禁止カード
提供:MTG Wiki
禁止カード(Banned Card)は、構築またはエターナルにおいて、デッキ(メインデッキおよびサイドボード)に1枚も入れてはいけないカードのこと。
目次 |
解説
禁止カードは大抵、あまりに強力なものや使い勝手の良すぎるものに対して指定される。それらの横行によりデッキの幅を狭め、ゲームをつまらなくしてしまうからだ。実際に強いカードを使ったたった1種類のデッキが大きな大会での上位を半数以上占めたことも何回もあり、そうなったときも含めてDCIが危険だと思われるものを押さえていくのである。
また、強さとは関係なしに、どんなデッキにも入るカードというのも禁止される理由の1つになる。どのカードを使おうかと頭を悩ませてデッキを練り上げるのもマジックの一部なので、考えるまでも無くデッキに入ってしまうカードがあっては困るのだ。あくまで皆に楽しんでもらうためにしていることなので、あっけらかんに決められてはいないということを忘れてはいけない。
- 禁止カードはフォーマットごとに定められている。あるフォーマットで禁止でも、別のフォーマットでは問題なく4枚使えたりする。その完全なリストは各フォーマットの項を参照のこと。
- リミテッドでは、禁止カードそのものが存在しない。ウルザ・ブロックのリミテッドでは、禁止カード発効後も手札を使い切った瞬間に意外な授かり物/Windfallなどというプレイがしばしば見られた。
- 師範の占い独楽/Sensei's Divining Top(エクステンデッド・モダン)、第二の日の出/Second Sunrise(モダン)、Shahrazad(エターナル)のような、適正なプレイを行っていてもトーナメントの進行を遅延させる可能性の高いカード、Chaos Orbやアンティ関係のような現在のマジックのゲーム性からかけ離れていると判断されたカード、策略カードのように通常のトーナメントで用いることを想定していないカードなど、強さ以外の理由でも禁止カードに指定される場合もある。
- 日本産のカードゲームの中には併用禁止といった種別の禁止方法もあるが、マジックの禁止カードは「メインデッキおよびサイドボードに入れてはいけない」という単純な禁止のみである。
- 例外として、石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mysticがスタンダードで禁止された際、イベントデッキである消耗戦/War of Attritionをそのまま使用する場合に限り使用が認められていた(参考/邦訳)。
- 一度ローテーション落ちしたタイミングで、禁止カード指定は解除される。
- かつてミラディン・ブロックが使えるスタンダードにて禁止指定を受けたダークスティールの城塞/Darksteel Citadelだが、後に基本セット2015で再録された際引き続き禁止指定…とはなっておらず、通常通り4枚使用可能。
- エクステンデッドでも、ローテーションで第4版が落ちるまで禁止指定を受けていた惑乱の死霊/Hypnotic Specterが、のちに第9版再録された際には禁止指定にはなっていなかった。
ウィザーズ社の対応・スタンス
- 禁止カードを出すのは、いったん発売した商品に欠陥があったと認めることになると開発部は考えており、あまり出したいものではないらしい。
- 禁止カードを連発してしまったウルザ・ブロックの件で、R&Dの開発スタッフが社長室に呼ばれて叱られたという逸話がある[1]。
- アメリカ国内ではスタンダードの禁止カードをブースターパックから引き当てた場合、そのカードをウィザーズ社に郵送することでブースターパック1つと交換してもらえるサービスが実施されていたことがある[2]。「使えないカードを引いても仕方が無い。パック代を返せ」という合理主義の国民らしいクレームに応えた形である。
- 非常に強力なカードが台頭すると、禁止カード入りを阻止するためか、露骨な対策カードが作られる場合もある。リシャーダの港/Rishadan Portに対するテフェリーの反応/Teferi's Response・サーボの網/Tsabo's Webなどがその一例。
- コンボに対する基準として、モダンでは3ターン以内で、レガシーでは2ターン以内で勝利を決めてしまうデッキを弱体化するため禁止カードに指定している。(参考)
- 近年のデベロップ・チームの目標は「スタンダードにおける禁止カードを10年に1枚だけにすること」であり、調整の甲斐あってかスタンダードにおいて禁止カードが指定されることは稀である。その一方でモダンのような広いフォーマットに対してそのような数値的な目標は何も設定されておらず、スタンダードのデザイン空間が最優先されているため、しばしば印刷されてすぐに環境を支配してしまうようなカードが登場することもある(参考/翻訳)。
