アンティ
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アンティ/Anteとは、初期のマジックに存在した、賭けのルール。またはそれに使われる領域の名称。語源は、ポーカーの参加費(掛け金)。
アーティファクト
アンティを賭けてプレイしない場合、プレイを開始する前に宝石の鳥をあなたのデッキから取り除く。
(T):宝石の鳥をアンティにする。そうした場合、そのアンティにあるあなたがオーナーである他のすべてのカードをあなたの墓地に置く。その後カードを1枚引く。
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解説
それぞれのプレイヤーは、ゲーム開始時に自分のデッキから無作為にカードを1枚選び、それをアンティ領域に置く。ゲームに勝利したプレイヤーはアンティ領域にあるカードの所有権を得る。これらのカードはゲームの外部にあるカードではない。またその内容は公開情報である。
- 現行のルールでは『無作為に1枚』となっているが、当初のルールでは『ライブラリーの一番上のカードをアンティに置く』ことになっていた。とはいえ、ゲーム開始時ではライブラリーの一番上が何かは誰も知らないので、ほとんど差はないだろう。
アンティに関係したカードもいくつかあるが、いずれも全ての認定フォーマットでは禁止となっている。一覧は#アンティに関係したカードを参照。さらに総合ルールでも、プレイヤーはアンティを伴うゲームでないならアンティに関するカードをデッキとサイドボードに入れてはならず、ゲームの外部からも持ってくることができないと明記されている。
- 総合ルール及びマジック・イベント規定では「アンティに関するカードは使用できない」と明記されているものの、ブロック構築の廃止以降、マジック・イベント規定では禁止カードに直接指定されたのはヴィンテージとレガシーのみ。
- 禁止カードリストの簡略化のため、2016年9月30日のマジック・イベント規定更新では、アンティに関係したカードが個別禁止指定から「アンティに関連する(playing with ante)すべてのカード(9枚)」として一括指定された(ブロック構築のみ個別指定)。
- マジック25周年記念グランプリのサイドイベントとしてアンリミテッド/ベータ(いずれもアンティに関係したカードに収録されているセットである)を用いたロチェスター・ドラフトでは、上記の問題を回避目的として「基本土地とアンティに関するカードはピックした時点にカードプールから除外」というフロアルールがあった。
ゲームへの影響
アンティに関するルールを採用する場合、その『賭け』の要素以外にもゲーム的な差が発生する点には注目しておこう。『賭け物件』としてカード1枚がライブラリーから抜かれて公開されるので、アンティなしのプレイとはまた違ったデッキ構築術・プレイ術が発生する。例えば、キーカード1枚挿しだとか、いわゆるシルバーバレット戦略を狙うデッキはリスクを伴う。重要カードがアンティにおかれてしまうと、デッキ戦略自体が崩壊しかねないからだ。同様の意味で1枚制限カードについては使えない可能性が発生する。また、ゲーム開始直後から相手のライブラリーの一部を見られることになるので、プレイングにも多少の差が生まれるだろう。
一口に「アンティを使う」といっても、本気で賭けをする『リアル・アンティ』でのプレイの他に、『フェイク・アンティ』という、よりカジュアルな方式もある。その選択によっても、アンティ関連カードの価値は変わってくるので、案外奥深い。それぞれの項も参照のこと。
法的制約
アンティを賭けてプレイすることは、法律やその他の規則で禁止されていない場合に限り許される。
日本の法律では「リアル・アンティ」でのゲームを行うと賭博罪に問われる恐れがある。アンティが現役であった時代のカードともなればそれなりの値打ちものも少なくないだろうから、その危険はなおさら高い。このルールの採用はプレイヤー各自の責任で決定していただくよう願いたい。
アンティに関係したカード
以下の9枚だけが存在し、今後増加することはないだろう。
- Amulet of Quoz
- 青銅のタブレット/Bronze Tablet
- Contract from Below
- Darkpact
- Demonic Attorney
- 宝石の鳥/Jeweled Bird
- 再誕/Rebirth
- 嵐のイフリート/Tempest Efreet
- Timmerian Fiends
