テーロス/Theros
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2023年5月13日 (土) 12:19時点における版
テーロス/Therosは、多元宇宙/Multiverseに存在する次元/Planeの一つ。テーロス・ブロック、テーロス還魂記の舞台となった。
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世界観
ギリシャ神話をモチーフとした次元。「自然」や「概念」などの抽象的かつ強大な存在が具現化したような、エンチャント(魔力)でもクリーチャー(生物)でもある神々/Godsが統べる世界である。
テーロスにおいて、エンチャントとは「形を持った魔力」のことである。神々とその所有物や眷属の他にも、神々が魔力に独自の形を与えることで生まれるものもある。いずれにせよエンチャントは神の力の産物であるゆえ、定命の者にとっては神々の恵みの一つである。
神々は定命の者たちの信仰を集めているが、その多くは移り気で利己的、かつ狭量。定命の者に慈悲深く手を差し伸べることもあれば、気まぐれに理不尽とも言える天罰を下すこともある。神同士の争いに人々を利用し、巻き込むことすら珍しくない。
神話
テーロスは神話の次元である。この世界には様々な怪物が棲息し人々を脅かしているが、神々の加護を受けた英雄は超自然的な力を発揮してそれらを倒す。彼らの活躍は神話となり語り継がれる――場合によっては、わずかひと月で。
著名な叙事詩としては、テーリアス/The Theriadとカラフェイア/The Callapheiaがある。
神々の真実
テーロスのほとんどの者が知らない神々の正体――それは、「定命の者の信仰によって生まれた存在」である。テーロスでは、信じることが絶大な力を持つ。多くの者が特定の概念を信仰すれば、それは神として形を成す。
神々は不老不死、不変の存在であると哲学者は言うが、信仰を持つ者が減れば神は弱り、忘れ去られれば消滅する。逆に、十分な信仰を集めれば定命の者が神の座に昇ることもできる。それを証明したのがゼナゴス/Xenagosである。
地理
この次元は三つの領域に分かれている。生ける定命の者たちが暮らす領域、死んだ定命の者たちが住まう死の国/The Underworld、神々の故郷にしてテーロスの夜空そのものであるニクス/Nyxだ。
人間たちは主に、次の三つの都市国家のいずれかに属している。
- メレティス/Meletis - セイレーン海/The Silen Seaに面する、学問と魔法と発展の都市。哲学者や魔道士、多くの神殿と学院を擁する。
- アクロス/Akros - 山脈に囲まれた城塞都市。市民の多くは同時に兵士でもあり、侵略者の撃退、あるいは略奪や征服といった任務に当たっている。
- セテッサ/Setessa - ニストスの森/The Nistos Forestの外れに広がる、自然のままの都市。女性と子供を中心とする社会を築いている。
人間以外の種族の暮らす地としては、以下のようなものがある。
- オレスコス/Oreskos - レオニン/Leoninの領土の中心地。テーロス辺境の岩がちな峡谷の中にある。かつての人間文化がわずかに残っているが、レオニン本来の性質へ回帰しつつある。
- テツモス/Tethmos - レオニンの主要な居住地。山地の高い場所にある。アクロス人やメレティス人に備えて常に鍛錬を続けている。
- アスフォデル/Asphodel - 内陸の沼の沿岸に位置する蘇りし者/The Returnedの死滅都市/Necropolis。活気がなく、住民たちは孤独を求め、不必要に外へは出ない。
- オドゥノス/Odunos - 殺人王ティマレット/Tymaretが率いる死滅都市。住民たちは近郊の生者への略奪に走る。
- スコラ谷/Skola Valley - 低木地帯に位置する、強い魔法がかけられた緑豊かな谷。サテュロスの居住地で、笛の音楽が夜明けから日暮れまで鳴り響いている。
- スコフォス/Skophos - ミノタウルス/Minotaurの都市国家。
種族
- 生けるエンチャント
- 神/God - 強大な生けるエンチャント。定命の者たちから信仰されている。単色で表される5柱の大神と、2色で表される10柱の小神がいる。
- 亜神/Demigod - 神々に勇者として選ばれ、神性を与えられた存在。
- ニクス生まれ/Nyxborn - 神々によって創造される生物の総称。姿は定命の者にそっくりだが、体にニクスの星空が映し出されるため見分けるのは容易。
- ニンフ/Nymph - 神々によって創造される特別な生物。属する色によって呼称がそれぞれ異なる。
- 人型種族
- 人間/Human - 人型種族の一つ。都市国家に暮らし、神を篤く信仰している。
