等時の王笏/Isochron Scepter
提供:MTG Wiki
アーティファクト
刻印 ― 等時の王笏が戦場に出たとき、あなたはあなたの手札にあるマナ総量が2以下のインスタント・カードを1枚、追放してもよい。
(2),(T):あなたは、その追放されたカードをコピーしてもよい。そうしたなら、あなたはそのコピーを、そのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
刻印したカードを何回でもコピーし、唱えられるアーティファクト。
手札から刻印する性質上、出てすぐ割られるとアドバンテージを失うものの、そのまま割られなければ圧倒的有利な状況を作れる。
金属モックス/Chrome Moxなどから極めて早い段階でブーメラン/Boomerangを刻印すれば、毎ターン土地をバウンスして何もさせずに勝利できる。対抗呪文/Counterspellを刻印すれば、毎ターン対戦相手の呪文を打ち消せる。オアリムの詠唱/Orim's Chantを刻印すれば、対戦相手の動きを大きく阻害することが可能。直観/Intuitionで持ってきた蓄積した知識/Accumulated Knowledgeを刻印すれば、毎ターン3枚以上のハンド・アドバンテージが稼げる。差し戻し/Remandなどキャントリップのついているカードならば、起動すればするほど手札が増えていく。
決して対策不能なカードではないにしても、単純なカードパワーはかなり高く、エターナルやエクステンデッド環境で使われ続けた。しかしながら、時のらせんでクローサの掌握/Krosan Gripが登場すると対抗呪文や差し戻しを刻印しても必ずしも安心できなくなり、さらにラヴニカへの回帰で突然の衰微/Abrupt Decayが登場してメインデッキから対策されるようになると勢力を落とした。数々の2マナの優秀なインスタントを振るい続けたこのカードが、2マナのインスタントに殺されたのは皮肉なものである。他のアーティファクトデッキの勢力が高まった余波もあり、モダンや2013年以降のレガシーでは大きな結果を残せていない。
スタンダード期の活躍についてだが、これを利用して組まれるようになったのは2005年3月20日における大量禁止の後。それ以前は、親和の大流行によりアーティファクトが目の敵にされていた上、環境のスピードにもついていけなかった。刻印されていたのはもっぱら早霜/Early Frostと聖なる日/Holy Day。
- 2マナ以下のため否定の契約/Pact of Negationなどの契約サイクルを刻印できるが、遅延誘発型能力のマナの支払いを踏み倒すことは出来ない。
- アモンケット登場に際しての分割カードのルール改定により、分割カードとはコンボを組みにくくなった。旧ルール当時は火+氷/Fire+Iceなどもよく刻印された。分割カード#ルーリングを参照。
- ミラディン収録版(日本語版)には、ルール文章の「ゲームから取り除いてもよい」が「取りいてもよい」と「除」が欠落している誤植がある(カード画像)。
- 日本語の読み方は「とうじのおうしゃく」。
- 英語での発音はよく間違われるが、正しい発音は「あいそくろんせぷたあ」に近いものとなる。
- From the Vault:Relicsに新規イラストで収録された。
- ミラディン版の原画がオークションに出品された際、イラストに描かれた1997年の署名についての質問に、アーティストのMark Harrison本人から元々は無のロッド/Null Rodのために描かれたイラストだったと明かされた[1]。
よく刻印されるカード
- 対抗呪文/Counterspell
- ブーメラン/Boomerang
- 蓄積した知識/Accumulated Knowledge
- オアリムの詠唱/Orim's Chant
- Ancestral Recall
- マナ吸収/Mana Drain
- 記憶の欠落/Memory Lapse
- 稲妻のらせん/Lightning Helix
- 根絶/Extirpate
- 劇的な逆転/Dramatic Reversal
- 暗殺者の戦利品/Assassin's Trophy
代表的なデッキ
関連カード
- 一望の鏡/Panoptic Mirror - インスタントまたはソーサリーを刻印。マナ総量の制限はない。刻印にマナとタップが必要だが、アップキープに自動で唱えられる。(ダークスティール)
- 精鋭秘儀術師/Elite Arcanist - インスタントを追放 (刻印の能力語は使われていないが、挙動は同じ)。マナ総量の制限はない。4マナ1/1のクリーチャー。(基本セット2014)
ルーリング
- 起動型能力の基本的なルールに関しては「マナ・コストを支払うことなく唱える」の項を参照。
- 分割カードは、カード全体としてのマナ総量が2以下であるなら刻印できる。
- たとえば増進+衰退/Wax+Waneを刻印し、能力を起動した後好きな方を選んで唱えることができる。
- 仮に融合を持つ分割カードを刻印した場合、手札から唱えるわけではないので両方の効果を使うことは出来ない(現在のルールでは融合を持つ分割カードのうち刻印できるものは存在しない)。
- これによって作られたコピーは「唱える」ため、呪文を唱えることに関係する効果が適用される。
- 刻印されたカードが秘儀なら、コピーに連繋(秘儀)を持つカードを連繋できる。
- 刻印されたカードのカード名が翻弄する魔道士/Meddling Mageの能力で選ばれている場合、コピーを唱えることは禁止される。
- 呪文を唱えることが禁止されている場合、能力を起動してコピーを作ることはできるが、そのコピーを唱えることはできない。
- ストリオン共鳴体/Strionic Resonatorなどを利用して複数のインスタント・カードを追放している場合、それぞれのカードについてコピーが作られ、唱えるかどうかを選択できる。すべて唱えることもできる。(CR:607.3)
- コピー能力がスタックに乗ってからこれが戦場を離れても、刻印によって追放されたカードは参照可能である(→最後の情報)。
- 望むなら、能力の解決時に、コピーを作らなくてもよいし、作ったコピーを唱えないことにしてもよい。この場合、コピーは次の状況起因処理のチェック時に消滅する。
- コピーした呪文は、当然ながら通常通り打ち消すことができる。
脚注
- ↑ MtG Art Market(Facebook 2021年12月11日)