未解決問題
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未解決問題とは、ルールにより解決することができないとされている問題。
マジックのルールは厳密に決められていない部分が往々にしてあり、それゆえの未解決問題・未定義問題がいくつか存在する(ただ、マジックのデザインは言ってしまえばルールの破壊の歴史であり、かつこれだけカードが多いとやむをえないことではある)。もちろん(数学のレベルで)厳密にすることは理論上可能だが、ゲーム性との兼ね合いから、直感と反する部分がなるべく少なくなるよう妥協する必要もある。これら未解決問題を巧く回避しつつ、直感的に理解しやすいルールを作るため、ルール・グルたちは日々議論を続けている。
未解決問題とは、JNRや他のNetRep級の人が答えるのに困るような問題、とも言えるだろう。トーナメントでの取り扱いは、ヘッド・ジャッジの裁定にすべて従うことになるので、ゲームが進行できなくなる等の支障はない。とはいえ、未解決問題を使ったデッキはヘッド・ジャッジの裁量いかんにかかっているので、(もし使えたとしても)使わないほうがよいだろう。
2020年8月現在の未解決問題
- 無限ループの厳密な定義は、未だに確定していない。
- これについては「停止性問題」「ゲーテルの不完全性定理」といった、数学の非常に難解な部分に踏み込んでしまうため、マジックの総合ルールで解決できる範疇を超えてしまっている。
- Magic OnlineやMagic: The Gathering Arenaでは同一の処理が一定回数続いた場合、「強制的に停止してゲームを続行する」「ゲームを引き分けにして終了する」などの処理がとられている。時期によってはこれらの仕様を「悪用」して引き分けを狙う行為も目立ったため、それを防ぐべくあえて厳密に定義しないという判断もあるのだろう。 →人質取り/Hostage Taker
- あるクリーチャーが複数のパワー・タフネスを持ったときの挙動は、現行のルールでも一応説明できるが、厳密なところは定義されていない。
- 複数のパワー・タフネスを持ちうる状況は映し身人形/Duplicantのルール文章の不具合により発生していたが、この不具合はオラクル更新により修正されたため、現在はこの状況を考慮する必要は一切ない。その後もこのタフネスを複数持ちうる状況が起こらないようにオラクル変更で徹底的に潰して「解決」しているため、未解決問題というよりも「過去の問題点に対してルール面から解釈すると解決できない」といった形である。
- 分割カードの事例をもとに論理的に考えるならば、いずれかのタフネスを上回るダメージを負った場合に破壊され、複数のパワーでダメージを与えるとするのが妥当だろう。a/bとx/yのパワー/タフネスを持つクリーチャーが存在するならば、その挙動は(a+x)/z(zはbとyのうち小さいほう)のクリーチャーに類似するだろう。
- アン・ゲーム(旧銀枠ゲーム)においては、現実離れ/Far Outのリリースノート[1]を参考にする限り、モードの同時選択によって複数のパワー・タフネスを得た場合はそれらを合計したパワー・タフネスとなるようである。
- 魂剥ぎ/Soulflayerの探査によりカードを追放する時点でイクスリッドの看守/Yixlid Jailerが戦場に出ていた場合の挙動。
- 任意の数を選ぶ行為について、どこまで大きい数を宣言してもよいのか。
- 確実に相手より大きい数を宣言したい場合、たとえば災難の輪/Wheel of Misfortuneに複数のプレイヤーがダメージ反転/Reverse Damageを唱えた時などに問題になる。
過去の未解決問題(解決済み)
- 1ゲーム目に2人以上のプレイヤーが相棒に指定したカードを公開する際の順番。開始プレイヤー(先攻/後攻)を決定する前に公開するルールだったため、APNAP順を適用できず、どのプレイヤーから公開するのかが未定義となっていた。
- 排他の儀式/Exclusion Ritualやイクサランの束縛/Ixalan's Bindingの1番目の能力で追放した永遠の災い魔/Eternal Scourge、霧虚ろのグリフィン/Misthollow Griffin、不死身、スクイー/Squee, the Immortalなどを唱えるために追放領域からスタックに移動させると、2番目の能力のチェック時にCR:601.2eの制約を受けるかどうか。
