アモンケット/Amonkhet
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ヘクマの向こう側に広がる砂漠。風と砂によって岩は削り取られ、急峻な地形が形成されている。 | ヘクマの向こう側に広がる砂漠。風と砂によって岩は削り取られ、急峻な地形が形成されている。 | ||
− | ===ラムナプ/Ramunap=== | + | ===<span id="ラムナプ/Ramunap">遺棄地/The Broken Lands</span>=== |
− | + | ナクタムンの外、シェフェトを越えた先に広がる乾ききった土地を、人々は'''ラムナプ'''/''Ramunap''、あるいは'''遺棄地'''/''The Broken Lands''と呼ぶ。そこには怪物、[[デーモン/Demon#アモンケット|デーモン/Demon]]、死者が蔓延っている。 | |
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+ | かつてアモンケットの住人たちは、遺棄地を恐れるよう伝えられてきた。だが何年もこの地を彷徨った後、人々は真実に気づいた。遺棄地は恐れるべき場所ではなく、アモンケットの他の地と同様に癒されるべき場所なのだと。しかしそれは遺棄地に危険がないという意味ではなく、過去の亡霊に怯えていてもアモンケットを取り戻すことはできないということである。ハゾレトと彼女に率いられた勇者たちは、失われた同胞、祖先、希望を秘めた遺跡、そして答えを探すため、遺棄地を探索している。 | ||
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+ | 遺棄地の流砂の中には古代文明の不気味な遺跡が潜んでいる。ボーラスの時代にもその噂を聞き探索に向かった者がいたが、彼らは誰一人としてナクタムンに戻ることはなかった。そしてボーラス・ファイレクシアの二度に渡る侵攻を経た今、その遺跡たちはざわめいている。死して久しい王家の墓や、功績により[[亜神]]の地位を得た勇者たちの記念碑、そして砂に埋もれた都――それらは中に閉じ込められた哀れな魂の墓所にして大都市となった。 | ||
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+ | アモンケットでは生者の数を死者が上回っており、生者が冒険するあらゆる場所でこのことを思い知らされる。砂漠で放浪する遊牧民の小さな集団でさえ、死者たちの傍にいる。生者と死者の混合集団が共に働き放浪している様子も散見され、生者は動く死者に世話をされ、動く死者は生者から感謝と崇拝を捧げられている。 | ||
===イフニル/Ifnir=== | ===イフニル/Ifnir=== | ||
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==種族== | ==種族== | ||
===人型種族=== | ===人型種族=== | ||
− | + | 現代のアモンケットには五つの人型種族が存在する。 | |
*[[人間/Human#アモンケット|'''人間'''/''Human'']] - 最も多様で適応力に富んだ人型種族。他種族が得意とするものも含め、様々な戦闘技術を学ぶ。 | *[[人間/Human#アモンケット|'''人間'''/''Human'']] - 最も多様で適応力に富んだ人型種族。他種族が得意とするものも含め、様々な戦闘技術を学ぶ。 | ||
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*[[ミノタウルス/Minotaur#アモンケット|'''ミノタウルス'''/''Minotaur'']] - 羊の頭部を持つ人型種族。屈強な肉体と頑固で無謀な精神を併せ持ち、戦闘を、特に不利な戦闘を楽しむ。 | *[[ミノタウルス/Minotaur#アモンケット|'''ミノタウルス'''/''Minotaur'']] - 羊の頭部を持つ人型種族。屈強な肉体と頑固で無謀な精神を併せ持ち、戦闘を、特に不利な戦闘を楽しむ。 | ||
*[[ナーガ#ストーリー|'''ナーガ'''/''Naga'']] - 蛇の頭部と下半身を持つ人型種族。肉体と精神の完璧な釣り合い、「甘美なる調和/The Sweetest Harmony」を目指している。 | *[[ナーガ#ストーリー|'''ナーガ'''/''Naga'']] - 蛇の頭部と下半身を持つ人型種族。肉体と精神の完璧な釣り合い、「甘美なる調和/The Sweetest Harmony」を目指している。 | ||
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+ | また、古代のアモンケットには'''マーヘステット'''/''Maahestet''と呼ばれる[[レオニン/Leonin#アモンケット|レオニン/Leonin]]の支配者層が存在したが、現在は衰退したアンデッドが見られる程度である。 | ||
===ゾンビ=== | ===ゾンビ=== | ||
− | アモンケットでは次元そのものに呪いがかけられている。'''放浪の呪い'''/''The Curse of Wandering''と呼ばれる呪いによって、この地で死んだ生命は肉体を失わない限り、独りでに蘇って[[ゾンビ#ストーリー|ゾンビ]] | + | アモンケットでは次元そのものに呪いがかけられている。'''放浪の呪い'''/''The Curse of Wandering''と呼ばれる呪いによって、この地で死んだ生命は肉体を失わない限り、独りでに蘇って[[ゾンビ#ストーリー|ゾンビ]]となる。この呪いはボーラスが訪れるよりも遥か古くから存在していた。 |
− | 試練の中で命を落とした者は、内臓を取り除くなどの[[不朽]]処理を施され、全身を白い包帯で覆われたミイラとなる。胸のカルトーシュの力で従順な奴隷と化した彼らは'''選定された者'''/''The Anointed''と呼ばれ、生者に代わって様々な労働を担う。 | + | 彼らは飽くなき飢えと、生者を攻撃したいという耐えがたい衝動に突き動かされている。だが死者は成長することはできず、いずれ朽ちて消えゆく運命にある。生者がいなければ、いずれ最後の死者が塵になりアモンケットは滅びてしまうだろう。 |
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+ | ====ボーラス支配下==== | ||
+ | 試練の中で命を落とした者は、内臓を取り除くなどの[[不朽]]処理を施され、全身を白い包帯で覆われたミイラとなる。胸のカルトーシュの力で従順な奴隷と化した彼らは[[#選定された者/The Anointed|'''選定された者'''/''The Anointed'']]と呼ばれ、生者に代わって様々な労働を担う。 | ||
ナクタムンから追放されて死んだ者、もしくはナクタムンから追放されたミイラは、人々に危害を及ぼすゾンビとなる。ヘクマの防護により、彼らがナクタムンに侵入することはない。 | ナクタムンから追放されて死んだ者、もしくはナクタムンから追放されたミイラは、人々に危害を及ぼすゾンビとなる。ヘクマの防護により、彼らがナクタムンに侵入することはない。 | ||
+ | 全ての試練を終え、蓋世の英雄として名誉ある死を遂げたものは、いずれ訪れる永遠の刻に復活するとされていた。だが実際にはラゾテプの被膜を施され、ボーラスの手駒であるアンデッド兵、[[永遠衆/Eternal|'''永遠衆'''/''Eternal'']]へと加工されていた。その後、多くの永遠衆はボーラスの目的のため[[ラヴニカ/Ravnica]]へと送られている。 | ||
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+ | ====ファイレクシア戦争以後==== | ||
+ | アモンケット最大の災厄である放浪の呪いは、ファイレクシア侵攻の際には救いとなった。ボーラス支配下では生者から時に恐れられ時に支配されてきた死者であったが、彼らは侵攻に際しこの次元を守るために押し寄せた。その中にはボーラス以前の歴史における王族や亜神の英雄の姿もあり、ナクタムンの防衛隊と力を合わせ、[[光素/Halo]]で弱体化したファイレクシアンを一掃した。 | ||
