ファイレクシア/Phyrexia
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ファイレクシア/Phyrexiaとは、ドミニア/Dominiaに存在する次元/Plane、文明の1つ。
ここでは、ヨーグモス/Yawgmothが支配したオリジナルのファイレクシアと、金属次元ミラディン/Mirrodinにて再興した新ファイレクシアについて、それぞれ解説する。
- 頭文字と陣営マークから、インターネットスラングでは「Φ」と表すことがある。
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ファイレクシア/Phyrexia
暗黒次元、諸悪の根源、この世の全ての悪。荒廃の王ヨーグモスが支配する次元。
元々は、竜の姿を好んだ人間のプレインズウォーカーが創造した次元だが、そのプレインズウォーカーの死後、放置されていたところをプレインズウォーカー、ダヴェッド/Dyfedによって発見される。ダヴェッドは、当時スラン帝国で研究をしていたヨーグモスにこの世界の存在を教え、スラン帝国の首都ハルシオン/Halcyonの地下にドミナリア/Dominariaと繋ぐポータル/Portalを作り与えた。
ヨーグモスは、当時スラン帝国で蔓延していた病に感染した患者をこの次元に移し、"治療"という名の改造によってファイレクシア人を作り上げた。また、スランの四都市がスラン同盟を名乗ってヨーグモスに反旗を翻すとヨーグモスも軍勢を動かし、ここにスラン内乱が始まる。
スラン内乱はファイレクシアの勝利に見えたが、土壇場でレベック/Rebbecがヨーグモスを裏切り、グレイシャン/Glacianの魂が封じられたパワーストーン/Powerstoneによってファイレクシアとドミナリアを繋ぐ唯一のポータルを封印した。このため、プレインズウォーカーではないヨーグモスは、その軍勢もろともファイレクシアに封印されてしまう。
そして4000年。ハルシオンの遺跡はコイロスの洞窟/Caves of Koilosとなっていた。洞窟を訪れたウルザ/Urzaとミシュラ/Mishraはパワーストーンを発見し、それを持ち出してしまうが、これこそファイレクシアに繋がるポータルを封印していたパワーストーンだった。これによりファイレクシアの封印は解けてしまい、兄弟戦争中にはこのポータルを抜けてギックス/Gixがドミナリアにやってきてしまった。
ミシュラを操ってウルザと戦った兄弟戦争が終わると、ウルザは報復のためにファイレクシアに潜入。しかしそのあまりに苛酷な環境とファイレクシア人の執拗な攻撃のために第四球層でギブアップ。手痛い傷を負ったウルザは逃げ帰る。
そのウルザを追ってファイレクシア人たちはセラ/Serraの世界を襲う。ウルザがトレイリア学院を建設し対ファイレクシア戦の準備を進めると潜伏工作員ケリック/Kerrickを送り込み、ベナリアで血統実験を開始すると抹殺者を送り込んで皆殺しにする。4000年間はこれの繰り返しであったが、その一方でウルザもファイレクシアも着実に決戦の準備を進めていた。
ラース/Rath、メルカディア/Mercadiaなどにドミナリア侵略の前線基地を建設。荒廃の王の副官としてラースにはエヴィンカーを配し、膨大な戦力を蓄えていた。
そして4205AR、ファイレクシアは念願のドミナリア侵攻を開始する。総司令官はサーボ・タヴォーク/Tsabo Tavoc。世界各地に同時多発的にポータルを開き、ラースやメルカディアから巨大な空中戦艦をどんどん送り込む電撃戦。圧倒的な物量と同時に疫病を世界各地にばら撒き、ドミナリアの生産力も衰えさせる完璧な作戦であった。
ウェザーライト/Weatherlight号が善戦するも、ベナリア/Benaliaやラノワール/Llanowar、ケルド/Keldも滅び、第二フェイズ、ラースの被覆/Rathi Overlayも発動。ラースに置かれた要塞/Strongholdはアーボーグに転移し、ラースをドミナリアに重ね合わせドミナリアをファイレクシア化させるという計画であった。が、この前にコイロスでの戦闘でサーボ・タヴォーク瀕死。帰還するもクロウヴァクス/Crovaxに殺され、総指揮権はクロウヴァクスのものになる。
