孔蹄のビヒモス/Craterhoof Behemoth

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[[踏み荒らし/Overrun]]に似た[[全体強化]][[CIP]][[能力]]を持つ[[大型]][[速攻]][[クリーチャー]]。
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自軍の総数に等しい数の[[P/T]][[強化]]と[[トランプル]]を全体に与える、[[踏み荒らし/Overrun]]に似た[[CIP]][[能力]]を持つ[[大型]][[速攻]][[クリーチャー]]。
  
[[修整]]値は不定だが、踏み荒らし自体クリーチャーが2体以下の状況で使うような[[呪文]]ではない上に、これ自身も頭数に数えられるので修整値が下回るケースは殆ど無いと言っていい。踏み荒らしの[[マナ・コスト]]が(2)(緑)(緑)(緑)なので、5/5速攻のマナ・コストが(3)以下ということになる。抱き合わせならではの脅威的な[[コスト・パフォーマンス]]である。
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[[重い|重過ぎる]][[マナ・コスト]]、それに見合わぬ一見もの足りない[[サイズ]]、[[除去耐性]]を持たない、[[修整]]値が不定で単体だと6/6速攻にしかならないなど、第一印象で強さが判りにくい種類の[[カード]]であり、当初は「脆い[[ファッティ|デカブツ]]」の多分に漏れず[[カスレア]]扱いされる事も珍しくなかった。しかしながら、実戦への投入を経てその高いポテンシャルが知れ渡る事となった。
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==解説==
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[[修整]]値は不定だが、踏み荒らし自体が2体以下の状況で使うような[[呪文]]でない上、これ自身も頭数に数えられるので、ある程度クリーチャーの濃い[[デッキ]]であれば修整値が下回るケースは殆ど無いと言っていい。すなわち+3/+3以上の強化を安定して見込めるという事で、速攻持ちの[[本体]]も含めて爆発力が非常に高い。例えば、他に1/1が3体もいれば+4/+4の修整で合計[[ダメージ]]が24点と、多少の[[ブロック・クリーチャー|ブロッカー]]がいても致死量になる。頭数を増やした場合は言わずもがなで、クリーチャーの質にこだわらずとも、[[展開]]さえできていれば一定以上の[[効果]]を確実に発揮するという強みを持つ。サイズに関しても、踏み荒らしのマナ・コストを差し引けば、5/5速攻が(3)[[マナ]]以下で付随する、抱き合わせならではの脅威的な[[コスト・パフォーマンス]]である。
  
とはいえ普通の[[ビートダウン (デッキ)|ビートダウン]]で払いきれるような[[重い|重さ]]ではないので、[[ビッグ・マナ]]系のデッキか、[[リアニメイト]]などで[[コスト]]を踏み倒して使うことになるだろう。他に1/1が3体もいれば、+4/+4の修整で合計[[ダメージ]]が24点と、多少の[[ブロック・クリーチャー|ブロッカー]]がいても致死量になる。
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[[除去耐性]]を持たない事も、運用の性質上、そこまで深刻なデメリットではない。上述した通り、基本的にその場で一発[[殴る|殴れば]][[ゲーム]]が終わる[[エンドカード]]のため、事実上[[ソーサリー]][[除去]]を苦にしない。また、[[戦場に出た]]時点で全体に打点と突破力を付与するため、[[インスタント]]除去に対しても幾分か耐性がある。これ自身に[[単体除去]]を撃たれても[[クロック]]の減衰に留まり、5~6体以上も並べればそれを差し引いても「出れば勝ち」の状態に持ち込む事も可能と、[[プレイング]]次第で実質的な無力化も図れる。
  
実際に[[グランプリボーフム12]]においてこの[[カード]]を中心に据えた[[デッキ]]が優勝し、話題を呼んだ。当時の[[スタンダード]]では、[[インスタント・タイミング]]での[[除去]]が少ない環境である点も大きかった。同デッキの結果を受け、[[緑]]相手に序盤の[[マナ・クリーチャー]]を[[焼く]]か否かの判断はより重要になった。
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弱点としては、爆発力の大元はあくまでCIP能力のため、[[手札破壊]][[打ち消し]]など、[[着地]]前に干渉してくる妨害手段は苦手。また、クリーチャーそのものへの依存度の高さから[[リセット]]にも弱く、事前の[[全体火力]][[全体除去]]で簡単にプランを崩されてしまうのには留意する必要がある。そうした妨害を多用する相手に対しては、他のカードへの差し替えも想定しておきたい。
  