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+ | 翌年、生者と死者は和解を始めた。アモンケットの死者はボーラスによる虐殺後と同様、生者の新世代を育て始めた――ただし今回は、昼の光に満ちた知識の中で。彼らはボーラスの命令によらず孤児を育て、治癒の場を世話し、自分たちよりも数の少ない生者と共に働いている――アモンケットが存続するように。一方で生者の側は死者を賢明な教師、長く残り続ける祖先、そして次元の衰退を防ぐには不可欠の冷静な守護者とみなしている。それでも、生者も死者も何世代にわたる偏見と抑圧に立ち向かい、それらを克服しなければならない。生者は死者を束縛したことに対し謙虚になり、死者はそれを許すことを学ばなければならない。両者とも、自分たちが邪悪な意志の道具にされたという真実に立ち向かう時なのだ。過去の不正を赦すことは、その時の責任を負うこと。今、あるいは未来、残酷さも優しさも自分たちへと帰ってくるのだ。 | ||
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+ | この和平への道のりは平坦でなく、新たな世界の支配権をそれぞれ主張するアンデッドの君主との交渉が必要となる。ナクタムンの生者に対して有効的で、彼らが神々の寵愛を受けていることを認める者もいる。だがそうではない者は次元の防衛を終えた後、アンデッドの戦士集団とともに古代の墓所に撤退し、自らの威厳と統治を取り戻そうとしている。こうした不満を持つ死者たちは、前史の墓所の周囲に集結している。ナクタムンより遠く離れた遺棄地の広大な一地域、流砂から出現した古代遺跡である。そこではボーラス以前の時代における、遥か昔に亡くなった王族が埃まみれの玉座に座り、議論し、軍を動かし、復活を企んでいる。彼らは自身の王朝を賭け、[[スケルトン]]の軍勢を率いて砂漠で戦争をしている。 | ||
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+ | ===その他の生物=== | ||
+ | *[[天使/Angel#アモンケット|'''天使'''/''Angel'']] - 細長い体躯と大きな翼を持つ人型生物。他の次元と異なり男性の姿をしている。ボーラスに歪められ、彼の代理人と化している。 | ||
+ | *[[セロドン/Cerodon|'''セロドン'''/''Cerodon'']] - 崖のような巨大な角を持ったビースト。砂漠に棲息するが、時にナクタムンを攻撃する。 | ||
+ | *[[デーモン/Demon#アモンケット|'''デーモン'''/''Demon'']] - 恐るべき怪物。[[#イフニル/Ifnir|イフニル/Ifnir]]に棲息する有翼のデーモンの他、動物のような姿の種も存在する。 | ||
+ | *[[ドラゴン#ストーリー|'''ドラゴン'''/''Dragon'']] - 有翼の[[クロコダイル|ワニ]]のような肉食動物。砂漠の辺境に棲むが、時に捕らえられて[[激情の試練/Trial of Zeal#ストーリー|激情の試練/The Trial of Zeal]]へ駆り出される。 | ||
+ | *[[ドレイク#ストーリー|'''ドレイク'''/''Drake'']] - ドラゴンに似ているが、脚の数が2本少ない生物。ドラゴンよりも温和で賢く、ラゾテプや水面など光る物に引き寄せられる。オベリスクの尖端に止まることも多い。 | ||
+ | *[[カバ|'''カバ'''/''Hippopotamus'']] - 水辺に棲息する獣で、時に船をも襲う。現実世界のカバと異なり、鼻の上に角が生えている。 | ||
+ | *[[ハイドラ|'''ハイドラ'''/''Hydra'']] - 多頭の[[カード名百科事典#コブラ|コブラ]]のような生物。 | ||
+ | *[[マンティコア|'''マンティコア'''/''Manticore'']] - [[蠍]]のような尾と猫のような身体を持った生物で、脚先がキチン質の甲殻に包まれている。アモンケットで最も強力な毒を持つ。 | ||
+ | *[[ワーム#ストーリー|'''サンドワーム'''/''Sandwurm'']] - シェフェト最大の捕食者。砂の中を驚くべき速度で移動するだけでなく、何年も獲物を待つ忍耐力もある。 | ||
+ | *[[うろつく蛇豹/Prowling Serpopard|'''蛇豹'''/''Serpopard'']] - 蛇のような特徴を持つネコ科動物。木の上に止まり、水辺にやってきた生物を襲う。 | ||
+ | *[[スフィンクス#ストーリー|'''スフィンクス'''/''Sphinx'']] - 賢く謎めいた心を持つ生物。ボーラスの洗脳を免れたものの、代わりに意思疎通を封じる呪いにかかってしまっている。 | ||
==社会== | ==社会== | ||
===一門/Crop=== | ===一門/Crop=== | ||
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===造反者/Dissenter=== | ===造反者/Dissenter=== | ||
王神の教えを疑った者は'''造反者'''/''Dissenter''と呼ばれる。彼らへの処罰は過酷である。[[天使/Angel#アモンケット|天使/Angel]]たちは彼らを'''Tombs of Disgrace'''(不名誉の墓)と呼ばれる囚人の手が剥き出しとなった特別な石棺({{Gatherer|id=428080}})に閉じ込める。石棺はナクタムンの通りに並べられる。これは'''Display of Doubt'''(疑念の展示)として知られる。展示が終わると天使は造反者をヘクマの外へと運び、放浪の呪いに呑み込まれるに任せる。 | 王神の教えを疑った者は'''造反者'''/''Dissenter''と呼ばれる。彼らへの処罰は過酷である。[[天使/Angel#アモンケット|天使/Angel]]たちは彼らを'''Tombs of Disgrace'''(不名誉の墓)と呼ばれる囚人の手が剥き出しとなった特別な石棺({{Gatherer|id=428080}})に閉じ込める。石棺はナクタムンの通りに並べられる。これは'''Display of Doubt'''(疑念の展示)として知られる。展示が終わると天使は造反者をヘクマの外へと運び、放浪の呪いに呑み込まれるに任せる。 | ||
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+ | ===君主たる不死者/The Monarchal Dead=== | ||
+ | ナクタムンのために働く不死者の数は多いが、アモンケットを彷徨う安息なき死者たちのほとんどは生者と共に働くことを好まない。彼らは君主的な死者、つまり'''君主'''/''Monarchs''である。ボーラスの統治の隆盛期と初期、そしてそれ以前の時代からやってきた者たちであり、途方もない期間、遺棄地の封じられた墓所で惨めに幽閉されていた。 | ||
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+ | 君主たる死者たちは、ボーラスが統治する時代以前に存在した嫉妬に狂った王や女王、皇帝らによるおびただしい数の混成である。今やその玉座には王朝の末裔やライバルたちでごったがえし、かつての領地の境界は砂の下に失われた。そしてアモンケットで唯一不変にして神聖なるルクサ川には、奇妙な都市が――ナクタムンが――栄えている。君主たちの数はナクタムンの人口やアモンケットに現存する勇者をはるかに上回るが、今を生きる者たちを脅かすほどの統一戦線は張れていない。いがみ合う君主たちは遺棄地の随所で互いに争い、誰がアモンケットの事実上の支配者かを決めようとしている。彼らに唯一共通する不変の事実、そして新たなアモンケットの将来にとって最も危険なことは、ほぼ全員がボーラスの統治以前に彼らの神であったキチン宮廷に忠誠を誓っていることだ。 | ||
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+ | ===キチン宮廷/The Chitin Court=== | ||
+ | 蠍、蝗、そしてスカラベの神は過去に存在した'''キチン宮廷'''/''The Chitin Court''の神々の生き残りである。ファイレクシア侵攻を経て今なお残る蝗とスカラベは、辺境のオアシスやナクタムンの忘れられた場所に居座るカルト教団に崇拝されている。彼らは遥か昔に死んだきょうだいを蘇らせようと画策している。キチンの崇拝者はボーラス時代の死者、現存する数少ない永遠衆、そして遺棄地を彷徨う無数の不死者たちだ。信者の中で最も多くを占めるのはボーラスの統治より遥か以前に死んだ者、すなわち古の君主たちであり、彼らはキチン宮廷の神々こそアモンケットの真の神であると崇めている。 | ||
