面晶体のカニ/Hedron Crab
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クリーチャー — カニ(Crab)
上陸 ― 土地が1つあなたのコントロール下で戦場に出るたび、プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを3枚切削する。
0/2サイズこそ小さいものの、能力は優秀。1マナと軽く、最序盤に設置すれば土地を伸ばしていくだけで大量のライブラリー破壊を行うことができる。自分を対象にとることもできるため、相手のライブラリーアウトを狙うデッキのみならず墓地を利用するデッキでも採用できる。動きは単純ながらその用途は幅広く、ゼンディカー・ブロックを代表する名クリーチャー。
- 人気のある上陸クリーチャーだったため戦乱のゼンディカーで再録が検討されたが、デベロップ段階で構築フォーマットにおいて問題があると判断され、ボツになった[1]。
- その後ゼンディカーの夜明けでは直系のリメイクである遺跡ガニ/Ruin Crabが登場した。対戦相手を対象にとらないため神聖の力線/Leyline of Sanctityに妨害されず、タフネスも1上がっているが、代わりに自分の墓地を肥やすことができない仕様となっている。墓地利用デッキでの挙動が問題視されたということだろうか。
各フォーマットでの活躍
リミテッド
最序盤で出せるため上陸しやすく、10枚以上削れることも。タフネス2なので地鳴りの揺るぎ/Seismic Shudderにも耐性がある。
スタンダード
フェッチランドと組んで青黒のライブラリー破壊デッキのキーパーツとして活躍。当時は書庫の罠/Archive Trapや精神の葬送/Mind Funeralなど方向性の似ているカードが多く収録されていた環境であり、基本的に「打ちっぱなし」のカードが多く息切れしやすかった同デッキに継戦力を持たせる重要な存在だった。さらに基本セット2012後には、探検/Exploreと組んだ青緑ライブラリー破壊のキーパーツとなった。
墓地を肥やす手段としては、蘇生を持つクリーチャーを墓地にため込んでアガディームの墓所/Crypt of Agadeemからのマナ加速を狙う「カニ蘇生」「アガディームドレッジ」などと呼ばれるデッキが構築された。さらに復讐蔦/Vengevineの登場後は、この構築理論を復讐蔦に特化させたドレッジ・ヴァインのキーカードになった。Tier1からカジュアルに至るまで、様々なデッキのキーパーツとして登場当初からスタン落ちに至るまで姿を見せ続けた。
エクステンデッド
ナルコブリッジで活躍した。
モダン
青黒ライブラリーアウトの主要パーツとなっている。遺跡ガニの登場以降は計8枚体制で採用される。
ヴィンテージ
2019年8月にFastbondが制限解除された際には、雲の宮殿、朧宮/Oboro, Palace in the Cloudsと合わせてライブラリーアウトを狙うデッキが登場した。
主な亜種
カードのプレイ等に対して切削ないしライブラリー破壊を誘発させるカード。特記しない限り、クリーチャー。戦場に出すたび誘発なのは太字のみ。同種の誘発条件でバーン型のものは猛然たる突撃/Furious Assaultの項を参照。
- 雲蹄の麒麟/Cloudhoof Kirin - (3)(青)(青)4/4飛行。条件はスピリットか秘儀を唱えるたび。対象プレイヤーがそのマナ総量の枚数切削。(神河救済)
- ハリマーの採掘者/Halimar Excavator - (1)(青)1/3。条件は同盟者で、自身が戦場に出ても誘発。対象プレイヤーがあなたの同盟者数だけ切削。(ワールドウェイク)
- 盗賊ギルドの処罰者/Thieves' Guild Enforcer - (黒)1/1。条件はならず者で、自身が戦場に出ても誘発。各対戦相手が2枚。対戦相手の墓地が8枚以上だと+2/+1修整と接死を得る。(基本セット2021)
- ディミーアの脳外科医、シアクー/Circu, Dimir Lobotomist - (2)(青)(黒)2/3。条件は青か黒の呪文を唱えるたび。対象プレイヤーのライブラリーの上1枚を追放する。青黒なら2回誘発。(ラヴニカ:ギルドの都)
- 溺れさせる者の信徒/Drowner Initiate - (青)1/1。条件は青の呪文を唱えるたび。ただしそのたび(1)を支払う必要がある。対象プレイヤーが2枚。他プレイヤーの青の呪文でも誘発する。(シャドウムーア)
- 賢者街の住人/Sage's Row Denizen - (2)(青)2/3。条件は青のクリーチャーを戦場に出すたび。対象プレイヤーが2枚。(ギルド門侵犯)
- 思考刈り/Thought Harvester - (3)(青)2/4欠色飛行。条件は無色の呪文を唱えるたび。対象の対戦相手のライブラリーの上1枚を追放する。(ゲートウォッチの誓い)
