レジェンド・ルール

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'''レジェンド・ルール'''/''Legend Rule''は、「[[特殊タイプ]]『[[伝説の]]』を持つ同じ[[名前]][[パーマネント]]が複数[[]]に存在する場合、それら全てをその[[オーナー]][[墓地]]に置く」というルール。これは[[状況起因効果]]であり、[[スタック]]に乗らずに直ちに処理される。
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'''レジェンド・ルール'''/''Legend Rule''は、[[状況起因処理]]のうち[[特殊タイプ]]『[[伝説の]]』を持つ[[パーマネント]]に関する処理の呼称。[[総合ルール]]に定義されている正式な用語である。
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==定義==
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[[プレイヤー]]が同じ[[名前]]の伝説のパーマネントを2つ以上[[コントロール]]している場合、そのプレイヤーはその中から1つを選び、残りはその[[オーナー]][[墓地に置く|墓地に置かれる]]
  
 
==解説==
 
==解説==
レジェンド・ルールが適用されるのは、複数の[[パーマネント]]が同じ[[名前]]であり、なおかつそれらが全て[[特殊タイプ]]「[[伝説の]]」を持つ場合だけである。「同じ名前であるが、どちらか片方しか「伝説の」を持っていない」「両方とも「伝説の」を持っているが、名前が違う」というような場合はこのルールは適用されない。逆に、条件を満たしているならば、その他の[[特性]]([[カード・タイプ]]など)が異なっていたとしても[[墓地]]に置かれる。
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レジェンド・ルールが適用されるのは、複数の[[パーマネント]]が同じ[[名前]]であり、なおかつそれらが全て[[特殊タイプ]]「[[伝説の]]」を持つ場合だけである。「同じ名前であるが、どちらか片方しか『伝説の』を持っていない」「両方とも『伝説の』を持っているが、名前が違う」というような場合はこのルールは適用されない。逆に、条件を満たしているならば、その他の[[特性]]([[カード・タイプ]]など)が異なっていたとしても[[墓地]]に置かれる。
  
例え[[背景世界/ストーリー用語|ストーリー]]上で同一の人物・物であったとしても、名前が異なっているならばルールは適用されない。例としては、[[熟達の魔術師アーテイ/Ertai, Wizard Adept]]と[[堕落した者アーテイ/Ertai, the Corrupted]]、[[怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath]]と[[憤怒の天使アクローマ/Akroma, Angel of Fury]]など。
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例え[[背景世界/ストーリー用語|ストーリー]]上で同一の人物・物であったとしても、名前が異なっているならばルールは適用されない。例としては、[[熟達の魔術師アーテイ/Ertai, Wizard Adept]]と[[堕落した者アーテイ/Ertai, the Corrupted]]、[[黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane]]と[[復讐のアジャニ/Ajani Vengeant]]など。フレイバー的には違和感があるが、ルール上は問題ない。
  
