フレイバー・テキスト

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フレイバー・テキスト/Flavor Text(略してFT)とは、カード文章欄に書かれている、ルール・テキストでない文。そのカードの雰囲気や世界観をあらわすために使われる。ゲームプレイルールには関係しない。類似するものとしてフレイバー語も存在する。

  • フレイバー(Flavor)とは「風味」を意味する語。文字通りカードに風味を付けている。

概要

元は能力を持たないバニラクリーチャーの文章欄を埋めるためのものだった(ルールブックにも登場したハールーン・ミノタウルス/Hurloon Minotaurはその代表例と言える)が、次第にそれ以外のカードにも書かれるようになった。

ひねりと機知の利いた文章が多く、内容も多種多様である。カードの効果に合わせたもののみならず、そのセットの題材となっている次元/Plane・地域や文化の紹介、物語における重要人物の行動や抱える内情、名も無き住民の生活あるいはその一場面、詩や歌、そして一種のパロディなど、バラエティに富んでいる。通常はクリエイティブ・チームによって書かれるが、デザイン・チームが考えたものがそのまま採用されることもある。

マジック:ザ・ギャザリングトレーディングカードゲームゆえ、(公式サイトの小説・設定記事などを読んでいないプレイヤーにとっては)ブースター・パックからランダムに手に入るカードから物語を読み解いていくという性質がある。セット内のエピソードをプレイヤーが目にする順番を制御することが難しいため、(2016年に導入された注目のストーリーもあわせて)開発部はプレイヤーへ背景世界の情報をどう与えるかについて腐心している。

英語版は斜体、日本語版は楷書体で書かれている。またポータル系列、およびエルフvs発明者2018年)以降では、ルール・テキストとフレイバー・テキストの間に罫線が引かれている。新枠#ドミナリア以降のカード枠も参照。

記載の頻度と省略

魅力的なフレイバー・テキスト

人気の高いフレイバー・テキストの一部を以下に一例として紹介する。

なぞなぞや暗号めいたもの
時間の名人/Temporal Adept火想者ニヴ=ミゼット/Niv-Mizzet, the Firemindギルド門タミヨウの日誌/Tamiyo's Journalなど
言葉遊びや韻を踏んだもの
魔の魅惑/AlurenNow I Know My ABC'sどんでん返し/Switcherooかき回すゴブリン/Rummaging Goblinなど
  • 翻訳の都合上、日本語版・英語版のみだと意味が伝わりにくいものも多い一方で、うまく訳しているものもある(誤訳/名訳)。複数の翻訳版を見比べるのも一興。
複数のカードにまたがっているもの
夜と昼の恋歌/Love Song of Night and Day (ストーリー)ファイレクシアの告発者/Phyrexian Denouncer(各種キャリアー)、分散/Disperse刻まれた大怪物/Etched Monstrosityなど
古典文学や詩からの引用
スケイズ・ゾンビ/Scathe Zombies真珠色の一角獣/Pearled Unicorn地獄界の夢/Underworld Dreamsなど
シンプルな一文
溶岩の斧/Lava Axe行き詰まり/Standstillヴェズーヴァ/Vesuva熟達の魔術師アーテイ/Ertai, Wizard Adeptなど
ブラックジョーク
ゴブリンのそり乗り/Goblin Sledderゴブリンの試験操縦士/Goblin Test Pilot有象無象の大砲/Fodder Cannon補償金/Reparationsなど
印象深い文章
最後の言葉/Last Word怒りの天使アクローマ/Akroma, Angel of Wrath抹消/Obliterate不毛の栄光/Barren Gloryなど
歴代カードへのリスペクトやオマージュ
ファイレクシアの抹消者/Phyrexian Obliteratorアカデミーの廃墟/Academy Ruins 稲妻/Lightning Boltなど
  • 各カードの元となったものと比較すると味わい深い。
再録であることを暗に示しているもの
エイトグ/Atogミラディン版)、稲妻/Lightning Bolt基本セット2010版)、巨大な戦慄大口/Colossal Dreadmawイクサランの相克版)、稲妻のらせん/Lightning Helixカルロフ邸殺人事件版)など

旧ルール

ゴジラシリーズ・カードユニバースビヨンドといったコラボカードでは、カード名欄の1行目に書かれている名前はフレイバー・テキスト(代替の名前/Alternate Name)として扱われ、ルール上意味を持つカード名は2行目の副題行のみであるとされていた(当時の総合ルール201.5)。2022年4月のニューカペナの街角発売以降は別名/Alternate Nameへと訳語が改められるとともにフレイバー・テキスト扱いではなくなり、別名をそのカードのルール・テキスト内で使用可能となった。

その他

  • サッフィー・エリクスドッター/Saffi Eriksdotter"Ach! Hans, Run!"のように、他のカードのフレイバー・テキストによって生まれたといっても過言ではないカードまで存在する。
  • 取り引きのテーブル/Bargaining Tableなど、一部の日本語版のカードではルール・テキストと同じ書体でミスプリントされているものもある。もちろんこの場合もゲームには影響しない。
    • 逆にスランの戦争機械/Thran War Machineでは、通常のルール・テキストがフレイバー・テキストの書体で書かれているミスプリントがある。読み飛ばさないようにしよう。
  • 通常ならばあっても無くてもゲームには関係ないのだが、アン・カードにはフレイバー・テキストに関係するカードがある(例:My First Tome)。
  • 同一のカードでも、収録されているセットによって(英語の原文は同一でも)日本語訳が異なるものがある(例:空中浮遊/Levitationなど)。

参考

  1. Hey Mark! Why did y’all stop printing flavor text...Blogatog 2020年6月3日 Mark Rosewater著)

引用:総合ルール 20231117.0

  • 2 カードの部分
    • 207 文章欄
      • 207.2 文章欄には、ゲーム上意味を持たないイタリック体の(日本語版では文字サイズが小さいまたは教科書体である)文章が書かれていることがある。
        • 207.2b フレイバー・テキストは、イタリック体(日本語版では教科書体)で書かれた、と同様にゲームに雰囲気を出すための文章である。通常、これはルール・テキストの下に記載される。
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