]]、受けている[[修整]]などはそのまま残り続ける。詳細は[[変身]]の項を参照。 | ||
− | * | + | *例:第1面と第2面のカードはそれぞれ別の[[カード名]]を持つため、カード名を参照する効果はそれぞれ片一方のみに発揮される。[[ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy]]を指定した[[真髄の針/Pithing Needle]]は[[ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigy|束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unbound]]の能力の[[起動]]を禁止できず、逆も同じである。 |
両面カードの第2面は[[マナ・コスト]]を持たない([[マナ・コストの無いカード]])が、第2面の[[点数で見たマナ・コスト]]を参照する場合のみ、第1面のマナ・コストに基づいた値を参照する。ただしオブジェクトが第2面の[[コピー]]となった場合は、(それが両面カードだったとしても)その点数で見たマナ・コストは0である。 | 両面カードの第2面は[[マナ・コスト]]を持たない([[マナ・コストの無いカード]])が、第2面の[[点数で見たマナ・コスト]]を参照する場合のみ、第1面のマナ・コストに基づいた値を参照する。ただしオブジェクトが第2面の[[コピー]]となった場合は、(それが両面カードだったとしても)その点数で見たマナ・コストは0である。 | ||
+ | *例1:束縛なきテレパス、ジェイスの点数で見たマナ・コストは、第1面のヴリンの神童、ジェイスのものを参照するため、2である。 | ||
+ | *例2:[[賢いなりすまし/Clever Impersonator]]が束縛なきテレパス、ジェイスのコピーになった。その点数で見たマナ・コストは0である。 | ||
===両面カードのコピー=== | ===両面カードのコピー=== | ||
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両面カードではないカードが両面カードのいずれかの面のコピーになった場合、それを変身する効果は無視される({{CR|701.25c}})。両面カードが両面カードのいずれかの面のコピーになった場合、それを変身する効果は実際にそのカードを変身させるが、その特性はコピーされた特性のままである。 | 両面カードではないカードが両面カードのいずれかの面のコピーになった場合、それを変身する効果は無視される({{CR|701.25c}})。両面カードが両面カードのいずれかの面のコピーになった場合、それを変身する効果は実際にそのカードを変身させるが、その特性はコピーされた特性のままである。 | ||
− | * | + | *例1:[[クローン/Clone]]が戦場に出る際、コピー先として第2面である[[ガツタフの羊飼い/Gatstaf Shepherd|ガツタフの咆哮者/Gatstaf Howler]]を選んだ場合、クローンは第1面の[[ガツタフの羊飼い/Gatstaf Shepherd]]ではなく、現在表になっているガツタフの咆哮者のコピーとして戦場に出る。ガツタフの咆哮者であるクローンが[[アップキープ]]に変身することになっても、それは両面カードではないので変身することはない。 |
− | * | + | *例2:ガツタフの羊飼いが[[無謀な浮浪者/Reckless Waif]]のコピーになった場合、その後変身しガツタフの咆哮者の面が表になってもその特性はガツタフの咆哮者でも[[無謀な浮浪者/Reckless Waif|無慈悲な捕食者/Merciless Predator]]でもなく、コピーされた無謀な浮浪者の特性のままになる。 |
− | + | オブジェクトが特定の特性を持つオブジェクトに「変身した」ときに誘発する誘発型能力は、そのオブジェクトが変身し、変身した直後にその指定された特性を持っている場合に誘発する({{CR|701.25e}})。 | |
*[[高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells]]のコピーになっている、両面カードではないカードと両面カードがある。アップキープにそれぞれの変身する能力が誘発し解決された場合、どちらも変身後の特性は高原の狩りの達人のままであることは変わりないが、両面カードではない方のコピーは実際に変身しないので自身の「このクリーチャーが《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》に変身するたび」という能力を誘発させることは無い。両面カードであるコピーは変身するので「変身するたび」の能力が誘発する。 | *[[高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells]]のコピーになっている、両面カードではないカードと両面カードがある。アップキープにそれぞれの変身する能力が誘発し解決された場合、どちらも変身後の特性は高原の狩りの達人のままであることは変わりないが、両面カードではない方のコピーは実際に変身しないので自身の「このクリーチャーが《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》に変身するたび」という能力を誘発させることは無い。両面カードであるコピーは変身するので「変身するたび」の能力が誘発する。 | ||