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+ | 遺棄地の君主とその追随者たちは、キチンの神々が神性を維持するには十分すぎるほどの源泉だが、彼らの力を完全なものに戻すまでには至っていない。故に、キチンの神々はじっと計画を練り、神聖な武器を研ぎ澄まし、ボーラス以前の死者の軍団による新たな軍団を集める。キチン宮廷にとって、新たな神々は忌まわしき存在だ。彼らにとって後世の神はボーラスの創造物(ハゾレトのように歪められたもの、あるいはケトラモーズらのようにボーラスに汚染された地から誕生したもの)であり、アモンケットの真の神ではない。キチン宮廷の計画は長期的なものであり、彼らの展望もまた同様だ。信者を集め、組織を拡大し、キチン宮廷の斃れた同胞たちを蘇らせる。そうすることで初めて、彼らは自分達が築いた次元を取り戻すのだ。 | ||
+ | |||
+ | アモンケットのレーサーや住民は、遺棄地でキチン宮廷が迫り来ることを告げる暗い兆しがあると囁いている。脱皮した昆虫の抜け殻が乾いた川のように砂丘を流れていく、激しく渦巻く砂嵐の中に蝗の神やスカラベの神のそびえ立つ影が見える、古代の王や皇帝の墓が内側から荒らされて空になり、石棺が砕かれ、武器棚が乱れているなどである。これらの兆しはまだナクタムンの神々や指導者の耳に届くほどではないが、近いうちに届くだろう。 | ||
==キャラクター== | ==キャラクター== | ||
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***[[ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane (ストーリー)|'''ニッサ・レヴェイン'''/''Nissa Revane'']] - [[ゼンディカー/Zendikar]]出身の[[エルフ/Elf|エルフ]]の精霊信者。 | ***[[ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane (ストーリー)|'''ニッサ・レヴェイン'''/''Nissa Revane'']] - [[ゼンディカー/Zendikar]]出身の[[エルフ/Elf|エルフ]]の精霊信者。 | ||
**[[ニコル・ボーラス/Nicol Bolas (ストーリー)|'''ニコル・ボーラス'''/''Nicol Bolas'']] - ドミナリア出身の[[エルダー・ドラゴン/Elder Dragon]]。この次元を支配した王神そのものである。 | **[[ニコル・ボーラス/Nicol Bolas (ストーリー)|'''ニコル・ボーラス'''/''Nicol Bolas'']] - ドミナリア出身の[[エルダー・ドラゴン/Elder Dragon]]。この次元を支配した王神そのものである。 | ||
− | **[[テゼレット/Tezzeret|'''テゼレット'''/''Tezzeret'']] - [[エスパー/Esper]]出身の人間の[[工匠]]。ボーラスの手先として、[[次元橋/Planar Bridge#ストーリー|次元橋/Planar Bridge]] | + | **[[テゼレット/Tezzeret|'''テゼレット'''/''Tezzeret'']] - [[エスパー/Esper]]出身の人間の[[工匠]]。ボーラスの手先として、[[次元橋/Planar Bridge#ストーリー|次元橋/Planar Bridge]]で永遠衆をラヴニカへと転送した。 |
**[[ダク・フェイデン/Dack Fayden (ストーリー)|'''ダク・フェイデン'''/''Dack Fayden'']] - [[フィオーラ/Fiora]]出身の人間の盗賊。[[灯争大戦]]のさなか、次元橋を止めるためカーン・ニクシリス・サムトと共にこの地へ向かった。 | **[[ダク・フェイデン/Dack Fayden (ストーリー)|'''ダク・フェイデン'''/''Dack Fayden'']] - [[フィオーラ/Fiora]]出身の人間の盗賊。[[灯争大戦]]のさなか、次元橋を止めるためカーン・ニクシリス・サムトと共にこの地へ向かった。 | ||
**[[カーン/Karn|'''カーン'''/''Karn'']] - ドミナリア出身の[[ゴーレム]]。 | **[[カーン/Karn|'''カーン'''/''Karn'']] - ドミナリア出身の[[ゴーレム]]。 | ||
**[[オブ・ニクシリス/Ob Nixilis|'''オブ・ニクシリス'''/''Ob Nixilis'']] - 元人間の[[デーモン/Demon]]。 | **[[オブ・ニクシリス/Ob Nixilis|'''オブ・ニクシリス'''/''Ob Nixilis'']] - 元人間の[[デーモン/Demon]]。 | ||
**[[サルカン・ヴォル/Sarkhan Vol (ストーリー)|'''サルカン・ヴォル'''/''Sarkhan Vol'']] - [[タルキール/Tarkir]]出身の[[シャーマン]]。[[アジャニ/Ajani]]からの連絡を受け、ボーラスを打倒する手掛かりを探していた。 | **[[サルカン・ヴォル/Sarkhan Vol (ストーリー)|'''サルカン・ヴォル'''/''Sarkhan Vol'']] - [[タルキール/Tarkir]]出身の[[シャーマン]]。[[アジャニ/Ajani]]からの連絡を受け、ボーラスを打倒する手掛かりを探していた。 | ||
+ | **[[ラル・ザレック/Ral Zarek (ストーリー)|'''ラル・ザレック'''/''Ral Zarek'']] - ラヴニカ出身の人間の魔道士。灯争大戦の後、テゼレットの足取りを追い放浪者と共にナクタムンを訪れる。 | ||
+ | **[[放浪者/The Wanderer (ストーリー)|'''放浪者'''/''The Wanderer'']] - [[神河/Kamigawa]]出身の人間。 | ||
;アモンケットの住人 | ;アモンケットの住人 | ||
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**[[テムメト/Temmet|'''テムメト'''/''Temmet'']] - オケチラに仕える人間の侍臣。男性。ナクタムンの侍臣/Vizier of Naktamunとして、他の侍臣を監督し、都市の基本的施設を管理する。 | **[[テムメト/Temmet|'''テムメト'''/''Temmet'']] - オケチラに仕える人間の侍臣。男性。ナクタムンの侍臣/Vizier of Naktamunとして、他の侍臣を監督し、都市の基本的施設を管理する。 | ||
**[[報奨の祝賀者、イモーティ/Imoti, Celebrant of Bounty#ストーリー|'''イモーティ'''/''Imoti'']] - ナクタムンの外に暮らすナーガ。女性。 | **[[報奨の祝賀者、イモーティ/Imoti, Celebrant of Bounty#ストーリー|'''イモーティ'''/''Imoti'']] - ナクタムンの外に暮らすナーガ。女性。 | ||
+ | **[[ザフール/Zahur|'''ザフール'''/''Zahur'']] - マーヘステットの長。男性。現在はアンデッドと化している。 | ||
*その他 | *その他 | ||
**[[ラザケシュ/Razaketh|'''ラザケシュ'''/''Razaketh'']] - リリアナと魂の契約を交わしたデーモンの一体。 | **[[ラザケシュ/Razaketh|'''ラザケシュ'''/''Razaketh'']] - リリアナと魂の契約を交わしたデーモンの一体。 | ||
*[[アモンケットのその他のキャラクター]] | *[[アモンケットのその他のキャラクター]] | ||
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+ | そのほか、第二回[[ギラプール・グランプリ/The Ghirapur Grand Prix]]の[[ギラプール・グランプリ/The Ghirapur Grand Prix#大会関係者|関係者]]達もこの地を訪れている。 | ||
==登場== | ==登場== | ||
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;[[機械兵団の進軍統率者デッキ]] | ;[[機械兵団の進軍統率者デッキ]] | ||
:[[ナクタムン/Naktamun (次元カード)]] | :[[ナクタムン/Naktamun (次元カード)]] | ||
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+ | ====[[カード名]]に登場==== | ||
+ | ;[[霊気走破]] | ||
+ | :[[アモンケット・サーキット/Amonkhet Raceway]] | ||
