ギデオン・ジュラ/Gideon Jura (ストーリー)

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(経歴)
(経歴)
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ついに面晶体は連結し、ウラモグは上陸寸前で身動きを封じられた。こうなれば、この久遠の闇の住人を滅殺する策はいくらでも講じられる。海門全体が勝利に湧く中、斥候イービは陽光をさえぎる一つの影を見た。
 
ついに面晶体は連結し、ウラモグは上陸寸前で身動きを封じられた。こうなれば、この久遠の闇の住人を滅殺する策はいくらでも講じられる。海門全体が勝利に湧く中、斥候イービは陽光をさえぎる一つの影を見た。
 
ゼンディカーがその身に封じていた、もう一つの巨悪。[[オブ・ニクシリス/Ob Nixilis]]が、今まさに[[灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited|灯の再覚醒]]を成し遂げんとしていた。
 
ゼンディカーがその身に封じていた、もう一つの巨悪。[[オブ・ニクシリス/Ob Nixilis]]が、今まさに[[灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited|灯の再覚醒]]を成し遂げんとしていた。
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=== ゲートウォッチの誓い ===
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何千年もの間ゼンディカー次元に捕らわれていたニクシリスは、同じ苦しみを味わわせようと自身が捕えたニッサ、ジェイス、ギデオンを苛んでいたが、ひそかに追いかけてきたチャンドラによって3人は解放される。
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3人はチャンドラと共にニクシリスへと立ち向かい、ニクシリスを逃走に至らしめた。
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4人は荒廃した風景を目の当たりにし、彼方の空には2体の巨人がそびえていた。他の3人は絶望に飲み込まれかけるが、ギデオンの言葉によって立ち直った。
 +
ウギンの助言を元にジェイスが作戦を立て、それが実行された。ギデオンが落とし子の群れから皆を守る中、ニッサが力線を操り、巨人を縛り付けてその姿をゼンディカーへと完全に引き込んだ。
 +
ニッサがチャンドラへと力線のマナを流し込むと、ウラモグとコジレックは焼き尽くされた。
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=== イニストラード・ブロック ===
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やがてエムラクールがイニストラードにいるとの報告がジェイスから入り、ゲートウォッチの3人は共に向かった。
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イニストラードでの力線を思うように使いこなせない中、[[リリアナ・ヴェス/Liliana Vess (ストーリー)|リリアナ・ヴェス/Liliana Vess]]が思わぬ形で助力に現れた。
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ギデオンはラヴニカでリリアナと会ったことがあり、ジェイスと何らかの関係のある女性ということは知っていた。ギデオンとしては不本意だが、不浄の軍勢であるリリアナ達と共闘することとなった。
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さらに[[タミヨウ/Tamiyo]]の協力も加わり、ゲートウォッチはエムラクールをイニストラードの銀の月へと封印した。
 +
戦いの後、ジェイスの願いからギデオンはリリアナをゲートウォッチに迎い入れることを了承した。屍術や鎖のヴェールを使わせずにいられるのであれば多元宇宙全体にとっても良いことだろうというのがギデオンの考えであった。
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=== カラデシュ・ブロック ===
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イニストラードでのエムラクールとの交戦から数ヶ月後、チャンドラと共に[[カラデシュ/Kaladesh]]へ向かっていたリリアナから、かの地に[[テゼレット/Tezzere]]がいるという知らせが入った。
 +
ギデオンとジェイスは直ちに向かい、テゼレットが現地の領事府に入り込んでいることを知ると、[[ピア・ナラー/Pia Nalaar (ストーリー)|ピア・ナラー]]が率いる改革派に手を貸すことになった。
 +
ギデオンは自分達の正義を他の次元に押し付けるようなこの戦いに疑問を抱いていたが、ひとまずチャンドラのために戦うのだと自らを納得させた。
 +
領事府との戦いはチャンドラに過去の行いを突き付けたが、ギデオンは戸惑い苦しむチャンドラに献身的に寄り添った。
 +
自ら飛行機に乗って次元橋を破壊しに向かうと主張するチャンドラの決意を察し、彼女を守るべくギデオンは同行を申し出た。
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神聖術をまといながら2人は突入し、次元橋を破壊してテゼレットをプレインズウォークで逃走させた。
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争いが集結するとゲートウォッチは新たに[[アジャニ/Ajani]]を受け入れた。
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アジャニはいったん[[ニコル・ボーラス/Nicol Bolas]]と闘うための仲間を集めることを提案したが、ギデオンは内心で一刻も早くボーラスを叩こうとその所在である[[アモンケット/Amonkhet]]に向かうことを計画していた。
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=== アモンケット・ブロック ===
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アモンケットに辿り着いたゲートウォッチはゾンビの群れや巨大なワームに襲われるが、神々しい存在が介入してワームを倒す様をギデオンは目撃した。
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[[アモンケット/Amonkhet#ナクタムン/Naktamun|ナクタムン/Naktamun]]に辿り着き[[オケチラ/Oketra]]に対面したギデオンは、オケチラが愛に満ちた神なのだと瞬時に悟った。
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ギデオンはこの次元について学びたいと願い、[[バントゥ/Bontu]]が定める試練に挑むこととなった。
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だが仲間の命をもためらいなく捨てなければ先に進めないその試練にギデオンは疑問を抱き、最終的に仲間同士で殺し合う様子にギデオンは怒りに燃えてバントゥと対峙する。
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アモンケット=経歴==
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===覚醒前===
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故郷のテーロスでは、ギデオン・ジュラは'''キテオン・イオラ'''/''Kytheon Iora''という名の少年だった。父の顔を知らず育ち、幼くして母とも死に別れた彼は、正義感が強く喧嘩も強いが、礼儀知らずで未熟な少年だった。彼は同じような境遇の子供たちを集めた[[キテオンの不正規軍/Kytheon's Irregulars#ストーリー|キテオンの不正規軍/Kytheon's Irregulars]]という義賊を率いていた。13歳の時、彼は盗みのため牢に繋がれることになったが、その看守であった[[ヒクサス/Hixus]]に才能を見出され彼に師事することとなった。当初キテオンは抵抗したが、数度脱走を試みた後にヒクサスとの鍛錬を受け入れた。キテオンはヒクサスから神聖術と自制心、そして戦況を見抜き支配するすべを学んだ。
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4年間ヒクサスの牢獄の中で修行した彼はある日、[[ハーピー#ストーリー|ハーピー]]の群れに突如襲撃されたアクロスを守ることを条件として放免された。彼はヒクサスや他の囚人と共にハーピーと戦い多くをしとめた。だが、さらに複数の[[サイクロプス]]が城壁に迫っていた。キテオンは彼の非正規軍と合流し、敢えて城門の外でサイクロプスと戦い、非正規軍とともに[[キテオンの戦術/Kytheon's Tactics#ストーリー|これを打ち倒した]]。この時の彼の大胆不敵な戦術は[[捨て身の抵抗/Desperate Stand#ストーリー|後年にも伝わっている]]。
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戦いの後、太陽の[[神#ストーリー|神]][[ヘリオッド/Heliod]]が彼の前に現れた。ヘリオッドは彼の戦士としての価値を認め、勇者の[[試練#ストーリー|試練]]とそれを果たすための太陽の槍を与えた。彼の試練とは、死の神[[エレボス/Erebos]]が放った[[エレボスのタイタン/Erebos's Titan#ストーリー|恐るべき巨人]]を倒すことだった。彼は巨人をおびき寄せ、非正規軍とともに巨人と戦い、太陽の槍でもってとどめを刺した。その時、地平線の向こうからエレボス自身が姿を現した。キテオンは自信に満ちていた。彼は死の神に報いを与えようと、太陽の槍を放った。神は[[エレボスの鞭/Whip of Erebos#ストーリー|鞭]]を振るい、槍を彼へと跳ね返した。身構えた彼の視界が真っ白に染まった。視界を取り戻した時、キテオンは[[悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance#ストーリー|周囲の非正規軍の変わり果てた姿を見た]]。後悔と苦痛に震える彼の[[プレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Spark]]が点り、彼は[[バント/Bant]]へとプレインズウォークした。[[バント/Bant]]で目を覚ましたとき、周囲には巡礼の道の騎士長、ムーキル率いる一団が居り、名を尋ねられる。「キテオン」と息を詰まらせながら答えたところ、ムーキルは「ギデオン?」と聞き返した。
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*ギデオン自身は、この時期のことは特に話したがらないようだ。
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*小説「The Purifying Fire」やそれを原作にした「燃え尽きぬ炎」の作中でもこれらの出自は言及されていた(なお、両作品で語られた出自には微妙な相違がある)。しかし故郷の名や灯が点った時の詳細については[[マジック・オリジン]]までは語られていなかった。
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===The Purifying Fire(燃え尽きぬ炎)===
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[[レガーサ/Regatha]]に滞在していたギデオンは、レガーサ[[次元/Plane|次元]]の全域に法と秩序をもたらそうとするヘリウド騎士団/Order of Heliudに仕えていた。彼は騎士団の指導者ウォルバート3世/Walbert IIIの依頼によりケラル砦/Keral Keepに滞在する[[プレインズウォーカー/Planeswalker]]、[[チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar (ストーリー)|チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar]]を追うこととなった。
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ギデオンはチャンドラを追って[[ケファライ/Kephalai]]、そして[[ディラデン/Diraden]]へとプレインズウォークした。当初彼はチャンドラのことを単なる危険人物と考えていたが、ディラデンで彼女と共闘し、また過去の一端を知ったことで彼女への感情は変化していった。
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ディラデンを脱出し2人してレガーサに帰還した所で、彼は正体と己の任務を明かした。彼はチャンドラにレガーサを離れるよう忠告したが、彼女は受け入れなかった。数日後、彼女はケラル砦を守るために自ら騎士団に投降してきた。そこでウォルババートは彼らに初めて真意を明かした。遂に長年の予見が成就する、今日プレインズウォーカーの紅蓮術士は浄化の炎/The Purifying Fireに投じられ魔力を永遠に失い、以降レガーサが混沌と災厄に苛まれることはなくなると。彼女を助けようと、ギデオンは浄化の炎について知り得たことを教えた。浄化の炎は魂の罪を清める、もし穢れのない魂をもって浄化の炎の中に入るのならば、無事に出られるかもしれないと。彼は彼女が過去の罪悪感と向き合うために、ディラデンで見た悪夢について話すように促した。話を終え、吹っ切れたチャンドラは自ら浄化の炎の中へと入った。彼女の願いでその場を離れていたギデオンが現場に着いた時、チャンドラの紅蓮術によりウォルバートとその場にいた騎士団の人間は焼き殺され灰と化していた。愕然としたギデオンは彼女を責めたが、戦うことは出来なかった。一旦レガーサを去るチャンドラに、ギデオンはまた会おうと言った。
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===エルドラージ覚醒===
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レガーサでの決別を後悔したギデオンは再び、今度は一度共闘した友人としてチャンドラを追う。向かうは星の聖域の巻物が示す次元、[[ゼンディカー/Zendikar]]である。しかし、そこでは[[多元宇宙/Multiverse]]を揺るがす恐るべき捕食者、[[エルドラージ/Eldrazi]]が復活しようとしていた。
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===ケフ砦の戦い/The Battle of Fort Keff===
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ついに復活したエルドラージ。砦の人々の抵抗も全く意に介さない[[ドローン|眷属]]と[[落とし子]]の群れを相手に、ギデオンは一人立ち向かう。ギデオンとケフ砦の住人は[[臨死体験/Near-Death Experience|辛くも勝利]]するが、地平線には新たな、そして遥かに強大なエルドラージ、[[エムラクール/Emrakul]]の姿が。
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ギデオンは住民の避難を済ませてから[[ラヴニカ/Ravnica]]に向かった。彼一人では対処できない敵、それに立ち向かえる[[無限連合/Infinite Consortium|組織]]を耳にしたことがあったのだ。
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*翻訳記事では「ラヴニカを訪れて組織を見つけ、ゼンディカーへと戻ってまた去った」ように書かれているが、誤訳。
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===ギルド門侵犯===
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ラヴニカに到着したギデオンはたまたま[[ボロス軍/Boros Legion]]の一旅団を[[ラクドス教団/The Cult of Rakdos]]の待ち伏せから救ったことにより、[[オレリア/Aurelia]]にボロスの大隊の指揮とギルド間の抗争に巻き込まれる無辜の人々を共に救うことを依頼される。ゼンディカーが超次元的な危機に晒されていることを知りながらも自分を必要としている目の前の人々を見過ごすことが出来なかったギデオンは、ボロスへの参加については保留しつつもオレリアへの協力を承諾する。
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===ドラゴンの迷路===
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ギデオンは[[タージク/Tajic]]とボロスの部隊を率い、第9地区にて[[グルール一族/The Gruul Clans]]とラクドスの軍勢を迎え撃つ。よく訓練された勇猛果敢なボロスの兵士たちと共に戦うことは、ギデオンにこれまでにない喜びを与えていた。しかし、プレインズウォーカーである彼の助力を求める人々は[[ゼンディカー/Zendikar|他の場所]]にいた。彼はオレリアに暇乞いをすると、彼女は寛容にもそれを受け入れ、いつでも歓迎すると伝えた。ギデオンはオレリアのカリスマ性に気圧されながらも[[軍の要塞、サンホーム/Sunhome, Fortress of the Legion|サンホーム/Sunhome]]を去った。
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しかし、彼は平和の名の下に犠牲を厭わないオレリアへの不信と反発をも示しており、[[ギルドとの縁切り/Renounce the Guilds]]を決断している。どのような経緯でそこに至ったのかは明らかにされていない。
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{{フレイバーテキスト|「平和の名のもとに多くの人々が命を落とすことになる。それがあなたの言う和解というものか?」|ギデオン・ジュラからオレリアへ}}
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===限界点/Limits===
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昼はゼンディカー、夜はラヴニカ。ギデオンの毎日は苛酷を極めていた。
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彼はゼンディカーで[[ムンダ/Munda]]や[[タズリ/Tazri]]、そして集結した[[同盟者]]たちとともにエルドラージ撃退の鍵を握る[[タジーム/Tazeem#海門/Sea Gate|海門/Sea Gate]]を防衛するための戦いを繰り広げていたが、それだけに専念することはできなかった。ラヴニカで勃発した[[ゴブリン#ストーリー|ゴブリン]]のギャング団である[[クレンコ/Krenko]]と[[破砕団の兄弟/Shattergang Brothers#ストーリー|破砕団の兄弟/The Shattergang Brothers]]の抗争により、ギルドの庇護下にない者たちに被害が及んでいるのを見過ごすことはできなかったからである。エルドラージとの攻防戦と無法地帯の取り締りを繰り返す毎日。肉体は限界に達しようとしていた。
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こうした中ゼンディカーでは大群の攻勢の前についに海門の陥落が必至となる。力線の研究家に同行していた[[マーフォーク#ストーリー|マーフォーク]]の[[ジョリー・エン/Jori En]]を救出し[[ヴォリク/Vorik]]司令官の宿営地へ避難を促すとラヴニカに向かう。彼は悟った、ただエルドラージを倒し続けているだけでは問題は解決しない、海門の[[タジーム/Tazeem#海門/Sea Gate|灯台/The Lighthouse]]の学者たちが研究していた「力線の謎」を解明することが必要であると。この問題を解決するための専門家の心当たりはあった。[[ジェイス・ベレレン/Jace Beleren (ストーリー)|ジェイス・ベレレン/Jace Beleren]]。ラヴニカの迷路の謎を解明した「生けるギルドパクト」である。
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===巻き返し/Catching Up===
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ギデオンはジェイスが[[リリアナ・ヴェス/Liliana Vess (ストーリー)|リリアナ・ヴェス/Liliana Vess]]と第二地区の高級料理店ミレーナ/Milenaで会食している所に乗り込む。今はギルドパクトとしての勤務時間外であるというジェイスに対し、ギデオンはゼンディカーの海門が陥落したこと、エルドラージへの対策となる「力線の謎」の解明にはジェイスの協力が必要であると告げる。エルドラージの開放に責任を感じているジェイスは協力を約束する。会話の邪魔をされたリリアナは席を立ち、エルドラージとの戦いに協力してほしいというジェイスからの要請も断り去っていった。急ぐギデオンに対しジェイスは、自分は仕事の引継ぎのため明日の朝まではラヴニカを離れられないこと、ギデオンには休息が必要であることを告げ、癒し手の所へ案内した。
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===炎への献身/Offers to the Fire===
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ギデオンはジェイスと共にレガーサのケラル砦を訪れ、チャンドラにエルドラージと戦うための協力を要請する。彼女は迷うが、打診されていたケラルの修道士長就任の求めに応じるためこれを断った。
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===隠れ家での殺戮/Slaughter at the Refuge===
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ジェイスを連れてゼンディカーに戻ったギデオンは同盟者の宿営地である峡谷に到着したが、ヴォリク司令官は新たな避難場所の探索に出ていて不在であり、またここへ避難するように呼び掛けたジョリー・エンもいまだに到着していないようであった。ギデオンは峡谷の入り口に立ちはだかりエルドラージから残存者たちを死守してたがこの地はもはや長く持たないと思われた。帰還したヴォリクやタズリと合流し別の地への撤退を検討する中、ギデオンは徒歩ではなく崖を登り宙に浮かぶ面晶体を伝って避難することを提案する。一行は面晶体の上を這い縄を渡ってやがて巨大な面晶体の上にたどり着く。しばらくは安全そうなその場所を新たな野営地とすると、ギデオンは行方不明のジョリー・エンの捜索へと向かう。
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===声なき叫び/The Silent Cry===
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ギデオンは巨大なエルドラージに襲われている集団を発見し救出する。それは捜していたジョリー・エンと数人のコー、そして一人のエルフだった。野営地まで連れて帰るとそのエルフ、[[ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane (ストーリー)|ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane]]は自分もまたプレインズウォーカーであることを明かしギデオンを驚かせた。
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===信者達の巡礼/The Believers' Pilgrimage===
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ギデオンはジェイスにジョリー・エンを引き合わせ、二人は情報交換を済ませると面晶体の性質を探るために[[ウギン/Ugin#ウギンの目|ウギンの目/The Eye of Ugin]]に向かう。また出会ったばかりのニッサも何か大切な事情を抱えているらしく何も言わないまま立ち去ってしまった。ギデオンは野営地に残り避難民たちの守備に専念する。
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===空岩の生存者/The Survivors of Sky Rock===
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一時的な安息を得た同盟者たちであったが、司令官のヴォリクやタズリとギデオンの間で今後の方針についての見解の相違が発生していた。ヴォリクは負傷とエルドラージの荒廃がもたらした病によって余命幾ばくもなく、その限られた時間を使って避難民をさらに安全な場所まで導くことを望んでおり、[[オンドゥ/Ondu]]大陸の[[ズーラポート/Zulaport]]まで退くつもりでいた。それに対しギデオンはこの地に留まってジェイスたちが帰還するのを待ち、エルドラージを撃退するための方策を得ることこそが重要であると提案していたからである。タズリはギデオンが他の世界から来た人間であることに以前から感づいていた。そのためギデオンのここゼンディカーへの責任感がどの程度のものかを疑問視しており、あなたにここの人々を危険に晒す権利などないと言い放つ。
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そうした中でギデオンは、エルドラージから追われている新たな避難民の一団を救出する。そして野営地に連れ帰った彼らの口から世界中にある噂が広まっていることを聞く。海門こそがゼンディカーに残された唯一の希望の象徴であり、世界各地からあらゆる種族がこの地を目指して移動を始めたと。しかし海門はすでに陥落し、ゼンディカー人たちはもはや存在しない避難所を目指しているということになる。たどり着いてからその事実を知り絶望する避難民の姿を見てギデオンはあることを心に決める。
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それから間もなくして、ギデオンとタズリは病床で死の淵にあるヴォリクに呼び出される。司令官にズーラポートへの撤退計画を説明するタズリ。それに対してギデオンは驚きの案、海門に戻り戦ってその地を取り戻すことを提示する。もはやゼンディカーに避難するところなどない、立ち向かうべきだと。ギデオンとタズリ、両者の意見は平行線をたどりしばらく口論が続くが、しばらくしてヴォリクは言い争う二人を一喝すると海門の奪回を支持しギデオンを新たな司令官に任命し亡くなった。葬儀の後ギデオンは避難民たちに今後の方針を告げ皆を鼓舞した。今後は逃げることをやめ抵抗することを選ぶ。まず海門を奪還し、最終的にはゼンディカーそのものを取り戻すと。そしてタズリの目を見据えると、最後までこの地を去らずゼンディカーのために戦うことを誓い、ついに彼女の信頼を勝ち得るのだった。
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===血の記憶/Memories of Blood===
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ギデオンは世界各地の生存者に対して抵抗勢力の集結を呼び掛けるための使者を送る。[[吸血鬼/Vampire#ゼンディカー|吸血鬼/Vampire]]の住む大陸[[グール・ドラズ/Guul Draz]]にはエンキンディ/Enkindiが率いるコーの帆凧部隊を派遣した。彼らは[[淀みの種父/Sire of Stagnation]]との戦いで全滅してしまうが、吸血鬼の長[[ドラーナ/Drana]]はギデオンに興味を抱き、その呼び掛けに応じて同盟者に合流することを決断し海門に向けて出発する。
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===軍勢の形成/Shaping an Army===
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[[タジーム/Tazeem##珊瑚兜/Coralhelm|珊瑚兜/Coralhelm]]のマーフォークの乱動魔導士の元へは、ギデオン自らが帆凧に乗って交渉に赴いた。まずリーダーの[[ノヤン・ダール/Noyan Dar]]と会談するが最初は同盟の要請を断られる。その後演習を見たギデオンは彼らの実力を訝しむ言葉を口にし険悪な雰囲気になるが、エルドラージの掃討に同行し実戦で共闘することによりお互いの実力を認め合い、同盟者に加わる約束を取り付けた。
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===海門の解放/The Liberation of Sea Gate===
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ゼンディカー各地から様々な種族の生き残りが日に日に集結していき、宿営地は面晶体の上だけでは足りず周囲に広がるまでになった。当初は避難民でしかなかったそれは、今では紛れもなくゼンディカー軍であった。ついに反撃の時は訪れ、ギデオンは軍の先頭に立ち海門に向けて突撃を開始する。しかし初戦は手痛い敗北を喫し結局元の野営地まで撤退することになってしまう。この戦況に納得のいかないギデオンは、なにを誤ったのか敗走の理由をムンダやタズリに問う。それに対しタズリは厳しい指摘をする。あなたは自分の力を中心に考えすぎ軍を過信をしている、一人一人がギデオン自身のように不死身の肉体と不屈の闘志を持つならこの戦い方でもいいが、実際のゼンディカー軍は千人のギデオンなわけではないと。一兵卒ではなく司令官としての責務を果たさないといけないことを痛感したギデオンは、数日かけて攻撃計画の練り直しをすることになった。
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そして再進撃の日、今回は兵一人一人それぞれできることをギデオンは把握し能力に応じて適材適所に配置した。前線は完全に統制されており無秩序に迫るエルドラージを効果的に倒していった。さらに午後になると外海から巨大海洋生物の群れが現れ海棲エルドラージを倒しながら海門に接近するのが確認された。その日は海門の灯台が目に入るところまで攻め入り、日が暮れると前線はドラーナ率いる吸血鬼の軍と入れ替わりギデオンの軍は夜営をして休息を取り次の日の戦いに備えた。初日の戦果は上出来の結果に終わった。
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二日目、軍は海門の城壁近くまで進撃するがそこでギデオンはエルドラージとは別のもの、巨大なタコとその触手の先に座るマーフォークの女性に遭遇する。昨日目撃した海洋生物の群れの主、[[キオーラ/Kiora]]であった。そして会談中に彼女の口から[[タッサ/Thassa]]、かつてギデオンがいた次元の神の名前が出てきて彼は驚いた。彼女もまたプレインズウォーカーだった。キオーラの軍勢が両翼を固めてくれたためギデオンは海門攻撃に集中することができたが、城壁内から絶え間なく湧き出てくるエルドラージに苦戦し、夜になると数が少ない吸血鬼たちだけでは攻勢をしのぐことはできず陣は押し戻された。
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困難な夜が明け三日目も苦戦を強いられたが、昼にはついに城壁までたどり着いた。四日目にギデオンは城内に突入し残るエルドラージの掃討を始めるが、障害物の多い街路では軍略の通用しない乱戦になり苦戦を強いられていた。その時突如として木や岩が動き出しエルドラージを打ち据え始めた。ニッサが[[エレメンタル]]の群れ、ゼンディカーそのものを引き連れて帰ってきたのであった。ゼンディカー軍は優勢となり五日目の昼には戦いは終わった。ついに海門を取り戻し、ギデオンが灯台の指揮官を集めて今後の方針を練ろうとしていたその時に騒ぎが起こった。窓から外を見るとジョリー・エンがなにかを叫びながら帰還するのが見えた。灯台を降りて迎えに出たギデオンに対し彼女は警告の言葉を繰り返した。
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「ウラモグが来る!」
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===面晶体の連結/Hedron Alignment===
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海門を奪還したギデオンたちのもとに、ジョリー・エンがウラモグ襲来の凶報を携えてやってきた。避けられぬ災厄との衝突を前に、戦う者と撤退する者とで意見が割れ、困窮する司令官ギデオン。しかしそこへ、面晶体の調査を終えたジェイスが帰投する。
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あるものは地中から、あるものは海上から、各地に散在する面晶体を海門へと引き集め、ジェイスの指示の下ゼンディカー軍はウラモグを拘束するための罠を作った。絶え間なき飢餓の化身が急造のリングへと突入すると、ギデオンは単身ウラモグに立ち向かい、光の輪がその巨体を絡め取るまでの時間を稼ぎ続けた。
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ついに面晶体は連結し、ウラモグは上陸寸前で身動きを封じられた。こうなれば、この久遠の闇の住人を滅殺する策はいくらでも講じられる。海門全体が勝利に湧く中、斥候イービは陽光をさえぎる一つの影を見た。
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ゼンディカーがその身に封じていた、もう一つの巨悪。[[オブ・ニクシリス/Ob Nixilis]]が、今まさに[[灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited|灯の再覚醒]]を成し遂げんとしていた。
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=== ゲートウォッチの誓い ===
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何千年もの間ゼンディカー次元に捕らわれていたニクシリスは、同じ苦しみを味わわせようと自身が捕えたニッサ、ジェイス、ギデオンを苛んでいたが、ひそかに追いかけてきたチャンドラによって3人は解放される。
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3人はチャンドラと共にニクシリスへと立ち向かい、ニクシリスを逃走に至らしめた。
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4人は荒廃した風景を目の当たりにし、彼方の空には2体の巨人がそびえていた。他の3人は絶望に飲み込まれかけるが、ギデオンの言葉によって立ち直った。
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ウギンの助言を元にジェイスが作戦を立て、それが実行された。ギデオンが落とし子の群れから皆を守る中、ニッサが力線を操り、巨人を縛り付けてその姿をゼンディカーへと完全に引き込んだ。
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ニッサがチャンドラへと力線のマナを流し込むと、ウラモグとコジレックは焼き尽くされた。
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=== イニストラード・ブロック ===
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やがてエムラクールがイニストラードにいるとの報告がジェイスから入り、ゲートウォッチの3人は共に向かった。
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イニストラードでの力線を思うように使いこなせない中、[[リリアナ・ヴェス/Liliana Vess (ストーリー)|リリアナ・ヴェス/Liliana Vess]]が思わぬ形で助力に現れた。
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ギデオンはラヴニカでリリアナと会ったことがあり、ジェイスと何らかの関係のある女性ということは知っていた。ギデオンとしては不本意だが、不浄の軍勢であるリリアナ達と共闘することとなった。
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さらに[[タミヨウ/Tamiyo]]の協力も加わり、ゲートウォッチはエムラクールをイニストラードの銀の月へと封印した。
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戦いの後、ジェイスの願いからギデオンはリリアナをゲートウォッチに迎い入れることを了承した。屍術や鎖のヴェールを使わせずにいられるのであれば多元宇宙全体にとっても良いことだろうというのがギデオンの考えであった。
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=== カラデシュ・ブロック ===
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イニストラードでのエムラクールとの交戦から数ヶ月後、チャンドラと共に[[カラデシュ/Kaladesh]]へ向かっていたリリアナから、かの地に[[テゼレット/Tezzeret]]がいるという知らせが入った。
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ギデオンとジェイスは直ちに向かい、テゼレットが現地の領事府に入り込んでいることを知ると、[[ピア・ナラー/Pia Nalaar (ストーリー)|ピア・ナラー]]が率いる改革派に手を貸すことになった。
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ギデオンは自分達の正義を他の次元に押し付けるようなこの戦いに疑問を抱いていたが、ひとまずチャンドラのために戦うのだと自らを納得させた。
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領事府との戦いはチャンドラに過去の行いを突き付けたが、ギデオンは戸惑い苦しむチャンドラに献身的に寄り添った。
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自ら飛行機に乗って次元橋を破壊しに向かうと主張するチャンドラの決意を察し、彼女を守るべくギデオンは同行を申し出た。神聖術をまといながら2人は突入し、次元橋を破壊してテゼレットをプレインズウォークで逃走させた。
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争いが集結するとゲートウォッチは新たに[[アジャニ/Ajani]]を受け入れた。