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**例:[[情け知らずのガラク/Garruk Relentless]]はその第1面は[[緑]]だが、第2面は[[黒緑]]の[[色指標]]を持っているため、その固有色は黒緑である。 | **例:[[情け知らずのガラク/Garruk Relentless]]はその第1面は[[緑]]だが、第2面は[[黒緑]]の[[色指標]]を持っているため、その固有色は黒緑である。 | ||
*第2面がクリーチャーである場合、第1面の[[文章欄]]右下に第2面の[[P/T]]が灰色の文字で印刷されている({{Gatherer|id=337484|カード画像}})。これは[[注釈文]]であり、ルールに影響しない。 | *第2面がクリーチャーである場合、第1面の[[文章欄]]右下に第2面の[[P/T]]が灰色の文字で印刷されている({{Gatherer|id=337484|カード画像}})。これは[[注釈文]]であり、ルールに影響しない。 | ||
− | *[[ドラフト]]において、一部の[[ルール適用度]](REL)「プロ」のイベントを除く、両面カードは[[公開情報]]となる。通常のドラフトと同じように、[[ピック]] | + | *[[ドラフト]]において、一部の[[ルール適用度]](REL)「プロ」のイベントを除く、両面カードは[[公開情報]]となる。通常のドラフトと同じように、[[ピック]]した両面カードは次のピックまでの間、ピックしたカードの束の一番上に置いておかなければならない。なお、ピックした両面カードは、好きな面を上にして置くことができる。 |
**両面カードを含むセットのREL「プロ」のドラフトにおいて、使用した[[ブースターパック]]の両面カードの出現率によりさらなるルールが追加される。 | **両面カードを含むセットのREL「プロ」のドラフトにおいて、使用した[[ブースターパック]]の両面カードの出現率によりさらなるルールが追加される。 | ||
− | ***[[イニストラードを覆う影ブロック]] | + | ***[[イニストラードを覆う影ブロック]]ドラフトの場合、事前にジャッジによるパック開封し、マーキング終了後[[スリーブ]]に収めた形でプレイヤーに配布され、全カードは[[非公開情報]]となった<ref>[http://www.gatheringmagic.com/alexullman-news-041916-update-to-pro-tour-shadows-over-innistrad-draft/ Update to Pro Tour Shadows over Innistrad Draft](GatheringMagic.com)</ref><ref>[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/news/double-faced-cards-procedure-professional-rel-drafts-2016-05-25 Double-Faced Cards Procedure for Professional REL Drafts](News [[2016年]]5月25日 [[WotC]]著)</ref>。 |
− | ***[[イクサラン・ブロック]] | + | ***[[イクサラン・ブロック]]ドラフトの場合、プレイヤーによるパック開封し、各自が開封したパックに入っていた両面カードをすべてのプレイヤーに公開し、その後、通常ドラフトと同じように進行した。 |
**[[Magic Online]]におけるドラフトでは、両面カードは非公開情報である。 | **[[Magic Online]]におけるドラフトでは、両面カードは非公開情報である。 | ||
**両面カードの発表当初は「公開してもよいし、適切な手段(束の一番下に置くなど)で隠してもよい」というルールであったが、[[プレイヤー]]の物理的な能力による有利不利が生じないよう、イニストラード発売を待たずしてルールが変更された。 | **両面カードの発表当初は「公開してもよいし、適切な手段(束の一番下に置くなど)で隠してもよい」というルールであったが、[[プレイヤー]]の物理的な能力による有利不利が生じないよう、イニストラード発売を待たずしてルールが変更された。 | ||
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*開発中には[[反転カード]]のシステムを使用することも検討されていたが、最終的に両面カードを用いることとなった。そのためこの2つのシステムには似ている部分が多い。 | *開発中には[[反転カード]]のシステムを使用することも検討されていたが、最終的に両面カードを用いることとなった。そのためこの2つのシステムには似ている部分が多い。 | ||
