上位互換
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上位互換 (Strictly Better)とは、同じ能力でありながらマナ・コストが軽いとか、同じマナ・コストでありながらパワー、タフネスが高いなど、2枚のカードを比べた時に一方がもう一方に明らかに勝るような場合をいう。例えば、映像の造形者/Imagecrafterは脱走魔術師/Fugitive Wizardの上位互換である。
ただし、100%厳密な意味での上位互換は1枚たりとも存在しない。上位互換の正確な定義は「あらゆる局面で一方が優れている」ことであるが、そのようなことは絶対にありえないからである。霊感/InspirationとAncestral Recallにすら、それは当てはまる(#100%の上位互換が存在しない理由も参照)。
- メンタルマジックでは下位互換カードや同型再版カードをどれだけ覚えているかが鍵となる。
- 上位種とはちょっと意味が違う。上位種はサイズ、効果、マナ・コストなどが全体的に大きくなったカードのこと。
- ソフトウェア・ハードウェアの用語の「上位互換(Upper Compatibility)」とは意味が異なる(→Wikipedia:ja:上位互換参照)。
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M:tG Wikiでの方針
以上のように厳密な意味での上位互換は存在しないが、普通は単独での使い勝手のみで考えることが多いし、その方が実用的である。またそのようにしないと、上位互換、下位互換という形で比較すること自体が難しくなる。
よって、このWiki内で上位互換、下位互換を考える場合は単独での使い勝手のみで比較し、
- 「メジャーなクリーチャー・タイプであり部族カードの影響を受けやすい」
- 「特定のカードとの相互作用で評価が逆転する」
など個別の事柄については別に言及する。 「(比較対象それぞれの)カードに書かれていることのみで比較する」と考えると分かりやすい。
例
- 幻影獣/Phantom Monsterと大ダコ/Giant Octopusを比べる場合
- 幻影獣は大ダコと同じマナ・コスト、サイズで飛行を持っているため、大ダコの上位互換である。
- 石の精/Stone Spiritに対するブロッカーとしては評価が逆転するが、それは石の精のテキストに書かれていることなので、幻影獣と大ダコを単純比較する場合は考慮しない(別に言及するか石の精のページに書く)。翼わな/Wing Snareなど、飛行を特別に参照するカードについても同様に扱う。
- 大気の精霊/Air Elementalと逃亡した多相の戦士/Escaped Shapeshifterを比べる場合
また、同等以上のインスタントはソーサリーの上位互換として扱う。払拭/Dispelや運命の回避/Avoid Fateなどインスタントを特別に参照するカードもあるが、それらは考慮しない。
例
- 稲妻/Lightning Boltと焦熱の槍/Scorching Spearの場合、稲妻はインスタントであり焦熱の槍よりも効果が優れているので稲妻が焦熱の槍の上位互換。
- 跳躍/Leapと羽根の外套/Cloak of Feathersの場合、効果は同じだが、インスタントである跳躍が羽根の外套の上位互換。
また、パーマネントの、自身を生け贄に捧げることのみを起動コストとする起動型能力やCIP能力がソーサリーと同等以上の効果をもつ場合、それらのパーマネントはソーサリーの上位互換として扱う。それらのパーマネントが瞬速を持つ場合、同様にしてインスタントの上位互換になり得る。
例
- 太陽破の天使/Sunblast Angelと関羽の千里行/Guan Yu's 1,000-Li Marchの場合、効果は同じだが、クリーチャーである太陽破の天使が関羽の千里行の上位互換。
- モグの狂信者/Mogg Fanaticと焦熱の槍/Scorching Spearの場合、効果は同じだが、クリーチャーであるモグの狂信者が焦熱の槍の上位互換。
- 熟考漂い/Mulldrifterと予言/Divinationの場合、熟考漂いを想起した場合は効果は同じだが、クリーチャーである熟考漂いが予言の上位互換。
100%の上位互換が存在しない理由
100%の上位互換が存在しない理由は、比較の妨げになる要素が数多く存在するからである。それには以下のようなものがある。
