バウンス
提供:MTG Wiki
バウンス(Bounce)とは、「跳ね返す」を意味する英語であり、戦場のパーマネント(稀にスタック上の呪文も)を手札(稀にライブラリーの一番上)に戻すこと。もしくはそのような効果を持つカード。それらを主軸にしたデッキ名として使われることもある。
目次 |
解説
フレイバーとしてのイメージは「水流や突風による戦場からの一時的放逐」「目標の忘却」「時間操作による存在の抹消」など。バウンスは青の得意技(色の役割)の1つであり、同じく青お得意の打ち消しと組み合わせることで手間はかかるが土地以外のあらゆるパーマネントに対応できる。
戦場から排除する点だけを見れば擬似除去として機能するが、手札に戻すだけでは簡単に唱え直せてしまうために時間稼ぎ(タイム・デストラクション)にしかならず、また基本的にカード・アドバンテージを失ってしまう。そのため、対象にできるパーマネントの範囲が同等である他の除去呪文に比べて、コストが安い場合が多い(例:送還/Unsummonと終止/Terminate、ブーメラン/Boomerangと名誉回復/Vindicate)。
除去として見ると力不足ではあるが、使い方次第では有効に働く場面も多い。例えば、相手の強化に対応して使って立ち消えさせたり、オーラ付きパーマネントを戻してエンチャント破壊のように使ったりすることで、カード・アドバンテージの損失を抑えられる。また、コストが重く唱え直しが困難なパーマネントを狙うことでテンポ・アドバンテージを稼ぐのは常套手段であり、特にリアニメイトのように非常に重いパーマネントを使用するデッキに対しては、実質的な除去になることもある。これらの大部分は除去や火力にも言える特徴だが、よりコストが軽く、タフネスや色などの除去耐性に関わらず対処できるバウンスのほうが、奇襲性や確実性が高い。
救出のためのバウンス
対戦相手のものばかりでなく、自分のものを対象にすることも多い。相手の除去から守るために使ったり、対戦相手にコントロールを奪われたカードを取り返すために使ったりなどは、除去にはできないバウンスならではの仕事である。特にETB能力の再利用手段として使われることも多く、繰り返し使えるものならばアドバンテージを稼ぐこともできる。他に何らかの効果が付加されているバウンスならば、永遠の証人/Eternal Witnessのようにカードを回収できるETB能力を持ったパーマネントと組み合わせることで、非常に強力なシナジーを形成することもできる。自軍のパーマネントのみをバウンスする効果は「救出」を意味することが多く、青だけでなく白にも多い。(→ 救出カード)
トークンのバウンス
インスタント
以下から1つを選ぶ。
・すべてのクリーチャー・トークンをオーナーの手札に戻す。
・トークンでないすべてのクリーチャーをオーナーの手札に戻す。
トークンは戦場以外の領域に移動すると消滅するため、トークンに対しては除去として働く。環境にトークンがあふれてくると、通常の除去よりもコスト・パフォーマンスの良いバウンスが流行る(例:獣群の呼び声/Call of the Herd全盛期の排撃/Repulseなど)。
- バウンスされるとトークンが消えることに関するフレイバー的解釈に関してはトークン#その他も参照。
呪文のバウンス
伝説のクリーチャー — 人間(Human) ウィザード(Wizard)
瞬速
造物の学者、ヴェンセールが戦場に出たとき、呪文1つかパーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
数は少ないがスタック上の呪文を手札に戻す効果(造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savantなど)も存在し、これもバウンスと呼ばれる。これは打ち消すこととは異なるため、打ち消されない呪文にも(時間稼ぎではあるが)対応できるのが強み。
バウンスを要求するカード
インスタント
あなたはこの呪文のマナ・コストを支払うのではなく、あなたがコントロールする島(Island)を2つ、オーナーの手札に戻すことを選んでもよい。
カードを2枚引く。
ペナルティやコストとして他のパーマネントのバウンスが要求されることもある(バウンスランド、開門、神河ブロックのムーンフォークなど)。基本的にはテンポ・アドバンテージを損するデメリットであるが、ETB能力の再利用、手札の水増しなどに利用できることもある。
バウンスを主軸にしたデッキ
クリーチャー — スピリット(Spirit)
飛行
(T),あなたがコントロールするアンタップ状態のクリーチャー2体をタップする:パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