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アジャニはいったん[[ニコル・ボーラス/Nicol Bolas]]と闘うための仲間を集めることを提案したが、ギデオンは内心で一刻も早くボーラスを叩こうとその所在である[[アモンケット/Amonkhet]]に向かうことを計画していた。
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=== アモンケット・ブロック ===
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アモンケットに辿り着いたゲートウォッチはゾンビの群れや巨大なワームに襲われるが、神々しい存在が介入してワームを倒す様をギデオンは目撃した。
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[[アモンケット/Amonkhet#ナクタムン/Naktamun|ナクタムン/Naktamun]]に辿り着き[[オケチラ/Oketra]]に対面したギデオンは、オケチラが愛に満ちた神なのだと瞬時に悟った。
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ギデオンはこの次元について学びたいと願い、[[バントゥ/Bontu]]が定める試練に挑むこととなった。
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だが仲間の命をもためらいなく捨てなければ先に進めないその試練にギデオンは疑問を抱き、最終的に仲間同士で殺し合う様子にギデオンは怒りに燃えてバントゥと対峙する。
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アモンケットという次元を理解できないまま怒りと迷いの内に去ったギデオンはゲートウォッチと合流するが、すぐに[[ハゾレト/Hazoret]]による最後の試練に呼ばれた。
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戦いが終わり、栄光ある死は[[デジェル/Djeru]]が賜ることになったが、ギデオンは神の二又槍からデジェルを守った。
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そして[[来世への門/Gate to the Afterlife]]の門から[[ラザケシュ/Razaketh]]が現れ、ゲートウォッチは力を合わせてそれを退けるが、このためにリリアナに利用されたのではないかと彼らは疑問を抱き始める。
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[[王神、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, God-Pharaoh]]が帰還し、街と人々を蹂躙した。ゲートウォッチもボーラスには敵わず、ギデオンは命からがら[[ドミナリア/Dominaria]]へと逃走した。
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=== ドミナリア ===
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敗走したゲートウォッチの各人はリリアナへと疑いの目を向け、ニッサとチャンドラが離脱した。
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リリアナと共に取り残された手負いのギデオンはかつてのリリアナの故郷へと向かった。手当てを受けると[[陰謀団/The Cabal]]がドミナリアに手を伸ばしていること、[[プレインズウォーカー・シリーズのその他のキャラクター#ジョス/Josu|ジョス・ヴェス/Josu Vess]]がゾンビとなって使役されていることを聞かされた。
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ギデオンはリリアナが契約を解消して全力を使えるようになることが不可欠と考え、協力を了承した。
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2人は[[ウェザーライト/Weatherlight (ストーリー)#ドミナリア|新生ウェザーライト]]に乗って陰謀団とベルゼンロックの退治に加わった。遅れてきたチャンドラも加わり、要塞の宝物庫から[[再鍛の黒き剣/Blackblade Reforged]]を手に入れ、それを用いてベルゼンロックを倒すことに成功。
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ゲートウォッチは[[テフェリー/Teferi]]を新たに加え、[[ヤヤ・バラード/Jaya Ballard]]と[[カーン/Karn]]も協力を申し出た。しかりリリアナは[[ボーラスの手中/In Bolas's Clutches|ボーラスの命令によりドミナリアを去った]]。
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=== 灯争大戦 ===
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[[次元間の標/Interplanar Beacon]]に呼び寄せられた何十人何百人というプレインズウォーカー、開いた[[次元橋/Planar Bridge]]によりアモンケットから押し寄せた[[永遠衆/Eternal]]がラヴニカで殺戮を開始した。
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ギデオンは永遠衆を操るリリアナの姿を確認したが、その顔は鎖のヴェールに隠され、感情をうかがい知ることはできなかった。
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ゲートウォッチはプレインズウォーカーやギルドの代表者らに呼びかけ、作戦会議を開いた。ギデオンは「この惨状はプレインズウォーカーがもたらしたもの」という辛辣な言葉を受け止め、その上で「あらゆる世界のために戦うことが、灯を持つ者のしめいなのだ」と皆へ呼び掛けた。
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===覚醒前===
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故郷のテーロスでは、ギデオン・ジュラは'''キテオン・イオラ'''/''Kytheon Iora''という名の少年だった。父の顔を知らず育ち、幼くして母とも死に別れた彼は、正義感が強く喧嘩も強いが、礼儀知らずで未熟な少年だった。彼は同じような境遇の子供たちを集めた[[キテオンの不正規軍/Kytheon's Irregulars#ストーリー|キテオンの不正規軍/Kytheon's Irregulars]]という義賊を率いていた。13歳の時、彼は盗みのため牢に繋がれることになったが、その看守であった[[ヒクサス/Hixus]]に才能を見出され彼に師事することとなった。当初キテオンは抵抗したが、数度脱走を試みた後にヒクサスとの鍛錬を受け入れた。キテオンはヒクサスから神聖術と自制心、そして戦況を見抜き支配するすべを学んだ。
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4年間ヒクサスの牢獄の中で修行した彼はある日、[[ハーピー#ストーリー|ハーピー]]の群れに突如襲撃されたアクロスを守ることを条件として放免された。彼はヒクサスや他の囚人と共にハーピーと戦い多くをしとめた。だが、さらに複数の[[サイクロプス]]が城壁に迫っていた。キテオンは彼の非正規軍と合流し、敢えて城門の外でサイクロプスと戦い、非正規軍とともに[[キテオンの戦術/Kytheon's Tactics#ストーリー|これを打ち倒した]]。この時の彼の大胆不敵な戦術は[[捨て身の抵抗/Desperate Stand#ストーリー|後年にも伝わっている]]。
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戦いの後、太陽の[[神#ストーリー|神]][[ヘリオッド/Heliod]]が彼の前に現れた。ヘリオッドは彼の戦士としての価値を認め、勇者の[[試練#ストーリー|試練]]とそれを果たすための太陽の槍を与えた。彼の試練とは、死の神[[エレボス/Erebos]]が放った[[エレボスのタイタン/Erebos's Titan#ストーリー|恐るべき巨人]]を倒すことだった。彼は巨人をおびき寄せ、非正規軍とともに巨人と戦い、太陽の槍でもってとどめを刺した。その時、地平線の向こうからエレボス自身が姿を現した。キテオンは自信に満ちていた。彼は死の神に報いを与えようと、太陽の槍を放った。神は[[エレボスの鞭/Whip of Erebos#ストーリー|鞭]]を振るい、槍を彼へと跳ね返した。身構えた彼の視界が真っ白に染まった。視界を取り戻した時、キテオンは[[悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance#ストーリー|周囲の非正規軍の変わり果てた姿を見た]]。後悔と苦痛に震える彼の[[プレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Spark]]が点り、彼は[[バント/Bant]]へとプレインズウォークした。[[バント/Bant]]で目を覚ましたとき、周囲には巡礼の道の騎士長、ムーキル率いる一団が居り、名を尋ねられる。「キテオン」と息を詰まらせながら答えたところ、ムーキルは「ギデオン?」と聞き返した。
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*ギデオン自身は、この時期のことは特に話したがらないようだ。
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*小説「The Purifying Fire」やそれを原作にした「燃え尽きぬ炎」の作中でもこれらの出自は言及されていた(なお、両作品で語られた出自には微妙な相違がある)。しかし故郷の名や灯が点った時の詳細については[[マジック・オリジン]]までは語られていなかった。
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===The Purifying Fire(燃え尽きぬ炎)===
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[[レガーサ/Regatha]]に滞在していたギデオンは、レガーサ[[次元/Plane|次元]]の全域に法と秩序をもたらそうとするヘリウド騎士団/Order of Heliudに仕えていた。彼は騎士団の指導者ウォルバート3世/Walbert IIIの依頼によりケラル砦/Keral Keepに滞在する[[プレインズウォーカー/Planeswalker]]、[[チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar (ストーリー)|チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar]]を追うこととなった。
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ギデオンはチャンドラを追って[[ケファライ/Kephalai]]、そして[[ディラデン/Diraden]]へとプレインズウォークした。当初彼はチャンドラのことを単なる危険人物と考えていたが、ディラデンで彼女と共闘し、また過去の一端を知ったことで彼女への感情は変化していった。
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ディラデンを脱出し2人してレガーサに帰還した所で、彼は正体と己の任務を明かした。彼はチャンドラにレガーサを離れるよう忠告したが、彼女は受け入れなかった。数日後、彼女はケラル砦を守るために自ら騎士団に投降してきた。そこでウォルババートは彼らに初めて真意を明かした。遂に長年の予見が成就する、今日プレインズウォーカーの紅蓮術士は浄化の炎/The Purifying Fireに投じられ魔力を永遠に失い、以降レガーサが混沌と災厄に苛まれることはなくなると。彼女を助けようと、ギデオンは浄化の炎について知り得たことを教えた。浄化の炎は魂の罪を清める、もし穢れのない魂をもって浄化の炎の中に入るのならば、無事に出られるかもしれないと。彼は彼女が過去の罪悪感と向き合うために、ディラデンで見た悪夢について話すように促した。話を終え、吹っ切れたチャンドラは自ら浄化の炎の中へと入った。彼女の願いでその場を離れていたギデオンが現場に着いた時、チャンドラの紅蓮術によりウォルバートとその場にいた騎士団の人間は焼き殺され灰と化していた。愕然としたギデオンは彼女を責めたが、戦うことは出来なかった。一旦レガーサを去るチャンドラに、ギデオンはまた会おうと言った。
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===エルドラージ覚醒===
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レガーサでの決別を後悔したギデオンは再び、今度は一度共闘した友人としてチャンドラを追う。向かうは星の聖域の巻物が示す次元、[[ゼンディカー/Zendikar]]である。しかし、そこでは[[多元宇宙/Multiverse]]を揺るがす恐るべき捕食者、[[エルドラージ/Eldrazi]]が復活しようとしていた。
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===ケフ砦の戦い/The Battle of Fort Keff===
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ついに復活したエルドラージ。砦の人々の抵抗も全く意に介さない[[ドローン|眷属]]と[[落とし子]]の群れを相手に、ギデオンは一人立ち向かう。ギデオンとケフ砦の住人は[[臨死体験/Near-Death Experience|辛くも勝利]]するが、地平線には新たな、そして遥かに強大なエルドラージ、[[エムラクール/Emrakul]]の姿が。
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ギデオンは住民の避難を済ませてから[[ラヴニカ/Ravnica]]に向かった。彼一人では対処できない敵、それに立ち向かえる[[無限連合/Infinite Consortium|組織]]を耳にしたことがあったのだ。
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*翻訳記事では「ラヴニカを訪れて組織を見つけ、ゼンディカーへと戻ってまた去った」ように書かれているが、誤訳。
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===ギルド門侵犯===
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ラヴニカに到着したギデオンはたまたま[[ボロス軍/Boros Legion]]の一旅団を[[ラクドス教団/The Cult of Rakdos]]の待ち伏せから救ったことにより、[[オレリア/Aurelia]]にボロスの大隊の指揮とギルド間の抗争に巻き込まれる無辜の人々を共に救うことを依頼される。ゼンディカーが超次元的な危機に晒されていることを知りながらも自分を必要としている目の前の人々を見過ごすことが出来なかったギデオンは、ボロスへの参加については保留しつつもオレリアへの協力を承諾する。
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===ドラゴンの迷路===
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ギデオンは[[タージク/Tajic]]とボロスの部隊を率い、第9地区にて[[グルール一族/The Gruul Clans]]とラクドスの軍勢を迎え撃つ。よく訓練された勇猛果敢なボロスの兵士たちと共に戦うことは、ギデオンにこれまでにない喜びを与えていた。しかし、プレインズウォーカーである彼の助力を求める人々は[[ゼンディカー/Zendikar|他の場所]]にいた。彼はオレリアに暇乞いをすると、彼女は寛容にもそれを受け入れ、いつでも歓迎すると伝えた。ギデオンはオレリアのカリスマ性に気圧されながらも[[軍の要塞、サンホーム/Sunhome, Fortress of the Legion|サンホーム/Sunhome]]を去った。
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しかし、彼は平和の名の下に犠牲を厭わないオレリアへの不信と反発をも示しており、[[ギルドとの縁切り/Renounce the Guilds]]を決断している。どのような経緯でそこに至ったのかは明らかにされていない。
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{{フレイバーテキスト|「平和の名のもとに多くの人々が命を落とすことになる。それがあなたの言う和解というものか?」|ギデオン・ジュラからオレリアへ}}
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===限界点/Limits===
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昼はゼンディカー、夜はラヴニカ。ギデオンの毎日は苛酷を極めていた。
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彼はゼンディカーで[[ムンダ/Munda]]や[[タズリ/Tazri]]、そして集結した[[同盟者]]たちとともにエルドラージ撃退の鍵を握る[[タジーム/Tazeem#海門/Sea Gate|海門/Sea Gate]]を防衛するための戦いを繰り広げていたが、それだけに専念することはできなかった。ラヴニカで勃発した[[ゴブリン#ストーリー|ゴブリン]]のギャング団である[[クレンコ/Krenko]]と[[破砕団の兄弟/Shattergang Brothers#ストーリー|破砕団の兄弟/The Shattergang Brothers]]の抗争により、ギルドの庇護下にない者たちに被害が及んでいるのを見過ごすことはできなかったからである。エルドラージとの攻防戦と無法地帯の取り締りを繰り返す毎日。肉体は限界に達しようとしていた。
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こうした中ゼンディカーでは大群の攻勢の前についに海門の陥落が必至となる。力線の研究家に同行していた[[マーフォーク#ストーリー|マーフォーク]]の[[ジョリー・エン/Jori En]]を救出し[[ヴォリク/Vorik]]司令官の宿営地へ避難を促すとラヴニカに向かう。彼は悟った、ただエルドラージを倒し続けているだけでは問題は解決しない、海門の[[タジーム/Tazeem#海門/Sea Gate|灯台/The Lighthouse]]の学者たちが研究していた「力線の謎」を解明することが必要であると。この問題を解決するための専門家の心当たりはあった。[[ジェイス・ベレレン/Jace Beleren (ストーリー)|ジェイス・ベレレン/Jace Beleren]]。ラヴニカの迷路の謎を解明した「生けるギルドパクト」である。
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===巻き返し/Catching Up===
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ギデオンはジェイスが[[リリアナ・ヴェス/Liliana Vess (ストーリー)|リリアナ・ヴェス/Liliana Vess]]と第二地区の高級料理店ミレーナ/Milenaで会食している所に乗り込む。今はギルドパクトとしての勤務時間外であるというジェイスに対し、ギデオンはゼンディカーの海門が陥落したこと、エルドラージへの対策となる「力線の謎」の解明にはジェイスの協力が必要であると告げる。エルドラージの開放に責任を感じているジェイスは協力を約束する。会話の邪魔をされたリリアナは席を立ち、エルドラージとの戦いに協力してほしいというジェイスからの要請も断り去っていった。急ぐギデオンに対しジェイスは、自分は仕事の引継ぎのため明日の朝まではラヴニカを離れられないこと、ギデオンには休息が必要であることを告げ、癒し手の所へ案内した。
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===炎への献身/Offers to the Fire===
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ギデオンはジェイスと共にレガーサのケラル砦を訪れ、チャンドラにエルドラージと戦うための協力を要請する。彼女は迷うが、打診されていたケラルの修道士長就任の求めに応じるためこれを断った。
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===隠れ家での殺戮/Slaughter at the Refuge===
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ジェイスを連れてゼンディカーに戻ったギデオンは同盟者の宿営地である峡谷に到着したが、ヴォリク司令官は新たな避難場所の探索に出ていて不在であり、またここへ避難するように呼び掛けたジョリー・エンもいまだに到着していないようであった。ギデオンは峡谷の入り口に立ちはだかりエルドラージから残存者たちを死守してたがこの地はもはや長く持たないと思われた。帰還したヴォリクやタズリと合流し別の地への撤退を検討する中、ギデオンは徒歩ではなく崖を登り宙に浮かぶ面晶体を伝って避難することを提案する。一行は面晶体の上を這い縄を渡ってやがて巨大な面晶体の上にたどり着く。しばらくは安全そうなその場所を新たな野営地とすると、ギデオンは行方不明のジョリー・エンの捜索へと向かう。
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===声なき叫び/The Silent Cry===
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ギデオンは巨大なエルドラージに襲われている集団を発見し救出する。それは捜していたジョリー・エンと数人のコー、そして一人のエルフだった。野営地まで連れて帰るとそのエルフ、[[ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane (ストーリー)|ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane]]は自分もまたプレインズウォーカーであることを明かしギデオンを驚かせた。
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===信者達の巡礼/The Believers' Pilgrimage===
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ギデオンはジェイスにジョリー・エンを引き合わせ、二人は情報交換を済ませると面晶体の性質を探るために[[ウギン/Ugin#ウギンの目|ウギンの目/The Eye of Ugin]]に向かう。また出会ったばかりのニッサも何か大切な事情を抱えているらしく何も言わないまま立ち去ってしまった。ギデオンは野営地に残り避難民たちの守備に専念する。
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===空岩の生存者/The Survivors of Sky Rock===
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一時的な安息を得た同盟者たちであったが、司令官のヴォリクやタズリとギデオンの間で今後の方針についての見解の相違が発生していた。ヴォリクは負傷とエルドラージの荒廃がもたらした病によって余命幾ばくもなく、その限られた時間を使って避難民をさらに安全な場所まで導くことを望んでおり、[[オンドゥ/Ondu]]大陸の[[ズーラポート/Zulaport]]まで退くつもりでいた。それに対しギデオンはこの地に留まってジェイスたちが帰還するのを待ち、エルドラージを撃退するための方策を得ることこそが重要であると提案していたからである。タズリはギデオンが他の世界から来た人間であることに以前から感づいていた。そのためギデオンのここゼンディカーへの責任感がどの程度のものかを疑問視しており、あなたにここの人々を危険に晒す権利などないと言い放つ。
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そうした中でギデオンは、エルドラージから追われている新たな避難民の一団を救出する。そして野営地に連れ帰った彼らの口から世界中にある噂が広まっていることを聞く。海門こそがゼンディカーに残された唯一の希望の象徴であり、世界各地からあらゆる種族がこの地を目指して移動を始めたと。しかし海門はすでに陥落し、ゼンディカー人たちはもはや存在しない避難所を目指しているということになる。たどり着いてからその事実を知り絶望する避難民の姿を見てギデオンはあることを心に決める。
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それから間もなくして、ギデオンとタズリは病床で死の淵にあるヴォリクに呼び出される。司令官にズーラポートへの撤退計画を説明するタズリ。それに対してギデオンは驚きの案、海門に戻り戦ってその地を取り戻すことを提示する。もはやゼンディカーに避難するところなどない、立ち向かうべきだと。ギデオンとタズリ、両者の意見は平行線をたどりしばらく口論が続くが、しばらくしてヴォリクは言い争う二人を一喝すると海門の奪回を支持しギデオンを新たな司令官に任命し亡くなった。葬儀の後ギデオンは避難民たちに今後の方針を告げ皆を鼓舞した。今後は逃げることをやめ抵抗することを選ぶ。まず海門を奪還し、最終的にはゼンディカーそのものを取り戻すと。そしてタズリの目を見据えると、最後までこの地を去らずゼンディカーのために戦うことを誓い、ついに彼女の信頼を勝ち得るのだった。
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===血の記憶/Memories of Blood===
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ギデオンは世界各地の生存者に対して抵抗勢力の集結を呼び掛けるための使者を送る。[[吸血鬼/Vampire#ゼンディカー|吸血鬼/Vampire]]の住む大陸[[グール・ドラズ/Guul Draz]]にはエンキンディ/Enkindiが率いるコーの帆凧部隊を派遣した。彼らは[[淀みの種父/Sire of Stagnation]]との戦いで全滅してしまうが、吸血鬼の長[[ドラーナ/Drana]]はギデオンに興味を抱き、その呼び掛けに応じて同盟者に合流することを決断し海門に向けて出発する。
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===軍勢の形成/Shaping an Army===
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[[タジーム/Tazeem##珊瑚兜/Coralhelm|珊瑚兜/Coralhelm]]のマーフォークの乱動魔導士の元へは、ギデオン自らが帆凧に乗って交渉に赴いた。まずリーダーの[[ノヤン・ダール/Noyan Dar]]と会談するが最初は同盟の要請を断られる。その後演習を見たギデオンは彼らの実力を訝しむ言葉を口にし険悪な雰囲気になるが、エルドラージの掃討に同行し実戦で共闘することによりお互いの実力を認め合い、同盟者に加わる約束を取り付けた。
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===海門の解放/The Liberation of Sea Gate===
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ゼンディカー各地から様々な種族の生き残りが日に日に集結していき、宿営地は面晶体の上だけでは足りず周囲に広がるまでになった。当初は避難民でしかなかったそれは、今では紛れもなくゼンディカー軍であった。ついに反撃の時は訪れ、ギデオンは軍の先頭に立ち海門に向けて突撃を開始する。しかし初戦は手痛い敗北を喫し結局元の野営地まで撤退することになってしまう。この戦況に納得のいかないギデオンは、なにを誤ったのか敗走の理由をムンダやタズリに問う。それに対しタズリは厳しい指摘をする。あなたは自分の力を中心に考えすぎ軍を過信をしている、一人一人がギデオン自身のように不死身の肉体と不屈の闘志を持つならこの戦い方でもいいが、実際のゼンディカー軍は千人のギデオンなわけではないと。一兵卒ではなく司令官としての責務を果たさないといけないことを痛感したギデオンは、数日かけて攻撃計画の練り直しをすることになった。
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そして再進撃の日、今回は兵一人一人それぞれできることをギデオンは把握し能力に応じて適材適所に配置した。前線は完全に統制されており無秩序に迫るエルドラージを効果的に倒していった。さらに午後になると外海から巨大海洋生物の群れが現れ海棲エルドラージを倒しながら海門に接近するのが確認された。その日は海門の灯台が目に入るところまで攻め入り、日が暮れると前線はドラーナ率いる吸血鬼の軍と入れ替わりギデオンの軍は夜営をして休息を取り次の日の戦いに備えた。初日の戦果は上出来の結果に終わった。
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二日目、軍は海門の城壁近くまで進撃するがそこでギデオンはエルドラージとは別のもの、巨大なタコとその触手の先に座るマーフォークの女性に遭遇する。昨日目撃した海洋生物の群れの主、[[キオーラ/Kiora]]であった。そして会談中に彼女の口から[[タッサ/Thassa]]、かつてギデオンがいた次元の神の名前が出てきて彼は驚いた。彼女もまたプレインズウォーカーだった。キオーラの軍勢が両翼を固めてくれたためギデオンは海門攻撃に集中することができたが、城壁内から絶え間なく湧き出てくるエルドラージに苦戦し、夜になると数が少ない吸血鬼たちだけでは攻勢をしのぐことはできず陣は押し戻された。
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困難な夜が明け三日目も苦戦を強いられたが、昼にはついに城壁までたどり着いた。四日目にギデオンは城内に突入し残るエルドラージの掃討を始めるが、障害物の多い街路では軍略の通用しない乱戦になり苦戦を強いられていた。その時突如として木や岩が動き出しエルドラージを打ち据え始めた。ニッサが[[エレメンタル]]の群れ、ゼンディカーそのものを引き連れて帰ってきたのであった。ゼンディカー軍は優勢となり五日目の昼には戦いは終わった。ついに海門を取り戻し、ギデオンが灯台の指揮官を集めて今後の方針を練ろうとしていたその時に騒ぎが起こった。窓から外を見るとジョリー・エンがなにかを叫びながら帰還するのが見えた。灯台を降りて迎えに出たギデオンに対し彼女は警告の言葉を繰り返した。
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「ウラモグが来る!」
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===面晶体の連結/Hedron Alignment===
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海門を奪還したギデオンたちのもとに、ジョリー・エンがウラモグ襲来の凶報を携えてやってきた。避けられぬ災厄との衝突を前に、戦う者と撤退する者とで意見が割れ、困窮する司令官ギデオン。しかしそこへ、面晶体の調査を終えたジェイスが帰投する。
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あるものは地中から、あるものは海上から、各地に散在する面晶体を海門へと引き集め、ジェイスの指示の下ゼンディカー軍はウラモグを拘束するための罠を作った。絶え間なき飢餓の化身が急造のリングへと突入すると、ギデオンは単身ウラモグに立ち向かい、光の輪がその巨体を絡め取るまでの時間を稼ぎ続けた。
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ついに面晶体は連結し、ウラモグは上陸寸前で身動きを封じられた。こうなれば、この久遠の闇の住人を滅殺する策はいくらでも講じられる。海門全体が勝利に湧く中、斥候イービは陽光をさえぎる一つの影を見た。
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ゼンディカーがその身に封じていた、もう一つの巨悪。[[オブ・ニクシリス/Ob Nixilis]]が、今まさに[[灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited|灯の再覚醒]]を成し遂げんとしていた。
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=== ゲートウォッチの誓い ===
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何千年もの間ゼンディカー次元に捕らわれていたニクシリスは、同じ苦しみを味わわせようと自身が捕えたニッサ、ジェイス、ギデオンを苛んでいたが、ひそかに追いかけてきたチャンドラによって3人は解放される。
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3人はチャンドラと共にニクシリスへと立ち向かい、ニクシリスを逃走に至らしめた。
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4人は荒廃した風景を目の当たりにし、彼方の空には2体の巨人がそびえていた。他の3人は絶望に飲み込まれかけるが、ギデオンの言葉によって立ち直った。
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ウギンの助言を元にジェイスが作戦を立て、それが実行された。ギデオンが落とし子の群れから皆を守る中、ニッサが力線を操り、巨人を縛り付けてその姿をゼンディカーへと完全に引き込んだ。
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ニッサがチャンドラへと力線のマナを流し込むと、ウラモグとコジレックは焼き尽くされた。
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=== イニストラード・ブロック ===
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やがてエムラクールがイニストラードにいるとの報告がジェイスから入り、ゲートウォッチの3人は共に向かった。
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イニストラードでの力線を思うように使いこなせない中、[[リリアナ・ヴェス/Liliana Vess (ストーリー)|リリアナ・ヴェス/Liliana Vess]]が思わぬ形で助力に現れた。
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ギデオンはラヴニカでリリアナと会ったことがあり、ジェイスと何らかの関係のある女性ということは知っていた。ギデオンとしては不本意だが、不浄の軍勢であるリリアナ達と共闘することとなった。
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さらに[[タミヨウ/Tamiyo]]の協力も加わり、ゲートウォッチはエムラクールをイニストラードの銀の月へと封印した。
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戦いの後、ジェイスの願いからギデオンはリリアナをゲートウォッチに迎い入れることを了承した。屍術や鎖のヴェールを使わせずにいられるのであれば多元宇宙全体にとっても良いことだろうというのがギデオンの考えであった。
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=== カラデシュ・ブロック ===
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イニストラードでのエムラクールとの交戦から数ヶ月後、チャンドラと共に[[カラデシュ/Kaladesh]]へ向かっていたリリアナから、かの地に[[テゼレット/Tezzere]]がいるという知らせが入った。
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ギデオンとジェイスは直ちに向かい、テゼレットが現地の領事府に入り込んでいることを知ると、[[ピア・ナラー/Pia Nalaar (ストーリー)|ピア・ナラー]]が率いる改革派に手を貸すことになった。
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ギデオンは自分達の正義を他の次元に押し付けるようなこの戦いに疑問を抱いていたが、ひとまずチャンドラのために戦うのだと自らを納得させた。
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領事府との戦いはチャンドラに過去の行いを突き付けたが、ギデオンは戸惑い苦しむチャンドラに献身的に寄り添った。
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自ら飛行機に乗って次元橋を破壊しに向かうと主張するチャンドラの決意を察し、彼女を守るべくギデオンは同行を申し出た。
 +
神聖術をまといながら2人は突入し、次元橋を破壊してテゼレットをプレインズウォークで逃走させた。
 +
争いが集結するとゲートウォッチは新たに[[アジャニ/Ajani]]を受け入れた。
 +
アジャニはいったん[[ニコル・ボーラス/Nicol Bolas]]と闘うための仲間を集めることを提案したが、ギデオンは内心で一刻も早くボーラスを叩こうとその所在である[[アモンケット/Amonkhet]]に向かうことを計画していた。
 +
 +
=== アモンケット・ブロック ===
 +
アモンケットに辿り着いたゲートウォッチはゾンビの群れや巨大なワームに襲われるが、神々しい存在が介入してワームを倒す様をギデオンは目撃した。
 +
[[アモンケット/Amonkhet#ナクタムン/Naktamun|ナクタムン/Naktamun]]に辿り着き[[オケチラ/Oketra]]に対面したギデオンは、オケチラが愛に満ちた神なのだと瞬時に悟った。
 +
ギデオンはこの次元について学びたいと願い、[[バントゥ/Bontu]]が定める試練に挑むこととなった。
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だが仲間の命をもためらいなく捨てなければ先に進めないその試練にギデオンは疑問を抱き、最終的に仲間同士で殺し合う様子にギデオンは怒りに燃えてバントゥと対峙する。
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アモンケット=経歴==
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===覚醒前===
 +
