ギルド/Guild
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ギルド/Guildとは、中世ヨーロッパの封建社会において存在した、職業ごとの組合のこと。日本語では「座」「株仲間」「匠合」とも。同時代をイメージした世界観を持つファンタジー世界ではよく登場し、「同じ職業・同じ思想の者たちが集まった連合体」という程度の意味合いで使われる。特にRPG業界では、プレイヤーたちの冒険を援護する組織や襲ってくる敵勢力の存在を説明するのに便利に使われている。
ミラージュのギルド魔道士サイクルなど、背景ストーリー上、ギルドと呼べる組織はいくつも登場している。ただし、ストーリー上の重要性やカードプールの多さから、2005年10月のラヴニカ:ギルドの都リリース以降、一般的にマジックにおける「ギルド」とは次元「ラヴニカ/Ravnica」を舞台として扱ったカード・セットに登場したギルド十組織のことを指す傾向が強くなっている。本項でも主としてラヴニカにおけるギルドについて解説する。
[編集] ラヴニカにおけるギルド
[編集] 概要
次元丸ごとの範囲を持つ都市ラヴニカ/Ravnicaに存在する、10の勢力。
長らく戦争状態だったようだが、互いの役割分担と協調のために(ラヴニカ:ギルドの都の時点から見て)一万年前にパルンズ/Parunsによって魔法による強制力を持った協定(ギルドパクト/Guildpact)が結ばれた。それ以来表立った争いは行われていないが、対立の解消には至っておらず、どのギルドも覇権を狙っている冷戦状態にある。
先鋭的な思想を持つギルドたちだが、一方でそれぞれ(都市自体を否定するグルール一族を除いて)ラヴニカでの社会的役割を担っており、様々な形で一般市民の生活にかかせない恩恵をもたらしている。異なるギルド同士も互いをインフラなどの提供者として利用し合う。グルールもまた、都市生活に肌が合わない民の受け皿として機能している側面がある。
ラヴニカ・ブロックの物語でギルドパクトが崩壊し、その後の混乱期で10のギルドは大きく衰退した(後のアラーラの断片ブロックごろを描いたAgents of Artificeで描かれるラヴニカ市民は、ギルド支配から解放された生活を送っている)。もっとも、一万年も続いたギルド・システムが完全に崩壊するまでには至らなかったようで、ギルドが徐々に影響力を取り戻していった時代がラヴニカへの回帰ブロックである。
ギルドに所属しない市民は門なし/Gatelessと呼ばれる。
- 「一万年前」というのはマジック界でも類を見ないほどの長さである。計算上、ギルドパクトが結ばれた頃は、古代神河/Kamigawaで神の乱/The Kami War(神河ブロックのメインストーリー)が起こるよりもずっと前の時代であるし、またドミナリア/Dominariaではウルザ/Urzaやファイレクシア/Phyrexiaがどうこうではなくスラン帝国/Thranが栄えていた時代よりも古い(スランはスカージの時代から8000年前)。
- ただし設定上、ある次元/Planeにおける1年が他の次元の1年と同じ長さであるとは明言されていない点に注意。特にラヴニカは(アグルス・コス/Agrus Kosの年齢設定から推測するに)1年が非常に短い可能性がある。
[編集] ギルド間の対立
下記のギルド間には対立が存在し、イラストにそれが反映されている。
- ボロス軍/Boros Legionとディミーア家/House Dimir
- セレズニア議事会/The Selesnya Conclaveとイゼット団/The Izzet
- ゴルガリ団/The Golgariとアゾリウス評議会/The Azorius Senate
- グルール一族/The Gruul Clansとオルゾフ組/The Orzhov Syndicate
- ラクドス教団/The Cult of Rakdosとシミック連合/The Simic Combine
例えば、イゼット団は青赤であるため、共通の友好色である黒を除く緑白のギルド、すなわちセレズニア議事会が対立ギルドである。電解/Electrolyzeのイラストでセレズニアのギルド魔道士/Selesnya Guildmageが焼かれているのはそのため。
とはいっても、実際にはこの関係性がすべてではなく、それ以外のギルドと対立している様子も少なからず見受けられる。
- 例えばセレズニア議事会のカードである貪る光/Devouring Lightのイラストでは、ラクドス教団/The Cult of Rakdosのデーモン/Demonが光に飲み込まれている。
