約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End

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[[イニストラードを覆う影ブロック]]のストーリーの元凶として再登場した[[エムラクール/Emrakul]]。[[能力]]は、[[墓地]]を参照した[[唱える]]ための[[コスト]]の減少、唱えた時に[[誘発]]する[[追加ターン]]付与つきの[[最悪の恐怖/Worst Fears]]、[[飛行]]、[[トランプル]]、[[インスタント]]への[[プロテクション]]。
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[[イニストラードを覆う影ブロック]]のストーリーの元凶として再登場した[[エムラクール/Emrakul]]。[[能力]]は、[[墓地]]にある[[カード・タイプ]]を参照した[[マナ・コスト]]の減少、[[唱える|唱えた]]時に[[誘発]]する[[追加ターン]]付与つきの[[最悪の恐怖/Worst Fears]]、[[飛行]]、[[トランプル]]、[[インスタント]]への[[プロテクション]]。
 
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==解説==
 
13[[マナ]]はいささか[[重い|重すぎる]]が、適当に[[呪文]]を唱えている内に自身の能力で3~4マナはコストが減るので実用的な[[マナ・コスト]]に落ち着くだろう。[[イニストラードを覆う影ブロック]]で推奨されている[[昂揚]]メカニズムへの補助を用いれば、さらに[[軽い|軽く]]することもそう難しくもない。
 
13[[マナ]]はいささか[[重い|重すぎる]]が、適当に[[呪文]]を唱えている内に自身の能力で3~4マナはコストが減るので実用的な[[マナ・コスト]]に落ち着くだろう。[[イニストラードを覆う影ブロック]]で推奨されている[[昂揚]]メカニズムへの補助を用いれば、さらに[[軽い|軽く]]することもそう難しくもない。
  
13/13という[[サイズ]]が飛行とトランプルに加えて[[除去]]耐性まで持っているため、[[フィニッシャー]]としての性能は充分。この手の単独で巨体を誇るフィニッシャーにありがちな弱点としてこれ一体が[[戦場]]に出てもすでに間に合っていないことがよくあるが、[[対戦相手]]の[[ターン]]を奪うことによりどんなに悪くとも対戦相手の[[クリーチャー]]1体をこれに向かって[[チャンプアタック]]させることができるし、相手の[[デッキ]]や戦場の状況次第では追加ターンによる立て直しも効かないぐらいの壊滅的被害を与えることも可能。
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13/13という[[サイズ]]が飛行とトランプルに加えて[[除去耐性]]まで持っているため、[[フィニッシャー]]としての性能は充分。この手の単独で巨体を誇るフィニッシャーにありがちな弱点としてこれ1体が[[戦場]]に出てもすでに間に合っていないことがよくあるが、[[対戦相手]]の[[ターン]]を奪うことによりどんなに悪くとも対戦相手の[[クリーチャー]]1体をこれに向かって[[チャンプアタック]]させることができるし、相手の[[デッキ]]や戦場の状況次第では追加ターンによる立て直しも効かないぐらいの壊滅的被害を与えることも可能。
  
登場時の[[スタンダード]]にて早速、[[黒緑昂揚]]、[[エルドラージ・ランプ#タルキール龍紀伝+マジック・オリジン+戦乱のゼンディカー・ブロック+イニストラードを覆う影ブロック期|赤緑昂揚ランプ]]、[[現出 (デッキ)|現出デッキ]]と複数の[[アーキタイプ]]での活躍を見せた。
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登場時の[[スタンダード]]では、[[黒緑昂揚]]、[[エルドラージ・ランプ#タルキール龍紀伝+マジック・オリジン+戦乱のゼンディカー・ブロック+イニストラードを覆う影ブロック期|赤緑昂揚ランプ]]、[[現出 (デッキ)|現出デッキ]]と複数のデッキでの活躍を見せた。
  
*[[霊気紛争]]時点で、[[点数で見たマナ・コスト]]が13である唯一の[[クリーチャー]]。このため、[[モミール・ベーシック]]では[[X]]=13で確実に呼び出すことができる。
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*現在、[[マナ総量]]が13である唯一の[[クリーチャー]]。このため、[[モミール・ベーシック]]では[[X]]=13で確実に呼び出すことができる。
 