故郷のテーロスでは、ギデオン・ジュラは'''キテオン・イオラ'''/''Kytheon Iora''という名の少年だった。父の顔を知らず育ち、幼くして母とも死に別れた彼は、正義感が強く喧嘩も強いが、礼儀知らずで未熟な少年だった。彼は同じような境遇の子供たちを集めた[[キテオンの不正規軍/Kytheon's Irregulars#ストーリー|キテオンの不正規軍/Kytheon's Irregulars]]という義賊を率いていた。13歳の時、彼は盗みのため牢に繋がれることになったが、その看守であった[[ヒクサス/Hixus]]に才能を見出され彼に師事することとなった。当初キテオンは抵抗したが、数度脱走を試みた後にヒクサスとの鍛錬を受け入れた。キテオンはヒクサスから神聖術と自制心、そして戦況を見抜き支配するすべを学んだ。
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4年間ヒクサスの牢獄の中で修行した彼はある日、[[ハーピー#ストーリー|ハーピー]]の群れに突如襲撃されたアクロスを守ることを条件として放免された。彼はヒクサスや他の囚人と共にハーピーと戦い多くをしとめた。だが、さらに複数の[[サイクロプス]]が城壁に迫っていた。キテオンは彼の非正規軍と合流し、敢えて城門の外でサイクロプスと戦い、非正規軍とともに[[キテオンの戦術/Kytheon's Tactics#ストーリー|これを打ち倒した]]。この時の彼の大胆不敵な戦術は[[捨て身の抵抗/Desperate Stand#ストーリー|後年にも伝わっている]]。
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戦いの後、太陽の[[神#ストーリー|神]][[ヘリオッド/Heliod]]が彼の前に現れた。ヘリオッドは彼の戦士としての価値を認め、勇者の[[試練#ストーリー|試練]]とそれを果たすための太陽の槍を与えた。彼の試練とは、死の神[[エレボス/Erebos]]が放った[[エレボスのタイタン/Erebos's Titan#ストーリー|恐るべき巨人]]を倒すことだった。彼は巨人をおびき寄せ、非正規軍とともに巨人と戦い、太陽の槍でもってとどめを刺した。その時、地平線の向こうからエレボス自身が姿を現した。キテオンは自信に満ちていた。彼は死の神に報いを与えようと、太陽の槍を放った。神は[[エレボスの鞭/Whip of Erebos#ストーリー|鞭]]を振るい、槍を彼へと跳ね返した。身構えた彼の視界が真っ白に染まった。視界を取り戻した時、キテオンは[[悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance#ストーリー|周囲の非正規軍の変わり果てた姿を見た]]。後悔と苦痛に震える彼の[[プレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Spark]]が点り、彼は[[バント/Bant]]へとプレインズウォークした。[[バント/Bant]]で目を覚ましたとき、周囲には巡礼の道の騎士長、ムーキル率いる一団が居り、名を尋ねられる。「キテオン」と息を詰まらせながら答えたところ、ムーキルは「ギデオン?」と聞き返した。
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*ギデオン自身は、この時期のことは特に話したがらないようだ。
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*小説「The Purifying Fire」やそれを原作にした「燃え尽きぬ炎」の作中でもこれらの出自は言及されていた(なお、両作品で語られた出自には微妙な相違がある)。しかし故郷の名や灯が点った時の詳細については[[マジック・オリジン]]までは語られていなかった。
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===The Purifying Fire(燃え尽きぬ炎)===
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[[レガーサ/Regatha]]に滞在していたギデオンは、レガーサ[[次元/Plane|次元]]の全域に法と秩序をもたらそうとするヘリウド騎士団/Order of Heliudに仕えていた。彼は騎士団の指導者ウォルバート3世/Walbert IIIの依頼によりケラル砦/Keral Keepに滞在する[[プレインズウォーカー/Planeswalker]]、[[チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar (ストーリー)|チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar]]を追うこととなった。
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ギデオンはチャンドラを追って[[ケファライ/Kephalai]]、そして[[ディラデン/Diraden]]へとプレインズウォークした。当初彼はチャンドラのことを単なる危険人物と考えていたが、ディラデンで彼女と共闘し、また過去の一端を知ったことで彼女への感情は変化していった。
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ディラデンを脱出し2人してレガーサに帰還した所で、彼は正体と己の任務を明かした。彼はチャンドラにレガーサを離れるよう忠告したが、彼女は受け入れなかった。数日後、彼女はケラル砦を守るために自ら騎士団に投降してきた。そこでウォルババートは彼らに初めて真意を明かした。遂に長年の予見が成就する、今日プレインズウォーカーの紅蓮術士は浄化の炎/The Purifying Fireに投じられ魔力を永遠に失い、以降レガーサが混沌と災厄に苛まれることはなくなると。彼女を助けようと、ギデオンは浄化の炎について知り得たことを教えた。浄化の炎は魂の罪を清める、もし穢れのない魂をもって浄化の炎の中に入るのならば、無事に出られるかもしれないと。彼は彼女が過去の罪悪感と向き合うために、ディラデンで見た悪夢について話すように促した。話を終え、吹っ切れたチャンドラは自ら浄化の炎の中へと入った。彼女の願いでその場を離れていたギデオンが現場に着いた時、チャンドラの紅蓮術によりウォルバートとその場にいた騎士団の人間は焼き殺され灰と化していた。愕然としたギデオンは彼女を責めたが、戦うことは出来なかった。一旦レガーサを去るチャンドラに、ギデオンはまた会おうと言った。
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===エルドラージ覚醒===
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レガーサでの決別を後悔したギデオンは再び、今度は一度共闘した友人としてチャンドラを追う。向かうは星の聖域の巻物が示す次元、[[ゼンディカー/Zendikar]]である。しかし、そこでは[[多元宇宙/Multiverse]]を揺るがす恐るべき捕食者、[[エルドラージ/Eldrazi]]が復活しようとしていた。
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===ケフ砦の戦い/The Battle of Fort Keff===
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ついに復活したエルドラージ。砦の人々の抵抗も全く意に介さない[[ドローン|眷属]]と[[落とし子]]の群れを相手に、ギデオンは一人立ち向かう。ギデオンとケフ砦の住人は[[臨死体験/Near-Death Experience|辛くも勝利]]するが、地平線には新たな、そして遥かに強大なエルドラージ、[[エムラクール/Emrakul]]の姿が。
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ギデオンは住民の避難を済ませてから[[ラヴニカ/Ravnica]]に向かった。彼一人では対処できない敵、それに立ち向かえる[[無限連合/Infinite Consortium|組織]]を耳にしたことがあったのだ。
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*翻訳記事では「ラヴニカを訪れて組織を見つけ、ゼンディカーへと戻ってまた去った」ように書かれているが、誤訳。
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===ギルド門侵犯===
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ラヴニカに到着したギデオンはたまたま[[ボロス軍/Boros Legion]]の一旅団を[[ラクドス教団/The Cult of Rakdos]]の待ち伏せから救ったことにより、[[オレリア/Aurelia]]にボロスの大隊の指揮とギルド間の抗争に巻き込まれる無辜の人々を共に救うことを依頼される。ゼンディカーが超次元的な危機に晒されていることを知りながらも自分を必要としている目の前の人々を見過ごすことが出来なかったギデオンは、ボロスへの参加については保留しつつもオレリアへの協力を承諾する。
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===ドラゴンの迷路===
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ギデオンは[[タージク/Tajic]]とボロスの部隊を率い、第9地区にて[[グルール一族/The Gruul Clans]]とラクドスの軍勢を迎え撃つ。よく訓練された勇猛果敢なボロスの兵士たちと共に戦うことは、ギデオンにこれまでにない喜びを与えていた。しかし、プレインズウォーカーである彼の助力を求める人々は[[ゼンディカー/Zendikar|他の場所]]にいた。彼はオレリアに暇乞いをすると、彼女は寛容にもそれを受け入れ、いつでも歓迎すると伝えた。ギデオンはオレリアのカリスマ性に気圧されながらも[[軍の要塞、サンホーム/Sunhome, Fortress of the Legion|サンホーム/Sunhome]]を去った。
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しかし、彼は平和の名の下に犠牲を厭わないオレリアへの不信と反発をも示しており、[[ギルドとの縁切り/Renounce the Guilds]]を決断している。どのような経緯でそこに至ったのかは明らかにされていない。
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{{フレイバーテキスト|「平和の名のもとに多くの人々が命を落とすことになる。それがあなたの言う和解というものか?」|ギデオン・ジュラからオレリアへ}}
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===限界点/Limits===
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昼はゼンディカー、夜はラヴニカ。ギデオンの毎日は苛酷を極めていた。
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彼はゼンディカーで[[ムンダ/Munda]]や[[タズリ/Tazri]]、そして集結した[[同盟者]]たちとともにエルドラージ撃退の鍵を握る[[タジーム/Tazeem#海門/Sea Gate|海門/Sea Gate]]を防衛するための戦いを繰り広げていたが、それだけに専念することはできなかった。ラヴニカで勃発した[[ゴブリン#ストーリー|ゴブリン]]のギャング団である[[クレンコ/Krenko]]と[[破砕団の兄弟/Shattergang Brothers#ストーリー|破砕団の兄弟/The Shattergang Brothers]]の抗争により、ギルドの庇護下にない者たちに被害が及んでいるのを見過ごすことはできなかったからである。エルドラージとの攻防戦と無法地帯の取り締りを繰り返す毎日。肉体は限界に達しようとしていた。
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こうした中ゼンディカーでは大群の攻勢の前についに海門の陥落が必至となる。力線の研究家に同行していた[[マーフォーク#ストーリー|マーフォーク]]の[[ジョリー・エン/Jori En]]を救出し[[ヴォリク/Vorik]]司令官の宿営地へ避難を促すとラヴニカに向かう。彼は悟った、ただエルドラージを倒し続けているだけでは問題は解決しない、海門の[[タジーム/Tazeem#海門/Sea Gate|灯台/The Lighthouse]]の学者たちが研究していた「力線の謎」を解明することが必要であると。この問題を解決するための専門家の心当たりはあった。[[ジェイス・ベレレン/Jace Beleren (ストーリー)|ジェイス・ベレレン/Jace Beleren]]。ラヴニカの迷路の謎を解明した「生けるギルドパクト」である。
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===巻き返し/Catching Up===
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ギデオンはジェイスが[[リリアナ・ヴェス/Liliana Vess (ストーリー)|リリアナ・ヴェス/Liliana Vess]]と第二地区の高級料理店ミレーナ/Milenaで会食している所に乗り込む。今はギルドパクトとしての勤務時間外であるというジェイスに対し、ギデオンはゼンディカーの海門が陥落したこと、エルドラージへの対策となる「力線の謎」の解明にはジェイスの協力が必要であると告げる。エルドラージの開放に責任を感じているジェイスは協力を約束する。会話の邪魔をされたリリアナは席を立ち、エルドラージとの戦いに協力してほしいというジェイスからの要請も断り去っていった。急ぐギデオンに対しジェイスは、自分は仕事の引継ぎのため明日の朝まではラヴニカを離れられないこと、ギデオンには休息が必要であることを告げ、癒し手の所へ案内した。
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===炎への献身/Offers to the Fire===
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ギデオンはジェイスと共にレガーサのケラル砦を訪れ、チャンドラにエルドラージと戦うための協力を要請する。彼女は迷うが、打診されていたケラルの修道士長就任の求めに応じるためこれを断った。
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===隠れ家での殺戮/Slaughter at the Refuge===
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ジェイスを連れてゼンディカーに戻ったギデオンは同盟者の宿営地である峡谷に到着したが、ヴォリク司令官は新たな避難場所の探索に出ていて不在であり、またここへ避難するように呼び掛けたジョリー・エンもいまだに到着していないようであった。ギデオンは峡谷の入り口に立ちはだかりエルドラージから残存者たちを死守してたがこの地はもはや長く持たないと思われた。帰還したヴォリクやタズリと合流し別の地への撤退を検討する中、ギデオンは徒歩ではなく崖を登り宙に浮かぶ面晶体を伝って避難することを提案する。一行は面晶体の上を這い縄を渡ってやがて巨大な面晶体の上にたどり着く。しばらくは安全そうなその場所を新たな野営地とすると、ギデオンは行方不明のジョリー・エンの捜索へと向かう。
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===声なき叫び/The Silent Cry===
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ギデオンは巨大なエルドラージに襲われている集団を発見し救出する。それは捜していたジョリー・エンと数人のコー、そして一人のエルフだった。野営地まで連れて帰るとそのエルフ、[[ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane (ストーリー)|ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane]]は自分もまたプレインズウォーカーであることを明かしギデオンを驚かせた。
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===信者達の巡礼/The Believers' Pilgrimage===
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ギデオンはジェイスにジョリー・エンを引き合わせ、二人は情報交換を済ませると面晶体の性質を探るために[[ウギン/Ugin#ウギンの目|ウギンの目/The Eye of Ugin]]に向かう。また出会ったばかりのニッサも何か大切な事情を抱えているらしく何も言わないまま立ち去ってしまった。ギデオンは野営地に残り避難民たちの守備に専念する。
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===空岩の生存者/The Survivors of Sky Rock===
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一時的な安息を得た同盟者たちであったが、司令官のヴォリクやタズリとギデオンの間で今後の方針についての見解の相違が発生していた。ヴォリクは負傷とエルドラージの荒廃がもたらした病によって余命幾ばくもなく、その限られた時間を使って避難民をさらに安全な場所まで導くことを望んでおり、[[オンドゥ/Ondu]]大陸の[[ズーラポート/Zulaport]]まで退くつもりでいた。それに対しギデオンはこの地に留まってジェイスたちが帰還するのを待ち、エルドラージを撃退するための方策を得ることこそが重要であると提案していたからである。タズリはギデオンが他の世界から来た人間であることに以前から感づいていた。そのためギデオンのここゼンディカーへの責任感がどの程度のものかを疑問視しており、あなたにここの人々を危険に晒す権利などないと言い放つ。
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そうした中でギデオンは、エルドラージから追われている新たな避難民の一団を救出する。そして野営地に連れ帰った彼らの口から世界中にある噂が広まっていることを聞く。海門こそがゼンディカーに残された唯一の希望の象徴であり、世界各地からあらゆる種族がこの地を目指して移動を始めたと。しかし海門はすでに陥落し、ゼンディカー人たちはもはや存在しない避難所を目指しているということになる。たどり着いてからその事実を知り絶望する避難民の姿を見てギデオンはあることを心に決める。
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それから間もなくして、ギデオンとタズリは病床で死の淵にあるヴォリクに呼び出される。司令官にズーラポートへの撤退計画を説明するタズリ。それに対してギデオンは驚きの案、海門に戻り戦ってその地を取り戻すことを提示する。もはやゼンディカーに避難するところなどない、立ち向かうべきだと。ギデオンとタズリ、両者の意見は平行線をたどりしばらく口論が続くが、しばらくしてヴォリクは言い争う二人を一喝すると海門の奪回を支持しギデオンを新たな司令官に任命し亡くなった。葬儀の後ギデオンは避難民たちに今後の方針を告げ皆を鼓舞した。今後は逃げることをやめ抵抗することを選ぶ。まず海門を奪還し、最終的にはゼンディカーそのものを取り戻すと。そしてタズリの目を見据えると、最後までこの地を去らずゼンディカーのために戦うことを誓い、ついに彼女の信頼を勝ち得るのだった。
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===血の記憶/Memories of Blood===
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ギデオンは世界各地の生存者に対して抵抗勢力の集結を呼び掛けるための使者を送る。[[吸血鬼/Vampire#ゼンディカー|吸血鬼/Vampire]]の住む大陸[[グール・ドラズ/Guul Draz]]にはエンキンディ/Enkindiが率いるコーの帆凧部隊を派遣した。彼らは[[淀みの種父/Sire of Stagnation]]との戦いで全滅してしまうが、吸血鬼の長[[ドラーナ/Drana]]はギデオンに興味を抱き、その呼び掛けに応じて同盟者に合流することを決断し海門に向けて出発する。
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===軍勢の形成/Shaping an Army===
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[[タジーム/Tazeem##珊瑚兜/Coralhelm|珊瑚兜/Coralhelm]]のマーフォークの乱動魔導士の元へは、ギデオン自らが帆凧に乗って交渉に赴いた。まずリーダーの[[ノヤン・ダール/Noyan Dar]]と会談するが最初は同盟の要請を断られる。その後演習を見たギデオンは彼らの実力を訝しむ言葉を口にし険悪な雰囲気になるが、エルドラージの掃討に同行し実戦で共闘することによりお互いの実力を認め合い、同盟者に加わる約束を取り付けた。
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===海門の解放/The Liberation of Sea Gate===
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ゼンディカー各地から様々な種族の生き残りが日に日に集結していき、宿営地は面晶体の上だけでは足りず周囲に広がるまでになった。当初は避難民でしかなかったそれは、今では紛れもなくゼンディカー軍であった。ついに反撃の時は訪れ、ギデオンは軍の先頭に立ち海門に向けて突撃を開始する。しかし初戦は手痛い敗北を喫し結局元の野営地まで撤退することになってしまう。この戦況に納得のいかないギデオンは、なにを誤ったのか敗走の理由をムンダやタズリに問う。それに対しタズリは厳しい指摘をする。あなたは自分の力を中心に考えすぎ軍を過信をしている、一人一人がギデオン自身のように不死身の肉体と不屈の闘志を持つならこの戦い方でもいいが、実際のゼンディカー軍は千人のギデオンなわけではないと。一兵卒ではなく司令官としての責務を果たさないといけないことを痛感したギデオンは、数日かけて攻撃計画の練り直しをすることになった。
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そして再進撃の日、今回は兵一人一人それぞれできることをギデオンは把握し能力に応じて適材適所に配置した。前線は完全に統制されており無秩序に迫るエルドラージを効果的に倒していった。さらに午後になると外海から巨大海洋生物の群れが現れ海棲エルドラージを倒しながら海門に接近するのが確認された。その日は海門の灯台が目に入るところまで攻め入り、日が暮れると前線はドラーナ率いる吸血鬼の軍と入れ替わりギデオンの軍は夜営をして休息を取り次の日の戦いに備えた。初日の戦果は上出来の結果に終わった。
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二日目、軍は海門の城壁近くまで進撃するがそこでギデオンはエルドラージとは別のもの、巨大なタコとその触手の先に座るマーフォークの女性に遭遇する。昨日目撃した海洋生物の群れの主、[[キオーラ/Kiora]]であった。そして会談中に彼女の口から[[タッサ/Thassa]]、かつてギデオンがいた次元の神の名前が出てきて彼は驚いた。彼女もまたプレインズウォーカーだった。キオーラの軍勢が両翼を固めてくれたためギデオンは海門攻撃に集中することができたが、城壁内から絶え間なく湧き出てくるエルドラージに苦戦し、夜になると数が少ない吸血鬼たちだけでは攻勢をしのぐことはできず陣は押し戻された。
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困難な夜が明け三日目も苦戦を強いられたが、昼にはついに城壁までたどり着いた。四日目にギデオンは城内に突入し残るエルドラージの掃討を始めるが、障害物の多い街路では軍略の通用しない乱戦になり苦戦を強いられていた。その時突如として木や岩が動き出しエルドラージを打ち据え始めた。ニッサが[[エレメンタル]]の群れ、ゼンディカーそのものを引き連れて帰ってきたのであった。ゼンディカー軍は優勢となり五日目の昼には戦いは終わった。ついに海門を取り戻し、ギデオンが灯台の指揮官を集めて今後の方針を練ろうとしていたその時に騒ぎが起こった。窓から外を見るとジョリー・エンがなにかを叫びながら帰還するのが見えた。灯台を降りて迎えに出たギデオンに対し彼女は警告の言葉を繰り返した。
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「ウラモグが来る!」
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===面晶体の連結/Hedron Alignment===
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海門を奪還したギデオンたちのもとに、ジョリー・エンがウラモグ襲来の凶報を携えてやってきた。避けられぬ災厄との衝突を前に、戦う者と撤退する者とで意見が割れ、困窮する司令官ギデオン。しかしそこへ、面晶体の調査を終えたジェイスが帰投する。
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あるものは地中から、あるものは海上から、各地に散在する面晶体を海門へと引き集め、ジェイスの指示の下ゼンディカー軍はウラモグを拘束するための罠を作った。絶え間なき飢餓の化身が急造のリングへと突入すると、ギデオンは単身ウラモグに立ち向かい、光の輪がその巨体を絡め取るまでの時間を稼ぎ続けた。
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ついに面晶体は連結し、ウラモグは上陸寸前で身動きを封じられた。こうなれば、この久遠の闇の住人を滅殺する策はいくらでも講じられる。海門全体が勝利に湧く中、斥候イービは陽光をさえぎる一つの影を見た。
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ゼンディカーがその身に封じていた、もう一つの巨悪。[[オブ・ニクシリス/Ob Nixilis]]が、今まさに[[灯の再覚醒、オブ・ニクシリス/Ob Nixilis Reignited|灯の再覚醒]]を成し遂げんとしていた。
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=== ゲートウォッチの誓い ===
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何千年もの間ゼンディカー次元に捕らわれていたニクシリスは、同じ苦しみを味わわせようと自身が捕えたニッサ、ジェイス、ギデオンを苛んでいたが、ひそかに追いかけてきたチャンドラによって3人は解放される。
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3人はチャンドラと共にニクシリスへと立ち向かい、ニクシリスを逃走に至らしめた。
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4人は荒廃した風景を目の当たりにし、彼方の空には2体の巨人がそびえていた。他の3人は絶望に飲み込まれかけるが、ギデオンの言葉によって立ち直った。
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ウギンの助言を元にジェイスが作戦を立て、それが実行された。ギデオンが落とし子の群れから皆を守る中、ニッサが力線を操り、巨人を縛り付けてその姿をゼンディカーへと完全に引き込んだ。
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ニッサがチャンドラへと力線のマナを流し込むと、ウラモグとコジレックは焼き尽くされた。
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=== イニストラード・ブロック ===
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やがてエムラクールがイニストラードにいるとの報告がジェイスから入り、ゲートウォッチの3人は共に向かった。
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イニストラードでの力線を思うように使いこなせない中、[[リリアナ・ヴェス/Liliana Vess (ストーリー)|リリアナ・ヴェス/Liliana Vess]]が思わぬ形で助力に現れた。
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ギデオンはラヴニカでリリアナと会ったことがあり、ジェイスと何らかの関係のある女性ということは知っていた。ギデオンとしては不本意だが、不浄の軍勢であるリリアナ達と共闘することとなった。
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さらに[[タミヨウ/Tamiyo]]の協力も加わり、ゲートウォッチはエムラクールをイニストラードの銀の月へと封印した。
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戦いの後、ジェイスの願いからギデオンはリリアナをゲートウォッチに迎い入れることを了承した。屍術や鎖のヴェールを使わせずにいられるのであれば多元宇宙全体にとっても良いことだろうというのがギデオンの考えであった。
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=== カラデシュ・ブロック ===
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イニストラードでのエムラクールとの交戦から数ヶ月後、チャンドラと共に[[カラデシュ/Kaladesh]]へ向かっていたリリアナから、かの地に[[テゼレット/Tezzeret]]がいるという知らせが入った。
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ギデオンとジェイスは直ちに向かい、テゼレットが現地の領事府に入り込んでいることを知ると、[[ピア・ナラー/Pia Nalaar (ストーリー)|ピア・ナラー]]が率いる改革派に手を貸すことになった。
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ギデオンは自分達の正義を他の次元に押し付けるようなこの戦いに疑問を抱いていたが、ひとまずチャンドラのために戦うのだと自らを納得させた。
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領事府との戦いはチャンドラに過去の行いを突き付けたが、ギデオンは戸惑い苦しむチャンドラに献身的に寄り添った。
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自ら飛行機に乗って次元橋を破壊しに向かうと主張するチャンドラの決意を察し、彼女を守るべくギデオンは同行を申し出た。神聖術をまといながら2人は突入し、次元橋を破壊してテゼレットをプレインズウォークで逃走させた。
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争いが集結するとゲートウォッチは新たに[[アジャニ/Ajani]]を受け入れた。
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アジャニはいったん[[ニコル・ボーラス/Nicol Bolas]]と闘うための仲間を集めることを提案したが、ギデオンは内心で一刻も早くボーラスを叩こうとその所在である[[アモンケット/Amonkhet]]に向かうことを計画していた。
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=== アモンケット・ブロック ===
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アモンケットに辿り着いたゲートウォッチはゾンビの群れや巨大なワームに襲われるが、神々しい存在が介入してワームを倒す様をギデオンは目撃した。
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[[アモンケット/Amonkhet#ナクタムン/Naktamun|ナクタムン/Naktamun]]に辿り着き[[オケチラ/Oketra]]に対面したギデオンは、オケチラが愛に満ちた神なのだと瞬時に悟った。
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ギデオンはこの次元について学びたいと願い、[[バントゥ/Bontu]]が定める試練に挑むこととなった。
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だが仲間の命をもためらいなく捨てなければ先に進めないその試練にギデオンは疑問を抱き、最終的に仲間同士で殺し合う様子にギデオンは怒りに燃えてバントゥと対峙する。
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アモンケットという次元を理解できないまま怒りと迷いの内に去ったギデオンはゲートウォッチと合流するが、すぐに[[ハゾレト/Hazoret]]による最後の試練に呼ばれた。
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戦いが終わり、栄光ある死は[[デジェル/Djeru]]が賜ることになったが、ギデオンは神の二又槍からデジェルを守った。
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そして[[来世への門/Gate to the Afterlife]]の門から[[ラザケシュ/Razaketh]]が現れ、ゲートウォッチは力を合わせてそれを退けるが、このためにリリアナに利用されたのではないかと彼らは疑問を抱き始める。
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[[王神、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, God-Pharaoh]]が帰還し、街と人々を蹂躙した。ゲートウォッチもボーラスには敵わず、ギデオンは命からがら[[ドミナリア/Dominaria]]へと逃走した。
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=== ドミナリア ===
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敗走したゲートウォッチの各人はリリアナへと疑いの目を向け、ニッサとチャンドラが離脱した。
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リリアナと共に取り残された手負いのギデオンはかつてのリリアナの故郷へと向かった。手当てを受けると[[陰謀団/The Cabal]]がドミナリアに手を伸ばしていること、[[プレインズウォーカー・シリーズのその他のキャラクター#ジョス/Josu|ジョス・ヴェス/Josu Vess]]がゾンビとなって使役されていることを聞かされた。
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ギデオンはリリアナが契約を解消して全力を使えるようになることが不可欠と考え、協力を了承した。
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2人は[[ウェザーライト/Weatherlight (ストーリー)#ドミナリア|新生ウェザーライト]]に乗って陰謀団とベルゼンロックの退治に加わった。遅れてきたチャンドラも加わり、要塞の宝物庫から[[再鍛の黒き剣/Blackblade Reforged]]を手に入れ、それを用いてベルゼンロックを倒すことに成功。
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ゲートウォッチは[[テフェリー/Teferi]]を新たに加え、[[ヤヤ・バラード/Jaya Ballard]]と[[カーン/Karn]]も協力を申し出た。しかりリリアナは[[ボーラスの手中/In Bolas's Clutches|ボーラスの命令によりドミナリアを去った]]。
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=== 灯争大戦 ===
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[[次元間の標/Interplanar Beacon]]に呼び寄せられた何十人何百人というプレインズウォーカー、開いた[[次元橋/Planar Bridge]]によりアモンケットから押し寄せた[[永遠衆/Eternal]]がラヴニカで殺戮を開始した。
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ギデオンは永遠衆を操るリリアナの姿を確認したが、その顔は鎖のヴェールに隠され、感情をうかがい知ることはできなかった。
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ゲートウォッチはプレインズウォーカーやギルドの代表者らに呼びかけ、作戦会議を開いた。ギデオンは「この惨状はプレインズウォーカーがもたらしたもの」という辛辣な言葉を受け止め、その上で「あらゆる世界のために戦うことが、灯を持つ者のしめいなのだ」と皆へ呼び掛けた。
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ギデオンは[[オレリア/Aurelia]]と[[ボロス軍/Boros Legion]]が隣を支える中、[[信頼あるペガサス/Trusted Pegasus]]に騎乗し、黒き剣で[[ロナス/Rhonas]]を倒した。
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やがて次元橋と[[不滅の太陽/The Immortal Sun]]が止められ、ボーラスとの最後の戦いが始まった。黒き剣の力を過信させたボーラスの策によりギデオンは万事休すとなるが、ここでリリアナが契約違反による死を覚悟で永遠衆、永遠神をボーラスに仕向ける。
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ギデオンは消滅を始めるリリアナに神聖術を手渡し、リリアナの契約違反の代償を自身が引き受けた。ギデオンは塵と化し、後にはその鎧だけが残った。
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ギデオンは死の間際、故郷のテーロスで非正規軍が自分を出迎えてくれるという幻影を見た。
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ギデオンの犠牲によってリリアナは生き永らえ、[[ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet]]の介入にも助けられて永遠神にボーラスの灯を食わせることに成功した。
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遺品の鎧は彼の故郷のテーロスへと戻され、かの地にはギデオンの彫像が立てられた。
  
