死の国からの脱出/Underworld Breach
提供:MTG Wiki
エンチャント
あなたの墓地にあり土地でない各カードはそれぞれ脱出を持つ。脱出コストは、そのカードのマナ・コストに「あなたの墓地から他のカード3枚を追放する。」を追加したものに等しい。(あなたはあなたの墓地から、カードをそれの脱出コストで唱えてもよい。)
終了ステップの開始時に、死の国からの脱出を生け贄に捧げる。
1ターン限定で自分の墓地の土地でないカードに脱出を持たせるエンチャント。
解説
そのターンに限り墓地の全てのカードを無制限に再利用できる様は往年のパワーカードであるヨーグモスの意志/Yawgmoth's Willを彷彿とさせる。とは言え無制限であっても無条件ではなく、脱出のためには他の墓地のカードの3枚追放という追加のコストが発生する。墓地を利用するためのリソースとして墓地のカードが必要というややもすると矛盾になりかねない構造を抱えており、十全に使いこなそうとするとデッキ構築には工夫を要する。
ヨーグモスの意志と異なり墓地に向かうカードが追放されることがなくさらにソーサリーではなくエンチャントが持つ常在型能力であるため、「再利用したカードをさらに再利用することが可能」「墓地を肥やすギミックを搭載すれば脱出コストの種と新たなカードの供給を同時にこなせる」といった差別化点が存在する。以上の点から、スタンダードからヴィンテージに至るまであらゆるループコンボ・ギミックが考えられる。
基本的には、「複数マナが出る土地やマナ・アーティファクト」「それらをアンタップできる呪文やパーマネント」「自分のライブラリーを削る手段」「勝ち手段」あたりを組み合わせるコンボとなる。このうち「ライブラリーを削る手段」は同時にサーチ手段にもなりえるため、実質的には死の国からの脱出+2~3枚でコンボが始動することになる。
- 同次元/Planeを舞台にした前作であるテーロスにおいて死の国からの救出/Rescue from the Underworldという日本語名が良く似たカードが存在する。両方が同時に使えるフォーマットにおいてはデッキリストの書き間違いに注意。
禁止指定
2020年3月10日より、レガシーで禁止カードに指定される[1]。上述のブリーチ・ストームは洗練されるにしたがって勝率が上昇しており、このデッキの存在を許容すると将来的に何らかの変更が必要になる可能性が高かったため。発売からわずか46日での禁止である(テーブルトップ基準)。
2020年8月3日付で、パイオニアのメタゲームをコンボデッキから離す目的で禁止カードに指定された。単独での勝率は問題のあるレベルに達していなかったが、同時に禁止された他の3種を含んだコンボデッキが競技メタゲームの大部分を占めており、パイオニアのプレイヤー数も減少させていたため[2]。
ルール
- 分割カードや当事者カードを脱出で唱える場合、あなたはそれをどちらの側で唱えるのかを選び、その側が持つマナ・コストに墓地からカード3枚を追放することを加えたコストを支払う。
- マナ・コストの無いカードは、脱出コストも「支払うことはできないコスト」となるため唱えられない(CR:118.6a)。
利用
パイオニア
パイオニアではこのカードの獲得により、睡蓮の原野コンボが大幅に強化され、ロータス・ブリーチと呼ばれるようになった。秘本掃き/Tome Scourなどで墓地を肥やしつつ、睡蓮の原野/Lotus Field+見えざる糸/Hidden Stringsでマナを捻出する。
モダン
モダンでは、このカード+研磨基地/Grinding Station+0マナのアーティファクトによるループを利用した脱出基地が存在している。またホロウ・ワンにも採用されている。
また、コンボパーツではなくアドバンテージ源として採用されるケースも見られるようになっている。
レガシー
レガシーではライオンの瞳のダイアモンド/Lion's Eye Diamondや思考停止/Brain Freezeとの組み合わせが強力で、これらをキーカードに据えたストームデッキ、ブリーチ・ストームが短期間ではあったが活躍した。
ヴィンテージ
軽く強力なカードの多いヴィンテージでは他のフォーマットと異なり、単なるアドバンテージ獲得手段として採用されることがある。レガシー同様のブリーチ・ストームも存在するほか、墓地の溜まりやすいオースでも採用されることがある。
ストーリー
神々の戦が勃発し、それは思わぬ結果を生んだ。死の国/The Underworldと生者の領域との間に裂け目が開いてしまったのだ。これにより死者のみならず、死の国の怪物たちが生者の領域になだれ込み、世界は混沌に包まれた[3][4]。
- カード名のbreachは「突破する」などの意味もあるが、ここではイラストの通り「裂け目」の意味だろう。「脱出」という意味はなく日本語名は意訳だが、カードの能力を加味したのかもしれない。結果として日本語名は「脱出」という動作動詞になったが、騙し討ち/Sneak Attackのようなカードもあるので不適当というほどでもない。
脚注
- ↑ March 9, 2020 Banned and Restricted Announcement/2020年3月9日 禁止制限告知
- ↑ August 3, 2020 Banned and Restricted Announcement/2020年8月3日 禁止制限告知(Daily MTG 2020年8月3日)
- ↑ The Theros Beyond Death Story on Cards/『テーロス還魂記』ストーリーカード(Feature 2019年12月16日 Wizards of the Coast著)
- ↑ Theros Beyond Death Story Summary/『テーロス還魂記』物語概要(Feature 2020年1月10日 Wizards of the Coast著)