一方、そのころファイレクシアに潜入した9人のプレインズウォーカーたち(ナイン・タイタンズ)は仲間を失いながらもファイレクシア各地に爆弾をしかけることに成功する。ウルザ/Urzaとジェラード/Gerrardはヨーグモスの手に落ち、やむを得ず生き残った4人のプレインズウォーカーは爆弾に点火(破滅的な行為/Pernicious Deed)。ファイレクシアを破壊することに成功する。
その後、巨大な暗黒雲となってドミナリアに出現したヨーグモスもレガシー/Legacyによって消滅。こうして、多元宇宙/Multiverseを脅かした邪悪な機械文明は滅び去った。
次元の構造・特徴
マトリョーシカ人形のように、9つの球体が入れ子になった構造をしている(参考)。それらは外側から、第一球層〜第九球層/The First Sphere〜The Ninth Sphereと呼ばれる。
表層~第一球層 | 機械によって模倣された自然(Mechanical Parody of Nature) |
第二球層 | 金属荒地と煙突(Metal Waste and Smoke Stacks) |
第三球層 | 金属パイプのからみあった進入不能地帯(Impenetrable Tangle of Metal Pipes) |
第四球層 | 溶鉱炉と戦士の訓練場(Furnaces and Warrior Training Grounds) |
第五球層 | ギラギラ光る油の沸騰する大洋(Boiling Ocean of Glistening Oil) |
第六球層 | ヨーグモスの側近たちの部屋(Chambers of Yawgmoth's Inner Circle) |
第七球層 | 処刑の領域(Punishment Sphere) |
第八球層 | 純エネルギー層(Pure Energy) |
第九球層 | ヨーグモスの聖域(Yawgmoth's Sanctum) |
登場カード
- 第四球層/The Fourth Sphere (次元カード):第四球層を次元カード化したもの。
新ファイレクシア/New Phyrexia
ファイレクシアは滅びた。しかし、ヨーグモスとその配下は、侵略兵器ファイレクシアの油/Phyrexian oilを用意することで、滅亡後の復活をすら約束していた。この油は、あらゆる存在へとファイレクシアの情報を感染させるウイルス性の物質であり、宿主と適した次元さえあれば、その文明を再興させることが可能であった。
カーン/Karn。ミラディンの前身たるアージェンタム/Argentumの創造主にして、ファイレクシア人ザンチャ/Xantchaのハートストーンを埋め込まれてウルザに創造されたゴーレムは、体内にファイレクシアの油も内包していた。それを知らぬ彼は、己が創造した次元も含め、訪れた次元という次元に油を残してしまった。金属次元アージェンタムという最高の土壌を得た油は、長い年月をかけて世界を徐々に侵食し、ファイレクシアを再生させていった。その過程で、アージェンタムの管理人メムナーク/Memnarchが油に感染し、次元のミラディンへの改造や、その後の混乱と動乱を招いたこともあった。
やがて、油はついにミラディンの核/Mirrodin's Coreを汚染し、ファイレクシアの核/Phyrexia's Coreへと変貌せしめた。核からは、支配者層も含めた多くのファイレクシア人が生まれたが、彼らは性急に侵略戦争を仕掛けず、時期が満ちるまで核内に潜むことを選んだ。
その後、新ファイレクシアの勃興はメフィドロスの中心、囁きの大霊堂/Vault of Whispers(イシュ=サー)を中核とし、いくつかの地域から始まった。特に水銀海は、莫大な量の油を流しこまれることで、加速度的に汚染が進んだ。
ミラディン人はファイレクシアの脅威を徐々に知り、これまでの対立を忘れて一致団結し、ファイレクシアに対して生存をかけた大戦争を挑んだ。しかし敵を殺すだけでなく、捕獲し、改造し、また油によって汚染することで取り込むファイレクシアの勢いは加速し、その抵抗をも飲み込んだ。いまやミラディン人は、僅かな抵抗勢力が残されるのみとなっている。