 
==登場==
 
==登場==

2019年12月28日 (土) 16:12時点における版

ギデオン・ジュラ/Gideon Juraは小説The Purifying Fire初出のキャラクター。これを日本でコミカライズした燃え尽きぬ炎にも登場。その後ゼンディカー・ブロックのストーリーで再登場しプレインズウォーカーとしてカード化された。後にラヴニカへの回帰ブロックにも登場、さらにマジック・オリジンでは主要プレインズウォーカーの1人として取り上げられた。

目次

解説

テーロス/Therosアクロス/Akros出身。屈強な人間男性のプレインズウォーカー/Planeswalker。常に冷静で口数は少ないが、熱い正義感の持ち主。イラスト

もっぱら肉弾戦を得意とするプレインズウォーカー。戦いとなれば、神聖術/hieromancyと呼ばれるの魔法で自らの精神を清め、身を守り、愛用する4本の鞭のような刃を持つ武器、スーラ/suralを右手に携え先頭に立って最前線へ赴く。卓越した格闘センスと強力な防護魔法を用いる彼は、単純な白兵戦においてはほぼ無敵である。

  • プレインズウォーカーでありながら一兵卒のような働きをするその性格は、カードとしての能力にもよく反映されている。

常に弱者を守る存在であろうと心がけており、見ず知らずの人々のために命をかけて戦うことも厭わない。だがその正義感と行動力は時に欠点となり、目の前で助けを求める人を見過ごすことができず結果として大局を見失った行動を取ることもある。[1]

励ますように他人の肩を叩く癖があり、ギデオン本人も直そうと心がけてはいるようである。

燃え尽きぬ炎

日本では、電撃マ王にてチャンドラ・ナラー/Chandra Nalaarが主役の小説「The Purifying Fire」を原作とした漫画「燃え尽きぬ炎」が連載されていた。そこにおけるギデオンの姿はカードのイラストのイメージとは異なって優男風だが、上記にもある通り元々は小説のキャラクターであるためにこのような齟齬が生じている。また、漫画では小説からプロットが変更されている部分もあり、小説にあったチャンドラとのロマンチックな描写は全て省略されている。

Gather Your Allies

PC、X-BOX 360、プレイステーション3のマルチプラットフォームで展開されるコンピューターゲームMagic: The Gathering - Duels of the Planeswalkers 2012」のオープニングムービーは彼のナレーションによって進行する。その中で「故郷の次元は既に滅びており、その原因はギデオンにあると言う者もいる」と、彼の過去が一部語られたが、その内容はクリエイティブ・チームとは無関係に作成されたものであり、後の公式設定とは大きく矛盾している。[2]

  • またその際に表示される故郷のイメージイラストも、(テーロスの発表前であったためか)バント/Bantのものが使用されている[3]

経歴

覚醒前

故郷のテーロスでは、ギデオン・ジュラはキテオン・イオラ/Kytheon Ioraという名の少年だった。父の顔を知らず育ち、幼くして母とも死に別れた彼は、正義感が強く喧嘩も強いが、礼儀知らずで未熟な少年だった。彼は同じような境遇の子供たちを集めたキテオンの不正規軍/Kytheon's Irregularsという義賊を率いていた。13歳の時、彼は盗みのため牢に繋がれることになったが、その看守であったヒクサス/Hixusに才能を見出され彼に師事することとなった。当初キテオンは抵抗したが、数度脱走を試みた後にヒクサスとの鍛錬を受け入れた。キテオンはヒクサスから神聖術と自制心、そして戦況を見抜き支配するすべを学んだ。

4年間ヒクサスの牢獄の中で修行した彼はある日、ハーピーの群れに突如襲撃されたアクロスを守ることを条件として放免された。彼はヒクサスや他の囚人と共にハーピーと戦い多くをしとめた。だが、さらに複数のサイクロプスが城壁に迫っていた。キテオンは彼の非正規軍と合流し、敢えて城門の外でサイクロプスと戦い、非正規軍とともにこれを打ち倒した。この時の彼の大胆不敵な戦術は後年にも伝わっている

戦いの後、太陽のヘリオッド/Heliodが彼の前に現れた。ヘリオッドは彼の戦士としての価値を認め、勇者の試練とそれを果たすための太陽の槍を与えた。彼の試練とは、死の神エレボス/Erebosが放った恐るべき巨人を倒すことだった。彼は巨人をおびき寄せ、非正規軍とともに巨人と戦い、太陽の槍でもってとどめを刺した。その時、地平線の向こうからエレボス自身が姿を現した。キテオンは自信に満ちていた。彼は死の神に報いを与えようと、太陽の槍を放った。神はを振るい、槍を彼へと跳ね返した。身構えた彼の視界が真っ白に染まった。視界を取り戻した時、キテオンは周囲の非正規軍の変わり果てた姿を見た。後悔と苦痛に震える彼のプレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkが点り、彼はバント/Bantへとプレインズウォークした。バント/Bantで目を覚ましたとき、周囲には巡礼の道の騎士長、ムーキル率いる一団が居り、名を尋ねられる。「キテオン」と息を詰まらせながら答えたところ、ムーキルは「ギデオン?」と聞き返した。

  • ギデオン自身は、この時期のことは特に話したがらないようだ。
  • 小説「The Purifying Fire」やそれを原作にした「燃え尽きぬ炎」の作中でもこれらの出自は言及されていた(なお、両作品で語られた出自には微妙な相違がある)。しかし故郷の名や灯が点った時の詳細についてはマジック・オリジンまでは語られていなかった。

The Purifying Fire(燃え尽きぬ炎)

レガーサ/Regathaに滞在していたギデオンは、レガーサ次元の全域に法と秩序をもたらそうとするヘリウド騎士団/Order of Heliudに仕えていた。彼は騎士団の指導者ウォルバート3世/Walbert IIIの依頼によりケラル砦/Keral Keepに滞在するプレインズウォーカー/Planeswalkerチャンドラ・ナラー/Chandra Nalaarを追うこととなった。

ギデオンはチャンドラを追ってケファライ/Kephalai、そしてディラデン/Diradenへとプレインズウォークした。当初彼はチャンドラのことを単なる危険人物と考えていたが、ディラデンで彼女と共闘し、また過去の一端を知ったことで彼女への感情は変化していった。

ディラデンを脱出し2人してレガーサに帰還した所で、彼は正体と己の任務を明かした。彼はチャンドラにレガーサを離れるよう忠告したが、彼女は受け入れなかった。数日後、彼女はケラル砦を守るために自ら騎士団に投降してきた。そこでウォルババートは彼らに初めて真意を明かした。遂に長年の予見が成就する、今日プレインズウォーカーの紅蓮術士は浄化の炎/The Purifying Fireに投じられ魔力を永遠に失い、以降レガーサが混沌と災厄に苛まれることはなくなると。彼女を助けようと、ギデオンは浄化の炎について知り得たことを教えた。浄化の炎は魂の罪を清める、もし穢れのない魂をもって浄化の炎の中に入るのならば、無事に出られるかもしれないと。彼は彼女が過去の罪悪感と向き合うために、ディラデンで見た悪夢について話すように促した。話を終え、吹っ切れたチャンドラは自ら浄化の炎の中へと入った。彼女の願いでその場を離れていたギデオンが現場に着いた時、チャンドラの紅蓮術によりウォルバートとその場にいた騎士団の人間は焼き殺され灰と化していた。愕然としたギデオンは彼女を責めたが、戦うことは出来なかった。一旦レガーサを去るチャンドラに、ギデオンはまた会おうと言った。

エルドラージ覚醒

レガーサでの決別を後悔したギデオンは再び、今度は一度共闘した友人としてチャンドラを追う。向かうは星の聖域の巻物が示す次元、ゼンディカー/Zendikarである。しかし、そこでは多元宇宙/Multiverseを揺るがす恐るべき捕食者、エルドラージ/Eldraziが復活しようとしていた。

ケフ砦の戦い/The Battle of Fort Keff

ついに復活したエルドラージ。砦の人々の抵抗も全く意に介さない眷属落とし子の群れを相手に、ギデオンは一人立ち向かう。ギデオンとケフ砦の住人は辛くも勝利するが、地平線には新たな、そして遥かに強大なエルドラージ、エムラクール/Emrakulの姿が。

ギデオンは住民の避難を済ませてからラヴニカ/Ravnicaに向かった。彼一人では対処できない敵、それに立ち向かえる組織を耳にしたことがあったのだ。

  • 翻訳記事では「ラヴニカを訪れて組織を見つけ、ゼンディカーへと戻ってまた去った」ように書かれているが、誤訳。

ギルド門侵犯

ラヴニカに到着したギデオンはたまたまボロス軍/Boros Legionの一旅団をラクドス教団/The Cult of Rakdosの待ち伏せから救ったことにより、オレリア/Aureliaにボロスの大隊の指揮とギルド間の抗争に巻き込まれる無辜の人々を共に救うことを依頼される。ゼンディカーが超次元的な危機に晒されていることを知りながらも自分を必要としている目の前の人々を見過ごすことが出来なかったギデオンは、ボロスへの参加については保留しつつもオレリアへの協力を承諾する。

ドラゴンの迷路

ギデオンはタージク/Tajicとボロスの部隊を率い、第9地区にてグルール一族/The Gruul Clansとラクドスの軍勢を迎え撃つ。よく訓練された勇猛果敢なボロスの兵士たちと共に戦うことは、ギデオンにこれまでにない喜びを与えていた。しかし、プレインズウォーカーである彼の助力を求める人々は他の場所にいた。彼はオレリアに暇乞いをすると、彼女は寛容にもそれを受け入れ、いつでも歓迎すると伝えた。ギデオンはオレリアのカリスマ性に気圧されながらもサンホーム/Sunhomeを去った。

