バニラ
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+ | 何も能力がない分、[[マナ・コスト]]の割に大きい[[サイズ]]を持つ事が多い。[[長毛のソクター/Woolly Thoctar]]や[[皮背のベイロス/Leatherback Baloth]]のように、[[色拘束]]が強いものは時として驚くべき[[マナレシオ]]をたたき出すこともある。能力がなくても[[サバンナ・ライオン/Savannah Lions]]や[[番狼/Watchwolf]]などの優秀な[[ウィニー]]や、[[ゴブリン]]や[[マーフォーク]]など[[タイプ的]][[シナジー]]が得られるものは、下手な能力持ちより採用される頻度が高い。 | ||
− | + | ただしそれはあくまで一部の有用な例外で、たいていのバニラは、同マナ・コストで能力がついている[[カード]]に比べて使い勝手や[[カードパワー]]は大きく見劣り、時には完全な[[下位互換]]となることも珍しくない。そのため基本的に「バニラ」と言うと「有用な能力を持たず、([[構築]]においては)弱い」という否定的イメージが強い。それらはもっぱら[[リミテッド]]向けにデザインされ、大型セットでは各色の[[コモン]]に1枚以上のバニラが収録されることが多く、色の特徴づけやバランス調整に一役買っていた。 | |
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− | * | + | *バニラ・クリーチャーの[[文章欄]]には[[フレイバー・テキスト]]が書かれている。フレイバー・テキストは本来、バニラの文章欄を埋めるために立案されたものである。 |
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+ | *バニラ・クリーチャーにのみ恩恵を与える[[カード]]も存在する(→[[ムラガンダの印刻/Muraganda Petroglyphs]]など)。また、クリーチャーをバニラにしてしまうカードもある(→[[謙虚/Humility]]など)。 | ||
+ | *狭義には「能力がまったくない」ことだが、広義には「能力があっても(少なくともその場では)機能しない」もしくは「能力ではあるが[[コスト]]や[[サイズ]]にしか影響を与えない」など、ゲーム中での実際の挙動を重視して使うことがある。その場合、本当に[[ルール文章]]を持たないものと区別するため、「実質的なバニラ」などと表現することもある。 | ||
+ | **基本的に「能力がないも同然」という弱点を強調する文脈で用いる。極端に解釈すれば、[[金属ガエル/Frogmite]]は0マナ2/2バニラ、[[野生のナカティル/Wild Nacatl]]は1マナ3/3バニラ、[[タルモゴイフ/Tarmogoyf]]は最大2マナ9/10バニラ、とも言えるが、弱点より利点が多いそれらのカードにはそういう表現はあまり用いない。 | ||
+ | **「能力があっても(少なくともその場では)機能しない」という点を強調・揶揄するために、クリーチャーでない[[パーマネント]]に対しても用いられることがある(バニラ・[[エンチャント]]、バニラ・[[アーティファクト]]など)。状況によって[[腐る|腐って]]しまった、意味をなさなくなったパーマネントに用いられる「[[置物]]」という言葉と違い、こちらはカードデザインそのものに対する否定の意味合いを強く含んだスラングであり、公の場で用いるのは相応しくない。 | ||
+ | *能力の中には有用ではないものも存在する(→[[ペナルティ能力]])ため、なんでもないバニラのほうが安定して使える場合もたまにある。ペナルティ能力でなくてもあまりに効果の薄い能力の場合は、「ムラガンダの刻印が有効な分バニラの方がマシ」と言われることも。 | ||
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+ | 最も引き合いに出されるバニラの1つに、(1)(緑)で2/2の[[灰色熊/Grizzly Bears]]がある<ref name="01">[https://magic.wizards.com/en/articles/archive/making-magic/few-more-words-rd-2013-06-10 A Few More Words from R&D]/[https://mtg-jp.com/reading/mm/0004233/ 開発部語辞典・増補版]([[Making Magic]] [[2013年]]6月10日 [[Mark Rosewater]]著)</ref>。「[[熊 (俗称)|熊]]」という俗称があるように、2[[マナ]]で2/2のみという性質はクリーチャーのスペックの基準として捉えられていた時期があった(一時期、[[緑]]以外の「熊」には何らかの[[ペナルティ能力]]を持たされ、緑はクリーチャーの質が高いことを示す役割があった)。経年によって灰色熊自体のスペックが相対的に低くなったが、[[第10版]]まで[[再録]]され続け、[[基本セット2010]]から[[基本セット2015]]まで[[同型再版]]である[[ルーン爪の熊/Runeclaw Bear]]が引き続き収録されており、身近なバニラとしての象徴的役割を果たしていた。 | ||
