再録禁止カード
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再録禁止カード(Reserved Cards)は、「Official Reprint Policy(公式再版ポリシー)」に規定されている、ウィザーズ社が公式に再版を禁止しているカードのこと。またはそのようなカードの総称。
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概要
再録禁止カードは、それに指定されたカードの再版(再録)と、それらとカード・タイプ、能力、マナ・コスト、P/Tのすべてが一致するカードの印刷を禁止している。
現在再録禁止カードに指定されているカードはすべてウルザ・ブロック以前のレア(レアのない変則的な稀少度のエキスパンションはアンコモン)である。メルカディアン・マスクス以降のカードは存在せず、また現在の再録禁止カードリストが今後更新(追加はもちろん削除も含む)される予定は無いと発表されている。
- このポリシーは物理的に印刷された、トーナメントで使用可能なマジックのカードにのみ適用される。
- Magic Onlineなどのコンピューターゲーム上でリリースされるカードには適用されない。
- 大判カードなど、通常のゲームプレイには使えない特別バージョンで再版される可能性はある。
- 再録禁止カードに指定されているカードの一覧は再録禁止カード一覧を参照。
目的
勘違いされやすい点であるが、再録禁止カードは、シングルカードの販売などを行うセカンダリー・マーケットに対して、再版によって指定されたカードの価値が暴落する可能性の無いことをアピールする目的で設けられたものであり、強力なカードの再版を禁止することでゲームバランスの崩壊を防ごうとするものではない。そのため、このリストにはいわゆるカスレアなども含まれる。
逆にいえば再録禁止カードに指定していなければ、たとえ禁止カードに指定されているほど強力なカードでも再録される場合もある。例としてディヴァインvsデモニックのDemonic Tutorが挙げられる。
問題点
カードパワーに問題が無い、再録されるにふさわしいカードまでもが対象とされているため、現在ではこのリストの存在がR&Dにとって目の上のこぶとなってしまっている。
- 第9版における税収/Titheや、スカージにおける鉤爪のジィーリィーラン/Zirilan of the Clawなどは開発中にその名前があがったが、再録禁止であるために収録が見送られている。
過去のすべてのエキスパンションから、その時点で再録された経験の無いカードを再録しようと試みた第8版では、それらの選定に苦労したという。その中でもフォールン・エンパイアのカードの選定には特に骨を折ったとのこと(最終的にオークのスパイ/Orcish Spyが選ばれた)。
R&Dはもちろんのこと、過去の優秀なカードの再版を望むプレイヤーにとっても邪魔でしかないが、逆にこれらのカードを扱うショップや投資家にとっては生命線である。そのため、もしこれを撤廃した場合、ウィザーズ社が社会的な信用を落とすことは間違いなく、訴訟社会であるアメリカにおいては命取りになりかねない。
再版ポリシーの歴史
- 再版ポリシーの制定まで (-1996年)
- 昔のセットからの再録はリバイズドの頃から行われていたが、その頃はマジックがまだそれほど有名でなかったことから再録は問題視されていなかった。
- しかし、第4版およびクロニクル(特にクロニクル)の発売により問題が顕在化する。レジェンドなどに収録された当時の高額カードが再録により暴落し、セカンダリー・マーケットは大打撃を受けることになった。特にエルダー・ドラゴンや殺人蜂/Killer Beesなどのレアカードがアンコモンとして再録され、大量に流通するようになった点が大きかった。プレイヤーやコレクターの大反発に対して、ウィザーズ社は「Reserved List(再録禁止リスト)」の発表を決める。
- 最初期の再版ポリシー (1996年3月-1999年9月)
- 最初に発表された再録禁止カードのリストは「第4版に収録されなかったアルファ/ベータの全カード」、「白枠(リバイズド、第4版、クロニクル)で再録されたことのないアラビアンナイトおよびアンティキティーのアンコモンとレア」、「白枠で再録されたことのないレジェンドおよびザ・ダークのレア」から構成された。