しかし、彼は平和の名の下に犠牲を厭わないオレリアへの不信と反発をも示しており、ギルドとの縁切り/Renounce the Guildsを決断している。どのような経緯でそこに至ったのかは明らかにされていない。

「平和の名のもとに多くの人々が命を落とすことになる。それがあなたの言う和解というものか?」
ギデオン・ジュラからオレリアへ

限界点/Limits

昼はゼンディカー、夜はラヴニカ。ギデオンの毎日は苛酷を極めていた。

彼はゼンディカーでムンダ/Mundaタズリ/Tazri、そして集結した同盟者たちとともにエルドラージ撃退の鍵を握る海門/Sea Gateを防衛するための戦いを繰り広げていたが、それだけに専念することはできなかった。ラヴニカで勃発したゴブリンのギャング団であるクレンコ/Krenko破砕団の兄弟/The Shattergang Brothersの抗争により、ギルドの庇護下にない者たちに被害が及んでいるのを見過ごすことはできなかったからである。エルドラージとの攻防戦と無法地帯の取り締りを繰り返す毎日。肉体は限界に達しようとしていた。

こうした中ゼンディカーでは大群の攻勢の前についに海門の陥落が必至となる。力線の研究家に同行していたマーフォークジョリー・エン/Jori Enを救出しヴォリク/Vorik司令官の宿営地へ避難を促すとラヴニカに向かう。彼は悟った、ただエルドラージを倒し続けているだけでは問題は解決しない、海門の灯台/The Lighthouseの学者たちが研究していた「力線の謎」を解明することが必要であると。この問題を解決するための専門家の心当たりはあった。ジェイス・ベレレン/Jace Beleren。ラヴニカの迷路の謎を解明した「生けるギルドパクト」である。

巻き返し/Catching Up

ギデオンはジェイスがリリアナ・ヴェス/Liliana Vessと第二地区の高級料理店ミレーナ/Milenaで会食している所に乗り込む。今はギルドパクトとしての勤務時間外であるというジェイスに対し、ギデオンはゼンディカーの海門が陥落したこと、エルドラージへの対策となる「力線の謎」の解明にはジェイスの協力が必要であると告げる。エルドラージの開放に責任を感じているジェイスは協力を約束する。会話の邪魔をされたリリアナは席を立ち、エルドラージとの戦いに協力してほしいというジェイスからの要請も断り去っていった。急ぐギデオンに対しジェイスは、自分は仕事の引継ぎのため明日の朝まではラヴニカを離れられないこと、ギデオンには休息が必要であることを告げ、癒し手の所へ案内した。

炎への献身/Offers to the Fire

ギデオンはジェイスと共にレガーサのケラル砦を訪れ、チャンドラにエルドラージと戦うための協力を要請する。彼女は迷うが、打診されていたケラルの修道士長就任の求めに応じるためこれを断った。

隠れ家での殺戮/Slaughter at the Refuge

ジェイスを連れてゼンディカーに戻ったギデオンは同盟者の宿営地である峡谷に到着したが、ヴォリク司令官は新たな避難場所の探索に出ていて不在であり、またここへ避難するように呼び掛けたジョリー・エンもいまだに到着していないようであった。ギデオンは峡谷の入り口に立ちはだかりエルドラージから残存者たちを死守してたがこの地はもはや長く持たないと思われた。帰還したヴォリクやタズリと合流し別の地への撤退を検討する中、ギデオンは徒歩ではなく崖を登り宙に浮かぶ面晶体を伝って避難することを提案する。一行は面晶体の上を這い縄を渡ってやがて巨大な面晶体の上にたどり着く。しばらくは安全そうなその場所を新たな野営地とすると、ギデオンは行方不明のジョリー・エンの捜索へと向かう。

声なき叫び/The Silent Cry

ギデオンは巨大なエルドラージに襲われている集団を発見し救出する。それは捜していたジョリー・エンと数人のコー、そして一人のエルフだった。野営地まで連れて帰るとそのエルフ、ニッサ・レヴェイン/Nissa Revaneは自分もまたプレインズウォーカーであることを明かしギデオンを驚かせた。

信者達の巡礼/The Believers' Pilgrimage

ギデオンはジェイスにジョリー・エンを引き合わせ、二人は情報交換を済ませると面晶体の性質を探るためにウギンの目/The Eye of Uginに向かう。また出会ったばかりのニッサも何か大切な事情を抱えているらしく何も言わないまま立ち去ってしまった。ギデオンは野営地に残り避難民たちの守備に専念する。

空岩の生存者/The Survivors of Sky Rock

一時的な安息を得た同盟者たちであったが、司令官のヴォリクやタズリとギデオンの間で今後の方針についての見解の相違が発生していた。ヴォリクは負傷とエルドラージの荒廃がもたらした病によって余命幾ばくもなく、その限られた時間を使って避難民をさらに安全な場所まで導くことを望んでおり、オンドゥ/Ondu大陸のズーラポート/Zulaportまで退くつもりでいた。それに対しギデオンはこの地に留まってジェイスたちが帰還するのを待ち、エルドラージを撃退するための方策を得ることこそが重要であると提案していたからである。タズリはギデオンが他の世界から来た人間であることに以前から感づいていた。そのためギデオンのここゼンディカーへの責任感がどの程度のものかを疑問視しており、あなたにここの人々を危険に晒す権利などないと言い放つ。

そうした中でギデオンは、エルドラージから追われている新たな避難民の一団を救出する。そして野営地に連れ帰った彼らの口から世界中にある噂が広まっていることを聞く。海門こそがゼンディカーに残された唯一の希望の象徴であり、世界各地からあらゆる種族がこの地を目指して移動を始めたと。しかし海門はすでに陥落し、ゼンディカー人たちはもはや存在しない避難所を目指しているということになる。たどり着いてからその事実を知り絶望する避難民の姿を見てギデオンはあることを心に決める。

それから間もなくして、ギデオンとタズリは病床で死の淵にあるヴォリクに呼び出される。司令官にズーラポートへの撤退計画を説明するタズリ。それに対してギデオンは驚きの案、海門に戻り戦ってその地を取り戻すことを提示する。もはやゼンディカーに避難するところなどない、立ち向かうべきだと。ギデオンとタズリ、両者の意見は平行線をたどりしばらく口論が続くが、しばらくしてヴォリクは言い争う二人を一喝すると海門の奪回を支持しギデオンを新たな司令官に任命し亡くなった。葬儀の後ギデオンは避難民たちに今後の方針を告げ皆を鼓舞した。今後は逃げることをやめ抵抗することを選ぶ。まず海門を奪還し、最終的にはゼンディカーそのものを取り戻すと。そしてタズリの目を見据えると、最後までこの地を去らずゼンディカーのために戦うことを誓い、ついに彼女の信頼を勝ち得るのだった。

血の記憶/Memories of Blood

ギデオンは世界各地の生存者に対して抵抗勢力の集結を呼び掛けるための使者を送る。吸血鬼/Vampireの住む大陸グール・ドラズ/Guul Drazにはエンキンディ/Enkindiが率いるコーの帆凧部隊を派遣した。彼らは淀みの種父/Sire of Stagnationとの戦いで全滅してしまうが、吸血鬼の長ドラーナ/Dranaはギデオンに興味を抱き、その呼び掛けに応じて同盟者に合流することを決断し海門に向けて出発する。

軍勢の形成/Shaping an Army

珊瑚兜/Coralhelmのマーフォークの乱動魔導士の元へは、ギデオン自らが帆凧に乗って交渉に赴いた。まずリーダーのノヤン・ダール/Noyan Darと会談するが最初は同盟の要請を断られる。その後演習を見たギデオンは彼らの実力を訝しむ言葉を口にし険悪な雰囲気になるが、エルドラージの掃討に同行し実戦で共闘することによりお互いの実力を認め合い、同盟者に加わる約束を取り付けた。

海門の解放/The Liberation of Sea Gate

ゼンディカー各地から様々な種族の生き残りが日に日に集結していき、宿営地は面晶体の上だけでは足りず周囲に広がるまでになった。当初は避難民でしかなかったそれは、今では紛れもなくゼンディカー軍であった。ついに反撃の時は訪れ、ギデオンは軍の先頭に立ち海門に向けて突撃を開始する。しかし初戦は手痛い敗北を喫し結局元の野営地まで撤退することになってしまう。この戦況に納得のいかないギデオンは、なにを誤ったのか敗走の理由をムンダやタズリに問う。それに対しタズリは厳しい指摘をする。あなたは自分の力を中心に考えすぎ軍を過信をしている、一人一人がギデオン自身のように不死身の肉体と不屈の闘志を持つならこの戦い方でもいいが、実際のゼンディカー軍は千人のギデオンなわけではないと。一兵卒ではなく司令官としての責務を果たさないといけないことを痛感したギデオンは、数日かけて攻撃計画の練り直しをすることになった。

そして再進撃の日、今回は兵一人一人それぞれできることをギデオンは把握し能力に応じて適材適所に配置した。前線は完全に統制されており無秩序に迫るエルドラージを効果的に倒していった。さらに午後になると外海から巨大海洋生物の群れが現れ海棲エルドラージを倒しながら海門に接近するのが確認された。その日は海門の灯台が目に入るところまで攻め入り、日が暮れると前線はドラーナ率いる吸血鬼の軍と入れ替わりギデオンの軍は夜営をして休息を取り次の日の戦いに備えた。初日の戦果は上出来の結果に終わった。

二日目、軍は海門の城壁近くまで進撃するがそこでギデオンはエルドラージとは別のもの、巨大なタコとその触手の先に座るマーフォークの女性に遭遇する。昨日目撃した海洋生物の群れの主、キオーラ/Kioraであった。そして会談中に彼女の口からタッサ/Thassa、かつてギデオンがいた次元の神の名前が出てきて彼は驚いた。彼女もまたプレインズウォーカーだった。キオーラの軍勢が両翼を固めてくれたためギデオンは海門攻撃に集中することができたが、城壁内から絶え間なく湧き出てくるエルドラージに苦戦し、夜になると数が少ない吸血鬼たちだけでは攻勢をしのぐことはできず陣は押し戻された。

困難な夜が明け三日目も苦戦を強いられたが、昼にはついに城壁までたどり着いた。四日目にギデオンは城内に突入し残るエルドラージの掃討を始めるが、障害物の多い街路では軍略の通用しない乱戦になり苦戦を強いられていた。その時突如として木や岩が動き出しエルドラージを打ち据え始めた。ニッサがエレメンタルの群れ、ゼンディカーそのものを引き連れて帰ってきたのであった。ゼンディカー軍は優勢となり五日目の昼には戦いは終わった。ついに海門を取り戻し、ギデオンが灯台の指揮官を集めて今後の方針を練ろうとしていたその時に騒ぎが起こった。窓から外を見るとジョリー・エンがなにかを叫びながら帰還するのが見えた。灯台を降りて迎えに出たギデオンに対し彼女は警告の言葉を繰り返した。

「ウラモグが来る!」

面晶体の連結/Hedron Alignment

海門を奪還したギデオンたちのもとに、ジョリー・エンがウラモグ襲来の凶報を携えてやってきた。避けられぬ災厄との衝突を前に、戦う者と撤退する者とで意見が割れ、困窮する司令官ギデオン。しかしそこへ、面晶体の調査を終えたジェイスが帰投する。 あるものは地中から、あるものは海上から、各地に散在する面晶体を海門へと引き集め、ジェイスの指示の下ゼンディカー軍はウラモグを拘束するための罠を作った。絶え間なき飢餓の化身が急造のリングへと突入すると、ギデオンは単身ウラモグに立ち向かい、光の輪がその巨体を絡め取るまでの時間を稼ぎ続けた。

ついに面晶体は連結し、ウラモグは上陸寸前で身動きを封じられた。こうなれば、この久遠の闇の住人を滅殺する策はいくらでも講じられる。海門全体が勝利に湧く中、斥候イービは陽光をさえぎる一つの影を見た。 ゼンディカーがその身に封じていた、もう一つの巨悪。オブ・ニクシリス/Ob Nixilisが、今まさに灯の再覚醒を成し遂げんとしていた。

ゲートウォッチの誓い

何千年もの間ゼンディカー次元に捕らわれていたニクシリスは、同じ苦しみを味わわせようと自身が捕えたニッサ、ジェイス、ギデオンを苛んでいたが、ひそかに追いかけてきたチャンドラによって3人は解放される。 3人はチャンドラと共にニクシリスへと立ち向かい、ニクシリスを逃走に至らしめた。 4人は荒廃した風景を目の当たりにし、彼方の空には2体の巨人がそびえていた。他の3人は絶望に飲み込まれかけるが、ギデオンの言葉によって立ち直った。 ウギンの助言を元にジェイスが作戦を立て、それが実行された。ギデオンが落とし子の群れから皆を守る中、ニッサが力線を操り、巨人を縛り付けてその姿をゼンディカーへと完全に引き込んだ。 ニッサがチャンドラへと力線のマナを流し込むと、ウラモグとコジレックは焼き尽くされた。

イニストラード・ブロック

やがてエムラクールがイニストラードにいるとの報告がジェイスから入り、ゲートウォッチの3人は共に向かった。 イニストラードでの力線を思うように使いこなせない中、リリアナ・ヴェス/Liliana Vessが思わぬ形で助力に現れた。 ギデオンはラヴニカでリリアナと会ったことがあり、ジェイスと何らかの関係のある女性ということは知っていた。ギデオンとしては不本意だが、不浄の軍勢であるリリアナ達と共闘することとなった。 さらにタミヨウ/Tamiyoの協力も加わり、ゲートウォッチはエムラクールをイニストラードの銀の月へと封印した。 戦いの後、ジェイスの願いからギデオンはリリアナをゲートウォッチに迎い入れることを了承した。屍術や鎖のヴェールを使わせずにいられるのであれば多元宇宙全体にとっても良いことだろうというのがギデオンの考えであった。

カラデシュ・ブロック

イニストラードでのエムラクールとの交戦から数ヶ月後、チャンドラと共にカラデシュ/Kaladeshへ向かっていたリリアナから、かの地にテゼレット/Tezzereがいるという知らせが入った。 ギデオンとジェイスは直ちに向かい、テゼレットが現地の領事府に入り込んでいることを知ると、ピア・ナラーが率いる改革派に手を貸すことになった。 ギデオンは自分達の正義を他の次元に押し付けるようなこの戦いに疑問を抱いていたが、ひとまずチャンドラのために戦うのだと自らを納得させた。 領事府との戦いはチャンドラに過去の行いを突き付けたが、ギデオンは戸惑い苦しむチャンドラに献身的に寄り添った。 自ら飛行機に乗って次元橋を破壊しに向かうと主張するチャンドラの決意を察し、彼女を守るべくギデオンは同行を申し出た。 神聖術をまといながら2人は突入し、次元橋を破壊してテゼレットをプレインズウォークで逃走させた。 争いが集結するとゲートウォッチは新たにアジャニ/Ajaniを受け入れた。 アジャニはいったんニコル・ボーラス/Nicol Bolasと闘うための仲間を集めることを提案したが、ギデオンは内心で一刻も早くボーラスを叩こうとその所在であるアモンケット/Amonkhetに向かうことを計画していた。

アモンケット・ブロック

アモンケットに辿り着いたゲートウォッチはゾンビの群れや巨大なワームに襲われるが、神々しい存在が介入してワームを倒す様をギデオンは目撃した。 ナクタムン/Naktamunに辿り着きオケチラ/Oketraに対面したギデオンは、オケチラが愛に満ちた神なのだと瞬時に悟った。 ギデオンはこの次元について学びたいと願い、バントゥ/Bontuが定める試練に挑むこととなった。 だが仲間の命をもためらいなく捨てなければ先に進めないその試練にギデオンは疑問を抱き、最終的に仲間同士で殺し合う様子にギデオンは怒りに燃えてバントゥと対峙する。 アモンケット=経歴==

覚醒前

故郷のテーロスでは、ギデオン・ジュラはキテオン・イオラ/Kytheon Ioraという名の少年だった。父の顔を知らず育ち、幼くして母とも死に別れた彼は、正義感が強く喧嘩も強いが、礼儀知らずで未熟な少年だった。彼は同じような境遇の子供たちを集めたキテオンの不正規軍/Kytheon's Irregularsという義賊を率いていた。13歳の時、彼は盗みのため牢に繋がれることになったが、その看守であったヒクサス/Hixusに才能を見出され彼に師事することとなった。当初キテオンは抵抗したが、数度脱走を試みた後にヒクサスとの鍛錬を受け入れた。キテオンはヒクサスから神聖術と自制心、そして戦況を見抜き支配するすべを学んだ。

4年間ヒクサスの牢獄の中で修行した彼はある日、ハーピーの群れに突如襲撃されたアクロスを守ることを条件として放免された。彼はヒクサスや他の囚人と共にハーピーと戦い多くをしとめた。だが、さらに複数のサイクロプスが城壁に迫っていた。キテオンは彼の非正規軍と合流し、敢えて城門の外でサイクロプスと戦い、非正規軍とともにこれを打ち倒した。この時の彼の大胆不敵な戦術は後年にも伝わっている

戦いの後、太陽のヘリオッド/Heliodが彼の前に現れた。ヘリオッドは彼の戦士としての価値を認め、勇者の試練とそれを果たすための太陽の槍を与えた。彼の試練とは、死の神エレボス/Erebosが放った恐るべき巨人を倒すことだった。彼は巨人をおびき寄せ、非正規軍とともに巨人と戦い、太陽の槍でもってとどめを刺した。その時、地平線の向こうからエレボス自身が姿を現した。キテオンは自信に満ちていた。彼は死の神に報いを与えようと、太陽の槍を放った。神はを振るい、槍を彼へと跳ね返した。身構えた彼の視界が真っ白に染まった。視界を取り戻した時、キテオンは周囲の非正規軍の変わり果てた姿を見た。後悔と苦痛に震える彼のプレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkが点り、彼はバント/Bantへとプレインズウォークした。バント/Bantで目を覚ましたとき、周囲には巡礼の道の騎士長、ムーキル率いる一団が居り、名を尋ねられる。「キテオン」と息を詰まらせながら答えたところ、ムーキルは「ギデオン?」と聞き返した。

  • ギデオン自身は、この時期のことは特に話したがらないようだ。
  • 小説「The Purifying Fire」やそれを原作にした「燃え尽きぬ炎」の作中でもこれらの出自は言及されていた(なお、両作品で語られた出自には微妙な相違がある)。しかし故郷の名や灯が点った時の詳細についてはマジック・オリジンまでは語られていなかった。

The Purifying Fire(燃え尽きぬ炎)

レガーサ/Regathaに滞在していたギデオンは、レガーサ次元の全域に法と秩序をもたらそうとするヘリウド騎士団/Order of Heliudに仕えていた。彼は騎士団の指導者ウォルバート3世/Walbert IIIの依頼によりケラル砦/Keral Keepに滞在するプレインズウォーカー/Planeswalkerチャンドラ・ナラー/Chandra Nalaarを追うこととなった。

ギデオンはチャンドラを追ってケファライ/Kephalai、そしてディラデン/Diradenへとプレインズウォークした。当初彼はチャンドラのことを単なる危険人物と考えていたが、ディラデンで彼女と共闘し、また過去の一端を知ったことで彼女への感情は変化していった。

ディラデンを脱出し2人してレガーサに帰還した所で、彼は正体と己の任務を明かした。彼はチャンドラにレガーサを離れるよう忠告したが、彼女は受け入れなかった。数日後、彼女はケラル砦を守るために自ら騎士団に投降してきた。そこでウォルババートは彼らに初めて真意を明かした。遂に長年の予見が成就する、今日プレインズウォーカーの紅蓮術士は浄化の炎/The Purifying Fireに投じられ魔力を永遠に失い、以降レガーサが混沌と災厄に苛まれることはなくなると。彼女を助けようと、ギデオンは浄化の炎について知り得たことを教えた。浄化の炎は魂の罪を清める、もし穢れのない魂をもって浄化の炎の中に入るのならば、無事に出られるかもしれないと。彼は彼女が過去の罪悪感と向き合うために、ディラデンで見た悪夢について話すように促した。話を終え、吹っ切れたチャンドラは自ら浄化の炎の中へと入った。彼女の願いでその場を離れていたギデオンが現場に着いた時、チャンドラの紅蓮術によりウォルバートとその場にいた騎士団の人間は焼き殺され灰と化していた。愕然としたギデオンは彼女を責めたが、戦うことは出来なかった。一旦レガーサを去るチャンドラに、ギデオンはまた会おうと言った。

エルドラージ覚醒

レガーサでの決別を後悔したギデオンは再び、今度は一度共闘した友人としてチャンドラを追う。向かうは星の聖域の巻物が示す次元、ゼンディカー/Zendikarである。しかし、そこでは多元宇宙/Multiverseを揺るがす恐るべき捕食者、エルドラージ/Eldraziが復活しようとしていた。

ケフ砦の戦い/The Battle of Fort Keff

ついに復活したエルドラージ。砦の人々の抵抗も全く意に介さない眷属落とし子の群れを相手に、ギデオンは一人立ち向かう。ギデオンとケフ砦の住人は辛くも勝利するが、地平線には新たな、そして遥かに強大なエルドラージ、エムラクール/Emrakulの姿が。

ギデオンは住民の避難を済ませてからラヴニカ/Ravnicaに向かった。彼一人では対処できない敵、それに立ち向かえる組織を耳にしたことがあったのだ。

  • 翻訳記事では「ラヴニカを訪れて組織を見つけ、ゼンディカーへと戻ってまた去った」ように書かれているが、誤訳。

ギルド門侵犯

ラヴニカに到着したギデオンはたまたまボロス軍/Boros Legionの一旅団をラクドス教団/The Cult of Rakdosの待ち伏せから救ったことにより、オレリア/Aureliaにボロスの大隊の指揮とギルド間の抗争に巻き込まれる無辜の人々を共に救うことを依頼される。ゼンディカーが超次元的な危機に晒されていることを知りながらも自分を必要としている目の前の人々を見過ごすことが出来なかったギデオンは、ボロスへの参加については保留しつつもオレリアへの協力を承諾する。

ドラゴンの迷路

ギデオンはタージク/Tajicとボロスの部隊を率い、第9地区にてグルール一族/The Gruul Clansとラクドスの軍勢を迎え撃つ。よく訓練された勇猛果敢なボロスの兵士たちと共に戦うことは、ギデオンにこれまでにない喜びを与えていた。しかし、プレインズウォーカーである彼の助力を求める人々は他の場所にいた。彼はオレリアに暇乞いをすると、彼女は寛容にもそれを受け入れ、いつでも歓迎すると伝えた。ギデオンはオレリアのカリスマ性に気圧されながらもサンホーム/Sunhomeを去った。

しかし、彼は平和の名の下に犠牲を厭わないオレリアへの不信と反発をも示しており、ギルドとの縁切り/Renounce the Guildsを決断している。どのような経緯でそこに至ったのかは明らかにされていない。

「平和の名のもとに多くの人々が命を落とすことになる。それがあなたの言う和解というものか?」
ギデオン・ジュラからオレリアへ

限界点/Limits

昼はゼンディカー、夜はラヴニカ。ギデオンの毎日は苛酷を極めていた。

彼はゼンディカーでムンダ/Mundaタズリ/Tazri、そして集結した同盟者たちとともにエルドラージ撃退の鍵を握る海門/Sea Gateを防衛するための戦いを繰り広げていたが、それだけに専念することはできなかった。ラヴニカで勃発したゴブリンのギャング団であるクレンコ/Krenko破砕団の兄弟/The Shattergang Brothersの抗争により、ギルドの庇護下にない者たちに被害が及んでいるのを見過ごすことはできなかったからである。エルドラージとの攻防戦と無法地帯の取り締りを繰り返す毎日。肉体は限界に達しようとしていた。

こうした中ゼンディカーでは大群の攻勢の前についに海門の陥落が必至となる。力線の研究家に同行していたマーフォークジョリー・エン/Jori Enを救出しヴォリク/Vorik司令官の宿営地へ避難を促すとラヴニカに向かう。彼は悟った、ただエルドラージを倒し続けているだけでは問題は解決しない、海門の灯台/The Lighthouseの学者たちが研究していた「力線の謎」を解明することが必要であると。この問題を解決するための専門家の心当たりはあった。ジェイス・ベレレン/Jace Beleren。ラヴニカの迷路の謎を解明した「生けるギルドパクト」である。