こうして、かつてアージェンタムと呼ばれ、ミラディンとして知られた世界は今、三番目の名前を持つに至った。
5つの派閥
かつてのファイレクシアは、黒マナにのみ深く関係していた。しかし、常に周囲の環境へと適合するファイレクシアは、マナに満ちたミラディンの5つの太陽に触れることで、すべての色に広がった。この変化は、かつてのファイレクシアにない多様性と融通性をもたらす一方で、以前の確固たる統一性を失わせ、不和を生んだ。
現在、新ファイレクシアは異なる哲学を持った5つの派閥に分かれ、それぞれ指導者たる法務官/Praetorに率いられている。
色 | 派閥名 | 哲学 | 法務官 | 主な支配地 | 主要都市・構造物 |
白 | 機械正典/Machine Orthodoxy | 信仰・結束 | エリシュ・ノーン/Elesh Norn | 剃刀ヶ原/Razor Fields | 別館/Annexes |
青 | 発展の動力源/Progress Engine | 科学・実験 | ジン=ギタクシアス/Jin-Gitaxias | 水銀海/Quicksilver Sea | ルーメングリッド/Lumengrid |
黒 | 七人の鋼の族長/Seven Steel Thanes | 隷属・奉仕 | シェオルドレッド/Sheoldred | メフィドロス/Mephidross | 囁きの大霊堂/Vault of Whispers |
赤 | 静かなる焼炉/Quiet Furnace | 産業化 | ウラブラスク/Urabrask | 焼炉層/Furnace Layer | カルドーサ/Kuldotha |
緑 | 悪意の大群/Vicious Swarm | 弱肉強食 | ヴォリンクレックス/Vorinclex | 絡み森/The Tangle | テル=ジラード/Tel-Jilad |
機械の始祖
かつてはヨーグモスが、絶対的な支配者として機械の始祖/Father of Machinesの地位についていた。新ファイレクシアでは、油によって肉体と精神を蝕まれたカーンがその座に祀りあげられようとしていたが、そこに対するスタンスは法務官によって異なる。
- エリシュ・ノーン:カーンを擁立しようとしているが、それは自らの傀儡とするに都合がよいからである
- ジン=ギタクシアス:カーンを信用せず、別の者を擁立しようとしている
- シェオルドレッド:カーンを抹殺し、自らがその座に就こうと画策している
- ウラブラスク:機械の始祖にも他の法務官にも、己から関わろうとはしない
- ヴォリンクレックス:指導者をただ一人に絞ること自体を否定している
訳語
「New Phyrexia」は、ミラディンの傷跡ブロック2つ目の小型エキスパンションの名に冠され、「新たなるファイレクシア」と訳された。
ただしストーリー用語としては、フレイバー・テキストにおいて「新ファイレクシア」と訳されている。(参考:ウラブラスクの僧侶/Priest of Urabrask、憤怒の抽出機/Rage Extractor、生命の接合者/Vital Splicer、マイコシンスの水源/Mycosynth Wellspring)
登場記事
- ミラディンの傷跡ブロック キャンペーンサイト
- Phyrexia and the Vaultlord / ファイレクシアと大霊堂の王(公式サイト、Doug Beyer著)
- The Terms of Engagement / 約束の時(公式サイト、Doug Beyer著)
- Corrupted Conscience / 堕落した良心(公式サイト、Jenna Helland著)
- Phyrexia: The Strong and the Scattered / ファイレクシア、強くそして分かたれたもの(公式サイト、Doug Beyer著)
- A Planeswalker's Guide to New Phyrexia(1、2、3、4、5)(公式サイト、Magic Creative Team著)
- Getting to Know the Praetors(公式サイト、Doug Beyer著)
- MIRRODIN BESIEGED PLAYER'S GUIDE(ミラディン包囲戦ファットパック付属)