バジリスク能力
提供:MTG Wiki
バジリスク能力とは、かつて作られていたクリーチャー除去能力を指す俗称。当時、主にバジリスクが持っていたことからこの名がついた。
クリーチャー — バジリスク(Basilisk)
茂みのバジリスクが壁(Wall)でないクリーチャーをブロックするか、壁でないクリーチャーによってブロックされた状態になるたび、戦闘終了時にそのクリーチャーを破壊する。
2/4目次 |
[編集] 概要
クリーチャー除去が苦手な緑に珍しく認められた除去であり、主に緑と黒の能力である。毒や病気、魔法的な疫病、石化、呪い、邪眼、相打ち・道連れをイメージしたものが多い。
初出はリミテッド・エディションの茂みのバジリスク/Thicket Basiliskとコカトリス/Cockatrice。以後バジリスクの定番能力として様々なバリエーションが作られる。一方、黒にはレジェンドでInfernal Medusaと忌まわしき者/Abominationが登場し、こちらは主にゴルゴンが多く持つ能力となった。緑と黒の他にも、白に少数だが戦った相手を道連れ・相打ちにするかのような除去能力があり、これもバジリスク能力と呼ばれる。赤はクリーチャー全体に影響を与えるエンチャントが特徴。
後述する通り、能力の仕様に画一性がなかったため、直感的に理解し難く効果の勘違いや誘発忘れなどを招きがちであった。バジリスク能力を単純化・明瞭化したキーワード能力「接死」の登場以降、少数の例外を除き接死が用いられるようになったため、現在ではバジリスク能力を持つ新規カードはほとんど見られなくなった。
- 直接の関係はないが、「ルール整備に伴って使われなくなった」「クリーチャー・タイプ名を冠する能力」という2点において、後のナイトメア能力と通じるものがある。
[編集] メカニズム
一口にバジリスク能力と言っても、その機能は様々でカードごとに差異があるのが普通であり、独特の処理を行うカードも少なくない(この点からイメージやフレイバー先行で作られたカードおよびメカニズム群といった性格が見て取れる)。
ここでは「除去が成立する条件」「除去を処理するタイミング」「除去目標の制限」「除去の方法」の面から解説する。また、便宜的にバジリスク能力を持つクリーチャーを「バジリスク」、除去されるクリーチャーを「除去目標」と呼ぶ(特に断りがなければ、バジリスクはクリーチャー・タイプの意味合いを持たない)。
[編集] 除去条件
除去能力が成立する条件は以下の4種に大別できる。
これらのいずれか(もしくは複数)を満たした場合、能力が誘発あるいは起動型能力の使用が許される。特に条件1と2の両方を合わせて持つものが多い。
- 例えば、森のバジリスク/Sylvan Basiliskは除去条件2のみだが茂みのバジリスク/Thicket Basiliskは除去条件1と2、アブー・ジャーファル/Abu Ja'farは除去条件1, 2, 4に当てはまる(条件4はシャドウムーア現在アブー・ジャーファルのみが該当)。
- 起動型能力で除去するバジリスク能力はいずれも黒を含む。
[編集] 除去タイミング
除去するタイミングは大きく分けて2つのパターンがある。
- 条件を満たした(除去能力が誘発・起動したら)時
- 戦闘終了時
[編集] 目標制限
除去目標にはクリーチャー・タイプや色の面(色の役割)で制約がある場合も多い。
- フレイバー面での制約
- 壁以外(壁は生き物ではない)
- →コカトリス/Cockatrice、茂みのバジリスク/Thicket Basilisk、Infernal Medusa、毒牙/Venom、酸の短剣/Acidic Dagger、メドゥーサの髪/Coils of the Medusa
- 壁限定(壁や門、扉を壊す道具)
- →破城槌/Battering Ram
- 色の役割による制約
- 対抗色限定
- 黒以外(黒は黒クリーチャー除去が不得手)
- →オーガの爆走者/Ogre Leadfoot
- その他の制約
- →Infinite Authority(タフネスを参照)、手加減なし/No Quarter(パワーを参照)、戦いの潮目/Tide of War(コイン投げ)
[編集] 除去方法
除去の方法は以下4種に分類。
破壊による除去が最も一般的で、破壊するだけでなく再生を許さないものも多い。追放は破壊より強力な除去効果。マイナス修整は一時的なものとカウンターを置く恒久的な弱体化に分かれる(→#黒のバジリスク能力)。除去方法4. ダメージについては後述(→#赤のバジリスク能力)。
- 除去方法が「除去目標のコントローラーによる生け贄」のものもある(玄武岩のゴーレム/Basalt Golem、戦いの潮目/Tide of War)。
- 網の壁/Wall of Netsは除去目標を追放するが一時的なもの。
[編集] 接死
バジリスク能力のうち「除去目標にダメージを与えたとき即座に破壊する」が接死である。未来予知でキーワード能力となった。
[編集] 萎縮・感染
バジリスク能力のうち「除去目標にダメージを与えるとき、代わりに-1/-1カウンターを置く」が萎縮と感染である。
[編集] メカニズム総括
バジリスク能力は全て、以上のような除去に関する条件・タイミング・方法の組合せで説明がつき、場合によっては目標制限やその他の制約が課せられることがある。
- 除去目標が破壊効果と一緒に致死ダメージを受けていた場合、そのクリーチャーが生延びるためには「致死ダメージによる破壊」と「この能力による破壊」の両方に対して再生する必要がある(接死は1回の再生で両方防ぐ)。