**反転カードが没となった理由については、[[Mark Rosewater]]はコラム([[#参考]]参照)で、「市場調査で反転カードの評価が低く、[[R&D]]は失敗作とみなしている。そのため失敗を繰り返すよりも新規開拓を選択した」と回答している。 | **反転カードが没となった理由については、[[Mark Rosewater]]はコラム([[#参考]]参照)で、「市場調査で反転カードの評価が低く、[[R&D]]は失敗作とみなしている。そのため失敗を繰り返すよりも新規開拓を選択した」と回答している。 | ||
− | *非常に評価の高いメカニズムであることを何度も公式に言及されている。両面カードの[[ストーム値]]は2とされ(変身は3)、マジック史上最も愛されたメカニズムの最高位とまで言われている<ref>[http://mtg-jp.com/reading/translated/mm/0018619/ ストーム値:『イニストラード』『イニストラードを覆う影』]</ref>。一方、それほどの高評価でありながら毎セットに入れない理由についても幾つか挙げられている<ref>[ | + | *非常に評価の高いメカニズムであることを何度も公式に言及されている。両面カードの[[ストーム値]]は2とされ(変身は3)、マジック史上最も愛されたメカニズムの最高位とまで言われている<ref>[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/storm-scale-innistrad-and-shadows-over-innistrad-2017-03-27 Storm Scale: Innistrad and Shadows over Innistrad]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/mm/0018619/# ストーム値:『イニストラード』『イニストラードを覆う影』](Making Magic [[2017年]]3月27日 [[Mark Rosewater]]著) |
+ | </ref>。一方、それほどの高評価でありながら毎セットに入れない理由についても幾つか挙げられている<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/odds-ends-amonkhet-part-1-2017-05-22 Odds & Ends: Amonkhet, Part 1]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0018873/ こぼれ話:『アモンケット』 その1](Making Magic 2017年5月22日 Mark Rosewater著)</ref><ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/odds-ends-ixalan-part-2-2017-10-16 Odds & Ends: Ixalan, Part 2]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0019796/ こぼれ話:『イクサラン』 その2](Making Magic 2017年10月16日 Mark Rosewater著)</ref>。 | ||
*[[異界月]]以外の[[狼男]]はすべて同じ変身条件を持つ。文章量削減のために変身条件を[[キーワード能力|キーワード化]]することも検討されたが、既に「変身」がキーワード処理であるため、キーワード内にキーワードを含んでしまうとルール上の問題になりやすいため避けられた。 | *[[異界月]]以外の[[狼男]]はすべて同じ変身条件を持つ。文章量削減のために変身条件を[[キーワード能力|キーワード化]]することも検討されたが、既に「変身」がキーワード処理であるため、キーワード内にキーワードを含んでしまうとルール上の問題になりやすいため避けられた。 | ||
*イラストが両面にある[[トークン・カード]]もある。詳細は[[トークン・カード]]の項を参照。 | *イラストが両面にある[[トークン・カード]]もある。詳細は[[トークン・カード]]の項を参照。 | ||
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+ | *[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/werewolves-gone-wild-2011-09-16 Werewolves Gone Wild]/[https://mtg-jp.com/reading/translated/0003997/ 狼男、猛る](Latest Developments 2011年9月16日 [[Tom LaPille]]著) | ||