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*[[イニストラードを覆う影リマスター]]により[[MTGアリーナ]]に実装された。他のプレイヤーをコントロールする処理をMTGアリーナに実装するコストから一度は採用が見送られたが、技術チームの努力により可能となった<ref>[https://magic.wizards.com/en/news/mtg-arena/why-i-decided-not-to-do-emrakul-and-how-we-shipped-it-anyway Why I Decided Not to Do Emrakul, and How We Shipped It Anyway]([[Daily MTG]] [[2023年]]3月20日)</ref>。ただし実際にはゲームのフリーズを含む不具合が多数確認されており、実戦で使用するには厳しい状態となっている。
[[2017年]]1月20日から、スタンダードで[[禁止カード]]に指定される<ref>[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/news/january-9-2017-banned-and-restricted-announcement-2017-01-09 January 9, 2017 Banned and Restricted Announcement]/[http://mtg-jp.com/publicity/0018224/ 2017年1月9日 禁止制限告知]</ref>。プロテクション(インスタント)と誘発する能力の相乗効果であまりに対処の方法が少ない点に加え、[[霊気池の驚異/Aetherworks Marvel]]との組み合わせが強力すぎたことが問題となった<ref name="0018208">[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/kaladesh-standard-retrospective-2016-12-16 Kaladesh Standard Retrospective]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0018208/ 『カラデシュ』スタンダード総括][[Daily MTG]]、Latest Developments、文:[[Sam Stoddard]]、訳:[[益山拓也]])</ref><ref name="0018263">[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/standard-2017-01-13 Standard]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0018263/ スタンダード](Daily MTG、Latest Developments、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也)</ref>。
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**対戦相手の[[手札]]にある[[インスタント]]や[[瞬速]]を持つ呪文を[[インスタントタイミング]]で唱えられない。
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**[[占術]][[諜報]]などで対戦相手の[[ライブラリー]]を確認するとカードが表示されずフリーズする。
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**[[アップキープ]]で[[誘発]]する能力が誘発せず、そのままフリーズしてターンが強制終了するまで操作不可能になる等。
  
 
==ルール==
 
==ルール==
 
;唱えたときの誘発型能力
 
;唱えたときの誘発型能力
*[[対戦相手]]のコントロールを得る[[効果]]に関する[[ルール]]は[[他のプレイヤーをコントロールする]]を参照。
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*[[対戦相手]]の[[コントロール]]を得る[[効果]]に関する[[ルール]]は[[他のプレイヤーをコントロールする]]を参照。
 
**特に[[サイドボード]]を[[見る]]ことに関するルールは[[異界月]]発売に合わせて変更されているため注意。
 
**特に[[サイドボード]]を[[見る]]ことに関するルールは[[異界月]]発売に合わせて変更されているため注意。
 
*この[[能力]]を同一[[ターン]]中に複数回[[解決]]しても、対戦相手をコントロールできるのは次の1ターンのみである。なお、その対戦相手が得る[[追加のターン]]の数は累積する。
 
*この[[能力]]を同一[[ターン]]中に複数回[[解決]]しても、対戦相手をコントロールできるのは次の1ターンのみである。なお、その対戦相手が得る[[追加のターン]]の数は累積する。
 
;プロテクション
 
;プロテクション
*[[プロテクション]]([[インスタント]])は「『インスタント・[[呪文]]』および『インスタント・[[カード]]の[[起動型能力]]や[[誘発型能力]]』の[[対象]]にならず、それらから[[与える|与えられる]]すべての[[ダメージ]]を[[軽減]]する」を意味する。
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*[[プロテクション]]([[インスタント]])は「『インスタント・[[呪文]]』および『インスタント・[[カード]]の[[起動型能力]]や[[誘発型能力]]』の[[対象]]にならず、それらから[[与える|与え]]られるすべての[[ダメージ]]を[[軽減]]する」を意味する。
 
