ニコル・ボーラス/Nicol Bolas (ストーリー)

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ニコル・ボーラス/Nicol Bolasレジェンド初出のキャラクター。

目次

概略

ニコル・ボーラスを含むエルダー・ドラゴン/Elder Dragonの由来は、レジェンドのデザイナーであるSteve Conardダンジョンズ&ドラゴンズのキャンペーンに登場するドラゴンである。ニコル・ボーラスはその中で最古老の2万歳のドラゴンと設定されていた。レジェンドのエルダー・ドラゴンは当時の人気カードであり、中でもニコル・ボーラスはサイクル5種中で唯一競技で実績(→ニコル・シュート)を残したカードであったためか、スタンダード環境から姿を消した後でもファンサイトや公式記事で度々一番のお気に入りカードまたはキャラクターとして名前を挙げられている(例:Brian David-MarshallのOne Last Look参照)。

ストーリーでは、レジェンドの登場人物を中心に据えたレジェンドサイクル2小説三部作(Assassin's BladeEmperor's FistChampion's Trial)では悪玉として大きく取り上げられた。その後、時のらせんブロックのストーリーで再登場した際も重要な役どころを担い、時のらせんタイムシフト枠で再録された。コレクター用のFrom the Vault:Dragonsでは新規イラストとフレイバー・テキストも加えられて収録され、アラーラの断片ブロックのストーリーでも世界の命運を左右する悪役として暗躍。コンフラックスではプレインズウォーカー・カード版で再びカード化され、煽り文句「A Force of Ancient Evil Has Returned.」とニコル・ボーラスに対峙する4人のプレインズウォーカーのイラストで黒幕がいよいよ登場といった宣伝がされた。

公式ソースでは名前を「ボーラス/Bolas」と略されるのが常である。ただ、「ニコル/Nicol」と呼ぶユーザーも決して少なくない。これは日本に限った傾向ではなく、海外のファンサイトや公式サイトにおけるメール紹介などでも見ることができる。

解説

最年長のエルダー・ドラゴン/Elder Dragonで、ドミナリア/Dominariaの最強かつ最古と称される邪悪なプレインズウォーカー/Planeswalker。男性。天才的な頭脳、大魔術師級の魔法、多元宇宙/Multiverseに広がる知識とマナの蓄え、悪魔的な狡猾さ、そして力への飢えを併せ持っている。ボーラスにとって全知全能が究極の目的である。

数々の称号・異名を持っており、ドミナリア最古の悪(Dominaria's most ancient evil)、ボーラス皇帝(Emperor Bolas)、龍師範(Sensei Ryu)、全ドラゴンの神王にして父(the god-king and Father of All Dragons)、偉大なるドラゴン(Great Dragon)、世界の暴君(Tyrant of Worlds)などはその一部に過ぎない。

最後のエルダー・ドラゴン

エルダー・ドラゴン同士の戦争、巨竜戦争/Dragon Warを生き残った者はボーラスを含め5体だけであったが、後の時代に全員が死亡。小説Time Spiralで復活して以降は、ボーラスが唯一の生存者である。

ドミナリア最古のプレインズウォーカー

ニコル・ボーラスは時のらせんブロックの時代AR46世紀の2万5千年前(ウルザ/Urza誕生のおよそ2万年前)に誕生した最古のドミナリアのプレインズウォーカーとされる。その5千年後、マダラの西沖でドミナリア初となるプレインズウォーカー同士の戦いが行われた。一方はニコル・ボーラスであり、相手は悪魔的なリバイアサンのプレインズウォーカー。戦いは丸1ヶ月にも及び、敵の精神を紙のように引き裂いたボーラスの勝利となった。ボーラスは敵の躯を喰らって更に強大な力を手にし、外の世界を征服するためドミナリアから旅立った。この戦いの結果、戦場跡にはドミナリア最初の時の裂け目が生じており、ボーラスはそこに鉤爪門/The Talon Gatesを遺した。(→小説Future Sight参照)

  • 小説Alara Unbrokenでは2万歳とされており設定に5千年の食い違いがある。灯の変質によって、ボーラスの知識や力が失われたことが原因か、単なる校正漏れかは不明。

容姿とシェイプシフター

基本的にはドラゴンの姿をとっているが、姿を変えられる能力を持つため、各種イラストや小説の描写には大小様々な差異がある。ボーラスはシェイプシフターとも称されており、灯の変質によってプレインズウォーカーが変身能力を失った後でさえ、人間の少年に姿を変える能力を持っている。

レジェンドで描かれたオリジナルのイラストは緑味がかった肌、2本の上向きに弧を描く角、褐色のコウモリのような翼、顔はドラゴンと類人猿両方の特徴を備え、首は短く、体つきはほぼ人型で、手の指は少なくとも4本あり、椅子に腰掛け書物を読んでいる。カードのデータからプレインズウォーカーとなる前の姿と考えられる。