+ | *[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/feature/unanswered-questions-innistrad-2011-10-10 Unanswered Questions: Innistrad]/[https://mtg-jp.com/reading/translated/0004003/ 未回答問題:イニストラード](Feature 2011年10月10日 Mark Rosewater著) | ||
+ | *[https://mtg-jp.com/gameplay/rules/docs/0016678/ 『イニストラード』両面カード よくある質問集] | ||
+ | *[https://wpn.wizards.com/sites/wpn/files/attachements/dfc_faq_jp_2017-09-25.pdf 両面カード よくある質問集 2017 年 9 月 25 日更新]([[WPN]]、PDF文書) | ||
*[[From the Vault:Transform]] | *[[From the Vault:Transform]] | ||
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2018年6月23日 (土) 07:02時点における版
両面カード/Double-Faced Cardとは、イニストラード・ブロックで初登場したカード群の呼称。
目次 |
解説
1枚のカードの表と裏、両方にマジックのカードの表面があるカードであり、定型のマジックのカードで初の裏が「デッキマスター」デザインになっていないカードである。イニストラード・ブロックで初登場して以降、いくつものカード・セットで登場しているメカニズムである。
クリーチャー — 人間(Human) 狼男(Werewolf)
各アップキープの開始時に、直前のターンに呪文が唱えられていなかった場合、ガツタフの羊飼いを変身させる。
2/2Gatstaf Howler / ガツタフの咆哮者
〔緑〕 クリーチャー — 狼男(Werewolf)
威嚇(このクリーチャーはアーティファクト・クリーチャーかそれと共通の色を持つクリーチャー以外にはブロックされない。)
各アップキープの開始時に、直前のターンのプレイヤー1人が2つ以上の呪文を唱えていた場合、ガツタフの咆哮者を変身させる。
伝説のクリーチャー — 人間(Human) クレリック(Cleric)
絆魂
あなたがコントロールする他のトークンでないクリーチャーが1体死亡するたび、異端の癒し手、リリアナを追放し、その後、これを変身させた状態でオーナーのコントロール下で戦場に戻す。そうしたなら、黒の2/2のゾンビ(Zombie)・クリーチャー・トークンを1体生成する。
Liliana, Defiant Necromancer / 反抗する屍術師、リリアナ
〔黒〕 伝説のプレインズウォーカー — リリアナ(Liliana)
[+2]:各プレイヤーはそれぞれカードを1枚捨てる。
[-X]:あなたの墓地にあるマナ総量がXの伝説でないクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。
[-8]:あなたは「クリーチャーが1体死亡するたび、次の終了ステップの開始時に、それをあなたのコントロール下で戦場に戻す。」を持つ紋章を得る。
ソーサリー
対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはカード13枚を切削する。
(3)(青)(青):あなたの墓地から驚恐の目覚めを変身させた状態で戦場に出す。起動はソーサリーとしてのみ行う。
〔青〕 クリーチャー — ナイトメア(Nightmare)
潜伏(このクリーチャーは、これより大きなパワーを持つクリーチャーによってはブロックされない。)
絶え間ない悪夢がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えたとき、これをオーナーの手札に戻す。
「夜になると狼男になる人間」、「コウモリに化ける吸血鬼」、「プレインズウォーカーへの覚醒」といった「変身」を表すカードであり、キーワード処理の変身(させる)によって表裏を入れ替え、変身した(あるいは元に戻った)ことを表す。
「裏面では区別できない」というトレーディングカードゲームの基本原理に反する仕様である。当然、裸のままで通常のカードと混ぜて使うと不都合が生じるため、スリーブかチェックリストカードの使用が必須となる。フレイバーとしては単純明快で美しいが、ゲームにおける扱いはかなり特殊。
ルール
両面カードは、第1面が変身前の姿を、第2面が変身後の姿を表す。カードの両面の左上は、そのカードの第1面/第2面を表すシンボルが描かれている。詳細は第1面、および第2面の項を参照。
- 基本的にマナ・コストが印刷されている方が第1面である。第2面にマナ・コストは印刷されていない。
デッキに入れる場合
両面カードがライブラリーや手札といった非公開領域にあるとき、同じ領域にある他のカードと区別が付かないようにしなければならない。それゆえ両面カードをデッキに入れる場合、完全に不透明なスリーブを用いるか、チェックリストカードを使わなければならない。