**例1:エムラクールを対象に[[大地力/Earthbrawn]]を[[唱える]]ことはできない。また、エムラクールを対象に大地力の[[補強]]を[[起動]]することもできない。
 
**例1:エムラクールを対象に[[大地力/Earthbrawn]]を[[唱える]]ことはできない。また、エムラクールを対象に大地力の[[補強]]を[[起動]]することもできない。
 
**例2:[[コジレックの帰還/Kozilek's Return]]が唱えられた場合でも、[[墓地]]にあるコジレックの帰還の能力が[[誘発]]した場合でも、それがエムラクールに与えるダメージはすべて軽減される。
 
**例2:[[コジレックの帰還/Kozilek's Return]]が唱えられた場合でも、[[墓地]]にあるコジレックの帰還の能力が[[誘発]]した場合でも、それがエムラクールに与えるダメージはすべて軽減される。
 
*プロテクションは[[戦場]]にいる間のみ機能する能力である。[[スタック]]上のこのカードを[[取り消し/Cancel]]などで[[打ち消す]]ことは可能。
 
*プロテクションは[[戦場]]にいる間のみ機能する能力である。[[スタック]]上のこのカードを[[取り消し/Cancel]]などで[[打ち消す]]ことは可能。
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==禁止指定==
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[[2017年]]1月20日から、スタンダードで[[禁止カード]]に指定される<ref name="0018224">[https://web.archive.org/web/20220817195156/http://magic.wizards.com/en/articles/archive/news/january-9-2017-banned-and-restricted-announcement-2017-01-09 January 9, 2017 Banned and Restricted Announcement(Internet Archive)]/[https://mtg-jp.com/reading/publicity/0018224/ 2017年1月9日 禁止制限告知]</ref>。プロテクション(インスタント)と誘発する能力の相乗効果であまりに対処の方法が少ない点に加え、[[霊気池の驚異/Aetherworks Marvel]]との組み合わせが強力すぎたことが問題となった<ref name="0018208">[https://web.archive.org/web/20211203195737/http://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/kaladesh-standard-retrospective-2016-12-16 Kaladesh Standard Retrospective(Internet Archive)]/[https://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0018208/ 『カラデシュ』スタンダード総括]([[Daily MTG]]、Latest Developments、[[2016年]]12月16日、文:[[Sam Stoddard]]、訳:[[益山拓也]])</ref><ref name="0018263">[https://web.archive.org/web/20221105002416/http://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/standard-2017-01-13 Standard(Internet Archive)]/[https://mtg-jp.com/reading/ld/0018263/ スタンダード](Daily MTG、Latest Developments、[[2017年]]1月13日、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也)</ref>。
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*禁止制限の告知記事では「''恐ろしく強力なものとなるべく作り出された《約束された終末、エムラクール》はその約束をとてもうまく果たしていました。エムラクールが直面する抵抗はほんのわずかで、彼女は[[ゲーム]]をあまりにあっけなく終わらせてしまいました。彼女は物語中の世界の終末、全能の怪物であり、それはスタンダードにとってやりすぎたものでした。''」とストーリーを意識した説明がされていた<ref name="0018224"/>。
  
 
==開発秘話==
 
==開発秘話==
[[戦乱のゼンディカー・ブロック]]は元々3つの[[エキスパンション]]で構成されており、[[戦乱のゼンディカー|第1セット]]が[[ウラモグ/Ulamog]]、[[ゲートウォッチの誓い|第2セット]]が[[コジレック/Kozilek]]、第3セットがエムラクールに焦点を当てたものになる予定だった。しかし開発中に1[[ブロック (総称)|ブロック]]2セット制への移行が決まったため、エムラクールの出番を別途用意する必要が生じてしまった。[[R&D|開発部]]は[[Adam Lee]]が数年前に提案していた、「異世界の勢力(最有力候補は既存のキャラクターであるエムラクール)を黒幕とする、[[Wikipedia:ja:クトゥルフ神話#成り立ち|コズミック・ホラー]]要素を取り入れた[[イニストラード/Innistrad]]再訪」のアイディアを採用することにした<ref>[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/eldritch-perfect-part-1-2016-07-11 Eldritch Perfect, Part 1]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/mm/0017131/# 異界の完成 その1](Daily MTG、Making Magic、文:[[Mark Rosewater]]、訳:[[米村薫]])</ref>。
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[[戦乱のゼンディカー・ブロック]]は元々3つの[[エキスパンション]]で構成されており、[[戦乱のゼンディカー|第1セット]]が[[ウラモグ/Ulamog]]、[[ゲートウォッチの誓い|第2セット]]が[[コジレック/Kozilek]]、第3セットがエムラクールに焦点を当てたものになる予定だった。しかし開発中に1[[ブロック (総称)|ブロック]]2セット制への移行が決まったため、エムラクールの出番を別途用意する必要が生じてしまった。[[R&D|開発部]]は[[Adam Lee]]が数年前に提案していた、「異世界の勢力(最有力候補は既存のキャラクターであるエムラクール)を黒幕とする、[[Wikipedia:ja:クトゥルフ神話#成り立ち|コズミック・ホラー]]要素を取り入れた[[イニストラード/Innistrad]]再訪」のアイディアを採用することにした<ref>[https://magic.wizards.com/en/news/making-magic/eldritch-perfect-part-1-2016-07-11 Eldritch Perfect, Part 1]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0017131/ 異界の完成 その1](Daily MTG、Making Magic、[[2016年]]7月11日、文:[[Mark Rosewater]]、訳:[[米村薫]])</ref>。
  