青銅のタブレットと嵐のイフリートは所有権の移動を伴うだけでアンティ領域の操作を行わないが、アンティ関連のカードとみなされる。逆にアンヒンジドのCollector Protectorは、所有権の移動を伴うがアンティ関連のカードとはみなされない。
その他
- 映画「ハイランダー」の様にお互いの寿命ならぬ「魔法」を取り合うというイメージで制定されたであろう初期のルールと思われる。また、今では考えられないことだが、カード資産の差によってデッキの強さが左右されにくいように、「高価なカードを入れているとアンティによって取られる可能性がある」ということを匂わせて、デッキに入れにくくする効果を狙っていたと言われる。確かに、本当にリアル・アンティありきのゲームだったならば「コモンデッキ」みたいなのばかりになり、レアカードを4枚ずつ投入した「コンセプト・デッキ」などは生まれようが無かったに違いない。徐々にこの「カードの取り合い」要素は姿を消していくことになる。恐らく最初はたかがカードゲームに数十万円をつぎ込む様なヘビーユーザーがゴロゴロ出てくるなど想像もしていなかったのだろう。
- そしてこの「トレーディングカードゲーム」という新ジャンルの創造と共に生まれた「アンティ」要素を排していくことでまた新たな展開への扉を開くことになる。「拡張エキスパンション」のバックプリントを共通のものにしたのと同じ「歴史的な発明」ならぬ「歴史的な改良」である。
- わが国でも、初の日本語版である第4版発売当初は「リアル・アンティ」でゲームを行うのが普通であった。そのため、この時期に始めたプレイヤーの中にはこれで負け続けることで大量にカードを取られてしまうという“被害”に遭う例もあった。
- とはいえ、仲間内のデュエルでは本当に高価なレアカードがアンティでめくれてしまった場合には「別カードで勘弁してやる」などと柔軟に対応することが多かったらしい。この辺りの黎明期のエピソードは中村聡氏のマジックエッセイ「五輪の書」で読むことが出来る。
- この時に「勘弁してやった」カードは、初心者垂涎の大型クリーチャーシヴ山のドラゴン/Shivan Dragon。そして「そんな山/Mountainと変わらないような弱いカード」として誰も気にとめなかったMox Rubyも、ついでのように他のカードと取り替えることがOKされた。Moxが弱いカードという辺りが黎明期の価値感を物語っている。
- 海外でも、初期のマジック解説書「Learn Magic Cards」において「リアル・アンティで相手の貴重なレアを勝ち取ってしまった場合は、後から多少手心を加えたトレードをして返してあげよう」というような記述があった。上述の中村氏のエピソードともあわせて、こういうところは洋の東西は問わないようだ。
参考
引用:総合ルール 20231117.0
- 4 領域
- 407 アンティ
- 407.1 マジックの昔のルールには、「勝ち取ったものを返さない」でプレイする方法としてのアンティ・ルールが存在した。アンティを賭けてプレイすることは、現在では、このゲームにおける選択ルールであり、法律その他の規則で禁止されていない地区でのみ許される。アンティを賭けてプレイすることは、マジック・イベント規定([[1]])の下では厳しく禁止されている。
- 407.2 アンティを賭けてプレイする場合、ゲームの開始時に、各プレイヤーはそれぞれのデッキからカードを無作為に1枚選び、それをアンティ 領域に置く。アンティ 領域にあるカードは、いつでも全てのプレイヤーが確認できる。ゲームの終了時に、勝利者はアンティ 領域にあるカード全ての所有権を得る。
- 407.3 「アンティを賭けてプレイしていないなら、プレイ前に[このカード]をデッキから取り除く/Remove [this card] from your deck before playing if you're not playing for ante.」と書かれているカードがある。この類のカードだけが、アンティ 領域にカードを追加したり、取り除いたり、あるいはカードのオーナーを変更したりすることができる。プレイヤーがアンティを賭けてプレイしていないときは、これらのカードはデッキにもサイドボードにも入れることはできず、ゲーム外からゲーム内に持ってくることもできない。
- 407.4 オブジェクトをアンティするとは、そのオブジェクトを現在ある領域からアンティ 領域に移すことである。オブジェクトのオーナーだけがそのオブジェクトをアンティすることができる。
- 407 アンティ