Mark Rosewater

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'''マーク・ローズウォーター'''('''Mark Rosewater''')は、[[ウィザーズ・オブ・ザ・コースト]]社[[R&D]]のヘッド・デザイナー。'''MaRo'''(マロー)の愛称で知られ、彼が最初にデザインしたカードはそれにちなんで[[マロー/Maro]]と名づけられた。
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'''マーク・ローズウォーター'''('''Mark Rosewater''')は、[[ウィザーズ・オブ・ザ・コースト]]社[[開発部]]の主席デザイナー。'''MaRo'''(マロー)の愛称で知られ、彼が最初にデザインしたカードはそれにちなんで[[マロー/Maro]]と名づけられた。
  
==解説==
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==来歴==
 
アメリカ合衆国オハイオ州ペッパーパイク出身。
 
アメリカ合衆国オハイオ州ペッパーパイク出身。
  
ボストン大学のコミュニケーション学部を卒業後、ハリウッドのテレビスタジオに就職。コメディ番組『ロザンヌ』のフリーライター枠に応募し選抜された。『ロザンヌ』では2つのシナリオでクレジットを残している([http://www.imdb.com/name/nm0742909/ 参考])。
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ボストン大学のコミュニケーション学部を卒業後、ハリウッドのテレビスタジオに就職。コメディ番組『ロザンヌ』のフリーライター枠に応募し選抜された。『ロザンヌ』では2つのシナリオでクレジットを残している<ref>[http://www.imdb.com/name/nm0742909/ Mark Rosewater - IMDb]</ref>。
  
 
ライター業を孤独に思ったマークは、ロサンゼルスの家から出るためにゲームショップのアルバイトを始めた。ショップでは当初マジックを扱っていなかったが、ショップに来た若者にマジックを教えてもらい、マジックの虜となった。その後、[[Duelist]]誌に経験者向けのコンテンツが不足していると感じたマークは、パズルコラム("Magic: the Puzzling")のアイデアを手紙で提案し、これをきっかけにDuelist誌で連載を手掛けることになった。そして、シアトルで[[R&D]]の[[Mike Davis]]に誘われ、ウィザーズ社に入社することを決心した。
 
ライター業を孤独に思ったマークは、ロサンゼルスの家から出るためにゲームショップのアルバイトを始めた。ショップでは当初マジックを扱っていなかったが、ショップに来た若者にマジックを教えてもらい、マジックの虜となった。その後、[[Duelist]]誌に経験者向けのコンテンツが不足していると感じたマークは、パズルコラム("Magic: the Puzzling")のアイデアを手紙で提案し、これをきっかけにDuelist誌で連載を手掛けることになった。そして、シアトルで[[R&D]]の[[Mike Davis]]に誘われ、ウィザーズ社に入社することを決心した。
  
巧みな話術と文才から、[[プロツアー]]や[[インビテーショナル]]の運営、公式コラムの執筆、各種コンベンションへの出張など、さまざまな場面で活躍。その知名度から「[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]の広告塔」のような存在になっている。
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入社のための複数回の面接のうち1回は、当時の首席デザイナー兼首席デベロッパーであった[[Joel Mick]]とのマジックの[[ゲーム|対戦]]だった。Markは、当時まだ評価の低かった[[土地税/Land Tax]]4枚とキー・カードとして[[ズアーの運命支配/Zur's Weirding]]が入った、狙いを読み取るのが難しくじわじわとした遅いデッキ『エドガー/Edger』を使い、自分を印象づけて勝利した<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/untold-tales-2016-02-22 Untold Tales]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0016560/ 語られざる話]([[Making Magic -マジック開発秘話-]] [[2016年]]2月22日 Mark Rosewater著)</ref>。
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巧みな話術と文才から、[[プロツアー]]や[[インビテーショナル]]の運営、公式コラム[[Making Magic -マジック開発秘話-]]の執筆、各種コンベンションへの出張など、さまざまな場面で活躍。その知名度から「[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]の広告塔」のような存在になっている。
  
 
*かつては全てのプロツアーに顔を出していたが、3児の父となった今ではなかなかそうもいかないようだ。
 
*かつては全てのプロツアーに顔を出していたが、3児の父となった今ではなかなかそうもいかないようだ。
 
*ジョークエキスパンションの[[アングルード]]では[[アーティスト]]としても参加し、[[Look at Me, I'm the DCI]]の{{Gatherer|id=9771|イラスト}}を手掛けている。
 
*ジョークエキスパンションの[[アングルード]]では[[アーティスト]]としても参加し、[[Look at Me, I'm the DCI]]の{{Gatherer|id=9771|イラスト}}を手掛けている。
*マジックに関連するTシャツの[[コレクター]]である。 ([http://mtg-jp.com/reading/translated/001932/ クローゼットより その1] [http://mtg-jp.com/reading/translated/001984/ クローゼットより その2] 参考)
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*マジックに関連するTシャツの[[コレクター]]である。<ref>[http://mtg-jp.com/reading/translated/001932/ クローゼットより その1]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/001984/ クローゼットより その2]</ref>
  
