メタゲーム

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=メタゲーム(Metagame)=
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=メタゲーム (Metagame)=
  
大会では、1人に勝つだけでは駄目で、何人もの[[対戦相手]]に勝つ必要がある。
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大会では何人もの[[対戦相手]]と戦うことになる。そのため、「大会で多く使用されている[[デッキ]]」に対して効果的な[[カード]]を使うと勝率を上げやすい。例えば[[]][[クリーチャー]]・デッキが多数を占めるなら、[[冬眠/Hibernation]]の標準装備や[[除去]]の満載が有効である。そういったことを考え、勝率が高くなるようにデッキや[[サイドボード]]を組むことが「'''メタゲーム'''」である。略して「メタ」とも(接頭辞 meta- は「高次の」「変化した」といった意味)。単に「仮想敵」とか「周りや世間で流行っているデッキ」、「それらに勝てるようなデッキ構築」という意味でも使われる。
そのため、「大会で多数が使用している[[デッキ]]」に対して効果的な[[カード]]を選んで使うと、勝率を上げやすい。
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その大会で使用されるデッキ分布を予想からカードを吟味するデッキ[[構築]]も、[[ゲーム]]プレイングに劣らず重要なわけだ。
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たとえば、[[]][[クリーチャー]]・デッキが多数を占めるなら、[[冬眠/Hibernation]]の標準装備や[[除去]]の満載が有効である。
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メタゲームは[[プレイング]]と同等、あるいはそれ以上に重要である。メタゲームの好例としては、[[ネクロ]]全盛の1996年世界選手権(通称[[ネクロの夏]])に、ネクロに強い[[白ウィニー]][[12Knights]]」を使った[[Tom Chanpheng]]がに優勝したことが挙げられる、また、環境が、極端に強く対抗デッキすら存在しないデッキ一種で占められていたとしても、そのデッキ同士のミラーマッチという形でメタゲームは存在する。「[[MoMaの冬]]」たる[[The Finals98]]で、[[小宮忠義]]は[[赤]]マナを散らして[[紅蓮破/Pyroblast]]や[[火の玉/Fireball]]を入れるのみならず、[[サイドボード]]に[[解呪/Disenchant]]や[[ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will]]まで投入した「対[[MoMa]]用MoMa」を使用した。結果、MoMa一色の大会において小宮は優勝を遂げる。
周囲に強力な[[エンチャント]]が多いとわかっていれば、[[]][[単色]]のデッキでも他の[[]][[タッチ]]することで対策を立てることもできよう。
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他の人が考える対策の裏をかくこともできるだろう。→ [[アグレッシブ・サイドボーディング]]
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多数派のデッキは一種類ではないことも多い。とはいえ対策カードばかりを入れて自分のデッキのコンセプトを崩しては本末転倒。
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そういった様々なことを考え、勝率が高くなるようにデッキや[[サイドボード]]を組むことが「メタゲーム」である。
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== メタの変遷 ==
上の話を単純化し、「仮想敵」とか「周りや世間で流行っているデッキ」とか「それらに勝てるようなデッキ構築」という意味でも使われる。
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略して「[[メタ]]」とも言う。接頭辞 meta- は「高次の」「変化した」といった意味。
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メタゲームは「流行」に左右される要素が大きいために、時期によって「主流メタ」がぐるぐる入れ替わることも珍しくない。メタゲームが入れ替わった結果、場合によっては再び似たような状況に戻ってくることもある。俗に「メタが一周する」「メタが一巡する」という。この循環はしばしば「食物連鎖」や「適者生存の法則」に例えられる。
  
こういった概念は、ゲーム理論においても用いられる。「囚人のジレンマ」のような単純なモデルでさえ、判断に用いる情報が増加すると環境が特定の戦略に収束しない(言い換えると、最強の戦略が存在しない)ことが示されている。
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メタが一巡した具体例を挙げる。
  
*「山札」に当たる「デッキ」を自由に構築してよいという、[[トレーディングカードゲーム]]というジャンルならではの現象と言える。
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'''例1'''
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#「リシャーダの港が流行する」
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#「リシャーダの港への対策カードを入れるのが流行する」
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#「相手の対策カードを無駄にさせるため、リシャーダの港を使わないデッキが流行する」
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#「リシャーダの港に対策しない人が増える」
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#「対策カードが環境にないので、リシャーダの港入りデッキが再び流行する」(最初に戻る)
  
