師範の占い独楽/Sensei's Divining Top
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アーティファクト
(1):あなたのライブラリーのカードを上から3枚見る。その後それらを望む順番で戻す。
(T):カードを1枚引き、その後師範の占い独楽をオーナーのライブラリーの一番上に置く。
1つ目の能力はミリーの悪知恵/Mirri's Guileのアーティファクト版。ただし能力の起動にマナを必要とするので(2つ目の能力の有無を計算に入れなければ)コスト・パフォーマンスは悪くなっている。ミリーの悪知恵と同様に、使っているうちにいらないカードが2枚3枚とライブラリーの一番上に溜まってくると機能が低下してしまうので、できればライブラリーを切り直すなどの手段を併せて用いたい。
ミリーの悪知恵との最大の違いであり、またこのカードの強力な点は、2つ目の能力により、アドバンテージの損失を先送りしつつライブラリー操作を行えることである。インスタント・タイミングでライブラリーの一番上に逃げられるので、アーティファクト破壊に強いのも魅力。
軽いアーティファクトであるためデッキカラー・デッキタイプを問わず採用することのできるカードである。序盤のもたつきが致命傷となるパーミッションの安定性向上に、ビートダウンの手札の効率的な運用に、カウンターとクロックのバランスが重要なクロック・パーミッションに、コンボデッキでコンボパーツを揃えるために、と、使用方法は様々。 だが、シナジーにより効果が何倍にも上昇するカードであるため、やはり他のカードと組み合わせて使うのが望ましい。
神河物語参入当初は、同ブロックの桜族の長老/Sakura-Tribe Elderや木霊の手の内/Kodama's Reachなどの緑のマナ加速との相性が抜群によく、創造の標やけちコントロールなどの緑系デッキで多用された。 これらターボランド系デッキでは土地サーチによりライブラリーシャッフルの機会が多く、フィニッシャーを効率よく探すことができ、マナフラッドの解消にも貢献するなど、非常に使い勝手が良かった。その他土地サーチでウルザランドを揃えるウルザトロンにもよく採用されていた。エンドカードの歯と爪/Tooth and Nailを探すのに役立ったからである。これらの活躍から、Mike Floresはこのカードを「神河ブロックにおける最強の緑のカードの一枚」と評した。(→そっちのグリーンカードじゃなくて参照)。
闇の腹心/Dark Confidantとの相性もよい。公開するカードが土地になるように並び替えてしまえるし、3枚の中に土地が無くなっても独楽自身を戻すことで、ライフの損失を最小限にすることができる。 さらに、コールドスナップで相殺/Counterbalanceと占術の岩床/Scrying Sheetsが登場。前者はソフトロックに近い働きをし、後者は毎ターンかなりの確率でアドバンテージを稼ぎ出してくれる。これらのギミックを搭載したクロック・パーミッションやコントロールデッキがスタンダードにおいて最前線で活躍した(→相殺コントロール、氷雪コントロール)。
現在ではヴィンテージでしか使えないが、その強力さはフェッチランドを多用することでライブラリーを切り直す機会が増えるエクステンデッド以下の環境でも折り紙つき。禁止前のレガシーでは相殺の登場以降相殺コントロールが環境を席巻したほか、ドローサポート兼ストーム稼ぎ役としてDoomsday Comboを、アヴァシンの帰還参入後は奇跡との相性が買われ青白奇跡コントロールを成立させた。ヴィンテージでも修繕/Tinkerと闇の腹心/Dark Confidantの両立など、様々なデッキで潤滑油になっている。
禁止・制限履歴
エクステンデッド以下の環境では、登場以来広く使用されたが、使いやすさによる人気の高さに加え、定期的な起動によってマッチの進行およびトーナメントが停滞し、さらにシャッフル手段の多用によって遅延が悪化することから、最終的にはエクステンデッド・モダン・レガシーの禁止カードに指定される。(参考1)(参考2)
- エクステンデッドでは、2008年9月20日より禁止カードに指定される。
- モダンでは、フォーマット設立当初から禁止カード。
- レガシーでは、2017年4月24日より禁止カードに指定される。
ルール
- 1つ目の能力を起動し、解決前に2つ目の能力を起動すれば、このカードをライブラリーの3枚目に戻すこともできる。
