セラの天使/Serra Angel
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飛行と警戒を持った白の大型クリーチャー。マジック:ザ・ギャザリング初の天使であり、マジックを象徴する顔となるカードの1つ。
回避能力の飛行を備え、警戒を生かすのに十分な4/4というサイズがあるため、攻防に活躍できる。アルファ時代から同期であり、飛行の色である青の大気の精霊/Air Elementalと比べて、明らかに優れている。
利用
マジック初期には白のフィニッシャーとしてもてはやされ、グッドスタッフ的なThe Deckやセラマゲドン戦略などで結果を残した。アンコモンであり比較的集めやすかったのも魅力の1つだった。
第4版を最後に一時基本セットから退場するが第7版からレアとして復活。ただし、そのころにはさらにコスト・パフォーマンスが良いクリーチャーが生まれており、出番はだいぶ減ってしまった。第7版期には火炎舌のカヴー/Flametongue Kavuがいたことも悪条件であった。その後も、賛美されし天使/Exalted Angelや正義の命令/Decree of Justiceの登場により、白コントロールなどのフィニッシャーとしてもほとんど使われなかった。
基本セット2010では、よりカードパワーの上回る悪斬の天使/Baneslayer Angelが同時収録され、構築での出番はほぼ失った。一方、稀少度が元のアンコモンに戻ったので、リミテッドで活躍を見せている(→Defusing Bombs参照)。これらはデザイン・チームの考えによる調整であった(→Magic 2010, the New Player, and You参照)。
開発秘話
セラの天使開発にはいくつかの逸話がある。
- 女性の戦天使
- セラの天使が女性の姿なのには訳がある。聖書における天使は性別がないとされるものの男性名がつけられていることから、典型的な戦天使は男性イメージであった。しかし、リチャード・ガーフィールドは既成イメージと異なる女性的な戦う天使を望んだため、マジック初のセットであるアルファにセラの天使が誕生することになった。北欧神話のヴァルキリーのような女性戦士の影響もあったとされる。(→Que Serra, Serra参照)
- プレイテストカード
- 開発初期は単に「Angel」と名付けられ、テストカードではコミック「Xメン」のスーパーヒーローの1人、エンジェルのイラスト切抜きを代用した。この時点ですでにマナ・コストが3WW、サイズは4/4、空を飛び、攻撃時にタップしない(not tapped on the attack)能力を備えていた(→テストカード画像のある記事。マナ・コストに5WWと記載されているがこれは製品版の3WWと同じ意味を持つ)。
- 「セラ」という名前
- リチャード・ガーフィールドは当初、タフな女戦士のイメージを強めるため、イラストでは「serrated sword(鋸状の、ギザギザの剣)」を持たせることを思い描いた。カード名に含まれる「セラ/Serra」とは、この"serrated"に由来する命名である。この名前の由来は、雑誌や公式サイトなどで繰り返し語られている有名な話である。
- 製品版では「ギザギザの剣」を持っていないが、Douglas ShulerはDuelist誌14号の記事Serra Angelにおいて、イラストを指定されたときには単に「Angel」と呼ばれていただけで「ギザギザの剣」に関する部分は後から聞かされたと語っている。
- また、セラの天使を「セラ」と略して呼ぶことは定着している。ホームランドでセラがプレインズウォーカー/Planeswalkerの名前と設定された後でも使い分けられており、基本セット2010現在の公式記事でも「Serra = セラの天使」は珍しくはない。
基本セット収録とカードパワー、人気
セラの天使はアルファから第4版まで基本セットの常連であった。高いカードパワーも相まって人気が高いキャラクターであり、マジックを象徴するカードとしてイラストを用いた関連商品やフィギュアが発売されたり、公式記事でも話題が取り上げられ、Rebecca Guayのイラストによるコミック版セラの天使の発刊を始めとして、掌編などにも度々登場した。ホームランドでは、この天使の創造主であるセラ/Serraが設定された。
しかし人気があったものの、第5版ではカードパワーが問題として取り上げられることになり、「白の能力としてはあまりにも低コスト」「深刻なデザイン上の制約とプレイバランスの問題を発生させる」という理由で収録されなかった(Taming the Flames(Duelist誌17号の記事))。第5版のカードリストを発表した際には、ウィザーズ社に対して猛烈な反発の声が寄せられ、多くのプレイヤーがセラの天使不在を受け入れられなかったという(→Que Serra, Serra参照)。
