ドリームキャスト版マジック:ザ・ギャザリング
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ドリームキャスト版MAGIC:The Gathering。2001年6月発売。開発:アルファ・システム、販売:セガ。
コンシューマーゲーム機でプレイできる初のマジックである。(現在ではMagic: The Gathering - Duels of the Planeswalkersが登場したため唯一ではない)
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概要
Magic: The Gathering for PCにおけるシャンダラー/Shandalarのようなフィールドは存在せず、基本的にマジックの対戦のみでゲームが進む。
敵と対戦すると勝敗に関わらずカードが得られるうえ敗北によるペナルティはないので、対戦を繰り返してカードを増やし、デッキを強化してボスに挑む、というのが基本の流れになる。
「セレスタ」と呼ばれる辺境ではあるが豊富なマナをもつ次元が舞台となり、各色に「タスクメイジ」と呼ばれる雑魚2体とボスである「アプレンティス」が存在し、すべての「アプレンティス」を倒すと最終ボスの「絶対神『アー』」と対戦できるようになる。
使用できるカード
使用できるカードは第6版:CLASSICからの335枚(基本土地は1種類ずつ)と不吉の月/Bad Moon、ラースの死の奈落/Death Pits of Rath、Icy Manipulator、モックス・ダイアモンド/Mox Diamond、ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Disk、剣を鍬に/Swords to Plowshares、Thawing Glaciers、貿易風ライダー/Tradewind Rider、冬の宝珠/Winter Orbの追加カード9枚、及びドリームキャスト版オリジナルカード10枚の合計354枚。
- ドリームキャスト版オリジナルカードはすべて無作為に何かをする要素を含んでいる。
- Icy Manipulatorには「遠隔凍結装置」、Thawing Glaciersには「融けゆく氷河」といった日本語訳が与えられたがWotC、ホビージャパン公認のゲームであるにもかかわらず日本語での公式カード名にはなっていない。
- 第6版以外からの採録カードとDC版オリジナルカードについては、ゲーム内で複数枚の入手が困難。
システム
基本的なルールは収録カード同様に第6版ルールが採用されており、プログラムの都合とメモリ上の制約都合による改変が多少行われている。改変内容についてはディスク内にあるAbstract.txtに記述されており、GD-ROMではあるがこの部分についてはCD互換のドライブを有するPCで確認することができる。プロテクションや伝説のクリーチャーなどに関するルールが説明書には記載されているものの、該当するカードは収録されていない。
デッキの構築制限は、基本土地を除き1種につき4枚までということと、総枚数が40-80枚の間であるという2点のみ。あとは自由にゲーム内で手にはいるカードでデッキ構築ができる。デッキは最大5つまで作成可能。また、39枚以下で構築を終了する事も可能だが、当然対戦時のデッキ選択の際にはそのデッキは選べない。
ムービーによる解説もあるが専門用語ばかりが並べられ、初心者向けではない。
特徴
神の怒り/Wrath of God、地震/Earthquake、ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Diskなどの一部カードにはエフェクトとしてムービーが挿入される。
レアカードや防御円などの対策カードはゲーム内で任意の枚数を集めるのに時間がかかるということや、単純に強いカードを引きやすいようにデッキ圧縮をしておけるということで、最低枚数の40枚デッキで戦うのが基本となる。反面、ドロー重視のデッキやライブラリーアウト狙いのデッキなどでは80枚を採用する手もあるという自由さは本来のマジックの持ち味を残している。
コンピューターの使用するデッキは固定であるため、クリア目的だけであれば逐一メタっていくという手もあり、ある種パズルゲーム的ともいえる。
他のコンピューターゲーム版マジックとの最大の相違点としては、一部の敵のライブラリーに強度の積み込みがされており、また、ドローについてもシルバーバレットに等しい今引きをしてくる。ただし、いずれも完全に内容が確定しているわけではなく揺らぎはある。
最終ボス戦
最終ボスの絶対神「アー」の積み込みは凶悪なものであり、予め対策をしたデッキでなければ苦戦は必至である。簡単な攻略法と合わせて掲載する。
- 積み込みといっても、敵のデッキ内容は枚数まで固定されており、さらに展開や思考まで決まっている。そのため適切な対策と、事故を起こさない構築で10割に近い勝率を得られる。