巻き返し/Catching Up

ギデオンはジェイスがリリアナ・ヴェス/Liliana Vessと第二地区の高級料理店ミレーナ/Milenaで会食している所に乗り込む。今はギルドパクトとしての勤務時間外であるというジェイスに対し、ギデオンはゼンディカーの海門が陥落したこと、エルドラージへの対策となる「力線の謎」の解明にはジェイスの協力が必要であると告げる。エルドラージの開放に責任を感じているジェイスは協力を約束する。会話の邪魔をされたリリアナは席を立ち、エルドラージとの戦いに協力してほしいというジェイスからの要請も断り去っていった。急ぐギデオンに対しジェイスは、自分は仕事の引継ぎのため明日の朝まではラヴニカを離れられないこと、ギデオンには休息が必要であることを告げ、癒し手の所へ案内した。

炎への献身/Offers to the Fire

ギデオンはジェイスと共にレガーサのケラル砦を訪れ、チャンドラにエルドラージと戦うための協力を要請する。彼女は迷うが、打診されていたケラルの修道士長就任の求めに応じるためこれを断った。

隠れ家での殺戮/Slaughter at the Refuge

ジェイスを連れてゼンディカーに戻ったギデオンは同盟者の宿営地である峡谷に到着したが、ヴォリク司令官は新たな避難場所の探索に出ていて不在であり、またここへ避難するように呼び掛けたジョリー・エンもいまだに到着していないようであった。ギデオンは峡谷の入り口に立ちはだかりエルドラージから残存者たちを死守してたがこの地はもはや長く持たないと思われた。帰還したヴォリクやタズリと合流し別の地への撤退を検討する中、ギデオンは徒歩ではなく崖を登り宙に浮かぶ面晶体を伝って避難することを提案する。一行は面晶体の上を這い縄を渡ってやがて巨大な面晶体の上にたどり着く。しばらくは安全そうなその場所を新たな野営地とすると、ギデオンは行方不明のジョリー・エンの捜索へと向かう。

声なき叫び/The Silent Cry

ギデオンは巨大なエルドラージに襲われている集団を発見し救出する。それは捜していたジョリー・エンと数人のコー、そして一人のエルフだった。野営地まで連れて帰るとそのエルフ、ニッサ・レヴェイン/Nissa Revaneは自分もまたプレインズウォーカーであることを明かしギデオンを驚かせた。

信者達の巡礼/The Believers' Pilgrimage

ギデオンはジェイスにジョリー・エンを引き合わせ、二人は情報交換を済ませると面晶体の性質を探るためにウギンの目/The Eye of Uginに向かう。また出会ったばかりのニッサも何か大切な事情を抱えているらしく何も言わないまま立ち去ってしまった。ギデオンは野営地に残り避難民たちの守備に専念する。

空岩の生存者/The Survivors of Sky Rock

一時的な安息を得た同盟者たちであったが、司令官のヴォリクやタズリとギデオンの間で今後の方針についての見解の相違が発生していた。ヴォリクは負傷とエルドラージの荒廃がもたらした病によって余命幾ばくもなく、その限られた時間を使って避難民をさらに安全な場所まで導くことを望んでおり、オンドゥ/Ondu大陸のズーラポート/Zulaportまで退くつもりでいた。それに対しギデオンはこの地に留まってジェイスたちが帰還するのを待ち、エルドラージを撃退するための方策を得ることこそが重要であると提案していたからである。タズリはギデオンが他の世界から来た人間であることに以前から感づいていた。そのためギデオンのここゼンディカーへの責任感がどの程度のものかを疑問視しており、あなたにここの人々を危険に晒す権利などないと言い放つ。

そうした中でギデオンは、エルドラージから追われている新たな避難民の一団を救出する。そして野営地に連れ帰った彼らの口から世界中にある噂が広まっていることを聞く。海門こそがゼンディカーに残された唯一の希望の象徴であり、世界各地からあらゆる種族がこの地を目指して移動を始めたと。しかし海門はすでに陥落し、ゼンディカー人たちはもはや存在しない避難所を目指しているということになる。たどり着いてからその事実を知り絶望する避難民の姿を見てギデオンはあることを心に決める。

それから間もなくして、ギデオンとタズリは病床で死の淵にあるヴォリクに呼び出される。司令官にズーラポートへの撤退計画を説明するタズリ。それに対してギデオンは驚きの案、海門に戻り戦ってその地を取り戻すことを提示する。もはやゼンディカーに避難するところなどない、立ち向かうべきだと。ギデオンとタズリ、両者の意見は平行線をたどりしばらく口論が続くが、しばらくしてヴォリクは言い争う二人を一喝すると海門の奪回を支持しギデオンを新たな司令官に任命し亡くなった。葬儀の後ギデオンは避難民たちに今後の方針を告げ皆を鼓舞した。今後は逃げることをやめ抵抗することを選ぶ。まず海門を奪還し、最終的にはゼンディカーそのものを取り戻すと。そしてタズリの目を見据えると、最後までこの地を去らずゼンディカーのために戦うことを誓い、ついに彼女の信頼を勝ち得るのだった。

血の記憶/Memories of Blood

ギデオンは世界各地の生存者に対して抵抗勢力の集結を呼び掛けるための使者を送る。吸血鬼/Vampireの住む大陸グール・ドラズ/Guul Drazにはエンキンディ/Enkindiが率いるコーの帆凧部隊を派遣した。彼らは淀みの種父/Sire of Stagnationとの戦いで全滅してしまうが、吸血鬼の長ドラーナ/Dranaはギデオンに興味を抱き、その呼び掛けに応じて同盟者に合流することを決断し海門に向けて出発する。

軍勢の形成/Shaping an Army

珊瑚兜/Coralhelmのマーフォークの乱動魔導士の元へは、ギデオン自らが帆凧に乗って交渉に赴いた。まずリーダーのノヤン・ダール/Noyan Darと会談するが最初は同盟の要請を断られる。その後演習を見たギデオンは彼らの実力を訝しむ言葉を口にし険悪な雰囲気になるが、エルドラージの掃討に同行し実戦で共闘することによりお互いの実力を認め合い、同盟者に加わる約束を取り付けた。

海門の解放/The Liberation of Sea Gate

ゼンディカー各地から様々な種族の生き残りが日に日に集結していき、宿営地は面晶体の上だけでは足りず周囲に広がるまでになった。当初は避難民でしかなかったそれは、今では紛れもなくゼンディカー軍であった。ついに反撃の時は訪れ、ギデオンは軍の先頭に立ち海門に向けて突撃を開始する。しかし初戦は手痛い敗北を喫し結局元の野営地まで撤退することになってしまう。この戦況に納得のいかないギデオンは、なにを誤ったのか敗走の理由をムンダやタズリに問う。それに対しタズリは厳しい指摘をする。あなたは自分の力を中心に考えすぎ軍を過信をしている、一人一人がギデオン自身のように不死身の肉体と不屈の闘志を持つならこの戦い方でもいいが、実際のゼンディカー軍は千人のギデオンなわけではないと。一兵卒ではなく司令官としての責務を果たさないといけないことを痛感したギデオンは、数日かけて攻撃計画の練り直しをすることになった。

そして再進撃の日、今回は兵一人一人それぞれできることをギデオンは把握し能力に応じて適材適所に配置した。前線は完全に統制されており無秩序に迫るエルドラージを効果的に倒していった。さらに午後になると外海から巨大海洋生物の群れが現れ海棲エルドラージを倒しながら海門に接近するのが確認された。その日は海門の灯台が目に入るところまで攻め入り、日が暮れると前線はドラーナ率いる吸血鬼の軍と入れ替わりギデオンの軍は夜営をして休息を取り次の日の戦いに備えた。初日の戦果は上出来の結果に終わった。

二日目、軍は海門の城壁近くまで進撃するがそこでギデオンはエルドラージとは別のもの、巨大なタコとその触手の先に座るマーフォークの女性に遭遇する。昨日目撃した海洋生物の群れの主、キオーラ/Kioraであった。そして会談中に彼女の口からタッサ/Thassa、かつてギデオンがいた次元の神の名前が出てきて彼は驚いた。彼女もまたプレインズウォーカーだった。キオーラの軍勢が両翼を固めてくれたためギデオンは海門攻撃に集中することができたが、城壁内から絶え間なく湧き出てくるエルドラージに苦戦し、夜になると数が少ない吸血鬼たちだけでは攻勢をしのぐことはできず陣は押し戻された。

困難な夜が明け三日目も苦戦を強いられたが、昼にはついに城壁までたどり着いた。四日目にギデオンは城内に突入し残るエルドラージの掃討を始めるが、障害物の多い街路では軍略の通用しない乱戦になり苦戦を強いられていた。その時突如として木や岩が動き出しエルドラージを打ち据え始めた。ニッサがエレメンタルの群れ、ゼンディカーそのものを引き連れて帰ってきたのであった。ゼンディカー軍は優勢となり五日目の昼には戦いは終わった。ついに海門を取り戻し、ギデオンが灯台の指揮官を集めて今後の方針を練ろうとしていたその時に騒ぎが起こった。窓から外を見るとジョリー・エンがなにかを叫びながら帰還するのが見えた。灯台を降りて迎えに出たギデオンに対し彼女は警告の言葉を繰り返した。

「ウラモグが来る!」

面晶体の連結/Hedron Alignment

海門を奪還したギデオンたちのもとに、ジョリー・エンがウラモグ襲来の凶報を携えてやってきた。避けられぬ災厄との衝突を前に、戦う者と撤退する者とで意見が割れ、困窮する司令官ギデオン。しかしそこへ、面晶体の調査を終えたジェイスが帰投する。 あるものは地中から、あるものは海上から、各地に散在する面晶体を海門へと引き集め、ジェイスの指示の下ゼンディカー軍はウラモグを拘束するための罠を作った。絶え間なき飢餓の化身が急造のリングへと突入すると、ギデオンは単身ウラモグに立ち向かい、光の輪がその巨体を絡め取るまでの時間を稼ぎ続けた。

ついに面晶体は連結し、ウラモグは上陸寸前で身動きを封じられた。こうなれば、この久遠の闇の住人を滅殺する策はいくらでも講じられる。海門全体が勝利に湧く中、斥候イービは陽光をさえぎる一つの影を見た。 ゼンディカーがその身に封じていた、もう一つの巨悪。オブ・ニクシリス/Ob Nixilisが、今まさに灯の再覚醒を成し遂げんとしていた。

ゲートウォッチの誓い

何千年もの間ゼンディカー次元に捕らわれていたニクシリスは、同じ苦しみを味わわせようと自身が捕えたニッサ、ジェイス、ギデオンを苛んでいたが、ひそかに追いかけてきたチャンドラによって3人は解放される。 3人はチャンドラと共にニクシリスへと立ち向かい、ニクシリスを逃走に至らしめた。 4人は荒廃した風景を目の当たりにし、彼方の空には2体の巨人がそびえていた。他の3人は絶望に飲み込まれかけるが、ギデオンの言葉によって立ち直った。 ウギンの助言を元にジェイスが作戦を立て、それが実行された。ギデオンが落とし子の群れから皆を守る中、ニッサが力線を操り、巨人を縛り付けてその姿をゼンディカーへと完全に引き込んだ。 ニッサがチャンドラへと力線のマナを流し込むと、ウラモグとコジレックは焼き尽くされた。

イニストラード・ブロック

やがてエムラクールがイニストラードにいるとの報告がジェイスから入り、ゲートウォッチの3人は共に向かった。 イニストラードでの力線を思うように使いこなせない中、リリアナ・ヴェス/Liliana Vessが思わぬ形で助力に現れた。 ギデオンはラヴニカでリリアナと会ったことがあり、ジェイスと何らかの関係のある女性ということは知っていた。ギデオンとしては不本意だが、不浄の軍勢であるリリアナ達と共闘することとなった。 さらにタミヨウ/Tamiyoの協力も加わり、ゲートウォッチはエムラクールをイニストラードの銀の月へと封印した。 戦いの後、ジェイスの願いからギデオンはリリアナをゲートウォッチに迎い入れることを了承した。屍術や鎖のヴェールを使わせずにいられるのであれば多元宇宙全体にとっても良いことだろうというのがギデオンの考えであった。

カラデシュ・ブロック

イニストラードでのエムラクールとの交戦から数ヶ月後、チャンドラと共にカラデシュ/Kaladeshへ向かっていたリリアナから、かの地にテゼレット/Tezzeretがいるという知らせが入った。 ギデオンとジェイスは直ちに向かい、テゼレットが現地の領事府に入り込んでいることを知ると、ピア・ナラーが率いる改革派に手を貸すことになった。 ギデオンは自分達の正義を他の次元に押し付けるようなこの戦いに疑問を抱いていたが、ひとまずチャンドラのために戦うのだと自らを納得させた。 領事府との戦いはチャンドラに過去の行いを突き付けたが、ギデオンは戸惑い苦しむチャンドラに献身的に寄り添った。 自ら飛行機に乗って次元橋を破壊しに向かうと主張するチャンドラの決意を察し、彼女を守るべくギデオンは同行を申し出た。神聖術をまといながら2人は突入し、次元橋を破壊してテゼレットをプレインズウォークで逃走させた。 争いが集結するとゲートウォッチは新たにアジャニ/Ajaniを受け入れた。 アジャニはいったんニコル・ボーラス/Nicol Bolasと闘うための仲間を集めることを提案したが、ギデオンは内心で一刻も早くボーラスを叩こうとその所在であるアモンケット/Amonkhetに向かうことを計画していた。

アモンケット・ブロック

アモンケットに辿り着いたゲートウォッチはゾンビの群れや巨大なワームに襲われるが、神々しい存在が介入してワームを倒す様をギデオンは目撃した。 ナクタムン/Naktamunに辿り着きオケチラ/Oketraに対面したギデオンは、オケチラが愛に満ちた神なのだと瞬時に悟った。 ギデオンはこの次元について学びたいと願い、バントゥ/Bontuが定める試練に挑むこととなった。 だが仲間の命をもためらいなく捨てなければ先に進めないその試練にギデオンは疑問を抱き、最終的に仲間同士で殺し合う様子にギデオンは怒りに燃えてバントゥと対峙する。 アモンケットという次元を理解できないまま怒りと迷いの内に去ったギデオンはゲートウォッチと合流するが、すぐにハゾレト/Hazoretによる最後の試練に呼ばれた。 戦いが終わり、栄光ある死はデジェル/Djeruが賜ることになったが、ギデオンは神の二又槍からデジェルを守った。 そして来世への門/Gate to the Afterlifeの門からラザケシュ/Razakethが現れ、ゲートウォッチは力を合わせてそれを退けるが、このためにリリアナに利用されたのではないかと彼らは疑問を抱き始める。 王神、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, God-Pharaohが帰還し、街と人々を蹂躙した。ゲートウォッチもボーラスには敵わず、ギデオンは命からがらドミナリア/Dominariaへと逃走した。

ドミナリア

敗走したゲートウォッチの各人はリリアナへと疑いの目を向け、ニッサとチャンドラが離脱した。 リリアナと共に取り残された手負いのギデオンはかつてのリリアナの故郷へと向かった。手当てを受けると陰謀団/The Cabalがドミナリアに手を伸ばしていること、ジョス・ヴェス/Josu Vessがゾンビとなって使役されていることを聞かされた。 ギデオンはリリアナが契約を解消して全力を使えるようになることが不可欠と考え、協力を了承した。 2人は新生ウェザーライトに乗って陰謀団とベルゼンロックの退治に加わった。遅れてきたチャンドラも加わり、要塞の宝物庫から再鍛の黒き剣/Blackblade Reforgedを手に入れ、それを用いてベルゼンロックを倒すことに成功。 ゲートウォッチはテフェリー/Teferiを新たに加え、ヤヤ・バラード/Jaya Ballardカーン/Karnも協力を申し出た。しかりリリアナはボーラスの命令によりドミナリアを去った

灯争大戦

次元間の標/Interplanar Beaconに呼び寄せられた何十人何百人というプレインズウォーカー、開いた次元橋/Planar Bridgeによりアモンケットから押し寄せた永遠衆/Eternalがラヴニカで殺戮を開始した。 ギデオンは永遠衆を操るリリアナの姿を確認したが、その顔は鎖のヴェールに隠され、感情をうかがい知ることはできなかった。 ゲートウォッチはプレインズウォーカーやギルドの代表者らに呼びかけ、作戦会議を開いた。ギデオンは「この惨状はプレインズウォーカーがもたらしたもの」という辛辣な言葉を受け止め、その上で「あらゆる世界のために戦うことが、灯を持つ者のしめいなのだ」と皆へ呼び掛けた。 ==

覚醒前

故郷のテーロスでは、ギデオン・ジュラはキテオン・イオラ/Kytheon Ioraという名の少年だった。父の顔を知らず育ち、幼くして母とも死に別れた彼は、正義感が強く喧嘩も強いが、礼儀知らずで未熟な少年だった。彼は同じような境遇の子供たちを集めたキテオンの不正規軍/Kytheon's Irregularsという義賊を率いていた。13歳の時、彼は盗みのため牢に繋がれることになったが、その看守であったヒクサス/Hixusに才能を見出され彼に師事することとなった。当初キテオンは抵抗したが、数度脱走を試みた後にヒクサスとの鍛錬を受け入れた。キテオンはヒクサスから神聖術と自制心、そして戦況を見抜き支配するすべを学んだ。

4年間ヒクサスの牢獄の中で修行した彼はある日、ハーピーの群れに突如襲撃されたアクロスを守ることを条件として放免された。彼はヒクサスや他の囚人と共にハーピーと戦い多くをしとめた。だが、さらに複数のサイクロプスが城壁に迫っていた。キテオンは彼の非正規軍と合流し、敢えて城門の外でサイクロプスと戦い、非正規軍とともにこれを打ち倒した。この時の彼の大胆不敵な戦術は後年にも伝わっている

戦いの後、太陽のヘリオッド/Heliodが彼の前に現れた。ヘリオッドは彼の戦士としての価値を認め、勇者の試練とそれを果たすための太陽の槍を与えた。彼の試練とは、死の神エレボス/Erebosが放った恐るべき巨人を倒すことだった。彼は巨人をおびき寄せ、非正規軍とともに巨人と戦い、太陽の槍でもってとどめを刺した。その時、地平線の向こうからエレボス自身が姿を現した。キテオンは自信に満ちていた。彼は死の神に報いを与えようと、太陽の槍を放った。神はを振るい、槍を彼へと跳ね返した。身構えた彼の視界が真っ白に染まった。視界を取り戻した時、キテオンは周囲の非正規軍の変わり果てた姿を見た。後悔と苦痛に震える彼のプレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkが点り、彼はバント/Bantへとプレインズウォークした。バント/Bantで目を覚ましたとき、周囲には巡礼の道の騎士長、ムーキル率いる一団が居り、名を尋ねられる。「キテオン」と息を詰まらせながら答えたところ、ムーキルは「ギデオン?」と聞き返した。

  • ギデオン自身は、この時期のことは特に話したがらないようだ。
  • 小説「The Purifying Fire」やそれを原作にした「燃え尽きぬ炎」の作中でもこれらの出自は言及されていた(なお、両作品で語られた出自には微妙な相違がある)。しかし故郷の名や灯が点った時の詳細についてはマジック・オリジンまでは語られていなかった。

The Purifying Fire(燃え尽きぬ炎)

レガーサ/Regathaに滞在していたギデオンは、レガーサ次元の全域に法と秩序をもたらそうとするヘリウド騎士団/Order of Heliudに仕えていた。彼は騎士団の指導者ウォルバート3世/Walbert IIIの依頼によりケラル砦/Keral Keepに滞在するプレインズウォーカー/Planeswalkerチャンドラ・ナラー/Chandra Nalaarを追うこととなった。

ギデオンはチャンドラを追ってケファライ/Kephalai、そしてディラデン/Diradenへとプレインズウォークした。当初彼はチャンドラのことを単なる危険人物と考えていたが、ディラデンで彼女と共闘し、また過去の一端を知ったことで彼女への感情は変化していった。

ディラデンを脱出し2人してレガーサに帰還した所で、彼は正体と己の任務を明かした。彼はチャンドラにレガーサを離れるよう忠告したが、彼女は受け入れなかった。数日後、彼女はケラル砦を守るために自ら騎士団に投降してきた。そこでウォルババートは彼らに初めて真意を明かした。遂に長年の予見が成就する、今日プレインズウォーカーの紅蓮術士は浄化の炎/The Purifying Fireに投じられ魔力を永遠に失い、以降レガーサが混沌と災厄に苛まれることはなくなると。彼女を助けようと、ギデオンは浄化の炎について知り得たことを教えた。浄化の炎は魂の罪を清める、もし穢れのない魂をもって浄化の炎の中に入るのならば、無事に出られるかもしれないと。彼は彼女が過去の罪悪感と向き合うために、ディラデンで見た悪夢について話すように促した。話を終え、吹っ切れたチャンドラは自ら浄化の炎の中へと入った。彼女の願いでその場を離れていたギデオンが現場に着いた時、チャンドラの紅蓮術によりウォルバートとその場にいた騎士団の人間は焼き殺され灰と化していた。愕然としたギデオンは彼女を責めたが、戦うことは出来なかった。一旦レガーサを去るチャンドラに、ギデオンはまた会おうと言った。

エルドラージ覚醒

レガーサでの決別を後悔したギデオンは再び、今度は一度共闘した友人としてチャンドラを追う。向かうは星の聖域の巻物が示す次元、ゼンディカー/Zendikarである。しかし、そこでは多元宇宙/Multiverseを揺るがす恐るべき捕食者、エルドラージ/Eldraziが復活しようとしていた。

ケフ砦の戦い/The Battle of Fort Keff

ついに復活したエルドラージ。砦の人々の抵抗も全く意に介さない眷属落とし子の群れを相手に、ギデオンは一人立ち向かう。ギデオンとケフ砦の住人は辛くも勝利するが、地平線には新たな、そして遥かに強大なエルドラージ、エムラクール/Emrakulの姿が。

ギデオンは住民の避難を済ませてからラヴニカ/Ravnicaに向かった。彼一人では対処できない敵、それに立ち向かえる組織を耳にしたことがあったのだ。

  • 翻訳記事では「ラヴニカを訪れて組織を見つけ、ゼンディカーへと戻ってまた去った」ように書かれているが、誤訳。

ギルド門侵犯

ラヴニカに到着したギデオンはたまたまボロス軍/Boros Legionの一旅団をラクドス教団/The Cult of Rakdosの待ち伏せから救ったことにより、オレリア/Aureliaにボロスの大隊の指揮とギルド間の抗争に巻き込まれる無辜の人々を共に救うことを依頼される。ゼンディカーが超次元的な危機に晒されていることを知りながらも自分を必要としている目の前の人々を見過ごすことが出来なかったギデオンは、ボロスへの参加については保留しつつもオレリアへの協力を承諾する。

ドラゴンの迷路

ギデオンはタージク/Tajicとボロスの部隊を率い、第9地区にてグルール一族/The Gruul Clansとラクドスの軍勢を迎え撃つ。よく訓練された勇猛果敢なボロスの兵士たちと共に戦うことは、ギデオンにこれまでにない喜びを与えていた。しかし、プレインズウォーカーである彼の助力を求める人々は他の場所にいた。彼はオレリアに暇乞いをすると、彼女は寛容にもそれを受け入れ、いつでも歓迎すると伝えた。ギデオンはオレリアのカリスマ性に気圧されながらもサンホーム/Sunhomeを去った。

しかし、彼は平和の名の下に犠牲を厭わないオレリアへの不信と反発をも示しており、ギルドとの縁切り/Renounce the Guildsを決断している。どのような経緯でそこに至ったのかは明らかにされていない。

「平和の名のもとに多くの人々が命を落とすことになる。それがあなたの言う和解というものか?」
ギデオン・ジュラからオレリアへ

限界点/Limits

昼はゼンディカー、夜はラヴニカ。ギデオンの毎日は苛酷を極めていた。

彼はゼンディカーでムンダ/Mundaタズリ/Tazri、そして集結した同盟者たちとともにエルドラージ撃退の鍵を握る海門/Sea Gateを防衛するための戦いを繰り広げていたが、それだけに専念することはできなかった。ラヴニカで勃発したゴブリンのギャング団であるクレンコ/Krenko破砕団の兄弟/The Shattergang Brothersの抗争により、ギルドの庇護下にない者たちに被害が及んでいるのを見過ごすことはできなかったからである。エルドラージとの攻防戦と無法地帯の取り締りを繰り返す毎日。肉体は限界に達しようとしていた。