- 特定の両面カードをチェックリストカードで表す場合、その特定のカードについてデッキ内のすべての両面カードをチェックリストカードで表さなければならない[1]。
- デッキに4枚のチェックリストカードを入れて1枚しか所持していない両面カードを使いまわすような水増しはできない。チェックリストカード1枚が両面カード1枚の代用品である。
- トーナメントでは、スリーブが透けていて区別がつく状態になっていると、故意の違反として失格処分となる可能性があるので注意[2]。
特性
両面カードの各面はそれぞれに独立した一連の特性を持ち、呪文、能力、効果、あるいはルールが両面パーマネントの情報を必要とする場合、それは現在有効になっている面が与える情報のみを見る(統率者戦の固有色の決定を除く)。戦場以外の領域にある両面カードは常に第1面の特性を持つ。両面カードを唱える場合、それは第1面でスタックに置かれる。戦場にある両面カードは、そのときに表示されている面の特性を持ち、もう一方の面の特性は無視される。また、戦場に出る場合、「変身させた状態で戦場に出す」効果でない限り、第1面で戦場に出る。
両面カードで表されるパーマネントが変身した場合、それは新たに戦場に出たのではなく変身後も同一のオブジェクトのままである。ついているオーラや装備品、負ったダメージ、配置されているカウンター、受けている修整などはそのまま残り続ける。詳細は変身の項を参照。
- 例:第1面と第2面のカードはそれぞれ別のカード名を持つため、カード名を参照する効果はそれぞれ片一方のみに発揮される。ヴリンの神童、ジェイス/Jace, Vryn's Prodigyを指定した真髄の針/Pithing Needleは束縛なきテレパス、ジェイス/Jace, Telepath Unboundの能力の起動を禁止できず、逆も同じである。
両面カードの第2面はマナ・コストを持たない(マナ・コストの無いカード)が、第2面の点数で見たマナ・コストを参照する場合のみ、第1面のマナ・コストに基づいた値を参照する。ただしオブジェクトが第2面のコピーとなった場合は、(それが両面カードだったとしても)その点数で見たマナ・コストは0である。
- 例1:束縛なきテレパス、ジェイスの点数で見たマナ・コストは、第1面のヴリンの神童、ジェイスのものを参照するため、2である。
- 例2:賢いなりすまし/Clever Impersonatorが束縛なきテレパス、ジェイスのコピーになった。その点数で見たマナ・コストは0である。
両面カードのコピー
両面カードのコピー可能な値は現在有効になっている面の特性のみである。反対の面の特性は一切コピーされない。反転後の特性もコピーする反転カードとの違いに注意。また上述の通り、第2面のコピーとなった場合はコピーになっているパーマネント自身が両面カードだったとしても、その点数で見たマナ・コストは0である。
両面カードではないカードが両面カードのいずれかの面のコピーになった場合、それを変身する効果は無視される(CR:701.25c)。両面カードが両面カードのいずれかの面のコピーになった場合、それを変身する効果は実際にそのカードを変身させるが、その特性はコピーされた特性のままである。
- 例1:クローン/Cloneが戦場に出る際、コピー先として第2面であるガツタフの咆哮者/Gatstaf Howlerを選んだ場合、クローンは第1面のガツタフの羊飼い/Gatstaf Shepherdではなく、現在表になっているガツタフの咆哮者のコピーとして戦場に出る。ガツタフの咆哮者であるクローンがアップキープに変身することになっても、それは両面カードではないので変身することはない。
- 例2:ガツタフの羊飼いが無謀な浮浪者/Reckless Waifのコピーになった場合、その後変身しガツタフの咆哮者の面が表になってもその特性はガツタフの咆哮者でも無慈悲な捕食者/Merciless Predatorでもなく、コピーされた無謀な浮浪者の特性のままになる。
オブジェクトが特定の特性を持つオブジェクトに「変身した」ときに誘発する誘発型能力は、そのオブジェクトが変身し、変身した直後にその指定された特性を持っている場合に誘発する(CR:701.25e)。
- 高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fellsのコピーになっている、両面カードではないカードと両面カードがある。アップキープにそれぞれの変身する能力が誘発し解決された場合、どちらも変身後の特性は高原の狩りの達人のままであることは変わりないが、両面カードではない方のコピーは実際に変身しないので自身の「このクリーチャーが《高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fells》に変身するたび」という能力を誘発させることは無い。両面カードであるコピーは変身するので「変身するたび」の能力が誘発する。
裏向きの両面カード
第1面か第2面かということと、表向きか裏向きかということは別のものである。両面カードは裏向きになる事は有り得る。ただし、既に表向きになっている両面パーマネントは裏向きにする事はできない。効果やルールがそうするよう指示した場合、それを無視する。また裏向きである間は両面カードは変身する事は無い。