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+ | その他、1/1バニラや4/4以上のバニラは絶対数が少なく、伴ってリミテッドでも使用頻度が低いため、特定の総称はあまり無い。 | ||
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+ | [[ETB]]や[[瞬速]]などの「[[戦場]]に出した[[ターン]]以降には意味を持たない」能力しか持たないクリーチャーのことを'''バーチャル・バニラ'''<ref name="01"/>/'''実質バニラ'''<ref name="02"/>(Virtual Vanilla)と呼ぶ。 | ||
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+ | ===バーチャル・フレンチ・バニラ=== | ||
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+ | 「戦場に出したターン以降には意味を持たない」能力と、基本的なキーワード能力だけを持つクリーチャーのことを、'''バーチャル・フレンチ・バニラ'''(Virtual French Vanilla)と呼ぶ<ref>[https://markrosewater.tumblr.com/post/66530551834/wait-i-thought-vanilla-was-no-rules-text-virtual Blogatog]([[Blogatog]] [[2013年]]11月9日 [[Mark Rosewater]]著)</ref>。 | ||
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+ | ==脚注== | ||
+ | <references/> | ||
==参考== | ==参考== | ||
*[[バニラクリーチャー]]([[機能別カードリスト]]) | *[[バニラクリーチャー]]([[機能別カードリスト]]) | ||
*[[カードの俗称]] | *[[カードの俗称]] | ||
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2024年6月18日 (火) 09:03時点における最新版
バニラ(Vanilla)とは、何の能力も持たないクリーチャーの総称。由来はアイスクリームのバニラで、何も入っていないシンプルな、ということから。
[編集] 解説
何も能力がない分、マナ・コストの割に大きいサイズを持つ事が多い。長毛のソクター/Woolly Thoctarや皮背のベイロス/Leatherback Balothのように、色拘束が強いものは時として驚くべきマナレシオをたたき出すこともある。能力がなくてもサバンナ・ライオン/Savannah Lionsや番狼/Watchwolfなどの優秀なウィニーや、ゴブリンやマーフォークなどタイプ的シナジーが得られるものは、下手な能力持ちより採用される頻度が高い。
ただしそれはあくまで一部の有用な例外で、たいていのバニラは、同マナ・コストで能力がついているカードに比べて使い勝手やカードパワーは大きく見劣り、時には完全な下位互換となることも珍しくない。そのため基本的に「バニラ」と言うと「有用な能力を持たず、(構築においては)弱い」という否定的イメージが強い。それらはもっぱらリミテッド向けにデザインされ、大型セットでは各色のコモンに1枚以上のバニラが収録されることが多く、色の特徴づけやバランス調整に一役買っていた。
かつては基本セットの常連でありエキスパンションでも時折収録されたが、フォーゴトン・レルム探訪以降は本流のセットにおける収録機会が激減している。その理由についてMark Rosewaterに寄せられた質問と回答によれば「(フォーゴトン・レルム探訪にバニラがいないことについて)トップダウン・デザインを最大限に活かすため[1]」「(なぜバニラを印刷することをやめたのかについて)それほど必要でないことがわかった[2]」「(絶滅したのか、絶滅危惧種なのかについて)絶滅危惧種といえる。適切な時期にもっと作ると思う[3]」「(ストーム値について)私は2だと思う。落葉樹なのです[4]」と述べられている。