====[[フレイバー・テキスト]]に登場==== | ====[[フレイバー・テキスト]]に登場==== | ||
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;[[機械兵団の進軍]] | ;[[機械兵団の進軍]] | ||
:[[死滅都市の開封/Unseal the Necropolis]]、[[花咲く砂地/Blossoming Sands]] | :[[死滅都市の開封/Unseal the Necropolis]]、[[花咲く砂地/Blossoming Sands]] | ||
+ | ;[[霊気走破]] | ||
+ | :[[軌道修正/Back on Track]]、[[墓所呼びの戦車/Cryptcaller Chariot]]、[[不死の操縦士/Deathless Pilot]]、[[アモンケット・サーキット/Amonkhet Raceway]] | ||
+ | ;[[霊気走破統率者デッキ]] | ||
+ | :[[墓所破り/Cryptbreaker]]、[[墓所のタイタン/Grave Titan]]、[[秘儀の印鑑/Arcane Signet]]([[コレクター番号]]51) | ||
===登場作品・登場記事=== | ===登場作品・登場記事=== |
2025年3月3日 (月) 23:47時点における最新版
アモンケット/Amonkhetは、多元宇宙/Multiverseに存在する次元/Planeの一つ。アモンケット・ブロック、霊気走破の舞台となった。
目次 |
[編集] 世界観
陽に焼かれた砂の単調な地平線を突き破るように、黄金を散りばめた碑/Monumentが高くそびえ立つ。畏敬の念を抱かずにはいられない獣頭の神々は、人々の間を歩き、砂漠の恐怖から彼らを優しく庇護してくれる。広大なルクサ川/The Luxa Riverは豊かな恵みをもたらし、物質的な必要のすべてを満たしてくれる。幸福で希望に満ちた人々は大神殿にて神々に供物を捧げ、精神的な充足を得る。素晴らしきこの人生――だがこれは始まりに過ぎないと、誰もが知っている。王神/The God-Pharaohによって約束された、完璧な「来世」の前座でしかないのだと。
[編集] 歴史
[編集] 大修復直後
大修復/The Mendingによりプレインズウォーカー/Planeswalkerの本質が変化し、ニコル・ボーラス/Nicol Bolasは「神にも等しき力」を急速に失いつつあった。彼はその力を取り戻すための長期的計画の一環として、アモンケットに目をつけた。
都市ナクタムン/Naktamunに襲来した謎のドラゴンを前に、民を守るべく八柱の神々が立ちはだかったが、彼らの攻撃はボーラスに何の損傷も与えることができなかった。さらにボーラスが編んだ呪文は、ナクタムンから自分の足で歩ける年齢以上の者をすべて消滅させた。苦悶に膝をつく神々と、親を失った何千もの幼児だけがそこに残された。孤児たちを守ろうとし、「ナクタムンの子らは獣の手にかかって死にはせぬ!」と叫ぶ神の一柱、ハゾレト/Hazoretに、ボーラスはこう返すだけであった――「ナクタムンの子らはおぬしの槍にて死すであろう」。
最初に、ボーラスは三柱の神々を自らのものとし、封印したうえで、残り五柱の神々に流れるマナの力線を操作し、その記憶と精神を改竄した。第二に、地下の墓所を開いて魔法で動く死者を連れ出し、孤児たちの子守とした。第三に、ボーラスはこの次元の歴史を利用した。副陽/The Second Sunが一巡するたびに一人の勇者を捧げる宗教儀式、功績の試練/Trials of meritだ。勇者の要求は数十年に一度から、絶え間ないものへと変えられた。第四に、都市内には玉座を、地平線には自身の二つ角を模した碑を建造した。自身がアモンケットに帰還する際に、ちょうど副陽がその角の間に入るように。そして最後に、帰還の約束を預言書として記すとともに、神々と孤児たちの精神にその約束を植えつけた。
こうして全く新しい社会の基盤を作り上げたボーラスは、アモンケットを去っていった。
[編集] ゲートウォッチの到着(アモンケット)
それから数十年が経ったナクタムンでは、栄光の来世の教えと神々が監督する試練を中心とする社会が完成していた。修練者/Initiateたちは鍛錬を積んで五つの試練に挑む。途中で命を落とした者は選定された者/The Anointedと呼ばれるミイラとなり、生者の代わりに労働を行う。生きて試練を達成した者は蓋世の英雄/The worthyとして、激情の神ハゾレトの槍に貫かれ、栄誉ある死を迎えるのだ。
ボーラスの手掛かりを追ってアモンケットを訪れたゲートウォッチ/The Gatewatchの五人は、教えに背く造反者/Dissenterとなり、すべては欺瞞だと叫ぶサムト/Samutの姿を目撃した。ギデオン/Gideonは除名されたサムトに代わって野望の試練/The Trial of Ambitionに挑み、デジェル/Djeruたちが仲間同士で殺しあうさまを目の当たりにして、この地の試練の残忍さに怒りを覚えた。
続く激情の試練/The Trial of Zealを達成したデジェルはハゾレトの手によって栄光の死を迎えようとしていたが、この世界の欺瞞を知ったギデオンとサムトたちにとって、それはただの無駄死にでしかなかった。ハゾレトの双叉槍がデジェルを貫くその瞬間、ギデオンが彼の前に立ち塞がって、黄金色の防御魔法で死の槍を防いだ。
[編集] 「刻」の訪れ(破滅の刻)
副陽が地平線の二つ角の間に入り、預言に伝わる「刻/Hour」が訪れた。
預言どおりに来世への門/Gate to the Afterlifeが動き出し、「啓示の刻/The Hour of Revelation」が始まった。ナクタムン中から殺到した巨大な群集が、神々が、その一部始終を見届けた。そこにあったのは、果てしない砂漠。ナクタムンの外となんら変わりない、無の荒野が広がるばかりであった。人々と神々に困惑が広がる中、門の向こうよりデーモン/Demonのラザケシュ/Razakethが飛来し、血魔術の儀式によってルクサ川の流れを血のぬかるみに変えた。
死滅都市に流れ込んだ血が封印されていた三柱の神を目覚めさせ、「栄光の刻/The Hour of Glory」が始まった。門を潜り抜けた蠍の神/The Scorpion Godに活力の神ロナス/Rhonasは名乗りを上げて対峙し、これを圧倒する。一度は打ち倒すことに成功し、勝利を確信して定命の者に向き直ったその瞬間、復活した蠍の神に身動きを封じられた彼は背後から頭部に針を突き立てられ、神の不死性さえも侵すその毒によって絶命した。
続いて蝗の神/The Locust Godがナクタムン/Naktamunに到着し、「約束の刻/The Hour of Promise」が始まった。その手から放たれる無数の蝗が魔法の障壁ヘクマ/The Hekmaを喰らい尽くして雪崩れ込み、防御の要を失った都市は砂漠に飲まれ、凶暴なミイラや怪物の侵入を許すがままとなった。さらには知識の神ケフネト/Kefnet、結束の神オケチラ/Oketraの二柱が、蠍の神に殺害された。
絶望の中、ついに王神ことニコル・ボーラスが帰還し、アモンケットの人々は歓喜に沸いた――その王神が自分たちを殺戮し始めるまでは。野望の神バントゥ/Bontuは王神への忠誠を訴え、その命に従って同胞ハゾレトに襲いかかったが、最後にはボーラスに用済みだとして始末された。
そして門の向こうに静止していたスカラベの神/The Scarab Godがナクタムンへと向かって侵攻を開始し、「永遠の刻/The Hour of Eternity」が始まった。その背後に引き連れた、かつての試練の突破者たち――今ではアンデッドの精鋭部隊、永遠衆/Eternalと化した蓋世の英雄たちによって、都市のそこかしこで殺戮が巻き起こった。
ハゾレトはサムト、デジェルらと協力して蠍の神を葬ることに成功したが、すでに被害は甚大だった。彼女は生存者たちを連れてナクタムンを離れ、砂漠に新天地を求めるほかなかった。
[編集] 新ファイレクシアによる侵略戦争(機械兵団の進軍)
新ファイレクシア/New Phyrexiaによる多元宇宙/Multiverseへの侵略が始まった。迫り来る侵略の警告を受けたアモンケットの生存者たちはファイレクシアンの目から逃れようと身を隠したが、それも無駄だった。しかしながら、ニコル・ボーラスによる次元の災禍を生き延びた者たちはたくましく機知に富んでおり、自分たちの立場を把握するやいなや、暴力的な作戦で反撃に出た。守護神ハゾレトと、その忠実な副官デジェルを頼みの綱とする作戦だ。
驚くべきことに、彼女たちがナクタムンに到着すると、そこにはすでにスカラベの神と蝗の神がおり、侵略者たちと交戦していた。虫の神々のアンデッド軍がファイレクシアンの注意を引いているうちに、ハゾレトは燃え盛る槍を用いて、ファイレクシアンの血管を流れるぎらつく油/Oilに火を点けた。ファイレクシアンが苦痛に悶える中、デジェルは精鋭戦士の一団を率いてその体をバラバラにし、彼らが永久に死んだままとなることを確実にした。
