モード

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{{#card:Dromar's Charm}}
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'''モード'''(''Mode'')とは、「以下からNつを選ぶ」などの表現で複数の選択肢を提示する[[呪文]]や[[能力]]における、箇条書きで示された1つ1つの選択肢のこと。
  
'''モード'''/''Mode''。「以下の〜つからN個を選ぶ(Choose N - )」と書かれた[[呪文]]や[[能力]]を、モードを持つ(Modal)と言う。
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{{#card:Defiant Ogre}}
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{{#card:Casualties of War}}
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{{#card:Mystic Confluence}}
  
ある呪文や能力が複数のモードを持つ場合、それは[[プレイ]]宣言して[[スタック]]に乗せた直後、[[コスト]]の支払いよりも前([[誘発型能力]]の場合は[[スタック]]に乗る際)に選択されなければならず、あとからモードを変更することはできない。[[置換効果]]がモードを持つ場合、そのモードは置換されるときに選択する。
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==解説==
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[[効果]]を選択できる呪文や能力に用いられる[[ルール]][[青霊破/Blue Elemental Blast]]をはじめ[[リミテッド・エディション]]の時代から存在するが、当時はルールや書式が未整備であり、現在の書式が確立したのは[[ミラージュ]][[魔除け]][[サイクル]]から。1枚で複数の役割を担える高い柔軟性から人気が高く、様々な[[カード・セット]]で登場しており、関連[[メカニズム]]や[[サイクル]]も豊富に存在する(後述)。また、[[開発部]]は「ニッチな効果を扱うカードを[[プレイアブル]]にするためのツール」としてもモードを用いている<ref>[https://magic.wizards.com/en/news/making-magic/more-zendikar-rising-stars-2020-09-21 More Zendikar Rising Stars]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0034396/ さらなる『ゼンディカーの夜明け』の明星]([[Making Magic -マジック開発秘話-]] [[2020年]]9月21日 [[Mark Rosewater]]著)</ref><ref>[https://magic.wizards.com/en/news/making-magic/nuts-and-bolts-16-play-boosters Nuts & Bolts #16: Play Boosters]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0037666/ 基本根本 #16:プレイ・ブースター](Making Magic -マジック開発秘話- [[2024年]]3月4日 Mark Rosewater著)</ref>。
  
*モードを持つ呪文をコピーした場合、その選択したモードもコピーされ、変更できない。詳細は[[コピー可能な値]]を参照のこと。
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*ルール上の扱いが似ており同じ語も使われているので勘違いしやすいが、'''[[モードを持つ両面カード]]'''とは無関係である。
*[[対戦相手]]にモードを選ばせる呪文も、[[アライアンス]]にのみ3枚存在する。→{{WHISPER検索/カードテキスト|対戦相手 は以下の}}
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*[[タルキール覇王譚]]から、モードを持つ呪文は各モードを箇条書きで表記するように[[テンプレート]]が変更された。既存のモードを持つカードもすべて[[オラクル]]変更により同様の変更を受けている。
**対戦相手が選んだ場合でも、あくまで[[ルール文章]]内の「[[あなた]]」はその呪文の[[コントローラー]]のことである。イメージからすると不思議に思えるかもしれないが注意。
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**それ以前は『以下の2つから1つを選ぶ。「[モード1]」「[モード2]」』のように、鍵括弧を改行なく書き並べていた。(参考:{{Gatherer|id=133545|旧表記}}/{{Gatherer|id=398372|新表記}}
**どの対戦相手に選ばせるかは、あなたが決める。[[対象]]とするわけではないので、[[象牙の仮面/Ivory Mask]]などをコントロールしているプレイヤーを指定してもよい。
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*[[タルキール覇王譚ブロック]][[運命再編]]では、「運命の選択」の表現としてモードが[[エキスパンション]]のテーマのひとつになった。上述の表記変更もこれと無関係ではないだろう。
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*モードに関連する[[キーワード能力]]として[[双呪]]、[[増呪]]、[[放題]]がある。モードを持つカードの[[サイクル]]として[[魔除け]]、[[命令]]、[[合流点]]がある。
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*モードを持つことを参照するカードとして、[[多様な道のリクー/Riku of Many Paths]]が存在する。
  