- レオニン/Leonin - ネコ科動物に似た種族。他種族と交流することはほとんどなく、神を信仰する者も少ない。
- トリトン/Triton - 二足歩行する水棲種族。数日の間なら陸地でも活動できる。メレティスで人間と暮らす者もいる。
- ミノタウルス/Minotaur - 牛頭の種族。野蛮で残忍な気性と人肉嗜好によって、他の種族からは怪物と同等に見られている。
- サテュロス/Satyr - 山羊に似た種族。刹那的な快楽主義者。にぎやかで社交的な性格で有名だが、その真の危険性は知られていない。
- ケンタウルス/Centaur - 半人半馬の種族。交易を行うラゴンナ団/The Lagonna Bandと略奪を行うフィーリーズ団/The Pheres Bandに分かれる。
- セイレーン/Siren - 有翼の人型種族。魅惑の歌と幻惑魔法を操る。人肉を喰らうこともあり、多くの難破や溺死はセイレーンの仕業とされる。
- アンデッド
- 蘇りし者/The Returned - 死の国の住人が生者の領域へ戻ってきた姿。代償として「自己」と「顔」を失っている。灰色の肌と黄金の仮面が特徴。
- 幻霊/Eidolon - 蘇りし者が生者の領域に戻る際に切り離された「自己」の霊。肉体を持たないためその自己が働くことはない。
- 怪物
- 巨人/Giant - 大地から生まれた古の種族。特にタイタン/Titanと呼ばれる強大な巨人は、神々以前にテーロスを支配していた。
- キマイラ/Chimera - 複数の動物が合成された怪物。ケラノス/Keranosに狂わされた魔道士が作り出したとも、無謀な魔法を扱う古の都市国家に由来するとも言われる。
- クラーケン/Kraken - 深海に棲む巨大な怪物。一体の到来が一つの都市国家の終焉を意味する。地上でも活動できると見られている。
- カトブレパス/Catoblepas - 致命的な毒の息を吐く、雄牛に似た怪物。神々の呪いによって生まれたとされる。
- ハーピー/Harpy - 人間女性の頭にハゲワシの翼と足を持った怪物。縄張りに入った者を傷つけ持ち物を奪う。その巣は彼女たちには必要のない略奪品で溢れている。
- ゴルゴン/Gorgon - 半人半蛇の怪物。石化の危険と引き換えに価値ある秘密を与えることを楽しみ、多くの薬学の発展がゴルゴンからもたらされた。
- デーモン/Demon - 悪魔。真の悪と呼べるほどの憎しみを抱いた死の国の住人の成れの果て。生者の領域に戻り、生者を苦しめる第二の人生を送るものもいる。
- ケルベロス/Cerberus - 二つか三つの頭を持った大きな犬。世界の外縁に棲み、彼らの灼熱の足によりその地は黒く焼け焦げた荒地になっている。
- サイクロプス/Cyclops - 単眼の巨人。孤独を好み、好戦的で、縄張り意識が強い。知性はあまり高くなく、痛みを感じない。
- マンティコア/Manticore - 獅子の体と毒の尾を持つ生物。アルコンの支配から自らの故郷を守るために戦った偉大な戦士の魂を神々が生まれ変わらせた姿とも言われる。
- ドラゴン/Dragon - 龍。大きさは様々。アクロスの戦士はドラゴンの威厳を崇め、その兜の羽毛飾りをドラゴンの背鰭に見立てた意匠にする。
- バジリスク/Basilisk - 毒と邪眼を持つ怪物。ファリカ/Pharikaはその血に価値ある秘密を隠したと言われ、バジリスクの血は薬や予言の儀式の道具など大きな需要がある。
- ハイドラ/Hydra - 。巨大な多頭の怪物。凄まじい再生能力を持つ。海のクラーケン、空のドラゴンと並ぶ陸の脅威。
- その他
- スフィンクス/Sphinx - 長命で賢い人面の生物。彼らはそのつもりではないが、その抽象的な思考は定命の者にとっては謎掛けに等しい。
- アルコン/Archon - 空翔ける征服者。かつては君主として広大な地域を支配していたが、人間に敗れ凋落した。今も復権を目論んでいる。
- グリフィン/Griffin - 獅子と鷲の特徴を併せ持つ生物。人を喰らうが、メレティスの重装歩兵に飼い馴らされたものもいる。
- ペガサス/Pegasus - 有翼の馬。人間に友好的で、都市国家において乗騎として使役されている。
- フェニックス/Phoenix - 火山の火口に巣を持つ火の鳥。幾世紀もの寿命の間にただ一つだけ卵を産み、親が火口へ身を投げたと同時に新しい雛が孵るという。
キャラクター
- テーロス出身者
- ゼナゴス/Xenagos - サテュロス。テーロスの外の世界を知ったことで世の理に幻滅し、神の座に昇ろうと画策する。
- ギデオン・ジュラ/Gideon Jura - アクロス出身の人間の神聖術師。テーロスでの名はキテオン・イオラ/Kytheon Iora。
- ケイリクス/Calix - クローティスの創造物。エルズペスの追跡というただ一つの目的のために動く。
- 他次元からの訪問者