*墓地に置かれるのは[[破壊]]でも[[生け贄]]でもない。[[再生]]や[[破壊されない]]ことによってはレジェンド・ルールが妨げられることはない。
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*墓地に置かれるのは[[破壊]]されることでも[[生け贄に捧げる]]ことでもない。[[再生]]や[[破壊不能]]ではレジェンド・ルールでパーマネントが墓地に置かれてしまうことを妨げない。
*[[場]]に出ているものと同名の[[伝説の土地]]を[[プレイ]]した場合、すでに場に出ている[[土地]]も、[[能力]]をプレイする機会なしに直ちに墓地に置かれることに注意。土地のプレイは[[スタック]]に乗らず、[[プレイヤー]]が[[優先権]]を得る前に墓地に置かれるため、[[マナ能力]]であってもプレイできない。
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*既にコントロールしているものと同名の[[伝説の土地]]を[[プレイ]]した後、両方の土地の能力を起動するタイミングは存在しないことに注意。土地のプレイは[[スタック]]に乗らず、[[プレイヤー]]が[[優先権]]を得る前にいずれか一方が墓地に置かれるため、[[マナ能力]]であっても起動できない。
**[[第5版]]ルールではマナ能力はプレイすることができたため、[[MoMa]]では1回のみの使い捨てで[[トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy]]をプレイすることがあった。
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**[[第5版]]ルールではマナ能力は起動することができたため、[[MoMa]]では1回のみの使い捨てで[[トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy]]をプレイすることがあった。(→[[流し撃ち]])
*レジェンド・ルールの制約は場のみであり、場に出ていない分に関しては何も関係が無い。[[制限カード]]でない限り[[デッキ]]に3枚4枚と入れるのは自由だし、[[手札]]に複数来てしまっても[[捨てる|捨て]]なければならないといったことは無い。
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*レジェンド・ルールの制約は戦場のみであり、戦場に出ていない分に関しては何も関係が無い。[[制限カード]]でない限り[[デッキ]]に3枚4枚と入れるのは自由だし、[[手札]]に複数来てしまっても[[捨てる|捨て]]なければならないといったことは無い。
**[[レジェンド (エキスパンション)|レジェンド]]が出て間もない頃は、デッキに1枚だけしかいれられない制限カードになっていた時期もあった。
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**[[エキスパンション]]の[[レジェンド (エキスパンション)|レジェンド]]が出て間もない頃は、デッキに1枚だけしかいれられない制限カードになっていた時期もあったが、[[アイスエイジ]]の発売時に制限を解除された。([http://www.wizards.com/Magic/Magazine/Article.aspx?x=mtgcom/arcana/147 参考])
*[[カードの俗称|俗語]]と思う人もいるが、れっきとしたルール用語。
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*[[山崎兄弟/Brothers Yamazaki]]がこのルールをちょっと破る。
 
*[[山崎兄弟/Brothers Yamazaki]]がこのルールをちょっと破る。
*[[鏡の画廊/Mirror Gallery]]はこのルールを無効にする。
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*[[鏡の画廊/Mirror Gallery]]と[[千の顔の逆嶋/Sakashima of a Thousand Faces]]と[[鏡の箱/Mirror Box]]はこのルールを無効にする。
  
 
==過去のルール==
 
==過去のルール==
[[神河物語]]で現在のルールに変更される前のレジェンド・ルールは、「同[[名前|名]]の[[レジェンド (クリーチャー・タイプ)|レジェンド]]か[[伝説のパーマネント]]が複数[[場]]に存在する場合、その名前で最も長くレジェンドまたは伝説のパーマネントであり続けたパーマネント以外を、すべてその[[オーナー]]の[[墓地]]に置く。」ものであった。要するに「後から出したものが墓地に置かれる」ということ。同時の場合は両方とも墓地に置かれる。
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===基本セット2014より前のルール===
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[[基本セット2014]]発売に伴う2013年7月13日の[[総合ルール]]更新より前のレジェンド・ルールでは、同名の[[伝説のパーマネント]]は'''コントローラーに関係なく1つ'''しか[[戦場]]に存在することができなかった。また、同名の伝説のパーマネントが2つ以上同時に戦場に出た場合、1つも残せず、すべて墓地に置く必要があった。
  