[編集] ナクタムンとルクサ川の復興
ファイレクシアンは敗北し、アモンケット人は勝利したとも言えた。スカラベの神と蝗の神は遺棄地へと去った。ハゾレトは、ナクタムンの生者や忠実なアンデッドたちとともに、追撃しないことを選んだ。その代わりに、彼女は生存者たちとともに都市の復興に取りかかった。これは生者と死者両方の人手を必要とする大規模な取り組みで、大きく分けて二つの仕事から成っていた。一つは、ヘクマの崩壊後に遺棄地から彷徨い来る、迷えるアンデッドたちから都市を防衛すること。そしてもう一つは、再建という大事業を始めることだ。侵略戦争が終わった後には希望に満ちた兆しもあった――長い間穢れていたルクサ川が澄み渡り始めたのだ。ナクタムンの城壁の割れ目には生者が殺到し、絶え間ないが当てどなく彷徨うアンデッドの波を食い止めた。この哀れで危険な怪物たちは、生者によってこの都市に引き寄せられ、自らの消えゆく魂の最後の残響に衝き動かされて、都市を奪い自分たちのものにしようとしていた。生者は彼らを食い止めるべく戦った。
一方で、ナクタムンのアンデッドたちは重大な決断を迫られていた。ファイレクシアによる侵略は何万ものアモンケット人の死をもたらした。放浪の呪いのもと新たに蘇ったこのアンデッドたちは、奴隷的なミイラになるという古い秩序に従うことを望まなかった。自分たちが解放されるのは、生者がアンデッドを最も必要とする再建の始まりにしか叶わないと彼らは認識していた。ボーラスの支配下時代(およびその後)の古きミイラのアンデッドたちは、より長期的な見方をした。アモンケットの死者は――忠実な者もそうでない者も――生者よりずっと多いにもかかわらず、その数を用いてこの次元を自分たちのものにするのは長期的目標としては良くないと。放浪の呪いはアンデッドを保存するわけではない。ゆっくりとではあるが、彼らは朽ちていく。もし生者が虐殺されアンデッドだけが支配するのなら、この次元は時とともに衰え、滅びてしまうだろう。要するに、忠実なアンデッドはアモンケットの未来のために、生者が耐え抜き成長することを必要としていた。ナクタムンの忠実なアンデッドたちは一丸となって、この都市を防衛する生者たちに嘆願と約束を行った――「我らを解放せよ、さすれば我らはナクタムンを守ろう」。生者はそれに同意し、そして生者と忠実なアンデッドたちは一緒になって、再び都市を共同で防衛し、彷徨う死者の波を食い止めた。
今やナクタムンは長年の廃墟状態から復興しつつある。生者と死者の両方が一緒になって、街路を片付け、修復可能な建物は補強し、廃墟と化しすぎてどうにもならない建造物は撤去している。都市の中心部は片付いたが、郊外の地区ではまだ作業が続いている。ルクサ川の岸辺では、ナクタムンに緑が戻るにつれ、農民たちが新たな灌漑用水路を掘って畑に真水を引き、槌音や作業歌とともに、収穫物を売る商人たちの声が響く。再建には長い時間がかかるだろうが、暴君たちの影響を長年受けてきたこの次元にとっては、その最初の夜明けから一日一日が新たな自由の日なのだ。
[編集] ギラプール・グランプリへの参加(霊気走破)
王神。灯争大戦。ファイレクシアによる侵略。アモンケットは長きにわたり、多元宇宙最悪の悪魔と暴君たちの災禍に苦しめられてきた。忘れられし時代の忘却の彼方へと消えたものを除けば、これまでアモンケットの歴史はそれがすべてだった。しかし、この傷ついた次元に夜明けが近づいている。このたびのアモンケットは、自らの歴史を認識するとともに自らの運命を真に指揮する、初のアモンケットなのだ。領界路/Omenpathが開かれると、アモンケットはアヴィシュカー/Avishkarから来た代表団を歓迎し、ギラプール・グランプリ/The Ghirapur Grand Prixに参加することを選んだ。自分自身の運命を指揮するという希望とともに。
アモンケットは、黄昏の次元ではないことを是非とも証明したがっている。アヴィシュカーと同じように、アモンケットも夜明けを待ち望んでいる。血は流したが倒されてはいないのだから。そのため、アモンケットに建設されたコースは、ナクタムンの指導者たちが使用を許可した遺跡や建造物の上だけを進むことになる。この次元の歴史の深さは底知れず、最高齢の死者の記憶にさえもないような統治者や神々の碑がある。それらを舗装して道路や観覧席にしてしまうのは、砂に飲み込まれるがままにしておくのと何ら変わりない。むしろ逆に、アモンケットとその民がこれらの土地に立ち入ることを許可すれば、アモンケットは貿易や技術交換で利益にあずかることができる。アモンケットは、このレースの遠隔ステージで遺棄地を横断することも許可するつもりだ。この次元の未知の領域を探り、乾いた砂の風景に生命と憤怒を送り込み、何か反応があれば――それが何であれ――見届ける良い機会なのだ。
さらに、アモンケットにはこのレースにチームが出場するという栄誉がある。チャンピオンズ・オブ・アモンケット/The Champions of Amonkhetだ。チャンピオンのザフール/Zahurとその従者たちは、灯/Sparkを失った元プレインズウォーカーのバスリ・ケト/Basri Ketとともに、アモンケットの生者と死者の団結した希望を体現している。沿道に並び、観覧席に詰めかける群衆はアモンケット人となるだろう。祝い、恐怖ではなく希望の声援を上げ、訪れると確信している勝利に歓喜すべく集まるのは、彼らにとって久しくなかったことなのだ。
[編集] 地理
[編集] ナクタムン/Naktamun
アモンケットで確認されている唯一の都市。ヘクマ/The Hekmaと呼ばれるドーム状の魔法の障壁が都市を覆い、危険なゾンビと野生動物、砂漠の熱と砂嵐から内部を保護している(イラスト)。
五柱の神々の碑、試合場、不思議な幻影が作る迷路、密林のような区域、障害物競走路、ありふれた教室が、修練者たちの訓練の日々を支えている。この都市に商店の類は存在しない。農業や建築といった人々の生活に必要な仕事は、すべて死者が行うからである。生者は労働から解放され、試練を達成するための自己鍛錬だけに集中することができる。
[編集] ルクサ川/The Luxa River
ナクタムンに恵みをもたらす大河。運河によりナクタムン内部に水が引かれ、人々の喉を潤し、農作物を育てている。
[編集] シェフェト/Shefet
ヘクマの向こう側に広がる砂漠。風と砂によって岩は削り取られ、急峻な地形が形成されている。
[編集] 遺棄地/The Broken Lands
ナクタムンの外、シェフェトを越えた先に広がる乾ききった土地を、人々はラムナプ/Ramunap、あるいは遺棄地/The Broken Landsと呼ぶ。そこには怪物、デーモン/Demon、死者が蔓延っている。
かつてアモンケットの住人たちは、遺棄地を恐れるよう伝えられてきた。だが何年もこの地を彷徨った後、人々は真実に気づいた。遺棄地は恐れるべき場所ではなく、アモンケットの他の地と同様に癒されるべき場所なのだと。しかしそれは遺棄地に危険がないという意味ではなく、過去の亡霊に怯えていてもアモンケットを取り戻すことはできないということである。ハゾレトと彼女に率いられた勇者たちは、失われた同胞、祖先、希望を秘めた遺跡、そして答えを探すため、遺棄地を探索している。
遺棄地の流砂の中には古代文明の不気味な遺跡が潜んでいる。ボーラスの時代にもその噂を聞き探索に向かった者がいたが、彼らは誰一人としてナクタムンに戻ることはなかった。そしてボーラス・ファイレクシアの二度に渡る侵攻を経た今、その遺跡たちはざわめいている。死して久しい王家の墓や、功績により亜神の地位を得た勇者たちの記念碑、そして砂に埋もれた都――それらは中に閉じ込められた哀れな魂の墓所にして大都市となった。
アモンケットでは生者の数を死者が上回っており、生者が冒険するあらゆる場所でこのことを思い知らされる。砂漠で放浪する遊牧民の小さな集団でさえ、死者たちの傍にいる。生者と死者の混合集団が共に働き放浪している様子も散見され、生者は動く死者に世話をされ、動く死者は生者から感謝と崇拝を捧げられている。
[編集] イフニル/Ifnir
呪われた者の揺り籠/Cradle of the Accursedのような遺跡が点在し、魔神が住む荒れ地。
[編集] 宗教
[編集] 神
ナクタムンには五柱の神がいる。この神々は来世への道の管理者として王神によって定められた存在とされており、人々を清め、完璧なものとする役割を担う。それぞれの神は五つの試練/Trialのうちの一つを監督し、試練に挑む人々を教え導き、彼らが現世における完全性の五つの側面――結束/Solidarity、知識/Knowledge、活力/Strength、野望/Ambition、激情/Zeal――を修める助けとなる。
- オケチラ/Oketra - 猫の頭部を持つ神。結束を司る。