こうした中ゼンディカーでは大群の攻勢の前についに海門の陥落が必至となる。力線の研究家に同行していたマーフォークジョリー・エン/Jori Enを救出しヴォリク/Vorik司令官の宿営地へ避難を促すとラヴニカに向かう。彼は悟った、ただエルドラージを倒し続けているだけでは問題は解決しない、海門の灯台/The Lighthouseの学者たちが研究していた「力線の謎」を解明することが必要であると。この問題を解決するための専門家の心当たりはあった。ジェイス・ベレレン/Jace Beleren。ラヴニカの迷路の謎を解明した「生けるギルドパクト」である。

巻き返し/Catching Up

ギデオンはジェイスがリリアナ・ヴェス/Liliana Vessと第二地区の高級料理店ミレーナ/Milenaで会食している所に乗り込む。今はギルドパクトとしての勤務時間外であるというジェイスに対し、ギデオンはゼンディカーの海門が陥落したこと、エルドラージへの対策となる「力線の謎」の解明にはジェイスの協力が必要であると告げる。エルドラージの開放に責任を感じているジェイスは協力を約束する。会話の邪魔をされたリリアナは席を立ち、エルドラージとの戦いに協力してほしいというジェイスからの要請も断り去っていった。急ぐギデオンに対しジェイスは、自分は仕事の引継ぎのため明日の朝まではラヴニカを離れられないこと、ギデオンには休息が必要であることを告げ、癒し手の所へ案内した。

炎への献身/Offers to the Fire

ギデオンはジェイスと共にレガーサのケラル砦を訪れ、チャンドラにエルドラージと戦うための協力を要請する。彼女は迷うが、打診されていたケラルの修道士長就任の求めに応じるためこれを断った。

隠れ家での殺戮/Slaughter at the Refuge

ジェイスを連れてゼンディカーに戻ったギデオンは同盟者の宿営地である峡谷に到着したが、ヴォリク司令官は新たな避難場所の探索に出ていて不在であり、またここへ避難するように呼び掛けたジョリー・エンもいまだに到着していないようであった。ギデオンは峡谷の入り口に立ちはだかりエルドラージから残存者たちを死守してたがこの地はもはや長く持たないと思われた。帰還したヴォリクやタズリと合流し別の地への撤退を検討する中、ギデオンは徒歩ではなく崖を登り宙に浮かぶ面晶体を伝って避難することを提案する。一行は面晶体の上を這い縄を渡ってやがて巨大な面晶体の上にたどり着く。しばらくは安全そうなその場所を新たな野営地とすると、ギデオンは行方不明のジョリー・エンの捜索へと向かう。

声なき叫び/The Silent Cry

ギデオンは巨大なエルドラージに襲われている集団を発見し救出する。それは捜していたジョリー・エンと数人のコー、そして一人のエルフだった。野営地まで連れて帰るとそのエルフ、ニッサ・レヴェイン/Nissa Revaneは自分もまたプレインズウォーカーであることを明かしギデオンを驚かせた。

信者達の巡礼/The Believers' Pilgrimage

ギデオンはジェイスにジョリー・エンを引き合わせ、二人は情報交換を済ませると面晶体の性質を探るためにウギンの目/The Eye of Uginに向かう。また出会ったばかりのニッサも何か大切な事情を抱えているらしく何も言わないまま立ち去ってしまった。ギデオンは野営地に残り避難民たちの守備に専念する。

空岩の生存者/The Survivors of Sky Rock

一時的な安息を得た同盟者たちであったが、司令官のヴォリクやタズリとギデオンの間で今後の方針についての見解の相違が発生していた。ヴォリクは負傷とエルドラージの荒廃がもたらした病によって余命幾ばくもなく、その限られた時間を使って避難民をさらに安全な場所まで導くことを望んでおり、オンドゥ/Ondu大陸のズーラポート/Zulaportまで退くつもりでいた。それに対しギデオンはこの地に留まってジェイスたちが帰還するのを待ち、エルドラージを撃退するための方策を得ることこそが重要であると提案していたからである。タズリはギデオンが他の世界から来た人間であることに以前から感づいていた。そのためギデオンのここゼンディカーへの責任感がどの程度のものかを疑問視しており、あなたにここの人々を危険に晒す権利などないと言い放つ。

そうした中でギデオンは、エルドラージから追われている新たな避難民の一団を救出する。そして野営地に連れ帰った彼らの口から世界中にある噂が広まっていることを聞く。海門こそがゼンディカーに残された唯一の希望の象徴であり、世界各地からあらゆる種族がこの地を目指して移動を始めたと。しかし海門はすでに陥落し、ゼンディカー人たちはもはや存在しない避難所を目指しているということになる。たどり着いてからその事実を知り絶望する避難民の姿を見てギデオンはあることを心に決める。

それから間もなくして、ギデオンとタズリは病床で死の淵にあるヴォリクに呼び出される。司令官にズーラポートへの撤退計画を説明するタズリ。それに対してギデオンは驚きの案、海門に戻り戦ってその地を取り戻すことを提示する。もはやゼンディカーに避難するところなどない、立ち向かうべきだと。ギデオンとタズリ、両者の意見は平行線をたどりしばらく口論が続くが、しばらくしてヴォリクは言い争う二人を一喝すると海門の奪回を支持しギデオンを新たな司令官に任命し亡くなった。葬儀の後ギデオンは避難民たちに今後の方針を告げ皆を鼓舞した。今後は逃げることをやめ抵抗することを選ぶ。まず海門を奪還し、最終的にはゼンディカーそのものを取り戻すと。そしてタズリの目を見据えると、最後までこの地を去らずゼンディカーのために戦うことを誓い、ついに彼女の信頼を勝ち得るのだった。

血の記憶/Memories of Blood

ギデオンは世界各地の生存者に対して抵抗勢力の集結を呼び掛けるための使者を送る。吸血鬼/Vampireの住む大陸グール・ドラズ/Guul Drazにはエンキンディ/Enkindiが率いるコーの帆凧部隊を派遣した。彼らは淀みの種父/Sire of Stagnationとの戦いで全滅してしまうが、吸血鬼の長ドラーナ/Dranaはギデオンに興味を抱き、その呼び掛けに応じて同盟者に合流することを決断し海門に向けて出発する。

軍勢の形成/Shaping an Army

珊瑚兜/Coralhelmのマーフォークの乱動魔導士の元へは、ギデオン自らが帆凧に乗って交渉に赴いた。まずリーダーのノヤン・ダール/Noyan Darと会談するが最初は同盟の要請を断られる。その後演習を見たギデオンは彼らの実力を訝しむ言葉を口にし険悪な雰囲気になるが、エルドラージの掃討に同行し実戦で共闘することによりお互いの実力を認め合い、同盟者に加わる約束を取り付けた。

海門の解放/The Liberation of Sea Gate

ゼンディカー各地から様々な種族の生き残りが日に日に集結していき、宿営地は面晶体の上だけでは足りず周囲に広がるまでになった。当初は避難民でしかなかったそれは、今では紛れもなくゼンディカー軍であった。ついに反撃の時は訪れ、ギデオンは軍の先頭に立ち海門に向けて突撃を開始する。しかし初戦は手痛い敗北を喫し結局元の野営地まで撤退することになってしまう。この戦況に納得のいかないギデオンは、なにを誤ったのか敗走の理由をムンダやタズリに問う。それに対しタズリは厳しい指摘をする。あなたは自分の力を中心に考えすぎ軍を過信をしている、一人一人がギデオン自身のように不死身の肉体と不屈の闘志を持つならこの戦い方でもいいが、実際のゼンディカー軍は千人のギデオンなわけではないと。一兵卒ではなく司令官としての責務を果たさないといけないことを痛感したギデオンは、数日かけて攻撃計画の練り直しをすることになった。

そして再進撃の日、今回は兵一人一人それぞれできることをギデオンは把握し能力に応じて適材適所に配置した。前線は完全に統制されており無秩序に迫るエルドラージを効果的に倒していった。さらに午後になると外海から巨大海洋生物の群れが現れ海棲エルドラージを倒しながら海門に接近するのが確認された。その日は海門の灯台が目に入るところまで攻め入り、日が暮れると前線はドラーナ率いる吸血鬼の軍と入れ替わりギデオンの軍は夜営をして休息を取り次の日の戦いに備えた。初日の戦果は上出来の結果に終わった。

二日目、軍は海門の城壁近くまで進撃するがそこでギデオンはエルドラージとは別のもの、巨大なタコとその触手の先に座るマーフォークの女性に遭遇する。昨日目撃した海洋生物の群れの主、キオーラ/Kioraであった。そして会談中に彼女の口からタッサ/Thassa、かつてギデオンがいた次元の神の名前が出てきて彼は驚いた。彼女もまたプレインズウォーカーだった。キオーラの軍勢が両翼を固めてくれたためギデオンは海門攻撃に集中することができたが、城壁内から絶え間なく湧き出てくるエルドラージに苦戦し、夜になると数が少ない吸血鬼たちだけでは攻勢をしのぐことはできず陣は押し戻された。

困難な夜が明け三日目も苦戦を強いられたが、昼にはついに城壁までたどり着いた。四日目にギデオンは城内に突入し残るエルドラージの掃討を始めるが、障害物の多い街路では軍略の通用しない乱戦になり苦戦を強いられていた。その時突如として木や岩が動き出しエルドラージを打ち据え始めた。ニッサがエレメンタルの群れ、ゼンディカーそのものを引き連れて帰ってきたのであった。ゼンディカー軍は優勢となり五日目の昼には戦いは終わった。ついに海門を取り戻し、ギデオンが灯台の指揮官を集めて今後の方針を練ろうとしていたその時に騒ぎが起こった。窓から外を見るとジョリー・エンがなにかを叫びながら帰還するのが見えた。灯台を降りて迎えに出たギデオンに対し彼女は警告の言葉を繰り返した。

「ウラモグが来る!」

面晶体の連結/Hedron Alignment

海門を奪還したギデオンたちのもとに、ジョリー・エンがウラモグ襲来の凶報を携えてやってきた。避けられぬ災厄との衝突を前に、戦う者と撤退する者とで意見が割れ、困窮する司令官ギデオン。しかしそこへ、面晶体の調査を終えたジェイスが帰投する。 あるものは地中から、あるものは海上から、各地に散在する面晶体を海門へと引き集め、ジェイスの指示の下ゼンディカー軍はウラモグを拘束するための罠を作った。絶え間なき飢餓の化身が急造のリングへと突入すると、ギデオンは単身ウラモグに立ち向かい、光の輪がその巨体を絡め取るまでの時間を稼ぎ続けた。

ついに面晶体は連結し、ウラモグは上陸寸前で身動きを封じられた。こうなれば、この久遠の闇の住人を滅殺する策はいくらでも講じられる。海門全体が勝利に湧く中、斥候イービは陽光をさえぎる一つの影を見た。 ゼンディカーがその身に封じていた、もう一つの巨悪。オブ・ニクシリス/Ob Nixilisが、今まさに灯の再覚醒を成し遂げんとしていた。

ゲートウォッチの誓い

何千年もの間ゼンディカー次元に捕らわれていたニクシリスは、同じ苦しみを味わわせようと自身が捕えたニッサ、ジェイス、ギデオンを苛んでいたが、ひそかに追いかけてきたチャンドラによって3人は解放される。 3人はチャンドラと共にニクシリスへと立ち向かい、ニクシリスを逃走に至らしめた。 4人は荒廃した風景を目の当たりにし、彼方の空には2体の巨人がそびえていた。他の3人は絶望に飲み込まれかけるが、ギデオンの言葉によって立ち直った。 ウギンの助言を元にジェイスが作戦を立て、それが実行された。ギデオンが落とし子の群れから皆を守る中、ニッサが力線を操り、巨人を縛り付けてその姿をゼンディカーへと完全に引き込んだ。 ニッサがチャンドラへと力線のマナを流し込むと、ウラモグとコジレックは焼き尽くされた。

イニストラード・ブロック

やがてエムラクールがイニストラードにいるとの報告がジェイスから入り、ゲートウォッチの3人は共に向かった。 イニストラードでの力線を思うように使いこなせない中、リリアナ・ヴェス/Liliana Vessが思わぬ形で助力に現れた。 ギデオンはラヴニカでリリアナと会ったことがあり、ジェイスと何らかの関係のある女性ということは知っていた。ギデオンとしては不本意だが、不浄の軍勢であるリリアナ達と共闘することとなった。 さらにタミヨウ/Tamiyoの協力も加わり、ゲートウォッチはエムラクールをイニストラードの銀の月へと封印した。 戦いの後、ジェイスの願いからギデオンはリリアナをゲートウォッチに迎い入れることを了承した。屍術や鎖のヴェールを使わせずにいられるのであれば多元宇宙全体にとっても良いことだろうというのがギデオンの考えであった。

カラデシュ・ブロック

イニストラードでのエムラクールとの交戦から数ヶ月後、チャンドラと共にカラデシュ/Kaladeshへ向かっていたリリアナから、かの地にテゼレット/Tezzereがいるという知らせが入った。 ギデオンとジェイスは直ちに向かい、テゼレットが現地の領事府に入り込んでいることを知ると、ピア・ナラーが率いる改革派に手を貸すことになった。 ギデオンは自分達の正義を他の次元に押し付けるようなこの戦いに疑問を抱いていたが、ひとまずチャンドラのために戦うのだと自らを納得させた。 領事府との戦いはチャンドラに過去の行いを突き付けたが、ギデオンは戸惑い苦しむチャンドラに献身的に寄り添った。 自ら飛行機に乗って次元橋を破壊しに向かうと主張するチャンドラの決意を察し、彼女を守るべくギデオンは同行を申し出た。 神聖術をまといながら2人は突入し、次元橋を破壊してテゼレットをプレインズウォークで逃走させた。 争いが集結するとゲートウォッチは新たにアジャニ/Ajaniを受け入れた。 アジャニはいったんニコル・ボーラス/Nicol Bolasと闘うための仲間を集めることを提案したが、ギデオンは内心で一刻も早くボーラスを叩こうとその所在であるアモンケット/Amonkhetに向かうことを計画していた。

アモンケット・ブロック

アモンケットに辿り着いたゲートウォッチはゾンビの群れや巨大なワームに襲われるが、神々しい存在が介入してワームを倒す様をギデオンは目撃した。 ナクタムン/Naktamunに辿り着きオケチラ/Oketraに対面したギデオンは、オケチラが愛に満ちた神なのだと瞬時に悟った。 ギデオンはこの次元について学びたいと願い、バントゥ/Bontuが定める試練に挑むこととなった。 だが仲間の命をもためらいなく捨てなければ先に進めないその試練にギデオンは疑問を抱き、最終的に仲間同士で殺し合う様子にギデオンは怒りに燃えてバントゥと対峙する。 アモンケット=経歴==

覚醒前

故郷のテーロスでは、ギデオン・ジュラはキテオン・イオラ/Kytheon Ioraという名の少年だった。父の顔を知らず育ち、幼くして母とも死に別れた彼は、正義感が強く喧嘩も強いが、礼儀知らずで未熟な少年だった。彼は同じような境遇の子供たちを集めたキテオンの不正規軍/Kytheon's Irregularsという義賊を率いていた。13歳の時、彼は盗みのため牢に繋がれることになったが、その看守であったヒクサス/Hixusに才能を見出され彼に師事することとなった。当初キテオンは抵抗したが、数度脱走を試みた後にヒクサスとの鍛錬を受け入れた。キテオンはヒクサスから神聖術と自制心、そして戦況を見抜き支配するすべを学んだ。

4年間ヒクサスの牢獄の中で修行した彼はある日、ハーピーの群れに突如襲撃されたアクロスを守ることを条件として放免された。彼はヒクサスや他の囚人と共にハーピーと戦い多くをしとめた。だが、さらに複数のサイクロプスが城壁に迫っていた。キテオンは彼の非正規軍と合流し、敢えて城門の外でサイクロプスと戦い、非正規軍とともにこれを打ち倒した。この時の彼の大胆不敵な戦術は後年にも伝わっている

戦いの後、太陽のヘリオッド/Heliodが彼の前に現れた。ヘリオッドは彼の戦士としての価値を認め、勇者の試練とそれを果たすための太陽の槍を与えた。彼の試練とは、死の神エレボス/Erebosが放った恐るべき巨人を倒すことだった。彼は巨人をおびき寄せ、非正規軍とともに巨人と戦い、太陽の槍でもってとどめを刺した。その時、地平線の向こうからエレボス自身が姿を現した。キテオンは自信に満ちていた。彼は死の神に報いを与えようと、太陽の槍を放った。神はを振るい、槍を彼へと跳ね返した。身構えた彼の視界が真っ白に染まった。視界を取り戻した時、キテオンは周囲の非正規軍の変わり果てた姿を見た。後悔と苦痛に震える彼のプレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkが点り、彼はバント/Bantへとプレインズウォークした。バント/Bantで目を覚ましたとき、周囲には巡礼の道の騎士長、ムーキル率いる一団が居り、名を尋ねられる。「キテオン」と息を詰まらせながら答えたところ、ムーキルは「ギデオン?」と聞き返した。

  • ギデオン自身は、この時期のことは特に話したがらないようだ。
  • 小説「The Purifying Fire」やそれを原作にした「燃え尽きぬ炎」の作中でもこれらの出自は言及されていた(なお、両作品で語られた出自には微妙な相違がある)。しかし故郷の名や灯が点った時の詳細についてはマジック・オリジンまでは語られていなかった。

The Purifying Fire(燃え尽きぬ炎)

レガーサ/Regathaに滞在していたギデオンは、レガーサ次元の全域に法と秩序をもたらそうとするヘリウド騎士団/Order of Heliudに仕えていた。彼は騎士団の指導者ウォルバート3世/Walbert IIIの依頼によりケラル砦/Keral Keepに滞在するプレインズウォーカー/Planeswalkerチャンドラ・ナラー/Chandra Nalaarを追うこととなった。

ギデオンはチャンドラを追ってケファライ/Kephalai、そしてディラデン/Diradenへとプレインズウォークした。当初彼はチャンドラのことを単なる危険人物と考えていたが、ディラデンで彼女と共闘し、また過去の一端を知ったことで彼女への感情は変化していった。

ディラデンを脱出し2人してレガーサに帰還した所で、彼は正体と己の任務を明かした。彼はチャンドラにレガーサを離れるよう忠告したが、彼女は受け入れなかった。数日後、彼女はケラル砦を守るために自ら騎士団に投降してきた。そこでウォルババートは彼らに初めて真意を明かした。遂に長年の予見が成就する、今日プレインズウォーカーの紅蓮術士は浄化の炎/The Purifying Fireに投じられ魔力を永遠に失い、以降レガーサが混沌と災厄に苛まれることはなくなると。彼女を助けようと、ギデオンは浄化の炎について知り得たことを教えた。浄化の炎は魂の罪を清める、もし穢れのない魂をもって浄化の炎の中に入るのならば、無事に出られるかもしれないと。彼は彼女が過去の罪悪感と向き合うために、ディラデンで見た悪夢について話すように促した。話を終え、吹っ切れたチャンドラは自ら浄化の炎の中へと入った。彼女の願いでその場を離れていたギデオンが現場に着いた時、チャンドラの紅蓮術によりウォルバートとその場にいた騎士団の人間は焼き殺され灰と化していた。愕然としたギデオンは彼女を責めたが、戦うことは出来なかった。一旦レガーサを去るチャンドラに、ギデオンはまた会おうと言った。

エルドラージ覚醒

レガーサでの決別を後悔したギデオンは再び、今度は一度共闘した友人としてチャンドラを追う。向かうは星の聖域の巻物が示す次元、ゼンディカー/Zendikarである。しかし、そこでは多元宇宙/Multiverseを揺るがす恐るべき捕食者、エルドラージ/Eldraziが復活しようとしていた。

ケフ砦の戦い/The Battle of Fort Keff

ついに復活したエルドラージ。砦の人々の抵抗も全く意に介さない眷属落とし子の群れを相手に、ギデオンは一人立ち向かう。ギデオンとケフ砦の住人は辛くも勝利するが、地平線には新たな、そして遥かに強大なエルドラージ、エムラクール/Emrakulの姿が。

ギデオンは住民の避難を済ませてからラヴニカ/Ravnicaに向かった。彼一人では対処できない敵、それに立ち向かえる組織を耳にしたことがあったのだ。

  • 翻訳記事では「ラヴニカを訪れて組織を見つけ、ゼンディカーへと戻ってまた去った」ように書かれているが、誤訳。

ギルド門侵犯

ラヴニカに到着したギデオンはたまたまボロス軍/Boros Legionの一旅団をラクドス教団/The Cult of Rakdosの待ち伏せから救ったことにより、オレリア/Aureliaにボロスの大隊の指揮とギルド間の抗争に巻き込まれる無辜の人々を共に救うことを依頼される。ゼンディカーが超次元的な危機に晒されていることを知りながらも自分を必要としている目の前の人々を見過ごすことが出来なかったギデオンは、ボロスへの参加については保留しつつもオレリアへの協力を承諾する。

ドラゴンの迷路

ギデオンはタージク/Tajicとボロスの部隊を率い、第9地区にてグルール一族/The Gruul Clansとラクドスの軍勢を迎え撃つ。よく訓練された勇猛果敢なボロスの兵士たちと共に戦うことは、ギデオンにこれまでにない喜びを与えていた。しかし、プレインズウォーカーである彼の助力を求める人々は他の場所にいた。彼はオレリアに暇乞いをすると、彼女は寛容にもそれを受け入れ、いつでも歓迎すると伝えた。ギデオンはオレリアのカリスマ性に気圧されながらもサンホーム/Sunhomeを去った。

しかし、彼は平和の名の下に犠牲を厭わないオレリアへの不信と反発をも示しており、ギルドとの縁切り/Renounce the Guildsを決断している。どのような経緯でそこに至ったのかは明らかにされていない。

「平和の名のもとに多くの人々が命を落とすことになる。それがあなたの言う和解というものか?」
ギデオン・ジュラからオレリアへ

限界点/Limits

昼はゼンディカー、夜はラヴニカ。ギデオンの毎日は苛酷を極めていた。

彼はゼンディカーでムンダ/Mundaタズリ/Tazri、そして集結した同盟者たちとともにエルドラージ撃退の鍵を握る海門/Sea Gateを防衛するための戦いを繰り広げていたが、それだけに専念することはできなかった。ラヴニカで勃発したゴブリンのギャング団であるクレンコ/Krenko破砕団の兄弟/The Shattergang Brothersの抗争により、ギルドの庇護下にない者たちに被害が及んでいるのを見過ごすことはできなかったからである。エルドラージとの攻防戦と無法地帯の取り締りを繰り返す毎日。肉体は限界に達しようとしていた。

こうした中ゼンディカーでは大群の攻勢の前についに海門の陥落が必至となる。力線の研究家に同行していたマーフォークジョリー・エン/Jori Enを救出しヴォリク/Vorik司令官の宿営地へ避難を促すとラヴニカに向かう。彼は悟った、ただエルドラージを倒し続けているだけでは問題は解決しない、海門の灯台/The Lighthouseの学者たちが研究していた「力線の謎」を解明することが必要であると。この問題を解決するための専門家の心当たりはあった。ジェイス・ベレレン/Jace Beleren。ラヴニカの迷路の謎を解明した「生けるギルドパクト」である。

巻き返し/Catching Up

ギデオンはジェイスがリリアナ・ヴェス/Liliana Vessと第二地区の高級料理店ミレーナ/Milenaで会食している所に乗り込む。今はギルドパクトとしての勤務時間外であるというジェイスに対し、ギデオンはゼンディカーの海門が陥落したこと、エルドラージへの対策となる「力線の謎」の解明にはジェイスの協力が必要であると告げる。エルドラージの開放に責任を感じているジェイスは協力を約束する。会話の邪魔をされたリリアナは席を立ち、エルドラージとの戦いに協力してほしいというジェイスからの要請も断り去っていった。急ぐギデオンに対しジェイスは、自分は仕事の引継ぎのため明日の朝まではラヴニカを離れられないこと、ギデオンには休息が必要であることを告げ、癒し手の所へ案内した。