新しいエムラクールは[[引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn]]と同様に魅力的なものであり、かつ初代とは違って「出せば[[勝利|勝ち]]」にはならないカードにすることが求められた。唱えたときの誘発型能力は当初[[パーマネント]]の[[コントロール (ルール用語)|コントロール]]を[[得る]]ものだったが、[[絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger]]の[[除去]]能力と方向性が似すぎていたため、対戦相手自身のコントロールを得るものに変更された。さらに追加ターンを与えることで、対戦相手から反撃の余地を完全には奪ってしまわないようにデザインされている。
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新しいエムラクールは[[引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn]]と同様に魅力的なものであり、かつ初代とは違って「出せば[[勝利|勝ち]]」にはならないカードにすることが求められた。唱えたときの誘発型能力は当初[[パーマネント]]の[[コントロール]]を[[得る]]ものだったが、[[絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger]]の[[除去]]能力と方向性が似すぎていたため、対戦相手自身のコントロールを得るものに変更された。さらに追加ターンを与えることで、対戦相手から反撃の余地を完全には奪ってしまわないようにデザインされている。
  
 
またエムラクールが[[単体除去]]1枚で簡単に対処されることは望ましくないため、[[除去耐性]]も必要とされた。候補としては「不治/Incurable(これは[[追放]]されたり[[オーナー]]の[[手札]]や[[ライブラリー]]に[[戻す|戻さ]]れたりしない)」や「唱えたときの誘発型能力を、能力の解決時から対戦相手のコントロールを得るようにする」などが挙げられたが、最終的にはプロテクション(インスタント)になった。
 
またエムラクールが[[単体除去]]1枚で簡単に対処されることは望ましくないため、[[除去耐性]]も必要とされた。候補としては「不治/Incurable(これは[[追放]]されたり[[オーナー]]の[[手札]]や[[ライブラリー]]に[[戻す|戻さ]]れたりしない)」や「唱えたときの誘発型能力を、能力の解決時から対戦相手のコントロールを得るようにする」などが挙げられたが、最終的にはプロテクション(インスタント)になった。
  
[[点数で見たマナ・コスト]]、[[パワー]]、[[タフネス]]はイニストラードの13テーマに因んですべて13となった。しかし[[エルドラージ覚醒]]や戦乱のゼンディカー・ブロックと違い、イニストラードを覆う影ブロックは極端な高[[マナ]]域にアクセスできるように作られておらず、そのままでは[[リミテッド]]で非常に使いづらいという問題があった。これを解決するため、[[昂揚]]の流れを汲む[[コスト]]減少能力が付けられた<ref>[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/mrakul-files-developing-emrakul-2016-06-24 M'rakul Files: Developing Emrakul]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0017110/# Mラクールファイル 「エムラクールのデベロップ」編](Daily MTG、Latest Developments、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也)</ref>。
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[[マナ総量]]、[[パワー]]、[[タフネス]]はイニストラードの13テーマに因んですべて13となった。しかし[[エルドラージ覚醒]]や戦乱のゼンディカー・ブロックと違い、イニストラードを覆う影ブロックは極端な高[[マナ]]域にアクセスできるように作られておらず、そのままでは[[リミテッド]]で非常に使いづらいという問題があった。これを解決するため、[[昂揚]]の流れを汲む[[コスト]]減少能力が付けられた<ref>[https://web.archive.org/web/20211203182942/http://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/mrakul-files-developing-emrakul-2016-06-24 M'rakul Files: Developing Emrakul(Internet Archive)]/[https://mtg-jp.com/reading/ld/0017110/ Mラクールファイル 「エムラクールのデベロップ」編](Daily MTG、Latest Developments、2016年6月24日、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也)</ref>。
  
 
*こうした[[デベロップ・チーム]]の配慮にもかかわらず、スタンダードにおいては対処手段が非常に少なくなってしまい、[[異界月]]の目玉カードでありながらわずか半年でのスタンダード退場となった。
 
*こうした[[デベロップ・チーム]]の配慮にもかかわらず、スタンダードにおいては対処手段が非常に少なくなってしまい、[[異界月]]の目玉カードでありながらわずか半年でのスタンダード退場となった。
 