- ケフネト/Kefnet - トキの頭部を持つ神。知識を司る。
- バントゥ/Bontu - クロコダイルの頭部を持つ神。野望を司る。
- ハゾレト/Hazoret - ジャッカルの頭部を持つ神。激情を司る。
- ロナス/Rhonas - コブラの頭部を持つ神。活力を司る。
実際は八柱が存在するが、他の三柱は封印されており、現在の五柱も精神が改竄されてしまっている。元々の役割は明確にされてはいないが、現在より平和的なものであった。封印されていた三柱は王神の帰還に際し復活した。
- 蠍の神/The Scorpion God - 蠍の頭部を持つ神。役割は用済みとなった神々の殺害。
- 蝗の神/The Locust God - 蝗の頭部を持つ神。役割はヘクマの破壊。
- スカラベの神/The Scarab God - スカラベの頭部を持つ神。役割は永遠衆の統率。
戦いの末に五柱が斃れ、ハゾレト、蝗の神、スカラベの神だけが生き残った。だが新ファイレクシアによる侵略が終わると、新たな二柱の神が姿を現した。
- サブ=スネン/Sab-Sunen - カエルの頭部を持つ神。
- ケトラモーズ/Ketramose - 獅子の頭部を持つ神。
[編集] 王神/The God-Pharaoh
すべての神の上に立つ存在。二本の角を持ち、角ある御方/The Horned Oneの尊称で呼ばれる。今は輝かしい来世を準備している最中であると言われており、人々の前に姿を現すことはない。
その正体は邪悪なプレインズウォーカー、ニコル・ボーラス/Nicol Bolasである。彼は数十年前にアモンケットを訪れ、とある長期的計画のために、この次元の環境や文化を作り変えたのだ。
[編集] 刻/Hour
刻の書/The Accounting of Hoursには、将来訪れる四つの刻(とき)/Hourが記されている。
副陽が地平線の二つ角の間に入ったとき、啓示の刻/The Hour of Revelationが始まる。その後、栄光の刻/The Hour of Glory、約束の刻/The Hour of Promiseと続き、最後に永遠の刻/The Hour of Eternityが訪れる。
[編集] 日々の記/The Record of Days
ボーラスによる支配の間は、刻の書がアモンケット人の主要な宗教文書だった。ボーラスの嘘が明らかになり、アモンケットの人々の信仰は打ち砕かれた。だがそれでも信仰は残り、拠り所を求めていた。破滅の刻とファイレクシアによる侵略の恐怖から抜け出したアモンケットの生存者たちは、新たな文書を作り始めた。それは激動の過去にあった切なる信仰と、より良い日々が来るという守られし希望が結びついたものだ。その文書こそが日々の記/The Record of Daysであり、一致団結してしか築くことのできない黄金時代への道のりを示している。この文書には三柱の神が記されている――既知の神ハゾレト、そして新たな神サブ=スネンとケトラモーズだ。
[編集] 用語
[編集] 太陽
アモンケットには二つの太陽があり、大きな方が主陽/The First Sun、小さな方が副陽/The Second Sunと呼ばれる(イラスト)。
主陽は日の出と日の入りを繰り返すが、副陽は常に地平線の上にある。したがってアモンケットでは、夜でも完全に暗くなることはない。副陽が王神の碑の上の定められた位置についたとき、王神が帰還し人々は来世での栄光を約束されるとされている。
[編集] ラゾテプ/Lazotep
魔法的な力を持った青い鉱石。ミイラによって採掘され(イラスト1、イラスト2)、カルトーシュ/Cartoucheに使われている。
実際にはカルトーシュの生成に使われているラゾテプは僅かであり、大多数は葬送の舟とともに来世への門の向こう側に送られ永遠衆/Eternalの製造に使われていた。
[編集] 種族
[編集] 人型種族
現代のアモンケットには五つの人型種族が存在する。
- 人間/Human - 最も多様で適応力に富んだ人型種族。他種族が得意とするものも含め、様々な戦闘技術を学ぶ。
- エイヴン/Aven - タカやトキの頭部と翼を持つ人型種族。敵よりも高く飛び、その優れた機動性で相手を困惑させる。
- ケンラ/Khenra - ジャッカルの頭部を持つ人型種族。ほとんどが双子で生まれ、その二人は強い感情的繋がりを有する。
- ミノタウルス/Minotaur - 羊の頭部を持つ人型種族。屈強な肉体と頑固で無謀な精神を併せ持ち、戦闘を、特に不利な戦闘を楽しむ。
- ナーガ/Naga - 蛇の頭部と下半身を持つ人型種族。肉体と精神の完璧な釣り合い、「甘美なる調和/The Sweetest Harmony」を目指している。
また、古代のアモンケットにはマーヘステット/Maahestetと呼ばれるレオニン/Leoninの支配者層が存在したが、現在は衰退したアンデッドが見られる程度である。
[編集] ゾンビ
アモンケットでは次元そのものに呪いがかけられている。放浪の呪い/The Curse of Wanderingと呼ばれる呪いによって、この地で死んだ生命は肉体を失わない限り、独りでに蘇ってゾンビとなる。この呪いはボーラスが訪れるよりも遥か古くから存在していた。
彼らは飽くなき飢えと、生者を攻撃したいという耐えがたい衝動に突き動かされている。だが死者は成長することはできず、いずれ朽ちて消えゆく運命にある。生者がいなければ、いずれ最後の死者が塵になりアモンケットは滅びてしまうだろう。
[編集] ボーラス支配下
試練の中で命を落とした者は、内臓を取り除くなどの不朽処理を施され、全身を白い包帯で覆われたミイラとなる。胸のカルトーシュの力で従順な奴隷と化した彼らは選定された者/The Anointedと呼ばれ、生者に代わって様々な労働を担う。
ナクタムンから追放されて死んだ者、もしくはナクタムンから追放されたミイラは、人々に危害を及ぼすゾンビとなる。ヘクマの防護により、彼らがナクタムンに侵入することはない。
全ての試練を終え、蓋世の英雄として名誉ある死を遂げたものは、いずれ訪れる永遠の刻に復活するとされていた。だが実際にはラゾテプの被膜を施され、ボーラスの手駒であるアンデッド兵、永遠衆/Eternalへと加工されていた。その後、多くの永遠衆はボーラスの目的のためラヴニカ/Ravnicaへと送られている。
[編集] ファイレクシア戦争以後
アモンケット最大の災厄である放浪の呪いは、ファイレクシア侵攻の際には救いとなった。ボーラス支配下では生者から時に恐れられ時に支配されてきた死者であったが、彼らは侵攻に際しこの次元を守るために押し寄せた。その中にはボーラス以前の歴史における王族や亜神の英雄の姿もあり、ナクタムンの防衛隊と力を合わせ、光素/Haloで弱体化したファイレクシアンを一掃した。
翌年、生者と死者は和解を始めた。アモンケットの死者はボーラスによる虐殺後と同様、生者の新世代を育て始めた――ただし今回は、昼の光に満ちた知識の中で。彼らはボーラスの命令によらず孤児を育て、治癒の場を世話し、自分たちよりも数の少ない生者と共に働いている――アモンケットが存続するように。一方で生者の側は死者を賢明な教師、長く残り続ける祖先、そして次元の衰退を防ぐには不可欠の冷静な守護者とみなしている。それでも、生者も死者も何世代にわたる偏見と抑圧に立ち向かい、それらを克服しなければならない。生者は死者を束縛したことに対し謙虚になり、死者はそれを許すことを学ばなければならない。両者とも、自分たちが邪悪な意志の道具にされたという真実に立ち向かう時なのだ。過去の不正を赦すことは、その時の責任を負うこと。今、あるいは未来、残酷さも優しさも自分たちへと帰ってくるのだ。
この和平への道のりは平坦でなく、新たな世界の支配権をそれぞれ主張するアンデッドの君主との交渉が必要となる。ナクタムンの生者に対して有効的で、彼らが神々の寵愛を受けていることを認める者もいる。だがそうではない者は次元の防衛を終えた後、アンデッドの戦士集団とともに古代の墓所に撤退し、自らの威厳と統治を取り戻そうとしている。こうした不満を持つ死者たちは、前史の墓所の周囲に集結している。ナクタムンより遠く離れた遺棄地の広大な一地域、流砂から出現した古代遺跡である。そこではボーラス以前の時代における、遥か昔に亡くなった王族が埃まみれの玉座に座り、議論し、軍を動かし、復活を企んでいる。彼らは自身の王朝を賭け、スケルトンの軍勢を率いて砂漠で戦争をしている。
[編集] その他の生物
- 天使/Angel - 細長い体躯と大きな翼を持つ人型生物。他の次元と異なり男性の姿をしている。ボーラスに歪められ、彼の代理人と化している。
- セロドン/Cerodon - 崖のような巨大な角を持ったビースト。砂漠に棲息するが、時にナクタムンを攻撃する。
- デーモン/Demon - 恐るべき怪物。イフニル/Ifnirに棲息する有翼のデーモンの他、動物のような姿の種も存在する。
