続唱
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続唱(ぞくしょう)/Cascadeは、アラーラ再誕で初登場したキーワード能力。この能力を持つ呪文が唱えたときに誘発する誘発型能力である。
クリーチャー — エルフ(Elf) 狂戦士(Berserker)
速攻
続唱(あなたがこの呪文を唱えたとき、あなたのライブラリーの一番上のカードを、コストがより低い土地でないカードが追放されるまで追放する。あなたはそれをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。追放されたカードをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。)
伝説のクリーチャー — オーガ(Ogre) ウィザード(Wizard)
トランプル
大渦を操る者、イドリスがプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、このターン、あなたがあなたの手札から呪文を唱えるに際し、それらは続唱を得る。(あなたがその呪文を唱えたとき、コストがそれより低い土地でないカードが追放されるまで、あなたのライブラリーの一番上からカードを1枚ずつ追放する。あなたはそれをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。追放したカードをあなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。)
定義
続唱/Cascadeは、「あなたがこの呪文を唱えたとき、マナ総量がこの呪文より小さく土地でないカードが追放されるまで、あなたのライブラリーの一番上から1枚ずつ追放していく。あなたは、唱えた結果の呪文のマナ総量がこの呪文のマナ総量よりも小さいなら、そのカードをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。その後、これにより追放されたすべてのカードを、あなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。」を意味する。
解説
唱えると追加で1枚カードをただで唱えられるという豪快なメカニズム。
アラーラ再誕~統率者2016までのものはすべて多色カードだったが、モダンホライゾン以降は単色のカードが登場している。統率者レジェンズでは無色のカードも登場した。マナ・コストは基本的に3マナ以上でデザインされている。#マナ・コストの調整も参照。
カード単体での効果は同じ効果の続唱を持たない呪文に比べて大幅に重くデザインされており、ライブラリーからどの呪文が出てくるかはわからないものの、デッキ構築によってある程度唱える呪文をコントロールできる。元の呪文を打ち消されても追加の呪文には影響しないため、パーミッションに対する耐性がある。
初出のアラーラ再誕は、収録カードが全て多色カードという異色のカード・セットであり、色拘束が強い代わりにカードパワーが高いカードが多数収録されていた。それが手伝い、スタンダードでは血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elfから大渦の脈動/Maelstrom Pulseや荒廃稲妻/Blightningが飛び出してくるジャンド続唱が構築され、大暴れした。またマナ・コストの無いカードを唱えられる点を悪用し、エクステンデッド以下のフォーマットでは超起源や死せる生といったコンボデッキを誕生させた。モードを持つ両面カードともその相互作用によってティボルト続唱というコンボを隆盛させたが、それによってルール変更を余儀なくされた(#旧ルール参照)
- 「Cascade」とは「滝」あるいは「(滝のように)繋がったもの・流れるもの」のこと。「続唱」は呪文の詠唱が連なり続いていくような様からの命名だろう。
- ストーリー掌編「The Day a Vedalken Exploded」[1]では、「続唱」は荒れ狂うむき出しのマナの流れである大渦/The Maelstromによって、魔法が影響を受けた現象として描かれている。このことから、「続唱」は大渦の一面を表現したメカニズムの1つであることが分かる。
- 本流のセットでは再登場しないものの、派手で無作為性がありカジュアルな人気が高いためか統率者戦用セットでは多用される。
- 機械兵団の進軍のアラーラへの侵攻/Invasion of Alaraも続唱をモチーフとした効果となっている。ただしルール変更前の挙動であり、同様に悪用したコンボデッキが登場した(5色アラーラ)。
- イクサラン:失われし洞窟ではキーワード処理になったリメイクとして発見が登場した。そちらは唱えずに手札に加えることもできる。
ルール