- 手練れの戦術/Master Warcraftのイラストでは、ボロス軍がゴルガリ団と思われる敵との戦いの計画を練っている。
- 恐慌の扇動/Incite Hysteriaのフレイバー・テキストに至っては、アゾリウス評議会の議員が、同じ白のギルドであるボロス軍に対し悪態をついている。
- また、そのものズバリ「イゼットvsゴルガリ」というタイトルのデュエルデッキも存在する。
- 逆に、利益至上主義のオルゾフ組は、対立ギルドであるグルール一族のクリーチャーでも構わず自らの商売に利用していたりする(→通り砕きのワーム/Streetbreaker Wurmのフレイバー・テキスト)。
結局のところ、どのギルドも他のすべてのギルドとおしなべて仲が悪い、というのがより簡潔で、正しい解答なのかもしれない。
[編集] 10のギルド
具体的には、以下の10のギルドが存在する。ラヴニカ・ブロックの時点では、上位ギルドと言われる勢力(ラヴニカ:ギルドの都に収録された4ギルド)が特に大きな影響力を持っていたが、ラヴニカへの回帰時点でのパワーバランスに関しては不明。
[編集] アゾリウス評議会/The Azorius Senate
- 色:白青
- 収録:ディセンション/ラヴニカへの回帰/ラヴニカの献身
- 特徴:現状維持の強制、保守的な立法府
- ゲーム上の特徴:コントロール
- メカニズム:予見/留置/附則
- 指導者:アウグスティン四世/Augustin IV→イスペリア/Isperia→ドビン・バーン/Dovin Baan→ラヴィニア/Lavinia
- 本拠地:秩序の尖塔、プラーフ/Prahv, Spires of Order/新プラーフ/New Prahv
- 次元カード:プラーフ/Prahv (次元カード)
- 社会的役割:司法、立法、生活安全維持
[編集] ディミーア家/House Dimir
- 色:青黒
- 収録:ラヴニカ:ギルドの都/ギルド門侵犯/ラヴニカのギルド
- 特徴:情報の掌握、暗躍
- ゲーム上の特徴:、ライブラリー破壊
- メカニズム:変成/暗号/諜報
- 指導者:ザデック/Szadek→ラザーヴ/Lazav
- 本拠地:影の家、ダスクマントル/Duskmantle, House of Shadow
- 社会的役割:報道機関、情報拡散(もしくは秘匿・操作)、興信所業務、秘密裏の工作請負
[編集] ラクドス教団/The Cult of Rakdos
- 色:黒赤
- 収録:ディセンション/ラヴニカへの回帰/ラヴニカの献身
- 特徴:殺戮と争乱による享楽、血の祝祭の実現
- ゲーム上の特徴:スーサイド
- メカニズム:暴勇/解鎖/絢爛
- 指導者:ラクドス/Rakdos
- 本拠地:迷宮の宮殿、リックス・マーディ/Rix Maadi, Dungeon Palace
- 社会的役割:鉱工業、退廃的娯楽、裏稼業(厄介事の処理)
[編集] グルール一族/The Gruul Clans
- 色:赤緑
- 収録:ギルドパクト/ギルド門侵犯/ラヴニカの献身
- 特徴:復讐、文明とギルドの破壊
- ゲーム上の特徴:ステロイド
- メカニズム:狂喜/湧血/暴動
- 指導者:腹音鳴らし/Borborygmos→ドムリ・ラーデ/Domri Rade→腹音鳴らし/Borborygmos
- 本拠地:怒りの穴蔵、スカルグ/Skarrg, the Rage Pits
- 社会的役割:都市勢力の抑制(副産物として建造物破壊による都市の代謝)、原生地域の保護、都市文明不適応者の受け容れ、古代信仰の継承、道案内
[編集] セレズニア議事会/The Selesnya Conclave
- 色:緑白
- 収録:ラヴニカ:ギルドの都/ラヴニカへの回帰/ラヴニカのギルド
- 特徴:自然との調和、絶対守護
- ゲーム上の特徴:トークン(ラヴニカ・ブロックでは苗木)、横並び
- メカニズム:召集、居住
- 指導者:すべてのメンバーによる共同指揮と公表されており、議事会の合唱者/Chorus of the Conclaveがその中心→トロスターニ/Trostani→イマーラ・タンドリス/Emmara Tandris
- 象徴的な指導者は全ての時代を通じて「世界魂」ことマット・セレズニア
- 本拠地:都市の樹、ヴィトゥ=ガジー/Vitu-Ghazi, the City-Tree
- 次元カード:セレズニアの屋根庭/Selesnya Loft Gardens (次元カード)
- 社会的役割:景観維持、自然保護、経済的弱者の保護
