省略
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マジックのゲームをプレイする時、誰でも処理や宣言の一部を、全てのプレイヤーが理解できる形で省略/Shortcutするものである。
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ルール
ルール上は以下の手順を踏んで省略を行う。
- プレイヤーは、優先権を持つ時ならいつでも省略を提案してよい。省略する手順の中にループが含まれていてもよい。
- 他のプレイヤーは、提案したプレイヤーの次からターン順に「その省略をすべて受け入れる」「その手順内で自分が優先権を持っている時を指定し、省略をその時点で中断させる」のどちらかを宣言する。中断する場合、いつ中断するかは厳密に指定する必要があるが、どのように介入するかを宣言する必要はない。
- 省略を実行する。すなわち、省略の終点(他のプレイヤーから中断が宣言された場合は、最も近い中断点)までの手順をまとめて行う。
- 中断が宣言されていた場合、最短の中断を宣言したプレイヤーが優先権を得るが、このとき元の提案と違う行動を取らなければならない(省略を提案したプレイヤーに対するブラフのためだけに中断を宣言することは認められない)。
実例
実際のゲームにおける省略では「このような省略を提案します」「それを受け入れます」という宣言を明示的に行うことはあまりなく、暗黙的に行うことがほとんどである。
- 「ゴー」や「ターン終了します」は、アクティブ・プレイヤーが、クリンナップ・ステップの処理がないことを確認した上でこのターンの全ての優先権を全員が放棄して次のプレイヤーのターンを始めることを提案している。
- 非アクティブ・プレイヤーはそれを受けて、自身のターンを始めるか、終了ステップに何らかのインスタント・タイミングで使える行動を取る。前者の場合は「省略の提案をすべて受け入れた」ということであり、後者の場合は「手順内で自分が優先権を持っている時を指定し、その時点で省略を中断させた」ということである。
- 攻撃クリーチャーを指定した後の「アクティブ・プレイヤー:ブロックありますか? 防御プレイヤー:通します」というやりとりは、「ブロックありますか」が攻撃クリーチャー指定ステップの優先権を互いに放棄してブロック・クリーチャー指定ステップに入る省略を提案しており、「通します」が攻撃クリーチャー指定ステップ中の防御プレイヤーが優先権を持っている時点でそれを一度中断し、そこからブロック・クリーチャーを1体も指定せずブロック・クリーチャー指定ステップの優先権を互いに放棄して戦闘ダメージ・ステップに入りプレイヤーとプレインズウォーカーへの戦闘ダメージを処理する新たな省略を提案している。
- 呪文や能力に対して対応して何らかの行動をすることがないとほぼわかりきっている場合、いちいち「対応してなにかありますか」などと確認を求めることはせず、唱えた/起動した直後に解決の処理に入ることが普通である。この場合ルール上は無言で「お互いに優先権を放棄する」の提案と承認を行っていると解釈できる。
過度の無言省略は時にトラブルの元になるため、初対面の相手や初心者相手、ルール適用度の高い大会では遅いプレイにならない程度にしっかり確認を取るのが無難である。
また、マジック・イベント規定では一部の手順の省略法が「伝統的に用いられている」として例示されているので、イベントに参加する際には注意すること。
- プレイヤーが優先権を保持することを明示せずに複数のオブジェクトを続けてスタックに積んだ場合、それはそれぞれのオブジェクトが解決された後で次のものをスタックに積むことを意図したと扱われる。他のプレイヤーがその途中で何か行動を取りたいと思った場合、中断されるところまで巻き戻されるべきである。
- 例えば「ナントゥーコの影/Nantuko Shadeの能力を5回起動する」という宣言は「能力の起動と解決を5回繰り返す」という意図であると解釈される。よってそれに対して「5回起動したあとそれらを解決する前にナントゥーコの影へショック/Shock」と宣言することは認められず、「1回起動と解決を処理したあと、2回目の起動に対応してショック」というような形で宣言しなくてはならない。
- これは例示されている中でも特に知らないと間違いやすい省略であるので、よく把握しておきたい。
実行されるべき手順の省略
ループの省略
省略の中にループが入っている場合であっても、その手順を各プレイヤーが理解しているならば、ループの回数を指定することで省略してよい。
