マジックの黄金律
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マジックの黄金律/The Magic Golden Rulesとは、総合ルール 101節に規定されているマジック:ザ・ギャザリングの4つの基本的なルールのこと。
大雑把に言うと、以下のとおり。
解説
カードはルールに勝つ
カードのルール文章に書かれた内容と、ルールに記された内容が直接矛盾する場合、カードの記述が優先される。カードによってゲームを拡張していくという、マジックの多様性の根幹を成すルールである。このルールの唯一の例外として、プレイヤーはいつでも投了することができる。
- 例えば、通常はライブラリー中のカードを見ることはできない(→CR:401.2)が、思案/Ponderの効果によって見ることができる。そういうルールである。
- カードとルールが「直接矛盾していない」場合は、このルールは適用されない。
「できない」は「できる」に勝つ
ルールや効果が何かについて「…する/してもよい/できる」としている場合でも、同じことについて「…できない」という効果があれば、それを行うことはできない。
- これは「『できない』というルール」については適用外である。先述のように、「できる」とするカードがあれば、それは「できない」とするルールに勝つ。これに関しては上記の「カードはルールに勝つ」という規定に従う。
- 「できる」というルールより「できない」という効果が優先されることに関しても、「カードはルールに勝つ」というルールでも説明ができる。つまり「『できない』が勝つ」というのは効果同士のときのみ意味を持つルールであると思って差し支えない。
- オブジェクトに能力を与える効果とオブジェクトから能力を失わせる効果の相関については、このルールは適用されない。この場合は継続的効果の種類別のルールに基づいて処理する。
実行不可能な指示は無視する
カードやルールから指示された処理の一部が実行不可能だった場合、その部分は無視され、それ以外の実行可能な部分だけが実行される。無視された部分は、決して実行されたことにはならない。
- 例えば、手札にカードが1枚しかないプレイヤーに対して荒廃稲妻/Blightningを使用した場合、荒廃稲妻はそのプレイヤーに3点のダメージを与え、そのプレイヤーはカードを1枚だけ捨てる。手札にカードが無ければ、3点のダメージを受けるだけである。
- 例外として、ライブラリーが空であっても、「カードを引く」という指示は実行できる(→CR:121.3)。もちろん、カードを引くことはできないのだが、これは「カードを引けない」という状態とは異なる(→朝の歌のマラレン/Maralen of the Mornsong)。引くの項目も参照。
- 呪文や能力の対象となったオブジェクトがその後に対象として不適正になった場合については、特別のルールが存在する。不正な対象ならびに立ち消えの記事を参照。
APNAP順ルール
複数のプレイヤーが何かを同時に選択したり、選択が必要な処理を同時に行ったりする指示があった場合、まずアクティブ・プレイヤーが最初に選択を行い、その後ターンの進行順に各プレイヤーが選択をしていく。各プレイヤーは、自分より前のプレイヤーが何を選択したかを知った上で自身の選択を行える。ただし実物提示教育/Show and Tellのように、手札やライブラリーにあるカードなど、非公開のカード群から選択をする場合、そのカードは選ばれた時点では裏向きのままとなり、その選択内容を知ることはできない。すべてのプレイヤーの選択が終わった後に、同時に処理が行われる。
このルールは、アクティブ・プレイヤー・非アクティブ・プレイヤー順ルール(APNAP順ルール)とも呼ばれる。
あるプレイヤーが複数の選択を行える場合、指定がない限り、そのプレイヤーの望む順番で選択を行う。この際、自身に新たな選択肢が生じた場合は、それも含めて残りを望む順番で選択していく。また、あるプレイヤーの選択によって、そのプレイヤーよりも前に選択を行った他のプレイヤーに新たな選択肢が生じた場合、その時点で現在のAPNAP順を止め、残りの選択肢と追加の選択肢を合わせた上で再度APNAP順での選択を開始する。
アクティブ・プレイヤーが存在しないゲーム開始時の処理では、開始プレイヤーをアクティブ・プレイヤー、他のプレイヤーを非アクティブ・プレイヤーとして扱う。
呪文を唱えたり起動型能力を起動したりする時に行う選択は、このルールの例外である。その場合はその呪文や能力のコントローラーから順に選択を行う(→CR:601.6b, CR:602.3b)。