- ドラゴン/Dragon - 有翼のワニのような肉食動物。砂漠の辺境に棲むが、時に捕らえられて激情の試練/The Trial of Zealへ駆り出される。
- ドレイク/Drake - ドラゴンに似ているが、脚の数が2本少ない生物。ドラゴンよりも温和で賢く、ラゾテプや水面など光る物に引き寄せられる。オベリスクの尖端に止まることも多い。
- カバ/Hippopotamus - 水辺に棲息する獣で、時に船をも襲う。現実世界のカバと異なり、鼻の上に角が生えている。
- ハイドラ/Hydra - 多頭のコブラのような生物。
- マンティコア/Manticore - 蠍のような尾と猫のような身体を持った生物で、脚先がキチン質の甲殻に包まれている。アモンケットで最も強力な毒を持つ。
- サンドワーム/Sandwurm - シェフェト最大の捕食者。砂の中を驚くべき速度で移動するだけでなく、何年も獲物を待つ忍耐力もある。
- 蛇豹/Serpopard - 蛇のような特徴を持つネコ科動物。木の上に止まり、水辺にやってきた生物を襲う。
- スフィンクス/Sphinx - 賢く謎めいた心を持つ生物。ボーラスの洗脳を免れたものの、代わりに意思疎通を封じる呪いにかかってしまっている。
[編集] 社会
[編集] 一門/Crop
ナクタムンでは種族に関わらず五歳に達した子供は見習い/Acolyteとなり、同じ年に生まれた子供たちと集まり一門/Cropを組む。ストーリー中に登場する一門は以下のものがある。
- ター一門/Tah crop - サムト/Samutやデジェル/Djeruなど、約二十人が所属する。
- アン一門/Ahn crop - ネヘブ/Nehebが所属する。
- レト一門/Rhet crop - イータ/Ethaやイクソル/Ixorが所属する。
- ネフ一門/Nef crop - ピタムン/Pytamunが所属する。
一門の最初の仕事は一門のオベリスクを建立することであり、優に十年はかかる務めである。この務めを通して一門は友情の絆を深め、五つの試練を突破し栄誉の死を迎えるために互いに励まし合う。
見習いの期間は一門が神々のピラミッド/Pyramid of the Pantheonで評定の儀式/The Ceremony of Measurementと呼ばれる魔法の儀式を受けることで終わる。神々は見習いたちの信念を見極め、ある者は王神の修練者/Initiateとなり、ある者は一柱の神に使える侍臣/Vizierになる。誉れなしとされたものは一門を破門され、都市から追放される。
[編集] 修練者/Initiate
修練者/Initiateとして認められた者は、五つの試練/Trialの達成を目指して日々鍛錬に励む。この試練は、現世における完全性の五つの側面を試すものであり、対応する神の碑で行われる。一門の者が共同して試練に当たる。
- 結束の試練/The Trial of Solidarity - オケチラが執り行う第一の試練。他者と協力する力を測る。
- 知識の試練/The Trial of Knowledge - ケフネトが執り行う第二の試練。精神的な能力を測る。
- 活力の試練/The Trial of Strength - ロナスが執り行う第三の試練。肉体的な能力を測る。
- 野望の試練/The Trial of Ambition - バントゥが執り行う第四の試練。為すべきことを為す意志力を測る。
- 激情の試練/The Trial of Zeal - ハゾレトが執り行う最後の試練。死に挑む。
試練を達成した者にはその証として、対応するカルトーシュ/Cartoucheが授けられる。これは王神の魔法を宿す護符であり、青く輝く鉱石、ラゾテプ/Lazotepが埋め込まれている。各々のカルトーシュは繋ぎ合わせることができ、修練者の胸に一列に並ぶことになる。王神の教えによれば、この勲章が修練者の本質を保存し、来世での人生を約束してくれるとされる。
激情の試練を通過した栄誉ある遺骸は葬送の舟によって来世への門/Gate to the Afterlifeへ運ばれる。彼らは壮麗なオアシスの中で、王神が彼らを永遠の来世に招くために降臨するのを待つこととなる。
[編集] 侍臣/Vizier
評定の儀式で、少数の者は五柱の神から選ばれ、その侍臣/Vizierとなる。侍臣は儀式の先導、試練の監督、見習いや修練者の稽古、ヘクマの防護の監視、神々の意志を伝えることなど多くの重要な仕事を果たす。修練者と違い侍臣に五つのカルトーシュはもたらされないが、代わりに彼らは一つの熟達した面を示したカルトーシュを授かる。彼らの献身は、その功労を終えた後に与えられる栄誉の死で報いられる。
[編集] 選定された者/The Anointed
来世での栄光を目指すものも、すべてが成功するわけではない。訓練中に命を落とした見習い、試練に失敗した修練者、献身を証明する前に没した侍臣、王神は彼らを放浪の呪いによって永遠に砂漠を彷徨う運命から救う。彼らの死体は不朽処理され、選定され、仕えるために起き上がる。
選定された者は個々の仕事によって、その命令を与えるカルトーシュを授けられる。彼らの仕事は作物の収穫、石材の運搬、建築、給仕と清掃、子供の世話、汚物の処理、儀礼の補助、見習いや修練者達の修行の相手、葬送の舟の導き、他のミイラの不朽処理などである。彼らの奉仕は、来世への付き添いとしての地位をもたらす。
[編集] 造反者/Dissenter
王神の教えを疑った者は造反者/Dissenterと呼ばれる。彼らへの処罰は過酷である。天使/Angelたちは彼らをTombs of Disgrace(不名誉の墓)と呼ばれる囚人の手が剥き出しとなった特別な石棺(イラスト)に閉じ込める。石棺はナクタムンの通りに並べられる。これはDisplay of Doubt(疑念の展示)として知られる。展示が終わると天使は造反者をヘクマの外へと運び、放浪の呪いに呑み込まれるに任せる。
[編集] 君主たる不死者/The Monarchal Dead
ナクタムンのために働く不死者の数は多いが、アモンケットを彷徨う安息なき死者たちのほとんどは生者と共に働くことを好まない。彼らは君主的な死者、つまり君主/Monarchsである。ボーラスの統治の隆盛期と初期、そしてそれ以前の時代からやってきた者たちであり、途方もない期間、遺棄地の封じられた墓所で惨めに幽閉されていた。
君主たる死者たちは、ボーラスが統治する時代以前に存在した嫉妬に狂った王や女王、皇帝らによるおびただしい数の混成である。今やその玉座には王朝の末裔やライバルたちでごったがえし、かつての領地の境界は砂の下に失われた。そしてアモンケットで唯一不変にして神聖なるルクサ川には、奇妙な都市が――ナクタムンが――栄えている。君主たちの数はナクタムンの人口やアモンケットに現存する勇者をはるかに上回るが、今を生きる者たちを脅かすほどの統一戦線は張れていない。いがみ合う君主たちは遺棄地の随所で互いに争い、誰がアモンケットの事実上の支配者かを決めようとしている。彼らに唯一共通する不変の事実、そして新たなアモンケットの将来にとって最も危険なことは、ほぼ全員がボーラスの統治以前に彼らの神であったキチン宮廷に忠誠を誓っていることだ。
[編集] キチン宮廷/The Chitin Court
蠍、蝗、そしてスカラベの神は過去に存在したキチン宮廷/The Chitin Courtの神々の生き残りである。ファイレクシア侵攻を経て今なお残る蝗とスカラベは、辺境のオアシスやナクタムンの忘れられた場所に居座るカルト教団に崇拝されている。彼らは遥か昔に死んだきょうだいを蘇らせようと画策している。キチンの崇拝者はボーラス時代の死者、現存する数少ない永遠衆、そして遺棄地を彷徨う無数の不死者たちだ。信者の中で最も多くを占めるのはボーラスの統治より遥か以前に死んだ者、すなわち古の君主たちであり、彼らはキチン宮廷の神々こそアモンケットの真の神であると崇めている。
遺棄地の君主とその追随者たちは、キチンの神々が神性を維持するには十分すぎるほどの源泉だが、彼らの力を完全なものに戻すまでには至っていない。故に、キチンの神々はじっと計画を練り、神聖な武器を研ぎ澄まし、ボーラス以前の死者の軍団による新たな軍団を集める。キチン宮廷にとって、新たな神々は忌まわしき存在だ。彼らにとって後世の神はボーラスの創造物(ハゾレトのように歪められたもの、あるいはケトラモーズらのようにボーラスに汚染された地から誕生したもの)であり、アモンケットの真の神ではない。キチン宮廷の計画は長期的なものであり、彼らの展望もまた同様だ。信者を集め、組織を拡大し、キチン宮廷の斃れた同胞たちを蘇らせる。そうすることで初めて、彼らは自分達が築いた次元を取り戻すのだ。