炎への献身/Offers to the Fire

ギデオンはジェイスと共にレガーサのケラル砦を訪れ、チャンドラにエルドラージと戦うための協力を要請する。彼女は迷うが、打診されていたケラルの修道士長就任の求めに応じるためこれを断った。

隠れ家での殺戮/Slaughter at the Refuge

ジェイスを連れてゼンディカーに戻ったギデオンは同盟者の宿営地である峡谷に到着したが、ヴォリク司令官は新たな避難場所の探索に出ていて不在であり、またここへ避難するように呼び掛けたジョリー・エンもいまだに到着していないようであった。ギデオンは峡谷の入り口に立ちはだかりエルドラージから残存者たちを死守してたがこの地はもはや長く持たないと思われた。帰還したヴォリクやタズリと合流し別の地への撤退を検討する中、ギデオンは徒歩ではなく崖を登り宙に浮かぶ面晶体を伝って避難することを提案する。一行は面晶体の上を這い縄を渡ってやがて巨大な面晶体の上にたどり着く。しばらくは安全そうなその場所を新たな野営地とすると、ギデオンは行方不明のジョリー・エンの捜索へと向かう。

声なき叫び/The Silent Cry

ギデオンは巨大なエルドラージに襲われている集団を発見し救出する。それは捜していたジョリー・エンと数人のコー、そして一人のエルフだった。野営地まで連れて帰るとそのエルフ、ニッサ・レヴェイン/Nissa Revaneは自分もまたプレインズウォーカーであることを明かしギデオンを驚かせた。

信者達の巡礼/The Believers' Pilgrimage

ギデオンはジェイスにジョリー・エンを引き合わせ、二人は情報交換を済ませると面晶体の性質を探るためにウギンの目/The Eye of Uginに向かう。また出会ったばかりのニッサも何か大切な事情を抱えているらしく何も言わないまま立ち去ってしまった。ギデオンは野営地に残り避難民たちの守備に専念する。

空岩の生存者/The Survivors of Sky Rock

一時的な安息を得た同盟者たちであったが、司令官のヴォリクやタズリとギデオンの間で今後の方針についての見解の相違が発生していた。ヴォリクは負傷とエルドラージの荒廃がもたらした病によって余命幾ばくもなく、その限られた時間を使って避難民をさらに安全な場所まで導くことを望んでおり、オンドゥ/Ondu大陸のズーラポート/Zulaportまで退くつもりでいた。それに対しギデオンはこの地に留まってジェイスたちが帰還するのを待ち、エルドラージを撃退するための方策を得ることこそが重要であると提案していたからである。タズリはギデオンが他の世界から来た人間であることに以前から感づいていた。そのためギデオンのここゼンディカーへの責任感がどの程度のものかを疑問視しており、あなたにここの人々を危険に晒す権利などないと言い放つ。

そうした中でギデオンは、エルドラージから追われている新たな避難民の一団を救出する。そして野営地に連れ帰った彼らの口から世界中にある噂が広まっていることを聞く。海門こそがゼンディカーに残された唯一の希望の象徴であり、世界各地からあらゆる種族がこの地を目指して移動を始めたと。しかし海門はすでに陥落し、ゼンディカー人たちはもはや存在しない避難所を目指しているということになる。たどり着いてからその事実を知り絶望する避難民の姿を見てギデオンはあることを心に決める。

それから間もなくして、ギデオンとタズリは病床で死の淵にあるヴォリクに呼び出される。司令官にズーラポートへの撤退計画を説明するタズリ。それに対してギデオンは驚きの案、海門に戻り戦ってその地を取り戻すことを提示する。もはやゼンディカーに避難するところなどない、立ち向かうべきだと。ギデオンとタズリ、両者の意見は平行線をたどりしばらく口論が続くが、しばらくしてヴォリクは言い争う二人を一喝すると海門の奪回を支持しギデオンを新たな司令官に任命し亡くなった。葬儀の後ギデオンは避難民たちに今後の方針を告げ皆を鼓舞した。今後は逃げることをやめ抵抗することを選ぶ。まず海門を奪還し、最終的にはゼンディカーそのものを取り戻すと。そしてタズリの目を見据えると、最後までこの地を去らずゼンディカーのために戦うことを誓い、ついに彼女の信頼を勝ち得るのだった。

血の記憶/Memories of Blood

ギデオンは世界各地の生存者に対して抵抗勢力の集結を呼び掛けるための使者を送る。吸血鬼/Vampireの住む大陸グール・ドラズ/Guul Drazにはエンキンディ/Enkindiが率いるコーの帆凧部隊を派遣した。彼らは淀みの種父/Sire of Stagnationとの戦いで全滅してしまうが、吸血鬼の長ドラーナ/Dranaはギデオンに興味を抱き、その呼び掛けに応じて同盟者に合流することを決断し海門に向けて出発する。

軍勢の形成/Shaping an Army

珊瑚兜/Coralhelmのマーフォークの乱動魔導士の元へは、ギデオン自らが帆凧に乗って交渉に赴いた。まずリーダーのノヤン・ダール/Noyan Darと会談するが最初は同盟の要請を断られる。その後演習を見たギデオンは彼らの実力を訝しむ言葉を口にし険悪な雰囲気になるが、エルドラージの掃討に同行し実戦で共闘することによりお互いの実力を認め合い、同盟者に加わる約束を取り付けた。

海門の解放/The Liberation of Sea Gate

ゼンディカー各地から様々な種族の生き残りが日に日に集結していき、宿営地は面晶体の上だけでは足りず周囲に広がるまでになった。当初は避難民でしかなかったそれは、今では紛れもなくゼンディカー軍であった。ついに反撃の時は訪れ、ギデオンは軍の先頭に立ち海門に向けて突撃を開始する。しかし初戦は手痛い敗北を喫し結局元の野営地まで撤退することになってしまう。この戦況に納得のいかないギデオンは、なにを誤ったのか敗走の理由をムンダやタズリに問う。それに対しタズリは厳しい指摘をする。あなたは自分の力を中心に考えすぎ軍を過信をしている、一人一人がギデオン自身のように不死身の肉体と不屈の闘志を持つならこの戦い方でもいいが、実際のゼンディカー軍は千人のギデオンなわけではないと。一兵卒ではなく司令官としての責務を果たさないといけないことを痛感したギデオンは、数日かけて攻撃計画の練り直しをすることになった。

そして再進撃の日、今回は兵一人一人それぞれできることをギデオンは把握し能力に応じて適材適所に配置した。前線は完全に統制されており無秩序に迫るエルドラージを効果的に倒していった。さらに午後になると外海から巨大海洋生物の群れが現れ海棲エルドラージを倒しながら海門に接近するのが確認された。その日は海門の灯台が目に入るところまで攻め入り、日が暮れると前線はドラーナ率いる吸血鬼の軍と入れ替わりギデオンの軍は夜営をして休息を取り次の日の戦いに備えた。初日の戦果は上出来の結果に終わった。

二日目、軍は海門の城壁近くまで進撃するがそこでギデオンはエルドラージとは別のもの、巨大なタコとその触手の先に座るマーフォークの女性に遭遇する。昨日目撃した海洋生物の群れの主、キオーラ/Kioraであった。そして会談中に彼女の口からタッサ/Thassa、かつてギデオンがいた次元の神の名前が出てきて彼は驚いた。彼女もまたプレインズウォーカーだった。キオーラの軍勢が両翼を固めてくれたためギデオンは海門攻撃に集中することができたが、城壁内から絶え間なく湧き出てくるエルドラージに苦戦し、夜になると数が少ない吸血鬼たちだけでは攻勢をしのぐことはできず陣は押し戻された。

困難な夜が明け三日目も苦戦を強いられたが、昼にはついに城壁までたどり着いた。四日目にギデオンは城内に突入し残るエルドラージの掃討を始めるが、障害物の多い街路では軍略の通用しない乱戦になり苦戦を強いられていた。その時突如として木や岩が動き出しエルドラージを打ち据え始めた。ニッサがエレメンタルの群れ、ゼンディカーそのものを引き連れて帰ってきたのであった。ゼンディカー軍は優勢となり五日目の昼には戦いは終わった。ついに海門を取り戻し、ギデオンが灯台の指揮官を集めて今後の方針を練ろうとしていたその時に騒ぎが起こった。窓から外を見るとジョリー・エンがなにかを叫びながら帰還するのが見えた。灯台を降りて迎えに出たギデオンに対し彼女は警告の言葉を繰り返した。

「ウラモグが来る!」

面晶体の連結/Hedron Alignment

海門を奪還したギデオンたちのもとに、ジョリー・エンがウラモグ襲来の凶報を携えてやってきた。避けられぬ災厄との衝突を前に、戦う者と撤退する者とで意見が割れ、困窮する司令官ギデオン。しかしそこへ、面晶体の調査を終えたジェイスが帰投する。 あるものは地中から、あるものは海上から、各地に散在する面晶体を海門へと引き集め、ジェイスの指示の下ゼンディカー軍はウラモグを拘束するための罠を作った。絶え間なき飢餓の化身が急造のリングへと突入すると、ギデオンは単身ウラモグに立ち向かい、光の輪がその巨体を絡め取るまでの時間を稼ぎ続けた。

ついに面晶体は連結し、ウラモグは上陸寸前で身動きを封じられた。こうなれば、この久遠の闇の住人を滅殺する策はいくらでも講じられる。海門全体が勝利に湧く中、斥候イービは陽光をさえぎる一つの影を見た。 ゼンディカーがその身に封じていた、もう一つの巨悪。オブ・ニクシリス/Ob Nixilisが、今まさに灯の再覚醒を成し遂げんとしていた。

ゲートウォッチの誓い

何千年もの間ゼンディカー次元に捕らわれていたニクシリスは、同じ苦しみを味わわせようと自身が捕えたニッサ、ジェイス、ギデオンを苛んでいたが、ひそかに追いかけてきたチャンドラによって3人は解放される。 3人はチャンドラと共にニクシリスへと立ち向かい、ニクシリスを逃走に至らしめた。 4人は荒廃した風景を目の当たりにし、彼方の空には2体の巨人がそびえていた。他の3人は絶望に飲み込まれかけるが、ギデオンの言葉によって立ち直った。 ウギンの助言を元にジェイスが作戦を立て、それが実行された。ギデオンが落とし子の群れから皆を守る中、ニッサが力線を操り、巨人を縛り付けてその姿をゼンディカーへと完全に引き込んだ。 ニッサがチャンドラへと力線のマナを流し込むと、ウラモグとコジレックは焼き尽くされた。

イニストラード・ブロック

やがてエムラクールがイニストラードにいるとの報告がジェイスから入り、ゲートウォッチの3人は共に向かった。 イニストラードでの力線を思うように使いこなせない中、リリアナ・ヴェス/Liliana Vessが思わぬ形で助力に現れた。 ギデオンはラヴニカでリリアナと会ったことがあり、ジェイスと何らかの関係のある女性ということは知っていた。ギデオンとしては不本意だが、不浄の軍勢であるリリアナ達と共闘することとなった。 さらにタミヨウ/Tamiyoの協力も加わり、ゲートウォッチはエムラクールをイニストラードの銀の月へと封印した。 戦いの後、ジェイスの願いからギデオンはリリアナをゲートウォッチに迎い入れることを了承した。屍術や鎖のヴェールを使わせずにいられるのであれば多元宇宙全体にとっても良いことだろうというのがギデオンの考えであった。

カラデシュ・ブロック

イニストラードでのエムラクールとの交戦から数ヶ月後、チャンドラと共にカラデシュ/Kaladeshへ向かっていたリリアナから、かの地にテゼレット/Tezzeretがいるという知らせが入った。 ギデオンとジェイスは直ちに向かい、テゼレットが現地の領事府に入り込んでいることを知ると、ピア・ナラーが率いる改革派に手を貸すことになった。 ギデオンは自分達の正義を他の次元に押し付けるようなこの戦いに疑問を抱いていたが、ひとまずチャンドラのために戦うのだと自らを納得させた。 領事府との戦いはチャンドラに過去の行いを突き付けたが、ギデオンは戸惑い苦しむチャンドラに献身的に寄り添った。 自ら飛行機に乗って次元橋を破壊しに向かうと主張するチャンドラの決意を察し、彼女を守るべくギデオンは同行を申し出た。神聖術をまといながら2人は突入し、次元橋を破壊してテゼレットをプレインズウォークで逃走させた。 争いが集結するとゲートウォッチは新たにアジャニ/Ajaniを受け入れた。 アジャニはいったんニコル・ボーラス/Nicol Bolasと闘うための仲間を集めることを提案したが、ギデオンは内心で一刻も早くボーラスを叩こうとその所在であるアモンケット/Amonkhetに向かうことを計画していた。

アモンケット・ブロック

アモンケットに辿り着いたゲートウォッチはゾンビの群れや巨大なワームに襲われるが、神々しい存在が介入してワームを倒す様をギデオンは目撃した。 ナクタムン/Naktamunに辿り着きオケチラ/Oketraに対面したギデオンは、オケチラが愛に満ちた神なのだと瞬時に悟った。 ギデオンはこの次元について学びたいと願い、バントゥ/Bontuが定める試練に挑むこととなった。 だが仲間の命をもためらいなく捨てなければ先に進めないその試練にギデオンは疑問を抱き、最終的に仲間同士で殺し合う様子にギデオンは怒りに燃えてバントゥと対峙する。 アモンケットという次元を理解できないまま怒りと迷いの内に去ったギデオンはゲートウォッチと合流するが、すぐにハゾレト/Hazoretによる最後の試練に呼ばれた。 戦いが終わり、栄光ある死はデジェル/Djeruが賜ることになったが、ギデオンは神の二又槍からデジェルを守った。 そして来世への門/Gate to the Afterlifeの門からラザケシュ/Razakethが現れ、ゲートウォッチは力を合わせてそれを退けるが、このためにリリアナに利用されたのではないかと彼らは疑問を抱き始める。 王神、ニコル・ボーラス/Nicol Bolas, God-Pharaohが帰還し、街と人々を蹂躙した。ゲートウォッチもボーラスには敵わず、ギデオンは命からがらドミナリア/Dominariaへと逃走した。

ドミナリア

敗走したゲートウォッチの各人はリリアナへと疑いの目を向け、ニッサとチャンドラが離脱した。 リリアナと共に取り残された手負いのギデオンはかつてのリリアナの故郷へと向かった。手当てを受けると陰謀団/The Cabalがドミナリアに手を伸ばしていること、ジョス・ヴェス/Josu Vessがゾンビとなって使役されていることを聞かされた。 ギデオンはリリアナが契約を解消して全力を使えるようになることが不可欠と考え、協力を了承した。 2人は新生ウェザーライトに乗って陰謀団とベルゼンロックの退治に加わった。遅れてきたチャンドラも加わり、要塞の宝物庫から再鍛の黒き剣/Blackblade Reforgedを手に入れ、それを用いてベルゼンロックを倒すことに成功。 ゲートウォッチはテフェリー/Teferiを新たに加え、ヤヤ・バラード/Jaya Ballardカーン/Karnも協力を申し出た。しかりリリアナはボーラスの命令によりドミナリアを去った

灯争大戦

次元間の標/Interplanar Beaconに呼び寄せられた何十人何百人というプレインズウォーカー、開いた次元橋/Planar Bridgeによりアモンケットから押し寄せた永遠衆/Eternalがラヴニカで殺戮を開始した。 ギデオンは永遠衆を操るリリアナの姿を確認したが、その顔は鎖のヴェールに隠され、感情をうかがい知ることはできなかった。 ゲートウォッチはプレインズウォーカーやギルドの代表者らに呼びかけ、作戦会議を開いた。ギデオンは「この惨状はプレインズウォーカーがもたらしたもの」という辛辣な言葉を受け止め、その上で「あらゆる世界のために戦うことが、灯を持つ者のしめいなのだ」と皆へ呼び掛けた。 ギデオンはオレリア/Aureliaボロス軍/Boros Legionが隣を支える中、信頼あるペガサス/Trusted Pegasusに騎乗し、黒き剣でロナス/Rhonasを倒した。 やがて次元橋と不滅の太陽/The Immortal Sunが止められ、ボーラスとの最後の戦いが始まった。黒き剣の力を過信させたボーラスの策によりギデオンは万事休すとなるが、ここでリリアナが契約違反による死を覚悟で永遠衆、永遠神をボーラスに仕向ける。 ギデオンは消滅を始めるリリアナに神聖術を手渡し、リリアナの契約違反の代償を自身が引き受けた。ギデオンは塵と化し、後にはその鎧だけが残った。 ギデオンは死の間際、故郷のテーロスで非正規軍が自分を出迎えてくれるという幻影を見た。 ギデオンの犠牲によってリリアナは生き永らえ、ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzetの介入にも助けられて永遠神にボーラスの灯を食わせることに成功した。 遺品の鎧は彼の故郷のテーロスへと戻され、かの地にはギデオンの彫像が立てられた。

登場

登場カード

カード名に登場

基本セット2012
ギデオンの報復者/Gideon's Avengerギデオンの法の番人/Gideon's Lawkeeper
マジック・オリジン
ギデオンの密集軍/Gideon's Phalanxキテオンの不正規軍/Kytheon's Irregulars(キテオンとして)、キテオンの戦術/Kytheon's Tactics(キテオンとして)
戦乱のゼンディカー
ギデオンの叱責/Gideon's Reproach
ゲートウォッチの誓い
ギデオンの誓い/Oath of Gideon
アモンケット
ギデオンの介入/Gideon's Intervention
アモンケット プレインズウォーカーデッキ
ギデオンの決意/Gideon's Resolve
破滅の刻
ギデオンの敗北/Gideon's Defeat
灯争大戦
ギデオンの犠牲/Gideon's Sacrificeギデオンの勝利/Gideon's Triumph
灯争大戦 プレインズウォーカーデッキ
ギデオンの喊声/Gideon's Battle Cryギデオンの中隊/Gideon's Company

フレイバー・テキストに登場

エルドラージ覚醒
失脚/Oust
ギルド門侵犯
ボロスの精鋭/Boros Elite軍部の栄光/Martial Glory無慈悲な追い立て/Merciless Eviction
ドラゴンの迷路
ギルドとの縁切り/Renounce the Guilds
基本セット2014
天界のほとばしり/Celestial Flare
統率者2013
静寂なる達人/Serene Master
ニクスへの旅
捨て身の抵抗/Desperate Stand(キテオン・イオラとして)
コンスピラシー
疑いなき権威/Unquestioned Authority
マジック・オリジン
天界のほとばしり/Celestial Flare秘儀術師の掌握/Grasp of the Hieromancer(キテオンとして)、巡礼者の道の騎士/Knight of the Pilgrim's Roadキテオンの不正規軍/Kytheon's Irregulars(キテオンとして)、抑制する縛め/Suppression Bonds(キテオンとして)、悲劇的な傲慢/Tragic Arrogance(キテオンとして)、武勇の印章/Sigil of Valor
戦乱のゼンディカー
陰惨な殺戮/Gruesome Slaughterギデオンの叱責/Gideon's Reproach鼓舞する突撃/Inspired Charge大物潰し/Smite the Monstrous謎めいた巡行者/Cryptic Cruiserオンドゥの勇者/Ondu Champion板金鎧の破壊屋/Plated Crusher放浪する森林/Woodland Wanderer殺戮の先陣/Forerunner of Slaughter
ゲートウォッチの誓い
ゲートウォッチ招致/Call the Gatewatchギデオンの誓い/Oath of Gideon戮力協心/Shoulder to Shoulderコジレックの大口/Maw of Kozilek巨人の陥落/Fall of the Titans模範提示/Lead by Example
異界月
ゲートウォッチ配備/Deploy the Gatewatch一所懸命/Give No Ground不動の聖戦士/Steadfast Catharリリアナの精鋭/Liliana's Elite焼夷流/Incendiary Flow
霊気紛争
巧みな放逐/Deft Dismissal
アモンケット
選定された行進/Anointed Procession新たな信仰/Renewed Faith残酷な現実/Cruel Reality
アモンケット プレインズウォーカーデッキ
試練の相棒/Companion of the Trials
破滅の刻
英雄的行動/Act of Heroismギデオンの敗北/Gideon's Defeat
ドミナリア
ギデオンの叱責/Gideon's Reproach再鍛の黒き剣/Blackblade Reforged
灯争大戦
防壁の巨人/Bulwark Giant神聖なる矢/Divine Arrow鉄覆いのクロヴァド/Ironclad Krovodダスクマントルの調査員/Duskmantle Operative予期せぬ助力/Unlikely Aid心温まる贖罪/Heartwarming Redemption(キテオンとして)、団結の誓約/Pledge of Unity
灯争大戦 プレインズウォーカーデッキ
ギデオンの喊声/Gideon's Battle Cry
Signature Spellbook: Gideon
安らかなる眠り/Rest in Peace崇拝/Worship再鍛の黒き剣/Blackblade Reforged

イラストに登場

エルドラージ覚醒
臨死体験/Near-Death Experience
マジック・オリジン
ギデオンの密集軍/Gideon's Phalanx秘儀術師の掌握/Grasp of the Hieromancerキテオンの戦術/Kytheon's Tactics抑制する縛め/Suppression Bonds迅速な報い/Swift Reckoning悲劇的な傲慢/Tragic Arroganceアクロスでの武勇/Valor in Akros
戦乱のゼンディカー
ギデオンの叱責/Gideon's Reproach鼓舞する突撃/Inspired Charge
ゲートウォッチの誓い
ゲートウォッチ招致/Call the Gatewatchギデオンの誓い/Oath of Gideon戮力協心/Shoulder to Shoulder無情な処罰/Remorseless Punishment食い荒らす炎/Devour in Flames巨人の陥落/Fall of the Titans模範提示/Lead by Exampleゼンディカーの復興者/Zendikar Resurgent
異界月
集団的努力/Collective Effortゲートウォッチ配備/Deploy the Gatewatch一所懸命/Give No Groundエムラクールの影響/Emrakul's Influence
カラデシュ
劇的な逆転/Dramatic Reversal
霊気紛争
巧みな放逐/Deft Dismissal
アモンケット
選定された行進/Anointed Processionギデオンの介入/Gideon's Intervention新たな信仰/Renewed Faith驚異への入り口/Open into Wonder力ずく/By Force
アモンケット プレインズウォーカーデッキ
ギデオンの決意/Gideon's Resolve
破滅の刻
ギデオンの敗北/Gideon's Defeat厳粛/Solemnity巧みな軍略/Strategic Planning
ドミナリア
ウェザーライトへの乗艦/Board the Weatherlightギデオンの叱責/Gideon's Reproach
マスターズ25th
アクロスでの武勇/Valor in Akros(新規)
灯争大戦
神聖なる矢/Divine Arrowギデオンの犠牲/Gideon's Sacrificeギデオンの勝利/Gideon's Triumph信頼あるペガサス/Trusted Pegasus悪への引き渡し/Deliver Unto Evil予期せぬ助力/Unlikely Aid心温まる贖罪/Heartwarming Redemption団結の誓約/Pledge of Unity暴君の嘲笑/Tyrant's Scorn
灯争大戦 プレインズウォーカーデッキ
捨て身の突進/Desperate Lungeギデオンの喊声/Gideon's Battle Cryギデオンの中隊/Gideon's Company
Signature Spellbook: Gideon
殉教者の結合/Martyr's Bond流刑への道/Path to Exile安らかなる眠り/Rest in Peace(像)、信仰の守り/Shielded by Faith真実の確信/True Conviction崇拝/Worship再鍛の黒き剣/Blackblade Reforged

登場デッキ

プレインズウォーカーデッキ
Signature Spellbook
Signature Spellbook: Gideon

登場作品

プレインズウォーカー・シリーズ
ゼンディカー・ブロック
ラヴニカへの回帰ブロック
テーロス・ブロック
マジック・オリジン
戦乱のゼンディカー・ブロック
イニストラードを覆う影ブロック
カラデシュ・ブロック
アモンケット・ブロック
イクサラン・ブロック
ドミナリア
ラヴニカのギルド灯争大戦

登場記事

脚注

  1. A Voice for VorthosDoug Beyerブログ)
  2. A Voice for Vorthos(同上)
  3. Gather Your Allies for Magic: The Gathering 2012
  4. A Voice for Vorthos(Doug Beyerブログ)

参考

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