蔓延するもの/Permeating Mass
提供:MTG Wiki
(2人の利用者による、間の2版が非表示) | |||
1行: | 1行: | ||
{{#card:Permeating Mass}} | {{#card:Permeating Mass}} | ||
− | [[戦闘ダメージ]]を[[与える|与えた]][[クリーチャー]]を自身の[[コピー]]に変える、一風変わった[[スピリット]]。ひとたび[[ | + | [[戦闘ダメージ]]を[[与える|与えた]][[クリーチャー]]を自身の[[コピー]]に変える、一風変わった[[スピリット]]。ひとたび[[ブロック]]するかされる事で[[対戦相手|相手]]側に新たなこれが出現し、そのコピーがまた[[戦闘]]に参加することで――と、攻防の応酬によって[[戦場]]に「蔓延」していく様はまさしく[[カード名]]の体現。 |
実際のところは、対戦相手からすれば手勢の弱体化リスクを背負ってまで最低限の打撃力しかないこれをブロックしたり、これが[[アンタップ|立って]]いる状況で無闇に[[攻撃]]を仕掛けるのは控えたくなるだろう。その意味で、戦闘の抑止力としての側面が大きい[[能力]]である。 | 実際のところは、対戦相手からすれば手勢の弱体化リスクを背負ってまで最低限の打撃力しかないこれをブロックしたり、これが[[アンタップ|立って]]いる状況で無闇に[[攻撃]]を仕掛けるのは控えたくなるだろう。その意味で、戦闘の抑止力としての側面が大きい[[能力]]である。 | ||
− | [[マナレシオ]]こそ良好だが打点は[[マナ・コスト]] | + | [[マナレシオ]]こそ良好だが打点は[[マナ・コスト]]相応でしかなく、また、戦闘に参加する事は対戦相手側にもこちらの攻勢を削ぐために逆利用する機会を与えるという点で、一般的な[[アグロ]][[デッキ]]での投入には向かない。よって、主な役処は[[コントロールデッキ]]や[[コンボ]]デッキにおいての時間稼ぎ・[[壁 (俗語)|壁]]役という事になる。かつて同様の役割を担った[[鋤引きの雄牛/Yoked Ox]]のように[[パワー]]3のクリーチャーを止め続ける事はできないものの、こちらはそれ以上の戦闘性能を持ったクリーチャーでも恒久的に弱体化させられるのが独自の利点であり、[[タフネス]]が1の相手にも睨みが利く。また、アグロデッキでも蔓延するものを無視できる[[回避能力]]持ちで固めることでデメリットを減らすことができる。 |
− | [[スタンダード]]では[[メタゲーム]] | + | [[スタンダード]]では[[メタゲーム]]の要求と役割が噛み合わず、活躍には至らなかった。特にコントロールにおいては近いマナ域かつ壁役と同時に[[フィニッシャー]]もこなせる[[氷の中の存在/Thing in the Ice]]がいたため、その後塵を拝する事となった。 |
+ | |||
+ | [[パイオニア]]では[[プレイヤーズツアー名古屋20]]で[[スピリット (デッキ)#パイオニア|バント・スピリット]]に対アグロ用の[[サイドボード]]として採用され、話題となった<ref>[https://mtg-jp.com/reading/iwashowdeck/0033795/ 名古屋、ブリュッセル、初のプレイヤーズツアー王者(パイオニア)](MTG日本公式 [[岩SHOW]]のデイリー・デッキ [[2020年]]2月7日)</ref>。クリーチャーの大半が[[飛行]]を持つ同デッキにおいて、相手側の蔓延するものにブロックされることは皆無である。スピリットであるため[[タイプ的カード]]も共有可能。 | ||
*[[緑]][[単色]]で1[[マナ]]1/3のクリーチャーは史上初。 | *[[緑]][[単色]]で1[[マナ]]1/3のクリーチャーは史上初。 | ||