- イクシドロン/IxidronのCIP能力は、両面のクリーチャーには何も行わず、通常のクリーチャーのみを裏向きにする。
- 予示などで裏向きの状態で戦場に出す場合には、「第1面、裏向き」という状態で戦場に出る。それは他のカードと同じく表向きの特性は隠され、両面カードだと公開する必要は無い。クリーチャーの両面カードを予示した場合には第1面のマナ・コストを支払うことで位相を表向きにすることができる。無論第1面であることは変わらない。
その他のルール
- 両面カードを見ることができるプレイヤーは、その両方の面を見ることができる。
- 両面カードが起動型能力または誘発型能力でそれ自身を変身させる場合、そのパーマネントはその能力がスタックに置かれている間に変身していない場合にのみ変身する。
- 例:神出鬼没な拷問者/Elusive Tormentorの起動型能力を何度も起動しスタックに乗せた場合、最初に解決した能力はそれを変身させるが、2つ目以降については何もしない。
- 変身させた状態で戦場に出す効果により両面カードでないカードが戦場に出ようとする場合、それは代わりに元の領域に留まる。
- 例:忠実な聖戦士/Loyal Catharのコピーであるクローン/Cloneが死亡した場合、それは戦場に戻ることはなく、墓地に留まる。
- 統率者戦での固有色を決定する際、第2面も考慮する。
- 例:情け知らずのガラク/Garruk Relentlessはその第1面は緑だが、第2面は黒緑の色指標を持っているため、その固有色は黒緑である。
- 第2面がクリーチャーである場合、第1面の文章欄右下に第2面のP/Tが灰色の文字で印刷されている(カード画像)。これは注釈文であり、ルールに影響しない。
- ドラフトにおいて、一部のルール適用度(REL)「プロ」のイベントを除く、両面カードは公開情報となる。通常のドラフトと同じように、ピックした両面カードは次のピックまでの間、ピックしたカードの束の一番上に置いておかなければならない。なお、ピックした両面カードは、好きな面を上にして置くことができる。
- 両面カードを含むセットのREL「プロ」のドラフトにおいて、使用したブースターパックの両面カードの出現率によりさらなるルールが追加される。
- イニストラードを覆う影ブロックドラフトの場合、事前にジャッジによるパック開封し、マーキング終了後スリーブに収めた形でプレイヤーに配布され、全カードは非公開情報となった[3][4]。
- イクサラン・ブロックドラフトの場合、プレイヤーによるパック開封し、各自が開封したパックに入っていた両面カードをすべてのプレイヤーに公開し、その後、通常ドラフトと同じように進行した。
- Magic Onlineにおけるドラフトでは、両面カードは非公開情報である。
- 両面カードの発表当初は「公開してもよいし、適切な手段(束の一番下に置くなど)で隠してもよい」というルールであったが、プレイヤーの物理的な能力による有利不利が生じないよう、イニストラード発売を待たずしてルールが変更された。
- 両面カードを含むセットのREL「プロ」のドラフトにおいて、使用したブースターパックの両面カードの出現率によりさらなるルールが追加される。
旧ルール
イニストラードを覆う影での両面カードの再登場に際し、いくつか重要なルールの変更が行われた。以下に変更前のルールを記す。
- 両面カードの第2面はマナ・コストを持たない(マナ・コストの無いカード)であるため、戦場にある第2面を向いた両面カードの点数で見たマナ・コストは0であった。
- 両面カードが起動型能力または誘発型能力でそれ自身を変身させる場合、そのパーマネントはその能力がスタックに置かれている間にすでに変身している場合でも再度変身できた。
- これにより起動型能力をコピーする事で礼儀正しい識者/Civilized Scholarを無限に変身させ続けるなどといったプレイングが可能であった。
- 高原の狩りの達人/Huntmaster of the Fellsが持つ「《カード名》に変身するたび」に誘発する能力は、変身する前と後で別々の名前でなければ能力が誘発しなかった。そのため両面カードがコピーしても能力を使用する事が出来なかった。
その他
- デュエル・マスターズからの逆輸入システムである。もっとも、あちらはデッキの外部の領域に用意して特別なカードで場に出すカードであるのに対し、こちらはメインデッキに入れて使うカードであるため、かなり事情が違う。
- 開発中には反転カードのシステムを使用することも検討されていたが、最終的に両面カードを用いることとなった。そのためこの2つのシステムには似ている部分が多い。
- 反転カードが没となった理由については、Mark Rosewaterはコラム(#参考参照)で、「市場調査で反転カードの評価が低く、R&Dは失敗作とみなしている。そのため失敗を繰り返すよりも新規開拓を選択した」と回答している。
