アンティ

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'''アンティ'''/''Ante''とは、初期のマジックに存在した、賭けのルール。またはそれに使われる[[領域]]の名前。
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'''アンティ'''/''Ante''とは、初期の[[マジック:ザ・ギャザリング|マジック]]に存在した、賭けの[[ルール]]。またはそれに使われる[[領域]]の名称。語源は、ポーカーの参加費(掛け金)。
  
それぞれの[[プレイヤー]]は、ゲーム開始時に自分の[[ライブラリー]]から[[無作為に]]カードを1枚選び、それをアンティ領域に置く。ゲームに勝利したプレイヤーはアンティ領域にあるカードの所有権を得る。これらのカードは[[ゲームの外部]]にあるカードではない。またその内容は[[公開情報]]である。
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{{#card:Jeweled Bird}}
  
*現行のルールでは『無作為に1枚』となっているが、当初のルールでは『[[ライブラリーの一番上]]のカードをアンティに置く』ことになっていた。とはいえ、ゲーム開始時ではライブラリーの一番上が何かは誰も知らないので、ほとんど差はないだろう。
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==解説==
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それぞれの[[プレイヤー]]は、[[ゲーム]]開始時に自分の[[デッキ]]から[[無作為に]][[カード]]を1枚選び、それをアンティ領域に置く。ゲームに[[勝利]]したプレイヤーはアンティ領域にあるカードの所有権を得る。これらのカードは[[ゲームの外部]]にあるカードではない。またその内容は[[公開情報]]である。
  
アンティに関係したカードもいくつかあるが、いずれも[[構築]]では[[禁止カード]]となっている。
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*現行のルールでは『無作為に1枚』となっているが、当初のルールでは『[[ライブラリーの一番上]]のカードをアンティに置く』ことになっていた。
  
*アンティに関連したカードには軒並み「アンティを賭けてプレイしない場合、プレイを開始する前にデッキから取り除く」能力が備わっているため、アンティなしのプレイで敢えて投入することでデッキ圧縮が可能となる。
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アンティに関係したカードもいくつかあるが、法律上の問題があったため([[#法的制約]]を参照)、いずれも全ての認定イベント([[カジュアルプレイ|認定カジュアルイベント]]を含む)で使用禁止となっている。さらに[[総合ルール]]でも、プレイヤーはアンティを伴うゲームでないならアンティに関するカードを[[デッキ]]と[[サイドボード]]に入れてはならず、[[ゲームの外部]]からも持ってくることができないと明記されている。
  
アンティに関するルールを採用する場合、その『賭け』の要素以外にもゲーム的な差が発生する点には注目しておこう。『賭け物件』としてカード1枚がライブラリーから抜かれ&[[公開する|公開]]されるので、アンティなしのプレイとはまた違ったデッキ構築術・プレイ術が発生する。例えば、[[キーカード]]1枚挿しだとか、いわゆる[[シルバーバレット]]戦略を狙うデッキはリスクを伴う。重要カードがアンティにおかれてしまうと、デッキ戦略自体が崩壊しかねないからだ。同様の意味で1枚[[制限カード]]については使えない可能性が発生する。また、ゲーム開始直後から相手のライブラリーの一部を見られることになるので、プレイングにも多少の差が生まれるだろう。
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*総合ルールでは「アンティに関するカードは認定イベントでは使用できない」と明記されているものの、([[ブロック構築]]廃止以降の)現行の[[マジック・イベント規定]]では、アンティに関係したカードが[[禁止カード]]に直接指定されたのは[[ヴィンテージ]]と[[レガシー]]のみ。
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**禁止カードリストの簡略化のため、[[2016年]]9月30日に、ヴィンテージとレガシーではアンティに関係したカードが個別禁止指定から「アンティに関連する(playing with ante)すべてのカード(9枚)」として一括禁止指定された。
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**[[非公式フォーマット]]でも、[[5-Color Magic]]など極一部の例外を除いて、アンティに関するカードは原則として使用できない。
  