**1マナ1/3クリーチャーはこれ以前にも登場していたが([[真鍮人間/Brass Man]]、[[あられ石のヒル/Alabaster Leech]]、[[龍の眼の歩哨/Dragon's Eye Sentry]])、それらと違い明確な[[ペナルティ能力|デメリット]]を持たないのもこれが初めてである。近年著しいクリーチャー性能向上の一例と言えるか。 | **1マナ1/3クリーチャーはこれ以前にも登場していたが([[真鍮人間/Brass Man]]、[[あられ石のヒル/Alabaster Leech]]、[[龍の眼の歩哨/Dragon's Eye Sentry]])、それらと違い明確な[[ペナルティ能力|デメリット]]を持たないのもこれが初めてである。近年著しいクリーチャー性能向上の一例と言えるか。 | ||
+ | ***蔓延するものの登場から約4年後、1マナ1/3の[[バニラクリーチャー]]である[[堅牢な盾仲間/Staunch Shieldmate]]がついに登場した。こちらは[[白]]である。 | ||
==ルール== | ==ルール== | ||
19行: | 22行: | ||
**例:自身の能力でクリーチャー化した[[隠れ石/Stalking Stones]]が蔓延するものから戦闘ダメージを与えられた場合、クリーチャー化が終了することはないので、隠れ石は恒久的に「《蔓延するもの》という[[カード名|名前]]と蔓延するもののコピー能力を持ち、[[緑]]である3/3の[[エレメンタル]]・[[スピリット]]・[[アーティファクト・クリーチャー]]」となる。 | **例:自身の能力でクリーチャー化した[[隠れ石/Stalking Stones]]が蔓延するものから戦闘ダメージを与えられた場合、クリーチャー化が終了することはないので、隠れ石は恒久的に「《蔓延するもの》という[[カード名|名前]]と蔓延するもののコピー能力を持ち、[[緑]]である3/3の[[エレメンタル]]・[[スピリット]]・[[アーティファクト・クリーチャー]]」となる。 | ||
***「アーティファクト・クリーチャーになる」という効果には「以前のタイプ・サブタイプを残す」という意味が暗黙に含まれている。({{CR|205.1b}}) | ***「アーティファクト・クリーチャーになる」という効果には「以前のタイプ・サブタイプを残す」という意味が暗黙に含まれている。({{CR|205.1b}}) | ||
− | + | ==脚注== | |
+ | <references /> | ||
==参考== | ==参考== | ||
*[[コピーカード]] | *[[コピーカード]] | ||
*[[カード個別評価:異界月]] - [[レア]] | *[[カード個別評価:異界月]] - [[レア]] | ||
+ | *[[カード個別評価:イニストラードを覆う影リマスター]] - [[レア]] |
2024年7月11日 (木) 10:42時点における最新版
クリーチャー — スピリット(Spirit)
蔓延するものがクリーチャー1体に戦闘ダメージを与えるたび、そのクリーチャーは蔓延するもののコピーになる。
1/3戦闘ダメージを与えたクリーチャーを自身のコピーに変える、一風変わったスピリット。ひとたびブロックするかされる事で相手側に新たなこれが出現し、そのコピーがまた戦闘に参加することで――と、攻防の応酬によって戦場に「蔓延」していく様はまさしくカード名の体現。
実際のところは、対戦相手からすれば手勢の弱体化リスクを背負ってまで最低限の打撃力しかないこれをブロックしたり、これが立っている状況で無闇に攻撃を仕掛けるのは控えたくなるだろう。その意味で、戦闘の抑止力としての側面が大きい能力である。
