MoMa
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MoMa(モマ)は、デッキ中6種類ものカードが禁止カードに指定された、マジック史上最強クラスのコンボデッキ。MOMA/MOMa/Moma/MoMA等とも表記される。別名、『ターボ・ジーニアス』、『トレイリアン・ブルー』、また単に『アカデミーデッキ』と呼ばれることもある。
デッキ名「MoMa」の由来は、以下の2つを引っ掛けている。
- キーカードの精神力/Mind Over Matterの略称。
- ニューヨーク近代美術館/The Museum of Modern Art, New Yorkの略称。(皮肉で)ソリティア時の美しさを表している。
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[編集] 概要
エンチャント
カードを1枚捨てる:アーティファクト1つかクリーチャー1体か土地1つを対象とする。あなたはそれをタップまたはアンタップしてもよい。
ソーサリー
時のらせんを追放する。各プレイヤーは、自分の手札と墓地を自分のライブラリーに加えて切り直し、その後カードを7枚引く。あなたは土地を最大6つまでアンタップする。
アーティファクト
魔力の櫃はあなたのアンタップ・ステップにアンタップしない。
あなたのアップキープの開始時に、あなたは(4)を支払ってもよい。そうしたなら、魔力の櫃をアンタップする。
あなたのドロー・ステップの開始時に、魔力の櫃がタップ状態である場合、それはあなたに1点のダメージを与える。
(T):(◇)(◇)(◇)を加える。
基本的な動きは以下の通り。魔力の櫃/Mana Vaultや水蓮の花びら/Lotus Petalなどの軽量マナ・アーティファクトを並べ、トレイリアのアカデミー/Tolarian Academyで大量のマナが出せるような状況を作る。さらに意外な授かり物/Windfallや時のらせん/Time Spiralで手札を補充し、精神力/Mind Over Matterで手札を更に大量のマナに変え、その莫大なマナをもって対戦相手に止めを刺す。エンドカードとしてはドローを兼ねたX火力として天才のひらめき/Stroke of Geniusがメインであるが、タワーデッキなどのライブラリーアウトがほぼ効かない相手や、60マナを生み出せず、少ないマナで止めを刺す必要が出てきた時の保険に、火の玉/Fireballも採用されることが多かった。
火の玉を採用すること、またゲームの半分以上がミラーマッチになりかねない程のMoMaの海において、紅蓮破/Pyroblastなどの色対策カード(エクステンデッドではゴリラのシャーマン/Gorilla Shamanなどのマナ・アーティファクト破壊)を使うためもあって、タッチ赤のタイプが主流になった。
当時のスタンダードの禁止カード10枚の内6枚の原因となり、全ての構築環境を荒れさせ「MoMaの冬」を生み出した。その凶悪さは、
今のゲームは3つのステップに分かれている。
第一段階(序盤)がコイントス。
第二段階(中盤)がマリガンチェック。
第三段階(終盤)が――先攻第一ターンだ。[1]
という、傍から見ればとんでもないジョークを生み出す原因となったほどである。実際、カード・プールの狭いスタンダードですら1ターンキルの発生する確率が5%を超えていたのである。カードプールの広がるエクステンデッドやヴィンテージ(当時はタイプ1)ではもっと酷い。
手札が無いとコンボが回らないため、強いて言えば手札破壊が弱点であるとも言えるが、単に手札破壊を多めに積んだ程度ではまるで役に立たなかった。時のらせんなどのせいで一瞬で7枚まで手札が回復してしまうため、MoMaを機能不全に陥らせるほど手札を破壊するには完全に0枚に縛っておく必要があり、そして一般的な手札破壊の手段ではそれは不可能に近かった。せいぜいコンボが途中で止まってしまうのを期待できる確率がいくらか上がるといった程度でしかなく、結局は勝つためにはMoMaより相手を早く倒す→自分もMoMaでやられる前にやる、といった結論に達してしまうのであった。
高速化と安定性を追求した結果魔力の櫃/Mana Vault、古えの墳墓/Ancient Tomb、真鍮の都/City of Brassが投入されているため、ライフの消耗が激しい。その隙をつけるバーンやヘイトレッドなどの高速デッキは、アンチデッキとして有力とされた。またコンボを阻害しながらクロックを用意できるマーフォークも候補の一つ。しかし総合的な安定度の関係から、MoMa自体を選択するプレイヤーが多かった。
よく対戦がソリティアになってしまうと言われるが、使われる側からするとソリティアより酷い。相手が意外な授かり物や時のらせんを唱えるたび、自分もライブラリーを切り直したりカードを引いたりするという非常に面倒なことを要求されるためである。
- ヴィンテージでは2005年9月20日、レガシーでは2011年1月1日より精神力が解禁されている。そのため、同様のデッキが作られる可能性はある。