- 非常に評価の高いメカニズムであることを何度も公式に言及されている。両面カードのストーム値は2とされ(変身は3)、マジック史上最も愛されたメカニズムの最高位とまで言われている[5]。一方、それほどの高評価でありながら毎セットに入れない理由についても幾つか挙げられている[6][7]。
- 異界月以外の狼男はすべて同じ変身条件を持つ。文章量削減のために変身条件をキーワード化することも検討されたが、既に「変身」がキーワード処理であるため、キーワード内にキーワードを含んでしまうとルール上の問題になりやすいため避けられた。
- イラストが両面にあるトークン・カードもある。詳細はトークン・カードの項を参照。
- 当然ながら、エラーカードではない。
- 登場当初のルールでは裏向きになる事はできなかったが、予示の登場により2015年1月23日の総合ルール更新で裏向きの位相になれるようになった。
- イニストラード・ブロックでは両面カードの第1面は「太陽」、第2面は「月」で表していたため、闇の隆盛発売時に第1面には「昼の面」、第2面には「夜の面」という訳語があてられていた。マジック・オリジンの両面カードはプレインズウォーカー・シンボルが用いられているため、現在の訳語に変更された。
- マジック・オリジンの伝説のクリーチャー/プレインズウォーカー・カードは、月霧/Moonmistなどで変身させる場合、忠誠カウンターは置かれない。そのため、変身後には忠誠度0であるため状況起因処理で墓地に置かれる。
関連項目
脚注
- ↑ マジックイベント規定
- ↑ Feature: ジャッジ、世界の舞台で(Event Coverage)
- ↑ Update to Pro Tour Shadows over Innistrad Draft(GatheringMagic.com)
- ↑ Double-Faced Cards Procedure for Professional REL Drafts(News 2016年5月25日 WotC著)
- ↑ Storm Scale: Innistrad and Shadows over Innistrad/ストーム値:『イニストラード』『イニストラードを覆う影』(Making Magic 2017年3月27日 Mark Rosewater著)
- ↑ Odds & Ends: Amonkhet, Part 1/こぼれ話:『アモンケット』 その1(Making Magic 2017年5月22日 Mark Rosewater著)
- ↑ Odds & Ends: Ixalan, Part 2/こぼれ話:『イクサラン』 その2(Making Magic 2017年10月16日 Mark Rosewater著)
参考
- Every Two Sides Has a Story/両面それぞれの物語(Feature 2011年8月29日 Mark Rosewater著)
- Werewolves Gone Wild/狼男、猛る(Latest Developments 2011年9月16日 Tom LaPille著)
- Unanswered Questions: Innistrad/未回答問題:イニストラード(Feature 2011年10月10日 Mark Rosewater著)
- 『イニストラード』両面カード よくある質問集
- 両面カード よくある質問集 2017 年 9 月 25 日更新(WPN、PDF文書)
- From the Vault:Transform
引用:総合ルール 20231117.0
- 7 その他のルール
- 711 Lv系カード
- 711.1 各Lv系カードは、横方向に分割された文章欄と3つのパワー/タフネス枠を持つ。Lv系カードの文章欄は、2つのLvシンボルを含んでいる。
- 711.2 Lvシンボルは、常在型能力を表すキーワード能力である。Lvシンボルは数の範囲(「N1-N2」など)か、あるいは数字1つとプラス記号(「N3+」など)を含む。Lvシンボルと同じ横縞に書かれている能力は、その常在型能力の一部である。その横縞に書かれているパワー/タフネスの書かれた箱も同じである。
- 711.3 横方向に分割された文章欄は、どのLvシンボルと能力やパワー/タフネスが対応しているかを明確にする以外に、ゲーム上の意味はない。Lv系カードの文章欄自体は1つである。
- 711.4 Lv系カードの各能力のうち、Lvシンボルが前に無い部分の能力は、通常通り扱う。特に、各Lv系パーマネントは常にLvアップ 能力(rule 702.87 参照)を持つ。これは、そのパーマネントにLvカウンターがいくつ乗っていても起動できる。
- 711.5 Lv系クリーチャーの上のLvカウンターの数がN1({Lv N1-N2}シンボルに記載されている最初の数)未満である場合、そのパワーとタフネスは最も上のパワー/タフネス枠で規定される。
- 711.6 戦場以外の各領域では、Lv系カードは最も上のパワー/タフネス枠で規定されるパワーとタフネスを持つ。
- 711.7 エンチャントの中に、クラスというサブタイプを持ち、自身にクラス・レベルを与える能力を持つものがある。これらはLvアップ 能力ではなく、クラス・レベルはLvカウンターと相互作用しない。rule 716〔クラス・カード〕参照。
- 711 Lv系カード