虚空の選別者/Void Winnower
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− | + | マナ総量の「大きさ」を気にすることはあっても「偶数か奇数か」を気にして[[構築]]や[[プレイング]]をすることは滅多にないため、相手の[[デッキ]]や盤面によっては大いに有効である。単純に9[[マナ]]で11/9という[[サイズ]]も頼もしい。相手の[[攻撃]]を封じることはできないため、既に劣勢になっている盤面をひっくり返すことは難しいが、[[重い]][[コントロール (デッキ)|コントロールデッキ]]が盤面を[[コントロール (ゲーム用語)|コントロール]]しきった後に出す[[フィニッシャー]]といった運用が考えられる。 | |
[[スタンダード]]では[[エルドラージ・ランプ#タルキール覇王譚ブロック+マジック・オリジン+戦乱のゼンディカー・ブロック期|エルドラージ・ランプ]]において、[[ミラーマッチ]]への対策として[[サイドボード]]に採用されている。同デッキの主な勝ち筋である[[精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon]]と[[絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger]]の両方を封じ込められるためである。 | [[スタンダード]]では[[エルドラージ・ランプ#タルキール覇王譚ブロック+マジック・オリジン+戦乱のゼンディカー・ブロック期|エルドラージ・ランプ]]において、[[ミラーマッチ]]への対策として[[サイドボード]]に採用されている。同デッキの主な勝ち筋である[[精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon]]と[[絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger]]の両方を封じ込められるためである。 | ||
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[[ヴィンテージ]]では[[オース]]で採用されることがある。 | [[ヴィンテージ]]では[[オース]]で採用されることがある。 | ||
− | * | + | *よほど偶数が嫌いなのか、自身のマナ総量、[[パワー]]、[[タフネス]]、いずれも奇数で統一されている。 |
**意図的なものかどうかは不明だが、[[コレクター番号]]も奇数(17/274)である。 | **意図的なものかどうかは不明だが、[[コレクター番号]]も奇数(17/274)である。 | ||
− | * | + | *マナ総量の偶奇を参照する[[カード]]は、[[アシュリングの特権/Ashling's Prerogative]]以来2枚目となる。 |
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− | *[[ | + | *[[マナ総量]]に関しては、当該ページを参照。 |
− | *[[注釈文]] | + | *[[注釈文]]にもある通り0は偶数であるため、マナ総量が0である呪文やクリーチャーは影響を受ける。 |
**[[クリーチャー化]]した[[土地]]、([[コピー]]でない)[[トークン]]・クリーチャー、[[裏向き]]の呪文やクリーチャーなどがこれに当たる。 | **[[クリーチャー化]]した[[土地]]、([[コピー]]でない)[[トークン]]・クリーチャー、[[裏向き]]の呪文やクリーチャーなどがこれに当たる。 | ||
− | *マナ・コストに[[X]] | + | *マナ・コストに[[X]]を含む場合、Xに選んだ数値によってマナ総量が変化する。Xを選んだ結果として奇数になるなら、対戦相手はその呪文を唱えてもよい。 |
**例えば[[果てしなきもの/Endless One]]は、X=5ならば奇数の呪文だが、X=6では偶数の呪文となる。 | **例えば[[果てしなきもの/Endless One]]は、X=5ならば奇数の呪文だが、X=6では偶数の呪文となる。 | ||
− | **[[スタック]]以外の[[領域]]ではX=0として扱う。例えば果てしなきものは([[唱える|唱えた]]ときにXをいくつにしたかは関係なく)[[戦場]] | + | **[[スタック]]以外の[[領域]]ではX=0として扱う。例えば果てしなきものは([[唱える|唱えた]]ときにXをいくつにしたかは関係なく)[[戦場]]ではマナ総量は0として扱われる。 |
