大体/More or Less
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ターン終了時まで、呪文かパーマネントに書かれている数・数詞の1つを±1させ「大体これくらい」にしてしまう青のインスタント。
書いてあることは単純明快だが、その影響範囲は非常に大きくこのカード1枚だけでもできることは多岐に渡り、他のカードと組み合わせるとルール的に狂ったことが起こり得る。以下はその一例。ややこしさはさておくと、1マナと軽いため構えやすく、様々な用途に使えるので意外と便利なカードである。
- 不特定マナの数
- 呪文のマナ・コストや能力の起動コストなどに書かれた不特定マナの数が変更される。ただし、これを唱えた時にはすでに呪文のマナ・コストは支払われているので軽減はできない。
- 起動コストを軽減する場合でも、この呪文自体に1マナかかることを考えるとあまり意味はないが、複数回起動できる能力なら話が変わってくる。例えば、沼の信徒/Bog Initiateや大蛇の葉詠み/Orochi Leafcallerと組み合わせれば無限マナ。
- 対象の数
- 複数の対象を取る呪文や能力の対象の数が変更される。例えばギザギザ稲妻/Jagged Lightningならクリーチャー3体を対象にそれぞれ3点のダメージを与える呪文にできる。
- 日本語版のカードに対しては、単一の対象を取る呪文や能力の対象を増減させることができる。従って、双つ術/Twincastや実質的な打ち消し呪文のようにも機能する。詳しくは後述のルールを参照。
- カード名・パワー・タフネス・忠誠度といった特性の数
- クリーチャーや機体に書かれているP/Tが変更される。従って、これ単独で「+1/+0の修整を与える単体強化呪文」「-0/-1の修整を与えるマイナス修整除去呪文」のように機能する。スタック上にある真の名の宿敵/True-Name Nemesisのタフネスを減らすことで戦場に出ると同時に即死させることもできる。
- スタック上にあるプレインズウォーカー呪文の忠誠度を変更することで、戦場に出る際に置かれる忠誠カウンターの数を増減させることができる。
- カード名も変更されるため、名前に数字・数詞を含む伝説のパーマネントなら一時的にだが複数同時にコントロールできるようになる。例えば英語版の囁く者、シェオルドレッド/Sheoldred, Whispering Oneは「囁く二人、シェオルドレッド(意訳)/Sheoldred, Whispering Two」になり得る。
- 文章欄の数
- カードを引く呪文や能力と併せて唱えれば、実質的に1ドローを行うデッキ圧縮呪文のように使うこともできる。日本語版ならキャントリップも適正になるのでさらに使いやすい。逆に相手のドローの枚数を減らすこともできるが、カード・アドバンテージ的には差し引き0、多人数戦ではやや損になる。
- サーチカードで探してこれるカードを増やすのもいいだろう。相手のサーチ呪文にあわせて実質的な打ち消しにするのも効果的。
- モードを持つカードは複数のモードを同時に選べるようになり、効率が大きくあがる。逆に、モードを1つだけ選ぶ呪文に対する実質的な打ち消しにもなる。
- 山分けカードは妙な現象を引き起こし得るが、嘘か真か/Fact or Fictionで2つの束を手札に加えたり、栄光か死か/Death or Gloryは0つの束を選ばせることで確定リアニメイトになるなど、有用なものも存在する。
- 「~1つにつきN点(枚,個)」など掛け算方式で記述されているカードなら大きな効果を得られる。春の鼓動/Heartbeat of Springなどに使えば強力なマナ加速になりうる。「2倍」と書かれているものを「3倍」にするのも派手でよい。全体強化や全体火力なども、効果が及ぶ枚数が増えるほど効率が上がる。
- 6面ダイスや20面体ダイスは、5または7面体ダイスや、19または21面体ダイスを振ることになる。この場合、指定された面の数より多いダイスを振り、不要な面を無視することで代用できる。後述のルールも参照。
- Chaos Orbや殺人カマキリ/Slaying Mantisなど、カードを物理的に数フィートの高さ/距離から投げるカードは少しだけ難易度を変えることができる。
- 注釈文の数字・数詞も変更できるが、それは注釈文が正しくなくなるだけで意味がない。拡張・召集やエネルギー・カウンターを生み出すカードなど、一見すると影響を受けそうなカードもあるので注意。
- フレイバー・テキストの数字・数詞も変更できるので、おかしな文章を作り出すこともできる。残念ながらMy First Tomeやなんでもかんとか/Everythingamajigで読み上げることはできないが。
- その他の数
- コレクター番号、アーティスト名、権利表記の発行年など、カードに書かれたあらゆる数を増減させることができる。
- コレクター番号は流し台の騎士/Knight of the Kitchen Sinkや言い知れない祝福/Ineffable Blessingで参照しているため、アン・ゲームではそれなりに意味を持つ。
- Unstable現在は名前に数詞・数字を含むアーティスト名は存在しないが、今後増える可能性はある。
- 発行年は今のところ特に意味がないが、第4版(1995年)のカードに使えば気持ちだけサマーマジックを味わえるかもしれない。
- 中にはこのカードでも変更不可能とされる数字も存在する。詳しくは後述のルールを参照。
- "More or Less"とは、不正確であるが正確に近いこと、すなわち「大体、多少、幾分、約~」といった意味。