- また、今後の再録方針として「クロニクルとフォールン・エンパイア以降のエキスパンションの最も稀少度が高いカードの白枠での再録は25%を超えないようにする」とされ、次の基本セットに収録されなかったそれらのセットのレアは再録禁止カードに追加されることが告知された。
- 第5版発売時にはフォールン・エンパイア、ホームランド、アライアンスの第5版に再録されなかったカードが、第6版ではミラージュ・ブロックの第6版に再録されなかったカードが再録禁止カードに追加された(なお、アイスエイジは2002年の改定までリストに追加し忘れていた)。
- 全文はMagic:the Gathering® Reprint Policy (Internet Archive)から閲覧できる。
- 1999年の改定 (1999年10月-2002年7月)
- 第6版発売に際し再版ポリシーが改定され、メルカディアン・マスクス以降のカードは元々のイラストのまま黒枠で再版できるように変更された。プレミアム・カードがポリシーの対象外として明記されるようになったのもこの頃からである。
- 全文はMagic: The Gathering® Card Reprint Policy (Internet Archive)から閲覧できる。
- 2002年の改定 (2002年7月-2010年3月)
- 2002年3月1日にRandy Buehlerはコラム「Reexamining Reprints」で再版ポリシーに関する考察を発表し、その中で「リミテッド・エディションのコモンとアンコモンを再版できるようにするべきか?」のアンケートを募った。その後、2002年7月19日に同氏のコラム「The New Reprint Policy(邦訳)」で再版ポリシーの改定が発表された。
- この改定で、これまでのポリシー通り、第7版に再録されなかったテンペスト・ブロック、ウルザ・ブロックのレアカードが再録禁止カードに追加された。また、ユーザーの強い要望(先述のアンケートで91%の賛成票があった)からリミテッド・エディションのコモンとアンコモンが再録禁止カードから除外された。そして、カード枠に関するポリシーが廃止されるとともに、今後再録禁止リストは更新されないことが発表された。
- 2002年9月発売のオンスロートで早速、再録禁止カードから除外されたクローン/Cloneが再録された。
- 2010年の改定 (2010年3月-現在)
- プレミアム・カードは再版ポリシーの対象外であることから、プレミアム・カード限定ならば再録禁止カードを再版することが可能であった。この例外事項を適用した最初のカードはジャッジプロモのヨーグモスの意志/Yawgmoth's Willであった。この例外事項が適用された商品はファイレクシアvsドミナリア連合とFrom the Vault:Relicsのみである。
- この例外事項による再録禁止カードの形骸化を懸念する声から、2010年3月に、2010年中にプレミアム・カードで再版される再録禁止カードのリストを挙げた上で、「2011年以降はプレミアム・カードのみによる再録も行わない」と発表した(→Revised Reprint Policy参照)。
その他
再録禁止カードは、それらの価値を著しく落とすのでないかぎり、それに指定されたカードのリメイクや上位互換の収録に対する拘束力を持たない。たとえば余韻/Reverberateは再録禁止カードであるForkとほぼ同じ機能を持っているし、ヴェクの教区/Vec Townshipsは、同じく再録禁止カードであるVeldtに対してほぼ上位互換といえる。また、次元の混乱のタイムシフトでは、再録禁止カードに指定されたカードの一部がマナ・コストとカード名を変えて収録された。
時のらせんには、マナを支払うことで再録禁止カードに指定されているクリーチャーに変化するアーティファクトのサイクルが収録された(→雷のトーテム像/Thunder Totem)。これは能力の幅を狭めることなく、セカンダリー・マーケットにも配慮しつつ古参のプレイヤーにもアピールできる名案といえるだろう。
紙媒体でないMagic Onlineはこの制限を受けない。Magic Online専用エキスパンションであるMasters Editionシリーズには再録禁止カードも多数再録されている。
2012年に発売されたCommander's Arsenalにスリヴァーの女王/Sliver Queenと銀のゴーレム、カーン/Karn, Silver Golemが統率者戦向けに大判化し再録された。大判カードは認定トーナメントでは使用できないため実現された。