- 水没した秘密/Drowned Secrets - (1)(青)エンチャント。条件は青の呪文を唱えるたび。対象プレイヤーが2枚。(ラヴニカのギルド)
- 下水の宿敵/Sewer Nemesis - (3)(黒)戦場に出る際に指定したプレイヤー1人の墓地枚数に等しいP/Tを持つ。あなたに限らず、その指定プレイヤーが呪文を唱えるたびの誘発。(統率者)
- 破壊的な逸脱者/Consuming Aberration - (3)(青)(黒)対戦相手の墓地枚数に等しいP/Tを持つ。条件は呪文を唱えるたび。各対戦相手は土地が1枚出るまでライブラリーの上からカードを墓地に置く。(ギルド門侵犯)
- 恐怖の顕現、ウンブリス/Umbris, Fear Manifest - (3)(青)(黒)1/1。条件が自身かナイトメアかホラー、参照するのもライブラリー破壊も墓地から追放領域になった破壊的な逸脱者。(イニストラード:真紅の契り統率者デッキ)
- 精神奪い/Mindreaver - (青)(青)2/1。条件はこれを対象に呪文を唱えるたび。対象プレイヤーがライブラリーの上を3枚追放。(神々の軍勢)
- タッサの貪り食い/Thassa's Devourer - (4)(青)2/6クリーチャー・エンチャント。条件はエンチャントで、自身が戦場に出ても誘発。対象プレイヤーが2枚。(ニクスへの旅)
- 神秘の賢者/Sage of Mysteries - (青)0/2。条件はエンチャントを出すたび。(テーロス還魂記)
- 群の祭壇/Altar of the Brood - (1)アーティファクト。条件はパーマネントを戦場に出すたび。各対戦相手が1枚。(タルキール覇王譚)
- 精励する発掘者/Diligent Excavator - (1)(青)1/3。条件は歴史的な呪文を唱えるたび。対象プレイヤーが2枚。(ドミナリア)
- 氷山のカンクリックス/Iceberg Cancrix - (1)(青)0/4氷雪クリーチャー。条件は氷雪パーマネントを戦場に出すたび。対象プレイヤーが2枚。(モダンホライゾン)
- 遺跡ガニ/Ruin Crab - 自分を切削できなくなったが、対象を取らず各対戦相手を同時に削る様になった、面正体のカニの直接のリメイク。(ゼンディカーの夜明け)
- 多彩なるサルマン/Saruman of Many Colors - (3)(白)(青)(黒)5/4。条件はそのターン2つ目のあなたの呪文。各対戦相手が2枚。(指輪物語:中つ国の伝承)
反対に対戦相手がカードをプレイするたびにライブラリーを破壊するものには無理強いた成果/Forced Fruition、記憶の浸食/Memory Erosion、淀みの種父/Sire of Stagnationが存在する。誘発条件が攻撃するたびのものは道理の宿敵/Nemesis of Reasonの項を、カードを引くたびのものは心理腐食/Psychic Corrosionの項をそれぞれ参照。
ストーリー
面晶体のカニ/Hedron Crabはゼンディカー/Zendikarのカニで、海岸線で小型の面晶体/Hedronを拾っては殻を飾り立てる(イラスト)。
フレイバー・テキストには「Hedrons perplex minds both great and small.(面晶体は精神を混乱させる。貴賎を問わずに。)」とあり、公式記事「The Moment of Discover[2]」では、このカニのカード・メカニズムと設定の関わりが解説されている。それによると、このカニ自身のちっぽけな心は混乱した状態にあり、その上、面晶体が隙間なく集められたことで、近づいた魔道士の精神にも深刻な影響を及ぼしてしまう。また、上陸によって新たな海岸を増やし面晶体を更に集めさせるならば、他のプレインズウォーカー/Planeswalkerの魔法庫(ライブラリー)にすら悪影響を与えられる、という。
- 日本語版フレイバー・テキストの「面晶体の混乱した思考は、偉大であり矮小である。」は明らかな誤訳。「Hedrons perplex minds」を「Hedron's perplex minds」と誤読したか。
参考
- ↑ Odds and Ends: Oath of the Gatewatch, Part 1 /こぼれ話:『ゲートウォッチの誓い』 その1(Making Magic 2016年2月1日)
- ↑ The Moment of Discovery(Internet Archive)(Savor the Flavor 2009年10月6日 Doug Beyer著)
- 壁紙(Internet Archive)(Arcana 2009年12月4日)
- ライブラリー破壊カード
- 面晶体/Hedron(背景世界/ストーリー用語)
- カード個別評価:ゼンディカー - アンコモン