空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad
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伝説のクリーチャー — 鳥(Bird) 海蛇(Serpent)
相棒 ― あなたの開始時のデッキに、カードが、デッキの最小サイズよりも少なくとも20枚多く入っていること。(このカードがあなたの選んだ相棒であるなら、ソーサリーとして(3)を支払うことでゲームの外部からそれをあなたの手札に加えてもよい。)
飛行
空を放浪するもの、ヨーリオンが戦場に出たとき、他の、あなたがオーナーであってあなたがコントロールしていて土地でない、望む数のパーマネントを追放する。次の終了ステップの開始時に、それらのカードを戦場に戻す。
白青混成の伝説の鳥・海蛇。デッキが最小枚数より20枚以上多ければ相棒にできる。
サイクルの他のカードと異なり、このカードの相棒能力はデッキに入れられるカードの特性ではなく枚数を制限する。デッキの枚数を最小限に抑えるのは一般的にデッキ構築の常識と考えられており[1]、20枚もの余分なカードをデッキに入れることを強要されるペナルティは決して軽くない。しかし、大型フライヤー兼明滅能力持ちであるこれが擬似的に手札へ確実に1枚加わることはそのペナルティを補って余りあるだけの価値がある。登場から間もなく、幅広いフォーマットでこれを相棒として採用する多種多様なヨーリオン・コントロールが誕生し、相棒クリーチャーの中でも採用率の高い1枚となっている。相棒のルール変更後も、もともと構築制限が長期戦向きであることもあり追加の3マナが苦になりにくく、相棒の中では最も凋落を免れた。
ETB能力は大規模な一時的追放。追放可能なパーマネントの数に制限が無く種類も広範囲であるため様々なシナジーが考えられる。相棒にすることで手札を消費せず確実に唱えられることもあり、莫大なアドバンテージを得ることができる。過去に存在した永遠王、ブレイゴ/Brago, King Eternalと比較すると、ETB能力であるため誘発させやすく再利用も容易であることも見逃せない。
ETB能力でアドバンテージを稼げるパーマネント全般と相性がよい。スタンダードでは海の神のお告げ/Omen of the Seaを筆頭とするお告げサイクルの他、エルズペス、死に打ち勝つ/Elspeth Conquers Deathなどの英雄譚を使いまわしても強力。プレインズウォーカーの忠誠度能力をリセットすることもでき、覆いを割く者、ナーセット/Narset, Parter of Veilsなど自力で忠誠度を上げる手段がないプレインズウォーカーとも好相性。さらに魅力的な王子/Charming Princeがいれば毎ターンETB能力の使いまわしが発生する。パイオニア以下に環境を広げると相性の良いカードもより多くなり、様々なシナジーが見込める。
また、新しく追加されたカードタイプであるバトルを明滅させることも可能である。バトルは通常パーマネントでは扱われなかった傾向の効果が多く存在するため、能力の活用の幅はより広がったといえるだろう。
バベルとの相性は極めてよい。機知の戦い/Battle of Witsの都合上必然的に相棒の条件を満たせるとともに、特に引きの影響を受けやすいデッキであるため、相棒の存在により安定した戦略を取りやすくなるだろう。相棒がサイドボードを圧迫する事についても、相対的にサイドカードを引ける確率が低く、そもそも各種対策カードをメインデッキに全て投入してサイドボードを組まないケースが多いため、ウィッシュボード的な運用が取りやすい事が追い風になっている。
スタンダードではアゾリウス・コントロール、ルーカ・コンボ、ティムール・エレメンタルなどで相棒として活躍した。相棒ルール変更後も採用率は変わらず白黒から赤緑白青まで様々なタイプのヨーリオン・コントロールを形成した。カルドハイムでは古き神々への拘束/Binding the Old Godsなどの追加の英雄譚も獲得し、スゥルタイ根本原理の相棒として環境を定義するカードの1枚であり続けた。
パイオニア以下のフォーマットにおいてもコントロールなどのデッキで散見される。レガシーのDeath & Taxesでも採用される例があり、石鍛冶の神秘家/Stoneforge Mysticやスカイクレイブの亡霊/Skyclave Apparition、およびそれらをサーチする護衛募集員/Recruiter of the Guardなど明滅先に事欠かない。