環境によっては、バウンスを繰り返して対戦相手のパーマネントをすべて手札に戻すデッキが成立してしまうこともある(→ アウェイクニング、メダリオンブルー、トレードウィンド・サバイバル、ATS、エターナルウインド)。
激動/Upheavalはそれをたった1回の解決で達成してしまうリセット呪文であり、ゾンビ激動や激動サイカトグといったデッキを成立させたキーカードとなった。
バウンスすると対戦相手の手札の枚数が増えることを利用したデッキもある(→ハウリング・オウル)。
ライブラリーへのバウンス
手札でなくライブラリーへのバウンスも存在する。相手のボード・アドバンテージを1つぶん減らすことになるので、手札に戻す通常のバウンスと違い1対1交換として計算することができる。ただしこういった効果はあくまでライブラリーの一番上に戻すというものが多く、脅威をまたすぐに引かれることになってしまう。切削のようなライブラリー破壊と組み合わせたり、ライブラリーをシャッフルさせてしまうことで破壊や追放に近い除去として扱うことができる。
一方で、ライブラリーの一番上に戻すということは相手が新たな有効札を引くのを(今引き、トップデッキを)遅らせるということでもある。俗に「ドローを止める」とも。マナスクリューなどの事故を起こしているプレイヤーへは、こういったタイム・デストラクションがよく刺さる。
また、時間づまり/Chronostutterのように一番上ではなく上から何枚目かに置く系統のカードも存在するほか、糾弾/Condemnのようにライブラリーの一番下に送り込んでしまうカードは(シャッフルやサーチなどされないかぎり)ほぼ追放に近く、破壊より便利なことも多い。
2021年以降は、プレイングの幅が減ってしまう不快なゲーム体験を減らすためか、都落ち/Run Out of Townのように上か下どちらに戻すかをオーナーが選べる形式のものが多くなった。
- 過去にはすき込み/Plow Underのように、緑が土地へのタイム・デストラクションをすることがあった。
- 統率者戦ではかつて、ライブラリーに領域移動してしまった統率者は統率領域へ戻すことができなかったため糾弾/Condemnのように「一番下に戻す」系のカードが重宝された。2015年3月23日のルール更新で、そのようなことはなくなった。
その他
- まだ土地をプレイしていないターンに、自分がコントロールしている土地を(あらかじめマナを出してから)戻して、その土地を出すことで擬似的なマナフィルターになる。色事故が少なくないリミテッドでは、覚えておいて損はないプレイングである。
- はね返り/Recoilのようにバウンスと手札破壊を同時に行うと、相手の手札が0枚であったりどうしても捨てたくないカードしかない状況では擬似的なパーマネント破壊のように働く。
- ちらつき/Flickerなどの一時的に追放するカードも、パーマネントを戦場から一旦どかして出し直させるという意味では近い。どちらも溜まった+1/+1カウンターなどをリセットしたり、オーラをはがしたり、ETBをもういちど誘発させたりできる。一方で、ふたたび唱えるためのマナがかかりマナ拘束のような働きをするというのはバウンスならではの利点。
参考
- テンポ・アドバンテージ
- タイム・デストラクション
- 用語集
- ブーメラン/Boomerang - パーマネント全般を対象とし、バウンスする亜種のリスト。
- 分散/Disperse - 土地以外のパーマネントを対象とし、バウンスする亜種のリスト。
- 送還/Unsummon - クリーチャーを対象とし、バウンスする亜種のリスト。
- 再帰/Undo - 2つ以上のパーマネントを対象とし、バウンスする亜種のリスト。
- 脱出/Evacuation - クリーチャーを全体バウンスする亜種のリスト。
- 激動/Upheaval - クリーチャー以外のパーマネントも含んで全体バウンスする亜種のリスト。
- 送還のシンボル/Symbol of Unsummoning - キャントリップまたはドローしつつバウンスする亜種のリスト。
- はね返り/Recoil - 手札破壊をしかけつつバウンスする亜種のリスト。
- 時の引き潮/Time Ebb - 手札でなく、ライブラリーの一番上に戻す亜種のリスト。
- 力の消滅/Disempower - クリーチャー以外のパーマネントをライブラリーに戻す亜種のリスト。
- 大クラゲ/Man-o'-War - ETB能力でバウンスが誘発するクリーチャー亜種のリスト。
- 造物の学者、ヴェンセール/Venser, Shaper Savant - 呪文を対象とし、バウンスする亜種のリスト。