また一口にアンティを使うといっても、本気で賭けをする『[[リアル・アンティ]]』でのプレイの他に、『[[フェイク・アンティ]]』というよりカジュアルな方式もある。その選択によっても、アンティ関連カードの価値は変わってくるので、案外奥深い。
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==ゲームへの影響==
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アンティに関するルールを採用する場合、その『賭け』の要素以外にもゲーム的な差が発生する点には注目しておこう。『賭け物件』としてカード1枚が[[ライブラリー]]から抜かれて[[公開する|公開]]されるので、アンティなしのプレイとはまた違ったデッキ[[構築]]術・プレイ術が発生する。例えば、[[キーカード]]1枚[[挿す|挿し]]だとか、いわゆる[[シルバーバレット]]戦略を狙うデッキはリスクを伴う。重要カードがアンティにおかれてしまうと、デッキ戦略自体が崩壊しかねないからだ。同様の意味で1枚[[制限カード]]については使えない可能性が発生する。また、ゲーム開始直後から相手のライブラリーの一部を見られることになるので、[[プレイング]]にも多少の差が生まれるだろう。
  
*映画「ハイランダー」の様にお互いの寿命ならぬ「魔法」を取り合うというイメージで制定されたであろう初期のルールと思われる。また、今では考えられないことだが、カード資産の差によってデッキの強さが左右されにくいように、「高価なカードを入れているとアンティによって取られる可能性がある」ということを匂わせて、デッキに入れにくくする効果を狙っていたと言われる。確かに、本当にリアル・アンティありきのゲームだったならば「オールコモンデッキ」みたいなのばかりになり、レアカードを4枚ずつ投入した「コンセプト・デッキ」などは生まれようが無かったに違いない。徐々にこの「カードの取り合い」要素は姿を消していくことになる。恐らく最初はたかがカードゲームに数十万円をつぎ込む様なヘビーユーザーがゴロゴロ出てくるなど想像もしていなかったのだろう。
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一口に「アンティを使う」といっても、本気で賭けをする『[[リアル・アンティ]]』でのプレイの他に、『[[フェイク・アンティ]]』という、より[[カジュアルプレイ|カジュアル]]な方式もある。その選択によっても、アンティ関連カードの価値は変わってくるので、案外奥深い。それぞれの項も参照のこと。
**そしてこの「トレーディング・カードゲーム」という新ジャンルの創造と共に生まれた「アンティ」要素を排していくことでまた新たな展開への扉を開くことになる。「拡張エキスパンション」のバックプリントを共通のものにしたのと同じ「歴史的な発明」ならぬ「歴史的な改良」である。
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*わが国でも、初の日本語版である[[第4版]]発売当初は「リアル・アンティ」でゲームを行うのが普通であった。そのため、この時期に始めたプレイヤーの中にはこれで負け続けることで大量にカードを取られてしまうという“被害”に遭う例もあった。
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**とはいえ、仲間内のデュエルでは本当に高価なレアカードがアンティでめくれてしまった場合には「別カードで勘弁してやる」などと柔軟に対応することが多かったらしい。この辺りの黎明期のエピソードは[[中村聡]]氏のマジックエッセイ「五輪の書」で読むことが出来る。
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**この時に「勘弁してやった」カードは、初心者垂涎の大型クリーチャー[[シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon]]。そして「そんな[[島/Island]]と変わらないカードなんかいらないや」と[[Mox Sapphire]]をあげていたりするのだった。
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*海外でも、初期のマジック解説書「Learn Magic Cards」において「リアル・アンティで相手の貴重なレアを勝ち取ってしまった場合は、後から多少手心を加えたトレードをして返してあげよう」というような記述があった。上述の中村氏のエピソードともあわせて、こういうところは洋の東西は問わないようだ。
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*日本の法律では「リアル・アンティ」でのゲームを行うと賭博罪に問われる恐れがある。アンティが現役であった時代のカードともなればそれなりの値打ちものも少なくないだろうから、その危険はなおさら高い。このルールの採用はプレイヤー各自の責任で決定していただくよう願いたい。
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==アンティに関係したカード==
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==法的制約==
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アンティを賭けてプレイすることは、法律やその他の規則で禁止されていない場合に限り許される。
  