− | *[[分割カード]]は唱える方の半分の偶奇だけを見る。[[融合]] | + | *[[分割カード]]は唱える方の半分の偶奇だけを見る。[[融合]]で唱える場合は両方のマナ総量の合計値を見る。 |
− | *[[コスト]]を[[軽減]]した場合でも、あるいは[[代替コスト]]や[[追加コスト]]を[[支払う]] | + | *[[コスト]]を[[軽減]]した場合でも、あるいは[[代替コスト]]や[[追加コスト]]を[[支払う]]場合でも、マナ総量は変化しない。 |
− | **例えば[[コジレックの伝令/Herald of Kozilek]]が[[戦場]]にいても、呪文や[[パーマネント]] | + | **例えば[[コジレックの伝令/Herald of Kozilek]]が[[戦場]]にいても、呪文や[[パーマネント]]のマナ総量が変化することはない。偶数の呪文は([[支払う]]マナの点数が奇数になっているとしても)唱えられないし、偶数の[[無色]]クリーチャーが奇数として扱われることもない。 |
**例えば[[次元の激高/Planar Outburst]]は5マナの呪文であるため、影響を受けない。通常通りでも、8マナで[[覚醒]]で唱えても問題ない。 | **例えば[[次元の激高/Planar Outburst]]は5マナの呪文であるため、影響を受けない。通常通りでも、8マナで[[覚醒]]で唱えても問題ない。 | ||
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一方[[デベロップ・チーム|デベロップ]]の観点からは、[[エルドラージ覚醒]]の[[伝説の]]エルドラージ([[引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn]]など)が印刷可能なものとしては最強のクリーチャーであり、[[戦乱のゼンディカー]]では単純にそれらよりも強力なエルドラージではなく、異なる方向性で魅力的なエルドラージを作る必要があった。このカードは対戦相手の動きを大きく制限する[[大型クリーチャー|巨大クリーチャー]]だが、対抗する余地のあるカードであり、その条件を満たしていると言える<ref name="ld_150925">[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/m-files-part-one-2015-09-25 M-Files, Part One]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0015761/# Mファイル『戦乱のゼンディカー』編・パート1](Daily MTG、Latest Developments、文:[[Sam Stoddard]]、訳:[[益山拓也]])</ref>。 | 一方[[デベロップ・チーム|デベロップ]]の観点からは、[[エルドラージ覚醒]]の[[伝説の]]エルドラージ([[引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn]]など)が印刷可能なものとしては最強のクリーチャーであり、[[戦乱のゼンディカー]]では単純にそれらよりも強力なエルドラージではなく、異なる方向性で魅力的なエルドラージを作る必要があった。このカードは対戦相手の動きを大きく制限する[[大型クリーチャー|巨大クリーチャー]]だが、対抗する余地のあるカードであり、その条件を満たしていると言える<ref name="ld_150925">[http://magic.wizards.com/en/articles/archive/latest-developments/m-files-part-one-2015-09-25 M-Files, Part One]/[http://mtg-jp.com/reading/translated/ld/0015761/# Mファイル『戦乱のゼンディカー』編・パート1](Daily MTG、Latest Developments、文:[[Sam Stoddard]]、訳:[[益山拓也]])</ref>。 | ||
− | また開発中はどちらの能力もすべての[[プレイヤー]] | + | また開発中はどちらの能力もすべての[[プレイヤー]]に影響するものだったが、マナ総量が偶数(10)の[[絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hunger]]と共存できるようにするため、対戦相手だけに影響するよう変更された<ref name="ld_150925" />。 |
==脚注== | ==脚注== |
2021年5月4日 (火) 21:18時点における版