*[[Sam Stoddard]]は[[精神隷属器/Mindslaver]]効果を内蔵したこのカードについて「最初の1~2回はとてもクールだが、3~4回目になると驚異的に腹立たしくなる」とし、多くの対戦で基本的な[[エンドカード]]になったことで楽しさが損なわれてしまったと後に振り返っている<ref name="0018208" /><ref name="0018263" />。
 
*[[Sam Stoddard]]は[[精神隷属器/Mindslaver]]効果を内蔵したこのカードについて「最初の1~2回はとてもクールだが、3~4回目になると驚異的に腹立たしくなる」とし、多くの対戦で基本的な[[エンドカード]]になったことで楽しさが損なわれてしまったと後に振り返っている<ref name="0018208" /><ref name="0018263" />。
*[[Mark Rosewater]]は、フレイバー重視のストーリー・カードを意図的にトーナメントレベルにすることが楽しい[[環境]]を作るとは限らないという好例としてこのカードを挙げている<ref>[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/metamorphosis-2-0-2017-06-12 Metamorphosis 2.0]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/mm/0019021/ 変身2.0](Daily MTG、Making Magic、文:Mark Rosewater)</ref>。
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*[[Mark Rosewater]]は、フレイバー重視のストーリー・カードを意図的にトーナメントレベルにすることが楽しい[[環境]]を作るとは限らないという好例としてこのカードを挙げている<ref>[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/metamorphosis-2-0-2017-06-12 Metamorphosis 2.0]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0019021/ 変身2.0]([[Making Magic]] [[2017年]]6月12日 [[Mark Rosewater]]著)</ref>。
  
 
==関連カード==
 
==関連カード==
*[[引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn]]
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{{キャラクターを表すカード/エムラクール}}
  
 
==ストーリー==
 
==ストーリー==
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*[[ターン・フェイズ・ステップを追加するカード]]
 
*[[ターン・フェイズ・ステップを追加するカード]]
 
*[[カード個別評価:異界月]] - [[神話レア]]
 
*[[カード個別評価:異界月]] - [[神話レア]]
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*[[Secret Lair Drop Series/2023年#Artist Series: John Avon|Secret Lair Drop Series: Artist Series: John Avon]]
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*[[カード個別評価:イニストラードを覆う影リマスター]] - [[神話レア]]

2024年8月30日 (金) 21:27時点における最新版


Emrakul, the Promised End / 約束された終末、エムラクール (13)
伝説のクリーチャー — エルドラージ(Eldrazi)

この呪文を唱えるためのコストは、あなたの墓地にあるカードに含まれるカード・タイプ1種類につき(1)少なくなる。
あなたがこの呪文を唱えたとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーの次のターンの間、あなたはそのプレイヤーのコントロールを得る。そのターンに続いて、そのプレイヤーは追加の1ターンを得る。
飛行、トランプル、プロテクション(インスタント)

13/13

イニストラードを覆う影ブロックのストーリーの元凶として再登場したエムラクール/Emrakul能力は、墓地にあるカード・タイプを参照したマナ・コストの減少、唱えた時に誘発する追加ターン付与つきの最悪の恐怖/Worst Fears飛行トランプルインスタントへのプロテクション

目次

[編集] 解説

13マナはいささか重すぎるが、適当に呪文を唱えている内に自身の能力で3~4マナはコストが減るので実用的なマナ・コストに落ち着くだろう。イニストラードを覆う影ブロックで推奨されている昂揚メカニズムへの補助を用いれば、さらに軽くすることもそう難しくもない。

13/13というサイズが飛行とトランプルに加えて除去耐性まで持っているため、フィニッシャーとしての性能は充分。この手の単独で巨体を誇るフィニッシャーにありがちな弱点としてこれ1体が戦場に出てもすでに間に合っていないことがよくあるが、対戦相手ターンを奪うことによりどんなに悪くとも対戦相手のクリーチャー1体をこれに向かってチャンプアタックさせることができるし、相手のデッキや戦場の状況次第では追加ターンによる立て直しも効かないぐらいの壊滅的被害を与えることも可能。

登場時のスタンダードでは、黒緑昂揚赤緑昂揚ランプ現出デッキと複数のデッキでの活躍を見せた。

[編集] ルール

唱えたときの誘発型能力
プロテクション

[編集] 禁止指定

2017年1月20日から、スタンダードで禁止カードに指定される[2]。プロテクション(インスタント)と誘発する能力の相乗効果であまりに対処の方法が少ない点に加え、霊気池の驚異/Aetherworks Marvelとの組み合わせが強力すぎたことが問題となった[3][4]