ただし、回数を厳密に指定できない条件付きの省略や、結果が確定していない省略は提案できない。何らかの無作為性のある手順(例えばライブラリー内の順序やコイン投げによって結果が左右されるなど)がループに含まれている場合がこれにあたる。実戦的にも無限ライブラリー破壊に対して引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Tornが投入されている場合などはこのルールが勝敗を分ける問題になる。
シャッフルなどの省略
まれにだが、一部の手順を(結果が変わらない限り)ひとまとめにして同時に処理してしまうこともある。特に多いのが、実行するのに手間がかかるサーチやシャッフルの省略である。
例えば緑の太陽の頂点/Green Sun's Zenithは厳密には2回ライブラリーを切り直す必要があるが、煩雑であるため、まとめて1回だけ切り直して済ませることが多い。同様に、例えばドラゴンの嵐/Dragonstormは一度にストーム数ぶん一気にドラゴンをまとめて探し、同時に戦場に出し、最後にまとめてライブラリーを切り直すことが多い。
- ただし省略したからと言って手順が実行されていないわけではないので、例えば心因検査器/Psychogenic Probeは本来実行されているはずだったシャッフルの回数分だけ誘発する。
- またドラゴンの嵐の例では、「同時に戦場に出す」場合と「1体ずつ順番に戦場に出す」場合で処理が変わってしまうことがありえる(ヴァルカスの災い魔/Scourge of Valkasのページを参照)ため、「探す部分とシャッフル部分は1回にまとめるが、戦場に出す部分だけは丁寧に1体ずつ処理する」というように、状況に応じて省略する部分としない部分を組み合わせることもある。
オンラインゲーム
省略は口頭でのやりとりに大きく依存しているため、オンラインゲームでは問題になる。
Magic Onlineにおいては、優先権を放棄する/放棄しないフェイズ・ステップを対戦相手に非公開の形であらかじめ指定しておくことができ、ゲーム中もいつでも指定を切り替えられる。この場合対戦相手が優先権を放棄すると指定しているステップは自由にスキップできる。また、Magic Onlineではループ省略がサポートされていないため、コンボデッキを使うプレイヤーは持ち時間内に全ての手順を処理しなくてはならない。このとき対戦相手も優先権の確認と放棄に付き合わされることになる。
Magic Workstationなどの非公式対戦ソフトではその都度チャットで確認を行うしかなく、その際トラブルも起きうる。その代わり、お互いの理解があればループ省略も可能ではある。
参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 7 その他のルール
- 722 イニシアチブ
- 722.1 イニシアチブはプレイヤー1人が持ちうる記号である。効果がプレイヤーにイニシアチブを得させるまで、ゲームにイニシアチブは存在しない。その時点でイニシアチブという記号を持つプレイヤーを、イニシアチブを持つと言う。
- 722.2 イニシアチブを持つことに付随する、内在する誘発型能力3つが存在する。これらの誘発型能力は発生源を持たず、その能力が誘発した時点でイニシアチブを持っていたプレイヤーがコントロールする。これはrule 113.8の例外である。これらの能力のテキストは「イニシアチブを持つプレイヤーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーは地下街探索を行う。」「プレイヤー1人がコントロールしている1体以上のクリーチャーがイニシアチブを持つプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、それらのクリーチャーのコントローラーはイニシアチブを得る。」「プレイヤー1人がイニシアチブを得るたび、そのプレイヤーは地下街探索を行う。」である。rule 701.46〔ダンジョン探索〕参照。
- 722.3 同時にイニシアチブを持ちうるのはプレイヤー1人だけである。プレイヤーがイニシアチブを得るに際して、その時点でイニシアチブを持つプレイヤーはそれを失う。
- 722.4 イニシアチブを持つプレイヤーがゲームを離れるなら、そのプレイヤーがゲームを離れると同時にアクティブ・プレイヤーがイニシアチブを得る。アクティブ・プレイヤーがゲームを離れるかアクティブ・プレイヤーがいないなら、ターン順で次のプレイヤーがイニシアチブを得る。
- 722.5 その時点でイニシアチブを持っているプレイヤーがイニシアチブを得るよう指示された場合、それによってrule 723.2の最後の誘発型能力が誘発するが、2つ目のイニシアチブ記号が生成されることはない。
- 722 イニシアチブ