- エルズペス・ティレル/Elspeth Tirel - 人間の騎士。新ファイレクシア/New Phyrexiaから逃げ延び、テーロスに安住の地を求めるが……。
- アショク/Ashiok - 正体不明の存在。悪夢を操る魔法の使用者で、夢の力が強いテーロスに興味を示す。
- キオーラ/Kiora - ゼンディカー/Zendikar出身のマーフォーク。海の怪物を求めてテーロスを訪れるが、タッサの名を騙り怒りを買う。
- ダク・フェイデン/Dack Fayden - フィオーラ/Fiora出身の人間の盗賊。宝の片割れを求めてテーロスへと向かう。
- テーロスの住人
- 神
- 大神
- ヘリオッド/Heliod - 太陽の神。自らを万神殿/Pantheonの主と豪語する。
- タッサ/Thassa - 海の神。
- エレボス/Erebos - 死の国の神。
- パーフォロス/Purphoros - 鍛冶、大地、炎の神。
- ナイレア/Nylea - 狩猟、季節、森の神。
- 小神
- エファラ/Ephara - 都市国家と建築の神で、メレティスの守護神。
- フィナックス/Phenax - 欺瞞と嘘の神で、蘇りし者の守護神。
- モーギス/Mogis - 殺戮、激憤、苦痛の神で、ミノタウルスの守護神。イロアスとは双子の兄弟。
- クローティス/Klothys - 運命の神。死の国に封印されているタイタンたちを見張る看守でもある。
- ケイラメトラ/Karametra - 収穫、家庭、庇護の神で、セテッサの守護神。
- エイスリオス/Athreos - 通行の神。生と死の世界を分ける河の渡し守を務める。
- ケラノス/Keranos - 嵐と天啓の神。
- ファリカ/Pharika - 毒と薬の神。
- イロアス/Iroas - 勝利の神で、アクロスの守護神。モーギスとは双子の兄弟。
- クルフィックス/Kruphix - 彼方の地平の神で、謎に包まれたテーロス最古の神。
- 大神
- 定命の者
- メレティス
- ペリソフィア/Perisophia - メレティスを統治する哲学者の議会、十二賢/The Twelveの長。
- メドマイ/Medomai - 不老のスフィンクス。年に数度メレティスに現れ、予言を授ける。
- ダクソス/Daxos - ヘリオッドの神託者。エルズペスと恋仲になるが……。
- ヒパティア/Hypatia - ペガサスと特別な絆を持ち、共に戦う兵士。
- トラシオス/Thrasios - 家族を救われた恩義からメレティスのために戦うトリトンの戦士。
- ラナトス/Lanathos - テーロス中を旅した年代史家。レオニンの歴史を綴ることを許された唯一の人間。
- キデール/Kydele - クルフィックスの神託者。神々の真実や、テーロスの外の世界の存在を知る。
- キナイオス/Kynaiosとティロ/Tiro - メレティス建国の立役者。民衆を率いて暴君アグノマコス/Agnomakhosを打ち倒した。
- アクロス
- アナックス/Anax - アクロスの王。偉大な指導者として民に受け入れられている。
- サイミーディ/Cymede - アクロスの王妃。ケラノスから授かった未来視の力で王を補佐する。
- アリッサ/Arissa - 槍投げの選手。怪物が赤子を連れ去ろうとした際に槍投げで救出し、英雄となった。
- ラナトス/Lanathos - レスリングの選手。闘技場の戦士を残らず破った後、野生の雄牛に挑み一日掛かりで倒した。メレティスのラナトスと同名であるが別人。
- ナイモシュネ/Nymosyne - セテッサ出身のパンクラチオンの選手。競技場を襲ったサイクロプスの首を瞬く間にへし折ったという。
- ヒクサス/Hixus - 牢獄の看守の長。キテオン・イオラの師となる。
- セテッサ
- アンソーザ/Anthousa - レイナ塔/Leina Towerの長。ケイラメトラの戦士議会を率いる、セテッサの事実上の指導者である。
- ファードラ/Phaedra - ハイラックス塔/Hyrax Towerの長。弱冠19歳ながら高い戦闘技術によりこの地位を得た。
- ニケータ/Niketa - バサーラ塔/Bassara Towerの長。50代で、子供たちの弓術訓練の監督官でもある。
- カリアス/Kallias - オーフィス塔/Ophis Towerの長。子供の頃奴隷として売られたところをオーフィスの連隊に助けられた。
- その他
- ブリマーズ/Brimaz - レオニンの王。自種族の孤立主義に対して疑問を抱いている。
- ティマレット/Tymaret - 死滅都市オドゥノスの指導者である蘇りし者。略奪隊を指揮する殺人王として知られている。
- ポルクラノス/Polukranos - 封印されていた強大なハイドラ。エルズペスと戦いを繰り広げる。