  • 禁止制限の告知記事では「恐ろしく強力なものとなるべく作り出された《約束された終末、エムラクール》はその約束をとてもうまく果たしていました。エムラクールが直面する抵抗はほんのわずかで、彼女はゲームをあまりにあっけなく終わらせてしまいました。彼女は物語中の世界の終末、全能の怪物であり、それはスタンダードにとってやりすぎたものでした。」とストーリーを意識した説明がされていた[2]

[編集] 開発秘話

戦乱のゼンディカー・ブロックは元々3つのエキスパンションで構成されており、第1セットウラモグ/Ulamog第2セットコジレック/Kozilek、第3セットがエムラクールに焦点を当てたものになる予定だった。しかし開発中に1ブロック2セット制への移行が決まったため、エムラクールの出番を別途用意する必要が生じてしまった。開発部Adam Leeが数年前に提案していた、「異世界の勢力(最有力候補は既存のキャラクターであるエムラクール)を黒幕とする、コズミック・ホラー要素を取り入れたイニストラード/Innistrad再訪」のアイディアを採用することにした[5]

新しいエムラクールは引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Tornと同様に魅力的なものであり、かつ初代とは違って「出せば勝ち」にはならないカードにすることが求められた。唱えたときの誘発型能力は当初パーマネントコントロール得るものだったが、絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger除去能力と方向性が似すぎていたため、対戦相手自身のコントロールを得るものに変更された。さらに追加ターンを与えることで、対戦相手から反撃の余地を完全には奪ってしまわないようにデザインされている。

またエムラクールが単体除去1枚で簡単に対処されることは望ましくないため、除去耐性も必要とされた。候補としては「不治/Incurable(これは追放されたりオーナー手札ライブラリー戻されたりしない)」や「唱えたときの誘発型能力を、能力の解決時から対戦相手のコントロールを得るようにする」などが挙げられたが、最終的にはプロテクション(インスタント)になった。

マナ総量パワータフネスはイニストラードの13テーマに因んですべて13となった。しかしエルドラージ覚醒や戦乱のゼンディカー・ブロックと違い、イニストラードを覆う影ブロックは極端な高マナ域にアクセスできるように作られておらず、そのままではリミテッドで非常に使いづらいという問題があった。これを解決するため、昂揚の流れを汲むコスト減少能力が付けられた[6]

  • こうしたデベロップ・チームの配慮にもかかわらず、スタンダードにおいては対処手段が非常に少なくなってしまい、異界月の目玉カードでありながらわずか半年でのスタンダード退場となった。
  • Sam Stoddard精神隷属器/Mindslaver効果を内蔵したこのカードについて「最初の1~2回はとてもクールだが、3~4回目になると驚異的に腹立たしくなる」とし、多くの対戦で基本的なエンドカードになったことで楽しさが損なわれてしまったと後に振り返っている[3][4]
  • Mark Rosewaterは、フレイバー重視のストーリー・カードを意図的にトーナメントレベルにすることが楽しい環境を作るとは限らないという好例としてこのカードを挙げている[7]

[編集] 関連カード

[編集] ストーリー

ソリン・マルコフ/Sorin Markovへの復讐を目論むナヒリ/Nahiriによってイニストラード/Innistradに呼び寄せられたエムラクール/Emrakul。その存在によってイニストラードの生物たちは異形の姿へと変わり果ててしまう。

詳細はエムラクール/Emrakulを参照。

[編集] 脚注

  1. Why I Decided Not to Do Emrakul, and How We Shipped It Anyway(Daily MTG 2023年3月20日)
  2. 2.0 2.1 January 9, 2017 Banned and Restricted Announcement(Internet Archive)/2017年1月9日 禁止制限告知
  3. 3.0 3.1 Kaladesh Standard Retrospective(Internet Archive)/『カラデシュ』スタンダード総括Daily MTG、Latest Developments、2016年12月16日、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也
  4. 4.0 4.1 Standard(Internet Archive)/スタンダード(Daily MTG、Latest Developments、2017年1月13日、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也)
  5. Eldritch Perfect, Part 1/異界の完成 その1(Daily MTG、Making Magic、2016年7月11日、文:Mark Rosewater、訳:米村薫
  6. M'rakul Files: Developing Emrakul(Internet Archive)/Mラクールファイル 「エムラクールのデベロップ」編(Daily MTG、Latest Developments、2016年6月24日、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也)
  7. Metamorphosis 2.0/変身2.0Making Magic 2017年6月12日 Mark Rosewater著)

[編集] 参考

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