- カード・タイプが違う場合
- 例えば風生まれの詩神/Windborn Muse(戦闘に参加できる)と亡霊の牢獄/Ghostly Prison(クリーチャー除去が効かない・マナ・コストが低い)など。
- サブタイプや色が異なる場合
- 例えばモンスのゴブリン略奪隊/Mons's Goblin Raiders(ゴブリン)と凍らし/Frostling(スピリット)、解呪/Disenchant(白)と粉砕/Shatter(赤)と青サビ/Verdigris(緑)など。
- 稀少度(入手率)が異なる場合
- 入手率が異なるリミテッドでは重要となっている。
- たとえばワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine(神話レア)と剃刀ヶ原の打つもの/Razorfield Thresher(コモン)、マナリス/Manalith(基本セット2012で1種類)と各種オベリスク(アラーラの断片で5種類)など。
- また、レアを墓地送りにするRare-B-Goneや、コモンしか使えない環境(Pauper)がある。
- 相手のカードを利用するカードを考慮した場合
- 例えば威圧/Dominateや精神隷属器/Mindslaverなど。
- 状況に応じてメリットになったりデメリットになったりする場合
- 例えば飛行。寄せ餌/Lureなどの存在を考えると、持たない方が良い局面も存在する。現に寄せ餌とのコンボにおいて、コカトリス/Cockatriceと茂みのバジリスク/Thicket Basiliskでは後者の方がよく使われていた。被覆などは、完全なメリットとして扱っていいのかという議論も交わされていた。
- クリーチャーの場合に、パワーやタフネスが大きいことがデメリットになり得るケースは極めて多く、普遍的と言ってすら良い。たとえば罠の橋/Ensnaring Bridgeで攻撃できない、弱者の石/Meekstoneでアンタップしない、復仇/Reprisalで除去される、反発/Backlashで自分にダメージ、などなど。
- 点数で見たマナ・コストを参照するカード(燻し/Smother・うつろう爆発/Erratic Explosionなど)の存在から、マナ・コストも小さい方が良いとは限らない。軽蔑する利己主義者/Scornful Egotistなどは、もはやそのようなカードのためにデザインされている。
- マナ・シンボルを参照するカード(魔力を持つペンダント/Charmed Pendant・彩色など)の存在から、色拘束も薄い方が良いとは限らない。
- カード名が違う場合
- 翻弄する魔道士/Meddling Mageや嘘つきの振り子/Liar's Pendulumなど、名前を参照するカードが存在するのがその理由である。
- それらを使うプレイヤーは、間違いなく「強い」カードの名前を言うだろう。そのため、「弱くても別のカードが欲しい」という奇妙な状況が発生してしまうのだ。
- マスクス・ブロック〜インベイジョン・ブロック期のスタンダードにおいて、神の怒り/Wrath of Godを封じられた時のために、その枚数を減らし(追加能力が付いているとはいえ)1マナ重い総くずれ/Routを投入する、という構築が、実際にトッププレイヤーの間でも行われていた。
- ミラディン・ブロック~ゼンディカー・ブロック期のエクステンデッドのけちコントロールでは神の怒り/Wrath of Godと審判の日/Day of Judgment両方を投入されている。それによりけちな贈り物/Gifts Ungivenで全体除去を手に入れやすくなっている。
- カード名が同じで能力が違うものは1枚もないため、100%の上位互換が存在しない事が説明できる。
- 銀枠のカードを考慮するとプレミアム・カード、エキスパンション・シンボル、アーティストなどによって同名のカードでも挙動が異なるが、場合によって完全なメリットにはならず比較しても完全な上位互換とできないのがマジックの常である。
実際の用途
上記のような定義的な意味ではなく、より一般的な意味で使われる場合がある。
その場合は概ね厳密ではなく、メタやデッキ構造などを加味した上で、総合的に勝っていると考えられるものを上位互換と呼ぶことが多い。
参考
- 共通の地盤 ――神河物語の伝説の土地の利点(と弱点)の評価(Wizards社;英語)
- 用語集
- 下位互換
- Strictly Better Cards (有志による上位互換カードの暫定リスト)