*以前は、[[クリーチャー]]だけは[[クリーチャー・タイプ]]の「レジェンド」を参照していたが、ルール変更に伴い[[特殊タイプ]]の「[[伝説の]]」に統一された。当初の[[伝説のクリーチャー]]は他のクリーチャー・タイプを持たなかったので、[[2007年9月サブタイプ変更]]までクリーチャー・タイプなしの伝説のクリーチャーが多数存在することになった。
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現在のルールに変更した理由については、コラム記事「[http://www.wizards.com/magic/magazine/article.aspx?x=mtg/daily/feature/248f Legendary Rule Change]/[https://mtg-jp.com/reading/translated/0004058/ 「レジェンド・ルール」の変更]」において以下のように述べられている。
*以前のレジェンド・ルールは、「既に場に存在しているため、[[召喚]]に失敗する」という解釈なのであろう。現在のルールへの変更を提案したのは、かの[[Zvi Mowshowitz]]である。
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*[[クローン/Clone]]を利用して対戦相手の伝説のクリーチャーを除去する、あるいは、当時存在していた[[プレインズウォーカーの唯一性ルール]]を利用して対戦相手の同[[プレインズウォーカー・タイプ]]のプレインズウォーカーを除去するというシステム(いわゆる[[対消滅]])を、[[R&D]]は好ましく思っていなかったため。
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**同タイプのプレインズウォーカーを両プレイヤーが使う場合、先に出した側は[[忠誠度能力]]を利用できる一方、後に出す側は除去するだけで終わってしまうため、先出し有利なシステムだった。このことは、同タイプのプレインズウォーカーが環境に存在する場合、重い方の使いづらさを上げることにつながってしまっていた。
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*デザインの幅を広げるため。
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**[[信仰の足枷/Faith's Fetters]]のような[[戦場]]に残すタイプの[[カード]]を用いると、手札にある同一の[[伝説のカード]]やプレインズウォーカーまで除去することにつながってしまう。そのため、信仰の足枷のようなカードを作りづらくなっていた。
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**クローン系のカードの利用価値が高くなりすぎていたため、強力なクローンの亜種を作りづらくなっていた。
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**[[伝説の土地]]は不利益が多すぎた。
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===神河物語より前のルール===
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神河物語発売に伴う2004年10月1日の総合ルール更新より前のレジェンド・ルールでは、同名の伝説のパーマネントは、その名前で最も長く伝説であり続けたパーマネントのみが戦場に残り、残りは墓地に置かれるようになっていた(同時に2体以上戦場に出た場合はすべて墓地に置かれる)。要するに「'''後から出したものが墓地に置かれる'''」というルールであった。
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また、クリーチャーに関しては'''[[レジェンド (クリーチャー・タイプ)|レジェンド]]'''という[[クリーチャー・タイプ]]が与えられており、それが「伝説の」と同じ役割をしていた([[銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golem]]など、最初から「伝説のクリーチャー」と表記されているものも一部存在したが、オラクル更新でレジェンドを持つように変更されていた)。
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*この頃のレジェンド・ルールは「既に戦場に存在しているため、[[召喚]]に失敗する」という解釈なのであろう。
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*レジェンドのクリーチャー・タイプは神河物語発売に伴う[[オラクル]]更新で、[[特殊タイプ]]の「[[伝説の]]」に統一された。当初の[[伝説のクリーチャー]]は他のクリーチャー・タイプを持たなかったので、[[2007年9月サブタイプ変更]]までクリーチャー・タイプなしの伝説のクリーチャーが多数存在することになった。
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*ルールが変更された経緯は、端的に言ってしまえば「[[エンドカード]]級の強力な[[伝説のクリーチャー]]が増えてきたため」である。それらをメインに据えたデッキ同士が対決した場合、旧来のレジェンド・ルールでは先出し有利、延いては先攻有利になってしまう点が問題視されたのだ。
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**実際に問題となった例として、[[ウルザ・ブロック]]を含む[[構築]]の[[トレイリアのアカデミー/Tolarian Academy]]、[[オンスロート・ブロック構築]]の[[怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath]]や、[[マスクス・ブロック構築]]の[[果敢な勇士リン・シヴィー/Lin Sivvi, Defiant Hero]]がある。特に、トレイリアのアカデミーとリン・シヴィーは(カードパワーの問題もあるが)[[禁止カード]]に指定されている。
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*ルール変更を提案したのは、かの[[Zvi Mowshowitz]]である。
  
 
==参考==
 
==参考==
 
*[[レジェンド (クリーチャー・タイプ)|レジェンド]]
 
*[[レジェンド (クリーチャー・タイプ)|レジェンド]]
 
*[[対消滅]]
 