禁止カードに纏わる話
- 最初に日本語版が発売された第4版には非常に多くの禁止カードが含まれていた。これらは反則的なほど強いが、トーナメントで使えないので本当に紙くず扱いだった。当時のカードショップやデュエルスペースの「カード捨て箱」(不要なカードを初心者などに提供する目的で設置されていた)にはチャネル/Channel・露天鉱床/Strip Mine・黒の万力/Black Viseが山の様に捨ててあったものである。
- 誰もがウルザ・ブロックの時代までは「まさかスタンダードで禁止カードは出ないだろう」とたかをくくっていたが、最終的には10枚もの禁止カードが追加された。中には波動機/Fluctuatorの様に「そんなに強いか?」というカードまで禁止されたために、「スタンダード環境でも、いつどんなカードが禁止になるのかわからない」という疑心暗鬼が広がった。これによってトレードなどで「このカードはもうすぐ禁止になるらしいよ」などと言って価値を暴落させて有利に駆け引きをしようとするシャークが後を絶たなかった。
- ウルザ・ブロック以降しばらくスタンダードの禁止カードは出なかったが、ミラディン・ブロックによって親和デッキが横行し、5年ぶりに多くの禁止カードが出された。そしてその6年3ヶ月後のミラディンの傷跡ブロック期、精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptorと石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mysticがスタンダードでの禁止カードに書き加えられた。
- その後、2017年1月20日に密輸人の回転翼機/Smuggler's Copter、約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End、反射魔道士/Reflector Mageが5年半振りにスタンダードで禁止カードに指定された。このうち密輸人の回転翼機は、発売後の最初の禁止改定での禁止指定となった。
- 当時「禁止になる」と噂のあったカードは数多い。意志の力/Force of Will、ジェラードの知恵/Gerrard's Wisdom、リシャーダの港/Rishadan Port、梅澤の十手/Umezawa's Jitteなど。特にゴブリンの太守スクイー/Squee, Goblin Nabobには禁止の噂が絶えず、4枚揃えるのにかなり勇気が必要とされた。大枚をはたいたり、キツいトレードの果てに揃えたりした瞬間「禁止」などと言われたらたまらないからだ。しかし、これらは禁止カードになる事なくスタンダードの天寿を全うした。
- カードではないが、2012年に「渡辺雄也本人を禁止すべき」という話が(冗談交じりで)持ち上がったことがある。Delver-Bladeが環境を掌握する中、そのDelverでグランプリマニラ12を勝った渡辺雄也がMartin Juzaに「禁止が出るとしたら、思案/Ponderと秘密を掘り下げる者/Delver of Secretsどっちかな?」と言ったら「お前が禁止でいいよ」と返されたのが発端だとか。(参考)
脚注
- ↑ Eighteen Years (Daily MTG、Make Magic、英語)
- ↑ DCI Banned and Restricted List Announcement (邦訳) (WotC、1999年3月1日告知、同年4月1日発行の禁止・制限リスト改定告知)
参考
- All Banned Cards—Ever! : Daily MTG : Magic: The Gathering (Daily MTG、Magic Arcana、英語)
- 2009年3月19日の時点で、禁止されたことがあるカードの一覧(Magic Onlineのみで禁止されたカードを除く)。斜体は再録禁止カード。
- Standard Bannings Explained/スタンダードの禁止に関する声明 (Daily MTG、Feature Article、文:Aaron Forsythe)
- A Brief History of the Standard Banned List(2015年7月13日 Magic Arcana Michael Yichao著)
- 制限カード
- From the Vault:Exiled
- トーナメント用語