 
==デザイナーとしてのマーク==
 
==デザイナーとしてのマーク==
*「マジックの魅力は[[色の役割]]が分かれていることにあるので、それを安易に崩すべきではない」というデザイン上の持論を持っており、人呼んで「カラーパイ・グル(導師)」。
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[[テンペスト]]より[[デザイン・チーム]]に参加。[[ウルザズ・デスティニー]]では1人でデザインすることに。その後主席デザイナーとして幾度もセットのリードを担当。[[展望デザイン・チーム]]の設立後はそちらのリードを務める。
*だが一方で「新鮮で、使って楽しいカードを作るべき」という信念も持っており、ときおりぶっ飛んだデザインをすることでも有名。自称「開発部一の“[[倍増の季節/Doubling Season|2倍にするカード]]”愛好家」。であり、根っからの[[Timmy, Johnny, and Spike|ジョニー]]。
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**挙動の面白さを優先しすぎるあまり、[[総合ルール|ルール]]がついていけないカードを作ってしまうことも多かった。また、シンプルで美しいカードを作ったつもりが、ぶっ壊れレベルの[[パワーカード]]になってしまった例も数知れない。[[オパール色の輝き/Opalescence]]、[[時のらせん/Time Spiral]]、[[アーテイのおせっかい/Ertai's Meddling]]はすべて彼のアイディアだと言えば、その一端がおわかりいただけるだろうか。
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「マジックの魅力は[[色の役割]]が分かれていることにあるので、それを安易に崩すべきではない」というデザイン上の持論を持っており、人呼んで「カラーパイ・グル(導師)」「カラーパイの守護者」。しかし、新規カードすべてを監視し続けるのはかなりの仕事量であり、ただでさえ多忙だったため[[色の協議会]]を設立し、現在は守護者の座を返上している。
**ルールが全般に整備されてきたこと、また彼自身がデザインチームの総括的立場に就くことが多くなったことから、過去のようにぶっ飛んだカードが話題になることはかなり減ってきた。それでも[[時のらせんブロック]]の[[タイムシフト]]企画などで相変わらず[[プレイヤー]]を驚愕させ続けている。
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**また、そのようなパワーカードは近年では[[デベロップ・チーム]]に渡された際にきちんと適正なパワーレベルに調整される。従って[[トーナメント]][[環境]]を支配してしまうような[[禁止カード]]が出ることは基本的にデベロップの責任であってMarkのせいではないのだが、それでも禁止カードが出た際には「またMarkがやらかしたのか」と言われることもしばしば。メディアにおける彼の存在感が窺い知れるエピソードと言える。
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一方で「新鮮で、使って楽しいカードを作るべき」という信念も持っており、ときおりぶっ飛んだデザインをすることでも有名。自称「開発部一の“[[倍増の季節/Doubling Season|2倍にするカード]]”愛好家」。であり、根っからの[[Timmy, Johnny, and Spike|ジョニー]]。
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挙動の面白さを優先しすぎるあまり、[[総合ルール|ルール]]がついていけないカードを作ってしまうことも多かった。また、シンプルで美しいカードを作ったつもりが、ぶっ壊れレベルの[[パワーカード]]になってしまった例も数知れない。[[オパール色の輝き/Opalescence]]、[[時のらせん/Time Spiral]]、[[アーテイのおせっかい/Ertai's Meddling]]はすべて彼のアイディアだと言えば、その一端がおわかりいただけるだろうか。
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ルールが全般に整備されてきたこと、また彼自身がデザインチームの総括的立場に就くことが多くなったことから、過去のようにぶっ飛んだカードが話題になることはかなり減ってきた。それでも[[時のらせんブロック]]の[[タイムシフト]]企画などで相変わらず[[プレイヤー]]を驚愕させ続けている。
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[[トーナメント]][[環境]]を支配してしまうような[[禁止カード]]が出ることは基本的に[[デベロップ・チーム]]の責任であってMarkのせいではないのだが、それでも禁止カードが出た際には「またMarkがやらかしたのか」と言われることもしばしば。メディアにおける彼の存在感が窺い知れる。
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*[[デザイン・チーム]]において、([[Bill Rose]]というただ一人の例外を除いて)[[テンプレート]]をきちんと書けるメンバーは一人もいないらしく、中でもMark Rosewaterは平均以下だそうだ。([http://archive.wizards.com/Magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mr116 参考]、[http://regiant.diarynote.jp/201203102223182661/ 翻訳])
 
*[[デザイン・チーム]]において、([[Bill Rose]]というただ一人の例外を除いて)[[テンプレート]]をきちんと書けるメンバーは一人もいないらしく、中でもMark Rosewaterは平均以下だそうだ。([http://archive.wizards.com/Magic/magazine/article.aspx?x=mtgcom/daily/mr116 参考]、[http://regiant.diarynote.jp/201203102223182661/ 翻訳])
 
*2004年のコラム「[http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/daily/mr115 Loose Ends]」時点では、禁止・制限カードのデザイン記録は[[Richard Garfield]]に次いで2位であった(その多くは[[Mike Elliott]]との共同デザイン)。ただし、リチャードの場合、ほとんどが[[パワー9]]とか[[アンティ]]とかのカードであるので、「禁止になった理由」がかなり違う。以下はそのリスト。
 