Duelist誌25号では、第5版でセラの天使たちに何が起きたのか、と質問され、彼女たちは今でもどこかで悪党を懲らしめていると回答があった。ウルザ・ブロックでは、設定上のセラの天使が複数カード化あるいはイラストに登場し、故郷であるセラの領土/Serra's Realmが物語の舞台のひとつとして大きくクローズアップされた。
セラの天使の退場を惜しいと考えていたマジックのブランド部門は、第7版開発時にR&Dに対して復活を強く要望した。R&Dは初めは躊躇したものの、その頃の環境の見直しを行った上で、カードパワーの問題はすでにないとして再録を決定。基本セット常連に再び返り咲いた。(→Que Serra, Serra参照)
2009年の日本においては、スクウェア・エニックスのATCG(アーケードトレーディングカードゲーム)「ロードオブヴァーミリオンⅡ」に使い魔カードとしてゲスト参戦した。
関連カード
- Serra Angel - Magic Online Vanguard版セラの天使。
- 飛行と警戒を持つ白の天使クリーチャー
- 大天使/Archangel - 上位種
- Angel of Light - 色拘束が緩いが3/3。
- セラの伝令/Herald of Serra - エコー版。
- 大天使レイディアント/Radiant, Archangel - 伝説のセラの天使。
- むら気な天使/Wayward Angel - スレッショルド付き。
- 怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath - 多くのキーワード能力を持つ伝説の天使。
- アダーカーの戦乙女/Adarkar Valkyrie - 氷雪。死んだクリーチャーを復活させる。
- セラの報復者/Serra Avenger - 唱えるための条件付き。
- 黄昏の番人/Twilight Shepherd - 頑強と限定的な墓地回収能力を持つ。
- 迷いし者の番人/Shepherd of the Lost - 色拘束が緩い先制攻撃持ち3/3。
- 警戒を持つ全てのカード - セラの天使は警戒を持った最初のカードであり、警戒および同系統の能力の祖である。警戒はキーワード能力化されるまで、R&Dではセラの天使にちなんでSerra Ability(セラ能力)と呼ばれていた(→A Few Words From R&D参照)。
- 堕天使/Fallen Angel - マジック史上2種目の天使で、正反対のイメージのカード化。このカードの登場は切り札であった(→Que Serra, Serra参照)。
- セラの抱擁/Serra's Embrace - クリーチャーをセラの天使に変えるオーラ。私をクリーチャーにしてカードの1種。
- セラのスフィンクス/Serra Sphinx - 次元の混乱で青にタイムシフトしたセラの天使。
- Que Serra, Serra - アングルード2に収録される予定だったパロディ版カード。
ストーリー
詳細はセラの天使/Serra Angel (ストーリー)を参照。
その他
- スペイン語版黒枠においてはミスプリントが発生し、絵柄が時の精霊/Time Elementalになっている。セラメンタルと呼ばれた。(→エラーカード)
- 愛称はジェニファー。金澤尚子が自分の持っていた3枚のセラの天使/Serra Angel(当時はリバイズド)に付けた名前に由来する(他の2枚にも名前が付いていたが、当時から記憶に残らなかった)。RPGマガジン(ゲームぎゃざの前身)やデュエリスト・ジャパンでのマジック紹介マンガで世に広まる。ヒッピーやティムなどとは異なり、日本でしか通用しない愛称である。
- また、略してセラエンあるいはセラ天と呼ばれることもあり、特にセラエンはデュエルファイター刃の世良円の名前の由来にもなっている。
- ゲーム誌InQuestはジョークカードとしてSerra Succubus(ページ中段中央)を掲載したことがある。
参考
- 壁紙 (第9版)
- Que Serra, Serra (Mark Rosewaterがセラの天使にインタビューをする公式記事)
- Card of the Day 05/02/2005 (邦訳)
- カード個別評価:基本セット2010 - アンコモン
- カード個別評価:第10版 - レア
- カード個別評価:第9版 - レア
- カード個別評価:第8版 - レア
- カード個別評価:第7版 - レア
- カード個別評価:第4版 - アンコモン
- カード個別評価:リバイズド - アンコモン
- カード個別評価:アンリミテッド - アンコモン