マナレシオこそ良好だが打点はマナ・コスト相応でしかなく、また、戦闘に参加する事は対戦相手側にもこちらの攻勢を削ぐために逆利用する機会を与えるという点で、一般的なアグロデッキでの投入には向かない。よって、主な役処はコントロールデッキやコンボデッキにおいての時間稼ぎ・壁役という事になる。かつて同様の役割を担った鋤引きの雄牛/Yoked Oxのようにパワー3のクリーチャーを止め続ける事はできないものの、こちらはそれ以上の戦闘性能を持ったクリーチャーでも恒久的に弱体化させられるのが独自の利点であり、タフネスが1の相手にも睨みが利く。また、アグロデッキでも蔓延するものを無視できる回避能力持ちで固めることでデメリットを減らすことができる。
スタンダードではメタゲームの要求と役割が噛み合わず、活躍には至らなかった。特にコントロールにおいては近いマナ域かつ壁役と同時にフィニッシャーもこなせる氷の中の存在/Thing in the Iceがいたため、その後塵を拝する事となった。
パイオニアではプレイヤーズツアー名古屋20でバント・スピリットに対アグロ用のサイドボードとして採用され、話題となった[1]。クリーチャーの大半が飛行を持つ同デッキにおいて、相手側の蔓延するものにブロックされることは皆無である。スピリットであるためタイプ的カードも共有可能。
- 緑単色で1マナ1/3のクリーチャーは史上初。
- 1マナ1/3クリーチャーはこれ以前にも登場していたが(真鍮人間/Brass Man、あられ石のヒル/Alabaster Leech、龍の眼の歩哨/Dragon's Eye Sentry)、それらと違い明確なデメリットを持たないのもこれが初めてである。近年著しいクリーチャー性能向上の一例と言えるか。
- 蔓延するものの登場から約4年後、1マナ1/3のバニラクリーチャーである堅牢な盾仲間/Staunch Shieldmateがついに登場した。こちらは白である。
- 1マナ1/3クリーチャーはこれ以前にも登場していたが(真鍮人間/Brass Man、あられ石のヒル/Alabaster Leech、龍の眼の歩哨/Dragon's Eye Sentry)、それらと違い明確なデメリットを持たないのもこれが初めてである。近年著しいクリーチャー性能向上の一例と言えるか。
[編集] ルール
- コピーになったクリーチャーにそれまでに適用されていた継続的効果は、コピー効果は上書きされるが、それ以外の種類別の効果は引き続き、効果が定めた期限まで適用される。
- 例:巨大化/Giant Growthによって+3/+3の修整を受けたクリーチャーが蔓延するものから戦闘ダメージを与えられた場合、ターン終了時まで「+3/+3の修整を受けた蔓延するもの」になり、ターンが終了すると「修整を受けていない蔓延するもの」となる。
- 例:自身の能力でクリーチャー化した乱脈な気孔/Shambling Ventが蔓延するものから戦闘ダメージを与えられた場合、ターン終了時まで「《蔓延するもの》という名前と蔓延するもののコピー能力を持ち、絆魂を持つ白であり黒である2/3のエレメンタル・スピリット・クリーチャー」になり、ターンが終了すると乱脈な気孔は蔓延するもののコピーとなる。クリーチャー化能力によって得たものではない、乱脈な気孔が本来持っている特性であるカード名・土地のカード・タイプ・能力はコピー効果によって上書きされ失われる。
- 「それは土地でもある」は「以前のカード・タイプ、サブタイプを残す」という意味であるため、カード・タイプが改めて土地になることはなくスピリットのクリーチャー・タイプが失われることもない。
- 例:自身の能力でクリーチャー化した隠れ石/Stalking Stonesが蔓延するものから戦闘ダメージを与えられた場合、クリーチャー化が終了することはないので、隠れ石は恒久的に「《蔓延するもの》という名前と蔓延するもののコピー能力を持ち、緑である3/3のエレメンタル・スピリット・アーティファクト・クリーチャー」となる。
- 「アーティファクト・クリーチャーになる」という効果には「以前のタイプ・サブタイプを残す」という意味が暗黙に含まれている。(CR:205.1b)
[編集] 脚注
- ↑ 名古屋、ブリュッセル、初のプレイヤーズツアー王者(パイオニア)(MTG日本公式 岩SHOWのデイリー・デッキ 2020年2月7日)