バニラ
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バニラ(Vanilla)とは、何の能力も持たないクリーチャーの総称。由来はアイスクリームのバニラで、何も入っていないシンプルな、ということから。
何も能力がない分、マナ・コストの割に大きいサイズを持つ事が多い。長毛のソクター/Woolly Thoctarや皮背のベイロス/Leatherback Balothのように、色拘束が強いものは時として驚くべきマナレシオをたたき出すこともある。能力がなくてもサバンナ・ライオン/Savannah Lionsや番狼/Watchwolfなどの優秀なウィニーや、ゴブリンやマーフォークなど部族シナジーが得られるものは、下手な能力持ちより採用される頻度が高い。
ただしそれはあくまで一部の有用な例外で、たいていのバニラは、同マナ・コストで能力がついているカードに比べて使い勝手やカードパワーは大きく見劣り、時には完全な下位互換となることも珍しくない。そのため基本的に「バニラ」と言うと「有用な能力を持たず、(構築においては)弱い」という否定的イメージが強い。それらはもっぱらリミテッド向けにデザインされ、大型セットでは各色のコモンに1枚以上のバニラが収録されることが多く、色の特徴づけやバランス調整に一役買っている。
最も引き合いに出されるバニラの1つに、(1)(緑)で2/2の灰色熊/Grizzly Bearsがある。「熊」という俗称があるように、2マナで2/2のみという性質はクリーチャーのスペックの基準として捉えられていた時期があった(一時期、緑以外の「熊」には何らかのペナルティ能力を持たされ、緑はクリーチャーの質が高いことを示す役割があった)。現在では灰色熊自体のスペックが相対的に低くなったが、第10版まで再録され続け、基本セット2010以降でも同型再版であるルーン爪の熊/Runeclaw Bearが引き続き収録されており、この俗称に身近なバニラとしての象徴的役割が残っている。
同様に、4マナ3/3を丘巨人/Hill Giant、3マナ2/2を灰色オーガ/Gray Ogreと総称するが、こちらは日本ではあまり一般的ではない。その他、1/1バニラや4/4以上のバニラは絶対数が少なく、伴ってリミテッドでも使用頻度が低いため、特定の総称はあまり無い。
- バニラ・クリーチャーの文章欄にはフレイバー・テキストが書かれている。フレイバー・テキストは本来、バニラの文章欄を埋めるために立案されたものである。
- 例外は掟破りの宝庫、未来予知のテキストレス・クリーチャー・サイクルのみ。
- バニラ・クリーチャーにのみ恩恵を与えるカードも存在する(→ムラガンダの印刻/Muraganda Petroglyphsなど)。また、クリーチャーをバニラにしてしまうカードもある(→謙虚/Humilityなど)。
- 狭義には「能力がまったくない」ことだが、広義には「能力があっても(少なくともその場では)機能しない」もしくは「能力ではあるがコストやサイズにしか影響を与えない」など、ゲーム中での実際の挙動を重視して使うことがある。その場合、本当にルール文章を持たないものと区別するため、「実質的なバニラ」などと表現することもある。
- 基本的に「能力がないも同然」という弱点を強調する文脈で用いる。極端に解釈すれば、金属ガエル/Frogmiteは0マナ2/2バニラ、野生のナカティル/Wild Nacatlは1マナ3/3バニラ、タルモゴイフ/Tarmogoyfは最大2マナ8/9バニラ、とも言えるが、弱点より利点が多いそれらのカードにはそういう表現はあまり用いない。
- 基本的なキーワード能力だけを持つクリーチャーのことをフレンチ・バニラ(French Vanilla)と呼ぶ[1]。
- 開発部では、ETBや瞬速などの「戦場に出したターン以降には意味を持たない」能力しか持たないクリーチャーのことをバーチャル・バニラ[1]/実質バニラ[2](Virtual Vanilla)と呼んでいる。
- 能力の中には有用ではないものも存在する(→ペナルティ能力)ため、なんでもないバニラのほうが安定して使える場合もたまにある。&br()ペナルティ能力でなくてもあまりに効果の薄い能力の場合は、「ムラガンダの刻印が有効な分バニラの方がマシ」と言われることも。
参考
- ↑ 1.0 1.1 A Few More Words from R&D/開発部語辞典・増補版(Making Magic 2013年6月10日 Mark Rosewater著)
- ↑ A Few More Words from R&D/開発部語辞典2016(Making Magic 2016年11月8日 Mark Rosewater著)