- 自分のデッキタイプと全く異なる相棒クリーチャーを採用することで、1マッチ目の対戦相手のマリガンのキープ基準を狂わすというブラフが存在する。これは全ての相棒クリーチャーで共通して使えるテクニックだが、相棒の条件が緩く、(普通に相棒として使うなら)デッキタイプが分かりやすいこのカードを用いることが多い。
- 純粋な赤単色デッキでありながら相棒としてヨーリオンを採用したデッキがArenaのミシックインビテーショナル『ゼンディカーの夜明け』予選に持ち込まれ話題を呼んだ[2]。2マッチ目以降は14枚をサイドボードへ逃がしシェイプアップすることが可能。アバターをテフェリー/Teferi、スリーブを銅纏いののけ者、ルーカ/Lukka, Coppercoat Outcastにすることでルーカ・コンボに誤認させる手管も用いられた[3]。
- ドローしたくない必須カードが多いThe Spyでも用いられることがある。キーカードの欄干のスパイ/Balustrade Spyや地底街の密告人/Undercity Informerを引ける可能性が減ることについては、異界の進化/Eldritch Evolutionや新生化/Neoformといった、デッキから直接クリーチャーを戦場に出せるカードの枚数を増やすことで対応している。
禁止指定
2022年10月10日、モダンで禁止カードに指定される。4色オムナスにおける活躍がゲームバランスに悪影響を及ぼしていることに加え、80枚デッキゆえにフェッチランドが多用されるモダンではシャッフルに多くのゲーム時間が費やされてしまうこと、同じようなプレイパターンを繰り返すデッキが環境上位に長期間存在することでフォーマットの楽しさを奪っていることも理由として挙げられている[4]。
ルール
相棒の条件
- デッキの最小枚数は、ブースター・ドラフトやシールドなどリミテッドでは40枚、スタンダードなど構築およびエターナルでは60枚である。特定の変種ルールは他の最小枚数を持つこともあるほか、好都合な宣言/Advantageous Proclamationによって減少する場合もある。デッキ枚数が固定されているフォーマット(統率者戦やブロールなど)では相棒にすることはできない。
関連カード
サイクル
イコリア:巨獣の棲処の相棒クリーチャーサイクル。混成カードの伝説のクリーチャーで、それぞれ異なる条件の相棒能力を持つ。稀少度はレア。
- 空を放浪するもの、ヨーリオン/Yorion, Sky Nomad(白青)
- 夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den(白黒)
- 深海の破滅、ジャイルーダ/Gyruda, Doom of Depths(青黒)
- 呪文追い、ルーツリー/Lutri, the Spellchaser(青赤)
- 獲物貫き、オボシュ/Obosh, the Preypiercer(黒赤)
- 集めるもの、ウモーリ/Umori, the Collector(黒緑)
- 湧き出る源、ジェガンサ/Jegantha, the Wellspring(赤緑)
- 黎明起こし、ザーダ/Zirda, the Dawnwaker(赤白)
- 孤児護り、カヒーラ/Kaheera, the Orphanguard(緑白)
- 巨智、ケルーガ/Keruga, the Macrosage(緑青)
ストーリー
ヨーリオン/Yorionはイコリア/Ikoriaに棲む、鳥と蛇の特徴を併せ持つ怪物(イラスト)。
ビビアン/Vivienは、空中聖域スカイセイル/Skysailの住民が、黄金の角を持つ荘厳な空飛ぶ蛇について話しているのを聞いた。その角は高値で売れるのではないか、あるいは薬として使えるのではないかというのだ。生物を愛するビビアンの心には、彼らの気球船を破裂させるためになら使えるかもしれないという思いがよぎった[5]。
脚注
- ↑ 61/61(Daily MTG Beyond the Basics -上級者への道- 2017年2月9日)
- ↑ 相棒で撹乱作戦?(スタンダード)(マジック日本公式サイト 2020年5月25日)
- ↑ @malseman(Twitter 2020年5月17日)
- ↑ October 10, 2022 Banned and Restricted Announcement/2022年10月10日 禁止制限告知(News 2022年10月10日 Ian Duke著)
- ↑ The Ikoria: Lair of Behemoths Story on Cards(Feature 2020年4月3日 Wizards of the Coast著)