Sneak Peek: From the Vault: Dragonsによると、From the Vault:Dragons版のイラストはプレインズウォーカー前の若くしなやかなボーラスとされる。レジェンド版よりも典型的なドラゴンの姿で、コンフラックス以降のイラストと共通点も多い。小説情報を考慮すると、この時点では少なくとも5千歳を越えてはいない。

時のらせんブロックの各小説の描写はレジェンド版のイラストとほぼ合致する。イラストで閉じている目は黄色とされる。身長を30フィート(約9m)から15フィート(約4.5m)に縮めたり、皮膚や筋肉、内臓が腐れ落ちたかのような姿に見せかけることも可能。Future Sightでは首が長いとも書かれている。

コンフラックス以降では、ボーラスはFrom the Vault:Dragons版の流れを汲んだ姿でカードやコミック、広告などに描かれている。その一方で、小説ではレジェンド版イラストを想起させる描写が差し込まれてもいる。例えば、Agents of Artificeでは書物を読んでおり、Alara Unbrokenでは人間のように直立して歩くといった風である。変身能力も健在で、掌編目前に迫る戦争/The Face of Warでは黒髪の少年の姿になっている(→少年 (1)少年 (2)少年 (3)参照)。

実力

プレインズウォーカーとなる前でさえも神のごとき力を持っていたと伝えられ、歴史書に記録が残るより昔から多元宇宙/Multiverse中を狩場としていた。決闘で屠ったプレインズウォーカーは数千を越え、逆に敗北した回数は3本の指で数えられるほどでしかない。声を潜めて語られる存在で、他のプレインズウォーカーに畏敬の念を抱かせ、敵にすら敬意を払われる。

灯の変質

時のらせんブロックで時の裂け目の大修復が完了したことで、プレインズウォーカーの灯/Planeswalker's Sparkの性質が変化した。不老ではなくなり、食事や水、睡眠、呼吸も必要とするようになり、自在に姿も変えられず、以前ほど強靭ではなくなって、魔力も限られてしまった。これはボーラスも例外ではなく、知識や力は非常に弱まってしまい全知全能からは程遠い存在に成り果ててしまっている。そこで、ボーラスはかつて姿を取り戻すため慎重に陰謀を張り巡らしている(→#アラーラ)。

支配力

ボーラスはいくつもの次元/Planeや国、組織、個人を支配している。また、多元宇宙のいたるところにはボーラスにまつわる碑が建てられており、およそ予想もしない場所にさえもその影響力が及んでいる。

マダラ帝国

マダラ帝国/Madaran Empireはドミナリアのジャムーラ/Jamuraa大陸南東部に存在した帝国。ボーラスは皇帝として君臨し、青黒赤の3色マナに富むこの土地からマナを度々回収していた。テツオ・ウメザワ/Tetsuo Umezawaの手で崩壊し、その際にボーラス自身も一度命を落とす。

ボーラスの瞑想領土

レジェンドサイクル2小説三部作初出のボーラスが支配する次元の1つ。作中では「Meditation Plane」と表記されたが次元カード生達の池/Pools of Becoming次元タイプで「ボーラスの瞑想領土/Bolas's Meditation Realm」とされる。詳細はボーラスの瞑想領土/Bolas's Meditation Realm参照。

アラーラ

大修復後、ボーラスはアラーラ/Alaraを本拠地とし、グリクシス/Grixis死滅都市/Necropolisであるケデレクト/Kederektの地下に潜伏していた。5つ断片/Shardに分かたれたこの次元が再び1つに集まる際に発生する、剥き出しのマナ「大渦/The Maelstrom」を成長させ、取り込むことで失われた力を回復しようと企んだ。その手段として各断片間で大戦争を起こす必要があった。

ボーラスの手下

衝合が起こる以前から、ボーラスの手下/Agents of Bolasと呼ばれる個人や団体が各断片で不和を広め、戦争へと扇動していた。

Infinite Consortium

Infinite Consortium(無限なる共同体)はボーラスが設立した多次元間陰謀団・秘密結社。テゼレット/Tezzeretがその首領となって反旗を翻されるが、ボーラスは影の協力者リリアナ・ヴェス/Liliana Vessの働きかけもあって、ジェイス・ベレレン/Jace Belerenの手でテゼレットの排除に成功している。