*「この大会では[[]]のデッキが多い」といった程度の情報でも十分メタゲームになる。
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以上の、[[リシャーダの港/Rishadan Port]]を巡るメタの変遷は[[The Finals00]](2000年12月)から[[日本選手権01]](2001年6月)の間に起こったものである。Finals00の時点ではTOP8のうち、リシャーダの港を使用したデッキは[[ノーファイアー]]ただ一つであり、逆に約半数のデッキが対策カード[[サーボの網/Tsabo's Web]]を使用していた。しかし日本選手権01でのTOP8のデッキのうち、サーボの網を使用したデッキは[[Void|ネザーゴー]]とタッチ緑の[[スクエア・ヴォイド]]だけであり、残り全てのデッキ([[ファイアーズ|Long Fires]][[マシーンヘッド]]など)がリシャーダの港を投入していた。
この場合は、例えば[[土地渡り|]][[渡り]]を活用できる[[フィッシュ]]が有効な選択肢であると言えるだろう。
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メタゲームは「流行」に左右される要素が大きいために、時期によって「主流メタ」がぐるぐる入れ替わることも珍しくない。
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'''例2'''
メタゲームが入れ替わった結果、場合によっては再び似たような状況に戻ってくることもある。俗に「メタが一周する」「メタが一巡する」という。
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#「パララクス補充が流行。あまりにも強いため、それ以外のデッキが駆逐される」
この循環はしばしば「食物連鎖」や「適者生存の法則」に例えられる。環境に適応することの出来た種のみが存続を許されるのが大自然の掟である。
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#「パララクス補充に強い[[トリニティ]]が開発され、環境を支配しはじめる」
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#:パララクス補充は、キーカードの殆どが4[[マナ]]。トリニティはそれが揃う前に[[マナ加速]]から[[すき込み/Plow Under]]を打てるため優位に立てた。すき込みを序盤に打てる点は、パララクス補充に対してのみならず、当時の環境に大きく有効だった。
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#「アンチ・トリニティデッキとしてアングリーハーミットが台頭する」
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#「増えたアングリーハーミットに有利な[[アングリーノンハーミット]]が台頭」
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#「アングリーノンハーミットを食えるパララクス補充が復権」(最初に戻る)
  