- このカードは、カードに含まれている数字・数詞のすべてを変更するのではなく、カードに含まれる数字1つだけを変更する。
- 公式日本語対訳では不明瞭だが、英語版オラクルでは"a number or number word"(数または数詞1つ)と記述されている。
- 臨機応変/Sleight of Mindなどテキストを書き換える呪文の系譜にあたるが、影響範囲の広さは歴然である。
- テキスト変更効果の一部なので違和感は無いが、P/T修整は本来の青の役割から少し外れている。
- 呪文や能力によって「置かれる(取り除かれる)カウンターの数」は変更できるが、すでに置かれているカウンターの数は変更できない。それはすでにカードが持つ数ではない。
- アン・ゲームには1/2のP/Tや半分のマナ・シンボルが存在する。これらも変更できるとすると、
- Little Girlなら、P/Tをそれぞれ1+1/2や-1/2(1/2-1)にできる。タフネスを-1/2にすると状況起因処理で墓地に置かれるだろう、ルールの法律家/Rules Lawyerがいない限りは。
- 名前を変更していない_____をとても謎めいた命令/Very Cryptic Command(B)でタップできたり、スタック上のカウント男爵/Baron Von Countに唱えて(イラストに6が無いので)破滅カウンターを置けなくしたり、流し台の騎士/Knight of the Kitchen Sink(E)のプロテクションが参照する語数を増減させたり、甲羅象/Shellephantが2つのP/Tを同時に持つことになったりと、アン・ゲームでは一段と妙な現象を引き起こすことになる。
- ローマ数字は変更できないとされている。それに倣えば漢数字も変更できないことになる。もし仮に変更できることにすれば、さらにおかしなことが起こり得る。
- ライブラリーの一番上を参照するカードは、二番目のカードもしくは何も参照しないことになるだろう。
- 二段攻撃を三段攻撃に(あるいはその逆に)することができるだろう。一段攻撃や四段攻撃はルールで定義されていないので、おそらく何もしないことになる。
- 日本語版の一匹狼/Lone Wolfは二匹狼になるだろう。一なる否命/Iname as Oneを同時に2体コントロールできたりするので、あながち無意味ではない。
ルール
- 数字とは「0、1、2、3、…」というアラビア数字のそれらを指す。数に関する基本的なルールはそちらのページを参照。
- 数詞とは、英語においては"zero,one,two,three,…"、日本語においては「れい、いち、に、さん、…」または「(れい、)ひとつ、ふたつ、みっつ、…」といったものを指す[1]。
- "a"や"an"は数詞ではない。従って、"Draw a card."を"Draw two(zero) cards."に変更することはできない[1]。
- 英語版では数字も数詞も書かれていない部分が、言語によっては数字や数詞で印刷されていることがある。実際にその言語のカードを使っている場合に限り、「カードを1枚引く」を「カードを2枚(0枚)引く」に変更することができる。[3]。
- 英語版では"target creature."を"two target creatures."に変更することは不可能だが、日本語版では「クリーチャー1体を対象とする」を「クリーチャー2体(0体)を対象とする」に変更することが可能。「クリーチャー0体を対象とする」に変更した場合、それは対象を取らないものとみなされる。
- カードのどこにある数や数詞でも変更することができる[1]。
- しかし、ローマ数字やエキスパンション・シンボル内の数字は変更できない[4]。
- マナ・コストを変更した場合、マナ総量も変わる。[1]。
- 5面ダイスや7面ダイスを振る場合、6面ダイスや8面ダイスを振り、6や8の面を無視することで代用することができる[5]。
- 血の暴君、シディシ/Sidisi, Brood Tyrantのように「1枚以上の」と書かれた誘発条件を「0枚以上の」と書き換えた場合でも、依然として対応するイベントが発生しない限りその誘発型能力は誘発しない。0枚だからといって何も起こらなくても無限に条件を満たすわけではない。[6]
フレイバー・テキスト
Why was 5 afraid of 6? Because 678.
なぜ5は6を恐れるのか? 678だから。
一見すると意味不明だが、これは有名なジョーク"Why was 6 afraid of 7?" "Because 7 8(ate) 9."(なぜ6は7を恐れるのか? 7が9を食ったから。)が元ネタ。数字が1ずつ減っていておかしな文になっている。
もちろん、このカードの効果でこのジョークを正しく直すこともできる。別に5枚必要になるので揃えるのが大変そうだが(678を一つの数字として読むともっと大変)。
参考
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 Unstable FAQAWASLFAQPAFTIDAWABIAJTBT/『Unstable』 よくある質問とそうでもない質問とめったにないだろうけど一応答えておく質問集(News 2017年11月22日 Mark Rosewater著)
- ↑ Blogatog(Mark Rosewaterのブログ)
- ↑ MarkRosewaterのBlog
- ↑ MarkRosewaterのBlog
- ↑ MarkRosewaterのBlog
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