- バニラ・クリーチャーの文章欄にはフレイバー・テキストが書かれている。フレイバー・テキストは本来、バニラの文章欄を埋めるために立案されたものである。
- 例外は掟破りの宝庫、未来予知のテキストレス・クリーチャー・サイクルのみ。
- バニラ・クリーチャーにのみ恩恵を与えるカードも存在する(→ムラガンダの印刻/Muraganda Petroglyphsなど)。また、クリーチャーをバニラにしてしまうカードもある(→謙虚/Humilityなど)。
- 狭義には「能力がまったくない」ことだが、広義には「能力があっても(少なくともその場では)機能しない」もしくは「能力ではあるがコストやサイズにしか影響を与えない」など、ゲーム中での実際の挙動を重視して使うことがある。その場合、本当にルール文章を持たないものと区別するため、「実質的なバニラ」などと表現することもある。
- 基本的に「能力がないも同然」という弱点を強調する文脈で用いる。極端に解釈すれば、金属ガエル/Frogmiteは0マナ2/2バニラ、野生のナカティル/Wild Nacatlは1マナ3/3バニラ、タルモゴイフ/Tarmogoyfは最大2マナ9/10バニラ、とも言えるが、弱点より利点が多いそれらのカードにはそういう表現はあまり用いない。
- 「能力があっても(少なくともその場では)機能しない」という点を強調・揶揄するために、クリーチャーでないパーマネントに対しても用いられることがある(バニラ・エンチャント、バニラ・アーティファクトなど)。状況によって腐ってしまった、意味をなさなくなったパーマネントに用いられる「置物」という言葉と違い、こちらはカードデザインそのものに対する否定の意味合いを強く含んだスラングであり、公の場で用いるのは相応しくない。
- 能力の中には有用ではないものも存在する(→ペナルティ能力)ため、なんでもないバニラのほうが安定して使える場合もたまにある。ペナルティ能力でなくてもあまりに効果の薄い能力の場合は、「ムラガンダの刻印が有効な分バニラの方がマシ」と言われることも。
[編集] 総称として用いられるバニラクリーチャー
最も引き合いに出されるバニラの1つに、(1)(緑)で2/2の灰色熊/Grizzly Bearsがある[5]。「熊」という俗称があるように、2マナで2/2のみという性質はクリーチャーのスペックの基準として捉えられていた時期があった(一時期、緑以外の「熊」には何らかのペナルティ能力を持たされ、緑はクリーチャーの質が高いことを示す役割があった)。経年によって灰色熊自体のスペックが相対的に低くなったが、第10版まで再録され続け、基本セット2010から基本セット2015まで同型再版であるルーン爪の熊/Runeclaw Bearが引き続き収録されており、身近なバニラとしての象徴的役割を果たしていた。
開発部では、4マナ3/3を丘巨人/Hill Giant、3マナ2/2を灰色オーガ/Gray Ogreと総称するが[6]、こちらは日本ではあまり一般的ではない。
その他、1/1バニラや4/4以上のバニラは絶対数が少なく、伴ってリミテッドでも使用頻度が低いため、特定の総称はあまり無い。
[編集] バニラのバリエーション
開発部では「バニラのような」クリーチャーを表す言葉として以下のような呼称を用いている。
[編集] フレンチ・バニラ
基本的なキーワード能力だけを持つクリーチャーのことをフレンチ・バニラ(French Vanilla)と呼ぶ[5]。詳細はそちらのページを参照。
[編集] バーチャル・バニラ
ETBや瞬速などの「戦場に出したターン以降には意味を持たない」能力しか持たないクリーチャーのことをバーチャル・バニラ[5]/実質バニラ[6](Virtual Vanilla)と呼ぶ。
[編集] バーチャル・フレンチ・バニラ
「戦場に出したターン以降には意味を持たない」能力と、基本的なキーワード能力だけを持つクリーチャーのことを、バーチャル・フレンチ・バニラ(Virtual French Vanilla)と呼ぶ[7]。
[編集] 脚注
- ↑ Blogatog(Blogatog 2021年7月8日 Mark Rosewater著)
- ↑ Blogatog(Blogatog 2021年9月18日 Mark Rosewater著)
- ↑ Blogatog(Blogatog 2022年5月13日 Mark Rosewater著)
- ↑ Blogatog(Blogatog 2022年3月20日 Mark Rosewater著)
- ↑ 5.0 5.1 5.2 A Few More Words from R&D/開発部語辞典・増補版(Making Magic 2013年6月10日 Mark Rosewater著)
- ↑ 6.0 6.1 A Few More Words from R&D/開発部語辞典2016(Making Magic 2016年11月8日 Mark Rosewater著)
- ↑ Blogatog(Blogatog 2013年11月9日 Mark Rosewater著)