共有チーム・ターン選択ルールを用いている場合、プレイヤー単位ではなく、チーム単位で順番を組んで選択を行う(→CR:805.6)。
- プレイヤーが2人いるゲームで狂乱病のもつれ/Delirium Skeinsを使用した場合の例。
- まず、アクティブ・プレイヤーは手札からカードを3枚選び、それを裏向きのまま他の手札のカードから分ける。
- 次に、非アクティブ・プレイヤーが手札からカードを3枚選び、それを裏向きのまま他の手札のカードから分ける。
- その後、両プレイヤーは選んだカードを同時に捨てる。
- プレイヤーが3人いるゲームで、たわむか折れるか/Bend or Breakを使用した場合の例。アクティブ・プレイヤーからターン進行順にプレイヤーA,B,Cと呼ぶ。
- まず、Aから順番に、自分がコントロールしている土地を2つの束に分けていく。
- 次に、『各プレイヤーについて、そのプレイヤーが選んだそのプレイヤーの対戦相手の1人は、どちらか1つの束を選ぶ。』という部分を処理する。
- 最初にAが選ぶのは、「自分の束を選ぶ対戦相手を誰にするか」である。ここでは、Cを指名したとする。
- 次にBが選択を行う。Bが選ぶのは、「自分の束を選ぶ対戦相手を誰にするか」である。ここでは、Aを指名したとする。
- すでに選択が終わったAに新たな選択が生じたので、APNAP順での選択をやり直す。Aに生じた選択は「Bの束のどちらを破壊するか」なので、それを選ぶ。
- Bが行うべき選択はないので、次にCが選択を行う。Cが選ぶのは、「自分の束を選ぶ対戦相手を誰にするか」と「Aの束のどちらを破壊するか」である。Cは任意の順番で選択できる。ここでは、前者を先に選択することにして、Bを指名したとする。
- すでに選択が終わったBに新たな選択が生じたので、Cの選択は一旦止めて、APNAP順での選択をやり直す。(Aが行うべき選択はないので飛ばし、)Bは「Cの束のどちらを破壊するか」を選ぶ。
- Cに「Aの束のどちらを破壊するか」の選択が残っているので、それを選ぶ。
- これですべての選択が終わったので、『選ばれた束の土地をすべて破壊し、…』の処理に移る。
参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 1 ゲームの考え方
- 101 マジックの黄金律
- 101.1 カードの文章がルールに直接矛盾しているときは、カードの記述が優先される。カードはその特定の状況に適用されるルールだけを無視する。このルールの唯一の例外として、プレイヤーはいつでも投了することができる(rule 104.3a 参照)。
- 101.2 ルールまたは効果によって何かをしてもよい、あるいは何かをするとされている時に、他の効果によってその同じことができないとされていた場合、「できない」という効果が優先される。
- 101.3 カードの記述の一部が実行不可能であった場合、その部分は無視される。(多くの場合、カードにその場合の処置が明記されている。そうでなければ、効果はない。)
- 101.4 複数のプレイヤーが同時に何らかの選択を行なったり処理したりする場合、アクティブ・プレイヤー(そのターンのプレイヤー)が必要な選択をすべて行い、そのあとでターン順で次のプレイヤー(通常、アクティブ・プレイヤーの左隣に座っているプレイヤー)が必要な選択を行い、その後、残っている非アクティブ・プレイヤーがターン順に選択していく。すべての選択が終わった後、処理が同時に行われる。このルールは「アクティブ・プレイヤー・非アクティブ・プレイヤー順ルール」(またはAPNAP順ルール)と呼ばれる。
- 101.4a 効果によって各プレイヤーが手札やライブラリーなど非公開の領域からカードを選ぶ場合、そのカードは選ばれた時点では裏向きのままでありうる。しかし、各プレイヤーが選んでいるのがどの裏向きのカードかは明白に示されなければならない。
- 101.4b プレイヤーは、rule 101.4a の例外を除いて、その前のプレイヤーがどのような選択を行なったかを知った上で選択を行う。
- 101.4c 1人のプレイヤーが複数の選択を同時に行う場合、書かれている順で選択を行う。順番が指定されていなければ、そのプレイヤーが順番を決める。
- 101.4d 非アクティブ・プレイヤーの行なったいずれかの選択によって、アクティブ・プレイヤーまたはターン順で前にいる他の非アクティブ・プレイヤーによる選択が必要となった場合、その時点で残っているすべての選択のためにAPNAP順が再び開始される。
- 101.4e ゲームの開始時に複数のプレイヤーが選択や処理をする場合、開始プレイヤーをアクティブ・プレイヤー、他のプレイヤーを非アクティブ・プレイヤーとして扱う。
- 101 マジックの黄金律