- 続唱能力は続唱を持つ呪文を唱えたときに誘発し、その呪文が解決される前に解決される。続唱能力によって唱えられたカードも同様である。続唱を持つ呪文を打ち消しても、続唱能力は打ち消されない。
- 条件を満たすカードを追放した後、それを唱えないことを選んでもよい。唱えなかった(唱えられなかった)カードは、他のカードと同様にライブラリーの一番下に置かれる。
- 能力が解決中に呪文を唱えるよう指示している(CR:608.2g)ため、優先権やカード・タイプによる許可(自分のメイン・フェイズでスタックが空といった)とは関係なく唱える事ができる。
- 続唱能力によって唱えられるカードは、ライブラリーではなく、追放領域から唱えられる。
- 続唱能力によって唱えられるカードのマナ・コストにXが含まれていた場合、適正なXの選択は0のみである。また、そのカードの任意の追加コストを支払ってもよく、強制の追加コストは支払わなければいけない。
- 続唱能力によって唱えられたカードの続唱能力も誘発する。
- 分割カードが追放された場合、マナ総量は分割カードすべての合計となる。いずれかのカードのマナ総量が続唱を持つ呪文より低くても、その合計が上回っているならばどのカードとしても唱えられない。
- マナ・コストの無いカードは続唱能力で唱えられる(マナ総量は未定義値のルールにより0として扱う)。
- 当事者カードやモードを持つ両面カードがめくれた場合、その出来事や第2面が条件に合致するならそちらでも唱えることができる。
- 追放されたカードは、ライブラリーの一番下に無作為の順番で置かれる。これは、条件を満たすカードがライブラリーに存在しない場合、ライブラリーを好きな順番に並び替えることを防ぐためである。
- 条件を満たすカードがライブラリーに存在しなかった場合、結果としてライブラリーが無作為に並べ替えられるだけだが、これは「ライブラリーを切り直す」ではない。そのため、「ライブラリーを切り直すたび」に誘発する誘発型能力(心因検査器/Psychogenic Probe)は誘発しない。
- 続唱能力の解決の後に優先権を得るのは、アクティブ・プレイヤーである(CR:117.3b)。
旧ルール
初出時のルールは「あなたがこの呪文を唱えたとき、あなたのライブラリーの一番上のカードを、点数で見たマナ・コスト(現在のマナ総量)がその呪文より低い土地でないカードが追放されるまで追放する。あなたはそのカードをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。その後、これにより追放されたすべてのカードを、あなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。」だった。
追放されたカードを唱える手順に関してはマナ総量の制限は関係ないため、アモンケットでのルール変更前の分割カードや、当事者カード、モードを持つ両面カードは、追放される際に条件が合致していれば合致していない方も唱えることができた。カルドハイム発売後のモダン以下のフォーマットではこれを利用し3マナの続唱から嘘の神、ヴァルキー/Valki, God of Liesをめくり、星界の騙し屋、ティボルト/Tibalt, Cosmic Impostorとして唱えるティボルト続唱コンボが環境を席巻した。その結果、この挙動が反直観的で問題を発生させているとして2021年2月に現在のルールに変更された[2]。
開発秘話
スピンとシャッフル
Mark Gottliebがこのキーワード能力を提案したときの名称は「スピン/Spin」で、「ライブラリーから最初のコストがN(そのカードのマナ総量と同値)以下の土地でないカードを見つけ、それをこの呪文の代わりに唱えてもよい。」という能力であった。要するに、スピン呪文の代わりに別の呪文を唱えられる選択肢を与える能力である[3]。
Mike Turianは、スピン呪文は「いらだつような決定が生じる」欠点を持つと指摘した。スピン呪文はそうでない同じコストの呪文より弱くしなくてはならないが、そうすると見つけた別の呪文を選択する方が多くなり、これでは単に効果が不確定な呪文に過ぎなくなってしまう。さらに、公開されたのが元より低いコストの呪文であったら、どちらを選択しても支払ったコストに見合った効果が得られない。これを解決するため、両方の呪文を唱えるように提案し、「この呪文の代わりに唱える」が「コストを支払わずに唱えてもよい」に変更された。
その後、すべての呪文カードがスピン持ちで同じマナ総量の場合、スピン呪文を1回唱えるだけで、すべてのスピン呪文が唱えられてしまう問題が発生したため、スピン能力の連発を防ぐため、誘発条件が「手札から唱えられたとき」に変更された。だが、スピン能力の連発は問題ではないと多くの主張があったことから、唱えられるカードの条件が「この呪文のマナ総量より低い土地でないカード」に変更され、「手札から唱えられたとき」の誘発条件は削除された。