以下の9枚だけが存在し、今後増加することはないだろう。
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'''日本の法律では「リアル・アンティ」でのゲームを行うと賭博罪に問われる恐れがある。'''アンティが現役であった時代のカードともなればそれなりの値打ちものも少なくないだろうから、その危険はなおさら高い。このルールの採用はプレイヤー各自の責任で決定していただくよう願いたい。
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*アンティ禁止改定後、唯一アンティ・ルール採用された公式イベントは[[インビテーショナル01]](5-Color Magic)のみ。もっとも、開催当時の[[DCI汎用トーナメント・ルール]]とフロア・ルールでは非公式フォーマットを用いたイベントに適用しないため、公式イベントとしての開催は可能だった。[[プレインズウォーカーポイント]]の導入に伴うトーナメント・ルール改訂で「非公式フォーマットを用いた公式イベントもトーナメント・ルールを適用される」に変更されたため、開催は不可能となっている。
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**マジック25周年記念イベント([[マジック25周年記念プロツアー]]と一部の[[グランプリ]])のサイドイベントとして行われた、アンティに関係したカードが収録されているセットを用いた[[ロチェスター・ドラフト]]では、法律上の問題とマジック・イベント規定を回避するために、「[[ピック]]したアンティに関するカードは自動的に獲得したプレイヤーのサイドボードとなる。ただしトーナメント間では使用できない」という、実質上[[カードプール]]から除外の特別ルールがあった。
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==アンティに関係したカード==
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以下の9枚だけが存在し、今後[[再録]]・増加することはないだろう。
  
 
*[[Amulet of Quoz]]
 
*[[Amulet of Quoz]]
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青銅のタブレットと嵐のイフリートは所有権の移動を伴うだけでアンティ領域の操作を行わないが、アンティ関連のカードとみなされる。逆に[[アンヒンジド]]の[[Collector Protector]]は、所有権の移動を伴うがアンティ関連のカードとはみなされない。
 
青銅のタブレットと嵐のイフリートは所有権の移動を伴うだけでアンティ領域の操作を行わないが、アンティ関連のカードとみなされる。逆に[[アンヒンジド]]の[[Collector Protector]]は、所有権の移動を伴うがアンティ関連のカードとはみなされない。
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==その他==
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*映画「[[Wikipedia:ja:ハイランダー 悪魔の戦士|ハイランダー]]」の様にお互いの寿命ならぬ「魔法」を取り合うというイメージで制定されたであろう初期のルールと思われる。また、今では考えられないことだが、カード資産の差によってデッキの強さが左右されにくいように、「高価なカードを入れているとアンティによって取られる可能性がある」ということを匂わせて、デッキに入れにくくする効果を狙っていたと言われる。確かに、本当にリアル・アンティありきのゲームだったならば「[[コモンデッキ]]」みたいなのばかりになり、[[レア]]カードを4枚ずつ投入した「コンセプト・デッキ」などは生まれようが無かったに違いない。徐々にこの「カードの取り合い」要素は姿を消していくことになる。恐らく最初はたかがカードゲームに数十万円をつぎ込む様なヘビーユーザーがゴロゴロ出てくるなど想像もしていなかったのだろう。
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**そしてこの「[[トレーディングカードゲーム]]」という新ジャンルの創造と共に生まれた「アンティ」要素を排していくことでまた新たな展開への扉を開くことになる。「拡張[[エキスパンション]]」の[[アラビアンナイト#概要|バックプリントを共通のものにした]]のと同じ「歴史的な発明」ならぬ「歴史的な改良」である。
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*わが国でも、初の日本語版である[[第4版]]発売当初は「リアル・アンティ」でゲームを行うのが普通であった。そのため、この時期に始めたプレイヤーの中にはこれで負け続けることで大量にカードを取られてしまうという“被害”に遭う例もあった。
 +
**とはいえ、仲間内の[[デュエル]]では本当に高価なレアカードがアンティでめくれてしまった場合には「別カードで勘弁してやる」などと柔軟に対応することが多かったらしい。この辺りの黎明期のエピソードは[[中村聡]]氏のマジックエッセイ「[[中村聡のマジック:ザ・ギャザリング五輪の書|五輪の書]]」で読むことが出来る。
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**この時に「勘弁してやった」カードは、初心者垂涎の[[大型クリーチャー]][[シヴ山のドラゴン/Shivan Dragon]]。そして「そんな[[山/Mountain]]と変わらないような弱いカード」として誰も気にとめなかった[[Mox Ruby]]も、ついでのように他のカードと取り替えることがOKされた。[[Mox]]が弱いカードという辺りが黎明期の価値感を物語っている。
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*海外でも、初期のマジック解説書「Learn Magic Cards」において「リアル・アンティで相手の貴重なレアを勝ち取ってしまった場合は、後から多少手心を加えた[[トレード]]をして返してあげよう」というような記述があった。上述の中村氏のエピソードともあわせて、こういうところは洋の東西は問わないようだ。*
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*のちに[[Mark Rosewater]]は「([[2024年]]時点で)アンティは今までの[[メカニズム]]の中で最も嫌われている」と述べている<ref>[https://markrosewater.tumblr.com/post/753272278835494912/the-recent-pauper-pre-ban-of-cranial-ram-got-me Blogatog](2024年6月14日)</ref>。
  