[[レガシー]]では[[親和エルフ]]が[[自然の秩序/Natural Order]]から[[戦場に出す|戦場に出してくる]]ことがある。[[大祖始/Progenitus]]などと違って単体では強くないが、戦場にある程度クリーチャーがいれば即座に[[勝利]]まで持っていける点が評価されている。大祖始と違って[[素出し]]できる可能性がある点も魅力。
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通常の[[ビートダウン (デッキ)|ビートダウン]]では流石に取り回しが厳しい重さのため、適切に扱うなら[[ビッグ・マナ]]系デッキの出番となる。「[[マナ・クリーチャー]]を出してマナを伸ばす」という基礎的な動きをそのまま[[勝利]]手段にできるのは魅力で、このほか、[[リアニメイト]]などの踏み倒し手段を用いた奇襲的なアプローチも有用である。
  
[[リミテッド]]では、戦場に出せさえすればほぼ勝てる。他の[[ファッティ]]達と違い、その[[ターン]]の内に決着させられるのは大きな強み。易々と払えるコストでないのも確かなので、クリーチャーの頭数を揃えつつマナ基盤を安定させる[[国境地帯のレインジャー/Borderland Ranger]]などを確保しておきたい。
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うまく扱うには相応のデッキ構成を求められるが、高い決定力が持ち味の[[フィニッシャー]]として、現在でも複数の[[フォーマット]][[対戦相手]]にその蹄跡を刻み続けている。[[モダンマスターズ2017]]では[[緑]]の[[神話レア]]の枠にも抜擢されるなど、当初の評価から大きな立身を遂げたカードと言えるだろう。
  
*戦闘後に戦場に出た場合はほぼ意味のない能力となってしまうので、[[モミール・ベーシック]]で戦闘後に出ると悲しくなる。同じ8マナ域には[[殺戮の化身/Avatar of Slaughter]]のような状況によっては戦闘前に出ると危険、というクリーチャーもいるので、一概に戦闘前に[[Momir Vig, Simic Visionary Avatar]]の[[能力]]を[[起動]]するべき、とは言えないのだが。
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==活躍==
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===[[スタンダード]]===
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冒頭の通り、登場後暫くは殆ど注目される事無く、[[出産の殻]]で僅かに採用があるか、[[緑単色デッキ|緑単ビートダウン]]で使われる程度の[[メタ外]]で燻っていた。[[ラヴニカへの回帰]]参入後は[[リアニメイト/スタンダード/イニストラード・ブロック+ラヴニカへの回帰ブロック期|4色リアニメイト]]で採用されるようになり、[[グランプリオークランド12]]においてTOP8中優勝者を含む3人がこれを使用するという躍進を遂げた。続く[[グランプリボーフム12]]では、[[ソンバーワルドの賢者/Somberwald Sage]]も含めて大量のマナ・クリーチャーを併用した変型版4色リアニメイトの優勝が話題を呼び、デッキ戦略の中心として[[メインデッキ]]にフル投入されていた事から一躍[[カードパワー]]が周知された。当時は[[インスタント・タイミング]]での[[除去]]が少ないという[[環境]]的に有利な面もあり、同デッキの結果を受けて、緑相手に序盤のマナ・クリーチャーを[[焼く]]か否かの判断はより重要になった。その後も結果を残し続け、[[基本セット2014]]と共存した環境の最終盤では、再び緑単ビートダウン(あるいは[[白緑ビートダウン]])での活躍も見られた。
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===[[モダン]]===
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[[テーロス]]参入後に成立した[[緑単信心]]で使われる。デッキ戦略の根幹を成す大量展開・大量マナの二本柱と非常に相性がよく、コンセプトを同じくする[[エルフ (デッキ)#モダン|エルフ]]で採用される事もある。[[召喚士の契約/Summoner's Pact]]や[[原初の命令/Primal Command]]といった優秀な[[サーチカード]]群のおかげで一枚挿しでも安定して機能し、[[召喚の調べ/Chord of Calling]]や[[起源の波/Genesis Wave]]から直接飛び出してくる事もある。ごく少数だが[[ドレッジ#モダン|ドレッジ]]での採用例も。
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===[[レガシー]]===
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[[親和エルフ]]で採用される。[[自然の秩序/Natural Order]]によって、サーチインを容易に行えるのが大きな強み。他の踏み倒し候補として有力な[[大祖始/Progenitus]]などと違って単体では強くないが、[[戦場]]にある程度クリーチャーがいれば即座に勝利まで持っていける点が評価されている。[[ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle]]によって現実的な[[素出し]]プランが取れるのも魅力。
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===[[リミテッド]]===
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クリーチャー戦が主体、かつこれが出せるまで長引いていれば戦場も相応に膠着しているという事で、着地すればほぼ勝てる。他のファッティ達と違い、その[[ターン]]の内に決着をつけられるのは大きな強み。易々と[[支払う|支払える]][[コスト]]でないのも確かなので、頭数と[[マナ基盤]]の安定に貢献する[[国境地帯のレインジャー/Borderland Ranger]]などを確保しておきたい。
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===[[モミール・ベーシック]](番外)===
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クリーチャーオンリーの[[フォーマット]]とあって、リミテッドと同様の理由で強力。8マナという元手に恥じない打撃力を発揮してくれる筈だが、同マナ域には[[殺戮の化身/Avatar of Slaughter]]という危険物が存在するため、必ずしも[[戦闘]]前に[[Momir Vig, Simic Visionary Avatar]]の[[能力]]を[[起動]]するのがベターでない点はもどかしい。戦闘後に戦場に出た場合は速攻も含めてほぼ意味がなく、5マナ程度の性能に8マナを費やしたという悲しいコストパフォーマンスに。
  