  • ウェブコミックでは単に「Consortium」の形で「共同体」と訳されている。

経歴

-20,000ARごろ誕生。

-15,000ARごろ、既にプレインズウォーカーであったボーラスは、マダラでリバイアサンのプレインズウォーカーと戦い勝利。

  • 巨竜戦争の時期は不明。その時点でボーラスはプレインズウォーカーであったのか、リバイアサンとの戦いの前か後か、など定かではない。

レジェンドサイクル2

女帝の支配するマダラ帝国を乗っ取り、絶対的な権力を誇る皇帝として君臨。

数世紀の統治後、マダラ帝国は崩壊しボーラスが瞑想領土で死亡する。これは氷河期(2934AR)よりも後でファイレクシア/Phyrexiaの侵略戦争(4205AR)よりも前、かつ神河ブロックよりも後の時代の出来事である。

時のらせん

死後数十年をかけてボーラスの精神は蘇る。しかし、肉体は無く幽霊ような影あるいは残留思念に過ぎず、マダラの地に封じられ、久遠の闇/Blind Eternitiesに脱出もできない。ボーラスは、怨敵ウメザワの血統が子孫を残し、かつての帝国がNekoru(猫竜)の支配領域へと変わっていく様を眺めているしかなかった。

数百年後のAR46世紀。ボーラスが封じられた空間(瞑想領土か)にジョイラ/Jhoiraラーダ/Radhaヴェンセール/Venser、Aprem(アプレム)、Dassene(ダッセン)、コラス/Corus、Skive(スカイヴ)ら7人が迷い込む。ボーラスはSensei Ryu(龍師範)と名乗り、言葉巧みにヴェンセールの灯を操って、実体を備えた存在として復活を遂げる。

ボーラスは正体を明かし、新たな灯を宿したラーダとヴェンセールに対し支配下に入れと迫る。この仲間の窮地にテフェリー/Teferiが駆けつけ、ボーラスとの決闘が始まる。老獪なボーラスはテフェリーを倒し、アプレムの命を奪うが、ラーダとヴェンセールの殺されても従わないという強い決意に一端要求を取り下げる。

ボーラスはウメザワの血統とそれをマダラにもたらした夜陰明神/Myojin of Night's Reachへの呪詛を吐き、鉤爪門を通り抜け神河/Kamigawaへと出発した。

次元の混乱

フレイバー・テキストに登場するも小説Planar Chaosには登場していない。Card of the Day - 2009/4/7によると、ボーラスの多元宇宙中への多大な影響力を示した上で、ストーリーで言及なくフレイバー・テキストのみの登場であっても、それは驚きではないと補足されている。

小説Time SpiralからFuture Sightに再登場するまでのこの期間に少なくとも、ドミナリア以外の次元(おそらく神河)において夜陰明神を追い詰め、(殺害までには至らなかったが)複製でない「本物の夜陰の仮面」を奪い取っている。また多元宇宙の調査も行っており、同時にアラーラを利用した陰謀に手をつけ始めていたと考えられる。

未来予知

小説Future Sightでは、ニコル・ボーラスは鉤爪門を通ってマダラに帰還すると、待ち受けていたレシュラックから伝統的な作法に則った決闘を挑まれる。

レシュラックは夜陰明神から授かった「夜陰の仮面の複製」を用いることで、ジェスカに眠っていた「フェイジ/Phageの腐敗の力」を制御下におき、ボーラスの黒マナと精神攻撃能力をも奪い取って己の力とする。肉弾戦と魔法の応酬による一進一退の攻防が続くも、ボーラスはフェイジの腐敗によって肉体が急速に腐り落ちてしまい、連続プレインズウォークで逃走する。しかし、レシュラックは追いすがり、ラヴニカ/Ravnicaから神河、ウルグローサ/Ulgrothaと次元を渡った戦いの後、再び両者はマダラに戻って対峙する。

肉体がほとんど崩れ落ちた相手を前に余裕のレシュラックだったが、その刹那、ボーラスの鋭い尻尾がレシュラックの胸を貫き形勢は逆転する。実は、ボーラスは「夜陰の仮面のオリジナル」を携えていたため、自身の精神攻撃もフェイジの腐敗も効果がなかったのだ。レシュラックが欺きに気付いたときにはもはや手遅れで彼の精神は仮面に封じ込められ、ボーラスはレシュラックの灯を用いてマダラの時の裂け目を修復する。

ボーラスはラーダやヴェンセール、ジェスカらに別れの言葉を残し鉤爪門から旅立った。

アラーラの断片

アラーラの断片およびA Planeswalker's Guide to Alaraではボーラスは表舞台には出ずに存在を匂わせたのみである。

求道者の転落

プレインズウォーカーに覚醒した直後のテゼレットが偶発的にグリクシスにプレインズウォークして来た際、ニコル・ボーラスはテゼレットの前に出現し、服従を迫った。

Agents of Artifice

ボーラスはグリクシスに潜伏し企みを巡らしている(→#Infinite Consortium参照)。

Alara Unbroken (1)