開発の終盤で、多くのテストプレイヤーが続唱で毎回ライブラリーの切り直しを強制されることに不満を述べたことから、「公開する」が「追放してからライブラリーの一番下に戻す」に変更された。しかし、先述の「好きな順番に並び替えられる」ことは好まれないため、「追放したカードを無作為の順番で戻す」という少し奇怪な文章となった。基本的に追放したカードの束を切り直すことになるが、ライブラリーを切り直すよりは悪くないという考えである。
マナ・コストの調整
公式コラムでは、2マナの続唱カードがなぜ作成されなかったのかを解説するために「Waterfall」という架空のカードを提示して解説している[4]。
非公式/非実在カード
Waterfall (白)(青)ソーサリー
続唱(あなたがこの呪文をプレイしたとき、あなたのライブラリーの一番上のカードを、コストがより低い土地でないカードが取り除かれるまでゲームから取り除く。あなたはそれをそのマナ・コストを支払うことなくプレイしてもよい。取り除かれたカードを一番下に無作為の順番で置く。)
例えば、特定の1マナ以下のカード1種類しかデッキに採用していなかった場合には、Waterfallを唱えると必ずそのカードが唱えられることになる。続唱は無作為性・不確実性を特徴に織り込んでいるため、軽過ぎる続唱カードはデザイン意図に反することになる。
また、時のらせんのマナ・コストの無い待機呪文は待機という制約が課せられているために非常に強力な効果を持たされている。しかし、Waterfallを経由すれば祖先の幻視/Ancestral Visionや超起源/Hypergenesisといったカードが(白)(青)で即座に唱えることができてしまう。2マナでEurekaの効果が確実に得られるのは明らかに問題であった。
調整の結果、続唱のマナ・コストは3以上に定められた。超起源デッキは依然としてポテンシャルを秘めているものの、1~2マナのカードなしにデッキ構築するにはリスクが高く、問題ないとされた(結局、この種のコンボデッキは予想以上に猛威を振るい、超起源/Hypergenesisはエクステンデッドとモダンで禁止カードとなったのだが)。
- 後のモダンホライゾン2ではついに2マナで続唱を持ちうるカードとして血編み髪の匪賊/Bloodbraid Marauderが登場したが、上記の危険性を考慮してか、昂揚を達成した時限定となっている。
脚注
- ↑ The Day a Vedalken Exploded(Savor of Flavor 2009年5月5日)
- ↑ February 15, 2021 Banned and Restricted Announcement/2021年2月15日 禁止制限告知(Daily MTG News 2021年2月15日 Ian Duke著)
- ↑ Information Cascade(Latest Developments 2009年4月7日)
- ↑ Getting to Know Cascade(Latest Developments 2009年5月8日)
参考
- 「続唱」でテキスト検索
- Kind Acts of Randomness / 無作為はともだち(Web Archive) (Making Magic 2009年5月4日 文:Mark Rosewater)
- キーワード能力
- ルーリング
引用:総合ルール 20231117.0
- 7 その他のルール
- 702 キーワード能力
- 702.85 続唱/Cascade
- 702.85a 続唱は、続唱を持つ呪文がスタックにある間にのみ機能する誘発型能力である。「続唱/Cascade」は「あなたがこの呪文を唱えたとき、マナ総量がこの呪文より小さく土地でないカードが追放されるまで、あなたの ライブラリーの一番上から1枚ずつ追放していく。その結果の呪文のマナ総量がこの呪文のマナ総量よりも小さいなら、あなたはそのカードをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。その後、これにより追放された全てのカードを、あなたの ライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。」を意味する。
- 702.85b 効果によってプレイヤーが「あなたが続唱を行うに際し/as you cascade」1枚または複数枚の追放されているカードに処理を行えるという場合、そのプレイヤーはカードを続唱 能力で追放し終えたあとにその処理を行なってもよい。この処理は最後に追放したカードを唱えるかどうかを選ぶよりも前、適正なカードが追放されなかった場合にそれらの追放されたカードを無作為の順番で自分のライブラリーの一番下に置くよりも前に行われる。
- 702.85c 1つの呪文に複数の続唱がある場合、それらはそれぞれ個別に誘発する。
- 702.85 続唱/Cascade
- 702 キーワード能力