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==ルール==
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*[[ルール・テキスト]]で以下のような表現が使われていて、その後に箇条書きで示された選択肢が続く呪文や能力は「'''モードを持つ'''(''Modal'')」という。
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**「以下から1つを選ぶ ─/Choose one -」
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**「以下から2つを選ぶ ─/Choose two -」
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**「以下から1つまたは両方を選ぶ ─/Choose one or both -」
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**「以下から1つ以上を選ぶ(以下から1つまたは複数を選ぶ) ─/Choose one or more -」
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**「[特定のプレイヤー]は以下から1つを選ぶ ─ /[特定のプレイヤー] chooses one -」
  
==モードを持たない呪文との違い==
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===唱える際、モードの選択===
*[[帰化/Naturalize]]はモードを持つ呪文ではない。ただ単に、[[アーティファクト]][[エンチャント]]のいずれも[[対象]]に取れるというだけである。[[外殻貫通/Hull Breach]]のテキストと比較すれば違いは明らか。
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*ある呪文や能力がモードを持つ場合、それは[[唱える]](あるいは[[誘発]]や[[起動]]する)際に選択する。呪文や能力を[[スタック]]に乗せた直後、[[コスト]]の[[支払う|支払い]]よりも前([[誘発型能力]]の場合は[[スタック]]に乗る際)に何らかのモードを選択しなければならず、あとからモードを変更することはできない。[[置換効果]]がモードを持つ場合、そのモードは置換されるときに選択する。詳細は[[唱える]]の項も参照。
 +
*モードを持つ呪文や能力を[[コピー]]した場合、その選択したモードもコピーされ、変更できない。詳細は[[コピー可能な値]]の項を参照。
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*[[対戦相手]]にモードを選ばせる呪文が存在する(→[[Fatal Lore]]、[[ラト・ナムの図書館/Library of Lat-Nam]][[Misfortune]])。
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**対戦相手が選んだ場合でも、あくまでルール・テキスト内の「[[あなた]]」はその呪文の[[コントローラー]]のことである。直感的ではないため注意。
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**どの対戦相手に選ばせるかは、あなたが決める。[[対象]]とするわけではないので、[[象牙の仮面/Ivory Mask]]などを[[コントロール]]しているプレイヤーを指定してもよい。
  
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===対象の選択、解決===
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*対象を取るモードは、適正な対象を選択できる場合にのみ選ぶことができる。あるモードが(適正な[[対象]]を取れないなどで)[[不正な対象|不正]]な場合、そのモードを選ぶことはできない。呪文や起動型能力のモードを1つも選べないなら、それらを唱えたり起動することはできない。[[誘発型能力]]のモードを1つも選べないなら、その能力は[[スタック]]から取り除かれる。
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**例:[[反抗するオーガ/Defiant Ogre]]の[[ETB]]能力は、[[アーティファクト]]が[[戦場]]にない状況では必ず[[+1/+1カウンター]]を置かなければならない。
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*[[命令]]のような複数のモードを選択できる呪文や能力において、対象を取るモードと取らないモードがある場合、モードの選択の仕方によっては呪文全体が取る[[対象]]の数が変わることがある。対象を取るモードの対象がすべて[[不正な対象]]になると、対象を取らないモードも含めて呪文全体が[[立ち消え]]する。詳細は[[謎めいた命令/Cryptic Command]]の項を参照。
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**[[ローウィン]]の命令[[サイクル]]でこのような混乱が多数生じたためか、[[タルキール龍紀伝]]以降の複数のモードを選択できる呪文はそのほとんどが「全モードが対象を取る」「全モードが対象を取らない」のどちらかになっており、立ち消えに関する問題をあらかじめ防いでいる。また、これらに当てはまらないカードも別のアプローチで立ち消えが起こりづらいデザインとなっている。
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*[[解決]]に際し、モードの選択にかかわらず、[[ルール・テキスト]]に書いてある順番通りに処理を行う。対象を取る同一のモードを複数回選択した場合、それら同じモードを処理する順番を唱える際に選ぶ。
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**例1:[[原初の命令/Primal Command]]の場合、2番目・3番目を選んだなら[[バウンス]]してから[[ライブラリー]]を[[切り直す]]。これにより[[心因検査器/Psychogenic Probe]]をバウンスしたなら、ライブラリーを切り直す時点で心因検査器は戦場にないため、その能力は誘発しない。
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**例2:[[正義の合流点/Righteous Confluence]]の2番目のモードを2回と3番目のモードを1回選び、2番目のモードの対象としてそれぞれ[[エンチャント]]AとエンチャントBをこの順序で指定した。正義の合流点を[[解決]]すると、まずエンチャントAを[[追放]]し、次にエンチャントBを追放し、最後にあなたは5点の[[ライフ]]を[[得る]]。
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*呪文の[[解決]]中に[[優先権]]は発生しない。複数のモードを選択していた際、モードとモードの間にはどのプレイヤーも[[対応して]]呪文を唱えたり能力を起動したりすることはできない。
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===モードを持たない呪文との違い===
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[[帰化/Naturalize]]はモードを持つ呪文ではない。ただ単に、[[アーティファクト]]と[[エンチャント]]のいずれも[[対象]]に取れるというだけである。モードを持つ呪文である[[自然への回帰/Return to Nature]]のテキストと比較すれば違いは明らか。
 