*具体例を示そう。以下の[[リシャーダの港/Rishadan Port]]を巡るメタの変遷は[[The Finals00]](2000年12月)から[[日本選手権01]](2001年6月)の間に実際に起こったものである。
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以上が[[パララクス補充]]から[[アングリーハーミット]]を巡るメタの変遷である。また、このメタが一周した時点で開催された[[世界選手権00]]では、「補充もアングリーハーミットも食える」デッキとして登場した[[ティンカー]]([[スーサイドブラウン]])が圧倒的な強さを見せつけ、世界チャンピオンに輝いた。アンチ補充であるトリニティに似せた形を取りつつ、マナをクリーチャーではなく[[アーティファクト]]から供給することで、大量に搭載されたクリーチャー除去を完全に[[腐る|腐らせる]]ことができたためである。
「リシャーダの港が流行する」
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 →「リシャーダの港への対策カードを入れるのが流行する」
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  →「相手の対策カードを無駄にさせるため、リシャーダの港を使わないデッキが流行する」
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   →「リシャーダの港に対策しない人が増える」
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    →「対策カードが環境にないので、リシャーダの港入りデッキが再び流行する」(最初に戻る)
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Finals00の時点ではTOP8のうち、リシャーダの港を使用したデッキは[[ノーファイアー]]ただ一つであり、逆に約半数のデッキが対策カード[[サーボの網/Tsabo's Web]]を使用していた。
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しかし日本選手権01でのTOP8のデッキのうち、サーボの網を使用したデッキは[[Void|ネザーゴー]]とタッチ緑の[[スクエア・ヴォイド]]だけであり、残り全てのデッキ([[ファイアーズ|Long Fires]]や[[マシーンヘッド]]など)がリシャーダの港を投入していた。
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*[[パララクス補充]]から[[アングリーハーミット]]を巡るメタの変遷はさながら「大河ドラマ」を見る様である。
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「パララクス補充が流行。余りにも強いため、それ以外のデッキが駆逐されだす」
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 →「パララクス補充に強い[[トリニティ]]が開発され、環境を支配しはじめる」(注1)
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  →「アンチ・トリニティデッキとしてアングリーハーミットが台頭する」
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   →「増えたアングリーハーミットに有利な、[[アングリーノンハーミット]]が台頭」(注2)
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    →「アングリーノンハーミットを食えるパララクス補充が復権」(最初に戻る)
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(注1)パララクス補充は、キーカードの殆どが4[[マナ]]。トリニティはそれが揃う前に[[マナ加速]]から[[すき込み/Plow Under]]を打てるため優位に立てた。すき込みを序盤に打てる点は、パララクス補充に対してのみならず、当時の環境に大きく有効だった。
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(注2)アングリーノンハーミットは、[[ミラーマッチ]]でアングリーハーミットに対して有利なデッキとして出てきた。[[錯乱した隠遁者/Deranged Hermit]]を抜いているのが特徴。しかしスピードは単なる[[ステロイド]]系デッキと変わらない。
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**実はこの後に更に後日談がある。
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結局パララクス補充同士のミラーマッチが増えた結果、サイドから投入される[[時間の名人/Temporal Adept]]が勝負を分けた。先出しできれば、デッキの構造上3マナ以下でクリーチャーを除去できないために、延々と毎ターン土地を戻し続けて4マナ揃えられなくするというこのミラーマッチでしか成立しない「完全[[ロック]]」が存在したからである。
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**また、上記の[[腐る|補充]]からアングリーハーミットのメタが一周した時点で開催された[[世界選手権00]]では、「補充もアングリーハーミットも食える」デッキとして登場した[[ティンカー]]([[スーサイドブラウン]])が圧倒的な強さを見せつけ、世界チャンピオンに輝いた。アンチ補充であるトリニティに似せた形を取りつつ、マナをクリーチャーではなく[[アーティファクト]]から供給することで、大量に搭載されたクリーチャー除去を完全に[[腐らせる]]ことができたのである。
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大きな大会で勝つには、単体での強さに加え、メタゲームの視点からデッキを選択することが必須となる。
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そうすることで、[[プレイヤー]]はより高尚な勝利、より深い楽しみを得ることができる。
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*たとえば、[[ネクロ]]全盛の1996年(通称[[ネクロの夏]])、[[白ウィニー]]「[[12Knights]]」で世界選手権に優勝した[[Tom Chanpheng]]は、メタゲームの力を圧倒的に見せつけた。
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*環境が一色であっても、ミラーマッチという形でメタゲームは存在する。
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「[[MoMaの冬]]」たる[[The Finals98]]を制した[[小宮忠義]]の[[MoMa]]は、[[赤]]マナを散らして[[紅蓮破/Pyroblast]]や[[火の玉/Fireball]]を入れるのみならず、[[サイドボード]]に[[解呪/Disenchant]]や[[ヨーグモスの意志/Yawgmoth's Will]]まで投入した「対MoMa用MoMa」であった。
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つまりMoMa一色の大会ですら、オーソドックスな青単色MoMaでは優勝は覚束ないと彼は判断した。普通の[[メインデッキ|ウィニー]]には屁のつっぱりにもならない紅蓮破が[[メイン]]に入っているデッキが優勝したのは、メタゲームをうまく利用した結果と言えよう。
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余談として、パララクス補充同士のミラーマッチにおいては、サイドから投入される[[時間の名人/Temporal Adept]]がメタカードとして機能した。デッキの構造上3マナ以下でクリーチャーを除去できないために、延々と毎ターン土地を戻し続けて4マナ揃えられなくするという、このミラーマッチでしか成立しない「完全[[ロック]]」が存在したからである。
  
 
==参考==
 
==参考==

2008年3月8日 (土) 05:35時点における版

メタゲーム (Metagame)

