マスティコア/Masticore
提供:MTG Wiki
アーティファクト クリーチャー — マスティコア(Masticore)
あなたのアップキープの開始時に、あなたがカードを1枚捨てないかぎり、マスティコアを生け贄に捧げる。
(2):クリーチャー1体を対象とする。マスティコアはそれに1点のダメージを与える。
(2):マスティコアを再生する。
ウルザ・ブロック当時のスタンダードで大暴れしたアーティファクト・クリーチャー。同環境の変異種/Morphlingと並び「最強クリーチャー」と謳われた。
解説
アップキープ・コストが課せられているが、マナ・コスト4マナで4/4のサイズに、再生とクリーチャー除去の2種類の能力を持ち、総合的にアーティファクト・クリーチャーとしては非常に高いコスト・パフォーマンスを誇る。
- 基本能力
- マナレシオの面から見ると、色を選ばないアーティファクト・クリーチャーにもかかわらず、緑を除く4色と比べても高い水準に位置する。そして4/4は対クリーチャー戦でも十分に渡り合うことができフィニッシャーに足る大きさであり、更に再生によって戦闘での生存力を向上させているだけでなく、火力にもアーティファクト除去にも強くなっている。
- 除去能力
- クリーチャー除去能力は、2マナを1点ダメージに変換する能力。マナを費やせばこれ1体で複数のクリーチャーを除去でき、アドバンテージを生む。また、被覆や破壊不能などを持つクリーチャーには無力とはいえ、無色のダメージソースであるためプロテクションには引っかかりにくい利点がある(これに対応しているプロテクション―例えば対アーティファクトや対クリーチャーなど―でトーナメントレベルのものはまずない)。多くのマナを喰う除去能力であるが、環境には極めて優れたマナ生産手段があった(後述)。
- アップキープ・コスト
- アップキープ・コストのデメリットは侮れない。毎ターンカードを1枚失うので何らかの補助がない限り手札のカード総数は増えなくなり、展開が大きく制限されてしまう。そのため、召喚した後はこれ中心に戦わざるを得なくなる。しかし上述の通り他のカードが必要ない程に強力であり、厳しいコストを支払うに値するだけの活躍をすると評価された。
利用
ストンピィのようなビートダウンから青茶単のようなパーミッションまで殆どあらゆるデッキに投入され猛威を振るった。その理由は、これ自身のカードパワーはもとより環境にも恵まれていたからである。
- ストンピィのような超高速ビートダウンにおいて普通4マナのカードは遅すぎるのだが、同ブロックには強烈なマナ加速であるガイアの揺籃の地/Gaea's Cradleがあった。また、除去能力の起動コストの支払いが容易となるだけでなく、マナ・バーン在りし頃の揺籃の地の余剰マナ処理にも充てることができた。
- 青茶単のようなパーミッションデッキでは、手札枚数の保持が重要であるため手札を捨てるデメリットは殊更きついのだが、同ブロックには優秀なドローカード、天才のひらめき/Stroke of Geniusが存在した。
- ティンカーなどの茶単デッキとも相性抜群。修繕/Tinkerのサポートもあり、厳かなモノリス/Grim Monolith・金属細工師/Metalworkerなどの強力なマナ加速によりボードコントロールを確立できる。
- ゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabobは維持コストを帳消しにできる。この2枚は同環境に存在していたこともあり、特に使いやすかった。
しかし、パワーカードとはいえ手放しで4枚積みして良いというものでもなかった。上記のアップキープ・コストにより、戦場に出すタイミングを計るプレイヤーの技量が問われるカードであるとともに、ノンクリーチャーデッキの多い環境では実質「デメリットつきの4マナ4/4再生」に過ぎず別のクリーチャーの方が有効であるからだ。したがって、環境によってはサイドボードからの投入に留まっている場合もあった。
現在のエターナルでは全盛期ほどの活躍は見せていない。スタンダード時と比べてクリーチャーの質が上がっており、またコンボデッキやコントロールデッキが優勢のためである。剣を鍬に/Swords to Plowsharesや真髄の針/Pithing Needle等の汎用対策カードの存在も向かい風。 利用としては茶単等の序盤から多くのマナを出せるビートダウンにおいて、トークン戦略やエルフデッキ等に対してサイドボードから投入されることもある、といった程度に留まっている。
ルール
- カードを捨てるのはアップキープ・ステップであり、ドロー・ステップより前である。ドロー・ステップで引いたカードを、維持コストに充てるといった使い方はできない。
- 2007年9月サブタイプ変更によりマスティコアのクリーチャー・タイプを獲得。