- アリクスメテス/Arixmethes - 巨大なクラーケン。海面でまどろんでいる間に島と思われ、その上に都市が築かれてしまった。
- カレムネ/Kalemne - イロアスを信奉する巨人。巨人やドラゴンといった超人的存在の軍勢を率いる。
- ティムナ/Tymna - 運命の魔法の使い手。元はメレティスの兵士だったが、事故で視力を失った。
- ラーボス/Ravos - エイスリオスの神託者。彼の仕事を手伝う代わりに、年に一度死んだ妻と会える。
- ケスティア/Kestia - 人間の耕作地を領分とするニンフ。畑や灌漑を監督する。
- カラフィ/Callaphe - 伝説的な船乗り。タッサの勇者に選ばれ、亜神として蘇った。
- レナータ/Renata - 伝説的な狩人。ナイレアの勇者に選ばれ、亜神として蘇った。
- ウーロ/Uro - 死の国に封印されていたタイタンの一体。孤独を好む性格で、海底にいるときが一番落ち着いている。
- クロクサ/Kroxa - 死の国に封印されていたタイタンの一体。終わりなき飢えに取り憑かれている。
- テーロスのその他のキャラクター
- メレティス
登場
登場カード
カード名に登場
フレイバー・テキストに登場
- テーロス
- 神々の思し召し/Gods Willing、ヘリオッドの槍/Spear of Heliod
- 神々の軍勢
- 導きの嘆願/Plea for Guidance、悪戯と騒乱/Mischief and Mayhem、霊気のほころび/Unravel the Aether、無謀な歓楽者/Reckless Reveler
- ニクスへの旅
- 黎明運びの戦車兵/Dawnbringer Charioteers、大歓楽の幻霊/Eidolon of the Great Revel、マナの合流点/Mana Confluence
- Unstable
- アマチュア監督/Amateur Auteur(バージョンC)
- モダンホライゾン
- ヘリオッドの高潔の聖堂/Hall of Heliod's Generosity
- テーロス還魂記
- 猛然たる顕現/Furious Rise、ネシアンの猪/Nessian Boar、精神潰しのハーピー/Mindwrack Harpy
登場作品・登場記事
- THEROS - PLANES/テーロス - 次元(公式サイト)
- Planeswalker's Guide to Theros, Part 1/プレインズウォーカーのための「テーロス」案内 その1(Feature Article 2013年8月21日 The Magic Creative Team著)
- Planeswalker's Guide to Theros, Part 2/プレインズウォーカーのための「テーロス」案内 その2(Feature Article 2013年8月28日 The Magic Creative Team著)
- Planeswalker's Guide to Theros, Part 3/プレインズウォーカーのための「テーロス」案内 その3(Feature Article 2013年9月4日 The Magic Creative Team著)
- その他の作品・記事については背景世界/読み物/テーロス・ブロックを参照。
- Gideon's Origin: Kytheon Iora of Akros/ギデオンの「オリジン」:アクロスのキテオン・イオラ(Uncharted Realms 2015年7月1日 Ari Levitch著)
- 背景世界/読み物/テーロス還魂記を参照。
- メインストーリー第6話 最後に去るもの(Daily MTG 2023年3月23日)
- メインストーリー第9話 新ファイレクシアの古き罪(Daily MTG 2023年3月28日)
- Planeswalker's Guide to March of the Machine: The Phyrexian Invasion of the Multiverse/プレインズウォーカーのための『機械兵団の進軍』案内:ファイレクシアによる多元宇宙侵略(Daily MTG 2023年4月11日)
その他
- 名前の由来は、「夏」を意味するギリシャ語の「θέρος(théros)」だろう。「hero(英雄)」を含む単語を選んだものと思われる。
- この次元では鉄器が未だ浸透しておらず、また食料についても狩猟採集が主で農耕技術の発展に遅れが見られる。そのため現実の歴史学の観点から言えば未開な文明と言えるが、しかし神々の加護のおかげか、精神面や政治面の文化はそれに比して高度な発達を見せている。
- 都市国家のモチーフは、現実のギリシャ史におけるポリスと思われる。現実ではポリスが形成されたのは鉄器文明期であることから、現実に比べて、技術文明より社会文明の発達が著しいことが分かる。