- 除去に際して副次効果をもたらすカードもある(Glyph of Reincarnationと玄武岩のゴーレム/Basalt Golem、石の死の姉妹/Sisters of Stone Death)。
- 除去目標と一緒にバジリスクも死ぬ自爆的な効果を持つものもある(#白のバジリスク能力、アーボーグの豹/Urborg Panther、死体の壁/Wall of Corpses、熱射病/Heat Stroke、死鉄の大槌/Dead-Iron Sledge)。
[編集] バジリスク能力と寄せ餌
古典的なコンボに茂みのバジリスク/Thicket Basiliskと寄せ餌/Lureがある。
これは対戦相手のアンタップ状態のクリーチャーにブロックを強制し、全滅させるというもの。再生を許してしまうもののプロテクションの影響を受けないメリットがある。ブロックされる必要があるため、飛行を持つコカトリスよりも茂みのバジリスクの方がこの点においては評価が高い。
また、毒牙/Venomや猛毒の息/Venomous Breathのようにバジリスク能力を付与する呪文を寄せ餌(あるいは他のブロック強制)と組み合わせても同様のコンボが成立する。
- 石舌のバジリスク/Stone-Tongue Basilisk、石の死の姉妹/Sisters of Stone Death、神性の贈り物/Gift of the Deityが単独でこの能力を持っている。
- 接死の場合、ブロッカーごとに致死ダメージ(=1点ずつのダメージ)を与える必要があるため、自身のパワーを上回る数のブロッカーは除去できず、この点ではバジリスク能力に劣る。
[編集] Blaze of Glory
寄せ餌/Lureほど有名ではないがBlaze of Gloryとのコンボもある。これをバジリスクに使えば複数のアタッカーをブロック可能になるため、相手の攻撃クリーチャーを根こそぎにできる。この運用法では、飛行クリーチャーもブロックできるコカトリス/Cockatriceの方が茂みのバジリスク/Thicket Basiliskより有効のため、評価は逆転する。
複数のクリーチャーをブロックするカードにバジリスク能力を付加しても同様のコンボが可能。
[編集] 色の特性
各色の傾向と、その色に独特な能力を以下にまとめる。
[編集] 白のバジリスク能力
白のクリーチャーには、戦った相手を道連れ・相討ちによって除去を行うかのようなものがある。アブー・ジャーファル/Abu Ja'farが初出で全4種(アラボーンの盲信者/Alaborn Zealot、忠誠な歩哨/Loyal Sentry、果敢な先兵/Defiant Vanguard)。アブー・ジャーファル以外はそれがブロックに参加した時のみ誘発する。
その他には、変則的な能力を持つInfinite Authorityと網の壁/Wall of Netsの2種がいる。
[編集] 青のバジリスク能力
除去が不得手な色である青にはバジリスク能力に分類されるカードは無い。強いて挙げるならば、Giant Albatrossが白の道連れタイプに似ており、水門/Floodgateが戦闘で墓地に置かれた場合などの挙動は赤のダメージタイプと類似点が見られる。フェイズ・アウトやバウンスを一時的な除去とみなすと、夢幻の戦士/Dream Fighterなどにも似たところがある。
[編集] 黒のバジリスク能力
黒は緑同様に標準的なバジリスク能力が豊富で、能力を付与するカードの種類も多い。除去目標に制限を課せられる場合が少なくない(→#目標制限)。起動型能力で除去を行うものは黒を含む。
その他の特徴としては、主にライカンスロープが持つ除去方法に-X/-Yカウンターによるものがある(Lesser Werewolfと大いなる人狼/Greater Werewolf、泥沼のヤツメウナギ/Quagmire Lamprey)。これはタフネスに負の修整を与えることで弱体化や除去を行うもの。カウンターでなく一時的な修整の刺のワーム/Barbed-Back Wurmもいる。
触れられざる者フェイジ/Phage the Untouchableは、通常のクリーチャーに対するバジリスク能力に加え、プレイヤーに対するバジリスク能力ともいうべき「戦闘ダメージを与えたプレイヤーを敗北させる」という能力を持っている。
[編集] 赤のバジリスク能力
赤にはバジリスク能力の効果を有するエンチャントが存在(熱射病/Heat Stroke、手加減なし/No Quarter、戦いの潮目/Tide of War)。クリーチャーにはオーガの爆走者/Ogre Leadfootがいるのみ。
また、赤のカードには「ブロックされた・ブロックした」を条件にダメージを発生するものがある。ダメージによるクリーチャー除去と考えると、これも広い意味ではバジリスク能力といえるが、普通はバジリスク能力に分類されない。
[編集] 緑のバジリスク能力
緑はバジリスク能力のスタンダードであり、最も数が多く、能力を付与するカードにも恵まれている。初期のバジリスクには壁を除去できないものが散見される(→#目標制限)。
亜種として除去目標がクリーチャーでなく、それにつけられたオーラであるカードが存在する(→ツリーフォークの神秘家/Treefolk Mystic)。
[編集] アーティファクトのバジリスク能力
アーティファクトは道具・武器のようなフレイバーを持つカード(破城槌/Battering Ramと酸の短剣/Acidic Dagger)や装備品(死鉄の大槌/Dead-Iron Sledgeとカルドラの剣/Sword of Kaldra)がほとんど。クリーチャーは破城槌/Battering Ramと玄武岩のゴーレム/Basalt Golemの2種で能力は変則的。