脱出
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脱出(だっしゅつ)/Escapeは、テーロス還魂記で登場したキーワード能力。それを持つカードが墓地にある間に機能する常在型能力である。
インスタント
カードを1枚引く。
脱出 ― (2)(青),あなたの墓地から他のカード5枚を追放する。(あなたはあなたの墓地から、このカードをこれの脱出コストで唱えてもよい。)
クリーチャー — キマイラ(Chimera)
脱出 ― (4)(緑),あなたの墓地から他のカード3枚を追放する。(あなたはあなたの墓地から、このカードをこれの脱出コストで唱えてもよい。)
毒々しいキマイラは+1/+1カウンターが1個置かれた状態で脱出する。
エンチャント
あなたの墓地にあり土地でない各カードはそれぞれ脱出を持つ。脱出コストは、そのカードのマナ・コストに「あなたの墓地から他のカード3枚を追放する。」を追加したものに等しい。(あなたはあなたの墓地から、カードをそれの脱出コストで唱えてもよい。)
終了ステップの開始時に、死の国からの脱出を生け贄に捧げる。
[編集] 定義
脱出[コスト]/Escape [コスト]は、「あなたは、あなたの墓地からこのカードを、これのマナ・コストを支払うのではなく[コスト]を支払うことで唱えてもよい。」を意味する。
呪文をそれの脱出能力を使用して唱える場合は、代替コストのルールに従う。
呪文が脱出能力によって墓地から唱えられていたなら、その呪文は「脱出した/escaped」という。パーマネントが、解決されてそのパーマネントになった呪文が脱出能力によって墓地から唱えられていたなら、そのパーマネントは「脱出した/escaped」という。
[編集] 解説
テーロス/Therosの神々同士の争いにより現世と死の国/The Underworldの境目が揺らぎ、死の国から陽光の世界へ抜け出してくる者たちを表すメカニズム。墓地のカードを一定数追放することをコストに含む。一部のカードはそれを脱出で唱えたことを参照する能力を持つ。テーロス還魂記では全色に存在するが、黒、赤、緑に多く存在しており、また青単色には脱出を持つパーマネント・カードが収録されてない。他のカードに脱出を与えるカードとして死の国からの脱出/Underworld Breach、コンフェッション・ダイアル/Confession Dial、鍵の主/The Master of Keys、次元カードのストームケージ刑務所/Stormcage Containment Facility、自由の階、デズデモーナ/Desdemona, Freedom's Edgeがある。
ニューカペナの街角統率者デッキや統率者レジェンズ:バルダーズ・ゲートの戦い統率者デッキでは建物や墓所などから「脱出」するフレイバーでも使用され、前者では青単色の脱出パーマネント・カードも登場した。モダンホライゾン3では、コストに追放するカードの枚数ではなく含まれるカード・タイプの種類数を参照するネザーゴイフ/Nethergoyfが登場した。
数あるフラッシュバックの亜種の一つと言える。フラッシュバックと比較すると、パーマネント・カードも持つことができ、インスタント、ソーサリーでも解決に際して追放されないが、コストとして有限の墓地のカードを使うため連続の使用や脱出を持つカードの併用は難しくなっている。
[編集] ルール
- 唱えられるタイミングはカード・タイプによる通常の許諾に従う。たとえば、瞬速を持つかのように唱えられる効果がない限り、脱出でクリーチャーを唱えられるのはあなたのターンのメイン・フェイズで優先権を持ちスタックが空の間である。
- 脱出によって唱える最初の段階で、カードは墓地からスタックに移動する。プレイヤーが脱出で唱え始めてから、墓地対策などで妨害することはできない。
- 脱出を持つカードがあなたの墓地に置かれ、それを適正に唱えることができるなら、あなたはそれをすぐに、対戦相手が何らかの行動を起こす前に唱えることができる。 例えばあなたのターンの間に脱出を持つソーサリー・カードが解決されたなら、あなたが優先権を得るためそのソーサリーを脱出によって唱えることができる。
[編集] その他
- 同じ日本語名を持つカードに脱出/Evacuationがある。
- テーロス還魂記のストーリー上ではニクスの神々に逆らう死者たちの持つ能力であるためか、クリーチャー・エンチャントや信心を参照するカードは存在しない。また、すべて人間でないため3ヶ月後に発売されたイコリア:巨獣の棲処の変容の対象にできる。
- テーロス還魂記の脱出を持つクリーチャー・カードにはいずれも鎖で繋がれたイラストが描かれている。Magic: The Gathering Arena上では、(クリーチャーに限らず)脱出で唱えると鎖が千切れるようなエフェクトが表れる。
[編集] 開発秘話
テーロス還魂記では、死の国に囚われたエルズペス/Elspethの物語に焦点が当たるため、これを表すメカニズムを作る必要があった。展望デザイン・チームが提出したのは彼岸/Stygianと呼ばれる、戦場を生者の側と死者の側の2つに分断するメカニズムだったが、バランスが取りづらい、デジタル上の実装が難しいなど多くの問題があり、ボツになった。
代わりにセット・デザイン・チームが考え出したのが脱出である。脱出コストは当初マナだけだったが、それでは同じプレイパターンが何度も繰り返されることになるという問題があった。一度脱出したなら追放するようにもできるが、パーマネントが戦場を離れる際に追放するのなら、今度は記憶の問題を引き起こしてしまう。このため、コストには有限のリソースである墓地のカードの追放が加えられた。逆に墓地のカードの追放だけをコストとするバージョンも試されたが、バランスを調整するためのつまみとして、マナも必要であるという結論に至った[1]。
- その後Unfinityでは、戦場のクリーチャーを3つのセクターに分けるキーワード能力として宇宙を刻む者(を持つスペースベレレン/Space Beleren)が登場した。アン・カードではないためエターナルでも使用可能。
[編集] 脚注
[編集] 参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 7 その他のルール
- 702 キーワード能力
- 702.138 脱出/Escape
- 702.138a 脱出は、脱出を持つカードが墓地にある間に機能する常在型能力である。「脱出[[[コスト]]]/Escape [cost]」は、「あなたは、あなたの 墓地にあるこのカードを、マナ・コストを支払うのではなく[[[コスト]]]を支払うことで唱えてもよい。」を意味する。呪文を、それの脱出 能力を使って唱えることは、rule 601.2bとrule 601.2f~rule 601.2hの代替コストのルールに従う。
- 702.138b 呪文や解決されてそのパーマネント になった呪文が、脱出 能力によって墓地から唱えられたことを、その呪文やパーマネントが「脱出した/escaped」と言う。
- 702.138c 「[このパーマネント]は[[[カウンター]]]が置かれた状態で脱出する。/[This permanent] escapes with [one or more of a kind of counter]」は、「このパーマネントが脱出したなら、これは[[[カウンター]]]が置かれた状態で戦場に出る。」を意味する。この能力はこれと関連していて「これによりこれが戦場に出たとき」に誘発する誘発型能力を持っていることがある(rule 603.11 参照)。この種の誘発型能力は、そのパーマネントがこの置換効果の適用後に戦場に出たとき、この置換効果が効果を持たなくても、誘発する。
- 702.138d 「[このパーマネント]は[[[能力]]]を持った状態で脱出する。/[This permanent] escapes with [ability]」という能力は、「このパーマネントが脱出したなら、これは[[[能力]]]を持つ。」を意味する。
- 702.138 脱出/Escape
- 702 キーワード能力