{{#card:Naturalize}}
 
{{#card:Naturalize}}
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{{#card:Return to Nature}}
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例えば、アーティファクトを対象にして帰化を[[唱える|唱えた]]場合、[[解決]]時までにそのアーティファクトが(アーティファクトでない)エンチャントに変化しても、対象の条件(「アーティファクトかエンチャントである」)に合致しているので、帰化はそれを破壊する。一方、「アーティファクト1つを対象とする。それを破壊する。」モードを選択した自然への回帰はエンチャントを対象とできないので、上記の場合は[[立ち消え]]になる。
  
{{#card:Hull Breach}}
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同様に、[[対象の変更|対象を変更]]する呪文や能力において、前者の場合はアーティファクトからエンチャントへ(あるいはその逆へ)対象を変更できるのに対し、後者ではそれをさせることができない。
  
:例えば、アーティファクトを対象にして帰化を[[唱える|唱えた]]場合、[[解決]]時までにそのアーティファクトがエンチャントに変化しても、対象の条件(「アーティファクトかエンチャントである」)に合致しているので、帰化はそれを破壊する。
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==脚注==
:一方、外殻貫通はアーティファクトを対象としているので、例の場合は[[立ち消え]]になる。同様に、アーティファクトを対象とした外殻貫通はエンチャントに対象変更させることができない。
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<references />
  
 
==参考==
 
==参考==
*{{WHISPER検索/カードテキスト|以下の 1つを選ぶ}}
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*{{WHISPER検索/カードテキスト|以下 から を選ぶ}}
*[[双呪]]
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*[[固定語]]
*[[魔除け]]
+
 
*[[ルーリング]]
 
*[[ルーリング]]
 
{{#cr:700.2}}
 
{{#cr:700.2}}

2024年5月19日 (日) 21:22時点における最新版

モード(Mode)とは、「以下からNつを選ぶ」などの表現で複数の選択肢を提示する呪文能力における、箇条書きで示された1つ1つの選択肢のこと。


Defiant Ogre / 反抗するオーガ (5)(赤)
クリーチャー — オーガ(Ogre) 戦士(Warrior)

反抗するオーガが戦場に出たとき、以下から1つを選ぶ。
・反抗するオーガの上に+1/+1カウンターを1個置く。
・アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。

3/5


Casualties of War / 戦争の犠牲 (2)(黒)(黒)(緑)(緑)
ソーサリー

以下から1つ以上を選ぶ。
・アーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。
・クリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。
・エンチャント1つを対象とし、それを破壊する。
・土地1つを対象とし、それを破壊する。
・プレインズウォーカー1体を対象とし、それを破壊する。



Mystic Confluence / 神秘の合流点 (3)(青)(青)
インスタント

以下から3つを選ぶ。同じモードを2回以上選んでもよい。
・呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(3)を支払わないかぎり、それを打ち消す。
・クリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
・カードを1枚引く。


目次

[編集] 解説

効果を選択できる呪文や能力に用いられるルール青霊破/Blue Elemental Blastをはじめリミテッド・エディションの時代から存在するが、当時はルールや書式が未整備であり、現在の書式が確立したのはミラージュ魔除けサイクルから。1枚で複数の役割を担える高い柔軟性から人気が高く、様々なカード・セットで登場しており、関連メカニズムサイクルも豊富に存在する(後述)。また、開発部は「ニッチな効果を扱うカードをプレイアブルにするためのツール」としてもモードを用いている[1][2]