衝合が間近に迫り、ボーラスの手下の活動が活発化する。

断片から大渦へのマナ経路を結ぶためにはオベリスクの起動が必要であった。ジャンドのオベリスクはラッカ・マーの手引きで起動に成功するが、バントのグヮファ・ハジードは完遂できずに捕縛される。サルカン・ヴォルはオベリスク起動に協力したことから、ラッカ・マーを通じてボーラスに謁見し配下となる。サルカンはカルモット求道団と共にエスパーのオベリスク起動にも成功する。

ナヤではマリーシの働きによって、大祖始/Progenitusからメイエル/Mayaelに来るべき侵略者との戦争で血の川を成せと預言が与えられる。

コンフラックス

コンフラックスでは、ボーラス自身と各断片で活動する手下の存在が明かされた。ボーラスの目論見通りに隣接する断片が重なり合い戦争が勃発し、アラーラの中心に大渦が発生する。

Alara Unbroken (2)

バントでは天望騎士団の偽りの預言に導かれてアーシャ/Asha軍が編成され、エスパー侵略軍との戦争が始まる。グリクシスでは、ケデレクトのHermitage(隠れ里)を壊滅させたマルフェゴールが最後の砦Torchlightの攻略に移り、陥落させる。サルカンはケデレクトでボーラスに報告を行う。その内容は、エスパーのオベリスク起動に成功、バントがエスパーと会戦、グリクシス軍団はエスパーのヴェクティス/Vactis、ジャンドの血の間/Bloodhallにまで侵攻中、である。ボーラスは忠実なサルカンにカーサス/Karrthus他のドラゴンの部隊を授け、ナヤへの攻撃を命じる。

アラーラ再誕

アラーラの戦争は隣接する断片を超えて更に拡大する。

目前に迫る戦争

少年の姿に化けたボーラスは、スラクジムンダール/Thraximundarの軍団をグリクシスからバント、ジャンド、ナヤへと断片を跨いで暴れさせ、大渦の成長を促す。

Alara Unbroken (3)

ボーラスはマルフェゴールを呼び出し、バントにまで進軍し黄金塔/Giltspireのオベリスク起動を命じる。ナヤのジャングルでは、サルカンのドラゴン軍がメイエルの軍と交戦する。マリーシは野生のナカティルを扇動して、雲のナカティルの都市クァーサル/Qasalに軍を進める。ザリキ/Zalikiによってマリーシは殺されるがクァーサルのオベリスクが起動する。マルフェゴール軍とアーシャ軍による黄金塔決戦でマルフェゴールはラフィーク/Rafiqに討ち取られる。しかし、最後のオベリスクも起動してしまう。

そして、黒幕ニコル・ボーラスは遂に人々の前に姿を現した。大渦に集結したアジャニ/Ajaniクレシュ/Kreshの氏族、メイエルの軍、ザリキと野生と雲のナカティル、そしてサルカンのドラゴン軍であったが、突然のボーラスの到来に散り散りになって逃げ出す。1人踏み止まったアジャニを尻目にボーラスは大渦に突入し計画の総仕上げにかかる。しかし、アジャニには魂の光と呼ばれる力があったことがボーラスの誤算であった。アジャニはその力でボーラスの灯に干渉すると、もう1人のボーラスが複製されてしまう。大渦から出現した2人のボーラスは互いに互いを攻撃し合いながら消滅し二度と戻ってこなかった。(→多相の戦士の真髄/Shapeshifter's Marrow#ストーリー参照)

ヴェールの呪い

鎖のヴェール/The Chain Veilを入手したリリアナ・ヴェスの跡を追ってサルカン・ヴォルが現れる。彼の行動はボーラスの命令によるもののようだ。

Journey to the Eye

ゼンディカー/Zendikarウージン/Uginの眼に引き寄せられるようにやって来たサルカン・ヴォルはボーラスの名前を何度も口にする。

登場

登場カード

カード名に登場

アラーラ再誕
ボーラスの奴隷/Slave of Bolas

フレイバー・テキストに登場

次元の混乱
インプの悪戯/Imp's Mischief
コンフラックス
衝合/Conflux古老の熟達/Elder Mastery(“彼”として)、ラッカ・マー/Rakka Mar
アラーラ再誕
魂の操作/Soul Manipulation、ボーラスの奴隷/Slave of Bolas

イラストに登場

未来予知
多相の戦士の真髄/Shapeshifter's Marrow(小説Alara Unbrokenの状況に酷似)
アラーラの断片
残酷な根本原理/Cruel Ultimatum(影のみ)
コンフラックス
衝合/Conflux(手のみ)
アラーラ最誕
ボーラスの奴隷/Slave of Bolas(身体の一部のみ)

登場作品

登場記事

参考

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