 
==参考==
 
==参考==

2018年6月11日 (月) 01:27時点における版


Craterhoof Behemoth / 孔蹄のビヒモス (5)(緑)(緑)(緑)
クリーチャー — ビースト(Beast)

速攻
孔蹄のビヒモスが戦場に出たとき、ターン終了時まであなたがコントロールするクリーチャーはトランプルを得るとともに+X/+Xの修整を受ける。Xはあなたがコントロールするクリーチャーの数である。

5/5

自軍の総数に等しい数のP/T強化トランプルを全体に与える、踏み荒らし/Overrunに似たCIP能力を持つ大型速攻クリーチャー

重過ぎるマナ・コスト、それに見合わぬ一見もの足りないサイズ除去耐性を持たない、修整値が不定で単体だと6/6速攻にしかならないなど、第一印象で強さが判りにくい種類のカードであり、当初は「脆いデカブツ」の多分に漏れずカスレア扱いされる事も珍しくなかった。しかしながら、実戦への投入を経てその高いポテンシャルが知れ渡る事となった。

目次

解説

修整値は不定だが、踏み荒らし自体が2体以下の状況で使うような呪文でない上、これ自身も頭数に数えられるので、ある程度クリーチャーの濃いデッキであれば修整値が下回るケースは殆ど無いと言っていい。すなわち+3/+3以上の強化を安定して見込めるという事で、速攻持ちの本体も含めて爆発力が非常に高い。例えば、他に1/1が3体もいれば+4/+4の修整で合計ダメージが24点と、多少のブロッカーがいても致死量になる。頭数を増やした場合は言わずもがなで、クリーチャーの質にこだわらずとも、展開さえできていれば一定以上の効果を確実に発揮するという強みを持つ。サイズに関しても、踏み荒らしのマナ・コストを差し引けば、5/5速攻が(3)マナ以下で付随する、抱き合わせならではの脅威的なコスト・パフォーマンスである。

除去耐性を持たない事も、運用の性質上、そこまで深刻なデメリットではない。上述した通り、基本的にその場で一発殴ればゲームが終わるエンドカードのため、事実上ソーサリー除去を苦にしない。また、戦場に出た時点で全体に打点と突破力を付与するため、インスタント除去に対しても幾分か耐性がある。これ自身に単体除去を撃たれてもクロックの減衰に留まり、5~6体以上も並べればそれを差し引いても「出れば勝ち」の状態に持ち込む事も可能と、プレイング次第で実質的な無力化も図れる。