- 誤った指図/Misdirectionや精神壊しの罠/Mindbreak Trap、意志の力/Force of Willであれば先攻1ターンキルに対しても一応対策は可能である。しかし精神壊しの罠ははるか未来のゼンディカーのカード、誤った指図も1年後のメルカディアン・マスクスのカード、意志の力はウルザズ・サーガ発売の1年前にスタンダード落ちしておりMoMa登場当時はこういった対策カードは存在しなかった。
- 実はR&Dでは、ウルザズ・サーガの開発時からMoMaのようなデッキを組めることは知っていた。実際にテストデッキも作ってテストプレイしたのだが、出た結論は「勝利前に高確率で手札が尽きる。リスクの強いコンボデッキとしては妥当」というものだった。こんな実態とかけ離れた結論が出てしまった理由となる最大かつ致命的ミスは、強烈な手札補充手段である意外な授かり物と時のらせんという2枚のカードの存在を見落としていたことである。
- 1ターンキル率の高さや安定性など、純粋な凶悪さだけで言えばメグリムジャーやロング・デック、ハルクフラッシュなどさらに上が居るが、MoMaはこれらと違って、「キーカードが禁止される前に大きな大会で活躍する機会があった」「しかもその中にはWotCが最も力を入れているであろうフォーマットであるスタンダードを含む大会があった」という点で一線を画する。→MoMaの冬
- 金澤尚子曰く、「対MoMa用サイドボードはドラムバック満タンに詰めた漫画ガラスの仮面」だそうである。ゲームが始まってすぐにソリティアになってしまうので、漫画でも読んで暇をつぶしているのが一番だという意味らしい。ただ、上記の通りこちら側もシャッフルを要求され、そのたびに漫画を読むのも中断させられてしまうので有効なサイドボード?とは言い難いかもしれない。
[編集] 変遷
精神力/Mind Over Matterが禁止されるまでの間に「キーカードが禁止される→代わりのカードを探す」ということを繰り返したため、時期によって大きく3つの型に分けられる。
- 初期型は上で説明された、トレイリアのアカデミー/Tolarian Academyで大量のマナを出すタイプである。→初期型
- 中期型は禁止されたトレイリアのアカデミーの代わりにドリーム・ホール/Dream Hallsで精神力を戦場に出し、魔力の櫃/Mana Vaultから大量のマナを得る。→ドリームホールモマ
- 後期型はさらに禁止されたドリーム・ホールと時のらせん/Time Spiralの代わりにそれぞれ実物提示教育/Show and Tellと先細りの収益/Diminishing Returnsを、スタンダード落ちした魔力の櫃/Mana Vaultの代わりに厳かなモノリス/Grim Monolithを用いている。→実物提示モマ
また、エクステンデッドで満潮/High Tideを使用するバージョンは、ハイタイドモマの名で呼ばれている。
[編集] 異論
- スタンダードではThe Finals98以外の大会でそこまで結果を出せていなかったこと、プロツアーローマ98でも最強と呼べるほどの結果でなかったことから、日本のMoMaに対する「最強」という評価が一面的であり深みに欠けるという指摘もあり、The Finals98に関する限られた記事によって理解されたものであるとする意見もある[2]。
- なお、Zvi Mowshowitzによれば、プロツアーローマ98では、カード流通の問題でMoMaで出たくても出られなかったプレイヤーが多かったのこと[3]。
[編集] サンプルリスト
[編集] 初期型(エクステンデッド)
- 備考
- プロツアーローマ98 優勝
- 使用者:Tommi Hovi
- フォーマット
MoMa [1] | |||||||||||||||
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- 最初期型のMoMa。つまり、禁止カードが1枚も抜けていない完全体バージョンである。当然圧倒的なまでの強さを誇り、ミラーマッチばかりになるので、その対策の為に青単色ではなく白と赤が数枚タッチされている。
[編集] 初期型(スタンダード)
- 備考
- The Finals98優勝
- 使用者:小宮忠義
- フォーマット
MoMa [2] | |||||||||||||||
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- メインデッキで赤、サイドボードでは更に白と黒をもタッチしてミラーマッチに有利な構成となっている。
- 紅蓮破/Pyroblastはミラーマッチにおいてだけでなく、対策カードである秘儀の研究室/Arcane Laboratoryなどにもよく効く。瞬殺コンボデッキでありながら4枚投入された不毛の大地/Wastelandも、ミラーマッチを考慮してのものである。
[編集] 脚注
- ↑ Make No Mistake/ミスなんてもってのほか
- ↑ 『マナバーン2021』(ホビージャパン、2020年12月21日初版)p.96、p.102 ISBN 9784798623849
- ↑ The Most Dominant Decks Of All Time