 
==参考==
 
==参考==
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<references />
 
*[[ルーリング]]
 
*[[ルーリング]]
  
 
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2024年6月15日 (土) 00:23時点における最新版

アンティ/Anteとは、初期のマジックに存在した、賭けのルール。またはそれに使われる領域の名称。語源は、ポーカーの参加費(掛け金)。


Jeweled Bird / 宝石の鳥 (1)
アーティファクト

アンティを賭けてプレイしない場合、プレイを開始する前に宝石の鳥をあなたのデッキから取り除く。
(T):宝石の鳥をアンティにする。そうした場合、そのアンティにあるあなたがオーナーである他のすべてのカードをあなたの墓地に置く。その後カードを1枚引く。


目次

[編集] 解説

それぞれのプレイヤーは、ゲーム開始時に自分のデッキから無作為にカードを1枚選び、それをアンティ領域に置く。ゲームに勝利したプレイヤーはアンティ領域にあるカードの所有権を得る。これらのカードはゲームの外部にあるカードではない。またその内容は公開情報である。

  • 現行のルールでは『無作為に1枚』となっているが、当初のルールでは『ライブラリーの一番上のカードをアンティに置く』ことになっていた。

アンティに関係したカードもいくつかあるが、法律上の問題があったため(#法的制約を参照)、いずれも全ての認定イベント(認定カジュアルイベントを含む)で使用禁止となっている。さらに総合ルールでも、プレイヤーはアンティを伴うゲームでないならアンティに関するカードをデッキサイドボードに入れてはならず、ゲームの外部からも持ってくることができないと明記されている。

  • 総合ルールでは「アンティに関するカードは認定イベントでは使用できない」と明記されているものの、(ブロック構築廃止以降の)現行のマジック・イベント規定では、アンティに関係したカードが禁止カードに直接指定されたのはヴィンテージレガシーのみ。
    • 禁止カードリストの簡略化のため、2016年9月30日に、ヴィンテージとレガシーではアンティに関係したカードが個別禁止指定から「アンティに関連する(playing with ante)すべてのカード(9枚)」として一括禁止指定された。
    • 非公式フォーマットでも、5-Color Magicなど極一部の例外を除いて、アンティに関するカードは原則として使用できない。

[編集] ゲームへの影響

アンティに関するルールを採用する場合、その『賭け』の要素以外にもゲーム的な差が発生する点には注目しておこう。『賭け物件』としてカード1枚がライブラリーから抜かれて公開されるので、アンティなしのプレイとはまた違ったデッキ構築術・プレイ術が発生する。例えば、キーカード1枚挿しだとか、いわゆるシルバーバレット戦略を狙うデッキはリスクを伴う。重要カードがアンティにおかれてしまうと、デッキ戦略自体が崩壊しかねないからだ。同様の意味で1枚制限カードについては使えない可能性が発生する。また、ゲーム開始直後から相手のライブラリーの一部を見られることになるので、プレイングにも多少の差が生まれるだろう。

一口に「アンティを使う」といっても、本気で賭けをする『リアル・アンティ』でのプレイの他に、『フェイク・アンティ』という、よりカジュアルな方式もある。その選択によっても、アンティ関連カードの価値は変わってくるので、案外奥深い。それぞれの項も参照のこと。