*[[対消滅]]
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*[[ワールド・ルール]]
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*[[プレインズウォーカーの唯一性ルール]]([[廃語]])
 
*[[ルーリング]]
 
*[[ルーリング]]
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2024年1月27日 (土) 21:30時点における最新版

レジェンド・ルール/Legend Ruleは、状況起因処理のうち特殊タイプ伝説の』を持つパーマネントに関する処理の呼称。総合ルールに定義されている正式な用語である。

目次

[編集] 定義

プレイヤーが同じ名前の伝説のパーマネントを2つ以上コントロールしている場合、そのプレイヤーはその中から1つを選び、残りはそのオーナー墓地に置かれる

[編集] 解説

レジェンド・ルールが適用されるのは、複数のパーマネントが同じ名前であり、なおかつそれらが全て特殊タイプ伝説の」を持つ場合だけである。「同じ名前であるが、どちらか片方しか『伝説の』を持っていない」「両方とも『伝説の』を持っているが、名前が違う」というような場合はこのルールは適用されない。逆に、条件を満たしているならば、その他の特性カード・タイプなど)が異なっていたとしても墓地に置かれる。

例えストーリー上で同一の人物・物であったとしても、名前が異なっているならばルールは適用されない。例としては、熟達の魔術師アーテイ/Ertai, Wizard Adept堕落した者アーテイ/Ertai, the Corrupted黄金のたてがみのアジャニ/Ajani Goldmane復讐のアジャニ/Ajani Vengeantなど。フレイバー的には違和感があるが、ルール上は問題ない。

[編集] 過去のルール

[編集] 基本セット2014より前のルール

基本セット2014発売に伴う2013年7月13日の総合ルール更新より前のレジェンド・ルールでは、同名の伝説のパーマネントコントローラーに関係なく1つしか戦場に存在することができなかった。また、同名の伝説のパーマネントが2つ以上同時に戦場に出た場合、1つも残せず、すべて墓地に置く必要があった。

現在のルールに変更した理由については、コラム記事「Legendary Rule Change/「レジェンド・ルール」の変更」において以下のように述べられている。

  • クローン/Cloneを利用して対戦相手の伝説のクリーチャーを除去する、あるいは、当時存在していたプレインズウォーカーの唯一性ルールを利用して対戦相手の同プレインズウォーカー・タイプのプレインズウォーカーを除去するというシステム(いわゆる対消滅)を、R&Dは好ましく思っていなかったため。
    • 同タイプのプレインズウォーカーを両プレイヤーが使う場合、先に出した側は忠誠度能力を利用できる一方、後に出す側は除去するだけで終わってしまうため、先出し有利なシステムだった。このことは、同タイプのプレインズウォーカーが環境に存在する場合、重い方の使いづらさを上げることにつながってしまっていた。
  • デザインの幅を広げるため。
    • 信仰の足枷/Faith's Fettersのような戦場に残すタイプのカードを用いると、手札にある同一の伝説のカードやプレインズウォーカーまで除去することにつながってしまう。そのため、信仰の足枷のようなカードを作りづらくなっていた。
    • クローン系のカードの利用価値が高くなりすぎていたため、強力なクローンの亜種を作りづらくなっていた。
    • 伝説の土地は不利益が多すぎた。

[編集] 神河物語より前のルール

神河物語発売に伴う2004年10月1日の総合ルール更新より前のレジェンド・ルールでは、同名の伝説のパーマネントは、その名前で最も長く伝説であり続けたパーマネントのみが戦場に残り、残りは墓地に置かれるようになっていた(同時に2体以上戦場に出た場合はすべて墓地に置かれる)。要するに「後から出したものが墓地に置かれる」というルールであった。

また、クリーチャーに関してはレジェンドというクリーチャー・タイプが与えられており、それが「伝説の」と同じ役割をしていた(銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golemなど、最初から「伝説のクリーチャー」と表記されているものも一部存在したが、オラクル更新でレジェンドを持つように変更されていた)。

[編集] 参考

引用:総合ルール 20231117.0

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