- 当然だが、1つ目の能力を何度起動しても見られるのは上から3枚で、それ以上掘り下げて見ることはできない。なぜなら、上から3枚見る効果が複数回実行されるだけだからである。
利用
- 神秘の教示者/Mystical Tutorなどでライブラリートップへ置いたカードを、2番目の能力ですぐさま手札へ加える事ができる。
- 未来予知/Future Sightとシナジーを形成する。2つ目の能力でライブラリーの一番上のカードと置き換わった後、ライブラリーから直接 唱えれば、公開はされるが、実質たったの1マナでカードが引ける。Yet Another AEther Vortexでも同じことができるが、動き方は別。ライブラリーの一番上にあるとき、タップ能力をスタックに乗せてから、入れ替え能力で自身を2枚目に入れるか、一番上にあるときにタップ能力を起動してそれを手札に加え、普通に唱えた後に再びタップ能力を起動する、という流れ。
- これ2つと覚醒の兜/Helm of Awakeningや雲の鍵/Cloud Keyで無限コンボができる。ストームと組み合わせたのがSensei, Senseiである。
- 後に登場した奇跡との相性は抜群。ライブラリーを操作して奇跡持ちのカードを積み込めるだけでなく、2つめの能力を使うことで相手ターンでも自由に奇跡を誘発させられる。2つ目の能力にはマナが掛らないため、奇跡コストの支払いも非常に容易。実際にレガシーにて青白奇跡コントロールなどで活躍したギミックである。
- 便利かつ強力なカードだが、数少ない欠点として2枚目以降が腐るという問題がある。シャッフル手段などが無いデッキでは1枚挿しにとどめる場合が多い。このカードを腐らせないためにも、投入枚数を削って粗石の魔道士/Trinket Mage等でサーチしたり、2枚目以降を知識の渇望/Thirst for Knowledgeや爆片破/Shrapnel Blastのコストにしたりするデッキも多い。
- 2つ目の能力のライブラリートップに戻る動きは効果の一部である為、起動後に能力をスタックに載せたまま生け贄に捧げても、問題なくカードを引くことができる。
- レガシー以下の環境では、さまざまな小技が使用される。アグロロームにおいて田舎の破壊者/Countryside Crusherを安定して成長させたり、ライブラリーを切り直す機会が多いサバイバル系のデッキへの投入など。
- よくある勘違いとして、時間の把握/Telling Timeのようなライブラリー操作との相性があげられる。独楽で見たカードを別の場所に置けるため、相性がよいと思われることがあるが、実際には効果が重複しているため相性がよくない事も多い。また、同様に複数枚ドローとの相性もよくないと言える。
- 一方、不要なカードがライブラリーの一番上に溜まった時に、それらを一斉にライブラリーの一番下や墓地に置ける占術や発掘とは相性がよい。
- アンタップ状態の師範の占い独楽をアーティファクト破壊で対象に取ると、多くの場合タップ能力でライブラリーの一番上に逃げられてしまうが、対戦相手がフェッチランドなどのライブラリーを切り直す能力を起動したタイミングで対象に取ると、最悪でもライブラリーの中に混ぜ合わせることができる。奇跡コントロールと対戦する際には重要なテクニックである。
その他
- これが戦場に出ていないのに能力を起動してしまうことがあり、「真空独楽(しんくうごま)」「空独楽(からごま)」などといった俗称までついている。タップ不要でマナのみで使用できるため、戦場にあると勘違いしてしまうことによるミス。特に、数ターン使った後、ライブラリーの一番上に戻したのを忘れて、といった状況で起動するミスが多い。もちろんルール違反であり、トーナメントでは警告となるのでやらないように注意。
- 同様の事例が多かったためか、マジック違反処置指針でも違反行為として例示されている(「2.2. ゲーム上の誤り ─ 過剰なカードを見た」の項を参照のこと)。
- これの日本語版のプレミアム・カードは、アンコモンでありながら数万円程度で取引されている。
参考
- 相殺コントロール
- 師範の占い独楽―お馬鹿のサリーの新〈森の知恵〉(Wizards社;英語)
- カード個別評価:神河物語 - アンコモン
- カード個別評価:エターナルマスターズ - レア
- From the Vault:Exiled