[編集] オルゾフ組/The Orzhov Syndicate
- 色:白黒
- 収録:ギルドパクト/ギルド門侵犯/ラヴニカの献身
- 特徴:黄金による支配、拝金主義
- ゲーム上の特徴:ライフ回復、ライフロス、ドレイン
- メカニズム:憑依/強請/死後
- 指導者:オルゾヴァの幽霊議員/Ghost Council of Orzhova/幽霊議員オブゼダート/Obzedat, Ghost Council→ケイヤ/Kaya→テイサ・カルロフ/Teysa Karlov
- 本拠地:取引の教会、オルゾヴァ/Orzhova, the Church of Deals
- 次元カード:オルゾヴァ/Orzhova (次元カード)
- 社会的役割:あらゆる商取引と経済流動、紙幣流通、死者の魂の管理、教会経営、スラルの製造と運用、法曹業(士業)
[編集] イゼット団/The Izzet/The Izzet League
- 色:青赤
- 収録:ギルドパクト/ラヴニカへの回帰/ラヴニカのギルド
- 特徴:知識の探求、無謀さときまぐれによる研究
- ゲーム上の特徴:インスタントとソーサリー
- メカニズム:複製/超過/再活
- 指導者:ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet→ラル・ザレック/Ral Zarek
- 本拠地:火想者の高巣、ニヴィックス/Nivix, Aerie of the Firemind
- 次元カード:イゼットの蒸気迷路/Izzet Steam Maze (次元カード)
- 社会的役割:インフラ(上下水道・道路・光熱等)の維持及び管理、多方面に渡る研究・発明、娯楽競技開催
[編集] ゴルガリ団/The Golgari/The Golgari Swarm
- 色:黒緑
- 収録:ラヴニカ:ギルドの都/ラヴニカへの回帰/ラヴニカのギルド
- 特徴:死からの再構築、病の散布
- ゲーム上の特徴:墓地利用
- メカニズム:発掘/活用/宿根
- 指導者:石の死の姉妹/Sisters of Stone Death→サヴラ・フォド・サーヴォ/Savra vod Savo→ジャラド・フォド・サーヴォ/Jarad vod Savo→ヴラスカ/Vraska→不在
- 本拠地:安息の無い墓、スヴォグトース/Svogthos, the Restless Tomb/腐敗の迷路、コロズダ
- 次元カード:大納骨堂/Grand Ossuary (次元カード)
- 社会的役割:社会的弱者の保護、食料供給、ゴミの再利用、往時軍の管理
[編集] ボロス軍/Boros Legion
- 色:赤白
- 収録:ラヴニカ:ギルドの都/ギルド門侵犯/ラヴニカのギルド
- 特徴:法による秩序と統制、妄信的な執行者
- ゲーム上の特徴:小型クリーチャー、アグロ
- メカニズム:光輝/大隊/教導
- 指導者:ラジア/Razia→フェザー/Feather→オレリア/Aurelia
- 本拠地:軍の要塞、サンホーム/Sunhome, Fortress of the Legion
- 社会的役割:治安維持活動、犯罪駆逐、都市警護、警察活動(下部組織ウォジェクが担当)
[編集] シミック団/シミック連合/The Simic Combine
- 色:緑青
- 収録:ディセンション/ギルド門侵犯/ラヴニカの献身
- 特徴:自然の回復、生命の改良
- ゲーム上の特徴:移植/進化/順応
- メカニズム:+1/+1カウンター
- 指導者:モミール・ヴィグ/Momir Vig→ゼガーナ/Zegana→ヴァニファール/Vannifar
- 本拠地:進化の中心、ノヴィジェン/Novijen, Heart of Progress/第七ゾノット議場、ザーメク
- 社会的役割:品種改良、先進医療、生医学研究
[編集] 参考
- The Lost Wallpapers(Internet Archive)(Daily MTG、10のギルドの壁紙)
- Life in the Big City(Internet Archive)(Daily MTG 2005年9月5日 Rei Nakazawa著)
- GuildsofRavnica.com(Internet Archive)(WotC公式)
- Ravnica, Then and Now/ラヴニカ、その過去と現在(Feature Article 2012年8月29日 Adam Lee著)
- ラヴニカ・ブロック
- ラヴニカへの回帰ブロック
- ラヴニカのギルド
- ラヴニカの献身
- 背景世界/ストーリー用語