アモンケットのレーサーや住民は、遺棄地でキチン宮廷が迫り来ることを告げる暗い兆しがあると囁いている。脱皮した昆虫の抜け殻が乾いた川のように砂丘を流れていく、激しく渦巻く砂嵐の中に蝗の神やスカラベの神のそびえ立つ影が見える、古代の王や皇帝の墓が内側から荒らされて空になり、石棺が砕かれ、武器棚が乱れているなどである。これらの兆しはまだナクタムンの神々や指導者の耳に届くほどではないが、近いうちに届くだろう。
[編集] キャラクター
- アモンケット出身者
- サムト/Samut - ター一門に所属していた人間の元修練者。女性。隠されていた過去の歴史を知り、造反者となった。ナクタムンを襲う破滅の中、プレインズウォーカーとして覚醒する。
- バスリ・ケト/Basri Ket - オケチラを崇める人間の元修練者。男性。ゲートウォッチ/The Gatewatchがアモンケットを訪れる少し前に覚醒し、他の次元へと姿を消した。
- 他次元からの来訪者
- ゲートウォッチ/The Gatewatch - プレインズウォーカーのチーム。ボーラスの謀略を突き止めるため、この次元を訪れた。
- ギデオン・ジュラ/Gideon Jura - テーロス/Theros出身の人間の神聖術師。
- ジェイス・ベレレン/Jace Beleren - ヴリン/Vryn出身の人間の精神魔道士。
- リリアナ・ヴェス/Liliana Vess - ドミナリア/Dominaria出身の人間の屍術師/Necromancer。彼女の真の目的は、自らを縛る契約の悪魔ラザケシュを葬ることである。
- チャンドラ・ナラー/Chandra Nalaar - カラデシュ/Kaladesh出身の人間の紅蓮術師。
- ニッサ・レヴェイン/Nissa Revane - ゼンディカー/Zendikar出身のエルフの精霊信者。
- ニコル・ボーラス/Nicol Bolas - ドミナリア出身のエルダー・ドラゴン/Elder Dragon。この次元を支配した王神そのものである。
- テゼレット/Tezzeret - エスパー/Esper出身の人間の工匠。ボーラスの手先として、次元橋/Planar Bridgeで永遠衆をラヴニカへと転送した。
- ダク・フェイデン/Dack Fayden - フィオーラ/Fiora出身の人間の盗賊。灯争大戦のさなか、次元橋を止めるためカーン・ニクシリス・サムトと共にこの地へ向かった。
- カーン/Karn - ドミナリア出身のゴーレム。
- オブ・ニクシリス/Ob Nixilis - 元人間のデーモン/Demon。
- サルカン・ヴォル/Sarkhan Vol - タルキール/Tarkir出身のシャーマン。アジャニ/Ajaniからの連絡を受け、ボーラスを打倒する手掛かりを探していた。
- ラル・ザレック/Ral Zarek - ラヴニカ出身の人間の魔道士。灯争大戦の後、テゼレットの足取りを追い放浪者と共にナクタムンを訪れる。
- 放浪者/The Wanderer - 神河/Kamigawa出身の人間。
- ゲートウォッチ/The Gatewatch - プレインズウォーカーのチーム。ボーラスの謀略を突き止めるため、この次元を訪れた。
- アモンケットの住人
- 神
- オケチラ/Oketra - 猫の頭部を持つ神。
- ケフネト/Kefnet - トキの頭部を持つ神。
- バントゥ/Bontu - クロコダイルの頭部を持つ神。
- ハゾレト/Hazoret - ジャッカルの頭部を持つ神。
- ロナス/Rhonas - コブラの頭部を持つ神。
- 蠍の神/The Scorpion God - 蠍の頭部を持つ神。
- 蝗の神/The Locust God - 蝗の頭部を持つ神。
- スカラベの神/The Scarab God - スカラベの頭部を持つ神。
- サブ=スネン/Sab-Sunen - カエルの頭部を持つ神。
- ケトラモーズ/Ketramose - 獅子の頭部を持つ神。
- 人型種族
- デジェル/Djeru - ター一門に所属する人間の修練者。男性。
- ハパチラ/Hapatra - ロナスに仕える人間の侍臣。女性。毒物の侍臣/Vizier of poisonsとして、活力の試練で使われるバジリスクを管理する。
- ネヘブ/Neheb - アン一門に所属するミノタウルスの修練者。男性。
- テムメト/Temmet - オケチラに仕える人間の侍臣。男性。ナクタムンの侍臣/Vizier of Naktamunとして、他の侍臣を監督し、都市の基本的施設を管理する。
- イモーティ/Imoti - ナクタムンの外に暮らすナーガ。女性。
- ザフール/Zahur - マーヘステットの長。男性。現在はアンデッドと化している。
- その他
- ラザケシュ/Razaketh - リリアナと魂の契約を交わしたデーモンの一体。
そのほか、第二回ギラプール・グランプリ/The Ghirapur Grand Prixの関係者達もこの地を訪れている。
[編集] 登場
[編集] 登場カード
[編集] カード名に登場
[編集] フレイバー・テキストに登場
- アモンケット
- 枯死コウモリ/Blighted Bat、グレイブディガー/Gravedigger、穢れた果樹園/Foul Orchard
- 破滅の刻
- 死者の砂丘/Dunes of the Dead、敵意ある砂漠/Hostile Desert、マンティコアの永遠衆/Manticore Eternal、穢れた血、ラザケシュ/Razaketh, the Foulblooded、砂爆破/Sandblast
- ドミナリア
- ギデオンの叱責/Gideon's Reproach
- 灯争大戦
- 不気味な修練者/Grim Initiate、戦慄衆の先駆け/Herald of the Dreadhorde、護法鱗のクロコダイル/Wardscale Crocodile
- 統率者レジェンズ
- 副陽のスフィンクス/Sphinx of the Second Sun
- モダンホライゾン2
- 永久の証人/Timeless Witness(スケッチ版)
- 機械兵団の進軍
- 死滅都市の開封/Unseal the Necropolis、花咲く砂地/Blossoming Sands
- 霊気走破
- 軌道修正/Back on Track、墓所呼びの戦車/Cryptcaller Chariot、不死の操縦士/Deathless Pilot、アモンケット・サーキット/Amonkhet Raceway
- 霊気走破統率者デッキ
- 墓所破り/Cryptbreaker、墓所のタイタン/Grave Titan、秘儀の印鑑/Arcane Signet(コレクター番号51)
[編集] 登場作品・登場記事
- AMONKHET/『アモンケット』(旧公式サイト、いずれもInternet Archive)
- AMONKHET/アモンケット(公式サイト)
- Plane Shift: Amonkhet(PDF)(Feature 2017年7月5日) - ダンジョンズ&ドラゴンズでアモンケットの世界観を再現するためのサプリメント
- Puppets/闇の手先(Magic Story 2017年1月25日 James Wyatt著、名前のみ)
- Renewal/未来へ(Magic Story 2017年2月1日 Mel Li, Kelly Digges, Alison Luhrs, Doug Beyer, Chris L'Etoile著、名前のみ)
- The Legendary Team-Ups of March of the Machine/『機械兵団の進軍』の伝説のチームたち(Daily MTG - Feature 2023年4月13日 Emily Teng著)
- Planeswalker's Guide to Aetherdrift, Part 2/プレインズウォーカーのための『霊気走破』案内 その2(Daily MTG 2024年12月11日 Miguel Lopez著)
[編集] その他
- モチーフは古代エジプト[1]。ミイラ[1]や砂漠[2]といった要素のほか、獣頭の神々はアヌビスなどのエジプト神話の神[1]、碑はピラミッドやギザの大スフィンクスといった巨大建造物[2]、ルクサ川はナイル川[3]をそれぞれモチーフとしている。
[編集] 脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 Amonkhet Down to Business, Part 1/『アモンケット』に入ろう その1(Making Magic 2017年4月3日 Mark Rosewater著)
- ↑ 2.0 2.1 Amonkhet Down to Business, Part 2/『アモンケット』に入ろう その2(Making Magic 2017年4月10日 Mark Rosewater著)
- ↑ Amonkhet Talking, Part 1/『アモンケット』語り その1(Making Magic 2017年4月24日 Mark Rosewater著)