- 例えば1戦目では一度記憶の欠落/Memory Lapseを撃たれてしまえば以後はカウンターを恐れることはないし、2・3戦目では1枚しか入っていないアーデンの天使/Arden Angelを剣を鍬に/Swords to Plowsharesで追放できれば以後は天使を気にする必要はなくなる。
- 当然ながら確実に対策カードを引きやすい40枚デッキで戦うのが定石。序盤に土地が詰まるとまず負けるため、土地はやや多めに取るのがよい。
- トップデッキに弱いカードやデッキ(手札破壊、土地破壊)は使用しないほうが良いだろう。
アーのデッキと行動パターンは以下の通り。効果的な対策カード等を攻略の一例として掲載する。
1戦目
冬の宝珠/Winter Orb+土地以外のマナのギミックを利用した速攻ビートダウン。
必ず1、2ターン目にモックス・ダイアモンド、極楽鳥/Birds of Paradiseから冬の宝珠を展開し、エルフの射手/Elvish Archers やリバー・ボア/River Boaなどのウィニーを中心にビートダウンしてくる。こちらのライフが8点以下になると高確率でショック/Shockを引いてくる。
冬の宝珠を壊し、初速さえ止めればその後は比較的ゆるい展開となる。敵のデッキには剣を鍬に/Swords to Plowshares、恐怖/Terror、記憶の欠落は1枚ずつしか入っておらず、アーティファクト・エンチャントは壊されない。
ショックの連打でゲームを決めてくるため、流刑/Exileなどで自分のクリーチャーを犠牲にするプレイングも時として必要となる。その意味でマーギッシュの霊園/Murgish's Cemeteryは相性の良いフィニッシャーとなる。
序盤に極楽鳥を始め、タフネス1の緑のクリーチャーを展開する事が多いため、非業の死/Perish、乾きの呪文/Dry Spellなどがよく効く。特に乾きの呪文は入手容易であるため、カードが揃っていない場合には重宝する。ネビニラルの円盤/Nevinyrral's Diskを起動できれば圧倒的に有利となるが、より軽く冬の宝珠とモックス・ダイアモンドを一度に壊せる静寂/Serenityも有効。
2戦目
Thawing Glaciersのマナからパワーカードを連打してくるパーミッション。
1ターン目にThawing Glaciersをプレイし、以降はカウンターを引き続け、十分な土地が揃ったところでマロー/Maro、マーギッシュの霊園/Murgish's Cemetery、猛火/Blaze等でゲームを終わらせにくる。Thawing Glaciersが破壊されると確実に次を引いてくる。また、こちらのパーマネントにも適切な対策カードや地震/Earthquakeなどの全体除去を引いてくる。島やウィニーに対し、リバー・ボア/River Boaを使ってくる場合も多い。
初動が遅いため、赤単色の速攻ビートダウンで圧勝できる。また、先攻2ターン目までにミシュラのアンク/Ankh of Mishraを出すと、それ以降他の土地をほぼ出さないままになる。これはコンピュータの他のデッキにも有効だが、極楽鳥/Birds of Paradiseやマナ・アーティファクトに頼ったデッキ相手にはあまり通用しない。ミシュラのアンクに依存したデッキを構築する場合、悟りの教示者/Enlightened Tutorも投入できる白ウィニーも有効。
より勝率を高めるためには、地震で息切れしないようなプレイング、巨人の力/Giant Strengthで対策するなどの工夫が必要となる。魔力のとげ/Manabarbsを気にせず自爆することもあるため、フィニッシャーとして使うのも良い。
3戦目
クリーチャーデッキにコントロールカードを併用したグッドスタッフ。
マナ加速、クリーチャー、パーマネント除去、全体除去などを適切なタイミングで引いてくる。極楽鳥と一部の土地カード以外はすべて1枚挿しの擬似ハイランダーデッキ。基本はビートダウンデッキであり、マナロックやカウンターをせずカード・アドバンテージを得られるカードもさほど入っていないため、1、2戦目よりは戦いやすい。初動後ジェイラム秘本/Jalum Tomeを高確率で引き、アーデンの天使/Arden Angelを捨てての自動リアニメイトを狙ってくる。
1戦目を勝ったデッキでそのまま戦えるが、展開が緩い分ネビニラルの円盤や静寂で大量のアドバンテージを得づらくなるため、プレイングが重要になる。エンチャントなどは相手のネビニラルの円盤で壊される可能性があるが、これもプレイングで調整できる。
余談
発売前の一時期に「通信対戦可能」と広告が打たれていたが、最終的には通信対戦機能も対人戦機能もカットされてしまった。発売当時、開発元であるアルファ・システムのホームページに掲載されていたコメントによれば「費用及びウィザーズ・オブ・ザ・コースト社とセガとの契約上の問題から断念した」とのことである。
- Magic Onlineの開発が始まっていたことが原因だろう。