弱点としては、爆発力の大元はあくまでCIP能力のため、手札破壊打ち消しなど、着地前に干渉してくる妨害手段は苦手。また、クリーチャーそのものへの依存度の高さからリセットにも弱く、事前の全体火力全体除去で簡単にプランを崩されてしまうのには留意する必要がある。そうした妨害を多用する相手に対しては、他のカードへの差し替えも想定しておきたい。

通常のビートダウンでは流石に取り回しが厳しい重さのため、適切に扱うならビッグ・マナ系デッキの出番となる。「マナ・クリーチャーを出してマナを伸ばす」という基礎的な動きをそのまま勝利手段にできるのは魅力で、このほか、リアニメイトなどの踏み倒し手段を用いた奇襲的なアプローチも有用である。

うまく扱うには相応のデッキ構成を求められるが、高い決定力が持ち味のフィニッシャーとして、現在でも複数のフォーマット対戦相手にその蹄跡を刻み続けている。モダンマスターズ2017では神話レアの枠にも抜擢されるなど、当初の評価から大きな立身を遂げたカードと言えるだろう。

活躍

スタンダード

冒頭の通り、登場後暫くは殆ど注目される事無く、出産の殻で僅かに採用があるか、緑単ビートダウンで使われる程度のメタ外で燻っていた。ラヴニカへの回帰参入後は4色リアニメイトで採用されるようになり、グランプリオークランド12においてTOP8中優勝者を含む3人がこれを使用するという躍進を遂げた。続くグランプリボーフム12では、ソンバーワルドの賢者/Somberwald Sageも含めて大量のマナ・クリーチャーを併用した変型版4色リアニメイトの優勝が話題を呼び、デッキ戦略の中心としてメインデッキにフル投入されていた事から一躍カードパワーが周知された。当時はインスタント・タイミングでの除去が少ないという環境的に有利な面もあり、同デッキの結果を受けて、緑相手に序盤のマナ・クリーチャーを焼くか否かの判断はより重要になった。その後も結果を残し続け、基本セット2014と共存した環境の最終盤では、再び緑単ビートダウン(あるいは白緑ビートダウン)での活躍も見られた。

モダン

テーロス参入後に成立した緑単信心で使われる。デッキ戦略の根幹を成す大量展開・大量マナの二本柱と非常に相性がよく、コンセプトを同じくするエルフで採用される事もある。召喚士の契約/Summoner's Pact原初の命令/Primal Commandといった優秀なサーチカード群のおかげで一枚挿しでも安定して機能し、召喚の調べ/Chord of Calling起源の波/Genesis Waveから直接飛び出してくる事もある。ごく少数だがドレッジでの採用例も。

レガシー

親和エルフで採用される。自然の秩序/Natural Orderによって、サーチインを容易に行えるのが大きな強み。他の踏み倒し候補として有力な大祖始/Progenitusなどと違って単体では強くないが、戦場にある程度クリーチャーがいれば即座に勝利まで持っていける点が評価されている。ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradleによって現実的な素出しプランが取れるのも魅力。

リミテッド

クリーチャー戦が主体、かつこれが出せるまで長引いていれば戦場も相応に膠着しているという事で、着地すればほぼ勝てる。他のファッティ達と違い、そのターンの内に決着をつけられるのは大きな強み。易々と支払えるコストでないのも確かなので、頭数とマナ基盤の安定に貢献する国境地帯のレインジャー/Borderland Rangerなどを確保しておきたい。

モミール・ベーシック(番外)

クリーチャーオンリーのフォーマットとあって、リミテッドと同様の理由で強力。8マナという元手に恥じない打撃力を発揮してくれる筈だが、同マナ域には殺戮の化身/Avatar of Slaughterという危険物が存在するため、必ずしも戦闘前にMomir Vig, Simic Visionary Avatar能力起動するのがベターでない点はもどかしい。戦闘後に戦場に出た場合は速攻も含めてほぼ意味がなく、5マナ程度の性能に8マナを費やしたという悲しいコストパフォーマンスに。

参考

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