大会では何人もの対戦相手と戦うことになる。そのため、「大会で多く使用されているデッキ」に対して効果的なカードを使うと勝率を上げやすい。例えばクリーチャー・デッキが多数を占めるなら、冬眠/Hibernationの標準装備や除去の満載が有効である。そういったことを考え、勝率が高くなるようにデッキやサイドボードを組むことが「メタゲーム」である。略して「メタ」とも(接頭辞 meta- は「高次の」「変化した」といった意味)。単に「仮想敵」とか「周りや世間で流行っているデッキ」、「それらに勝てるようなデッキ構築」という意味でも使われる。

メタゲームはプレイングと同等、あるいはそれ以上に重要である。メタゲームの好例としては、ネクロ全盛の1996年世界選手権(通称ネクロの夏)に、ネクロに強い白ウィニー12Knights」を使ったTom Chanphengがに優勝したことが挙げられる、また、環境が、極端に強く対抗デッキすら存在しないデッキ一種で占められていたとしても、そのデッキ同士のミラーマッチという形でメタゲームは存在する。「MoMaの冬」たるThe Finals98で、小宮忠義マナを散らして紅蓮破/Pyroblast火の玉/Fireballを入れるのみならず、サイドボード解呪/Disenchantヨーグモスの意志/Yawgmoth's Willまで投入した「対MoMa用MoMa」を使用した。結果、MoMa一色の大会において小宮は優勝を遂げる。

メタの変遷

メタゲームは「流行」に左右される要素が大きいために、時期によって「主流メタ」がぐるぐる入れ替わることも珍しくない。メタゲームが入れ替わった結果、場合によっては再び似たような状況に戻ってくることもある。俗に「メタが一周する」「メタが一巡する」という。この循環はしばしば「食物連鎖」や「適者生存の法則」に例えられる。

メタが一巡した具体例を挙げる。

例1

  1. 「リシャーダの港が流行する」
  2. 「リシャーダの港への対策カードを入れるのが流行する」
  3. 「相手の対策カードを無駄にさせるため、リシャーダの港を使わないデッキが流行する」
  4. 「リシャーダの港に対策しない人が増える」
  5. 「対策カードが環境にないので、リシャーダの港入りデッキが再び流行する」(最初に戻る)

以上の、リシャーダの港/Rishadan Portを巡るメタの変遷はThe Finals00(2000年12月)から日本選手権01(2001年6月)の間に起こったものである。Finals00の時点ではTOP8のうち、リシャーダの港を使用したデッキはノーファイアーただ一つであり、逆に約半数のデッキが対策カードサーボの網/Tsabo's Webを使用していた。しかし日本選手権01でのTOP8のデッキのうち、サーボの網を使用したデッキはネザーゴーとタッチ緑のスクエア・ヴォイドだけであり、残り全てのデッキ(Long Firesマシーンヘッドなど)がリシャーダの港を投入していた。

例2

  1. 「パララクス補充が流行。あまりにも強いため、それ以外のデッキが駆逐される」
  2. 「パララクス補充に強いトリニティが開発され、環境を支配しはじめる」
    パララクス補充は、キーカードの殆どが4マナ。トリニティはそれが揃う前にマナ加速からすき込み/Plow Underを打てるため優位に立てた。すき込みを序盤に打てる点は、パララクス補充に対してのみならず、当時の環境に大きく有効だった。
  3. 「アンチ・トリニティデッキとしてアングリーハーミットが台頭する」
  4. 「増えたアングリーハーミットに有利なアングリーノンハーミットが台頭」
  5. 「アングリーノンハーミットを食えるパララクス補充が復権」(最初に戻る)

以上がパララクス補充からアングリーハーミットを巡るメタの変遷である。また、このメタが一周した時点で開催された世界選手権00では、「補充もアングリーハーミットも食える」デッキとして登場したティンカースーサイドブラウン)が圧倒的な強さを見せつけ、世界チャンピオンに輝いた。アンチ補充であるトリニティに似せた形を取りつつ、マナをクリーチャーではなくアーティファクトから供給することで、大量に搭載されたクリーチャー除去を完全に腐らせることができたためである。

余談として、パララクス補充同士のミラーマッチにおいては、サイドから投入される時間の名人/Temporal Adeptがメタカードとして機能した。デッキの構造上3マナ以下でクリーチャーを除去できないために、延々と毎ターン土地を戻し続けて4マナ揃えられなくするという、このミラーマッチでしか成立しない「完全ロック」が存在したからである。

参考

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