[編集] 法的制約

アンティを賭けてプレイすることは、法律やその他の規則で禁止されていない場合に限り許される。

日本の法律では「リアル・アンティ」でのゲームを行うと賭博罪に問われる恐れがある。アンティが現役であった時代のカードともなればそれなりの値打ちものも少なくないだろうから、その危険はなおさら高い。このルールの採用はプレイヤー各自の責任で決定していただくよう願いたい。

  • アンティ禁止改定後、唯一アンティ・ルール採用された公式イベントはインビテーショナル01(5-Color Magic)のみ。もっとも、開催当時のDCI汎用トーナメント・ルールとフロア・ルールでは非公式フォーマットを用いたイベントに適用しないため、公式イベントとしての開催は可能だった。プレインズウォーカーポイントの導入に伴うトーナメント・ルール改訂で「非公式フォーマットを用いた公式イベントもトーナメント・ルールを適用される」に変更されたため、開催は不可能となっている。
    • マジック25周年記念イベント(マジック25周年記念プロツアーと一部のグランプリ)のサイドイベントとして行われた、アンティに関係したカードが収録されているセットを用いたロチェスター・ドラフトでは、法律上の問題とマジック・イベント規定を回避するために、「ピックしたアンティに関するカードは自動的に獲得したプレイヤーのサイドボードとなる。ただしトーナメント間では使用できない」という、実質上カードプールから除外の特別ルールがあった。

[編集] アンティに関係したカード

以下の9枚だけが存在し、今後再録・増加することはないだろう。

青銅のタブレットと嵐のイフリートは所有権の移動を伴うだけでアンティ領域の操作を行わないが、アンティ関連のカードとみなされる。逆にアンヒンジドCollector Protectorは、所有権の移動を伴うがアンティ関連のカードとはみなされない。

[編集] その他

  • 映画「ハイランダー」の様にお互いの寿命ならぬ「魔法」を取り合うというイメージで制定されたであろう初期のルールと思われる。また、今では考えられないことだが、カード資産の差によってデッキの強さが左右されにくいように、「高価なカードを入れているとアンティによって取られる可能性がある」ということを匂わせて、デッキに入れにくくする効果を狙っていたと言われる。確かに、本当にリアル・アンティありきのゲームだったならば「コモンデッキ」みたいなのばかりになり、レアカードを4枚ずつ投入した「コンセプト・デッキ」などは生まれようが無かったに違いない。徐々にこの「カードの取り合い」要素は姿を消していくことになる。恐らく最初はたかがカードゲームに数十万円をつぎ込む様なヘビーユーザーがゴロゴロ出てくるなど想像もしていなかったのだろう。
  • わが国でも、初の日本語版である第4版発売当初は「リアル・アンティ」でゲームを行うのが普通であった。そのため、この時期に始めたプレイヤーの中にはこれで負け続けることで大量にカードを取られてしまうという“被害”に遭う例もあった。
    • とはいえ、仲間内のデュエルでは本当に高価なレアカードがアンティでめくれてしまった場合には「別カードで勘弁してやる」などと柔軟に対応することが多かったらしい。この辺りの黎明期のエピソードは中村聡氏のマジックエッセイ「五輪の書」で読むことが出来る。
    • この時に「勘弁してやった」カードは、初心者垂涎の大型クリーチャーシヴ山のドラゴン/Shivan Dragon。そして「そんな山/Mountainと変わらないような弱いカード」として誰も気にとめなかったMox Rubyも、ついでのように他のカードと取り替えることがOKされた。Moxが弱いカードという辺りが黎明期の価値感を物語っている。
  • 海外でも、初期のマジック解説書「Learn Magic Cards」において「リアル・アンティで相手の貴重なレアを勝ち取ってしまった場合は、後から多少手心を加えたトレードをして返してあげよう」というような記述があった。上述の中村氏のエピソードともあわせて、こういうところは洋の東西は問わないようだ。*
  • のちにMark Rosewaterは「(2024年時点で)アンティは今までのメカニズムの中で最も嫌われている」と述べている[1]

[編集] 参考

  1. Blogatog(2024年6月14日)

引用:総合ルール 20231117.0

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