無効/Annul
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− | + | *アーティファクトやエンチャント専用の打ち消し呪文は、これ以前に[[Artifact Blast]]や[[光明/Illumination]]が存在していた。しかし打ち消すという[[効果]]がこれらの[[色]]には似合わないということで、適正な色に変えると同時に強化されることになった。 | |
− | + | *後の[[ミラディン包囲戦]]でエンチャント呪文を打ち消せない代わりにアーティファクトを[[バウンス]]する[[モード]]を得た[[鋼の妨害/Steel Sabotage]]が登場した。 | |
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+ | *その後長年を経て、奇しくも同じくアーティファクトがテーマ・かつMarkがリード・デザイナーを務めた[[カラデシュ]]にて同名のカード([[誤動作/Malfunction]])が作られた。 | ||
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2024年11月24日 (日) 12:47時点における最新版
アーティファクトかエンチャント呪文のみを対象に取れる打ち消し呪文。
最大の強みは軽いこと。コンボデッキのキーカードとなるエンチャントやアーティファクトに対して青マナ1つでにらみを利かせることができ、特に後攻でも先攻2ターン目の重要パーマネントを打ち消せる点は対抗呪文/Counterspellに勝る。キーカードを打ち消してコンボを成り立たせないのはもちろんだが、マナ加速にマナ・アーティファクトを使うデッキ相手にはマナ・アーティファクトを打ち消して序盤を減速させるのも有効。
特定のデッキを対策する汎用性が低いカードなので、基本的にサイドボード向けのカードであり、また使われるかはメタゲーム次第となる。単純な置物対策としてはさらに対応範囲の広い呪文貫き/Spell Pierceや否認/Negateといったカードがのちに登場しており、使用可能なフォーマットもほぼこれらと重複しているため、あえてこちらを優先する場合はアーティファクト・クリーチャーやクリーチャー・エンチャントを打ち消せる点で差別化することとなるか。
初出のウルザ・ブロックはアーティファクトやエンチャントが豊富かつ強力であったため使用機会は多く、スタンダードでもサイドボードや場合によってはメインデッキから4枚採用されることも珍しくなかった。再録されたミラディン・ブロックやテーロス・ブロックでも、それぞれブロックのテーマであるカード・タイプを狙い撃てるため優秀であり、条件付きカウンターカードにしては珍しくスタンダードのサイドボードどころかリミテッドでメインデッキから採用されることもある。
いっぽうカルドハイム再録時のスタンダードでは、エルドレインの王権の伝説のアーティファクトサイクルや各種英雄譚が多用される環境ではあったものの、否認や軽蔑的な一撃/Disdainful Strokeといったより汎用的な確定カウンターの影に隠れたままローテーションを迎えた。リミテッドにおいても装備品や英雄譚は一定数存在するが、クリーチャーを打ち消せず着地したパーマネントにも対応できない点から優先度は低く、17Landsの統計ではプレイされやすさ[1]およびメインデッキに入れた際の戦績[2]のいずれもコモンワースト1位となっている。
エクステンデッド・モダン・エターナル・パウパーといった各種フォーマットでもコンボデッキ対策としてサイドボードにしばしば採用されていた時期があり、軽いため狡猾な願い/Cunning Wishからのウィッシュボードとしても優秀だったが、上述の呪文貫きをはじめとする各種打ち消しや置物への対処手段の充実とともに姿を見せなくなった。
- アーティファクトやエンチャント専用の打ち消し呪文は、これ以前にArtifact Blastや光明/Illuminationが存在していた。しかし打ち消すという効果がこれらの色には似合わないということで、適正な色に変えると同時に強化されることになった。
- 後のミラディン包囲戦でエンチャント呪文を打ち消せない代わりにアーティファクトをバウンスするモードを得た鋼の妨害/Steel Sabotageが登場した。
- ミラディン版のイラストで「無効」化されているのは彩色の宝球/Chromatic Sphere(イラスト)[3]。
- カルドハイム版のイラストでは術者がヘヴィメタルと関わりの深いコルナのハンドサインを掲げている。これは元々アート指定には無く、時代錯誤ではないかとも協議されたが、最終的に採用に至った[4]。
- 「Annul」の発音は「アンノール」に近い。
[編集] 開発秘話
無効はミラディンで元々再録される予定はなく、デザイン段階の初期にMark Rosewaterは「アーティファクトのみを打ち消す」以下のカードを作っていた。
非公式/非実在カード
Malfunction (青)インスタント
アーティファクト呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
シンプルかつミラディンに適合したカードではあるが、無効の下位互換という問題があった。R&D内で「なぜ無効を再録しないのか」という声もあったのだが、Markは再録する必要はないと考えていた。初期のリミテッドのテストプレイで非常に強力であることが判明しており、スタンダードで適切と思っていたようである。新環境で適切ならば劣化版を印刷してもよいのかという議論の末、デザインチームはそれでよいと決定し、デベロップチームにMalfunctionが渡された。
デベロップ段階において、1つ前のオンスロート・ブロックでエンチャントを軸にしたアストログライドが猛威を振るったため、たまたまエンチャント対策になるのも悪くないとして、Malfunctionから無効に置き換えられることになった[5]。
- その後長年を経て、奇しくも同じくアーティファクトがテーマ・かつMarkがリード・デザイナーを務めたカラデシュにて同名のカード(誤動作/Malfunction)が作られた。
[編集] 脚注
- ↑ 17Lands(2024年11月24日閲覧 Play Rateでソート)
- ↑ 17Lands(2024年11月24日閲覧 Win Rate when Main Deckedでソート)
- ↑ What's Annul annulling? - Wayback Machine(2004年2月15日アーカイブ分) (Arcana 2004年1月6日)
- ↑ Wood, Horns, and Phyrexians: 6 Curious Kaldheim Easter Eggs! | Good Morning Magic(Gavin VerheyのYoutubeチャンネル 2021年2月11日)
- ↑ Bacon Bits - Wayback Machine(2003年9月23日アーカイブ分)(Making Magic 2003年9月22日)