約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End
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伝説のクリーチャー — エルドラージ(Eldrazi)
この呪文を唱えるためのコストは、あなたの墓地にあるカードに含まれるカード・タイプ1種類につき(1)少なくなる。
あなたがこの呪文を唱えたとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーの次のターンの間、あなたはそのプレイヤーのコントロールを得る。そのターンに続いて、そのプレイヤーは追加の1ターンを得る。
飛行、トランプル、プロテクション(インスタント)
イニストラードを覆う影ブロックのストーリーの元凶として再登場したエムラクール/Emrakul。能力は、墓地を参照した唱えるためのコストの減少、唱えた時に誘発する追加ターン付与つきの最悪の恐怖/Worst Fears、飛行、トランプル、インスタントへのプロテクション。
13マナはいささか重すぎるが、適当に呪文を唱えている内に自身の能力で3~4マナはコストが減るので実用的なマナ・コストに落ち着くだろう。イニストラードを覆う影ブロックで推奨されている昂揚メカニズムへの補助を用いれば、さらに軽くすることもそう難しくもない。
13/13というサイズが飛行とトランプルに加えて除去耐性まで持っているため、フィニッシャーとしての性能は充分。この手の単独で巨体を誇るフィニッシャーにありがちな弱点としてこれ一体が戦場に出てもすでに間に合っていないことがよくあるが、対戦相手のターンを奪うことによりどんなに悪くとも対戦相手のクリーチャー1体をこれに向かってチャンプアタックさせることができるし、相手のデッキや戦場の状況次第では追加ターンによる立て直しも効かないぐらいの壊滅的被害を与えることも可能。
登場時のスタンダードにて早速、黒緑昂揚、赤緑昂揚ランプ、現出デッキと複数のアーキタイプでの活躍を見せた。
- 霊気紛争時点で、点数で見たマナ・コストが13である唯一のクリーチャー。このため、モミール・ベーシックではX=13で確実に呼び出すことができる。
2017年1月20日から、スタンダードで禁止カードに指定される[1]。プロテクション(インスタント)と誘発する能力の相乗効果であまりに対処の方法が少ない点に加え、霊気池の驚異/Aetherworks Marvelとの組み合わせが強力すぎたことが問題となった[2][3]。
ルール
- 唱えたときの誘発型能力
- 対戦相手のコントロールを得る効果に関するルールは他のプレイヤーをコントロールするを参照。
- この能力を同一ターン中に複数回解決しても、対戦相手をコントロールできるのは次の1ターンのみである。なお、その対戦相手が得る追加のターンの数は累積する。
- プロテクション
- プロテクション(インスタント)は「『インスタント・呪文』および『インスタント・カードの起動型能力や誘発型能力』の対象にならず、それらから与えられるすべてのダメージを軽減する」を意味する。
- 例1:エムラクールを対象に大地力/Earthbrawnを唱えることはできない。また、エムラクールを対象に大地力の補強を起動することもできない。
- 例2:コジレックの帰還/Kozilek's Returnが唱えられた場合でも、墓地にあるコジレックの帰還の能力が誘発した場合でも、それがエムラクールに与えるダメージはすべて軽減される。
- プロテクションは戦場にいる間のみ機能する能力である。スタック上のこのカードを取り消し/Cancelなどで打ち消すことは可能。
開発秘話
戦乱のゼンディカー・ブロックは元々3つのエキスパンションで構成されており、第1セットがウラモグ/Ulamog、第2セットがコジレック/Kozilek、第3セットがエムラクールに焦点を当てたものになる予定だった。しかし開発中に1ブロック2セット制への移行が決まったため、エムラクールの出番を別途用意する必要が生じてしまった。開発部はAdam Leeが数年前に提案していた、「異世界の勢力(最有力候補は既存のキャラクターであるエムラクール)を黒幕とする、コズミック・ホラー要素を取り入れたイニストラード/Innistrad再訪」のアイディアを採用することにした[4]。
新しいエムラクールは引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Tornと同様に魅力的なものであり、かつ初代とは違って「出せば勝ち」にはならないカードにすることが求められた。唱えたときの誘発型能力は当初パーマネントのコントロールを得るものだったが、絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hungerの除去能力と方向性が似すぎていたため、対戦相手自身のコントロールを得るものに変更された。さらに追加ターンを与えることで、対戦相手から反撃の余地を完全には奪ってしまわないようにデザインされている。
またエムラクールが単体除去1枚で簡単に対処されることは望ましくないため、除去耐性も必要とされた。候補としては「不治/Incurable(これは追放されたりオーナーの手札やライブラリーに戻されたりしない)」や「唱えたときの誘発型能力を、能力の解決時から対戦相手のコントロールを得るようにする」などが挙げられたが、最終的にはプロテクション(インスタント)になった。
点数で見たマナ・コスト、パワー、タフネスはイニストラードの13テーマに因んですべて13となった。しかしエルドラージ覚醒や戦乱のゼンディカー・ブロックと違い、イニストラードを覆う影ブロックは極端な高マナ域にアクセスできるように作られておらず、そのままではリミテッドで非常に使いづらいという問題があった。これを解決するため、昂揚の流れを汲むコスト減少能力が付けられた[5]。
- こうしたデベロップ・チームの配慮にもかかわらず、スタンダードにおいては対処手段が非常に少なくなってしまい、異界月の目玉カードでありながらわずか半年でのスタンダード退場となった。
- Sam Stoddardは精神隷属器/Mindslaver効果を内蔵したこのカードについて「最初の1~2回はとてもクールだが、3~4回目になると驚異的に腹立たしくなる」とし、多くの対戦で基本的なエンドカードになったことで楽しさが損なわれてしまったと後に振り返っている[2][3]。
- Mark Rosewaterは、フレイバー重視のストーリ・カードを意図的にトーナメントレベルにすることが楽しい環境を作るとは限らないという好例としてこのカードを挙げている[6]。
関連カード
ストーリー
ソリン・マルコフ/Sorin Markovへの復讐を目論むナヒリ/Nahiriによってイニストラード/Innistradに呼び寄せられたエムラクール/Emrakul。その存在によってイニストラードの生物たちは異形の姿へと変わり果ててしまう。
詳細はエムラクール/Emrakulを参照。
脚注
- ↑ January 9, 2017 Banned and Restricted Announcement/2017年1月9日 禁止制限告知
- ↑ 2.0 2.1 Kaladesh Standard Retrospective/『カラデシュ』スタンダード総括(Daily MTG、Latest Developments、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也)
- ↑ 3.0 3.1 Standard/スタンダード(Daily MTG、Latest Developments、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也)
- ↑ Eldritch Perfect, Part 1/異界の完成 その1(Daily MTG、Making Magic、文:Mark Rosewater、訳:米村薫)
- ↑ M'rakul Files: Developing Emrakul/Mラクールファイル 「エムラクールのデベロップ」編(Daily MTG、Latest Developments、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也)
- ↑ Metamorphosis 2.0/変身2.0(Daily MTG、Making Magic、文:Mark Rosewater)