*2004年のコラム「[http://www.wizards.com/default.asp?x=mtgcom/daily/mr115 Loose Ends]」時点では、禁止・制限カードのデザイン記録は[[Richard Garfield]]に次いで2位であった(その多くは[[Mike Elliott]]との共同デザイン)。ただし、リチャードの場合、ほとんどが[[パワー9]]とか[[アンティ]]とかのカードであるので、「禁止になった理由」がかなり違う。以下はそのリスト。
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*[[From the Vault:Relics]](商品コンセプト&デベロップ)
 
*[[From the Vault:Relics]](商品コンセプト&デベロップ)
 
*[[From the Vault:Legends]](商品コンセプト&デベロップ)
 
*[[From the Vault:Legends]](商品コンセプト&デベロップ)
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==脚注==
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<references />
  
 
==参考==
 
==参考==

2018年4月20日 (金) 08:32時点における版

マーク・ローズウォーター(Mark Rosewater)は、ウィザーズ・オブ・ザ・コースト開発部の主席デザイナー。MaRo(マロー)の愛称で知られ、彼が最初にデザインしたカードはそれにちなんでマロー/Maroと名づけられた。

目次

来歴

アメリカ合衆国オハイオ州ペッパーパイク出身。

ボストン大学のコミュニケーション学部を卒業後、ハリウッドのテレビスタジオに就職。コメディ番組『ロザンヌ』のフリーライター枠に応募し選抜された。『ロザンヌ』では2つのシナリオでクレジットを残している[1]

ライター業を孤独に思ったマークは、ロサンゼルスの家から出るためにゲームショップのアルバイトを始めた。ショップでは当初マジックを扱っていなかったが、ショップに来た若者にマジックを教えてもらい、マジックの虜となった。その後、Duelist誌に経験者向けのコンテンツが不足していると感じたマークは、パズルコラム("Magic: the Puzzling")のアイデアを手紙で提案し、これをきっかけにDuelist誌で連載を手掛けることになった。そして、シアトルでR&DMike Davisに誘われ、ウィザーズ社に入社することを決心した。

入社のための複数回の面接のうち1回は、当時の首席デザイナー兼首席デベロッパーであったJoel Mickとのマジックの対戦だった。Markは、当時まだ評価の低かった土地税/Land Tax4枚とキー・カードとしてズアーの運命支配/Zur's Weirdingが入った、狙いを読み取るのが難しくじわじわとした遅いデッキ『エドガー/Edger』を使い、自分を印象づけて勝利した[2]

巧みな話術と文才から、プロツアーインビテーショナルの運営、公式コラムMaking Magic -マジック開発秘話-の執筆、各種コンベンションへの出張など、さまざまな場面で活躍。その知名度から「マジックの広告塔」のような存在になっている。

デザイナーとしてのマーク

テンペストよりデザイン・チームに参加。ウルザズ・デスティニーでは1人でデザインすることに。その後主席デザイナーとして幾度もセットのリードを担当。展望デザイン・チームの設立後はそちらのリードを務める。

「マジックの魅力は色の役割が分かれていることにあるので、それを安易に崩すべきではない」というデザイン上の持論を持っており、人呼んで「カラーパイ・グル(導師)」「カラーパイの守護者」。しかし、新規カードすべてを監視し続けるのはかなりの仕事量であり、ただでさえ多忙だったため色の協議会を設立し、現在は守護者の座を返上している。

一方で「新鮮で、使って楽しいカードを作るべき」という信念も持っており、ときおりぶっ飛んだデザインをすることでも有名。自称「開発部一の“2倍にするカード”愛好家」。であり、根っからのジョニー

挙動の面白さを優先しすぎるあまり、ルールがついていけないカードを作ってしまうことも多かった。また、シンプルで美しいカードを作ったつもりが、ぶっ壊れレベルのパワーカードになってしまった例も数知れない。オパール色の輝き/Opalescence時のらせん/Time Spiralアーテイのおせっかい/Ertai's Meddlingはすべて彼のアイディアだと言えば、その一端がおわかりいただけるだろうか。

ルールが全般に整備されてきたこと、また彼自身がデザインチームの総括的立場に就くことが多くなったことから、過去のようにぶっ飛んだカードが話題になることはかなり減ってきた。それでも時のらせんブロックタイムシフト企画などで相変わらずプレイヤーを驚愕させ続けている。

トーナメント環境を支配してしまうような禁止カードが出ることは基本的にデベロップ・チームの責任であってMarkのせいではないのだが、それでも禁止カードが出た際には「またMarkがやらかしたのか」と言われることもしばしば。メディアにおける彼の存在感が窺い知れる。

主な担当セット

デザイン

太字はリード・デザイナー)

デベロップ

太字はリード・デベロッパー)

脚注

  1. Mark Rosewater - IMDb
  2. Untold Tales/語られざる話Making Magic -マジック開発秘話- 2016年2月22日 Mark Rosewater著)
  3. クローゼットより その1/クローゼットより その2

参考

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