開発秘話
マスティコアはミシュラの戦争機械/Mishra's War Machineに着想を得て制作されたカードで、開発時に「Mishra's Better War Machine」と呼ばれていた。このカードの開発は、「ミシュラの戦争機械の持つ欠点『アップキープにカードを1枚捨てる』を相殺する」あるいは「同じ欠点を持つカードをプレイに堪えるものにする」を焦点とした試みであった。製品化されたマスティコアは極めて強力で影響力を有するトーナメント常連カードとなった。結果として、ゲームの勝利を確かなものにできるのならば、この欠点はそれほど高くないことが判明した[1][2][3][4][5]。
また、マスティコアは「manticore(マンティコア)」と「masticate(食べ物をかむ)」の2語に由来する命名である。ウルザズ・デスティニー版のイラストではマンティコアに似た姿が描かれ、金属の物体を食べている[6]。
その他
- 発売直後は評価が芳しくなく、シングルカード価格も低めだった。維持コストが重い割に、その戦線維持能力が実際に使ったり使われたりしなければ実感できない強みの積み重ねだったからだろう。
- 綿密な分析/Deep Analysis(イラスト)やRemodel(イラスト)のカードにも描かれている。綿密な分析が登場した際には、似たようなカードが次に出るのではないかと期待する意見も出た(再録禁止カードであるため直接の復活はありえなかった)。
- ウルザズ・デスティニー版イラストでは口にくわえている金属棒が途中で折れているが、デュエリスト・ジャパンVol.11(99ページ)では完全につながっている絵を見ることができる。Mark RosewaterとJamie Wakefieldによるこのカードに対するコラム(時のらせん/Time Spiral、変異種/Morphlingとともに、予想以上に環境を支配した事による失敗)も載っている。
- コミックでも登場。デュエル・マスターズでは「超凶獣クリーチャー」と呼ばれ来月号への引きに使われた他、主人公を圧倒さえした。一方デュエルファイター刃では手札のない状態で召喚されてしまうお笑い登場となった。
- マスティコアがスタンダードを去った数年後に、マジック最悪のカードであると冗談交じりに紹介されたことがある[7][8]。
- From the Vault:RelicsにSteven Belledinによる新規イラストで収録された。
- 2013年4月27日~28日に開催された『ニコニコ超会議2』において、1999年を代表するカードとして展示された[9]。
関連カード
後年には複数のリメイク版が作られている。いずれもマスティコアのクリーチャー・タイプを持ち、このカードを意識した能力が与えられている。
詳細はマスティコアの項を参照。
脚注
- ↑ Card of the Day - November, 2003(Daily MTG) - 11/12
- ↑ Card of the Day (2003/11)(個人サイト「Abominable Empire」 上の記事の邦訳)
- ↑ Card of the Day - January, 2004 (Daily MTG) - 1/14
- ↑ Card of the Day (2004/01)(個人サイト「Abominable Empire」 上の記事の邦訳)
- ↑ What Do You Know, Part I(Making Magic 2007年11月26日)
- ↑ The Lexicon Archive(Daily MTG 2002年1月15日)
- ↑ 18,000 Words: The 100 Worst Magic Cards of All Time (20-1)(MTG専門ショップ「StarCityGames 2004年2月13日)
- ↑ 18,000 Words: The 100 Worst Magic Cards of All Time (20-1)(WebArchive)(個人サイト「Braingeyser」 上の記事の邦訳)
- ↑ ニコニコ超会議2 マジック:ザ・ギャザリング展示ブース(マジック日本公式Facebook)
参考
- 18,000 Words: The 100 Worst Magic Cards of All Time (ニセ)第1位(Braingeyser)
- The Top 50 Artifacts of All Time第9位(WotC、文:Zvi Mowshowitz、英語)
- 再録禁止カード一覧(再録禁止カード)
- カード個別評価:ウルザズ・デスティニー - レア
- カード個別評価:Vintage Masters - レア
- From the Vault:Relics