- 野生の喚起/Wild Evocationで生命の運命/Living Destinyが公開された場合、追加コストの支払いで非公開領域である手札の情報を開示しなければならないのか問題となった。
- 2013年7月の総合ルール更新で、非公開領域にある特定の値を持つカードに関わる追加コストを持つ呪文は唱える事を強制されない事となった。(CR:118.8c)
- 三なる宝球/Trinisphereが戦場にある場合のファイレクシア・マナ・シンボルを含む呪文のコストの支払い。ファイレクシア・マナの支払いに2点ライフを選んだことでライフ以外で支払うマナが2マナ以下になった場合、三なる宝球の効果で3マナ支払う必要があるかどうかが不明瞭であった。
- 続唱によってマナ・コストを支払わずに苦悶の結合/Bond of Agonyを唱えた場合のXの扱い。当時の総合ルールに書かれた「適正なXの選択は0のみである」の定義外であったため、追加コストでXに好きな値(X=19など)を選べるかどうか議論となった。
- 自身の能力によって追放されたカードを墓地に置くことを起動コストとする起動型能力を持つカード(例:道化の王笏/Jester's Scepter、虚空の大口/Void Maw)と、カードが墓地に置かれることを追放されることに置換するカード(例:虚空の力線/Leyline of the Void、ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will)との相互作用。コストとしたカードは追放領域から移動しないが、以前の“記憶”は残るのか、再び前者のカードでコストとして使えるのか、など。
- 対戦相手の棘茨の精霊/Bramble Elementalに押収/Confiscateや夢のつなぎ紐/Dream Leashをつけたときに、苗木・クリーチャー・トークンはどちらの側に出るのか明確でなかった。
- 押収/Confiscateや夢のつなぎ紐/Dream Leashを唱えた(新たなコントローラー)側でトークンが出る、という裁定になった。
- 血染めの月/Blood Moonとタップインの土地との相互作用が明確になっていなかった。
- クリーチャー化すると同時に能力を与える効果(かつては全体が第4種)が重複したとき、その能力が重複するかどうかが明確になっていないと思われていた(この問題は日本以外ではとくに問題になっていなかったようだ)。
- どんな場合でも複数回能力を得た場合はその数だけ能力は重複することが確認された。
- 例:野の源獣/Genju of the Fieldsの能力を複数回起動すると、複数の誘発型能力を持つ。
- 現在では、第4種の例外扱いが廃止されているので、この手の問題は生じ得ない。
- どんな場合でも複数回能力を得た場合はその数だけ能力は重複することが確認された。
- 機械の行進/March of the Machinesがあるとき、元々クリーチャーでない烈日持ちはどちらのカウンターを乗せて戦場に出るのか明確でなかった。
- 2005年10月に烈日の定義が明確化され、+1/+1カウンターを持って戦場に出ることが確定した。
- 不死の標/Beacon of Immortalityでマイナスのライフを2倍にしたときの値は決定されていなかった。
- 足し算引き算のみではなく、2倍にするときもマイナスのまま数値を用いることになった。CR:107.1bに基づいて処理される。
- 融合する武具/Grafted Wargearを装備したクリーチャーがクリーチャーでなくなった場合、印刷時のテキストでの相互作用が不明確だった。
- 2004年6月裁定で、パーマネントからはずれることが誘発条件と変更され解決した。
- 烈日とコピー効果の相互作用に関する問題。
- 2004年6月裁定で、コピーにも烈日が適用可能とされ解決した。
- 映し身人形/Duplicantを使うことで、複数のパワー・タフネスを持つクリーチャーを実現可能だった。
- 水銀の精霊/Quicksilver Elementalと詐欺の壁/Wall of Deceitの相互作用による、水銀の精霊が裏向きになったときの挙動が未定義だったことがある。
脚注
- ↑ Unfinity Release Notes(Feature 2022年10月7日 Mark Rosewater and Jess Dunks著)