対戦相手の呪文と、クリーチャーによるブロックに制限をかけるエルドラージ。制限をかけるために参照するのは、マナ総量が偶数かどうか。
マナ総量の「大きさ」を気にすることはあっても「偶数か奇数か」を気にして構築やプレイングをすることは滅多にないため、相手のデッキや盤面によっては大いに有効である。単純に9マナで11/9というサイズも頼もしい。相手の攻撃を封じることはできないため、既に劣勢になっている盤面をひっくり返すことは難しいが、重いコントロールデッキが盤面をコントロールしきった後に出すフィニッシャーといった運用が考えられる。
スタンダードではエルドラージ・ランプにおいて、ミラーマッチへの対策としてサイドボードに採用されている。同デッキの主な勝ち筋である精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragonと絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hungerの両方を封じ込められるためである。
- よほど偶数が嫌いなのか、自身のマナ総量、パワー、タフネス、いずれも奇数で統一されている。
- 意図的なものかどうかは不明だが、コレクター番号も奇数(17/274)である。
- マナ総量の偶奇を参照するカードは、アシュリングの特権/Ashling's Prerogative以来2枚目となる。
ルール
- マナ総量に関しては、当該ページを参照。
- 注釈文にもある通り0は偶数であるため、マナ総量が0である呪文やクリーチャーは影響を受ける。
- マナ・コストにXを含む場合、Xに選んだ数値によってマナ総量が変化する。Xを選んだ結果として奇数になるなら、対戦相手はその呪文を唱えてもよい。
- 例えば果てしなきもの/Endless Oneは、X=5ならば奇数の呪文だが、X=6では偶数の呪文となる。
- スタック以外の領域ではX=0として扱う。例えば果てしなきものは(唱えたときにXをいくつにしたかは関係なく)戦場ではマナ総量は0として扱われる。
- 分割カードは唱える方の半分の偶奇だけを見る。融合で唱える場合は両方のマナ総量の合計値を見る。
- コストを軽減した場合でも、あるいは代替コストや追加コストを支払う場合でも、マナ総量は変化しない。
- 例えばコジレックの伝令/Herald of Kozilekが戦場にいても、呪文やパーマネントのマナ総量が変化することはない。偶数の呪文は(支払うマナの点数が奇数になっているとしても)唱えられないし、偶数の無色クリーチャーが奇数として扱われることもない。
- 例えば次元の激高/Planar Outburstは5マナの呪文であるため、影響を受けない。通常通りでも、8マナで覚醒で唱えても問題ない。
- 整数でない数値は、偶数でも奇数でもない。
- 黒枠ではありえないが、銀枠ありならばLittle Girlが該当する。偶数ではないため、この能力の影響を受けない。
開発秘話
戦乱のゼンディカー・ブロックのデザインの初期には、エルドラージ/Eldraziの異常性を表す様々なメカニズムが検討された[1]。このカードはその中の一つ、「エルドラージは奇数(odd number、直訳すると「奇妙な数」)を好む」の名残である[2]。
一方デベロップの観点からは、エルドラージ覚醒の伝説のエルドラージ(引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Tornなど)が印刷可能なものとしては最強のクリーチャーであり、戦乱のゼンディカーでは単純にそれらよりも強力なエルドラージではなく、異なる方向性で魅力的なエルドラージを作る必要があった。このカードは対戦相手の動きを大きく制限する巨大クリーチャーだが、対抗する余地のあるカードであり、その条件を満たしていると言える[3]。
また開発中はどちらの能力もすべてのプレイヤーに影響するものだったが、マナ総量が偶数(10)の絶え間ない飢餓、ウラモグ/Ulamog, the Ceaseless Hungerと共存できるようにするため、対戦相手だけに影響するよう変更された[3]。
脚注
- ↑ Preparing for Battle, Part 2/戦乱に向けて その2(Daily MTG、Making Magic、文:Mark Rosewater、訳:米村薫)
- ↑ Battle for Zendikards, Part 2/ 戦乱のゼンディカード その2(同上)
- ↑ 3.0 3.1 M-Files, Part One/Mファイル『戦乱のゼンディカー』編・パート1(Daily MTG、Latest Developments、文:Sam Stoddard、訳:益山拓也)