[編集] ルール

  • ルール・テキストで以下のような表現が使われていて、その後に箇条書きで示された選択肢が続く呪文や能力は「モードを持つ(Modal)」という。
    • 「以下から1つを選ぶ ─/Choose one -」
    • 「以下から2つを選ぶ ─/Choose two -」
    • 「以下から1つまたは両方を選ぶ ─/Choose one or both -」
    • 「以下から1つ以上を選ぶ(以下から1つまたは複数を選ぶ) ─/Choose one or more -」
    • 「[特定のプレイヤー]は以下から1つを選ぶ ─ /[特定のプレイヤー] chooses one -」

[編集] 唱える際、モードの選択

[編集] 対象の選択、解決

  • 対象を取るモードは、適正な対象を選択できる場合にのみ選ぶことができる。あるモードが(適正な対象を取れないなどで)不正な場合、そのモードを選ぶことはできない。呪文や起動型能力のモードを1つも選べないなら、それらを唱えたり起動することはできない。誘発型能力のモードを1つも選べないなら、その能力はスタックから取り除かれる。
  • 命令のような複数のモードを選択できる呪文や能力において、対象を取るモードと取らないモードがある場合、モードの選択の仕方によっては呪文全体が取る対象の数が変わることがある。対象を取るモードの対象がすべて不正な対象になると、対象を取らないモードも含めて呪文全体が立ち消えする。詳細は謎めいた命令/Cryptic Commandの項を参照。
    • ローウィンの命令サイクルでこのような混乱が多数生じたためか、タルキール龍紀伝以降の複数のモードを選択できる呪文はそのほとんどが「全モードが対象を取る」「全モードが対象を取らない」のどちらかになっており、立ち消えに関する問題をあらかじめ防いでいる。また、これらに当てはまらないカードも別のアプローチで立ち消えが起こりづらいデザインとなっている。
  • 解決に際し、モードの選択にかかわらず、ルール・テキストに書いてある順番通りに処理を行う。対象を取る同一のモードを複数回選択した場合、それら同じモードを処理する順番を唱える際に選ぶ。
  • 呪文の解決中に優先権は発生しない。複数のモードを選択していた際、モードとモードの間にはどのプレイヤーも対応して呪文を唱えたり能力を起動したりすることはできない。

[編集] モードを持たない呪文との違い

帰化/Naturalizeはモードを持つ呪文ではない。ただ単に、アーティファクトエンチャントのいずれも対象に取れるというだけである。モードを持つ呪文である自然への回帰/Return to Natureのテキストと比較すれば違いは明らか。


Naturalize / 帰化 (1)(緑)
インスタント

アーティファクト1つかエンチャント1つを対象とし、それを破壊する。



Return to Nature / 自然への回帰 (1)(緑)
インスタント

以下から1つを選ぶ。
・アーティファクト1つを対象とする。それを破壊する。
・エンチャント1つを対象とする。それを破壊する。
・墓地にあるカード1枚を対象とする。それを追放する。


例えば、アーティファクトを対象にして帰化を唱えた場合、解決時までにそのアーティファクトが(アーティファクトでない)エンチャントに変化しても、対象の条件(「アーティファクトかエンチャントである」)に合致しているので、帰化はそれを破壊する。一方、「アーティファクト1つを対象とする。それを破壊する。」モードを選択した自然への回帰はエンチャントを対象とできないので、上記の場合は立ち消えになる。

同様に、対象を変更する呪文や能力において、前者の場合はアーティファクトからエンチャントへ(あるいはその逆へ)対象を変更できるのに対し、後者ではそれをさせることができない。

[編集] 脚注

  1. More Zendikar Rising Stars/さらなる『ゼンディカーの夜明け』の明星Making Magic -マジック開発秘話- 2020年9月21日 Mark Rosewater著)
  2. Nuts & Bolts #16: Play Boosters/基本根本 #16:プレイ・ブースター(Making Magic -マジック開発秘話- 2024年3月4日 Mark Rosewater著)

[編集] 参考

引用:総合ルール 20231117.0

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