神話レア
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神話レア(Mythic Rare)とは、アラーラの断片以降において最も高い稀少度、またその稀少度に属するカードのことである。
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概要
エキスパンション・シンボルの色は赤橙。基本セット2015以降のカード枠における稀少度の略号は「M」。原則として、14枚入りのプレイ・ブースター1つにつき、一定の確率でレアの代わりに1枚封入される(→#出現頻度)。15枚入りのドラフト・ブースターでも同様の封入方式であった。
神話レアの導入は、稀少度の種類をTCGの業界標準に合わせて増やすことで、新規プレイヤー獲得を図ったためとされる。ユーザーを考慮した慎重な調整が行われており、結果として、稀少度は4種類に増えると共にセットのカード収録総数は減ることになった。収録数が減ったことにより、神話レアの出にくさは過去のレア並に落ち着き、通常のレアカードの入手率上昇にも成功している。
- プレミアム・カードを示す語ではない。
神話レアのカード
神話レアのカテゴリーには「特別」と感じさせるカードが選ばれる。これがレアと神話レアの境界線となっている。
したがって、神話レアのカードには次のようなものが多い。
- プレインズウォーカー。
- 伝説のパーマネント。特に、ストーリー上で重要な役割を果たすものや、その次元/Planeを象徴するようなもの(神など)。
- 滅多に使われない特殊な効果処理を行うカード。追加のターンを得る、ターンを終了する、他のプレイヤーをコントロールするなど。
- そのセット固有のメカニズムの中で、最も複雑、最も派手な能力を持つカード。
- 過去の有名カード・強力カード(パワー9など)のリメイク。
- まったく前例のない能力や条件を持つカード。
反対に、神話レアとしない種類のカードも決められている。その中でも最大のカテゴリーは多目的カード(utility cards: ある種の汎用的機能を備えたカードと定義)とされる。例えば、2色土地のサイクルや変わり谷/Mutavault、黒焦げ/Charが多目的カードである。つまり、低い稀少度で定番となっている単純で平凡なものを、より軽く、より強力にしただけのカードを神話レアにしないということである(例えば、緑1マナ版の帰化/Naturalizeといった神話レアは作られない)。
また、神話レアであることとカードパワーの強さには直接的な関連性は(違和感を覚える人も多いだろうが公式的には)ない。強力なだけで神話レアになることはなく、カード・セットでは強力なカードが各稀少度にほぼ均等に割り振られるように意図を持って制作されている。
ただし、マスターズ・シリーズなどの再録カード中心のサプリメント・セットでは、過去の活躍(=カードパワー)を評価して「特別」とみなすようで、過去に活躍したパワーカードは神話レアに設定されることが多い(意志の力/Force of Willやマナ吸収/Mana Drain、魂の洞窟/Cavern of Souls、瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage等)。逆にレアに格下げされているパターンもあり(水蓮のコブラ/Lotus Cobra等)、これらは相対的なカードパワー差に基づいての稀少度設定が行われていると思われる。また、一度神話レアに格上げされたカードは本流のセットで再録されたときもそのまま神話レアになるパターンも多い。
もっとも、レアと神話レアを区別する厳密な分類方法は存在していない。以上のような指針に従い、マジックを改善する方向性の元でユーザーの反応なども取り入れた討論や見直しが行われ、神話レアは決定されている。
出現頻度
神話レアはドラフト・ブースター1つに一定確率でレアの代わりに1枚封入されている。確率は、ダブルマスターズまでは1/8、ゼンディカーの夜明け以降は1/7.4[1]となっている。神話レア自体は同セットのレアに比べておおむね7倍の出にくさである。しかし、カード1種類当たりで見ると、神話レアはレアの2倍程度の出にくさになるように種類数が設定されている。神話レアの出現頻度は以前の基本セットや大型エキスパンションのレア相当、レアの出現頻度は以前の小型エキスパンションのレア相当という位置づけになっている。
- アラーラの断片ではレア53枚に対し神話レアは15枚。レアの出やすさは、60種類あるイーブンタイドのレアとほぼ同等、神話レアの出やすさは、121種類ある第10版のレアとほぼ同等である(レア:神話レア=(53×8÷7):(15×8)≒60.57:120≒1:2)。
- コンフラックスではレア35枚に対し神話レアは10枚。レアの出やすさは、40種類あるコールドスナップのレアと同等、神話レアの出やすさは、80種類あるシャドウムーアのレアと同等である(レア:神話レア=(35×8÷7):(10×8)=40:80=1:2)。
- ゼンディカーの夜明けではレア64枚に対し神話レアは20枚。(レア:神話レア=(64×7.4÷6.4):(20×7.4)=74:148=1:2)。
- 他の稀少度のカードと比べ、プレミアム・カードが出る確率がわずかに高いとされる。
その他
神話レア導入に際してMark Rosewaterは公式コラム「変化の年[2]」においてその時点での考え方と指針を表明した。しかし、神話レアのラインナップに不満を持った者によってこの記事が引用されるなど、記事内容を誤読・曲解して批判する者が多かったことから、Rosewaterは「Hundred and Counting[3]」で再び神話レアについて、それまでの反応やユーザー意見などもフィードバックした上での補足説明を行った。誤解・曲解の例は、「神話レアは強力ではない、トーナメントでの使用に耐えられない、低マナ・コストにはしない」といったものである。「変化の年」原文は元々このような読み間違いがないように丁寧に書かれているが、その一方で、日本語訳は誤解が生じても仕方の無い文章であり、誤訳も含まれている。
- 「レアを超える稀少度」という概念はアンヒンジドでSuper Secret Techとして登場していた。
- From the Vaultシリーズは「貴重品保管庫」の名の通り、すべてが貴重品ということで、元のカードの稀少度にかかわらず一番貴重な稀少度=神話レアでの収録となっている(当時神話レアが制定されていなかったFrom the Vault:Dragonsは除く)。
- デュエルデッキシリーズの各デッキの看板カードは、元のカードの稀少度にかかわらず神話レアでの収録となっている(当時神話レアが制定されていなかったエルフvsゴブリンは除く)。
- Vintage Mastersのパワー9では、神話レアを超える稀少度としてスペシャルで収録されている。色は神話レアと同じ赤橙色だが、放射状のエフェクトが加えられている。
- Zendikar Expeditionsは元のカードの稀少度にかかわらず神話レアでの収録となっている。
- Kaladesh Inventionsのエキスパンション・シンボルの色は神話レアと同じ赤橙色だが、(これ以降の各Masterpiece Seriesも含め)スペシャルでの収録となっている。
脚注
- ↑ Set Boosters/セット・ブースター(Making Magic 2020年7月25日 Mark Rosewater著)
- ↑ The Year of Living Changerously/変化の年(Making Magic 2008年6月2日 Mark Rosewater著)
- ↑ Four Hundred and Counting(Feature 2009年9月28日 Mark Rosewater著)